説明

ピクチャレール構造

【課題】規定耐荷重がそれぞれ異なるレール及びフックが2セット以上あっても、或いは規定耐荷重がそれぞれ異なるレール、フック及びハンガーが2セット以上あっても、規定耐荷重のレールやフックの変形を確実に防止する。
【解決手段】第1レール11及び第1フック21が第1規定耐荷重をそれぞれ有し、第2レール12及び第2フック22が第1規定耐荷重より小さい第2規定耐荷重をそれぞれ有する。第2フック22が第1及び第2レール11,12に組込み可能に構成される。また第2レール12に第1フック21の第2レール12への組込みを禁止する組込み禁止手段12cが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井面又は壁面に固定されたレールにフックを組込み、このフックにハンガーを係合し、絵画額縁等に固着された取付金具をハンガーに係合して、絵画額縁等を吊下げるピクチャレール構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、天井と壁面との境界部分に回り縁が取付けられ、この回り縁と壁面との間又は回り縁に、下方に開いて回り縁の長手方向に延びる溝が設けられ、この溝がピクチャレールを収容できるサイズのものからなる、天井と壁面との境界部分の構造が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この天井と壁面との境界部分の構造では、ピクチャレールが、一対のリップを有する溝型材からなり、リップ間開口部を下向きにして上記溝に収容される。またピクチャレールの内部にスライダが摺動可能に収容され、このスライダからリップ間開口部を通じて垂下されたフックにワイヤを介して絵画を掛けるように構成される。このように構成された天井と壁面との境界部分の構造では、回り縁と壁面との間に設けられた溝内、又は回り縁に設けられた溝内にピクチャレールを設置することにより、ピクチャレールを回り縁で隠すことができるので、ピクチャレールの設置で室内の美観を損なうことを防止できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−240435号公報(請求項1、段落[0005]、段落[0013]、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の特許文献1に示された天井と壁面との境界部分の構造では、所定の規定耐荷重(第1規定耐荷重)をそれぞれ有する第1ピクチャレール、第1フック付スライダ及び第1ワイヤが用いられるけれども、軽量化や製造コストの低減のために、別の規定耐荷重、例えば上記第1規定耐荷重の半分の第2規定耐荷重をそれぞれ有する第2ピクチャレール、第2フック付スライダ及び第2ワイヤを作製した場合、第2ピクチャレールに第1フック付スライダを組込み、この第1フック付スライダのフックに第1ワイヤを介して第1規定耐荷重より小さくかつ第2規定耐荷重より大きな荷重の絵画額縁を吊下げると、第2ピクチャレールが変形するおそれがあった。また第2ピクチャレールに第2フック付スライダを組込み、この第2フック付スライダのフックに第1ワイヤを介して第1規定耐荷重より小さくかつ第2規定耐荷重より大きな荷重の絵画額縁を吊下げると、第2ピクチャレール又は第2フックのいずれか一方又は双方が変形するおそれがあった。
【0005】
本発明の目的は、規定耐荷重がそれぞれ異なるレール及びフックが2セット以上あっても、或いは規定耐荷重がそれぞれ異なるレール、フック及びハンガーが2セット以上あっても、規定耐荷重のレールやフックの変形を確実に防止できる、ピクチャレール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点は、図1〜図3に示すように、第1規定耐荷重をそれぞれ有する第1レール11及び第1フック21と、第1規定耐荷重より小さい第2規定耐荷重をそれぞれ有する第2レール12及び第2フック22とを備えたピクチャレール構造であって、第2フック22が第1及び第2レール11に組込み可能に構成され、第2レール12に第1フック21の第2レール12への組込みを禁止する組込み禁止手段12cが設けられたことを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の観点は、図1〜図3に示すように、第1規定耐荷重をそれぞれ有する第1レール11、第1フック21及び第1ハンガー31と、第1規定耐荷重より小さい第2規定耐荷重をそれぞれ有する第2レール12、第2フック22及び第2ハンガー32とを備えたピクチャレール構造であって、第2フック22が第1及び第2レール11,12に組込み可能に構成され、第2ハンガー32が第1及び第2フック21,22に係合可能に構成され、第2レール12に第1フック21の第2レール12への組込みを禁止する組込み禁止手段12cが設けられ、第1ハンガー31にこの第1ハンガー31の第2フック22への係合を禁止する係合禁止手段31cが設けられたことを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、更に図1〜図3に示すように、第1レール11が第1及び第2フック21,22を挿通するための第1開口部11aを有し、第2レール12が第2フック22を挿通するための第2開口部12aを有し、組込み禁止手段が第2開口部12aの両端縁に立設された一対のリブ12c,12cであることを特徴とする。
【0009】
本発明の第4の観点は、第2又は第3の観点に基づく発明であって、更に図1〜図3に示すように、第1フック21に第1及び第2ハンガー31,32を係合するための第1凹部21fが形成され、第2フック22に第2ハンガー32を係合するための第2凹部22gが形成され、係合禁止手段が第1ハンガー31を被覆するように設けられ第2凹部22gより幅広の被覆部31cであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の観点のピクチャレール構造では、第2規定耐荷重を有する第2レールに、第2規定耐荷重より大きい第1規定耐荷重を有する第1フックを組込もうとすると、第2レールに設けられた組込み禁止手段により第2レールへの第1フックの組込みが禁止される。この結果、規定耐荷重の小さい第2レールに、規定耐荷重の大きい第1フックを介して、第2規定耐荷重より大きくかつ第1規定耐荷重より小さい荷重の絵画額縁等の物品を吊下げるという事態を回避できるので、第2レールの変形を確実に防止できる。
【0011】
本発明の第2の観点のピクチャレール構造では、第2規定耐荷重を有する第2レールに、第2規定耐荷重より大きい第1規定耐荷重を有する第1フックを組込もうとすると、第2レールに設けられた組込み禁止手段により第2レールへの第1フックの組込みが禁止される。この結果、規定耐荷重の小さい第2レールに、規定耐荷重の大きい第1フック及び第1ハンガーを介して、第2規定耐荷重より大きくかつ第1規定耐荷重より小さい荷重の絵画額縁等の物品を吊下げるという事態を回避できるので、第2レールの変形を確実に防止できる。また第2規定耐荷重を有する第2レールに、第2規定耐荷重を有する第2フックを組込んだ状態で、この第2フックに、第2規定耐荷重より大きい第1規定耐荷重を有する第1ハンガーを係合しようとすると、第1ハンガーに設けられた係合禁止手段により第2フックへの第1ハンガーの係合が禁止される。この結果、規定耐荷重の小さい第2フックに、規定耐荷重の大きい第1ハンガーを介して、第2規定耐荷重より大きくかつ第1規定耐荷重より小さい荷重の絵画額縁等の物品を吊下げるという事態を回避できるので、第2フック及び第2レールの変形を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は本発明実施形態の第1レールに第1フックを組込みかつ第1フックに第1ハンガーを係合した状態を示す断面図であり、(b)は本発明実施形態の第2レールに第2フックを組込みかつ第2フックに第2ハンガーを係合した状態を示す断面図である。
【図2】(a)は第1レールに第2フックを組込みかつ第2フックに第2ハンガーを係合した状態を示す断面図であり、(b)は第1レールに第1フックを組込みかつ第1フックに第2ハンガーを係合した状態を示す断面図である。
【図3】(a)は第2レールに第1フックを組込めない状態を示す断面図であり、(b)は第2レールに組込んだ第2フックに第1ハンガーを係合できない状態を示す断面図である。
【図4】(a)は本発明の別の実施形態の第1レールに第1フックを組込みかつ第1フックに第1ハンガーを係合した状態を示す断面図であり、(b)は本発明の別の実施形態の第2レールに第2フックを組込みかつ第2フックに第2ハンガーを係合した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1(a)に示すように、第1レール11が天井面13に固定され、第1レール11に第1フック21が組込まれ、この第1フック21に第1ハンガー31が係合するように構成される。また図1(b)に示すように、天井面13に第2レール12が固定され、第2レール12に第2フック22が組込まれ、この第2フック22に第2ハンガー32が係合するように構成される。上記第1レール11、第1フック21及び第1ハンガー31は第1規定耐荷重(例えば、30kg)をそれぞれ有する。また上記第2レール12、第2フック22及び第2ハンガー32は第1規定耐荷重より小さい第2規定耐荷重(例えば、15kg)をそれぞれ有する。
【0014】
第1レール11はアルミ合金等の軽量合金の押出し法又は引抜き法により長方形筒状の一辺の一部を切欠いた断面略伏せC字状に成形される。第1レール11の長方形筒状の一辺の一部が切欠かれることにより、第1レール11の一辺の長手方向に延びる第1開口部11aと、この第1開口部11aの両側部に位置し第1レール11の長手方向にそれぞれ延びる一対の第1対向片11b,11bとが第1レール11に形成される。一方、第2レール12はアルミ合金等の軽量合金の押出し法又は引抜き法により長方形筒状の一辺の一部を切欠いた断面略伏せC字状に成形される。第2レール12の長方形筒状の一辺の一部が切欠かれることにより、第2レール12の一辺の長手方向に延びる第2開口部12aと、この第2開口部12aの両側部に位置し第2レール12の長手方向にそれぞれ延びる一対の第2対向片12b,12bとが第2レール12に形成される。また一対の第2対向片12b,12bの先端縁、即ち第2開口部12aの両端縁には一対のリブ12c,12cがそれぞれ立設される。これらのリブ12c,12cはアルミ合金等の軽量合金の押出し成形時又は引抜き成形時に第2レール12と一体的に成形される。更に第2規定耐荷重(例えば、15kg)を有する第2レール12は、第1規定耐荷重(例えば、30kg)を有する第1レール11より薄肉に形成され、これにより第2レール12の軽量化と製造コストの低減が図られる。
【0015】
第1フック21は、一対の第1対向片11b,11bを所定の隙間をあけて挟み込んだ状態で第1レール11に摺動可能に取付けられる第1スライド部21aと、第1スライド部21aから第1開口部11aを通って突設される略逆J字状の第1被係止部21bとを有する。第1スライド部21aは、第1開口部11aを内側から塞ぐように設けられ一対の第1対向片11b,11bの内面に沿って移動する第1内側片21cと、第1開口部11aを外側から塞ぐように設けられ一対の第1対向片11b,11bの外面に沿って移動する第1外側片21dと、第1内側片21cと第1外側片21dとを連結し一対の第1対向片11b,11b間を移動する第1連結片21eとからなる。また第1被係止部21bの先端部には比較的大きな曲率半径を有する第1凹部21fが形成される。更に第1スライド部21aには第1内側片21c、第1連結片21e及び第1外側片21dを貫く通孔21gが形成され、この通孔21gに第1被係止部21bの基端部を圧入することにより第1被係止部21bが第1スライド部21aと一体化される。
【0016】
第2フック22は、一対の第2対向片12b,12b及び一対のリブ12c,12cを所定の隙間をあけて挟み込んだ状態で第2レール12に摺動可能に取付けられる第2スライド部22aと、第2スライド部22aから第2開口部12aを通って突設される略逆J字状の第2被係止部22bとを有する。第2スライド部22aは、第2開口部12aを内側から塞ぐように設けられ一対のリブ12c,12cの先端面に沿って移動する第2内側片22cと、第2開口部12aを外側から塞ぐように設けられ一対の第2対向片12b,12bの外面に沿って移動する第2外側片22dと、第2内側片22cと第2外側片22dとを連結し第2開口部12a内及び一対のリブ12c,12c間を移動する第2連結片22eと、第2内側片22cの両端縁から一対の第2対向片12b,12bに向って突設された一対の突片22fとからなる。また第2被係止部22bの先端部には比較的小さな曲率半径を有する第2凹部22gが形成される。
【0017】
第1フック21の第1スライド部21aは比較的強度の高い鋼の鍛造法等により略横臥H字状に形成され、第1フック21の第1被係止部21bは比較的強度の高い鋼の丸棒を折り曲げることにより略逆J字状に形成される。また第2フック22の第2スライド部22a及び第2被係止部22bは比較的強度の低いアルミ合金等の軽量合金のダイカスト法により一体的に成形される。これにより第2フック22の第2規定耐荷重(例えば、15kg)は第1フック21の第1規定耐荷重(例えば、30kg)より小さくなるように構成されるとともに、第2フック22の軽量化と製造コストの低減が図られる。また第1スライド部21aの第1内側片22cと第1外側片22dとの間隔、即ち第1連結片22eの長さは、第1レール11の第1対向片11bの厚さより僅かに厚く形成されるけれども、第2レール12の第2対向片12bの厚さとリブ12cの高さの合計値より小さく形成される。更に第2スライド部22aの第2外側片22d上面と突片22f下端との間隔は、第1レール11の第1対向片11bの厚さより僅かに大きく形成されるとともに、第2レール12の第2対向片12bの厚さより僅かに大きく形成される。
【0018】
第1ハンガー31は、金属ワイヤによりリング状に形成され第1被係止部21bに係止する第1係止部31aと、上端が第1係止部31aに連結され比較的太い金属ワイヤにより形成された第1線状部31bと、第1線状部31bの下端に連結され物品(絵画額縁等)の受け具(図示せず)を係合して物品(絵画額縁等)を保持する第1物品保持部(図示せず)と、第1係止部31aの内周面を被覆するように設けられた被覆部31cとを有する。被覆部31cの外径は第2凹部22gより幅広に形成される。また第2ハンガー32は、金属ワイヤによりリング状に形成され第2被係止部22bに係止する第2係止部32aと、上端が第2係止部32aに連結され比較的細い金属ワイヤにより形成された第2線状部32bと、第2線状部32bの下端に連結され物品(絵画額縁等)の受け具(図示せず)を係合して物品(絵画額縁等)を保持する第2物品保持部(図示せず)とを有する。第1ハンガー31の第1線状部31bを金属ワイヤにより比較的太く形成し、第2ハンガー32の第2線状部32bを金属ワイヤにより比較的細く形成することにより、第2ハンガー32の第2規定耐荷重(例えば、15kg)は第1ハンガー31の第1規定耐荷重(例えば、30kg)より小さくなるように構成されるとともに、第2ハンガー32の軽量化と製造コストの低減が図られる。また第1ハンガー31の被覆部31cの幅は、第1フック21の第1凹部21fの幅より小さく形成されるけれども、第2フック22の第2凹部22gの幅より大きく形成される。更に第2ハンガー32の第2係止部32aの太さは、第1フック21の第1凹部21fの幅より小さく形成されるとともに、第2フック22の第2凹部22gの幅より僅かに小さく形成される。
【0019】
なお、第1及び第2レール11,12の実際の耐荷重は次のようにしてそれぞれ測定される。先ずレール11,12を天井面13に2本の締付けネジによりそれぞれ固定する(ネジの締付け間隔:450mm)。次に2本のネジの締付け間隔の中間点に荷重を付加するための治具(実際のフック21,22と同一形状の治具)をそれぞれ取付ける。更にこの治具に鉛直方向に荷重をそれぞれ掛ける。そしてレール11,12に生じる変形が弾性変形から塑性変形へ変わる点をレール11,12のそれぞれの実際の耐荷重とする。また、第1及び第2フック21,22の実際の耐荷重は次のようにしてそれぞれ測定される。先ずフック21,22のスライド部21a,22aをレール11,12にそれぞれ組込んだ状態でフック21,22がレール11,12の長手方向に摺動しないようにそれぞれ固定する。次にフック21,22の被係止部に鉛直荷重をそれぞれ掛ける。そしてフック21,22に生じる変形が弾性変形から塑性変形へ変わる点をフック21,22のそれぞれの実際の耐荷重とする。更に、第1及び第2ハンガー31,32の実際の耐荷重は次のようにしてそれぞれ測定される。先ずフック21,22のスライド部21a,22aをレール11,12にそれぞれ組込み、フック21,22の被係止部21b,22bにハンガー31,32の係止部を係合した状態でフック21,22がレール11,12の長手方向に摺動しないようにそれぞれ固定する。次にハンガー31,32の受け具(図示せず)に鉛直荷重をそれぞれ掛ける。そしてハンガー31,32に生じる変形が弾性変形から塑性変形へ変わる点をハンガー31,32のそれぞれの実際の耐荷重とする。
【0020】
このように構成された第1及び第2レール11,12と、第1及び第2フック21,22と、第1及び第2ハンガー31,32の使用方法を説明する。通常、第1レール11を天井面13に固定し、第1レール11に第1フック21を組込み、この第1フック21に第1ハンガー31を係合した後に、第1ハンガー31の第1物品保持部(図示せず)に第1規定耐荷重以下(例えば、30kg以下)の物品(絵画額縁等)の受け具(図示せず)を係合する。この場合、物品(絵画額縁等)の荷重が第1規定耐荷重以下(例えば、30kg以下)であるので、第1レール11、第1フック21及び第1ハンガー31が変形することはない。また天井面13に第2レール12を固定し、第2レール12に第2フック22を組込み、この第2フック22に第2ハンガー32を係合した後に、第2ハンガー32の第2物品保持部(図示せず)に第2規定耐荷重以下(例えば、15kg以下)の物品(絵画額縁等)の受け具(図示せず)を係合する。この場合、物品(絵画額縁等)の荷重が第2規定耐荷重以下(例えば、15kg以下)であるので、第2レール12、第2フック22及び第2ハンガー32が変形することはない。
【0021】
一方、第1規定耐荷重(例えば、30kg)を有する第1レール11を天井面13に固定し、この第1レール11に、第1規定耐荷重より小さい第2規定耐荷重(例えば、15kg)を有する第2フック22を組込もうとすると、第2スライド部22aの第2外側片22dと突片22fとの間隔が、第1対向片11bの厚さより僅かに大きく形成されているので、組込むことができる(図2(a))。そして第2フック22に第2ハンガー32を係合した後に、第2ハンガー32の第2物品保持部(図示せず)に第2規定耐荷重以下(例えば、15kg以下)の物品(絵画額縁等)の受け具(図示せず)を係合する。この場合、物品(絵画額縁等)の荷重が第2規定耐荷重以下(例えば、15kg以下)であるので、第1レール11、第2フック22及び第2ハンガー32が変形することはない。しかし、第2規定耐荷重(例えば、15kg)を有する第2レール12を天井面13に固定し、この第2レール12に、第2規定耐荷重より大きい第1規定耐荷重(例えば、30kg)を有する第1フック21を組込もうとすると、第1フック21の第1スライド部21aの第1内側片21cと第1外側片21dとの間隔、即ち第1連結片21eの長さが、第2レール12の第2対向片12bの厚さとリブ12cの高さの合計値より小さく形成されているので、組込むことができない(図3(a))。即ち、第2レール12に設けられた一対のリブ12c,12cにより第2レール12への第1フック21の組込みが禁止される。この結果、規定耐荷重の小さい第2レール12に、規定耐荷重の大きい第1フック21及び第1ハンガー31を介して、第2規定耐荷重(例えば、15kg)より大きくかつ第1規定耐荷重(例えば、30kg)より小さい荷重の物品(絵画額縁等)を吊下げるという事態を回避できるので、第2レール12の変形を確実に防止できる。
【0022】
また第1レール11を天井面13に固定し、第1レール11に第1フック21を組込んだ状態で、この第1フック21に第2ハンガー32を係合しようとすると、第2ハンガー32の第2係止部32aの太さが、第1フック21の第1凹部21fの幅より小さく形成されているので、組込むことができる(図2(b))。そして第2ハンガー32の第2物品保持部(図示せず)に第2規定耐荷重以下(例えば、15kg以下)の物品(絵画額縁等)の受け具(図示せず)を係合する。この場合、物品(絵画額縁等)の荷重が第2規定耐荷重以下(例えば、15kg以下)であるので、第1レール11、第1フック21及び第2ハンガー32が変形することはない。しかし、第2レール12を天井面13に固定し、第2レール12に第2フック22を組込んだ状態で、この第2フック22に第1ハンガー31を係合しようとすると、第1ハンガー31の被覆部31cの幅が、第2フック22の第2凹部22gの幅より大きく形成されているので、組込むことができない(図3(b))。即ち、第1ハンガー31の第1係止部31aに設けられた被覆部31cにより、第2フック22の第2被係止部22bへの第1係止部31aの係合が禁止される。この結果、規定耐荷重の小さい第2フック22に、規定耐荷重の大きい第1ハンガー31を介して、第2規定耐荷重(例えば、15kg)より大きくかつ第1規定耐荷重(例えば、30kg)より小さい荷重の物品(絵画額縁等)を吊下げるという事態を回避できるので、第2フック22及び第2レール12の変形を確実に防止できる。
【0023】
なお、この実施の形態では、第1レールに第1フックを組込み、第1フックに第1ハンガーを係合し、更に第1ハンガーに物品(絵画額縁等)を吊下げ、第2レールに第2フックを組込み、第2フックに第2ハンガーを係合し、更に第2ハンガーに物品(絵画額縁等)を吊下げたが、第1レールに第1フックを組込み、第1フックに物品(絵画額縁等)を吊下げ、第2レールに第2フックを組込み、第2フックに物品(絵画額縁等)を吊下げてもよい。また、この実施の形態では、組込み禁止手段のリブを第2開口部の両端縁に立設したが、第2開口部の両端縁のいずれか一方に立設してもよい。
【0024】
更に、この実施の形態では、第1及び第2レールを天井面に固定したが、図4に示すように第1及び第2レール11,12を壁面53に固定してもよい。この場合、図4(a)に示すように、第1フック51の第1スライド部51aと第1被係止部51bとが直角になるように連結され、図4(b)に示すように、第2フック52の第2スライド部52aと第2被係止部52bとが直角になるように連結される。この場合、第1スライド部51aは、第1開口部11aを内側から塞ぐように設けられ一対の第1対向片11b,11bの内面に沿って移動する第1内側片51cと、第1開口部11aを外側から塞ぐように設けられ一対の第1対向片11b,11bの外面に沿って移動する第1外側片51dと、第1内側片51cと第1外側片51dとを連結し一対の第1対向片11b,11b間を移動する第1連結片51eとからなる。また第1被係止部51bの先端部には比較的大きな曲率半径を有する第1凹部51fが形成される。更に第1スライド部51aの第1連結片51eのうち第1外側片51dから第1レール11外方に突出する部分に通孔51gが形成され、この通孔51gに第1被係止部51bの基端部を圧入することにより第1被係止部51bが第1スライド部51aと一体化される。一方、第2スライド部52aは、第2開口部12aを内側から塞ぐように設けられ一対のリブ12c,12cの先端面に沿って移動する第2内側片52cと、第2開口部12aを外側から塞ぐように設けられ一対の第2対向片12b,12bの外面に沿って移動する第2外側片52dと、第2内側片52cと第2外側片52dとを連結し第2開口部12a内及び一対のリブ12c,12c間を移動する第2連結片52eと、第2内側片52cの両端縁から一対の第2対向片12b,12bに向って突設された一対の突片52f,52fとからなる。また第2被係止部52bの先端部には比較的小さな曲率半径を有する第2凹部52gが形成される。更に第1スライド部51aの第1及び第2対向片11b,12bに対する組込み関係、第2スライド部52aの第1及び第2対向片11b,12bに対する組込み関係、第1凹部51fの第1及び第2係止部31a,32aに対する係合関係、第2凹部52gの第1及び第2係止部31a,32aに対する係合関係は、上記実施の形態と同一に構成される。図4において図1と同一符号は同一部品を示す。
【符号の説明】
【0025】
11 第1レール
11a 第1開口部
12 第2レール
12a 第2開口部
12c リブ(組込み禁止手段)
21,51 第1フック
21f,51f 第1凹部
22,52 第2フック
22g,52g 第2凹部
31 第1ハンガー
31c 被覆部(係合禁止手段)
32 第2ハンガー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1規定耐荷重をそれぞれ有する第1レール(11)及び第1フック(21,51)と、前記第1規定耐荷重より小さい第2規定耐荷重をそれぞれ有する第2レール(12)及び第2フック(22,52)とを備えたピクチャレール構造であって、
前記第2フック(22,52)が前記第1及び第2レール(11,12)に組込み可能に構成され、
前記第2レール(12)に前記第1フック(21,51)の前記第2レール(12)への組込みを禁止する組込み禁止手段(12c)が設けられた
ことを特徴とするピクチャレール構造。
【請求項2】
第1規定耐荷重をそれぞれ有する第1レール(11)、第1フック(21,51)及び第1ハンガー(31)と、前記第1規定耐荷重より小さい第2規定耐荷重をそれぞれ有する第2レール(12)、第2フック(22,52)及び第2ハンガー(32)とを備えたピクチャレール構造であって、
前記第2フック(22,52)が前記第1及び第2レール(11,12)に組込み可能に構成され、
前記第2ハンガー(32)が前記第1及び第2フック(21,22,51,52)に係合可能に構成され、
前記第2レール(12)に前記第1フック(21,51)の前記第2レール(12)への組込みを禁止する組込み禁止手段(12c)が設けられ、
前記第1ハンガー(31)にこの第1ハンガー(31)の前記第2フック(22,52)への係合を禁止する係合禁止手段(31c)が設けられた
ことを特徴とするピクチャレール構造。
【請求項3】
前記第1レール(11)が前記第1及び第2フック(21,22,51,52)を挿通するための第1開口部(11a)を有し、
前記第2レール(12)が前記第2フック(22,52)を挿通するための第2開口部(12a)を有し、
前記組込み禁止手段が前記第2開口部(12a)の両端縁の少なくともいずれか一方に立設されたリブ(12c,12c)である請求項1又は2記載のピクチャレール構造。
【請求項4】
前記第1フック(21,51)に前記第1及び第2ハンガー(31,32)を係合するための第1凹部(21f,51f)が形成され、
前記第2フック(22,52)に前記第2ハンガー(32)を係合するための第2凹部(22g,52g)が形成され、
前記係合禁止手段が前記第1ハンガー(31)を被覆するように設けられ前記第2凹部(22g,52g)より幅広の被覆部(31c)である請求項2又は3記載のピクチャレール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−234945(P2011−234945A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109777(P2010−109777)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000109923)トーソー株式会社 (84)
【Fターム(参考)】