説明

ピペットチップ

【課題】ピペットチップを、液回り現象を起こさず、生化学分析素子もしくは稀釈容器等に確実に吐出できるものとする。
【解決手段】撥水処理剤でコーティングが施されたポリプロピレン基材からなるピペットチップであって、撥水処理剤を、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、トリオクチルトリメリテート及びポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)からなる群から選択される少なくとも1つの特定物質を含有するシリコーン樹脂であって、このシリコーン樹脂に対して特定物質の総質量を1質量%〜30質量%とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引ノズルの先端に嵌合し、液体を吸引して収容保持し、かつ所定量の液体を吐出するピペットチップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
生化学分析装置は、例えば、血液、尿等の試料液を生化学分析用素子に所定量点着して測定を行うもの、あるいは、試料液を少量だけ稀釈容器に供給するとともに稀釈液を供給して所定の倍率で稀釈してから、その混合液を生化学分析用素子に点着するものであり、これらの試料液、稀釈液、混合液等の液体試料を収容容器から吸引して吐出するために、吸引ノズルを設置するとともに、その吸引ノズルの先端に着脱可能にピペットチップを嵌合し、このピペットチップ内に液体を収容容器から吸引するとともに、生化学分析素子もしくは稀釈容器等に吐出するようにしている。
【0003】
このピペットチップは、プラスチック製で使い捨て可能であり、吸引ノズル内に直接液体を吸引するものに比べて洗浄処理が不要となって、処理能力が向上することから一般的に使用され、例えば、特許文献1および2に開示されている。
【0004】
プラスチックの種類としては、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン等の撥水性の高いものが選ばれているが、通常の水溶液、例えば純水や生理食塩水では、これらのプラスチックで十分に撥水するので、これらを吸引あるいは吐出する場合には問題は生じない。
【0005】
ところが、全血、血漿、血清等の血液、尿、それらの希釈液等の液体試料の場合にはタンパク質・糖類・核酸等が含まれており、粘性も1.5〜2.5mPa・sと高く、プラスチック製ピペットチップの外壁表面に液体試料が付着しやすく、ピペットチップ内に吸引した液体試料を吐出する際に、ピペットチップ先端部に液滴を形成できず、ピペットチップ外壁に沿って、液体試料が上がってしまう現象、いわゆる液回り現象が起きやすい。その結果として、プラスチック製ピペットチップでは、血液等の液体試料を生化学分析素子もしくは稀釈容器等に吐出できないことがあった。
【0006】
このような血液等の液体試料における液回り現象を解決するため、本体がプラスチックであるピペットチップの表面にオイル等をコーティングすることが試みられ、例えば、特許文献3に記載されている。また、本体がプラスチックであるピペットチップの表面に分子量の高いシリコーン樹脂等をコーティングし、このピペットチップを血液等の液体試料を分析する生化学分析装置で使用することが試みられ、例えば、特許文献4に記載されている。さらに、特許文献5にはフルオロ脂肪族基含有物質及び環状無水カルボン酸基含有ポリマーを含む組成物により、繊維基材や他の基材に対して撥水及び撥油性を付与することが記載されている。
【特許文献1】米国特許第3855867号明細書(特公昭52−34516号公報)
【特許文献2】米国特許第4347875号明細書
【特許文献3】特開平1−317548号公報
【特許文献4】特開平3−131351号公報
【特許文献5】特開平7−197379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献3記載のオイルコーティングは、液回り現象は抑制されるものの、コーティングされたオイル等が検体中に溶けて、生化学分析の測定結果に影響を与えたり、あるいはコーティングが容易に落ちてしまって、実用レベルの耐久性を得ることができないという問題があった。また、特許文献4記載のシリコーン樹脂等のコーティングでは、従来よりも動作速度が向上した生化学分析装置で使用した場合に、液回り現象が発生してしまうという問題があった。
【0008】
また、ピペットチップ本体は一般にプラスチックにより成型され、とりわけポリプロピレン基材の汎用性が高いが、特許文献5に記載のフルオロ脂肪族基含有物質を含有させたシリコーン樹脂をコーティングに用いるとコーティングが容易に落ちてしまい、実用レベルの耐久性を得ることができないという問題がある。
【0009】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、液回り現象を起こさず、生化学分析素子もしくは稀釈容器等に確実に吐出できるピペットチップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のピペットチップは、撥水処理剤でコーティングが施されたポリプロピレン基材からなるピペットチップであって、前記撥水処理剤が、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、トリオクチルトリメリテート及びポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)からなる群から選択される少なくとも1つの特定物質を含有するシリコーン樹脂であって、該シリコーン樹脂に対して前記特定物質の総質量が1質量%〜30質量%であることを特徴とするものである。
本発明のピペットチップは、血液または尿等の生化学分析に用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のピペットチップは、撥水処理剤でコーティングが施されたポリプロピレン基材からなるピペットチップであって、撥水処理剤が、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、トリオクチルトリメリテート及びポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)からなる群から選択される少なくとも1つの特定物質を含有するシリコーン樹脂であって、このシリコーン樹脂に対して特定物質の総質量が1質量%〜30質量%であるので、外壁表面に液体試料が付着しにくく、液回り現象を効果的に抑制することができ、生化学分析素子もしくは稀釈容器等に確実に吐出することができる。
【0012】
とりわけ、血液等の液体試料を従来よりも動作速度が向上した生化学分析装置で測定する場合においても、本発明のピペットチップを用いることによって、正確に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のピペットチップは、撥水処理剤でコーティングが施されたポリプロピレン基材からなるピペットチップであって、撥水処理剤が、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、トリオクチルトリメリテート及びポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)からなる群から選択される少なくとも1つの特定物質を含有するシリコーン樹脂であって、このシリコーン樹脂に対して特定物質の総質量が1質量%〜30質量%であることを特徴とする。
【0014】
撥水処理剤のベースとなるシリコーン樹脂としては、例えば、特開平3−131351号公報等に記載のポリジアルキルシロキサン、ポリジアリールシロキサン等のシリコーン樹脂を好ましく用いることができる。シリコーン樹脂の濃度としては、コーティング溶液の状態において、撥水処理剤の総質量に対して1〜40質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましい。
【0015】
シリコーン樹脂に含有される特定物質は、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、トリオクチルトリメリテート及びポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)からなる群から選択される少なくとも1つであり、ポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)の平均分子量は500〜2000の範囲であることが好ましい。特定物質であるジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、トリオクチルトリメリテート及びポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)は単独で用いてもよいし、適宜組合せて用いてもよい。特定物質の濃度は、単独で用いる場合であっても、組合せて用いる場合であっても、シリコーン樹脂に対して総質量で1〜30質量%が好ましく、2〜25質量%がより好ましい。特定物質の濃度が1質量%より少ない場合には、血液等の液体試料を従来よりも動作速度が向上した生化学分析装置で測定すると、液回り現象が発生しやすくなる。一方、特定物質の濃度が30質量%より多い場合には、血液等の液体試料を生化学分析装置で測定すると、シリコーン樹脂と特定物質が分離して、特定物質が測定値に影響を与えることがある。
【0016】
撥水処理剤の溶媒はシリコーン樹脂と特定物質が溶解するものであれば、特に限定されないが、例えばn−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、イソパラフィン、ケロシン、石油エーテル、エーテル、アセトン、酢酸エチル、MEK等が好ましく、これらは単独で用いてもよいし、適宜混合して用いてもよい。
【0017】
本発明のピペットチップの形状を図1を用いて説明する。なお、ここでは図1に示すピペットチップの形状を例にその構成を説明するが、本発明のピペットチップの形状はこれに限定されるものではない。
【0018】
図1に示すピペットチップ1はポリプロピレンによって一体成形されているもので、上端に挿入開口10を有する嵌合部2を上部に備え、この嵌合部2の下方に続いて液体収容部3が形成され、さらに下方の傾斜段部4を介して先端に細径の吸引吐出口11を有する先端部5が設けられ、嵌合部2の挿入開口10から先端部5の吸引吐出口11に連通する内孔6が内部を貫通して形成されている。
【0019】
嵌合部2は、図示しない吸引ノズルの先端に嵌合するためのものであり、内孔6の嵌合内面6aは液体収容部3の収容内面6bに向けて径が小さくなるテーパー状に形成されるとともに、肉厚は大きく設けられている。嵌合部2の外面2aもテーパー状に形成され、外面2aと嵌合内面6aとのテーパー角度θ1は同一に設けられ、肉厚が一定となるように形成されている。なお、この外面2aについては径を一定としてもよく、その場合には嵌合内面6aのみテーパー状に形成される。このテーパー角度θ1は外面2aについては好ましくは0°(径一定)〜約10°、嵌合内面6aについては好ましくは約4°〜約10°に設けられる。また、上端の挿入開口10の内径は約4.0mm〜約6.0mm、外径は約6.0mm〜約9.0mm程度に形成されることが好ましい。
【0020】
嵌合部2の下端部には段状に端面2bが形成されて液体収容部3に連接され、この端面2bの分だけ液体収容部3の肉厚が嵌合部2の肉厚より小さく設けられている。端面2bの外径は約5.0mm〜約8.0mm、内径(液体収容部3の上端内径)は約4.0mm〜約7.0mm程度に形成されることが好ましい。
【0021】
液体収容部3は内部に吸引した液体を収容するためのもので、内孔6の収容内面6bが下方(先端)になるに従って径が小さくなるテーパー状に形成されるとともに、外面3aもテーパー状に形成され、外面3aと収容内面6bとのテーパー角度θ2は同一で肉厚が一定となるように形成されているが、径を一定としてもよい。このテーパー角度θ2は好ましくは0°(径一定)〜約10°であり、嵌合部2のテーパー角度θ1より小さい角度となっている。
【0022】
また、内孔6における嵌合内面6aと収容内面6bとの接続部すなわち角度変更点Aは、端面2bの位置より若干嵌合部2の側に形成され、この角度変更点Aでの内径は約3.0mm〜約5.0mmに形成されることが好ましい。
【0023】
液体収容部3の下端部には、外面3aおよび内面6cの径が急傾斜で小さくなる傾斜段部4が設けられている。また、傾斜段部4の外面4aおよび内面6cの上下の連結部分はそれぞれ曲面によって滑らかに連結されている。傾斜段部4の下端から下方に延びる先端部5は、内面6dおよび外面5aが先端5bに至るに従って徐々に径が小さくなるようなテーパー状に形成されている。
【0024】
先端部5の先端5bに開口する吸引吐出口11の内径は約0.4mm〜約0.8mm程度が好ましく、外径は約1.0mm〜約1.5mm程度が好ましい。また、先端部5の上端の傾斜段部4との連接部(図1のaの上方位置)の内径は約0.4mm〜約1.3mm程度が好ましく、外径は約1.0mm〜約2.0mm程度が好ましい。
【0025】
図1のaで示す先端部5の長さ、すなわち先端5bから傾斜段部4の下端までの長さは約2.0mm〜約5.0mm程度が好ましく、この先端部5のみを液体に挿入して液体を吸引するものである。なお、この先端部5の長さは成形加工時に実質的に曲りが生じることのない長さであって、具体的な寸法例としては約2.0mm〜約5.0mm程度が好ましく、約2.0mm〜約4.0mmの範囲に設けられることが望ましい。液体の吸引に応じて液面は低下することになるが、その液面変動に対応して吸引ノズルを下降移動してピペットチップ1の先端部5のみを液体に挿入した状態で吸引を継続するものである。
【0026】
また、図1のbで示す先端5bから傾斜段部4の上端までの長さは約4.0mm〜約10.0mm程度が好ましく、先端5bから嵌合部2の端面2bまでの長さは約15mm〜約40mm程度が好ましく、先端5bから角度変更点Aまでの長さは約15mm〜約40mm程度が好ましく、先端5bから嵌合部2上端までの全体の長さは約20mm〜約50mm程度が好ましい。
【0027】
液体収容部3、傾斜段部4および先端部5の内部の液体収容容積は、100〜150μlの範囲に設けることが、4〜12μl程度の微量点着時の点着精度を得る点、および50〜100μl程度の稀釈液が収容可能である点で好適である。
【0028】
本発明のピペットチップは、外表面の一部、少なくとも先端部5の外表面に対して撥水処理が施されており、より好ましくは液体収容部3の外面3a〜5aと収容内面6b〜6dに撥水処理が施されていることが好ましい。
【0029】
本発明のピペットチップを撥水処理するには、撥水処理剤にピペットチップを浸漬してコーティングする方法や撥水処理剤をピペットチップにスプレーしてコーティングする方法等を用いることができる。とりわけ、ベースとなるシリコーン樹脂とエステル系可塑剤を溶媒に溶解してピペットチップにコーティングし、乾燥する方法がより好ましい。
【0030】
ピペットチップを撥水処理剤に浸漬してコーティングする場合には、そのままではピペットチップの内側に撥水処理剤が入ってしまい、ピペットチップの吸引吐出口11が目詰まりを起こすことがある。これを防ぐため、浸漬中あるいはまた浸漬後にピペットチップの内側に挿入開口10から空気を吹き込むことが好ましい。さらに浸漬後には、ピペットチップの先端部5に付着している撥水処理剤を拭取り紙あるいは拭取り布等で除去することが好ましい。
【0031】
撥水処理剤に用いた溶媒を除去するために通常は加温乾燥を行う。このときの乾燥温度は用いた溶媒にも依存するが、例えばn−ヘキサンとイソパラフィンの混合溶媒の場合には、50〜110℃が好ましく、70〜90℃がより好ましい。
以下に本発明のピペットチップを実施例を用いてさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0032】
(実施例1)
シリコーン樹脂(信越化学株式会社)15g、イソパラフィン(信越化学株式会社)35g、n−ヘキサン(和光純薬株式会社)250g、ジイソノニルフタレートDINP(和光純薬株式会社)2gを混合して撥水処理剤を準備した。ここに、図1に示すポリプロピレンからなるピペットチップを、ピペットチップの内側に挿入開口10から空気を吹き込みながら、撥水処理剤に浸漬して撥水処理を行った。ピペットチップの先端部5に付着している撥水処理剤は拭取り紙で除去し、72〜80℃で約1分間乾燥した。
【0033】
(実施例2)
実施例1において、ジイソノニルフタレートDINPを3gに変更した以外は同様にしてピペットチップのコーティングを行った。
【0034】
(実施例3)
シリコーン樹脂(信越化学株式会社)2.7g、イソパラフィン(信越化学株式会社)6.3g、n−ヘキサン(和光純薬株式会社)21g、トリオクチルトリメリテートTOTM(和光純薬株式会社)0.6gを混合して撥水処理剤を準備し、実施例1と同様にしてピペットチップのコーティングを行った。
【0035】
(実施例4)
実施例3において、トリオクチルトリメリテートTOTM(和光純薬株式会社)0.6gに換えて、ジイソノニルフタレートDINP(和光純薬株式会社)0.3gとジイソデシルフタレートDIDP(和光純薬株式会社)0.3gを用いて撥水処理剤を準備し、実施例1と同様にしてピペットチップのコーティングを行った。
【0036】
(実施例5)
実施例1において、ジイソノニルフタレートDINP(和光純薬株式会社)2gに換えて、ポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)BAA−15(大八化学工業株式会社)0.5gを用いて撥水処理剤を準備し、実施例1と同様にしてピペットチップのコーティングを行った。
【0037】
(比較例)
実施例1において、ジイソノニルフタレートDINP(和光純薬株式会社)を用いずに撥水処理剤を準備し、実施例1と同様にしてピペットチップのコーティングを行った。
【0038】
(評価)
実施例1〜5および比較例で作製したピペットチップそれぞれ10本を、生化学分析装置の富士ドライケム7000(富士フイルム株式会社製)を組み合わせて使用し、血液試料に対して希釈操作と分析スライドへの点着操作をし、10本中何本に液回り現象が起きるかを観察した。液回り現象が起きなかったものを○、1本でも液回り現象が起こったものを×と評価した。
【0039】
また、富士ドライケム希釈液DL CRP(蛋白質溶液で波長280nmにおける吸光度が約0.4、以下DLと称す)に水溶性色素を添加して、このDLに実施例1〜4および比較例で作製したピペットチップを吸引吐出口11から浸漬させ、いったん傾斜段部4までDLを付着させた後、ピペットチップをDLから引出し、DLがピペットチップ先端部5から撥水されるのに要した時間を測定した。
実施例1〜5および比較例における撥水処理剤の処方と評価結果を表1に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
表1から明らかなように、実施例1〜5のピペットチップでは液回り現象は発生しなかったが、比較例のピペットチップでは、10本中2本で液回り現象が発生した。また、比較例のピペットチップではDLがピペットチップ先端部5から撥水されるのに要した時間は2秒であったのに対し、実施例1〜5のピペットチップでは0.2秒と桁違いに撥水時間が短かった。
【0042】
実施例1および比較例のピペットチップについて、DLが撥水される過程をビデオ撮影したものを図2および図3に示す。実施例1のピペットチップでは、0.2秒後には内孔6の内面6dにDLが残存することがなく、外面5aの上方には付着した試料が点着を妨げない位置で撥水保持されていることがわかる。一方、比較例のピペットチップでは、2秒経過しても内孔6の内面6dに試料が残存し、また外面5aにも広い範囲で試料が付着していることがわかる。
【0043】
以上の結果から明らかなように、本発明のピペットチップは血液等の液体試料に対する液回り現象が抑制され、また、撥水時間が短いので、従来よりも動作速度が向上した生化学分析装置で測定する場合においても、生化学分析素子もしくは稀釈容器等に確実かつ正確に吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明のピペットチップの一つの態様を示す正面図
【図2】実施例1のピペットチップにおけるDLが撥水される過程を示す写真
【図3】比較例のピペットチップにおけるDLが撥水される過程を示す写真
【符号の説明】
【0045】
1 ピペットチップ
2 嵌合部
3 液体収容部
4 傾斜段部
5 先端部
6 内孔
10 挿入開口
11 吸引吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撥水処理剤でコーティングが施されたポリプロピレン基材からなるピペットチップであって、
前記撥水処理剤が、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、トリオクチルトリメリテート及びポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)からなる群から選択される少なくとも1つの特定物質を含有するシリコーン樹脂であって、該シリコーン樹脂に対して前記特定物質の総質量が1質量%〜30質量%であることを特徴とするピペットチップ。
【請求項2】
血液または尿等の生化学分析に用いることを特徴とする請求項1記載のピペットチップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−210562(P2009−210562A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330007(P2008−330007)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100111040
【弁理士】
【氏名又は名称】渋谷 淑子
【Fターム(参考)】