説明

ピペラジン化合物およびその塩酸塩の調製プロセス

本発明は、式(III)の4−[2−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−シクロヘキシルアミンまたはその塩酸塩または水和物または溶媒和物を塩基の存在下で不活性溶媒中に溶解懸濁し、ついでRがC1−6の直鎖または分岐鎖あるいはC1−2の完全にハロゲン化されたアルキル、ZはRが上述の通りであり、Xがハロゲンである−O−Rまたは−Xである一般式(VI)の炭酸誘導体を加え、得られたRが上述の通りである一般式(IV)の化合物をその場でまたは任意に単離した状態で、RおよびRが上述の通りである一般式(V)のアミンと、一般式(I)の化合物を得るように反応し、ついで任意にその塩酸塩および/または水和物および/または溶媒和物をつくることによる、一般式(I)の化合物およびその塩酸塩および/またはその水和物および/またはその溶媒和物の調整のための新規プロセスに関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般式(I)のトランスN−{4−{2−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−シクロヘキシル}−カルバミド化合物およびその塩酸塩および/またはその水和物および/またはその溶媒和物の調整のための新規プロセスに関するものであり、
【0002】
【化1】

【0003】
ここで、RおよびRは独立に、
‐ 水素または
‐ 任意にアリール基で置換された直鎖または分岐したC1−6アルキル、または
‐ RおよびRは隣接の窒素原子とともに、飽和または不飽和の任意に置換された、酸素、窒素または硫黄原子から選ばれるさらなるヘテロ原子を含んでもよい、単環または二環の複素環を形成してもよい
‐ 1−3個の二重結合を含むC2−7のアルケニル、または
‐ 任意に1つまたはそれ以上のC1−6アルコキシ、トリフルオロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルカノイル、アリール、C1−6アルキルチオ、シアノ基またはハロゲン原子で置換された単環、二環または三環アリール基
‐ 任意に置換された単環、二環または三環C3−14シクロアルキル基
を表す。
【背景技術】
【0004】
一般式(I)の化合物の基本形はハンガリー国特許第P0302451号明細書に最初に開示された。明細書には式(I)の化合物の基本形の調製について3つの経路(A、B、C法)が与えられている。“A”法では一般式(I)の最終生成物を与えるように適切なアミンを(チオ)カルバモイルクロリドと反応させる。ハンガリー国特許第P0302451号明細書のA法によれば“A”法は生成物の収量はたった65%で非常に長い反応時間を伴う。B法によればイソ(チオ)シアネートをアミン化合物と反応させる。“B”プロセスの難点は、この方法を使うと一般式(I)でRおよびR基の1つが水素を表す化合物のみが調製されることである。ハンガリー国特許第P0302451号明細書のC法によれば、適切なアミンがイソ(チオ)シアネート誘導体に変換され、ついでこのイソ(チオ)シアネート誘導体が式(I)の望ましい最終生成物を与えるようにアミンと反応される。C法の全収率は非常に低く、たった52%である。
【0005】
“A”および“C”法の難点は、反応時間が長く(48および20時間)また収率が低い(65%および52%)ことである。その上、“A”および“C”法では得られる最終生成物は適切な品質を与えるようにさらなる精製(再結晶)ステップで精製しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ハンガリー国特許第P0302451号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
我々の目的は一般式(I)の非置換または一および二置換カルバミド化合物を極めて高い収率で与えるプロセスを開発することであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに我々は式(III)のトランス4−{2−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−シクロヘキシルアミン
【0009】
【化2】

【0010】
あるいはその塩および/または水和物および/または溶媒和物をRがC1−6の直鎖または分岐アルキルまたはすべてハロゲン化されたC1−2アルキル、ZがRは上述の通りでXはハロゲンである−O−Rまたは−Xである一般式(VI)の炭酸誘導体と反応させ、
【0011】
【化3】

【0012】
ついで得られたRが上述の通りである一般式(IV)の化合物を
【0013】
【化4】

【0014】
一般式(V)のアミン誘導体
【0015】
【化5】

【0016】
ここで、RおよびRは独立に、
‐ 水素または
‐ 任意にアリール基で置換された直鎖または分岐したC1−6アルキル、または
‐ 1−3個の二重結合を含むC2−7のアルケニル、または
‐ 任意に1またはそれ以上のC1−6アルコキシ、トリフルオロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルカノイル、アリール、C1−6アルキルチオ、ハロゲン、またはシアノ基で置換された単環、二環または三環アリール基、または
‐ 任意に置換された単環、二環または三環C3−14シクロアルキル基、または
‐ RおよびRは隣接の窒素原子とともに、飽和または不飽和の任意に置換された、酸素、窒素または硫黄原子から選ばれるさらなるヘテロ原子を含んでもよい、単環または二環の複素環を形成してもよい
を表す、
と反応させることによって、RおよびRが上述の通りである一般式(I)の化合物が非常に高い収率で得られることを見出した。
【0017】
【化6】

【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は一般式(I)の化合物およびその塩酸塩および/またはその水和物および/または溶媒和物の調整のための新規プロセスに関するものであり、
【0019】
【化7】

【0020】
ここで、RおよびRは独立に、
‐ 水素または
‐ 任意にアリール基で置換された直鎖または分岐したC1−6アルキル、または
‐ 1−3個の二重結合を含むC2−7のアルケニル、または
‐ 任意に1またはそれ以上のC1−6アルコキシ、トリフルオロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルカノイル、アリール、C1−6アルキルチオ、ハロゲン、またはシアノ基で置換された単環、二環または三環アリール基、または
‐ 任意に置換された単環、二環または三環C3−14シクロアルキル基、または
‐ RおよびRは隣接の窒素原子とともに、飽和または不飽和の任意に置換された、酸素、窒素または硫黄原子から選ばれるさらなるヘテロ原子を含んでもよい、単環または二環の複素環を形成してもよい
である。
【0021】
およびRの意味において、アリール基は例えばフェニル、トリル、ナフチルまたはフェナントリル基を表す。
【0022】
本発明によるプロセスの実施において、式(III)のトランス4−{2−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−シクロヘキシルアミン
【0023】
【化8】

【0024】
あるいはその塩または水和物または溶媒和物を塩基の存在下で不活性溶媒中に溶解または分散し、RがC1−6の直鎖または分岐アルキルまたはすべてハロゲン化されたC1−2アルキル、ZがRは上述の通りでXはハロゲンである−O−RまたはXである一般式(VI)の炭酸誘導体と
【0025】
【化9】

【0026】
RがC1−6のアルキルまたはすべてハロゲン化されたC1−2アルキルである一般式(IV)の化合物を与えるように反応する。
【0027】
【化10】

【0028】
ついで得られた一般式(IV)の化合物をRおよびRが上述の通りである一般式(V)のアミンと一般式(I)の化合物を与えるように反応する。
【0029】
【化11】

【0030】
上記の反応は不活性溶媒中インサイツであるいは一般式(IV)の化合物を単離してから行ってもよい。
【0031】
本発明によるプロセスで使用できる適切な溶媒は、不活性で水と混ざらない溶媒、例えばトルエン、ジクロロメタン、クロロベンゼンあるいはキシレンを含む。本発明の好ましい実施例では溶媒はジクロロメタンである。
【0032】
本発明によるプロセスで使用できる適切な塩基は、有機塩基、好ましくは3級アミン、例えばトリエチルアミンを含む。
【0033】
一般式(VI)の炭酸誘導体の意味での置換基は、Rが完全に塩素化されたアルキル基を表す場合、アルキル基は例えばトリクロロメチルまたはペンタクロロエチル基でよい。本発明の好ましい実施例では炭酸誘導体はクロロギ酸エステルあるいは炭酸ビス−トリクロロメチルである。
【0034】
本発明によるプロセスの実施において、一般式(IV)と(V)間の反応は、単離ステップの後に一般式(IV)のウレタン化合物を一般式(V)のアミンと反応させるようなやり方で行うことができる。しかしながら、一般式(IV)の化合物の単離が難しいことにより、上記反応は好ましくは不活性溶媒中インサイツで一般式(V)の適切なアミンを式(III)および(VI)の反応混合物に添加するようなやり方で行ってもよい。後者の場合、式(III)の化合物からはじめて単離しない一般式(IV)の化合物を経て、一般式(I)の化合物が90%を超える高収率で得られる。
【0035】
技術文献を踏まえると本発明によるプロセスの利点は以下のようである:収率が52−65%から95%に増加し、本法を用いることにより式(I)のN−一置換化合物に加えてN−二置換化合物もまた得ることができる。
【0036】
本発明は一般式(I)のトランスN−{4−{2−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−シクロヘキシル}−カルバミド塩基およびその塩酸塩の調整のためのプロセスに関する。
【0037】
本発明の実施例では一般式(I)のトランスN−{4−{2−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−シクロヘキシル}−カルバミド塩基を与えるように、水で稀釈後、反応混合物を有機溶媒で抽出し、式(I)の塩基化合物を既知の方法、好ましくは溶媒を除去することによって単離するようなやり方で、反応混合物の仕上げが行われる。
【0038】
本発明の好ましい実施例では塩基は単離されないが、水で希釈した後反応混合物は塩酸でpH2−4まで酸性化され、ついで反応混合物は蒸留によって水懸濁物に転換され、一般式(I)の化合物の塩酸塩が高純度で、収率90%以上で単離される。
【実施例】
【0039】
本発明はこれに限るものではないが以下の例で説明される。
【0040】
〔実施例1〕
トランスN−{4−{2−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−シクロヘキシル)−カルバミン酸メチルエステル
式(III)の化合物の二塩酸6.45g(0.015mol)をジクロロメタン125mlとトリエチルアミン12.25mlの混合物に加え、得られた濃厚懸濁液を20−25℃の間の温度で1時間撹拌した。そのようにして得られた懸濁液をクロロギ酸メチル2.3ml(0.03mol)のジクロロメタン溶液25mlに5−10℃の間の温度で加えた。得られた反応混合物を20−25℃の間の温度で3時間撹拌し、ついで3×150ml(150g)の蒸留水で抽出した。有機相を真空で蒸発して残渣をメタノールから再結晶した。
【0041】
このようにして標記化合物4.5gを得た。
収率:72%
融点:143−147℃
【0042】
〔実施例2〕
トランスN−{4−{2−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−シクロヘキシル)−カルバミン酸イソプロピルエステル
式(III)の化合物の二塩酸6.45g(0.015mol)をジクロロメタン125mlとトリエチルアミン12.25mlの混合物に加え、得られた濃厚懸濁液を20−25℃の間の温度で1時間撹拌した。得られた懸濁液をクロロギ酸イソプロピル3.7g(0.03mol)のトルエン溶液30mlに5−10℃の間の温度で加えた。反応混合物を20−25℃の間の温度で3時間撹拌し、ついで3×150ml(150g)の蒸留水で抽出した。有機相を真空で蒸発して得られた残渣をイソプロパノールから再結晶した。
【0043】
このようにして標記化合物4.4gを得た。
収率:67%
融点:128−131℃
【0044】
〔実施例3〕
トランス−{4−{2−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−N,N−ジメチルカルバモイル−シクロヘキシルアミン
式(III)の化合物の二塩酸6.45g(0.015mol)をジクロロメタン125mlとトリエチルアミン12.25mlの混合物に加え、得られた濃厚懸濁液を20−25℃の間の温度で1時間撹拌した。懸濁液を炭酸ビス(トリクロロメチル)4.9gのジクロロメタン50ml溶液に−5−(−10)℃の間の温度で、1時間で加えた。得られた反応混合物をジメチルアミン13gの0−(−10)℃に冷却したイソプロピルアルコール(IPA)溶液100ml(40ml,0.12mol)に加え、その間、反応混合物の温度を0℃以下に保った。0−(−5)℃の間の温度で30分撹拌した後、反応混合物に撹拌下で蒸留水100mlを加えた。ついで水相のpHを濃塩酸の添加により7−8に調整し、反応混合物の容積を真空下で130mlに濃縮した。得られた反応混合物にさらに蒸留水70mlを加え、混合物を真空下で170mlに濃縮した。懸濁液を20−25℃で1時間撹拌し、得られた生成物をろ過により単離した。
【0045】
このようにして標記化合物6.6gを得た。
収率:95%
融点:208−211℃
【0046】
〔実施例4〕
塩酸トランス−{4−{2−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−N,N−ジメチルカルバモイル−シクロヘキシルアミン
式(III)の二塩酸6.45g(0.015mol)をジクロロメタン125mlとトリエチルアミン12.25mlの混合物に加え、得られた濃厚懸濁液を20−25℃の間の温度で1時間撹拌した。懸濁液を炭酸ビス(トリクロロメチル)4.9gのジクロロメタン溶液50mlに−5−(−10)℃の間の温度で、1時間で加えた。得られた反応混合物をジメチルアミン13gの0−(−10)℃に冷却したイソプロピルアルコール(IPA)溶液100ml(40ml,0.12mol)に加え、その間、反応混合物の温度を0℃以下に保った。0−(−5)℃の間の温度で30分撹拌した後、反応混合物に撹拌下で蒸留水100mlを加えた。ついで水相のpHを濃塩酸の添加により2−3に調整し、反応混合物を130mlに濃縮し、さらに蒸留水70mlを加え、混合物を170mlに濃縮した。懸濁液を20−25℃で1時間撹拌し、得られた生成物をろ過により単離した。
【0047】
このようにして標記化合物6.7gを得た。
収率:96%
融点:221−224℃
【0048】
〔実施例5〕
塩酸トランス−{4−{2−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−N,N−ジメチルカルバモイル−シクロヘキシルアミン
式(III)の化合物の二塩酸一水和物6.72g(0.015mol)をジクロロメタン125mlとトリエチルアミン12.25mlの混合物に加え、得られた濃厚懸濁液を20−25℃の間の温度で1時間撹拌した。懸濁液を炭酸ビス(トリクロロメチル)4.9gのジクロロメタン溶液50mlに−5−(−10)℃の間の温度で、1時間で加えた。得られた反応混合物をジメチルアミン13gの0−(−10)℃に冷却したイソプロピルアルコール(IPA)溶液100ml(40ml,0.12mol)に加え、その間、反応混合物の温度を0℃以下に保った。0−(−5)℃の間の温度で30分撹拌した後、反応混合物に蒸留水100mlを加え、水相のpHを濃塩酸の添加により2−3に調整した。反応混合物を真空下で130mlに濃縮し、ついで、さらに蒸留水70mlを加え、混合物を170mlに濃縮した。懸濁液を20−25℃で1時間撹拌し、得られた生成物をろ過により単離した。
【0049】
このようにして標記化合物6.7gを得た。
収率:96%
融点:221−224℃
【0050】
〔実施例6〕
1−トランス−{4−[2−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル]−シクロヘキシル}−カルバミド
式(III)の化合物の二塩酸6.45g(0.015mol)をジクロロメタン160mlとトリエチルアミン12.8mlの混合物に加え、得られた濃厚懸濁液を20−25℃の間の温度で1時間撹拌した。懸濁液を炭酸ビス(トリクロロメチル)4.9gのジクロロメタン溶液75mlに−5−(−10)℃の間の温度で、1時間で加えた。得られた反応混合物をアンモニアの0−(−10)℃に冷却したメタノール溶液(110ml、17g/100ml)に加え、その間、反応混合物の温度を0℃以下に保った。0−(−5)℃の間の温度で30分撹拌した後、反応混合物を真空下で100mlに濃縮し、ついで蒸留水800mlを加えた。懸濁液を20−25℃で1時間撹拌し、得られた生成物をろ過により単離した。
【0051】
このようにして標記化合物5.6gを得た。
収率:94%
融点:221−224℃
【0052】
〔実施例7〕
塩酸トランスN−{4−{2−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−シクロヘキシル}−N′−メチルカルバミド
式(III)の化合物の二塩酸6.45g(0.015mol)をジクロロメタン125mlとトリエチルアミン12.25mlの混合物に加え、得られた濃厚懸濁液を20−25℃の間の温度で1時間撹拌した。懸濁液を炭酸ビス(トリクロロメチル)4.9gのジクロロメタン溶液50mlに−5−(−10)℃の間の温度で、1時間で加えた。得られた反応混合物をメチルアミンの0−(−10)℃に冷却したイソプロピルアルコール(IPA)溶液(60ml,12.5g/100ml)に加え、その間、反応混合物の温度を0℃以下に保った。0−(−5)℃の間の温度で30分撹拌した後、反応混合物に蒸留水130mlを加え、ついで水相のpHを濃塩酸の添加により2−3に調整した。反応混合物を真空下で120mlに濃縮し、さらに蒸留水70mlを加えた。懸濁液を20−25℃で1時間撹拌し、得られた生成物をろ過により単離した。
【0053】
このようにして標記化合物6.6gを得た。
収率:95%
融点:230−255℃
【0054】
〔実施例8〕
塩酸トランスN−{4−{2−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−シクロヘキシルカルバミド
式(III)の化合物の二塩酸6.45g(0.015mol)をジクロロメタン160mlとトリエチルアミン12.8mlの混合物に加え、得られた濃厚懸濁液を20−25℃の間の温度で1時間撹拌した。懸濁液を炭酸ビス(トリクロロメチル)4.9gのジクロロメタン溶液75mlに−5−(−10)℃の間の温度で、1時間で加えた。得られた反応混合物をアンモニアの0−(−10)℃に冷却したメタノール溶液(110ml、17g/100ml)に加え、その間、反応混合物の温度を0℃以下に保った。0−10℃で30分撹拌した後、反応混合物を真空下で20mlに濃縮し、ついで蒸留水140mlを加えた。水相のpHを濃塩酸の添加により2−3に調整した。懸濁液を20−25℃で1時間撹拌し、得られた生成物をろ過により単離した。
【0055】
このようにして標記化合物5.86gを得た。
収率:90%
融点:250−253℃(分解)
【0056】
〔実施例9〕
トランスN−{4−{2−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−シクロヘキシル}−モルホリン−4−炭酸アミド
式(III)の化合物の二塩酸6.45g(0.015mol)をジクロロメタン125mlとトリエチルアミン12.25mlの混合物に加え、得られた濃厚懸濁液を20−25℃の間の温度で1時間撹拌した。懸濁液を炭酸ビス(トリクロロメチル)4.9gのジクロロメタン溶液50mlに−5−(−10)℃の間の温度で、1時間で加えた。そのようにして得られた反応混合物をモルホリン10.44g(0.12mol)の0−(−10)℃に冷却したイソプロピルアルコール(IPA)溶液70mlに加え、その間、反応混合物の温度を0℃以下に保った。0−10℃で30分撹拌した後、反応混合物に撹拌下で蒸留水100mlを加え、水相のpHを濃塩酸の添加により7−8に調整した。反応混合物を真空下で130mlに濃縮し、さらに蒸留水100mlを加えた。反応混合物の容積を真空で150mlに減じた。懸濁液を20−25℃で1時間撹拌し、得られた生成物をろ過により単離した。
【0057】
このようにして標記化合物6.55gを得た。
収率:93%
融点:204−206℃(分解)
【0058】
〔実施例10〕
塩酸トランスN−{4−{2−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−シクロヘキシル}−モルホリン−4−炭酸アミド
式(III)の化合物の二塩酸6.45g(0.015mol)をジクロロメタン125mlとトリエチルアミン12.25mlの混合物に加え、得られた濃厚懸濁液を20−25℃の間の温度で1時間撹拌した。懸濁液を炭酸ビス(トリクロロメチル)4.9gのジクロロメタン溶液50mlに−5−(−10)℃の間の温度で、1時間で加えた。得られた反応混合物をモルホリン10.44g(0.12mol)の0−(−10)℃に冷却したイソプロピルアルコール(IPA)溶液70mlに加え、その間、反応混合物の温度を0℃以下に保った。0−10℃で30分撹拌した後、反応混合物に撹拌下で蒸留水100mlを加え、ついで水相のpHを2−3に調整した。反応混合物を真空下で130mlに濃縮し、さらに蒸留水100mlを加えた。ついで反応混合物の容積を真空下で150mlに減じた。懸濁液を20−25℃で1時間撹拌し、得られた生成物をろ過により単離した。
【0059】
このようにして標記化合物7.1gを得た。
収率:94%
融点:197℃(分解)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
およびRが独立に、
‐ 水素または
‐ 任意にアリール基で置換された直鎖または分岐したC1−6アルキル、または
‐ 1−3個の二重結合を含むC2−7のアルケニル、または
‐ 任意に1つまたはそれ以上のC1−6アルコキシ、トリフルオロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルカノイル、アリール、C1−6アルキルチオ、ハロゲン、またはシアノ基で置換された単環、二環または三環アリール基、または
‐ 任意に置換された単環、二環または三環C3−14シクロアルキル基、または
‐ RおよびRは隣接の窒素原子とともに、飽和または不飽和の任意に置換された、酸素、窒素または硫黄原子から選ばれるさらなるヘテロ原子を含んでもよい、単環または二環の複素環を形成してもよい
を表す一般式(I)の化合物およびその塩酸塩および/または水和物および/または溶媒和物を調製するためのプロセスで、
【化1】

式(III)のトランス−{4−{2−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−シクロヘキシルアミン
【化2】

またはその塩または水和物または溶媒和物を不活性溶媒中に塩基の存在下で溶解または懸濁し、ついでRがC1−6の直鎖または分岐アルキルまたはすべてハロゲン化されたC1−2アルキル、ZがRは上述の通りでXはハロゲンである−O−Rまたは−Xである一般式(VI)の炭酸誘導体を加え、
【化3】

得られたRが上述の通りである一般式(IV)の化合物を
【化4】

インサイツまたは、任意に単離された状態でRおよびRが上述の通りである一般式(V)のアミンと
【化5】

一般式(I)の化合物を得るために反応させ、ついで任意にその塩酸塩および/または水和物および/または溶媒和物を形成することを特徴とするプロセス。
【請求項2】
一般式(VI)の炭酸誘導体がクロロギ酸エステルまたは炭酸ビス(トリクロロメチル)であることを特徴とする請求項1によるプロセス。
【請求項3】
一般式(IV)と(V)の化合物の反応が一般式(IV)の化合物を単離せずにインサイツで行われることを特徴とする請求項1によるプロセス。

【公表番号】特表2012−512861(P2012−512861A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541614(P2011−541614)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/HU2009/000109
【国際公開番号】WO2010/070370
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(591180314)リヒター ゲデオン ニルバーノシャン ミーケデーレスベニュタールシャシャーグ (33)