説明

ピラゾールの調製方法

本発明は、式I(式中、Hal及びHal’は、独立して、Cl又はFであり、そしてR1は、H、Cl又はFである)の化合物を製造するための新規な方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌剤の製造における中間体として有用な、3−ハロメチル−1−メチル−1H−ピラゾールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸及び3−トリフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸は、例えば、国際公開第03/070705号パンフレット及び同第03/074491号パンフレットに記載されるように、ピラゾリルカルボキシアニリド(carboxanilide)殺菌剤の調製時に有用な中間体である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、経済的に有利且つ簡易に取り扱える様式において、高収率及び高品質において、高い位置選択性(ピラゾール環の2つの窒素原子に関して)を有する3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸及び3−トリフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸を調製することができる、当該酸の合成における鍵となる中間体の新規な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様に従うと、本発明は、次の式(I):
【化1】

(式中、Hal及びHal’は、独立して、Cl又はFであり、そしてR1は、H、Cl又はFである)
の化合物の調製方法に関し、
当該方法は、次の各ステップを含む;
i)次の式(II):
【化2】

(式中、Hal、Hal’及びR1は上述の通りであり、そしてLGは離脱基である)
の化合物を、次の式(III):
【化3】

(式中、R2は、C1〜6のアルキルである)
のエノールエーテルと反応させ、次の式(IV)の化合物:
【化4】

(式中、Hal、Hal’及びR1は上述の通りである)
を得るステップ:そして
ii)式(IV)の化合物を、メチルヒドラジンと反応させ、式(I)のピラゾールを得るステップ。
【0005】
第2の態様に従うと、本発明は、次の式(VI):
【化5】

(式中、Hal、Hal’及びR1は上述の通りであり、そしてR3は、H及びC1〜6のアルキルから選択される)
の化合物の調製方法を提供し、
当該方法は、次の式(XXIII):
【化6】

(式中、Hal、Hal’及びR1は上述の通りである)
のヒドラジドを、次の式(XXIV):
【化7】

(式中、R3は、上述の通りである)
のアルキルプロパルギレートと反応させるステップ:
を含む。
【0006】
第3の態様に従うと、本発明は、次の式(VI):
【化8】

(式中、Hal、Hal’及びR1は上述の通りであり、そしてR3は、H及びC1〜6のアルキルから選択される)
の化合物の調製方法を提供し、
当該方法は、次の式(XXV):
【化9】

(式中、Hal、Hal’、R1及びR3は、上述の通りである)
の化合物を、クロラミンと反応させるステップを含む。
【0007】
第4の態様に従うと、本発明は、次の式(X):
【化10】

の化合物に関する。
【0008】
第5の態様に従うと、本発明は、次の式(VIII):
【化11】

の化合物に関する。
【0009】
第6の態様に従うと、本発明は、次の式(VII):
【化12】

の化合物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1の実施形態に従う反応のステップi)では、式(II)の化合物が、式(III)のエノールエーテルと反応して、式(IV)の4−アルコキシ−3−エン−2−オン(スキーム1)を得る。
【化13】

【0011】
本明細書において、用語「離脱基」は、エノールエーテル(III)により置換され、化合物(IV)に存在する炭素−炭素結合を生成することができる部分を指す。好ましい離脱基は、ハロゲンである。さらに好ましい離脱基は、塩素である。
好ましくは、R2はエチルである。
化合物(II)の、エノールエーテル(III)との反応を、好適な溶媒中で行うことができる。あるいは、そして好ましくは、上記反応は、溶媒を除外して行われる。
【0012】
好ましい溶媒は、トルエン、ヘキサン、ジクロロメタン及びジエチルエーテルである。
好ましくは、上記反応は、不活性雰囲気下で実施される。さらに好ましくは、上記反応は、窒素雰囲気下で実施される。好ましくは、上記反応は、揮発性副産物を除去するのを手助けするために、パージを伴い実施される。
実施形態の一つでは、上記反応は、塩基の存在下で行われる。好ましい塩基は、ピリジン、アルキルピリジン又はトリアルキルアミンである。しかし、上記反応は、塩基を除いて行われることが好ましい。
【0013】
好ましくは、エノールエーテル(III)は、化合物(II)に対して過剰量で存在する。さらに好ましくは、上記エノールエーテルは、モルベースに基づいて、化合物(II)の量に対して、1.1〜10当量の量で存在する。さらに好ましくは、上記エノールエーテルは、モルベースに基づいて、化合物(II)の量に対して、1.2〜5当量の量で存在する。さらに好ましくは、上記エノールエーテルは、モルベースに基づいて、化合物(II)の量に対して、1.5〜2.5当量の量で存在する。さらに好ましくは、上記エノールエーテルは、モルベースに基づいて、化合物(II)の量に対して、約2当量の量で存在する。
【0014】
好ましくは、エノールエーテル(III)を、化合物(II)に添加する。さらに好ましくは、エノールエーテル(III)を、少なくとも1時間にわたり、化合物(II)に添加する。さらに好ましくは、エノールエーテル(III)を、少なくとも4時間にわたり、化合物(II)に添加する。さらに好ましくは、エノールエーテル(III)を、約8時間にわたり、化合物(II)に添加する。
好ましくは、上記反応は、エノールエーテル(III)を、化合物(II)に添加する際に、冷却される。好ましくは、上記反応は、エノールエーテル(III)を、化合物(II)に添加する際、−20〜−40℃に冷却される。
【0015】
エノールエーテル(III)を、化合物(II)に添加した後で、上記反応を続けることができる。当業者は、上記反応の過程をモニターすることが有用であり得ることを知っているであろう。好適な技法は、Experimental Organic Chemistry standard and microscale(2nd Edition),L.M.Harwood,C.J.Moody及びJ.M.Percy,Blackwell Scientific,1999に掲示され、そして、例えば、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む。
【0016】
好ましくは、上記反応を、少なくとも1時間続けることができる。さらに好ましくは、上記反応を、少なくとも6時間続けることができる。さらに好ましくは、上記反応を、少なくとも8時間続けることができる。
当業者は、単離を意図する場合、式(IV)の4−アルコキシ−3−エン−2−オンを単離するために、上記反応混合物の詳細な調査が必要であるか、又は望ましい場合があることを知っているであろう。好適な詳細な調査の手順は、例えば、Experimental Organic Chemistry standard and microscale(2nd Edition),L.M.Harwood,C.J.Moody,and J.M.Percy,Blackwell Scientific,1999に記載されている。
【0017】
当業者はまた、式(IV)の4−アルコキシ−3−エン−2−オンを精製するために好適な精製技法を知っているであろう。好適な技法には、再結晶化、蒸留、及びクロマトグラフィーが含まれる。
しかし、本発明のいくつかの実施形態では、(IV)の精製は不必要であり、そして未精製の(IV)を、次のステップに直接用いることができる。
【0018】
本発明の第1の実施形態に従う反応のステップii)では、式(IV)の4−アルコキシ−3−エン−2−オンが、メチルヒドラジンと反応して、3−ハロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール(I)を得る(スキーム2)。
【0019】
【化14】

【0020】
化合物(IV)の、メチルヒドラジンとの反応は、好ましくは、好適な溶媒中で行われる。あるいは、上記反応は、溶媒を除いて、行われる。
好ましい溶媒は、キシレン、トルエン、メシチレン、tert−ブチルベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル及びヘキサンである。さらに好ましい溶媒は、テトラヒドロフランである。
【0021】
好ましくは、メチルヒドラジンは、式(IV)の4−アルコキシ−3−エン−2−オンの量に対して、0.7〜1.3当量の量で用いられる。
好ましくは、上記メチルヒドラジンは、式(IV)の4−アルコキシ−3−エン−2−オンに添加される。好ましくは、上記メチルヒドラジン及び式(IV)の4−アルコキシ−3−エン−2−オンの両方が、溶媒に溶解される。添加は、好ましくは5分〜10時間、さらに好ましくは約5時間を超えた一定時間にわたって行われる。
【0022】
上記反応は、好ましくは0〜50℃で、さらに好ましくは35〜45℃で保持される。
当業者は、上記反応の過程をモニターするのが有利である場合があることを知っているであろう。好適な技法は、Experimental Organic Chemistry standard and microscale(2nd Edition),L.M.Harwood,C.J.Moody及びJ.M.Percy,Blackwell Scientific,1999に掲示され、そして、例えば、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む。
当業者は、単離を意図する場合、ピラゾール(I)を単離するために、上記反応混合物の詳細な調査が必要であるか、又は望ましい場合があることを知っているであろう。好適な詳細な調査の手順は、例えば、Experimental Organic Chemistry standard and microscale(2nd Edition),L.M.Harwood,C.J.Moody,and J.M.Percy,Blackwell Scientific,1999に記載されている。
【0023】
当業者はまた、ピラゾール(I)を精製するために好適な精製技法を知っているであろう。好適な技法には、再結晶化、蒸留、及びクロマトグラフィーが含まれる。
しかし、本発明のいくつかの実施形態では、(I)の精製は不必要であり、そして未精製の(I)を、次のステップに直接用いることができる。
【0024】
[ハロゲン化]
実施形態の1つに従って、ピラゾール(I)は、ハロゲン化ステップを受け、ピラゾール(I)を、式(V)の4−ハロピラゾールに転化させる(スキーム3)。
【化15】

(式中、Xは、ハロゲンである)。
【0025】
多くの好適な反応条件が、芳香族化合物のハロゲン化に関して存在する。好適な方法は、例えば、Advanced Organic Chemistry,J.March,John Wiley and Sons,1992,pages 531−534に開示されている。
好ましくは、上記ハロゲン化反応は、溶媒中で実施される。好ましい溶媒は、四塩化炭素である。
【0026】
好ましくは、上記反応は、不活性雰囲気下で実施される。さらに好ましくは、上記反応は、窒素雰囲気下で実施される。好ましくは、上記反応は、揮発性副産物の除去を手助けするために、パージを伴って実施される。
好ましくは、Xは、Brである。この実施形態では、好ましいハロゲン化剤は、元素の臭素(Br2)、N−ブロモスクシンイミド及び1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインである。さらに好ましくは、上記ハロゲン化剤は、鉄化合物、好ましくは、鉄粉末の存在下における、Br2である。
【0027】
好ましくは、上記ハロゲン化剤は、ピラゾール(I)に対して過剰量で用いられる。さらに好ましくは、上記ハロゲン化剤は、モルベースに基づいて、ピラゾール(I)に対して1.5〜5当量の量で用いられる。
好ましくは、上記反応を、少なくとも1時間続ける。さらに好ましくは、上記反応を、1〜48時間続ける。さらに好ましくは、上記反応を、1〜5時間続ける。
【0028】
当業者は、上記反応の過程をモニターするのが有利である場合があることを知っているであろう。好適な技法は、Experimental Organic Chemistry standard and microscale(2nd Edition),L.M.Harwood,C.J.Moody及びJ.M.Percy,Blackwell Scientific,1999に掲示され、そして、例えば、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む。
【0029】
当業者は、単離を意図する場合、4−ハロピラゾール(V)を単離するために、上記反応混合物の詳細な調査が必要であるか、又は望ましい場合があることを知っているであろう。好適な詳細な調査の手順は、例えば、Experimental Organic Chemistry standard and microscale(2nd Edition),L.M.Harwood,C.J.Moody,and J.M.Percy,Blackwell Scientific,1999に記載されている。
【0030】
当業者はまた、4−ハロピラゾール(V)を精製するために好適な精製技法を知っているであろう。好適な技法には、再結晶化、蒸留、及びクロマトグラフィーが含まれる。
しかし、本発明のいくつかの実施形態では、(V)の精製は不必要であり、そして未精製の(V)を、次のステップに直接用いることができる。
【0031】
[カルボニル化]
実施形態の1つに従って、4−ハロピラゾール(V)は、カルボニル化ステップを受け、式(VI)の4−カルボキシピラゾールに転化する(スキーム4)。
【化16】

(式中、R3は、H又はC1〜6アルキルである)。
【0032】
好ましくは、R3は、エチル又はHである。試薬R3OHは、モルベースに基づいて、4−ハロピラゾール(V)に対して過剰量で、好ましくは、(V)の量に対して100〜150当量の量で存在することが好ましい。
一酸化炭素は、(V)の量に対して、過剰量で用いられることが好ましい。
【0033】
好ましくは、上記反応は、パラジウム触媒の存在下で行われる。上記パラジウム触媒は、好ましくはパラジウム(II)又はパラジウム(0)触媒である。好ましい触媒は、トリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)である。好ましい触媒は、トリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリドである。上記パラジウム触媒は、4−ハロピラゾール(V)の量に対して、好ましくは0.01〜0.5当量、さらに好ましくは0.1〜0.3当量の量において用いられる。
【0034】
好ましくは、追加のトリフェニルホスフィンを、上記反応物に、好ましくは0.5〜0.7当量の量において添加する。
上記反応を、好ましくは50〜200℃の温度で、さらに好ましくは100〜150℃の温度で実施する。
【0035】
上記反応は、好ましくは、塩基の存在下で実施される。好ましい塩基は、窒素含有有機塩基、好ましくは第3級アミン、さらに好ましくはトリアルキルアミン、好ましくはトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基(Hunig’s base)、又はトリ−n−ブチルアミンである。別の好ましい塩基は、N,N−ジメチルアニリン又はN−メチルモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、アルカリ金属又はアルカリ土類金属アルコラート、好ましくはリチウム、ナトリウム又はカリウムアルコラート、好ましくはメタノラート(methanolate)、エタノラート(ethanolate)又はブタノラート(butanolate)、又は無機塩基、好ましくはヒドロキシド、さらに好ましくはNaOH又はKOH、あるいはヒドリド、好ましくはNaHである。
【0036】
非常に好ましい塩基は、第3級アミン、好ましくはトリアルキルアミン、さらに好ましくはトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)、又はトリ−n−ブチルアミンである。トリエチルアミンは、非常に好ましい。
その反応のための塩基の好適な量は、例えば、1〜10当量、特に4〜6当量である。
上記反応時間は、一般的に1〜48時間、好ましくは1〜36時間、さらに好ましくは1〜18時間である。
【0037】
本発明に従う反応は、高い圧力、好ましくは1〜20バール、さらに好ましくは10〜15バールで実施されるのが典型的である。
当業者は、上記反応の過程をモニターするのが有利である場合があることを知っているであろう。好適な技法は、Experimental Organic Chemistry standard and microscale(2nd Edition),L.M.Harwood,C.J.Moody及びJ.M.Percy,Blackwell Scientific,1999に掲示され、そして、例えば、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む。
【0038】
当業者は、単離を意図する場合、4−カルボキシピラゾール(VI)を単離するために、上記反応混合物の詳細な調査が必要であるか、又は望ましい場合があることを知っているであろう。好適な詳細な調査の手順は、例えば、Experimental Organic Chemistry standard and microscale(2nd Edition),L.M.Harwood,C.J.Moody,and J.M.Percy,Blackwell Scientific,1999に記載されている。
【0039】
当業者はまた、4−カルボキシピラゾール(VI)を精製するために好適な精製技法を知っているであろう。好適な技法には、再結晶化、蒸留、及びクロマトグラフィーが含まれる。
しかし、本発明のいくつかの実施形態では、(VI)の精製は不必要であり、そして未精製の(VI)を、次のステップに直接用いることができる。
【0040】
[加水分解]
4−カルボキシピラゾール(VI)において、R3が水素以外である本発明の実施形態では、所望によるさらなるステップは、基R3を、化合物(VI)(式中、R3は水素である)、又はその塩形態に加水分解することを含む(スキーム5)。
【0041】
【化17】

(式中、R3は、C1〜6アルキルである)
【0042】
当業者は、エステルを、カルボン酸に加水分解するための、複数の好適な方法を知っているであろう。いくつかの例示的な条件が、Advanced Organic Chemistry,J.March,John Wiley and Sons,1992,pages 378−383に列挙されている。
加水分解を、酸又は塩基性条件のどちらかの下で実施することができる。塩基性条件が用いられる場合、一般的に、4−カルボキシピラゾール(VI)の塩形態が得られる。塩を遊離酸に転換するための酸性化のさらなるステップを、用いることができる。
【0043】
加水分解反応のための好ましい塩基は、金属水酸化物及び炭酸金属である。さらに好ましい塩基は、アルカリ金属水酸化物である。さらに好ましいのは、ナトリウム、カリウム及び水酸化リチウムである。最も好ましいのは、水酸化ナトリウムである。
好ましくは、上記塩基は、4−カルボキシピラゾール(VI)に対して、過剰量において用いられる。さらに好ましくは、1〜5当量の塩基が用いられる。さらに好ましくは、1〜3当量の塩基が用いられる。
【0044】
好適には、水が、過剰量で存在する。好ましくは、共溶媒が存在する。好ましい共溶媒は、エタノールである。
加水分解は、好ましくは0〜200℃、さらに好ましくは50〜150℃で行われる。
【0045】
加水分解が完了した後、酸で処理することにより、遊離酸(VI)を遊離させることができる。好ましい酸は、鉱酸である。さらに好ましくは、塩化水素酸又は硫酸である。最も好ましいのは、塩酸である。
加水分解が酸性条件下で実施される場合、鉱酸又は有機酸を用いることができる。好ましいのは、鉱酸である。さらに好ましいのは、塩化水素酸及び硫酸である。最も好ましいのは、塩酸である。
【0046】
モルベースに基づいて、(VI)の量に対して、好ましくは少なくとも0.01当量、さらに好ましくは0.01〜5当量、らに好ましくは1〜5当量の酸を用いる。
好ましくは、酸加水分解は、40〜100℃の温度で生じる。
【0047】
当業者は、上記反応の過程をモニターするのが有利である場合があることを知っているであろう。好適な技法は、Experimental Organic Chemistry standard and microscale(2nd Edition),L.M.Harwood,C.J.Moody及びJ.M.Percy,Blackwell Scientific,1999に掲示され、そして、例えば、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む。
【0048】
当業者は、単離を意図する場合、4−カルボキシピラゾール(VI)を単離するために、上記反応混合物の詳細な調査が必要であるか、又は望ましい場合があることを知っているであろう。好適な詳細な調査の手順は、例えば、Experimental Organic Chemistry standard and microscale(2nd Edition),L.M.Harwood,C.J.Moody,and J.M.Percy,Blackwell Scientific,1999に記載されている。
【0049】
当業者はまた、4−カルボキシピラゾール(VI)を精製するために好適な精製技法を知っているであろう。好適な技法には、再結晶化、蒸留、及びクロマトグラフィーが含まれる。
【0050】
[ハロゲン交換]
本発明の実施形態の一つでは、反応手順には、ハロゲン交換ステップが含まれる。
用語「ハロゲン交換」は、本明細書において、ハロゲン原子のある元素が、ハロゲン原子の第2の異なる元素で交換される反応を指す。好ましくは、塩素原子が、フッ素原子と交換される。
ハロゲン交換を、上記反応手順の任意の好適なステップにおいて実施することができる。
【0051】
好ましい実施態様では、ハロゲン交換が、3−ジクロロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール(VII)に対して実施され、3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルバルデヒド(VIII)が得られる(スキーム6)。
【0052】
【化18】

【0053】
別の実施形態では、ハロゲン交換が、4−ブロモ−3−ジクロロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール(IX)に対して実施され、4−ブロモ−3−フルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール(X)が得られる(スキーム7)。
【化19】

【0054】
別の実施形態では、ハロゲン交換が、3−ジクロロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキシレート(XI)、又はその塩形態に対して実施され、3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキシレート(XII)が得られる(スキーム8)。
【0055】
【化20】

【0056】
ハロゲン交換は、種々の条件下で実施されうる。好ましくは、ハロゲン交換が、F-イオンの供給源の存在下で実施される。好ましい試薬は、AgF、KF、HgF2、Bu4+HF2-、BrF3、Et3N・2HF、Et3N・3HF及びSbF3を加えたHFである。非常に好ましい試薬は、Et3N・3HFである。
上記ハロゲン交換反応は、溶媒内で所望により実施される。あるいは、そして好ましくは、上記反応を、溶媒を含まない条件下で実施する。
【0057】
好ましくは、上記反応を、0〜250℃で保持する。さらに好ましくは、上記反応を、50〜200℃で保持する。さらに好ましくは、上記反応を、125〜175℃で保持する。最も好ましくは、上記反応を、約150℃で保持する。
さらに、当業者は、上記ハロゲン交換反応が完了したことを判断するために、上記ハロゲン交換反応の過程をモニターするための技法を知っているであろう。これに関して、HPLCが特に有用である。
【0058】
当業者は、単離を意図する場合、ハロゲン交換反応の生成物を単離するために、上記反応混合物の詳細な調査が必要であるか、又は望ましい場合があることを知っているであろう。好適な詳細な調査の手順は、例えば、Experimental Organic Chemistry standard and microscale(2nd Edition),L.M.Harwood,C.J.Moody,and J.M.Percy,Blackwell Scientific,1999に記載されている。
当業者はまた、上記反応生成物を精製するために好適な精製技法を知っているであろう。好適な技法には、再結晶化、蒸留、及びクロマトグラフィーが含まれる。
【0059】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態では、ヒドラジド(XXIII)が、プロパルギレート(XXIV)と反応して、4−カルボキシピラゾール(VI)が得られる(スキーム9)。
【化21】

【0060】
好ましくは、上記反応は、溶媒内で行われる。ジメチルホルムアミドが好ましい。
好ましくは、上記反応は、酸触媒作用の下で実施される。p−トルエンスルホン酸が好ましい。
4−カルボキシピラゾール(VI)を、上述のように、遊離酸又はその塩形態に加水分解することができる。
【0061】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態では、エナミン(XXV)が、クロラミンと反応して、4−カルボキシピラゾール(VI)が得られる(スキーム10)。
【化22】

【0062】
好ましくは、クロラミンとの反応の前に、エナミン(XXV)が、塩基と反応する。好ましい塩基は、水素化ナトリウムである。
好ましくは、上記反応は、溶媒内で行われる。好ましい溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、及びそれらのその混合物である。
4−カルボキシピラゾール(VI)を、上述のように、遊離酸又はその塩形態に加水分解することができる。
【0063】
[好ましい実施形態]
好ましい実施態様では、Hal、Hal’及びR1が、全てフッ素である。
別の好ましい実施形態では、Hal及びHal’がフッ素であり、そしてR1が水素である。
別の好ましい実施形態では、Hal及びHal’が両方とも塩素であり、そしてR1が水素である。
【0064】
好ましい実施態様では、本発明は、次の式(XIII):
【化23】

の化合物の製造のための方法に関し、当該方法は、
b1)次の式(XIV):
【化24】

の化合物(ジクロロアセチルクロリド)を、次の式(III):
【化25】

(式中、R1はC1〜C6アルキルである)と反応させ、次の式(XV):
【化26】

(式中、R1は上述の通りである)
の化合物を生成するステップ;
b2)メチルヒドラジンを用いて、その化合物を、次の式(VII):
【化27】

の化合物(3−ジクロロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール)に転換するステップ;
b3)フッ素化剤を用いて、その化合物を、次の式(VIII):
【化28】

の化合物(3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール)にフッ素化するステップ;
b4)臭素化剤を用いて、その化合物を、次の式(X):
【化29】

の化合物(4−ブロモ−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール)に臭素化するステップ;
b5)パラジウム触媒の存在下で、一酸化炭素及びC1〜C6アルカノールを用いて、その化合物を、次の式(XII):
【化30】

(式中、R2は、C1〜C6アルキルである)
の化合物に転換するステップ;そして
b6)下記により、その化合物をけん化し、式(XIII)の化合物を生成するステップ;
b6.1)塩基の存在下で、水酸化物塩基又は水を添加して、式(XIII)の化合物のアニオンを形成し、次いで、酸を添加して式(XIII)の化合物を生成させること;又は
b6.2)酸の存在下で水を添加し、式(XIII)の化合物を生成させること。
【0065】
[工程ステップb1)]
工程ステップb1)では、式(III)の単一化合物、例えば、R1がエチルである式(III)の化合物、又はそれらの混合物を用いることができる。上記混合物の例は、R1がエチルである式(III)の化合物と混合された、R1がメチルである式(III)の化合物である。好ましい式(III)の化合物では、R1がエチルである。
【0066】
本発明に従う反応は、好ましくは−40℃〜0℃、特に−40℃〜−20℃の温度範囲において実施される。
上記反応は、塩基の存在下、又は塩基の不存在下で実施されうる。好ましい塩基には、ピリジン、アルキルピリジン又はトリアルキルアミンが含まれる。
上記反応を、溶媒を用いず、又は不活性溶媒中で実施することができる。好ましい不活性溶媒は、例えば、トルエン、ヘキサン、ジクロロメタン又はジエチルエーテルである。好ましくは、上記反応は、溶媒なしで実施される。
本発明に従う反応では、式(III)の化合物、例えばエチレノール(ethylenol)エーテルを、式(XIV)の化合物に対して、等モル量において、等モル量以下において、又は過剰量において用いることができ、好ましくは、式(III)の化合物は、過剰量において用いられ、さらに好ましくは1.5倍〜3倍過剰量において用いられる。
【0067】
本発明に従う反応を、乾燥した不活性ガス雰囲気において実施することができる。例えば、窒素を、不活性ガスとして用いることができる。
上記反応時間は、概して1〜48時間、好ましくは1〜18時間である。
本発明に従う反応を、通常の圧力、高い圧力、又は減圧において実施することができる。本発明の実施形態の一つでは、上記反応は、通常の圧力において実施される。
【0068】
[工程ステップb2)]
本発明に従う反応は、好ましくは0℃〜50℃、特に10℃〜25℃の温度範囲において実施される。
上記反応は、好都合には、不活性溶媒中で実施される。好ましい不活性溶媒は、例えば、キシレン、トルエン、メシチレン、tert−ブチルベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル及びヘキサン、好ましくはテトラヒドロフランである。
本発明に従う反応では、メチルヒドラジンを、式(XV)の化合物に対して、等モル量において、等モル量以下において、又は過剰量において用いることができ、好ましくは、メチルヒドラジンは、等モル量で用いられる。
【0069】
上記反応時間は、概して1〜48時間、好ましくは1〜18時間、さらに好ましくは1〜5時間である。
本発明に従う反応を、通常の圧力、高い圧力、又は減圧において実施することができる。本発明の実施形態の一つでは、上記反応は、通常の圧力において実施される。
【0070】
[工程ステップb3)]
本発明に従うフッ素化は、好ましくは100℃〜200℃、特に140℃〜160℃の温度範囲において実施される。
好ましいフッ素化剤は、トリス(フッ化水素)−トリエチルアミンである。上記フッ素化剤は、式(VII)の化合物に対して、好ましくは2倍〜5倍過剰量において用いられるのが典型的である。
上記フッ素化は、溶媒なしで、又は不活性溶媒中で実施されうる。好ましい不活性溶媒は、例えば、アセトニトリル、クロロホルム、四塩化炭素及びジクロロメタンである。その後に溶媒として作用する、過剰量のトリス(フッ化水素)−トリエチルアミンを用いることが好ましい。
【0071】
上記反応時間は、概して1〜48時間、好ましくは1〜18時間、さらに好ましくは1〜5時間である。
本発明に従う反応を、通常の圧力、高い圧力、又は減圧において実施することができる。本発明の実施形態の一つでは、上記反応は、高圧で実施される。
【0072】
[工程ステップb4)]
本発明に従う臭素化は、好ましくは0℃〜100℃、好ましくは20℃〜40℃の温度範囲で実施される。
上記反応は、不活性溶媒で好都合に実施される。好ましい不活性溶媒は、例えば、四塩化炭素である。
好ましい臭素化剤は、例えば、鉄触媒の存在下の臭素、N−ブロモスクシンイミド及び1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン;好ましくは鉄触媒の存在下の臭素である。
【0073】
上記臭素化剤が、鉄触媒の存在下の臭素である場合には、上記臭素は、式(VIII)の化合物に対して、過剰量において、好ましくは1.5倍〜5倍過剰量において用いられるのが典型的である;そして上記鉄触媒は、鉄粉末の形態において、そして式(VIII)の化合物に対して、0.1〜1当量、特に0.3〜0.8当量の範囲において用いられるのが典型的である。
上記反応時間は、概して1〜48時間、好ましくは1〜18時間、さらに好ましくは1〜5時間である。
本発明に従う反応を、通常の圧力、高い圧力、又は減圧において実施することができる。本発明の実施形態の一つでは、上記反応は、通常の圧力において実施される。
【0074】
[工程ステップb5)]
工程ステップb5)において、好ましいC1〜C6アルカノールはエタノールであるが、C1〜C6アルカノールの混合物、例えば、メタノール/エタノールの混合物を用いることができる。
本発明に従う反応は、好ましくは50℃〜200℃、特に100℃〜150℃の温度範囲において実施される。
上記反応は、その後に溶媒として作用する、大過剰量、例えば、100倍〜150倍過剰量のC1〜C6アルカノール内で好都合に実施される。典型的には、エタノールが用いられる。
また、典型的には、大過剰量の一酸化炭素が用いられる。
好適なパラジウム触媒は、トリス(トリフェニルホスホニウム)パラジウム(II)クロリドである。上記パラジウム触媒は、式(X)の化合物に対して、概して0.1〜0.5当量、特に0.1〜0.3当量の範囲において用いられる。トリス(トリフェニルホスホニウム)パラジウム(II)クロリドがパラジウム触媒として用いられる場合には、トリフェニルホスフィンはまた、概して、式(X)の化合物に対して、0.5〜0.7当量の量において、上記反応混合物に添加される。
【0075】
上記反応は、好ましくは塩基の存在下で実施される。好適な塩基は、例えば、窒素含有有機塩基、例えば、第3級アミン、例えば、トリアルキルアミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)、又はトリ−n−ブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン又はN−メチルモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、アルカリ金属又はアルカリ土類金属アルコラート、例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウムアルコラート、特にメタノラート、エタノラート又はブタノラート、又は無機塩基、例えば、ヒドロキシド、例えば、NaOH又はKOH、あるいはヒドリド、例えば、NaHである。好ましい塩基は、第3級アミン、例えば、トリアルキルアミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)、又はトリ−n−ブチルアミン、特にトリエチルアミンである。その反応のために好適な塩基の量は、例えば、1〜10当量、特に4〜6当量である。
【0076】
上記反応時間は、概して1〜48時間、好ましくは1〜36時間、さらに好ましくは1〜18時間である。
本発明に従う反応は、概して高圧、例えば、1〜20バール、好ましくは10〜15バールで実施される。
【0077】
[工程ステップb6)]
工程ステップb6)、式(XIII)の化合物を生成するための式(XII)の化合物のけん化は、ステップb6.1)(アルカリ性けん化)又はステップb6.2)(酸性けん化)の下で記載されるように実施されうる。
【0078】
[工程ステップb6.1)]
ステップb6.1)は、下位の2つのステップに分割されうる:i)塩基を添加することによる式(XIII)の化合物(「アニオン」)のアニオンの形成、及びii)酸を後に添加することによる、式(I)の化合物(「遊離酸」)の形成。
【0079】
上記アニオンを生成させるために水酸化物塩基が用いられる場合には、NaOH又はKOH、特にNaOHが好ましい。好適な量の水酸化物塩基は、式(XII)の化合物に対して、例えば、少なくとも1当量、好ましくは1〜5当量、さらに好ましくは1〜3当量である。
上記アニオンを生成させるために、塩基の存在下の水が用いられる場合には、無機塩基、例えば、水酸化物、例えば、LiOH、NaOH又はKOH、あるいは炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウムが好ましい。実施形態の一つでは、式(XII)の化合物に対して、少なくとも1当量の水及び少なくとも1当量の塩基が用いられる。
上記アニオンの形成は、不活性溶媒、例えば、エタノール内で実施されうる。
上記アニオンの形成は、0℃〜200℃の温度範囲で実施されることが好ましい。アニオン形成のための反応時間は、概して1〜48時間、好ましくは1〜18時間である。上記アニオンの形成は、常圧、高圧又は減圧において、好ましくは常圧において実施されうる。
【0080】
上記アニオンの形成の後、酸を添加して、式(XIII)の化合物を生成する。好適な酸は、無機酸、例えば、塩酸若しくは硫酸;又は有機酸、例えば、蟻酸、酢酸又はプロピオン酸である。無機酸が好ましく、そして塩酸が特に好ましい。
本発明の実施形態の一つでは、上記酸を、50℃〜95℃の温度範囲内で実施する。上記遊離酸を生成するための反応時間は、概して1〜48時間、好ましくは1〜18時間である。上記遊離の酸形成を、常圧、高圧又は減圧で、好ましくは常圧で実施することができる。
【0081】
[工程ステップb6.2)]
工程ステップb6.2)では、式(XIII)の化合物(「遊離酸」)が、酸性けん化により直接生成する。ステップb6.2)に用いられる酸は、概して無機酸、例えば、塩酸若しくは硫酸;又は有機酸、例えば、蟻酸、酢酸又はプロピオン酸である。無機酸が好ましく、そして塩酸が特に好ましい。
概して、上記酸の水性溶液が、ステップb6.2)において用いられる。
水の量は、式(XII)の化合物に対して、少なくとも1当量であることが好ましい。
【0082】
酸の量は、式(XII)の化合物に対して、好ましくは少なくとも0.01当量、さらに好ましくは0.01〜5当量、さらにいっそう好ましくは1〜5当量である。
上記遊離酸の形成は、40℃〜100℃の温度範囲内で実施されることが好ましい。上記反応時間は、概して1〜48時間、好ましくは1〜18時間である。上記遊離の酸形成を、常圧、高圧又は減圧で、好ましくは常圧で実施することができる。
【0083】
本発明の第2の実施形態はまた、高収率において、高度の位置選択性を伴い、そして低コストで、式(I)の化合物を製造することができる。
式(X)、(VII)及び(VIII)の化合物は、式(XIII)の化合物の調製のための有用な中間体であり、そして本発明に従う方法のために特に開発された。従って、本発明は、それらの化合物に関する。
【0084】
第2の実施形態のさらなる態様は、次の5つの個々の方法である:
1) b1)式(XIV)の化合物を、式(III)の化合物と反応させ、式(XV)の化合物を生成することを含む、式(XII)の化合物の製造方法;
2) b2)メチルヒドラジンを用いて、式(XV)の化合物を、式(VII)の化合物に転化させることを含む、式(VII)の化合物の製造方法;
3) b3)フッ素化剤を用いて、式(VII)の化合物を、式(VIII)の化合物にフッ素化することを含む、式(VIII)の化合物の製造方法;
4) b4)鉄触媒の存在下の臭素を用いて、式(VIII)の化合物を、式(X)の化合物に臭素化することを含む、式(X)の化合物の製造方法:
5) b5)パラジウム触媒の存在下で、一酸化炭素及びC1〜C6アルカノールを用いて、式(X)の化合物を、式(XII)の化合物に転化することを含む、式(XII)の化合物の製造方法。
【0085】
上述の5態様全てにおいて、工程ステップ、例えば、ステップb1)、b2)、b3)、b4)及びb5)は、上述のように実施される。
便宜上、上述の反応及びさらなる反応、続く記載を、次のスキーム9に要約する。スキーム1では、R1及びR2が、C1〜C6アルキルを表わし、そしてTREAT HFは、トリス(フッ化水素)−トリエチルアミンを意味する。
【0086】
【化31】

【0087】
上述のように、本発明は、別個の実施形態において、下記;
(1)(XIV)から(XV)の形成;
(2)(XV)から(VII)の形成;
(3)(VII)から(VIII)の形成;
(4)(VIII)から(X)の形成;
(5)(X)から(XII)の形成;
(6)(XXII)から(XII)の形成;
(7)(XX)から(XII)の形成:
を含む、次の複数のステップ工程を含む。
【0088】
次の非限定的な例は、さらに詳細に本発明を説明する。次の全ての%値は、別に注釈がない限り、(w/w)値である。
【実施例】
【0089】
[例1:1,1−ジクロロ−4−エトキシブタ−3−エン−2−オン(XVI)の調製]
【化32】

【0090】
ジクロロアセチルクロリド(114.9g、式(XIV)の化合物)を、窒素供給路、シリンジ供給路、温度計及びPTFEがコーティングされた磁気スターラーを備える、清浄/オーブン乾燥した250mLの3首フラスコに充填した。上記反応器を、冷却されたフィンガーコンデンサー及び続く水冷却器を経由して通気させた。苛性アルカリスクラバーを、水冷却器系から通気口に接続した。撹拌を、ドライコールド(drykold)アセトン浴を備える磁気スターラー/ホットプレートにより提供した。上記冷却されたフィンガーコンデンサーを、同一の冷却された混合物で満たした。上記反応器内容物を混合し、そして上記反応器に供給される、穏やかな窒素パージと共に、<−40℃に冷却した。エチレノールエーテル(113.0g)を、終始−20〜−40℃で保持しながら、約8時間にわたり、上記反応器に充填した。次いで、上記反応混合物を一晩中混合し、室温まで自己発熱させた。
【0091】
次の日、上記反応塊は黒く、そして以前よりも粘調であった。上記反応塊を、GC/GCMSにより分析し、そして有効に完了していることが示された。次いで、上記反応器内容物を、窒素下で混合しつつ、試料を、Kugelrohr蒸留用に取り出した。全質量164.4gの黒い液体を得た。生成物(式(IX)の化合物)に関する、この段階の収率の見積もりは、48%(GC面積%分析に基づく)であり、脱塩化水素されていない現在の塩素化中間体から、さらなる15%の可能性を有する。何回かの蒸留を実施し、約97%のGC面積%の濃度を有する、最大63%の回収率の生成物を得た。主分画を137.5℃及び8ミリバールで得た。生成物を、GC、GCMS及びNMR(1H)により分析した。
【0092】
GCMS:35,43,48,53,61,71,76,83,91,99,109,119,182(M+
1H NMR(CDCl3):1.40(t,3H,CH3CH2O−),4.08(q,2H,CH3CH2O−),5.83(s,1H,CHCl2−),6.01(d,1H,−CO−CH=CH),7.80(d,1H,−CH=CH−O−)
【0093】
[例2:3−ジクロロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール(VII)の調製]
【化33】

【0094】
1,1−ジクロロ−4−エトキシ−ブタ−3−エン−2−オン(0.99g、式(XVI)の化合物)を、温度計、冷却器及びシリンジ供給路系を備える、清浄/乾燥の50mL3首フラスコ内で、テトラヒドロフラン(12.5mL)に溶解させた。上記冷却器の頂部が、穏やかな流れの窒素を用いて、背圧を制御された。上記反応器内容物を混合し、そして40℃に加熱し、次いでN−メチルヒドラジン(0.26g)を、テトラヒドロフラン(25mL)に溶解し、そして得られた溶液のシリンジポンプを、5時間にわたり上記反応器に供給した。上記反応混合物を、窒素下で一晩中撹拌し、完了させた。上記混合物を、この時間にわたり、自冷させた。イエロー/オレンジ溶液を得た。
【0095】
生成物溶液を減圧下で濃縮し、そして得られたオイルを、ジクロロメタン中に採取した。次いで、生成物溶液を水で洗浄し、分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、そしてさらに減圧下で濃縮し、レッドオイル状の生成物を得た(0.7g,収率約83%)。上記反応を、終始ガスクロマトグラフィーで追従して、上記反応の進行度を評価した。この所望の生成物(式(VII)の化合物)の、その異性体からの蒸留及び分離が可能である−Kugelrohrを用いた蒸留により、異性体の分離が可能である−目標の1,3−異性体を77℃及び3ミリバールで主に得た。望ましくない1,5−異性体を、89℃及び4ミリバールで得た。生成物を、GC、GCMS及びNMR(1H)により分析した。
【0096】
GCMS:35,43,48,53,61,71,76,83,91,99,109,119,182(M+
1H NMR(CDCl3):4.03(s,3H,CH3N),6.82(s,1H,CHCl2),6.41(d,1H,N−CH=CH−),7.39(d,1H,N−CH=CH−)
上記異性体に関して:
1H NMR(CDCl3):3.88(s,3H,CH3N),6.80(s,1H,CHCl2),6.50(d,1H,N−CH=CH−),7.34(d,1H,N−CH=CH−)
【0097】
[例3:3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール(VIII)の調製]
【化34】

【0098】
15.4g(94ミリモル)の式(VII)の化合物を、清浄な、乾燥した100mLのモネル圧力反応器に充填し、シリンジによる、56g(342ミリモル)のトリス(フッ化水素)−トリエチルアミンが続いた。上記系を密封し、そして混合しながら、内容物を150℃に加熱した。目標温度を達成した後、上記反応塊を、さらに4時間、温度を保持した。次いで、上記反応塊を急冷する前に、外部冷却を、冷却された上記反応器/内容物に適用した。上記反応器内容物(黒い液体)を水(100mL)内に浸漬することにより、急冷した。次いで、急冷された反応塊を、メチル−t−ブチルエーテル(3×25mL)を用いて抽出した。分離した後、有機相を塩性溶液で洗浄し、そして有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、そして減圧下で濃縮して、イエロー/オレンジオイルの状態の式(VIII)の化合物を得た(6.3gm,GC面積%に基づく収率約51%)。生成物を、GC、GCMS及びNMR(1H,13C及び19F)により分析した。
【0099】
GCMS:38,42,51,81,113,117,132(M+
所望の生成物に関して:
1H NMR(CDCl3):3.90(s,3H,CH3N),6.44(d,1H,N−CH=CH),6.68(t,1H,CHF2),7.37(d,1H,N−CH=CH);19F NMR(CDCl3):−111.72(d,CHF2
異性体に関して:
1H NMR(CDCl3):3.97(s,3H,CH3N),6.45(d,1H,N−CH=CH),6.74(t,1H,CHF2),7.44(d,1H,N−CH=CH);19F NMR(CDCl3):−113.11(d,CHF2
【0100】
[例4:4−ブロモ−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール(X)の調製]
【化35】

【0101】
1.7g(30ミリモル)の鉄粉末を、冷却器(苛性アルカリスクラバーに通じる)、温度計及びシリンジポンプ供給路を備える、250mLの3首丸底フラスコ内の、6.1g(57ミリモル)の式(VIII)の化合物に添加した。四塩化炭素(25mL)の第1の充填を、上記フラスコに行い、そして内容物を混合した。臭素(6.8g)を、さらなる四塩化炭素(35mL)に溶解させた。上記冷却器にクーラントを適用し、そして臭素溶液を、1時間にわたり、上記反応器に供給した。上記添加の際、反応の温度が、約29℃に上昇した。GC分析により、上記反応が完了していないことが示された。次いで、四塩化炭素(25mL)内の臭素(8.6g)の第2の充填を、さらに1時間にわたり、上記反応器に行い、そして反応塊を、一晩、静置した。GC分析により、上記反応は完了していないが、高い濃度で、さらなる不純物が生成したことが示された。従って、上記反応塊を、亜硫酸水素ナトリウム溶液(100mL)で処理することにより、急冷した−少々の発熱が、26℃まで生じ、そして系が脱色した。
【0102】
2つの相を分離し、次いで有機相を、さらなる亜硫酸水素ナトリウム溶液(50mL)を用いて洗浄した。有機相を、水性相から分離し、そして硫酸マグネシウム上で乾燥した。蒸留により溶媒を除去して、オレンジオイル(7.5gm,収率約77%,実重量及びGC面積%強度に基づく)を得た。上記オイルを、kugelrohr短経路蒸留系上で、50〜96℃(9〜6ミリバール)で蒸留した。式(X)の化合物を、88〜96℃(7ミリバール)の間に、イエローオイルの状態で得た。蒸留物からの主分画は、5.97g(80%回収率、又は62%、収率による)であった。未精製の生成物及び蒸留された生成物を、GC、GCMS及びNMR(1H及び19F)により分析した。
【0103】
GCMS:42,51,69,80,88,104,118,131,159,191,197,210(M+
1H NMR(CDCl3):3.91(s,3H,CH3N),6.67(t,1H,CHF2),7.44(s,1H,N−CH=C−Br)
19F NMR(CDCl3):−114.41(d,CHF2
【0104】
[例5:3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(XVII)の調製]
【化36】

【0105】
0.43gの4−ブロモ−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール(X)、10gのエタノール、1gのトリエチルアミン、0.11gのトリス(トリフェニルホスホニウム)パラジウム(II)クロリド及び0.12gのトリフェニルホスフィンを、10バールの破裂用ディスク(bursting disc)、温度計及び気体供給路を備える、50mLのガラス製のミニクレーブ(miniclave)反応器に充填した。上記系を、最大7バールで6回、一酸化炭素で事前パージした−各回、ゆっくりと排出し、そして終始撹拌した。最後に、上記反応器を、最大6バールに加圧した。上記系を混合しながら、最大150℃に加熱し、そして必要に応じて排出することにより、6〜7バールで、圧力を保持した。上記混合物の温度及び圧力が安定したら、上記混合物を、これらの条件下で一晩中撹拌した。GC分析により、上記反応が完了していないことが示され、触媒(0.06gのトリス−トリフェニルホスフィンパラジウム(II)クロリド及び0.14gのトリフェニルホスフィン)の第2の充填物を、上記反応器に添加した。反応物を、さらに5時間、150℃で混合し、次いで室温に冷却した。上記生成物を分離しなかったが、HPLC、GC及びGCMSにより参照材料と比較した。上記反応混合物のGC面積%を経由した分析により、60%の転換が示唆された。
【0106】
[例6:3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(XIII)の調製]
【化37】

【0107】
0.31gの4−ブロモ−3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール、0.82gの水、9gのN−メチルピロリジノン、1gのトリエチルアミン、0.06gのトリス(トリフェニルホスホニウム)パラジウム(II)クロリド及び0.12gのトリフェニルホスフィンを、10バールの破裂用ディスク、温度計及び気体供給路を備える、50mLのガラス製のミニクレーブ反応器に充填した。上記系を、最大7バールで6回、一酸化炭素で事前パージした−各回、ゆっくりと排出し、そして終始撹拌した。最後に、上記反応器を、最大6バールに加圧した。上記系を混合しながら、最大150℃に加熱し、そして必要に応じて排出することにより、6〜7バールで、圧力を保持した。上記混合物の温度及び圧力が安定したら、上記混合物を、これらの条件下で一晩中撹拌した。次の日、上記系を冷却し、排気し、そして上記反応器内容物を、ロータリーエバポレータ上で可能な範囲で蒸発させた。
【0108】
得られたオイルを、水性塩基を用いて急冷し、そして3×25mLのエーテルを用いて抽出した。混合されたエーテル抽出物を、塩性溶液を用いて洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして減圧下で乾燥して、レッド/ブラウンのオイル(0.5g)を得た。水性塩基抽出物を酸性化し、そして3×25mLのエーテルを用いて抽出した。当該抽出物を混合し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。誘導体化GC分析により、精密な試験(HPLC分析)により得られた、事実上全ての相に、所望の1,3−ピラゾール異性体(式(XIII)の化合物)が存在することが示された。大部分の生成物、及びその異性体が、初期の塩基洗浄からのエーテル抽出物に存在した。上記生成物を分離しなかったが、HPLC、誘導体化GC及びGCMSにより、参照材料と比較した。
【0109】
[(XIX)、(XX)及び(XVII)を経由した、(XVIII)から(XIII)の調製]
[例C4:(XIX)を経由した、(XVIII)から(XX)の調製]
【化38】

【0110】
ヒドラジン水和物(4.62g)を、3首丸底フラスコに充填した。上記フラスコは、温度計、冷却器及びシリンジ供給路が取り付けられていた。当該系は、窒素パージ/バブラーを用いて、上記冷却器アウトレット上で背圧が制御された。メタノール(75mL)を、上記反応器に充填し、そして混合物を、窒素下で混合した。メチルジフルオロアセテート(10.2g,式(XVIII)の化合物)を、メタノール(17mL)に溶解し、そしてシリンジにより、上記反応器内に、75分にわたり供給した。得られた混合物を、300mLの、Parr製のハステロイ反応器に移動した。ホルムアルデヒド(7.4g)を、上記反応器に充填し、そして当該混合物を、多少の発熱反応を伴って、室温で30分間混合した。1gのPt/Cを添加し、そしてメタノール(20mL)内に添加し、そして当該メタノールで洗浄した。
【0111】
上記Parr製反応器を密封し、窒素で3回パージし、水素で3回パージ(全て、200psiまで)し、次いで、水素を用いて、最大200psiに加圧した。上記反応物を50℃に加熱するために、撹拌及び外部加熱を適用した。上記反応器を、これらの条件下で3時間保持し、次いで冷却した。上記系を、窒素を用いて、200psiまで、3回パージした。当該内容物を取出し、そしてろ過した。溶媒を減圧下で除去し、ろ過し、そして減圧下で濃縮した。式(XX)の化合物を、オレンジオイル(9.1g)の状態で得た。総計40%の異性体収率及び36%の所望の異性体を得た。生成物を、GC、GCMS及びNMR(1H及び19F)により分析した。
【0112】
GCMS:45,51,60,75,79,96,124(M+
所望の生成物に関して:
1H NMR(CDCl3):2.67(s,3H,CH3N),5.95(t,1H,CHF2);
19F NMR(CDCl3):−127.92(d,CHF2
異性体に関して:
1H NMR(CDCl3):2.59(s,3H,CH3N),5.92(t,1H,CHF2);19F NMR(CDCl3):−127.94(d,CHF2
【0113】
[例C5:(XX)から(XVII)の調製]
【化39】

【0114】
25mLの反応管に、磁気スターラー、温度計、冷却器及び窒素雰囲気を取り付けた。ジメチルホルムアミド(10g)、エチルプロパルギレート(0.14g)、式(XX)の化合物(0.24g)及びp−トルエンスルホン酸(0.028g)を、上記反応管に充填した。当該混合物を、50℃で一晩中、80℃で一晩中、次いで110℃で一晩中撹拌し、所望の生成物(式(XVII)の化合物)を得た。
【0115】
MS:42,43,112,132,140,159,176,204(M+
1H NMR(CDCl3):1.35(t,3H,CH3CH2),3.97(s,3H,NCH3),4.32(q,2H,CH3CH2O),7.25(t,1H,CHF2),7.90(S,1H,ArH)
式(I)の化合物を、上述のように、ステップb6)を経由して、式(V)の化合物から生成することができる。
【0116】
[(XX)及び(V)を経由した、(XVIII)から(XIII)の調製]
[例C6:(XVIII)から(XX)の直接調製]
【化40】

【0117】
250mLの3首丸底フラスコに、磁気スターラー、温度計及び窒素雰囲気を取り付けた。テトラヒドロフラン(120mL)、メチルジフルオロアセテート(式(XVIII)の化合物;4g)及びメチルヒドラジン(1.65g)を充填し、そして当該混合物を、室温で4時間撹拌した。追加のメチルヒドラジン(0.38g)を添加し、そして当該混合物をさらに3時間、室温で撹拌した。所望の生成物(式(XX)の化合物)を、そのN−位置異性体を伴う、3:1混合物として生成し、そして減圧して、濃縮により単離した。
MS:45,51,60,75,79,96,124(M+
1H NMR(CDCl3):2.67(s,3H,CH3N),5.95(t,1H,CHF2
【0118】
式(XVII)の化合物を、上記比較例C5に記載される方法論を経由して、式(XX)の化合物から生成することができる。式(XII)の化合物を、上述のステップb6)を経由して、式(XVII)の化合物から生成することができる。
【0119】
[(XXII)、(XXIII)及び(XVII)を経由した、(XXI)から(XIII)の調製]
[例C7:(XXI)から(XXII)の調製]
【化41】

【0120】
50mLの3首丸底フラスコに、磁気スターラー、温度計、及び窒素雰囲気を取り付けた。ジクロロメタン(36mL)及び式(XXI)の化合物(5.0g)を、上記反応器に充填し、そして得られた溶液を0℃に冷却した。メチルアミン(4.20g)を、0.25時間にわたり添加し、5℃未満の温度を維持し、そして当該反応物を、室温で、1.5時間撹拌した。減圧下での濃縮により、イエローの固体を得た(イソヘキサン(60mL、20mL)を用いて洗浄した)。式(XXII)の化合物を、オフホワイトの固体(収率86%)として得た。
【0121】
MS:42,43,55,84,112,128,156,162,207(M+
1H NMR(CDCl3):1.32(t,3H,CH3CH2),3.25(d,3H,NHCH3),4.23(q,2H,CH3CH2O),6.88(t,1H,CHF2),8.10(d,1H,C=CH),10.83(br s,1H,=CH−NH−CH3
【0122】
[例C8:(XXIII)を経由した、(XXII)から(XVII)の調製]
【化42】

【0123】
[a)クロラミンの調製:]
100mLのコニカルフラスコに、磁気スターラー及び温度計を取り付けた。ジエチルエーテル(31mL)及び塩化アンモニウム(0.91g)を、上記フラスコに充填した。当該混合物を、−10℃に冷却し、そしてアンモニア水溶液(1.7g)を添加した。次亜塩素酸ナトリウム(14.3g)溶液を、−10℃において、力強く撹拌された溶液に、10分にわたり充填し、次いで当該反応物を、−10℃において、0.5時間撹拌した。有機層を分離し、塩性溶液で洗浄し、−15℃で1時間、CaCl2上で乾燥させた。所望のクロラミンが、ジエチルエーテル内で、3%のクロラミン溶液として生成した。
【0124】
[b)式(XXIII)の化合物を経由した、式(XVII)の化合物の調製]
3首丸底フラスコに、磁気スターラー、温度計及び窒素雰囲気を取り付けた。鉱物油内の水素化ナトリウム(0.28g,6.82ミリモル,5.5eq)を、当該反応器に充填した。得られたペーストを、イソヘキサン(2×10mL)を用いて粉砕し、上記鉱物油を除去し、次いでテトラヒドロフラン(25mL)及び0.26gの式(XXII)の化合物(比較例7に記載されるように調製された)を添加した。当該混合物を、室温で0.5時間撹拌し、澄んだ溶液を得た。このテトラヒドロフラン溶液を、−15℃で、上記クロラミン/ジエチルエーテル−溶液(6.22ミリモル,5.0eq)に、ゆっくりと添加した。当該反応物を、−15℃で1時間撹拌し、次いで室温まで温めた。
【0125】
ジエチルエーテル内のクロラミンの新しい溶液(2.7%濃度)を、上述のように調製した。追加の水素化ナトリウム分散物(0.20g,4.96ミリモル,4.0eq)及びクロラミン(新しい溶液)(10.4g,5.46ミリモル,4.4eq)を添加し、そして当該反応物を、1時間、室温で撹拌した。水素化ナトリウム分散物(0.22g,5.46ミリモル,4.4eq)及びクロラミン(10.7g,5.58ミリモル,4.5eq)の最終充填物を、上記反応器に添加した。当該反応物を、一晩中室温で撹拌し、所望の式(XVII)の化合物を得た。
【0126】
MS:42,43,112,132,140,159,176,204(M+
1H NMR(CDCl3):1.35(t,3H,CH3CH2),3.97(s,3H,NCH3),4.32(q,2H,CH3CH2O),7.25(t,1H,CHF2),7.90(S,1H,ArH)
【0127】
式(XIII)の化合物を、上述のように、ステップb6)を経由して、式(XVII)の化合物から生成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式(I):
【化1】

(式中、Hal及びHal’は、独立して、Cl又はFであり、そしてR1は、H、Cl又はFである)
の化合物の調製方法であって、
次の各ステップ;
i)次の式(II)
【化2】

(式中、Hal、Hal’及びR1は、上述の通りであり、そしてLGは、離脱基である)
の化合物を、次の式(III):
【化3】

のエノールエーテルと反応させて、次の式(IV):
【化4】

(式中、Hal、Hal’及びR1は、上述の通りである)
の化合物を得るステップ;そして
ii)式(IV)の化合物を、メチルヒドラジンと反応させて、式(I)のピラゾールを得るステップ:
を含む方法。
【請求項2】
式(I)の化合物をハロゲン化して、次の式(V):
【化5】

(式中、Hal、Hal’及びR1は、請求項1に記載される通りであり、そしてXは、Cl、Br又はIである)
の4−ハロピラゾールを得るさらなるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(V)の化合物を、水又はC1〜6アルコールの存在下で、一酸化炭素と反応させて、次の式(VI):
【化6】

(式中、Hal、Hal’及びR1は、請求項1に記載される通りであり、そしてR3は、H及びC1〜6のアルキルから選択される)
の化合物を得るさらなるステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記反応が、パラジウム触媒の存在下で実施される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
式(VI)(式中、R3はC1〜6アルキルである)の化合物を、式(VI)(式中、R3はHである)の化合物又はその塩形態に加水分解するさらなるステップを含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
Hal及びHal’がFであり、そしてR1がHである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
Hal及びHal’がClであり、そしてR1がHである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
Hal及びHal’を、ClからFに転換させるためのハロゲン交換のステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
Hal、Hal’及びR1がFである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
次の式(VI):
【化7】

(式中、Hal、Hal’及びR1は、請求項1に記載される通りであり、そしてR3は、H及びC1〜6のアルキルから選択される)
の化合物の調製方法であって、
次の式(XXIII):
【化8】

(式中、Hal、Hal’及びR1は、上述の通りである)
のヒドラジドを、次の式(XXIV)
【化9】

(式中、R3は上述の通りである)
のアルキルプロパルギレートと反応させるステップを含む方法。
【請求項11】
次の式(VI):
【化10】

(式中、Hal、Hal’及びR1は、請求項1に記載される通りであり、そしてR3は、H及びC1〜6のアルキルから選択される)
の化合物の調製方法であって、
次の式(XXV):
【化11】

(式中、Hal、Hal’、R1及びR3は、上述の通りである)
の化合物を、クロラミンと反応させるステップを含む、
前記方法。
【請求項12】
式(VI)(式中、R3はC1〜6アルキルである)の化合物を、式(VI)(式中、R3はHである)の化合物又はその塩形態に加水分解するさらなるステップを含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
Hal及びHal’がFであり、そしてR1がHである、請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
次の式(X):
【化12】

の化合物。
【請求項15】
次の式(VIII):
【化13】

の化合物。
【請求項16】
次の式(VII):
【化14】

の化合物。

【公表番号】特表2010−531315(P2010−531315A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513718(P2010−513718)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004830
【国際公開番号】WO2009/000442
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【出願人】(500371307)シンジェンタ リミテッド (141)