説明

ピリミジニルピラゾール化合物の製造方法

【課題】環境適合性や経済性に優れたピリミジルピラゾールの製造方法を提供する。
【解決手段】アミノグアニジンまたはその塩と、β−ジケトン化合物とを反応させるピリミジニルピラゾール化合物の製造方法。例えば、アミノグアニジン塩酸塩(10mmol)にアセチルアセトン(20mmol)と2N水酸化ナトリウム水溶液(5ml)とを加え、80℃にて5時間撹拌し、反応液に1N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH13付近に調整し、酢酸エチルにて抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧乾燥して2−(3,5−ジメチルピラゾロ)−4,6−ジメチルピリミジン(58%)を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はピリミジニルピラゾール化合物の製造方法、特に、無溶媒あるいは水性溶媒中、1工程でピリミジニルピラゾール化合物を製造可能な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ピリミジニルピラゾール骨格を有する化合物には、様々な生理学的作用を有するものが知られている。例えば、カリウムチャンネル調節作用(特許文献1)、稲いもち病、稲ごま葉枯れ病、きゅうりうどん粉病などに対する防除活性(特許文献2〜4)、鎮痛作用(特許文献5)などを有するピリミジニルピラゾール化合物がそれぞれ報告されている。また、近年では、優れたメラニン生成抑制作用を有し、美白剤として有用なピリミジニルピラゾール化合物が報告されている(特許文献6)。
【0003】
ピリミジニルピラゾール骨格を形成するには、種々の方法が知られている。例えば、特許文献6には、ヒドラジニルピリミジン化合物にβ−ジケトン化合物を環化反応させて、ピリミジニルピラゾール化合物とする方法が記載されている。
しかし、本方法では、目的とするピリミジニルピラゾール化合物を得るために必要なヒドラジニルピリミジン化合物が市販されていなかったり、市販されていたとしても非常に高価であるため、経済性に劣る。必要なヒドラジニルピリミジン化合物を合成する場合には1〜2工程を要し、また、反応溶媒として有機溶媒を用いなければならないこともある。
【0004】
非特許文献1には、β−メトキシビニルトリフルオロメチルケトン化合物に、エタノール中、重炭酸アミノグアニジンを反応させてピリミジニルピラゾリン骨格を形成し、次いで、ジクロロメタン中で脱水反応を行ってピリミジニルピラゾール骨格に変換する方法が記載されている。
しかし、本方法は反応溶媒として有機溶媒を用いており、また、反応が2工程からなり、原料のβ−メトキシビニルトリフルオロメチルケトン化合物の合成のためにさらなる工程が必要である。
【0005】
非特許文献2には、エタノール中、ピリミジン化合物が有する脱離基にピラゾール環を直接的に置換導入してピリミジニルピラゾール化合物とする方法が記載されている。
本方法では2種の原料から1工程でピリミジニルピラゾール化合物が得られるものの、反応溶媒として有機溶媒を用いること、原料が非常に高価で合成する場合にはさらなる工程が必要となることなどの問題点がある。
【0006】
従って、環境適合性や経済性の点から、できるだけ少ない原料・工程数で、環境負荷の大きい有機溶媒を用いずともピリミジニルピラゾール化合物を製造できる方法が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2006/100212
【特許文献2】特開昭54−117029号公報
【特許文献3】特開昭54−147921号公報
【特許文献4】特開昭62−404号公報
【特許文献5】特公昭42−19593号公報
【特許文献6】WO2009/099192
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Synthesis, 2001, (10), 1505-1508.
【非特許文献2】Bollettino Chimico Farmaceutico, 1998, 137, 4, 110-114.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記背景技術に鑑みなされたものであり、その目的は、環境適合性や経済性に優れたピリミジルピラゾール化合物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等が鋭意検討を行った結果、アミノグアニジンまたはその塩とβ−ジケトン化合物とを反応させることによりピリミジルピラゾール化合物がワンステップで得られること、本反応は溶媒の非存在下、あるいは水などの水性溶媒中でも良好に進行することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる製造方法は、下記一般式(2)で示されるアミノグアニジンまたはその塩と、下記一般式(3)で示されるβ−ジケトン化合物とを反応させることを特徴とする、下記一般式(1)で示されるピリミジニルピラゾール化合物の製造方法である。
【0011】
【化1】

[R、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
【0012】
また、本発明は、前記方法において、反応を溶媒の非存在下で行うことを特徴とするピリミジニルピラゾール化合物の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記方法において、反応を水性溶媒中で行うことを特徴とするピリミジニルピラゾール化合物の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記方法において、反応を水中で行うことを特徴とするピリミジニルピラゾール化合物の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記何れかに記載の方法において、アミノグアニジンに対してβ−ジケトン化合物を2倍モル当量以上用いることを特徴とするピリミジニルピラゾール化合物の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記何れかに記載の方法において、反応を塩基存在下で行うことを特徴とするピリミジニルピラゾール化合物の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記方法において、塩基がアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩、又は酢酸塩から選ばれることを特徴とするピリミジニルピラゾール化合物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の方法によれば、商業的に容易に入手可能な比較的低分子の原料から、1ステップでピリミジニルピラゾール化合物を製造することができ、しかも、溶媒の非存在下、あるいは水性溶媒中で反応を行うことができるので、環境負荷が少なく経済性にも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の製造方法においては、下記反応式のように、アミノグアニジン(2)またはその塩と、β−ジケトン化合物(3)との反応により、溶媒の非存在下もしくは溶媒中、ワンステップで、ピリミジニルピラゾール化合物(1)を得ることができる。
【0015】
【化2】

【0016】
上記反応式において、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくはRとRとが同一である。
は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。
本発明において炭素数1〜4のアルキル基は直鎖状、分岐鎖状、又は環状であることができる。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル等が挙げられる。
ピリミジニルピラゾール化合物の一例として、R、Rがそれぞれ炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である化合物が挙げられる。
また、ピリミジニルピラゾール化合物の一例として、R、Rの少なくとも一方がメチルである化合物が挙げられる。
また、ピリミジニルピラゾール化合物の一例として、Rが水素、メチル、又はエチルである化合物が挙げられる。
【0017】
アミノグアニジン(2)としては、特に問題のない限り、アミノグアニジンの塩を用いてもよい。塩としては、例えば、塩酸、炭酸、重炭酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸の塩、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、乳酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸等の有機酸の塩が挙げられるが、塩酸塩や重炭酸塩などは市販品として容易に入手可能である。また、アミノグアニジン又はその塩は、公知の方法で合成してもよい。
【0018】
β−ジケトン化合物(3)において、R〜Rは目的とするピリミジニルピラゾール化合物に応じて決定される。例えば、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、2−メチル−3,5−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、2−メチル−3,5−ヘプタンジオン、3,5−オクタンジオン、2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオン、3−アセチル−4−メチル−2−ペンタノン、3−アセチル−2−ヘキサノン、2,4−オクタンジオン、6−メチル−2,4−ヘプタンジオン、3−アセチル−5−メチル−2−ヘキサノン、3−n−ブチル−2,4−ペンタンジオン、2,4−ノナンジオン、2−メチル−3,5−オクタンジオン、2,2−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン、2−メチル−4,6−オクタンジオン、3,5−ノナンジオン、3−tert−ブチル−2,4−ペンタンジオン、4,6−ノナンジオン、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン、1−シクロプロピル−1,3−ブタンジオン、1−シクロプロピルペンタン−1,3−ジオン、1−シクロプロピル−4,4−ジメチルペンタン−1,3−ジオン、1−シクロブチル−1,3−ブタンジオンなどが挙げられるが、これらに制限されるものではない。β−ジケトン化合物は公知の方法により合成してもよいし、市販品を利用することもできる。
【0019】
β−ジケトン化合物(3)は、アミノグアニジンまたはその塩に対して2倍モル当量以上用いる。特に上限はないが、製造コスト的な観点から5倍モル当量未満が好ましい。β−ジケトン化合物が少なすぎると反応が不十分となる。
【0020】
本反応は溶媒の存在下あるいは非存在下で行うことができる。反応溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;水;およびこれらの混合溶媒などが挙げられるが、反応に悪影響を及ぼさない限り特に限定されない。しかしながら、溶媒を用いる場合には、環境適合性の観点から、環境負荷の小さい水やアルコール系溶媒などの水性溶媒を用いることが好ましく、特に好ましくは水である。
近年の合成反応においては、環境適合性の点から溶媒の非存在下での反応、もしくは環境負荷の小さい水中での反応が強く望まれている。本発明の方法はこのような要請に十分応えることができるものである。
【0021】
反応温度は、0〜200℃の範囲で行うことができるが、好ましくは室温から120℃の範囲である。また、反応は加圧下で行うこともできるが、通常は大気圧下で行えばよい。
【0022】
本反応は必要に応じて塩基存在下で行うことができる。塩基は1種以上を組み合わせてもよい。反応に用いる塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化バリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等の金属アルコキシド;水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルメチルアンモニウム等の水酸化テトラアルキルアンモニウム;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸塩;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物;酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどの金属酢酸塩;その他金属有機酸塩;ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属;トリエチルエチルアミン、ジエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン等のアミン類等;及びこれらの混合物が挙げられる。このうち、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、特に酢酸ナトリウムが好ましい。
【0023】
塩基を用いる場合には、塩基の量としては、例えば、アミノグアニジンまたはその塩に対して0〜5倍モル当量とすることができるが、0.2倍モル当量以上、好ましくは0.5〜2倍モル当量、さらに好ましくは0.8〜1.2倍モル当量である。また、塩基を用いなくても反応は進行するが、その場合、高い反応温度が必要となる場合がある。
【実施例】
【0024】
以下、代表例を挙げて本発明を説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではなく、適当な原料を用いて所望のピリミジニルピラゾール化合物(1)を製造することができる。
【0025】
実施例1
アミノグアニジン塩酸塩(東京化成製、純度98%以上)(1.11g,10mmol)にアセチルアセトン(東京化成製、純度99%以上)(2.00g,20mmol)と2N水酸化ナトリウム水溶液(5ml)とを加え、80℃にて5時間撹拌した。反応液に1N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH13付近に調整し、酢酸エチルにて抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧乾燥して2−(3,5−ジメチルピラゾロ)−4,6−ジメチルピリミジン(1.16g,58%)を得た。
【0026】
2−(3,5−ジメチルピラゾロ)−4,6−ジメチルピリミジン(化合物1−a):
【化3】

【0027】
1H-NMR (DMSO-d6)δ: 2.19 (3H, s), 2.45 (6H, s), 2.53
(3H, s), 6.09 (1H, s), 7.17 (1H, s).
13C-NMR (DMSO-d6)δ: 13.20, 14.09, 23.26,
108.96, 117.14, 141.44, 148.84, 156.36, 168.03.
【0028】
実施例2
重炭酸アミノグアニジン(東京化成製、純度99%以上)(1.36g,10mmol)にアセチルアセトン(2.00g,20mmol)と水(5ml)とを加え、80℃にて5時間撹拌した。反応液に1N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9付近に調整し、酢酸エチルにて抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧乾燥して2−(3,5−ジメチルピラゾロ)−4,6−ジメチルピリミジン(1.14g,56%)を得た。
【0029】
実施例3
アミノグアニジン塩酸塩(5.53g,50mmol)にアセチルアセトン(11.0g,110mmol)を加え、溶媒の非存在下、120℃にて10時間撹拌した。反応液に10%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH10付近に調整し、0℃にて1時間撹拌した。析出した結晶を濾取して水で洗浄し、減圧乾燥して2−(3,5−ジメチルピラゾロ)−4,6−ジメチルピリミジン(5.00g,50%)を得た。
【0030】
実施例4
アミノグアニジン塩酸塩(5.53g,50mmol)にアセチルアセトン(11.0g,110mmol)と水(20ml)および水酸化ナトリウム(2.00g,50mmol)とを加え、80℃にて5時間撹拌した。反応液に水(10ml)と1N水酸化ナトリウム水溶液(1ml)とを加えて、0℃にて1時間撹拌した。析出した結晶を濾取して水で洗浄し、減圧乾燥して2−(3,5−ジメチルピラゾロ)−4,6−ジメチルピリミジン(4.41g,44%)を得た。
【0031】
実施例5
重炭酸アミノグアニジン(6.80g,50mmol)に水(20ml)とアセチルアセトン(11.0g,110mmol)とを加え、80℃にて5時間撹拌した。反応液に水(10ml)と1N水酸化ナトリウム水溶液(1ml)とを加えて、0℃にて1時間撹拌した。析出した結晶を濾取して水で洗浄し、減圧乾燥して2−(3,5−ジメチルピラゾロ)−4,6−ジメチルピリミジン(4.58g,45%)を得た。
【0032】
実施例6
重炭酸アミノグアニジン(13.96g,0.103mol)に水(20ml)とアセチルアセトン(22.59g,0.226mol)とを加え、80℃にて9時間撹拌した。反応液に水(60ml)を加えて室温にて1時間撹拌した。析出した結晶を濾取して水で洗浄後、減圧乾燥して2−(3,5−ジメチルピラゾロ)−4,6−ジメチルピリミジン(11.69g,56%)を得た。
【0033】
実施例7
アミノグアニジン塩酸塩(11.47g,0.104mol)に水(20ml)と水酸化ナトリウム(4.15g,0.104mol)およびアセチルアセトン(22.91g,0.229mol)とを加え、80℃にて9時間撹拌した。反応液に水(60ml)を加えて室温にて1時間撹拌した。析出した結晶を濾取して水で洗浄後、減圧乾燥して2−(3,5−ジメチルピラゾロ)−4,6−ジメチルピリミジン(10.68g,51%)を得た。
【0034】
実施例8
アミノグアニジン塩酸塩(1.76g,15.9mmol)に水(5ml)と水酸化ナトリウム(636mg,15.9mmol)および3−エチル−2,4−ペンタンジオン(東京化成製、純度90.0%以上)(4.50g,35.0mmol)を加え、80℃にて8時間撹拌した。反応液に水(30ml)を加えて0℃にて1時間撹拌した。析出した結晶を濾取して水で洗浄後、減圧乾燥して5−エチル−2−(4−エチル−3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)−4,6−ジメチルピリミジン(1.35g,33%)を得た。
【0035】
5−エチル−2−(4−エチル−3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)−4,6−ジメチルピリミジン(化合物1−b):
【化4】

【0036】
1H-NMR (DMSO-d6)δ: 1.05 (3H, t, J=7.7 Hz), 1.12 (3H, t,
J=7.7 Hz), 2.18 (3H, s), 2.38 (2H, q, J=7.7 Hz), 2.45 (3H, s), 2.49 (6H, s),
2.66 (2H, q, J=7.7 Hz).
13C-NMR (DMSO-d6)δ: 11.50, 11.82, 12.42,
14.68, 15.80, 20.22, 21.12, 120.54, 129.32, 136.64, 147.53, 154.01, 165.39.
【0037】
実施例9
アミノグアニジン塩酸塩(1.59g,14.4mmol)に水(5ml)と水酸化ナトリウム(576mg,14.4mmol)および6−メチル−2,4−ヘプタンジオン(東京化成製、純度97.0%以上)(4.50g,31.6mmol)を加え、80℃にて8時間撹拌した。反応液に水(30ml)を加え、酢酸エチル(10ml)で抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。得られた残渣(3.83g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル80g、クロロホルム〜クロロホルム:メタノール=100:1)に付し、4−イソブチル−2−(3−イソブチル−5−メチルピラゾール−1−イル)−6−メチルピリミジン(181mg,4%)および4−イソブチル−2−(5−イソブチル−3−メチルピラゾール−1−イル)−6−メチルピリミジン(2.05g,50%)を得た。
【0038】
4−イソブチル−2−(3−イソブチル−5−メチルピラゾール−1−イル)−6−メチルピリミジン(化合物1−c
【化5】

【0039】
1H-NMR (DMSO-d6)δ: 0.93 (6H, d, J=6.8 Hz),
0.93 (6H, d, J=6.8 Hz), 1.88 - 1.98 (1H, m), 2.12 - 2.22 (1H, m), 2.45 (2H, d,
J=6.8 Hz), 2.49 (3H, s), 2.56 (3H, s), 2.60 (2H, d, J=6.8 Hz), 6.12 (1H, s),
7.16 (1H, s).
13C-NMR (DMSO-d6)δ: 14.19, 21.98, 22.21,
23.34, 27.48, 27.89, 36.85, 45.66, 108.41, 117.27, 141.20, 152.54, 156.53,
168.26, 170.49.
【0040】
4−イソブチル−2−(5−イソブチル−3−メチルピラゾール−1−イル)−6−メチルピリミジン(化合物1−c
【化6】

【0041】
1H-NMR (DMSO-d6)δ: 0.86 (6H, d, J=6.8 Hz),
0.93 (6H, d, J=6.8 Hz), 1.83 (1H, septet, J=6.8 Hz), 2.14 (1H, septet, J=6.8
Hz), 2.22 (3H, s), 2.49 (3H, s), 2.60 (2H, d, J=6.8 Hz), 2.90 (2H, d, J=6.8
Hz), 6.10 (1H, s), 7.17 (1H, s).
13C-NMR (DMSO-d6)δ: 13.19, 21.89, 21.99,
23.31, 27.44, 27.65, 35.83, 45.68, 108.90, 117.42, 144.76, 148.64, 156.55,
168.28, 170.57.
【0042】
実施例10
アミノグアニジン塩酸塩(5.52g,50mmol)に水(20ml)とアセチルアセトン(11g,110mmol)ならびに酢酸ナトリウム(4.10g、50mmol)を加え、80℃にて7時間撹拌した。反応液に水(20ml)を加えて室温にて一晩撹拌した。析出した結晶を濾取して水で洗浄後、減圧乾燥して2−(3,5−ジメチルピラゾロ)−4,6−ジメチルピリミジン(8.90g、88%)を得た。
【0043】
実施例11
アミノグアニジン塩酸塩(5.52g,50mmol)に水(20ml)とアセチルアセトン(11g,110mmol)ならびに炭酸水素ナトリウム(4.20g、50mmol)を加え、80℃にて7時間撹拌した。反応液に水(20ml)を加えて室温にて一晩撹拌した。析出した結晶を濾取して水で洗浄後、減圧乾燥して2−(3,5−ジメチルピラゾロ)−4,6−ジメチルピリミジン(6.07g、60%)を得た。
【0044】
実施例12
アミノグアニジン塩酸塩(5.52g,50mmol)に水(20ml)とアセチルアセトン(11g,110mmol)ならびに炭酸カリウム(6.91g、50mmol)を加え、80℃にて7時間撹拌した。反応液に水(20ml)を加えて室温にて一晩撹拌した。析出した結晶を濾取して水で洗浄後、減圧乾燥して2−(3,5−ジメチルピラゾロ)−4,6−ジメチルピリミジン(5.26g、52%)を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(2)で示されるアミノグアニジンまたはその塩と、下記一般式(3)で示されるβ−ジケトン化合物とを反応させることを特徴とする、下記一般式(1)で表されるピリミジニルピラゾール化合物の製造方法。
【化1】

[R、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
【請求項2】
請求項1記載の方法において、反応を溶媒の非存在下で行うことを特徴とするピリミジニルピラゾール化合物の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、反応を水性溶媒中で行うことを特徴とするピリミジニルピラゾール化合物の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、反応を水中で行うことを特徴とするピリミジニルピラゾール化合物の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の方法において、アミノグアニジンに対してβ−ジケトン化合物を2倍モル当量以上用いることを特徴とするピリミジニルピラゾール化合物の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の方法において、反応を塩基存在下で行うことを特徴とするピリミジニルピラゾール化合物の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法において、塩基がアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩、又は酢酸塩から選ばれることを特徴とするピリミジニルピラゾール化合物の製造方法。


【公開番号】特開2011−162540(P2011−162540A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−316(P2011−316)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】