説明

ファイル管理サーバ、ファイル管理システム、ファイル管理プログラム、及びファイル管理方法

【課題】
複数のクライアントとネットワークで互いに接続され、迅速かつ安定的に共有ファイルを取り出すことができるファイル管理サーバを提供することを目的とする。
【解決手段】
複数のクライアントとネットワークで互いに接続されるファイル管理サーバであって、前記クライアントから受信した共有化対象ファイルを複数の分割ファイルに分割するファイル分割手段と、前記分割ファイルを複数のクライアントの少なくとも1つに振分けるファイル振分手段と、前記共有化対象ファイルと、前記分割ファイルと、該分割ファイルの振分けられたクライアントと、を対応づけて記憶するインデックス情報記憶手段と、前記インデックス情報記憶手段から前記分割ファイルを検索する検索手段と、前記クライアントから受信した前記分割ファイルに基づいて前記共有化対象ファイルを復元するファイル復元手段と、を有することを特徴とするファイル管理サーバ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のクライアントとネットワークで互いに接続されるファイル管理サーバ、該ファイル管理サーバを用いたファイル管理システム、ファイル管理プログラム、及びファイル管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータネットワークのアーキテクチャとして、サービスの依頼を行いその提供を受けるコンピュータ(クライアント)とクライアントからの要求に対して何らかのサービスを提供するコンピュータ(サーバ)とが相互にネットワークで接続されるクライアント−サーバ型のアーキテクチャが広く用いられてきた。
【0003】
該クライアントサーバ型のアーキテクチャによりファイルを共有する方法として、共有ファイルをサーバに保管する方法がある(特許文献1)。しかしながら、クライアント−サーバ型のファイル共有システムによると、各クライアントからの要求に応じてサーバの保管領域に共有ファイルを保管する必要があり、前記サーバに接続するクライアントの数の増加あるいは共有ファイルの大容量化に伴いサーバが過負荷状態に陥ることがある。
【0004】
従来のファイル共有システムにおける、サーバの負荷軽減を目的として、近年、ピア・ツー・ピア型のアーキテクチャを用いたファイル共有システムが提案されている(特許文献2)。ピア・ツー・ピアとは、多数のコンピュータ間で通信を行う際のアーキテクチャの一つであって、ネットワークに接続するコンピュータの全てが対等(ピア)である。
【0005】
このシステムによると、各コンピュータが共有ファイルを保管し、あるときにはサーバ、あるときにはクライアントとして通信を行う。そしてクライアント−サーバ型のファイル共有システムのように、特定のコンピュータが一括して共有ファイルを保管することもないため、サーバのファイル保管領域が不足する課題を解決できる。
【0006】
しかしながら、前記ピア・ツー・ピア型のファイル共有システムによると、共有ファイル分割情報を格納した共有ファイルDBを有するピアノードがダウンしている場合には、共有ファイルを取得することができない。また、それぞれのピアノードは、分割ファイルが検出されるまで隣接ピアに対して検索要求を続ける必要があり、ネットワークへの負荷が生じたり、ファイル取得に時間が掛かったりする等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−69476号公報
【特許文献2】特開2005−275937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術における上記の課題に鑑みてなされたものであり、複数のクライアントとネットワークで互いに接続され、迅速かつ安定的に共有ファイルを取り出すことができるファイル管理サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係るファイル管理サーバは、複数のクライアントとネットワークで互いに接続されるファイル管理サーバであって、前記クライアントから受信した共有化対象ファイルを複数の分割ファイルに分割するファイル分割手段と、前記分割ファイルを複数のクライアントの少なくとも1つに振分けるファイル振分手段と、前記共有化対象ファイルと、前記分割ファイルと、該分割ファイルの振分けられたクライアントと、を対応づけて記憶するインデックス情報記憶手段と、前記インデックス情報記憶手段から前記分割ファイルを検索する検索手段と、前記クライアントから受信した前記分割ファイルに基づいて前記共有化対象ファイルを復元するファイル復元手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
この場合、ファイル分割規則を記憶するファイル分割規則記憶手段を有し、前記ファイル分割手段が、前記ファイル分割規則に基づき前記共有化対象ファイルを分割することが好ましい。
【0011】
この場合、前記インデックス情報として、少なくとも前記クライアントにおけるリソースの容量を示すリソース情報と、前記クライアントの起動状態を示す起動情報と、前記リソース情報と前記起動情報とにより求められる重み値とを含み、前記ファイル振分手段が、前記重み値に基づき前記分割ファイルを振分けることが好ましい。
【0012】
この場合、前記ファイル振分手段が、前記重み値に基づき前記クライアントの振分先を変更することが好ましい。
【0013】
本発明に係るファイル管理システムは、前記ファイル管理サーバと、該ファイル管理サーバとネットワークで互いに接続された複数のクライアントとによって構成され、前記クライアントに入力された問い合わせを前記ファイル管理サーバで処理し、処理結果を前記クライアントに送信し、該クライアントで表示させることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るファイル管理プログラムは、複数のクライアントとネットワークで互いに接続されるファイル管理サーバに用いるファイル管理プログラムであって、前記ファイル管理サーバを、前記クライアントから受信した共有化対象ファイルを複数の分割ファイルに分割するファイル分割手段と、前記分割ファイルを複数のクライアントの少なくとも1つに振分けるファイル振分手段と、前記共有化対象ファイルと、前記分割ファイルと、該分割ファイルの振分けられたクライアントと、を対応づけて記憶するインデックス情報記憶手段と、前記インデックス情報記憶手段から前記分割ファイルを検索する検索手段と、前記クライアントから受信した前記分割ファイルに基づいて前記共有化対象ファイルを復元するファイル復元手段と、して機能させることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るファイル管理方法は、複数のクライアントとネットワークで互いに接続されるファイル管理サーバを用いたファイル管理方法であって、前記ファイル管理サーバが、前記クライアントから受信した共有化対象ファイルを複数の分割ファイルに分割するファイル分割段階と、前記分割ファイルを複数のクライアントの少なくとも1つに振分けるファイル振分段階と、前記共有化対象ファイルと、前記分割ファイルと、該分割ファイルの振分けられたクライアントと、を対応づけてインデックス情報として記憶するインデックス情報記憶段階と、前記インデックス情報から前記分割ファイルを検索する検索段階と、前記クライアントから受信した前記分割ファイルに基づいて前記共有化対象ファイルを復元するファイル復元段階と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以下の詳細且つ具体的な説明より明らかなように、本発明により、複数のクライアントとネットワークで互いに接続され、迅速かつ安定的に共有ファイルを取り出すことができるファイル管理サーバを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態のファイル管理システムのネットワーク構成図である。
【図2】本実施形態のファイル管理システムのシステム構成図である。
【図3】本実施形態のファイル管理システムにおけるインデックス情報を示す図である。
【図4】本実施形態のファイル管理システムにおけるインデックス情報を示す図である。
【図5】本実施形態のファイル管理システムにおける共有ファイル登録シーケンスを示す図である。
【図6】本実施形態のファイル管理サーバにおける共有ファイルの登録手順を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態のファイル管理システムにおける共有ファイル復元シーケンスを示す図である。
【図8】本実施形態のファイル管理サーバにおける共有ファイルの復元手順を示すフローチャートである。
【図9】本実施形態のファイル管理システムのシステム構成図である。
【図10】本実施形態のファイル管理システムにおけるファイル分割規則を示す図である。
【図11】本実施形態のファイル管理システムにおけるインデックス情報を示す図である。
【図12】本実施形態のファイル管理システムのシステム構成図である。
【図13】本実施形態のファイル管理システムにおけるファイル振分規則を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
【0019】
<ネットワーク構成>
図1は、本発明の一実施形態におけるネットワーク構成を示す図である。本実施形態のファイル管理システム1は、ファイル管理サーバ2と複数のクライアント3とがネットワーク4を介して接続されている。通信プロトコルにはTCP/IP(登録商標)などが使用される。ネットワーク4は、例えばケーブルにより実現されるが、前記クライアント3と前記ファイル管理サーバ2との通信プロトコルが一致すれば、ケーブルを使用しない無線LANや放送波を使ったネットワーク4を用いても良い。
【0020】
本実施形態のファイル管理システム1におけるクライアント3はパーソナルコンピュータにより構成され、ファイル管理サーバ2はワークステーションにより構成されるが、前記クライアント3及び前記ファイル管理サーバ2ともこれら以外のコンピュータを用いることもできる。前記ファイル管理サーバ2及び前記クライアント3は、いずれも、各種演算を行い、CPUと、各種のROM、RAMからなるメモリ等により構成される。前記CPUと、各種のROM、RAMからなるメモリ等はバスで接続されている。尚、前記ファイル管理サーバ2及び前記クライアント3の後述の各手段による処理は前記CPUにより実現される。
【0021】
バスには、所定のインターフェースを介して、ハードディスクなどの磁気記憶装置と、キーボード、マウスなどの入力装置と、表示装置と、光ディスクなどの記憶媒体を読み取る記憶媒体読取装置とが接続され、また、ネットワーク4と通信を行なう所定の通信インターフェースが接続されている。なお、記憶媒体としては、CD、DVDなどの光ディスク、光磁気ディスク、フレキシブルディスク、テープ装置などの各種メディアを用いることができる。また、前記記憶媒体読取装置としては、具体的には記憶媒体の種類に応じて光ディスク装置、光磁気ディスク装置、フレキシブルディスク装置などが用いられる。
【0022】
前記ファイル管理サーバ2及び前記クライアント3は、本実施形態のファイル管理プログラムの記憶された記憶媒体から、本実施形態のファイル管理プログラムを読み取って、磁気記憶装置にインストールする。このプログラムはインターネットなどのネットワーク等を介してダウンロードしてインストールするようにしてもよい。前記ファイル管理プログラムの具体的内容は、前記ファイル管理サーバ2と、前記クライアント3とで異なることは言うまでもない。このインストールにより、前記ファイル管理サーバ2及び前記クライアント3は、それぞれ後述の所定の処理の実行が可能な状態となる。また、前記ファイル管理サーバ2及び前記クライアント3における各種保管領域も前記磁気記憶装置により構築される。なお、前記ファイル管理プログラムは、所定のOS上で動作するものであってもよい。
【0023】
図2は、本実施形態のファイル管理システム1が、ファイル管理サーバ2、クライアント3それぞれのファイル管理プログラムに基づいて実現する機能の機能ブロックの関係を示す説明図である。図2を用いてクライアント3及びファイル管理サーバ2の各手段について説明する。
【0024】
<クライアント>
図2のファイル管理システム1において、クライアント3のユーザインタフェイス手段31は、ユーザがクライアント3から共有化対象ファイルの登録や検索を行うためのユーザインタフェイスを提供する。具体的には、前記ユーザインタフェイス手段31は共有化対象ファイルの選択や登録要求、分割方法、復号化情報、共有ファイルの検索要求の入力を受け付ける。また、前記ユーザインタフェイス手段31は、検索した結果である共有ファイルの内容を表示する。
【0025】
共有化対象ファイル管理手段32は、ユーザインタフェイス手段31により共有化対象ファイルの入力を受付けると共有化対象ファイルを共有化対象ファイル保管領域33に保管する。
【0026】
分割ファイル管理手段34は、クライアント3の送受信手段36が受信した分割ファイルを分割ファイル保管領域35に保管する。また、前記分割ファイル管理手段34は、クライアント3の送受信手段36が受信した分割ファイル取得要求に基づき分割ファイルを分割ファイル保管領域35から取得する。
【0027】
前記分割ファイル保管領域35は、前記分割ファイルを保管するための領域である。前記分割ファイル保管領域35は、クライアント3のディスク領域のうち可変設定可能な容量で設定される。前記容量の設定方法は特に限定されないが、クライアント3のユーザが任意に設定することとしても良い。
【0028】
前記クライアント3の送受信手段36は、共有化対象ファイル、登録要求、分割条件、復号化情報、検索条件、分割ファイル等を前記ファイル管理サーバ2に送信する。また、分割ファイル、分割ファイル取得要求等をファイル管理サーバ2から受信する。
【0029】
<ファイル管理サーバ>
前記ファイル管理サーバ2において、ファイル分割手段21は、共有化対象ファイルを複数の分割ファイルに分割する。前記ファイル分割手段21は、それぞれの分割ファイルにファイル名を付与する。また、前記ファイル分割手段21は、共有化対象ファイルと、該共有化対象ファイルの分割ファイルと、分割方法と、復号化情報とを対応づけてインデックス情報記憶手段22に記憶する。
【0030】
ファイル管理サーバにおけるインデックス情報記憶手段22は、前記クライアント3に関する属性を記憶したクライアント情報テーブルと共有ファイル(共有化対象ファイルの登録後は共有ファイルと記載するが同じファイルを意味する。以後同様。)に関する属性を記憶した共有ファイルテーブルを有する記憶手段である。前記インデックス情報を図3及び図4を用いて説明する。
【0031】
図3は前記クライアント情報テーブルの一例である。このテーブルには、インデックス情報として、クライアント名、位置情報、分割ファイル名、起動情報、通信速度、リソース情報等の項目が含まれ、それぞれの項目が対応付けられて記憶されている。ここでクライアント名の項目には、ファイル管理サーバ2とネットワーク4により接続し、分割ファイルの保管先となり得るクライアント3の識別情報が記憶される。前記位置情報の項目には前記クライアント3の位置情報が記憶され、例えば、クライアント3のIPアドレスが記憶される。前記分割ファイル名の項目には、前記ファイル分割手段21が分割した分割ファイルの識別情報が記憶される。
【0032】
前記起動情報の項目は、前記クライアント3が起動しており、分割ファイルの登録あるいは取得が可能であるかを示すデータが格納される。前記起動情報を格納し、更新する方法としては特に限定されないが、例えば、クライアント3にインストールされた本実施形態のファイル管理プログラムを起動している際に所定時間毎に起動を示す信号を送信し、該信号を受信したファイル管理サーバ2はこのクライアント3の起動情報として起動を示すデータ(例えば「1」)を格納する。前記ファイル管理サーバ2は所定時間クライアント3から起動を示す信号を受信しなかった場合には切断を示すデータ(例えば「0」)を格納する。
【0033】
前記通信速度の項目には、ファイル管理サーバ2とクライアント3との通信速度を示すデータが格納される。前記通信速度を示すデータを格納し、更新する方法としては、特に限定されないが、例えば、ファイル管理サーバ2が所定の時間ごとに公知の方法により各クライアント3にダミー信号を送信し、該ダミー信号が前記クライアント3から返信されるまでの時間を計測し、算出された通信速度を格納する。
【0034】
前記リソース情報には、クライアント3における分割ファイル保管領域35の使用率あるいは空き容量が格納される。前記リソース情報を示すデータを格納し、更新する方法としては、特に限定されないが、例えば、本実施形態のファイル管理プログラムを起動しているクライアント3が、所定時間毎に分割ファイル保管領域35の使用率等を計測し、前記使用率等をサーバに送信することにより行われる。
【0035】
図4は前記共有ファイルテーブルの一例である。このテーブルにはインデックス情報として、ファイル名、分割ファイル名、分割方法、復号化情報、ハッシュ値、重要度、アクセス情報、索引情報等が含まれ、それぞれの項目が対応付けられて記憶されている。
【0036】
前記ファイル名の項目には共有化対象ファイルの識別情報が記憶される。前記分割方法の項目には、前記共有化対象ファイルの分割方法が記憶される。前記分割方法としては、共有化対象ファイルのバイナリデータを所定の数に等分したデータからなる分割ファイルを作成する方法、共有化対象ファイルのバイナリデータを所定のサイズのデータに分けた分割ファイルを作成する方法、共有化対象ファイルのバイナリデータから偶数ビットだけを含むデータと奇数ビットだけを含むデータをそれぞれ取り出して分割ファイルを作成する方法、これらの分割方法を組み合わせた方法などが挙げられるが、特に限定されない。
【0037】
前記復号化情報の項目には、分割ファイルを復号化するために必要な情報が記憶され、例えばパスワードが記憶される。前記パスワードとしては、ユーザインタフェイス手段31により入力を受け付けたものであっても、前記ファイル管理サーバ2が任意に設定したものであっても良い。前記ハッシュ値の項目には、各分割ファイルのハッシュ値が格納される。前記重要度の項目には、共有化対象ファイルの重要度を表すデータが格納され、例えば、ユーザインタフェイス手段31が入力を受け付けた重要度の値が格納される。
【0038】
ファイル振分手段23は、前記ファイル分割手段21により分割した分割ファイルを、前記ファイル管理サーバ2とネットワーク4により接続された複数のクライアント3の少なくとも1つに振分ける。前記ファイル振分手段23が前記分割ファイルを振分ける処理について以下に説明する。
【0039】
先ず前記ファイル振分手段23は、前記インデックス情報記憶手段22に記憶されたクライアント情報テーブルから起動情報として起動を示すデータが格納されているクライアント3のインデックス情報を取得する。次にファイル振分手段23は、前記クライアント3の中からランダムに、或いは、クライアント情報テーブルの属性値に従い、分割ファイルの振分先を決定する。
【0040】
前記クライアント情報テーブルの属性値に従い振分先を決定する場合、その方法としては、特に限定されないが、例えば、通信速度が速いクライアント3の順に振分ける方法、リソース情報における空き容量が大きいクライアント3の順に振分ける方法、ファイル管理サーバ2のIPアドレスに近いクライアント3の順に振分ける方法などが挙げられる。前記振分先の決定方法としては、前記ファイル管理サーバ2によりデフォルトとして予め定められた決定方法を用いても良いし、ユーザインタフェイス手段31により入力を受け付けた決定方法を用いても良い。
【0041】
前記ファイル振分手段23は、クライアント3の優先順位を決定すると、該優先順位に従い各クライアント3に分割ファイルを振分ける。前記ファイル振分手段23は、前記分割ファイルの振分けを完了すると、前記インデックス情報記憶手段22のクライアント情報テーブルに、振分先のクライアント名と対応付けて分割ファイル名を記録する。
【0042】
検索手段24は、ファイル管理サーバ2の前記送受信手段26が受信した検索条件に合致する分割ファイルを前記インデックス情報から検索する。具体的には、インデックス情報記憶手段22に記憶された共有ファイルテーブルから分割ファイルを検索する。このとき、前記検索手段24は同時に前記共有ファイルテーブルから復号化情報を取得し、クライアント3が入力を受け付けた復号化情報とインデックス情報記憶手段22に格納された復号化情報とが一致しない場合には、後に続くファイル復元処理を行わないこととしても良い。
【0043】
ファイル復元手段25は、クライアント3から取得した分割ファイルを復元するための手段である。具体的には、前記ファイル管理サーバ2の送受信手段26が前記分割ファイルを取得すると、前記共有ファイルテーブルから前記分割ファイルに対応する分割方法を取得する。そして、前記ファイル復元手段25は取得した分割方法に対応する復元方法により前記分割ファイルを復元する。
【0044】
ファイル管理サーバ2の送受信手段26は、前記クライアント3が送信する共有化対象ファイル、クライアント3の分割ファイル保管領域35に保管されている分割ファイル、登録要求、分割条件、復号化情報、検索条件等を受信するとともに、前記ファイル復元手段25が復元した共有ファイル、前記ファイル分割手段21が分割した分割ファイル、分割ファイル保管要求、分割ファイル取得要求等を前記クライアント3に送信する。
【0045】
〔第1の具体例〕
次に図2に示す実施形態のファイル管理システム1における、共有化対象ファイルの登録と共有ファイル検索の具体例を示す。
【0046】
(1)共有化対象ファイルの登録
まず、共有化対象ファイルの登録の具体例について、ファイル管理システムにおける共有ファイル登録シーケンス(図5)及びファイル管理サーバにおける共有ファイルの登録手順を示すフローチャート(図6)を用いて説明する。
【0047】
ユーザインタフェイス手段31により共有化対象ファイルの入力が受け付けられると、共有化対象ファイル保管手段が前記共有化対象ファイルを共有化対象ファイル保管領域33に保管する。
【0048】
次に前記ユーザインタフェイス手段31は、前記共有化対象ファイルの登録要求、ファイル分割方法及び復号化情報について入力を受け付ける(S101)。ここで、前記ユーザインタフェイス手段31は、前記分割として所定の数あるいは所定のサイズに分割する方法が選択された場合には、分割ファイル数あるいは分割ファイルサイズ等の分割条件の入力を受け付けても良い。なお、前記分割方法及び復号化情報の入力は必須ではなく、前記ファイル管理サーバ2に予め記憶された分割方法や、前記ファイル管理サーバ2によりランダムに設定された復号化情報を用いても良い。
【0049】
更に、前記ユーザインタフェイス手段31は、共有ファイルのアクセス制御情報として請求者の識別情報、参照権限、編集権限、申請可能権限、重要度等の入力を受け付けたり、索引情報としてカテゴリ、注釈、ファイル形式、アプリケーション等の入力を受け付けたりすることもできる。
【0050】
前記ユーザインタフェイス手段31により、共有化対象ファイルの登録要求が受け付けられると、前記共有化対象ファイル管理手段32が前記共有化対象ファイル保管領域33から共有化対象ファイルを取得する(S102)。前記クライアント3の送受信手段36は、登録要求、分割方法、アクセス制御情報、索引情報とともに前記共有化対象ファイルを前記ファイル管理サーバ2に送信する(S103)。
【0051】
前記ファイル管理サーバ2の送受信手段26が、前記共有化対象ファイル及び登録要求、分割方法等を受信すると(S104)、前記共有化対象ファイル等は共有化対象ファイルが登録されるまでの間、前記ファイル管理サーバ2の一時保管領域に保管される。
【0052】
前記分割手段21は所定のタイミングで前記分割方法により前記共有化対象ファイルを複数の分割ファイルに分割する(S105)。次に前記ファイル分割手段21は、前記分割ファイルにファイル名を付与する。更に、前記ファイル分割手段21は、共有化対象ファイル、該共有化対象ファイルの分割ファイル、分割方法、復号化情報、重要度、アクセス制御情報、索引情報等を対応づけて前記インデックス情報記憶手段22の共有ファイルテーブルに記憶する。
【0053】
ここで、前記ファイル分割手段21は、前記分割ファイルのハッシュ値を求め前記分割ファイルと対応づけて前記インデックス情報記憶手段22に記憶しても良い。この場合、前記クライアント3から取得した分割ファイルのハッシュ値と前記インデックス情報記憶手段22に記憶されたハッシュ値とを照合することにより分割ファイルの改ざんの有無を確認することができる。
【0054】
共有化対象ファイルの分割を完了すると、前記ファイル振分手段23が前記分割ファイルをクライアント3に振分ける(S106)。ファイル振分手段23が前記分割ファイルを振分ける際に、先ず前記ファイル振分手段23は、前記インデックス情報記憶手段22に記憶されたクライアント情報テーブルから起動情報として起動を示すデータが格納されているクライアント3のインデックス情報を取得する。次にファイル振分手段23は、前記クライアント3の中からランダムに、あるいはインデックス情報の属性値に従い、分割ファイルの振分先を決定する。
【0055】
インデックス情報の属性値に従い振分先の優先順位を決定する場合、その方法としては、特に限定されないが、例えば、通信速度が速いクライアント3の順に振分ける方法、リソース情報における空き容量が大きいクライアント3の順に振分ける方法、ファイル管理サーバ2のIPアドレスに近いクライアント3の順に振分ける方法などが挙げられる。
【0056】
前記ファイル振分手段23は、振分先の優先順位を決定すると、順位付けを行った上位のクライアント3から前記分割ファイルを振分ける。ここで、前記ファイル振分手段23は1つ分割ファイルの保存先として1つのクライアント3に振分けても良いが、冗長性を確保するために2つ以上のクライアント3に振分けることが好ましい。即ち、1つの分割ファイルを複数のクライアント3で保管することで、ファイル取得時にある取出先のクライアント3が起動していない場合でも他の起動しているクライアント3から同じ分割ファイルを取り出すことが可能となる。
【0057】
更に、前記ファイル振分手段23は、前記分割ファイルの振分けを完了すると、前記インデックス情報記憶手段22のクライアント情報テーブルに、振分先のクライアント名と対応させて分割ファイル名を記録する(S107)。
【0058】
前記ファイル管理サーバの送受信手段26は、分割ファイル登録要求とともに前記分割ファイルを前記振分先のクライアント3に送信する(S108a)
【0059】
前記クライアント3の送受信手段36が、前記分割ファイル及び分割ファイル登録要求を受信すると(S109)、前記クライアント3の分割ファイル管理手段34は、前記分割ファイルを分割ファイル保管領域35に保管する(S110)。前記分割ファイルを保管すると、前記クライアント3の送受信手段36は、登録完了報告を前記ファイル管理サーバ2に送信する。分割ファイルを送信したすべてのクライアント3から登録完了報告を前記ファイル管理サーバ2が受信すると、共有化対象ファイルの登録の処理を終了する。
【0060】
共有化対象ファイルの登録処理の終了後に、前記ファイル管理サーバ2の一時保管領域に一時的に保管された前記共有化対象ファイルを削除する。該削除処理を行なうことにより、サーバの容量の負荷を軽減することができる。なお、前記削除処理を行なう前に、前記ファイル管理サーバ2に接続された例えばテープ装置のような外部バックアップ装置に前記共有化対象ファイルや前記インデックス情報を記憶させることもできる。
【0061】
(2)共有ファイルの取得
次に図2に示す実施形態のファイル管理システム1における、共有ファイルの取得の具体例を、ファイル管理システムにおける共有ファイル復元シーケンス(図7)及びファイル管理サーバにおける共有ファイルの復元手順を示すフローチャート(図8)を用いて説明する。
【0062】
ユーザインタフェイス手段31により共有ファイルの取得要求が受け付けられると、前記ユーザインタフェイス手段31は、前記共有ファイルの検索条件及び復号化情報の入力を受け付ける(S201)。前記検索条件とは前記共有化対象ファイルを検索するために必要な条件であり、共有ファイルのファイル名や、カテゴリ、注釈、ファイル形式、アプリケーション等の索引情報等を用いることができる。更に、前記ユーザインタフェイス手段31は、共有ファイルのアクセス制御情報としてユーザの識別情報の入力を受け付ける。
【0063】
前記ユーザインタフェイス手段31により、共有ファイルの取得要求等の入力が受け付けられると、前記クライアント3の送受信手段36は、共有ファイル取得要求、検索条件、アクセス制御情報を前記ファイル管理サーバ2に送信する(S202)。
【0064】
前記ファイル管理サーバ2の送受信手段26が、共有ファイル取得要求及び検索条件を受信すると(S203)、前記検索手段24がインデックス情報記憶手段22の前記共有ファイルテーブルから検索条件に合致するインデックス情報の検索を行う。検索条件に合致するインデックス情報が見つかった場合には、前記検索手段24が、前記クライアント3から受信した復号化情報と前記インデックス情報に含まれる復号化情報が一致するか判断する。また、前記検索手段24は前記クライアント3から受信したアクセス制御情報が前記インデックス情報に含まれるアクセス制御情報と一致するか判断する。検索条件と一致する共有ファイルが見つからない場合、前記復号化情報が一致しない場合、あるいは前記アクセス制御情報が一致しない場合には、前記ファイル管理サーバ2の送受信手段26はその旨を示す情報を前記クライアント3に送信して処理を終了する。
【0065】
前記検索手段24は、検索結果のインデックス情報から前記共有ファイルに対応する分割ファイル名を取得する。次に、前記検索手段24は、前記インデックス情報記憶手段22のクライアント情報テーブルから前記分割ファイルの振分先のクライアント名を取得する(S204)。ここで、前記検索手段24は、前記インデックス情報記憶手段22から各分割ファイルの振分先の通信速度と各分割ファイルのサイズとを取得して、ファイル取得処理を完了するまでの時間を概算し、前記ファイル管理サーバ2の送受信手段26を介してファイル取得要求を行ったクライアント3に送信しても良い。
【0066】
前記ファイル管理サーバ2の送受信手段26は、前記検索手段24が取得した振分情報に基づき、振分先の前記クライアント3に対し分割ファイル名、該分割ファイルのハッシュ値とともに、分割ファイル取得要求を送信する(S205)。
【0067】
前記クライアント3の送受信手段36が、前記分割ファイル名及び前記分割ファイル取得要求を受信すると(S206)、前記クライアント3の分割ファイル管理手段34は、前記分割ファイルを分割ファイル保管領域35から取得する(S207)。ここで、前記分割ファイル管理手段34は、前記ハッシュ値をキーとして分割ファイルを検索し、取得しても良い。前記クライアント3の送受信手段36は、前記分割ファイル管理手段34が前記分割ファイル取得したら該分割ファイルを前記ファイル管理サーバ2に送信する(S208)。
【0068】
前記ファイル管理サーバ2の送受信手段26が、前記分割ファイルを受信し(S209a)、すべての分割ファイルを取得した場合には、次の復号化処理に進む。すべての分割ファイルを取得していない場合には、前記クライアント3から分割ファイルを受信するのを待つ(S209b)。
【0069】
なお、所定の時間待っても分割ファイルを取得できない場合には、前記クライアント情報テーブルから未取得の分割ファイルの振分先である他のクライアント3を取得し、該クライアント3に分割ファイル取得要求を行っても良い。また、前記分割ファイルを登録している他のクライアント3がない場合には、前記ファイル管理サーバ2に接続したバックアップ媒体から前記分割ファイルを取得しても良い。
【0070】
また、前記クライアント3から取得した分割ファイルのハッシュ値と、前記インデックス情報の共有ファイルテーブルに格納された前記分割ファイルのハッシュ値とを対比して、一致しない場合には、前記ファイル管理サーバ2は共有ファイル取得要求を行ったクライアント3に対し、共有ファイルが改ざんされている旨通知しても良い。
【0071】
前記ファイル管理サーバ2の送受信手段26が、すべての分割ファイルを取得したら、前記ファイル復元手段25は、前記インデックス情報記憶手段22の共有ファイルテーブルから前記分割ファイルに対応する分割方法及び復号化情報を取得する(S210)。そして、ファイル復元手段25は取得した分割方法に対応する復元方法により分割ファイルを復元する(S211)。
【0072】
共有ファイルの復元が完了すると前記ファイル管理サーバ2の送受信手段26は、前記共有ファイルを前記共有ファイル取得要求を行ったクライアント3に送信し処理を終了する(S212)
【0073】
〔第2の具体例〕
次に本発明の別の実施の形態を第2の具体例として説明する。本実施形態のファイル管理システム1のハードウエア構成は、前記した第1の具体例のものと同様であり詳細な説明は省略する。
【0074】
図9は、第2の具体例におけるファイル管理システム1が、ファイル管理サーバ2、クライアント3それぞれのファイル管理プログラムに基づいて実現する機能の機能ブロック図である。図2における前記第1の具体例のものと共通のブロックなどには同一符号を用い、詳細な説明は省略する。
【0075】
図9の構成が図2のものと相違する点は、ファイル管理サーバ2がファイル分割規則保管領域27を有し、ファイル分割手段21が前記ファイル分割規則保管領域27から取り出したファイル分割規則に基づき共有化対象ファイルを分割するように構成している点である。
【0076】
第2の具体例において、第1の具体例の共有ファイル登録手順と異なる点は、第1の具体例の分割処理において、ユーザインタフェイス手段31が入力を受け付けた分割方法あるいはデフォルトの分割方法により前記ファイル分割手段21が共有化対象ファイルの分割を行うのに対し、第2の具体例では、前記ファイル分割規則保管領域27に保管されたファイル分割規則に基づき共有化対象ファイルの分割を行う。このファイル分割規則とは、作成者、重要度、サイズ等の共有化対象ファイルの属性と、分割方法とを対応づけて記憶されたものである。
【0077】
ファイル分割規則の具体例としては、図10に示すように、特定の分割ファイルのセキュリティを高めるために、ファイル作成者あるいは重要度の閾値等の属性と、分割ファイル単体では意味をなさなくするようなファイル分割方法(例えば、共有化対象ファイルのバイナリデータを偶数ビットと奇数ビットとに分ける方法)とを対応づけて記憶させたものが挙げられる。
【0078】
また、別のファイル分割規則の具体例としては、図10に示すように分割ファイルの取得時間を短縮するためにファイルサイズからなる属性と、該ファイルサイズに応じてファイル分割数を変えたファイル分割方法とを対応付けて記憶させたものが挙げられる。
【0079】
第2の具体例における分割処理方法(S105)は、先ずファイル分割手段21が、前記共有化対象ファイルを分割する条件を決定するために必要な属性として、前記ユーザインタフェイス手段31が入力を受け付けた属性(請求者の識別情報、重要度等)、あるいは、前記共有化対象ファイルに固有の属性(ファイルサイズ、ファイル作成者等)を取得する。次に前記ファイル分割手段21が、前記ファイル分割規則保管領域27から前記属性に応じたファイル分割規則を取り出して分割方法を決定する。分割方法決定後は、前記第1の具体例における分割処理方法(S105)と同様に前記共有化対象ファイルを分割する。
【0080】
第2の具体例によると、ファイル分割手段21が共有化対象ファイルの属性に応じて分割方法を決定するので、ユーザが特別の判断を行うことなく、特定の作成者のファイルのセキュリティを高めたり、ファイルの分割数を増して前記分割ファイルの取得時間を短縮したりすることができる。
【0081】
〔第3の具体例〕
次に本発明の別の実施の形態を第3の具体例として説明する。本実施形態のファイル管理システム1のハードウエア構成は、前記した第1の具体例のものと同様であり詳細な説明は省略する。
【0082】
第3の具体例のファイル管理システム1における、ファイル管理サーバ2、クライアント3それぞれのファイル管理プログラムに基づいて実現する機能は図2の機能ブロック図と同様の構成が用いられる。
【0083】
第3の具体例において、第1の具体例の共有ファイル登録手順と異なる点は、第1の具体例の振分処理において、ユーザインタフェイス手段31が入力を受け付けた振分方法あるいはデフォルトの振分方法により、前記ファイル分割手段21が共有化対象ファイルの振分けを行うのに対し、第3の具体例では、前記インデックス情報記憶手段22のクライアント情報テーブルに記憶されたクライアント3の重み値に基づき共有ファイルの共有化対象ファイルの振分け方法を決定する。前記重み値とは、前記クライアント情報テーブルにおける少なくとも2つ以上の属性値から求められる値である。尚、重み値の算出に用いられる前記属性値としては、少なくとも起動情報とリソース情報が含まれる。
【0084】
図11は本実施形態における重み値を含むクライアント情報テーブルの具体例である。前記クライアント情報テーブルにおける稼働率は、クライアント3の稼働率であり、例えばデイタイムにおける前記ファイル管理プログラムの稼働率を用いることができる。この稼働率を更新する方法としては、特に限定されないが、各クライアント3が過去所定日数の稼働率を記憶しておき、前記ファイル管理プログラムの起動時に前記稼働率の平均値を前記ファイル管理サーバに送信して、クライアント情報テーブルを更新することができる。
【0085】
ここで、前記重み値を求める方法の具体例としては、前記ファイル管理サーバが、クライアント情報テーブルから、起動情報、通信速度、リソース、稼働率のいずれか2つ以上の属性を取得し、その積算値を求めることが挙げられる。例えば、図11の例では、前記ファイル管理サーバが、前記クライアント情報テーブルから、前記起動情報(クライアントαの場合「1」)と、通信速度(クライアントαの場合「100」)と、分割ファイル保管領域の空き容量を表すリソース情報(クライアントαの場合「70%」)と、稼働率(クライアントαの場合「80%」)とを取得し、重み値としてその積算値(クライアントαの場合56)を得る。この例では重み値はクライアントα、クライアントδ、クライアントγの順となり、重み値が0であるクライアントβは振分先の候補とはならない。
【0086】
〔第4の具体例〕
次に本発明の別の実施の形態を第4の具体例として説明する。本実施形態のファイル管理システム1のハードウエア構成は、前記した第1の具体例のものと同様であり詳細な説明は省略する。
【0087】
図12は、第4の具体例におけるファイル管理システム1が、ファイル管理サーバ2、クライアント3それぞれのファイル管理プログラムに基づいて実現する機能の機能ブロック図である。図2の前記第1の具体例のものと共通のブロックなどには同一符号を用い、詳細な説明は省略する。
【0088】
図12の構成が図2のものと相違する点は、ファイル管理サーバ2がファイル振分規則保管領域28を有し、該ファイル分振分規則保管領域28から取り出したファイル振分規則に基づきファイル振分手段23が分割ファイルの振分先を決定し、変更するよう構成している点である。
【0089】
ここで前記ファイル振分規則を図13を用いて説明する。前記ファイル振分け規則は、前記共有ファイルの重要度と、振分け方法とを対応づけて記憶した規則である。具体的には、前記共有ファイルにおける重要度と、前記クライアント情報における重み値を対応させたものが挙げられる。図13のファイル分割規則の例では、前記重要度が10の共有化対象ファイルは、重み値が50以上のクライアント3に振分けられる。この場合、インデックス情報が図4及び図11のように表される場合に、重要度が10である共有ファイルCの分割ファイルC1及びc1は、クライアントα及びクライアントδに振分けられ、重み値が50未満であるクライアントβ及びクライアントγは振分先の候補とはならない。
【0090】
なお、図11のクライアントγに振分けられた分割ファイルc1のように、ファイル登録後にクライアント3のリソースの低下などの理由により重み値が低下し、ファイル振分規則に合致しなくなることもある。このような場合には、ファイル振分け手段は、前記分割ファイルc1について閾値以上のクライアント3に再振分けを行う。
【0091】
具体的には、前記ファイル振分け手段は、前記インデックス情報記憶手段22から、共有ファイルの重要度と、前記共有ファイルが保管されているクライアント3の重み値を所定間隔毎に取得する。そして、ファイル振分け規則を参照してクライアント3の重み値が閾値より低いと判断すると、前記ファイル管理サーバ2の送受信手段26は、前記クライアント3に対し前記分割ファイルの取得要求を行う。前記ファイル管理サーバ2の送受信手段26がクライアント3から前記分割ファイルを取得すると、前記ファイル振分け手段はファイル振分け規則に従い、前記分割ファイルの再振分けを行う。
【0092】
なお、前記再振分け後の、クライアント3情報テーブルへの分割ファイル名の登録処理や、前記分割ファイルの新たなクライアント3への登録処理などは、前記具体例1における処理と同様である(S107〜S110)。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明のファイル管理サーバ2は、共有する電子文書ファイルなどに適用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 ファイル管理システム
2 ファイル管理サーバ
3 クライアント
4 ネットワーク
21 ファイル分割手段
22 インデックス情報記憶手段
23 ファイル振分手段
24 検索手段
25 ファイル復元手段
26 送受信手段
27 ファイル分割規則保管領域
28 ファイル振分規則保管領域
31 ユーザインタフェイス手段
32 共有化対象ファイル管理手段
33 共有化対象ファイル保管領域
34 分割ファイル管理手段
35 分割ファイル保管領域
36 送受信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のクライアントとネットワークで互いに接続されるファイル管理サーバであって、
前記クライアントから受信した共有化対象ファイルを複数の分割ファイルに分割するファイル分割手段と、
前記分割ファイルを複数のクライアントの少なくとも1つに振分けるファイル振分手段と、
前記共有化対象ファイルと、前記分割ファイルと、該分割ファイルの振分けられたクライアントと、を対応づけて記憶するインデックス情報記憶手段と、
前記インデックス情報記憶手段から前記分割ファイルを検索する検索手段と、
前記クライアントから受信した前記分割ファイルに基づいて前記共有化対象ファイルを復元するファイル復元手段と、
を有することを特徴とするファイル管理サーバ。
【請求項2】
ファイル分割規則を記憶するファイル分割規則記憶手段を有し、
前記ファイル分割手段が、
前記ファイル分割規則に基づき前記共有化対象ファイルを分割することを特徴とする請求項1に記載のファイル管理サーバ。
【請求項3】
前記インデックス情報として、
少なくとも前記クライアントにおけるリソースの容量を示すリソース情報と、前記クライアントの起動状態を示す起動情報と、前記リソース情報と前記起動情報とにより求められる重み値とを含み、
前記ファイル振分手段が、
前記重み値に基づき前記分割ファイルを振分けることを特徴とする請求項1又は2に記載のファイル管理サーバ。
【請求項4】
前記ファイル振分手段が、
前記重み値に基づき前記クライアントの振分先を変更することを特徴とする請求項3に記載のファイル管理サーバ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載されたファイル管理サーバと、
該ファイル管理サーバとネットワークで互いに接続された複数のクライアントとによって構成され、
前記クライアントに入力された問い合わせを前記ファイル管理サーバで処理し、処理結果を前記クライアントに送信し、該クライアントで表示させることを特徴とするファイル管理システム。
【請求項6】
複数のクライアントとネットワークで互いに接続されるファイル管理サーバに用いるファイル管理プログラムであって、
前記ファイル管理サーバを、
前記クライアントから受信した共有化対象ファイルを複数の分割ファイルに分割するファイル分割手段と、
前記分割ファイルを複数のクライアントの少なくとも1つに振分けるファイル振分手段と、
前記共有化対象ファイルと、前記分割ファイルと、該分割ファイルの振分けられたクライアントと、を対応づけて記憶するインデックス情報記憶手段と、
前記インデックス情報記憶手段から前記分割ファイルを検索する検索手段と、
前記クライアントから受信した前記分割ファイルに基づいて前記共有化対象ファイルを復元するファイル復元手段と、
して機能させることを特徴とするファイル管理プログラム。
【請求項7】
複数のクライアントとネットワークで互いに接続されるファイル管理サーバを用いたファイル管理方法であって、
前記ファイル管理サーバが、
前記クライアントから受信した共有化対象ファイルを複数の分割ファイルに分割するファイル分割段階と、
前記分割ファイルを複数のクライアントの少なくとも1つに振分けるファイル振分段階と、
前記共有化対象ファイルと、前記分割ファイルと、該分割ファイルの振分けられたクライアントと、を対応づけてインデックス情報として記憶するインデックス情報記憶段階と、
前記インデックス情報から前記分割ファイルを検索する検索段階と、
前記クライアントから受信した前記分割ファイルに基づいて前記共有化対象ファイルを復元するファイル復元段階と、
を有することを特徴とするファイル管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−277517(P2010−277517A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132152(P2009−132152)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】