説明

ファスナー錠

【課題】振動・衝撃等によってもロックが容易に解除されず、ロック孔に薄板等を挿入してもラッチが容易にロック解除されないファスナー錠を得る。
【解決手段】ファスナー錠100において、摘み片35を先端35aから挿入可能とするロック孔45を有したロック部41と、摘み片35の表裏に貫通する係止穴43と、摘み片35の先端35aに先細となるように形成されたテーパ面47と、ロック部41に設けられ係止穴43に嵌入するラッチ49と、ラッチ49の嵌入先端に挿入の方向に突出して設けられ係止穴43の裏縁43aに係止する返し突起55と、ロック部41に設けられ摘み片35をロック孔45から押し出す方向に付勢する付勢手段57と、ラッチ49のロック孔開口に対面する面に設けられ摘み片35の挿入方向と略垂直に形成された当接面59とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファスナースライダーの摘み片をロックすることで、一対の務歯付テープの固定される開閉縁部同士を開放不能とするファスナー錠に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばファスナーによって縁部が開閉される鞄やスーツケース等は、開閉縁部のそれぞれに一対の務歯付テープが固定され、これらの務歯列同士をスライダーによって係合・係合解除することで、開閉を簡便にできるようにしている。この種の鞄等では、図6に示すように、スライダー1に設けられた摘み片3を、鞄本体に設けられたロック部5のロック孔7に挿入してロックすることで、開閉縁部同士を開放不能とするファスナー錠9の設けられることがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
従来、この種のファスナー錠9は、ロック部5にラッチ11を備える。ラッチ11は、摘み片3に形成された係止穴13に進入係止するラッチ爪15を有し、付勢手段であるコイルバネ17によって係止方向(図6の下方向)に付勢されている。また、ラッチ爪15のロック孔開口に対面する面には傾斜面19が設けられ、傾斜面19は摘み片3の挿入時による先端3aの押圧によってラッチ11を押し上げるよう働く。
【0004】
したがって、摘み片3がロック孔7に挿入されると、摘み片3の先端3aがラッチ爪15の傾斜面19を押圧し、これによりラッチ11を押し上げる。ラッチ爪15が先端3aに乗り上げた後、摘み片3がさらに挿入され、係止穴13がラッチ爪15に到達すると、図7に示すように、ラッチ11がコイルバネ17の付勢力によって係止穴13に進入する。これにより、摘み片3は、ラッチ爪15の係止面15aに係止してロック部5からの抜脱が規制され、ファスナーの開放による鞄縁部同士の開放が不能な施錠状態となる。なお、ラッチ11のロック解除は、ロック部5に設けられる不図示の錠装置に鍵が挿入され、この鍵が回されることにより、ラッチ11が引っ込み解錠される。
【特許文献1】実用新案登録第3107816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のファスナー錠は、コイルバネ17の付勢力によってのみ、ラッチ爪15を係止穴13に進入係止させていたため、摘み片3に引き抜き方向(図7の左方向)の力が作用し、振動や衝撃によって、ラッチ11に抜脱方向(図7の上方向)の慣性力が作用すると、そのタイミングによってはラッチ爪15が係止穴13から抜けてしまう問題があった。
【0006】
また、ラッチ爪15は、ロック孔開口に対面する面の全体に傾斜面19が形成されていたため、図8(a)に示すように、摘み片3の挿入されたロック孔7の隙間Sに、薄板21等を挿入すれば、その先端によって傾斜面19を押圧し、ラッチ11を押し上げ、図8(b)に示すように、ラッチ爪15を係止穴13から抜脱する不正なロック解除が可能となる虞があった。
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、振動・衝撃等によってもロックが容易に解除されず、しかも、ロック孔に薄板等を挿入してもラッチが係止穴から容易にロック解除されないファスナー錠を提供し、もって、施錠信頼性、防犯性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載のファスナー錠は、ファスナースライダー33の略板状の摘み片35をロックすることで、一対の務歯付テープ39a,39bの固定される開閉縁部同士を開放不能とするファスナー錠100であって、
スライダー閉止移動方向と平行な姿勢の前記摘み片35を先端35aから挿入可能とするロック孔45を有したロック部41と、
前記摘み片35の表裏に貫通する係止穴43と、
前記摘み片35の先端に先細となるように形成されたテーパ面47と、
前記ロック部41に設けられ前記係止穴43に嵌入するラッチ49と、
該ラッチ49の嵌入先端に前記挿入の方向に突出して設けられ前記係止穴43の裏縁43aに係止する返し突起55と、
前記ロック部41に設けられ前記摘み片35を前記ロック孔45から押し出す方向に付勢する付勢手段57と、
前記ラッチ49のロック孔開口に対面する面に設けられ前記係止穴43に先端側を嵌入させた前記ラッチ49の前記係止穴43へ嵌入しない基端側で前記挿入方向と略直交し垂直に形成された当接面59と、
を具備したことを特徴とする。
【0009】
このファスナー錠では、摘み片35がロック孔45に挿入されると、摘み片35の係止穴43にラッチ49が嵌入する。そして、付勢手段57が摘み片35を押し戻す方向に付勢することで、係止穴43とロック孔45との内縁同士が当接しあい、また、ラッチ先端の返し突起55が係止穴裏縁43aに係合する。したがって、ラッチ49は、係止穴43からの抜脱が返し突起55によって容易に外れることがない。また、ロック孔45内の摘み片35との隙間に薄板21を挿入しても、薄板先端が挿入先でラッチ49の略直交している垂直な当接面59に当たるのみとなる。
【0010】
請求項2記載のファスナー錠は、前記ロック部41に、錠装置と、該錠装置によって駆動される解除機構とが設けられ、
前記解除機構は、前記錠装置に挿入された合鍵の解錠回転によって、前記ラッチ49に、係止穴43から退出させる方向の付勢力を付与することを特徴とする。
【0011】
このファスナー錠では、合鍵が回転され、ラッチ49に退出方向の付勢力が付与されている状態で、直接的に、或いはスライダー33を介して摘み片35を、付勢手段57の付勢力に抗してロック孔45奥方へ押し込めば、係止穴43に対する返し突起55の係止が解除され、ラッチ49が解除機構の付勢力によって係止穴43から退出する。
【0012】
請求項3記載のファスナー錠は、前記解除機構は、前記錠装置に挿入された合鍵の解錠回転によって、前記ラッチ49を、前記返し突起55の係止解除方向へ移動させることを特徴とする。
【0013】
このファスナー錠では、合鍵の回転のみによって、ラッチ49に退出方向の付勢力が付与され、かつ摘み片35が移動されて、係止穴43に対する返し突起55の係止が解除され、すなわち付勢手段57の付勢力がキャンセルされ、ラッチ49が解除機構の付勢力によって係止穴43から退出する。
【0014】
請求項4記載のファスナー錠は、前記錠装置が、シリンダー錠であることを特徴とする。
【0015】
このファスナー錠では、解除機構を解錠操作する前段階においても、シリンダー錠に合鍵を挿入して、解除機構を作動させなければならない。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る請求項1記載のファスナー錠によれば、摘み片の表裏に貫通する係止穴と、摘み片先端のテーパ面と、係止穴に嵌入するラッチと、ラッチの先端に突出して設けられ係止穴に係止する返し突起と、摘み片を押し出す方向に付勢する付勢手段と、ラッチの基端側で挿入方向と略垂直に形成された当接面とを備えたので、摘み片がロック孔に挿入されると、摘み片の係止穴にラッチが嵌入し、付勢手段が摘み片を押し戻す方向に付勢することで、ラッチ先端の返し突起が係止穴裏縁に係合する。したがって、ラッチは、係止穴からの抜脱が返し突起によって阻止され、振動・衝撃等によるロック解除が確実に防止される。また、ロック孔内の摘み片との隙間に薄板を挿入しても、薄板先端が挿入先でラッチの直交する当接面に当たるのみなので、従来のように、ラッチの傾斜面を押圧して、その分力でラッチを係止穴から抜脱する方向へ押し上げることができない。この結果、ロック状態を確実にし、施錠信頼性を向上させることができるとともに、薄板を挿入することによる不正解錠を阻止して、防犯性を向上させることができる。
【0017】
請求項2記載のファスナー錠によれば、ロック部に、錠装置と、錠装置によって駆動される解除機構とが設けられ、解除機構が、錠装置に挿入された合鍵の解錠回転によって、ラッチに、係止穴から退出させる方向の付勢力を付与するので、合鍵が回転され、ラッチに退出方向の付勢力が付与されている状態で、直接的に、或いはスライダーを介して摘み片を、付勢手段の付勢力に抗してロック孔へ押し込めば、係止穴に対する返し突起の係止が解除され、ラッチが解除機構の付勢力によって係止穴から退出し、クリック感を生じさせた明快なロック解除感によって、摘み片をロック部からロック解除させることができる。
【0018】
請求項3記載のファスナー錠によれば、錠装置に挿入された合鍵の解錠回転によって、解除機構がラッチを返し突起の係止解除方向へ移動させるので、合鍵の回転によって、ラッチに退出方向の付勢力が付与され、かつ摘み片が移動されて、係止穴に対する返し突起の係止が解除され、ラッチが解除機構の付勢力によって係止穴から退出する。これにより、合鍵の回転操作のみによる容易な解錠操作(すなわち、摘み片の押し込みを不要とした操作)によって、摘み片をロック部からロック解除することができる。
【0019】
請求項4記載のファスナー錠によれば、錠装置が、シリンダー錠であるので、解除機構を解錠操作する前段階においても、シリンダー錠に合鍵を挿入して、解除機構を作動させなければならず、合鍵によってロック部のロック機構を直接解除する簡易な錠装置(例えば合鍵の回転操作によってラッチを直接的に作動させる錠装置等)に比べ、ファスナー錠全体の防犯性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係るファスナー錠の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るファスナー錠の摘み片に垂直な方向の断面図、図2は本発明に係るファスナー錠が設けられるファスナーの斜視図である。
【0021】
本実施の形態による図1に示すファスナー錠100は、図2に示すファスナー31のスライダー33に設けられた板状の摘み片35をロックすることで、一対の務歯37a,37bの付設されたテープ39a,39bの固定される不図示の開閉縁部同士を開放不能とする。摘み片35は、例えば鞄本体等に設けられるロック部41によってロックされる。これにより、ファスナー31の設けられた鞄等の開閉縁部同士が開放不能に施錠される。
【0022】
本実施の形態によるファスナー錠100は、スライダー33を開閉操作するための略矩形板状の摘み片35に、表裏に貫通する例えば四角形の係止穴43が穿設される。この係止穴43は、後述するラッチの外形と略同一の大きさ寸法Wで形成されている。つまり、ラッチは、係止穴43に、略ガタツキなく進入し嵌入するようになっている。摘み片35は、スライダー33の閉止移動方向(図1の左右方向)と平行な姿勢で、ロック部41のロック孔45に先端35aから挿入される。摘み片35の先端35aには先細となるように形成されたテーパ面47が設けられている。このテーパ面47は、一方の面、例えば表面となる面側、図1,2において上側の面にのみ形成される斜面よりなり、後述するラッチ49を押し上げる作用を有する。
【0023】
ロック部41にはラッチ49が図1の上下方向に移動自在に設けられ、ラッチ49は下面に垂設されたラッチ爪51が係止穴43に嵌入する。ラッチ49は、付勢手段であるコイルバネ53によって、係止穴43に進入する方向(図1の下方向)に付勢されている。また、ラッチ爪51の嵌入先端には摘み片挿入方向(図1の右方向)に突出する返し突起55が設けられ、返し突起55は係止穴43の裏縁43aに係止可能となる。
【0024】
ロック部41には摘み片35をロック孔45から押し出す方向に付勢する付勢手段としてのコイルバネ57が設けられている。したがって、ロック孔45に進入し、ラッチ爪51が係止穴43に嵌入した摘み片35は、コイルバネ57によって押し戻されることで、返し突起55が裏縁43aに掛かり、係止穴43から抜ける方向(図1の上方向)の移動が規制される。
【0025】
なお、ロック部41には、不図示の錠装置と、この錠装置によって駆動される解除機構とが設けられる。解除機構は、錠装置に挿入された合鍵の解錠回転によって、ラッチ49に、係止穴43から退出させる方向の付勢力を付与する。ファスナー錠100は、ロック部41に、このような錠装置と解除機構とが設けられることで、合鍵を回転し、ラッチ49に退出方向(上方向)の付勢力が付与されている状態で、直接的に、或いはスライダー33を介して摘み片35を、コイルバネ57の付勢力に抗してロック孔45へ押し込めば、係止穴43に対する返し突起55の係止が解除される。これにより、ラッチ49が解除機構の付勢力によって係止穴43から退出し、クリック感を生じさせた明快なロック解除感によって、摘み片35をロック部41からロック解除させることができる。
【0026】
ここで、解除機構は、錠装置に挿入された合鍵の解錠回転によって、ラッチ49を、返し突起55の係止解除方向へ移動させる機構を備えるものであってもよい。このようなラッチ移動機構を備えた構成によれば、錠装置に挿入された合鍵の解錠回転によって、解除機構がラッチ49を返し突起55の係止解除方向へ移動させるので、合鍵の回転によって、ラッチ49に退出方向の付勢力が付与され、かつ摘み片35が移動されて、係止穴43に対する返し突起55の係止が解除され、ラッチ49が解除機構の付勢力によって係止穴43から退出する。これにより、合鍵の回転操作のみによる容易な解錠操作(すなわち、摘み片35の押し込みを不要とした操作)によって、摘み片35をロック部41からロック解除することができる。
【0027】
また、ロック部41の錠装置としては、シリンダー錠を採用することが好ましい。錠装置が、シリンダー錠であれば、解除機構を解錠操作する前段階においても、シリンダー錠に合鍵を挿入して、解除機構を作動させなければならず、合鍵によってロック部41のロック機構を直接解除する簡易な錠装置(例えば合鍵の回転操作によってラッチ49を直接的に作動させる錠装置等)に比べ、ファスナー錠100全体の防犯性を高めることができる。
【0028】
さらに、ファスナー錠100は、ラッチ49のロック孔開口に対面する面に、摘み片35の挿入方向と略直交し略垂直に形成された当接面59が設けられている。当接面59は、係止穴43に先端側を嵌入させたラッチ49の基端側に形成されている。また、ラッチ爪51には当接面59の下方に傾斜面19が形成され、傾斜面19は摘み片35の挿入時による先端35aの押圧によってラッチ49を押し上げるよう働く。ここで、摘み片35の厚さと、ロック孔45の高さ(幅)と、ロック爪51の形状との関係として、ロック爪51が、摘み片35の係止穴43に嵌入状態のロック状態では、傾斜面19と当接面59との接合縁(稜線)が係止穴43内に位置するように設定され(図4参照)、すなわちロック孔45の摘み片35との隙間において、傾斜面19は現れることがない。
【0029】
次に、以上のように構成されたファスナー錠100の作用を説明する。
図3は摘み片挿入途中の断面図、図4は摘み片ロック状態の断面図、図5は薄板挿入による不正解錠時の説明図である。
ファスナー錠100は、摘み片35がロック孔45に挿入されると、摘み片35の先端35aがラッチ49の傾斜面19を押圧し、これによりラッチ49を押し上げる。図3に示すように、ラッチ爪51が先端35aに乗り上げた後、摘み片35がさらに挿入され、摘み片35の係止穴43がラッチ爪51に到達すると、図4に示すように、ラッチ49がコイルバネ53の付勢力によって係止穴43に嵌入する。すなわち、自動施錠は、摘み片35のテーパ面47と、ラッチ爪51の傾斜面19とで行われる。
【0030】
そして、摘み片35の挿入力が解除されると、摘み片35は、コイルバネ57によって押し戻される方向に付勢される。これにより、係止穴43の裏縁43aが、ラッチ爪51の返し突起55に係合する。したがって、ラッチ爪51は、係止穴43からの抜脱が返し突起55によって阻止される。また、摘み片35は、ラッチ爪51の係止面51aに係止してロック部41からの抜脱が規制され、ファスナー31の開放による鞄縁部同士の開放が不能な施錠状態となる。
【0031】
また、摘み片35の施錠状態において、図5(a)に示すように、ロック孔45に挿入された摘み片35と、ロック孔45との隙間Sに薄板21を挿入しても、図5(b)に示すように、薄板21の先端が挿入先でラッチ爪51の当接面59に当たるのみとなり、従来のように、傾斜面19を押圧してラッチ49を上方へ移動させることができない。
【0032】
なお、ラッチ49のロック解除は、ロック部41に設けられる不図示のシリンダー錠に合鍵が挿入され、この合鍵が回されることにより、可能となる。すなわち、合鍵が回転され、ラッチ49に退出方向の付勢力が付与されている状態で、直接的に、或いはスライダー33を介して摘み片35を、コイルバネ57の付勢力に抗してロック孔45へ押し込めば、係止穴43に対する返し突起55の係止が解除され、ラッチ49が解除機構の付勢力によって係止穴43から退出する。これにより、ファスナー錠100は、ロック解除されたことになる。後は、摘み片35を引き抜くのみで、スライダー33の移動が可能となる。
【0033】
したがって、このファスナー錠100によれば、摘み片35の表裏に貫通する係止穴43と、摘み片35先端のテーパ面47と、係止穴43に嵌入するラッチ49と、ラッチ49の先端に突出して設けられ係止穴43に係止する返し突起55と、摘み片35を押し出す方向に付勢するコイルバネ57と、ラッチ49の基端側で挿入方向と略垂直に形成された当接面59とを備えたので、摘み片35がロック孔45に挿入されると、摘み片35の係止穴43にラッチ49が嵌入し、コイルバネ57が摘み片35を押し戻す方向に付勢することで、ラッチ先端の返し突起55が係止穴裏縁43aに係合する。
【0034】
したがって、ラッチ49は、係止穴43からの抜脱が返し突起55によって阻止され、振動・衝撃等によるロック解除が確実に防止される。また、ロック孔45に薄板21を挿入しても、薄板先端が挿入先でラッチ49の垂直な当接面59に当たるのみなので、従来のように、ラッチ49の傾斜面19を押圧して、その分力でラッチ49を係止穴43から抜脱する方向へ押し上げることができない。この結果、ロック状態を確実にし、施錠信頼性を向上させることができるとともに、薄板21を挿入することによる不正解錠を阻止して、防犯性を向上させることができる。
【0035】
また、ラッチ49に当接面59を形成するので、ラッチ爪51の挿入方向の全長を短くでき、その結果、摘み片35に形成する係止穴43を小さくできるので、摘み片35を強度的に有利に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るファスナー錠の摘み片に垂直な方向の断面図である。
【図2】本発明に係るファスナー錠が設けられるファスナーの斜視図である。
【図3】摘み片挿入途中の断面図である。
【図4】摘み片ロック状態の断面図である。
【図5】薄板挿入による不正解錠時の説明図である。
【図6】従来のファスナー錠の摘み片に垂直な方向の断面図である。
【図7】従来のファスナー錠における摘み片挿入途中の断面図である。
【図8】従来のファスナー錠における薄板挿入による不正解錠時の説明図である。
【符号の説明】
【0037】
31…ファスナー
33…スライダー
35…摘み片
37a,37b…務歯
39a,39b…テープ
41…ロック部
43…係止穴
43a…裏縁
45…ロック孔
47…テーパ面
49…ラッチ
55…返し突起
57…付勢手段(コイルバネ)
59…当接面
100…ファスナー錠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファスナースライダーの摘み片をロックすることで、一対の務歯付テープの固定される開閉縁部同士を開放不能とするファスナー錠であって、
スライダー閉止移動方向と平行な姿勢の前記摘み片を先端から挿入可能とするロック孔を有したロック部と、
前記摘み片の表裏に貫通する係止穴と、
前記摘み片の先端に先細となるように形成されたテーパ面と、
前記ロック部に設けられ前記係止穴に嵌入するラッチと、
該ラッチの嵌入先端に前記挿入の方向に突出して設けられ前記係止穴の裏縁に係止する返し突起と、
前記ロック部に設けられ前記摘み片を前記ロック孔から押し出す方向に付勢する付勢手段と、
前記ラッチのロック孔開口に対面する面に設けられ前記係止穴に先端側を嵌入させた前記ラッチの前記係止穴へ嵌入しない基端側で前記挿入方向と略直交して形成された当接面と、
を具備したことを特徴とするファスナー錠。
【請求項2】
前記ロック部に、錠装置と、該錠装置によって駆動される解除機構とが設けられ、
前記解除機構は、前記錠装置に挿入された合鍵の解錠回転によって、前記ラッチに、係止穴から退出させる方向の付勢力を付与することを特徴とする請求項1記載のファスナー錠。
【請求項3】
前記解除機構は、前記錠装置に挿入された合鍵の解錠回転によって、前記ラッチを、前記返し突起の係止解除方向へ移動させることを特徴とする請求項2記載のファスナー錠。
【請求項4】
前記錠装置が、シリンダー錠であることを特徴とする請求項2又は3記載のファスナー錠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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