説明

ファスナ取付ツール用ノーズアセンブリ

ファスナ取付ツール用ノーズアセンブリ10であって、ハウジング12と、ハウジング12内で受け止められるピストン14と、コレット15と、ハウジング12に取り付けられ、開口30を有するノーズキャップ22と、ピストン14の第1端部16とノーズキャップ22との間に配置される座アンビル26とを有する。アンビル26は、延出した前面部を含み、延出した前面部がノーズキャップ22内に保持される引込位置と、ノーズキャップ22の開口を通じて延出した前面部28が前進する延出位置との間を移動できる。アセンブリ10は、スリーブ102、ピン104、ロックカラー106を有するファスナ100に係合する。アンビルが延出位置にあり、シフト圧力が達し、ピン104がセットされ、スリーブ102がピン104により変形したとき、アンビルの延出した前面部28は、ロックカラー106を移動させ、ピン104とスリーブ102を互いにロックする。
【参考図】図1

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願の引用
本願は、2010年2月1日に出願され、同一出願人に所有されている、米国仮特許出願第61/300,302号、発明の名称「内蔵型シフト取付け式ノーズアセンブリ」に関するものであり、その出願の全てを、この引用を以て本願に組込むものとする。
【0002】
本発明は、メカニカルファスナ取付用ツールに関するものであり、更に具体的には、ロックカラーを有するメカニカルファスナ取付用ツールのノーズアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
ブラインドボルトファスナ等の或る種のファスナは、ファスナ取付過程の完了時に、ピンとファスナのスリーブとを機械的にロックするために、ロックカラーの挿入を必要とする。ピンとスリーブとの間にロックカラーを備えることにより、結合の安定性と耐久性は向上する。ロックカラーがロックを形成するために移動して、ピンがロック特性をロックカラーに及ぼすまで、ロックカラーは一般的に取付荷重を加える。
【発明の概要】
【0004】
一つの実施形態では、ファスナ取付用ツールのノーズアセンブリは、ハウジングと、ハウジング内で受け止められるピストンとを含む。一つの実施形態では、ピストンは、第1端部と、該第1端部の反対側に位置する第2端部とを備え、ピストンの第2端部は、ファスナ取付けツールと係合するように形成されており、また複数の顎を具えるファスナ係合端を有するコレットを備える。一つの実施形態では、ノーズアセンブリは、開口が形成されたノーズキャップを備え、該ノーズキャップは、ハウジングに取り付けられ、ピストンの第1端部に係合する。一つの実施形態では、ノーズアセンブリは、ピストンの第1端部とノーズキャップとの間に配置される座アンビル(seating anvil)を含む。一つの実施形態では、座アンビルは、延出した前面部を含む。該座アンビルの延出した前面部は、該延出した前面部がノーズキャップ内に保持される引込み位置と、延出した前面部が、ノーズキャップの開口を通って前進した延出位置との間を移動することができる。
【0005】
一つの実施形態では、ノーズアセンブリは、スリーブと、スリーブに係合するピンと、ピンとスリーブを互いに機械的にロックするロックカラーとを有する、ファスナに係合するように構成されている。一つの実施形態では、座アンビルが延出位置にあるとき、座アンビルの延出した前面部は、ロックカラーを移動させて、ピンとスリーブとを互いに機械的にロックするように構成されている。一つの実施形態では、ノーズアセンブリには、シフト圧力が予め加えられている。一つの実施形態では、ピンのロック溝が、ロックカラーと揃ったとき、ノーズアセンブリは、ピンの設定位置を検出する。一つの実施形態では、シフト圧力に達して、ピンとスリーブとがセットされた後、座アンビルが延出位置に移動される。一つの実施形態では、ピンとスリーブとがセットされているとき、ノーズアセンブリは、ファスナのロックカラーに圧力は及ぼさない。
【0006】
一つの実施形態では、ノーズアセンブリは、液圧シフト機構を備えている。一つの実施形態では、液圧シフト機構は、シールされた内蔵型液圧制御バルブを備えている。一つの実施形態では、ノーズアセンブリは、空気圧シフト機構を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付の図面を併せて考慮し、以下の実施形態の詳細な説明を参考とする。
【図1】図1は、本発明の実施形態に従ったファスナ取付けツール用ノーズアセンブリの側部断面図であって、ノーズアセンブリは、ファスナ取付過程の最初の段階におけるファスナとの係合を示す。
【図2】図2は、図1で示すノーズアセンブリの側部断面図であり、ファスナ取付過程の次のステップにおける、ファスナとの係合を示す。
【図3】図3は、図2で示すノーズアセンブリの側部断面図であり、ファスナ取付過程の次のステップにおける、ファスナとの係合を示す。
【図4】図4は、図3に示すノーズアセンブリの側部断面図であり、ファスナ取付過程の次のステップにおける、ファスナとの係合を示す。
【図5】図5は、図4に示すノーズアセンブリの側部断面図であり、ファスナ取付過程の次のステップにおける、ファスナとの係合を示す。
【図6】図6は、図5に示すノーズアセンブリの側部断面図であり、ファスナ取付過程の次のステップにおける、ファスナとの係合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照すると、一つの実施形態では、取付けツール用ノーズアセンブリ(10)は、ハウジング(12)と、ハウジング(12)内で受け止められ、第1端部(16)と該第1端部(16)と反対側に位置する第2端部(18)とを有するピストン(14)と、を備える。一つの実施形態では、ピストンの第2端部(18)は、ファスナ取付けツール(図示せず)に、操作可能(operationally)に取付けられる。一つの実施形態では、ピストン(14)は、複数の顎(20)を具えたファスナ係合端(17)を有するコレット(15)を含む。一つの実施形態では、ハウジング(12)は、ピストン(14)の第1端部(16)と係合して覆っているノーズキャップ(22)を含む。一つの実施形態では、ノーズキャップ(22)は、外表面(24)を含み、外表面の目的については、この後、記載する。一つの実施形態では、ノーズアセンブリ(10)は、ノーズキャップ(22)とピストン(14)の第1端部(16)との間に配置される座アンビル(26)を含む。一つの実施形態では、座アンビル(26)は、ノーズキャップ(22)内を移動し、ピストン(14)に操作可能に接続される。一つの実施形態では、座アンビル(26)は、ノーズキャップ(22)の開口(30)を通って前進する、延出した前面部(28)を有している。座アンビル(26)の目的と機能については、この後、記載する。
【0009】
更に、図1を参照すると、一つの実施形態では、ノーズアセンブリ(10)は、スリーブ(102)、ピン(104)及びロックカラー(106)を有するファスナ(100)と係合するように構成される。ファスナ(100)は、ワークピース(108)の孔に挿入される。一つの実施形態では、ロックカラー(106)が、スリーブ(102)のロックポケット(110)内に備えられる。一つの実施形態では、ピン(104)は、ヘッド部(112)と、ロック溝(114)とを含む。一つの実施形態では、プル部又はピン(104)のピンテール(116)は、ノーズキャップ(22)と座アンビル(26)を通り、ノーズアセンブリ(10)のハウジング(12)内に挿入される。一つの実施形態では、コレット(15)の顎部(20)は、ピン(104)のピンテール(116)を把持する。一つの実施形態では、座アンビル(26)は、ピン(104)のピンテール(116)を囲む。
【0010】
図2を参照すると、一つの実施形態では、ノーズアセンブリ(10)のコレット(15)の顎部(20)は、ピン(104)のピンテール(116)を掴み続け、コレット(15)は、ツールにより生じた力によって、ノーズキャップ(22)から引き離される。その結果、コレット(15)は、ピン(104)のピンテール(116)を引き、そしてノーズキャップ(22)の表面(24)が、ワークピース(108)と係合する。図3を参照すると、一つの実施形態では、コレット(15)によって、ピン(104)が引かれるので、ピン(104)のヘッド部(112)は、ワークピース(108)から延出したスリーブ(102)のフリーウォール部(118)を圧迫し、フリーウォール部(118)を変形させ、バルブ(120)を形成する。
【0011】
図4を参照すると、一つの実施形態では、シフト圧力が及び、ピン(104)がセットされ、スリーブ(102)が据え込みされ(つまり、変形される)、座アンビル(26)の延出した前面部(28)が、ノーズキャップ(22)の開口(30)を通って前進し、ロックカラー(106)を、スリーブ(102)のロックポケット(110)内と、ピン(104)のロック溝(114)へ移動させて、スリーブ(102)とピン(104)との間の機械的ロックを形成する。図5は、取付過程のこのステップの詳細な図を示している。図6を参照すると、一つの実施形態では、座アンビル(26)の延出した前面部(28)が、ロックカラー(106)を移動させ、スリーブ(102)とピン(104)との間の機械的ロックを形成し、ファスナー(100)をセットした後、座アンビル(26)が引き込まれ、延出した前面部(28)が、ノーズキャップ(22)の開口(30)を通して引き込まれる。一つの実施形態では、ピンテール(116)は、ピン(104)から切断して外されて、受取りバッグ(図示せず)に落とされて、異物の破片が残らないようになされる。
【0012】
上述したように、ピン(104)がセットされ、スリーブ(102)がピン(104)によって据え込みされた(つまり、変形した)後で、ノーズアセンブリ(10)は、ロックカラー(106)の取付けを生じさせる。一つの実施形態では、ノーズアセンブリ(10)が、ワークピース(108)からピン(104)を引き離している間、ノーズアセンブリ(10)は、ロックカラー(106)には、圧力を及ぼさないか又は圧力を最小に留める。一つの実施形態では、ピン(104)を引いて、スリーブ(102)を据え込ませるアクションと、ロックカラー(106)をセットして、セットされたファスナ(100)に、ピン(104)とスリーブ(102)とを機械的にロックするアクションとを分けることによって、ノーズアセンブリ(10)は、取付けツールに、ピン(104)の設定位置を検出する機能を提供することができる。一つの実施形態では、ノーズアセンブリ(10)は、1)ピン(104)のロック溝(114)がロックカラー(106)と揃ったとき、又は、2)ピン(104)に所定の押圧が及ぼされたとき、のいずれかを検出することによって、ピン(104)の配置動作と、ロックカラー(106)を自動的に移動させることを分けている。一つの実施形態では、取付過程の間、ノーズアセンブリ(10)は、ピン(104)のマッチングするロック溝(114)が利用可能となるときを検出し、ピン(104)をセットし続けながら、ロックカラー(106)を押し込む。一つの実施形態では、ノーズアセンブリ(10)は、取付けツールの利用者が、ファスナ(100)が適切なグリップレンジ内へ正確に取付けられたことを確認することが出来るように構成される。一つの実施形態では、ノーズアセンブリ(10)は、既存の取付けツールに適用することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、予め定められた圧力状態が生じたとき、ノーズアセンブリ(10)がロックカラー(106)を据え付けるように、シフトを開始することを予め定めている。一つの実施形態では、以下の表1は、所定の直径と予め定められた圧力とを有するファスナの間での、本発明の実施形態における、ピン(104)上の主な引張りから、ロックカラーの設定に切り替わる対応例を示している。
【0014】
【表1】

【0015】
いくつかの実施形態では、ノーズアセンブリ(10)は、液圧シフト機構を利用している。いくつかの実施形態では、ノーズアセンブリ(10)は、ファクトリーシールされた、完全内蔵型液圧制御バルブを備えている。いくつかの実施形態では、ノーズアセンブリ(10)は、空気圧シフト機構を備えている。いくつかの実施形態では、ノーズアセンブリ(10)は、メンテナンス不要で、いたずらを防ぎ、稼働中の調節を必要としない。いくつかの実施形態では、ノーズアセンブリ(10)は、該ノーズアセンブリ(10)を装備した工具の長期間の使用に適合して、継続した取り付けができる。いくつかの実施形態では、たとえ別バッチであるファスナを取り付けても、ノーズアセンブリ(10)の工場内設定条件は、使用中に調整する必要はない。ファスナに一般に使用される「駆動アンビル/ワッシャ」の様な部品を追加する必要性を減じ、それによって、削除したファスナ構成部品に関係して生産構造中にたまるであろう異物発生という危険を軽減し、又は最小化する。
【0016】
本願に記載されているノーズアセンブリ(10)は、単に例示であり、当業者であれば、本願に記載されている実施形態の精神と範囲から逸脱せずに様々なバリエーションや変形をすることが可能である。従って、そのようなバリエーションや変形が、添付した請求項内に定義された発明の範囲内に含むと理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内で受け止められるピストンであって、該ピストンは、第1端部と、該第1端部の反対側に位置する第2端部とを有し、ピストンの該第2端部は、ファスナ取付けツールと係合するように構成され、複数の顎部を備えたファスナ係合端部を有するコレットと、を有するピストンと、
開口部を有するノーズキャップであって、ハウジングに取り付けられ、前記ピストンの前記第1端部と係合するノーズキャップと、
前記ピストンの前記第1端部と、前記ノーズキャップとの間に配置される座アンビルと、を備え、前記座アンビルは延出した前面部を備え、前記座アンビルの前記延出した前面部は、該延出した前面部がノーズキャップ内に保持される引込位置と、延出した前面部がノーズキャップの開口を通って前進する延出位置との間を移動可能である、ファスナ取付ツール用ノーズアセンブリ。
【請求項2】
前記ノーズアセンブリは、スリーブと、前記スリーブに係合するピンと、前記ピンと前記スリーブとを互いに機械的にロックするロックカラーと、を有するファスナに、係合するように構成されている、請求項1に記載のノーズアセンブリ。
【請求項3】
前記座アンビルの前記延出した前面部は、前記座アンビルが延出位置にあるときに、前記座アンビルの前記延出した前面部が前記ロックカラーを移動させ、前記ピンと前記スリーブとを互いに機械的にロックするように構成されている、請求項2に記載のノーズアセンブリ。
【請求項4】
前記ノーズアセンブリは、シフト圧力を予め定めている、請求項3に記載のノーズアセンブリ。
【請求項5】
前記シフト圧力に達し、前記ピンがセットされ、前記ピンによって前記スリーブが変形した後で、前記座アンビルは延出位置へ移動する、請求項4に記載のノーズアセンブリ。
【請求項6】
前記ノーズアセンブリは、前記ピンと前記スリーブがセットされているときは、前記ファスナの前記ロックカラーには圧力を及ぼさない、請求項5に記載のノーズアセンブリ。
【請求項7】
前記ノーズアセンブリは、液圧式シフト機構を備える、請求項6に記載のノーズアセンブリ。
【請求項8】
前記液圧式シフト機構は、シールされた内蔵型液圧式制御バルブを備える、請求項7に記載のノーズアセンブリ。
【請求項9】
前記ノーズアセンブリは、空気圧式シフト機構を備える、請求項6に記載のノーズアセンブリ。
【請求項10】
前記ノーズアセンブリは、前記ピンのロック溝が、前記ロックカラーと揃ったとき、前記ピンの位置を検出する、請求項2に記載のノーズアセンブリ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2013−518722(P2013−518722A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551313(P2012−551313)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2011/022892
【国際公開番号】WO2011/094519
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(500277629)アルコア インコーポレイテッド (49)