説明

ファスニングテープ、これを用いた吸収性物品及び吸収性物品用カバー

【課題】ファスナーのテープ基材とおむつ端部の接合部分に張力がかかり係合部分にシワがよることやテープ基材とおむつの剛性の違いから前記部分に浮きが生じることにより係合力が低下することを抑制し、ならびにテープ基材のおむつの長手方向端部が外方に反り返ることを防止して、着用時に良好な接合状態が維持されるファスニングテープ、これを用いた吸収性物品及び吸収性物品用カバーを提供する。
【手段】ファスニングテープ1はこの一方の縁側を固定基部T側とし前記ファスナー11の少なくとも一部を含む前記固定基部T側の領域で吸収性物品又は吸収性物品用カバーの側縁部に重なるように取り付けられており、前記ファスニングテープ1の他方の縁側は前記側縁部とは重ならない自由端部S側とされ、前記ファスナー11には前記固定基部T側に切り込み18があり、該切り込み18は前記固定基部T側に向かって切込幅が広がる形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品及び吸収性物品用カバーに用いられるファスニングテープ、これを用いた吸収性物品及び吸収性物品用カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
展開型の使い捨ておむつは、通常、背側に沿わされる後部、腹側に沿わされる前部、該後部と前部との間に位置する中間部を有する。この中間部を乳幼児等の股下に沿わせて着用するとき、背側のサイドフラップを着用者の腹側にとどかせ固定部材によりおむつ前部の外表面に固着する。これにより、おむつを腰周りで適度にしめつけ、ずれ落ちないように固定することができる。上記固定部材としては、固着と剥離が繰り返し行える粘着シートや機械的な接合を可能とするファスニングテープが広く用いられている。
【0003】
ファスニングテープは、一般的に、粘着シートや面状のメカニカルファスナーを有し、例えばこれが基材シートともにおむつのフラップ部に取り付けられた構造を有する。このうちメカニカルファスナーとしては、繊維等との係合を可能とする微小な鉤型のフック状突起部や、きのこ状のもの等を多数有する面状ファスナー(雄材)が挙げられる。他方、腹側前部で上記面状ファスナー(雄材)を受ける部分は通常の不織布でもよいが、上記フックの効果的な掛かりを実現するよう、例えばループ状ないし毛羽立った表面繊維構造を有するランディングテープ(雌材)等が用いられる。
【0004】
ファスニングテープの具体的な構造としては、例えば、接着可能面を有する面状ファスナーと基材シートとで、おむつ本体のフラップ部を挟み込んだものがある。このような取り付け方式を取り付けられたファスニングテープを側面からみた形状に基づき「Yボンド方式」という。このYボンド方式を適用したものとして、例えば、面状のメカニカルファスナーの長手方向の一端と、基材シートとで、本体シートの端縁部の内面に固着したファスニングテープがある(特許文献1参照)。このメカニカルファスナーには多数のきのこ形状の微小フックが設けられており、全体として本体シートから延出方向に長尺矩形の面状ファスナーである。これによりファスニングテープの十分な取り付け強度が実現され、かつ製造原価の低減を可能とするとされる。また、同様のYボンド方式のものとして、T字のフックを多数有する平板状ファスナーと、裏うち材とで、おむつ本体の側縁部を挟み込んだものが開示されている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2000−269号公報
【特許文献2】特表平10−500326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、吸収性物品又は吸収性物品用カバーに用いられる接着可能面を有するファスナーを有するファスニングテープであって、これを所定のランディングテープ等に接合して吸収性物品等を装着固定したときに、テープ基材とおむつ端部の接合部分に張力がかかり係合部分にシワがよることやテープ基材とおむつの剛性の違いから前記部分に浮きが生じることにより係合力が低下することを抑制し、ならびにテープ基材のおむつの長手方向端部が外方に反り返ることを防止して、着用時に良好な接合状態が維持されるファスニングテープ、これを用いた吸収性物品及び吸収性物品用カバーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基材シートと接着可能面を有するファスナーとを有するファスニングテープであって、該ファスニングテープはこの一方の縁側を固定基部側とし前記ファスナーの少なくとも一部を含む前記固定基部側の領域で吸収性物品又は吸収性物品用カバーの側縁部に重なるように取り付けられており、前記ファスニングテープの他方の縁側は前記側縁部とは重ならない自由端部側とされ、前記ファスナーには前記固定基部側に切り込みがあり、該切り込みは前記固定基部側に向かって切込幅が広がる形状を有するファスニングテープにより上記の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のファスニングテープは接着可能面を有するファスナーを有し、これを所定のランディングテープ等に接合して吸収性物品等を装着固定したときに、該ファスナーのテープ基材とおむつ端部の接合部分に張力がかかり係合部分にシワがよることやテープ基材とおむつの剛性の違いから前記部分に浮きが生じることにより係合力が低下することを抑制し、ならびにテープ基材のおむつの長手方向端部が外方に反り返ることを防止して、着用時に良好な接合状態が維持することができるという優れた効果を奏する。また、本発明のファスニングテープは、複雑な構造や特殊な部材等によらずに上記の性能を発揮させることができるため、余計な製造工程や特殊な部材等を必要とせず生産性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明のファスニングテープについて、その好ましい実施形態としての展開型使い捨ておむつに基づき、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の好ましい実施形態であるファスニングテープ(実施形態1)を備えた展開型使い捨ておむつを、概ね着用したときの形状で模式的に示す斜視図である。図2−1は図1に示した使い捨ておむつを展開し、これを内側(表面シート側)からみたときの状態を模式的に示す平面図である。図2−2は図2−1の領域Aを拡大した平面図である。図3は図2−1のIII−III線断面を拡大して示す断面図である。
【0010】
本実施形態1のファスニングテープ1は左右2つが1対となり、おむつ10の着用者の背側に配されるおむつ後部rの両側縁部においてサイドフラップSrにそれぞれに配設されている。乳幼児等に着用させるときには、この後部rを着用者の背側に配し、さらにおむつ股下中央部cが股間に沿うようわたし、前部fを着用者の下腹部にあてる。このとき、後部サイドフラップSrを背中の方から腹側にわたし、このサイドフラップSrで腹側前部fのサイドフラップSfを覆うようにする。そして、ファスニングテープ1をランディングテープ(ファスナー受け部)6に圧し付けて、ファスニングテープの内側に設けられたファスナー11によりランディングテープ6の表面と接合させ係着する。おむつの使用後には、逆にファスニングテープ1をランディングテープ6から引き剥がし、後部サイドフラップSrからおむつを展開して乳幼児等から脱がせることができる。
【0011】
本実施形態1に示した使い捨ておむつ10は、液透過性の表面シート3、液不透過性又は撥水性の裏面シート5(図3参照)、及び両シート3,5間に介在された液保持性の吸収体4を具備する。おむつ全体の展開形状としては(図2−1参照)、実質的に縦長の砂時計形状、すなわち、その長手方向の両端部(腹側前部f,背側後部r)が幅広にされ、中央部cが緩やかな曲線をえがいて括れる形状とされている。表面シート3及び裏面シート5は、それぞれ吸収体4の左右両側縁から外方に延出している。裏面シート5は、使い捨ておむつ10の輪郭を画成しており、さらに裏面シートの外側に肌ざわりや外観を考慮した不織布からなる外装シートを被覆して配設してもよい。
【0012】
使い捨ておむつ10には、吸収体4における長手方向の両側部に沿って、一対の防漏カフ17,17が設けられている(図2参照)。各防漏カフ17は、弾性部材15を備えた不織布からなるサイドシート8を、表面シート3の両側縁を跨いで配設して形成されている。各サイドシート8は、吸収体4の側縁とレッグギャザー形成用の弾性部材16との間において、おむつ長手方向にわたって表面シート3上に固定されている。防漏カフ17の自由端(内端)は、おむつ展開状態において、おむつ長手方向と略平行に形成されている。このような構成の防漏カフ17とすることにより、着用時には弾性部材15,15の適度な収縮力が作用し、防漏カフ17の自由端縁が立ち上がり、立体ギャザーを構成する。この立体ギャザーが肌にしっかりと当接して、排泄物の外部への移行を遮断して横漏れを効果的に防止する。
【0013】
本実施形態においては、上述のとおり、左右2つのファスニングテープ1が後部サイドフラップSrに配設されている。本実施形態のファスニングテープ1は、基材シート12と、基材シート12の内側面12iの一部(図3参照)に接合された接着可能面を有するファスナー11とからなる。そして上記ファスニングテープ1は、その内側縁1a側である該テープの固定基部T側の領域eで(図2−2、図3参照)、いわゆるYボンド方式により取り付けられている。すなわち、基材シート12の内側面12iとファスナー11の外表面11oとの間でおむつの後部サイドフラップSrを挟み込むようにして固着されている。このとき、内方領域eにおいてファスナー11の過半を占める領域で該ファスナー11とおむつの側縁部をなすサイドフラップSrとが重なるようにされている。各部材の接着方法は特に限定されず、通常のこの種のシート材等に用いられる接着剤によって接着することができる。このように本実施形態1においては、シンプルな構造でありながら取り付け強度が高く、しかもファスニングテープとしての取扱い性に優れるYボンド方式を採用することができる。このため、製造工程が煩雑にならず、しかも余計な部材や特殊な材料によることなく、上記の優れた取扱い性や高強度を実現することができ好ましい。
【0014】
ファスナー11の接着可能面の構造は特に限定されず、粘着シートや面状のメカニカルファスナーを用いることが出来る。例えば面状のメカニカルファスナー(面状ファスナー)ならばその内面11iには、鉤状もしくはきのこ状のフックを形成する微小突起部(図示せず)が多数その全面にわたって設けられており、おむつ前部fに配したランディングテープ6のループ状ないし毛羽立ちのある不織布表面の繊維にしっかりと個々のフックが係合するようにして固着される。この面状ファスナー11及び基材シート12は広幅の長方形で、その幅方向(長手方向)がおむつの長手方向(Y方向)と一致している(図2−1参照)。そして、ファスニングテープ1は基材シートの外面12oを非肌当接面に向け、この外側縁1b側である自由端部S側の延出部eにおいてサイドフラップの側縁Seから展開上体のおむつ幅方向の外方に延出している(図2−1、図2−2参照)。このとき、基材シート12は、上記と同様延出部eにおいてサイドフラップSrの外方に延出しており、ファスナー11は延出部eにおいてサイドフラップ側縁Seから延出している。そして、基材シート12は、さらにファスナー11の外方に、延出部eにおいて延出している。
【0015】
本実施形態のファスニングテープ1の寸法は、具体的な用途等に応じて適宜設定することができる。例えば、乳幼児用のおむつに用いられるもので、基材シート12の長手方向(Y方向)の長さは20〜50mmであることが好ましく、幅方向(X方向)の長さは30〜70mmであることが好ましい。ファスニングテープの止着操作性の観点から、延出部eの長手方向の20〜55mmであることが好ましく、延出部eの長さは5〜50mmであることが好ましい。ファスニングテープ全体の寸法は上記基材シートと同様である。
【0016】
ファスナー11の長手方向(Y方向)の長さは20〜50mmであることが好ましく、幅方向(X方向)の長さは20〜50mmであることが好ましい。またファスナーの延出部eの長さは10〜40mmであることが好ましい。
【0017】
本実施形態1においてファスニングテープ1は、上述のようにこの固定基部Tを含む領域でおむつの側縁部であるサイドフラップSrに取り付けられているが、さらにこのファスニングテープ1のファスナー11には前記固定基部T側に切り込み18がある(図1、2−1、図3参照)。そして、この切り込み18は前記固定基部側に向かって切込幅が広がる形状を有する。具体的に本実施形態における上記切り込み18は平面視において山形である。ここで「山形」とは、図示したもののような切り込み縁線18cの長さが2辺において等しい二等辺三角形のもののほか、各辺の長さの等しくない三角形や、切り込み頂点(終点)18bにあたる部分が截頭された台形のものを含む。更に切り込みの幅について詳しくいうと、本実施形態においては切り込み18の幅が、切り込み頂点18bの幅はなく頂角をなし、中間点の幅wにかけて広がり、さらに切り込み開口(始点)18aの切込幅wがより広くなるようにされている。この切り込み開口の切込幅wは特に限定されないが、例えば、該ファスナーのY方向長さの1/5〜2/3mmとすることができる。この切込幅は後述するように切り込みを複数併設する場合には、この切り込み数との関係で適宜定めてもよい。
【0018】
本実施形態1のファスニングテープは、上述のように、その固定基部側においてファスナーに切り込み18が設けられているため、おむつを乳幼児に着用させて腹側のランディングテープ(詳細は後述する。)6に係着した際の良好な接合状態が維持される。
【0019】
この点を、まずその比較の実施形態として、比較のためのファスニングテープ7を有するおむつ70に基づき説明する(図13参照)。おむつの基本的な構成は図1で説明したものと同様である。ただし比較ファスニングテープ7に用いられたファスナー71には切り込みがない。このようなファスナー71であってもランディングテープ6に接合固定することが可能である。しかし、着用させる乳幼児の体形や動きによって例えば胴回り方向にサイドフラップSrが引張られたときなど、その良好な係着状態を維持できないことがある。具体的には、ファスナーは通常その周辺のシート部材より剛性が高く、胴回り方向の張力をサイドフラップSr側から強く受けると、その中央が盛り上がるように浮いてしまう。これにより、上記ファスナー71の中央及びそこから尾を引くようにサイドフラップSrにかけて浮きqが生じる。この浮きqが大きくなると、ファスナー71はランディングテープ6から例えば着用時の外部からの入力により引き剥がされ、ファスニングテープの不用意な剥離の原因となる。
【0020】
あるいは、ファスニングテープの固定基部Tと反対側のファスナー角部71aが局部的に剥離してくることがある(部分剥離p)。これにより、上記中央部のときと同様にサイドフラップSrにも浮きqが伝搬発生し、着用者の動きによってはファスニングテープが剥離してしまう。また、この角部71aの部分剥離pは、母親などが乳幼児を抱いたときなどに、そこに指が入りこむ隙間となり、これによりファスニングテープを剥がしてしまうことにつながる。また、おむつの外側にやわらかい素材の衣服をまとっているときなどには、上記角部71aがめくれてファスナー71の接着可能面が衣服の方に強く係着してしまい、これを剥がすために困難をともなうこともある。
【0021】
これに対し、本実施形態のファスニングテープにおいては、図1に示したように、ファスナー11中央部のシワや浮きを、ファスナーの切り込み18の部分に誘引する。切り込み18の部分はファスナー11とランディングテープ6との係着に関与していない部分であり、シワや浮きが生じてもこの係着性にほぼ影響を与えない。すなわち、本実施形態によれば、胴回り方向の張力により生じるサイドフラップSr内の歪を、この切り込み18に集めて、ファスナー11の係着面への歪の伝搬を効果的に緩衝ないし遮断することができる。その結果、着用時にファスニングテープの良好な接合状態が長時間にわたって維持される。
【0022】
上記比較のためのファスニングテープ7で生じたようなファスナー及びその近傍部材の浮きや剥がれは、サイドフラップSrに伸縮性シートを用いたときにこの面内変形が助長され、より顕著になる。また、同様に、ファスニングテープを広幅化、つまり展開したおむつ(図2−1参照)の長手方向(Y方向)のテープ長さを長くしたときにより顕著になる。他方、おむつの履き心地やフィット性、ないしは乳幼児の腹部の動きに追従する性能、おむつの穿かせやすさを考慮したときには、サイドフラップSrに伸縮性をもつものを用いたい。また、ファスニングテープの係着面積を広くとり、これにより安定した固定を実現するためには、上記ファスニングテープの広幅化が望まれる。しかしながら、上述のように切り込みのない比較のためのファスニングテープ7ではこれらを採用し、諸特性の向上を実現することは難しい。
【0023】
これに対し本実施形態1の切り込みを設けたファスニングテープ1によれば、伸縮性をもつサイドフラップSrと広幅のファスニングテープ1とを好適に採用することができる。その結果、上述したようなおむつに求められる諸特性、「おむつの履き心地」「フィット性」「乳幼児の動きに対する追従性」「おむつの穿かせやすさ」「ファスニングテープの安定した固定性」等を同時に実現することができ好ましい。
【0024】
図4は、本発明の別の好ましい実施形態であるファスニングテープ(実施形態2)を模式的に示す平面図である。同図においては上記実施形態1における図2−2に対応する部分を示している(このことは、以下の図5〜図9において同様である。)。本実施形態2においては、山形の切り込み18が2つ並列して内側縁1a側の固定基部T側に設けられている。このようにすることで、胴周り方向の張力により生じるサイドフラップSr内の歪みを2個の切り込みに集めるため特に広幅のファスニングテープの場合により効果的である。切り込み18を複数併設するときその数は特に限定されないが、乳幼児用のおむつであれば3個以下が実際的であり、大人用であれば5個以下が実際的である。
【0025】
図5は、本発明のまた別の好ましい実施形態であるファスニングテープ(実施形態3)を模式的に示す平面図である。本実施形態3においては、切り込み18が波形にされている。本発明において波形とは、切り込み縁線18cが曲線で構成された切り込みをいい、図示しものような放物線状のもののほか、半円形のものや、切り込み線自体が波線になり全体として山形のもでもよい。本実施形態3においては波形の切り込みが1つ配設されているが、2つ以上並列して固定基部T側に設けてもよい。そのときの切り込み数は上記実施形態2で述べたのと同様である。本実施形態3のような波形の切り込みとすることで、装着前に母親などが基材テープを開く際に角18eが指に当たることがなくこれによるファスナー部分のめくれが起こらない。また、角が丸いことにより見た目の印象がやわらかい。なお、本実施形態においては、基材シートの自由端縁12tを波形にしている。このように基材シートの自由端縁を始め、基材シートないしファスナーの縁を、見た目や抓みやすさ等を考慮して所定の形状になるよう加工してもよい。
【0026】
図6は、本発明のさらにまた別の好ましい実施形態であるファスニングテープ(実施形態4)を模式的に示す平面図である。本実施形態4においては、切り込み18が山形であるが、固定基部Tの反対側、つまり自由端部S側のファスナー端縁18dに切り込み終点18bが到達するようにされている。すなわち、切り込み18がファスナーの延出部eの全長にわたって形成されている。このようにすることで、乳幼児の腹部の縦方向、つまりおむつのY方向の曲面へのフィット性がより向上し、食事や体勢などによる腹部膨らみ具合の変化により追従する。
【0027】
図7は、本発明のまた別の好ましい実施形態であるファスニングテープ(実施形態5)を模式的に示す平面図である。本実施形態5においては、切り込み18が波形であり、自由端部S側のファスナー端縁18dに切り込み終点18bが到達するようにされている。そして、2つの切り込み18が形成されている。このようにすることで、切り込みが複数でありまた長さが長い場合にはより鋭角となる角18eが丸いことで、装着前に基材テープを開く際に角18dが指に当たることがなくこれによるファスナー部分のめくれが起こらない効果や見た目の印象がやわらかくなることはより好ましい。
【0028】
図8は、本発明のさらにまた別の好ましい実施形態であるファスニングテープ(実施形態6)を模式的に示す平面図である。本実施形態6においては、切り込み18が山形であるが、固定基部Tの反対側のファスナー端縁18dに切り込み終点18bが到達するようにされ、かつこの切り込み終点18bが開口状態となっている。換言すると、切り込み18がファスナー11の固定基部T側からその反対側(自由端部S側)の縁18dまでの全長にわたって形成され、これによりファスナー11がファスナー構成部11sと11tとに分割されている。このようにすることで、より動きの激しい幼児の前かがみの体勢など、より複雑な腹部の形状変化にも追従しやすい。
【0029】
図9は、本発明のまた別の好ましい実施形態であるファスニングテープ(実施形態7)を模式的に示す平面図である。本実施形態7においては、上記実施形態6のファスナー11を分割する切り込み18を2つ設けたものである。したがって、ファスナー11はファスナー構成部11s、11t、11uの3つに分割され、切り込み開口部18a及び切り込み終点部18bはそれぞれ2つとなる。このようにすることで、切り込み開口部18aが2つ形成される。このように切り込み部を複数設ける作用は上記本実施形態2(図4参照)と共通する。
【0030】
次に、ランディングテープ6について説明する。ランディングテープ6は、腹側前部fのおむつ外側表面、つまり非肌当接面側の面に貼り付けられており、横長矩形で、その長手方向がおむつ幅方向と一致している(図1,図2−1参照)。ランディングテープ6はファスニングテープ8が止着されることで、使い捨ておむつの装着形態を形成できるようになっている(図1参照)。なお、ファスニングテープとして面状のメカニカルファスナーを用いた場合で、使い捨ておむつ10の非肌当接面側の面が、オス材のメカニカルファスナー11に止着可能なシートから形成されている場合には、ランディングテープ6は必ずしも必要ない。
【0031】
表面シート3、裏面シート5、及び吸収体4としては、通常の吸収性物品等において用いられている各種材料を用いることができる。ファスニングテープ1の基材シート11の形成材料としては、通常の使い捨ておむつ等において用いられている不織布又は合成樹脂製フィルム等の各種のテープ材料を用いることができ、特に、風合いや摘み易さの観点から、不織布を用いることが好ましい。ランディングテープ6の形成材料としては、使い捨ておむつ等において用いられているメカニカルファスナーのメス材となる不織布や、不織布又は編布を接合した合成樹脂製フィルム等が好ましく、特に、それ自身でメカニカルファスナーのメス材となる不織布が好ましい。面状のメカニカルファスナー(面状ファスナー)を形成する材料としては、例えば、「マジックテープ(登録商標)」(クラレ社製)等のメカニカルファスナーのオス部材に相当する構成を備えるもので、例えばシート基材の表面に錨状のオス型係合部材がフックとして多数配設されたものや、シート基材の表面に釣型のオス型係合部材がフックとして多数配設されたものをテープ状に形成したものである。また、メカニカルファスナーとしては、他に、「クイックロン」(登録商標、YKK社製)、「マジクロス」(登録商標、カネボウベルタッチ社製)、「CS−200」(商品名、3M社製)等の各種の市販品を挙げることができる。
【0032】
上記各実施形態においてはサイドフラップSrに収縮性をもつものを揚げているが、伸縮性の付与の方法は特に限定されない。サイドフラップSrにゴムを配したもの、おむつの外装に伸縮性不織布を用いたものさらにはおむつ本体の側縁部に伸縮性シートを取り付けたものでも良い。
【0033】
図10はサイドフラップSrに伸縮性シート2を用いた場合の実施形態(実施形態8)を示したものである。図11は図10に示した使い捨ておむつを展開し、これを内側(表面シート側)から見たときの状態を模式的に示す平面図である。図12は図11のXII−XII線断面を拡大して示す断面図である。
【0034】
本実施形態8の伸縮性シート2は、シートの最大伸度が50%以上であり、シートを所定の方向に伸度50%まで伸長させた後に収縮させたときの伸長回復率、すなわち50%伸長時の伸長回復率が、60%以上であるものが好ましい。このような伸長性を面内方向の少なくとも一方向に有すればよい。ここで伸長回復率は、以下の方法によって測定される。
[伸長回復率の測定方法]
長さ50mm、幅25mmのシートのサンプル片を用意し、引っ張り試験機((株)オリエンテック社製「テンシロン」RTC−1150A〔商品名〕)を用いて、チャック間隔K0にサンプル片を固定し、300mm/分の速度で50%伸長時の長さK2(K2=K0×2)まで伸長させた後、引っ張り速度と同様の速度で引っ張り力を開放して、応力が0になったときのサンプル片の長さを伸長回復後の長さK1とする。この測定結果から次式により、50%伸長時の伸長回復率を算出する。
50%伸長時の伸長回復率(%)=〔(K2−K1)/(K2−K0)〕×100 最大伸度が50%以上である方向を複数有する場合は、そのうちのいずれか1方向のみにおいて上記最大伸度及び伸長回復率を示すものも伸縮性シートに含まれる。
【0035】
伸縮性シート2として伸縮性不織布が挙げられ、例えば、弾性繊維層の両面に、同一の又は異なる、実質的に非弾性の非弾性繊維層が積層されているものがある。このとき弾性繊維層と、非弾性繊維層とは、弾性繊維層の構成繊維が繊維形態を保った状態で、繊維交点の熱融着によって全面で接合されていることが好ましい。この実施態様においては、弾性繊維層と、非弾性繊維層との界面及びその近傍において、弾性繊維層の構成繊維と、非弾性繊維層の構成繊維との交点が熱融着しており、実質的に全面で均一に接合されていることが好ましい。また、2つの非弾性繊維層のうちの少なくとも一方においては、その構成繊維の一部が弾性繊維層に入り込んだ状態、及び/又は、弾性繊維層の構成繊維の一部が少なくとも一方の非弾性繊維層に入り込んだ状態になっていることが好ましい。
【0036】
弾性繊維層の構成繊維としては、例えば熱可塑性エラストマーやゴムなどを原料とする繊維を用いることができる。弾性繊維層は弾性を有する繊維の集合体であるが、伸縮弾性を損なわない限りにおいて非弾性繊維が含まれていてもよい。非弾性繊維層は、伸長性を有するが、実質的に非弾性のものである。ここでいう、伸長性は、構成繊維自体が伸長する場合と、構成繊維自体は伸長しなくても、繊維どうしの交点において熱融着していた両繊維どうしが離れたり、繊維どうしの熱融着等により複数本の繊維で形成された立体構造が構造的に変化したり、構成繊維がちぎれたりして、繊維層全体として伸長する場合のいずれであってもよい。非弾性繊維層を構成する繊維としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PETやPBT)、ポリアミド等からなる繊維等が挙げられる。また、芯鞘型又はサイド・バイ・サイドの複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、捲縮繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。
【0037】
上記実施態様の伸縮性不織布は、その面内方向の少なくとも一方向に伸縮性を有するが、面内のすべての方向に伸縮性を有していてもよい。その場合には、方向によって伸縮性の程度が異なることは妨げられない。伸縮する方向に関し伸縮性の程度は50%伸長時の荷重が10〜500cN/25mmであることが好ましく、特に20〜100cN/25mmであることがより好ましい。また50%伸長状態から収縮させたときの残留歪みが15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
また、伸縮シートとして特開2007−138374号公報に記載の内容を参照することができ、その製造方法については特開2007−84966号公報、特開2007−22066号公報などを参考にしてもよい。
【0038】
本発明のファスニングテープは、前述した実施形態に限定されることなく、適宜変更が可能である。例えば、メカニカルファスナー(面状ファスナー)はメス材でもよい。その場合には、例えば、使い捨ておむつの腹側部の非肌当接面側に、対となるメカニカルファスナーのオス材をランディングテープとして設ければよい。またファスニングテープは、使い捨ておむつの腹側部の両側縁部に配されていてもよい。本発明のファスニングテープにおいては、前記各実施形態の各構成を適宜組み合わせることができる。さらに、本発明のファスニングテープは上記実施形態のような乳幼児用使い捨ておむつに限らず、大人用のおむつでもよい。また、おむつカバーや尿とりパッドと組み合わせて用いるカバーパンツであってもよく、ファスニングテープが適用される各種の吸収性物品及び吸収性物品用カバーに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の好ましい実施形態であるファスニングテープ(実施形態1)を備えた展開型使い捨ておむつを模式的に示す斜視図である。
【図2−1】図1に示した使い捨ておむつを展開したときの状態を模式的に示す平面図である。
【図2−2】図2−1の領域Aを拡大した平面図である。
【図3】図2−1のIII−III線断面を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態であるファスニングテープ(実施形態2)を模式的に示す平面図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態であるファスニングテープ(実施形態3)を模式的に示す平面図である。
【図6】本発明の好ましい実施形態であるファスニングテープ(実施形態4)を模式的に示す平面図である。
【図7】本発明の好ましい実施形態であるファスニングテープ(実施形態5)を模式的に示す平面図である。
【図8】本発明の好ましい実施形態であるファスニングテープ(実施形態6)を模式的に示す平面図である。
【図9】本発明の好ましい実施形態であるファスニングテープ(実施形態7)を模式的に示す平面図である。
【図10】本発明の好ましい実施形態であるファスニングテープ(実施形態8)を備えた展開型使い捨ておむつを模式的に示す斜視図である。
【図11】図10に示した使い捨ておむつを展開したときの状態を模式的に示す平面図である。
【図12】図11のXII−XII線断面を拡大して示す断面図である。
【図13】比較のためのファスニングテープを備えた展開型おむつを模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ファスニングテープ
1a ファスニングテープの内側縁
1b ファスニングテープの外側縁
2 伸縮性シート
3 表面シート
4 吸収体
5 裏面シート
6 ランディングテープ
8 サイドシート
10 展開型の使い捨ておむつ
11 面状のメカニカルファスナー(面状ファスナー)
12 基材シート
15 立体ギャザー形成用の弾性部材
16 レッグギャザー形成用の弾性部材
17 防漏カフ
T 固定基部
S 自由端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートと接着可能面を有するファスナーとを有するファスニングテープであって、
該ファスニングテープはこの一方の縁側を固定基部側とし前記ファスナーの少なくとも一部を含む前記固定基部側の領域で吸収性物品又は吸収性物品用カバーの側縁部に重なるように取り付けられており、前記ファスニングテープの他方の縁側は前記側縁部とは重ならない自由端部側とされ、前記ファスナーには前記固定基部側に切り込みがあり、該切り込みは前記固定基部側に向かって切込幅が広がる形状を有するファスニングテープ。
【請求項2】
前記切り込みは山形又は波形である請求項1記載のファスニングテープ。
【請求項3】
前記切り込みが前記ファスナーの前記自由端部側の縁にまで延び、該ファスナーが前記切り込みにより複数に分割されている請求項1又は2記載のファスニングテープ。
【請求項4】
前記ファスニングテープが、前記基材シートと前記ファスナーとで前記吸収性物品又は吸収性物品用カバーの側縁部を挟み込むようにして取り付けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載のファスニングテープ。
【請求項5】
前記吸収性物品又は吸収性物品用カバーの側縁部が伸縮シートで形成された請求項1〜4のいずれか1項に記載のファスニングテープ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のファスニングテープを備えた吸収性物品。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のファスニングテープを備えた吸収性物品用カバー。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−131104(P2010−131104A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308277(P2008−308277)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】