説明

ファブリックケア製品及び方法

【課題】回転式乾燥機などの機械式乾燥装置において、反復使用又は複数回使用するための材料の固形又は半固形マトリックスから製造されるファブリックケア製品の提供。
【解決手段】マトリックスは、充填剤構造化剤とポリマー構造化剤とを含む構造化剤を含む。充填剤構造化剤は、組成物の重量の約0.2%から約10%を占め、ポリマー構造化剤は、組成物の重量の約0.5%から約20%を占める。マトリックスは、さらに、最大約25%の陰イオン性石鹸界面活性剤と、約10%から約60%の遊離脂肪酸と、約1%から約50%の非イオン性界面活性剤とを含むが、陽イオン界面活性剤を実質的に含まない。ファブリックケア製品が使い果たされると、ファブリックケア製品は単に消失し、製品を補充する必要があることを使用者に知らせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式乾燥機などの機械式乾燥装置中で複数回使用するための材料の固形又は半固形マトリックスから製造されたファブリックケア製品に関する。
【背景技術】
【0002】
コンディショニング剤を、便利な様式で、洗浄された織物の繊維性物質と効果的に接触させるために、回転式乾燥機中でコンディショニング剤を均一に分布させることは容易に達成されない。例えば、過剰なコンディショニング剤を局所的に適用することによる、染み又は汚れのリスクは、深刻な場合があり得る。形状保持又は柔軟にすることができ、コンディショナーで被覆され及び/又は含浸された基剤又は基材を一般に含有するコンディショニング製品の使用は、広く使用されている。使用時に、コンディショナーは織物に対して除去可能であるが、汚れはひどい場合があり得る。例えば、陽イオン性コンディショニング剤(例えば、四級アンモニウム塩)を、色素体又は二価若しくは三価鉄イオンなどの重金属イオンを含有する素材と接触させることによって生じた汚れは、仮に可能であるとしても、ドライクリーニングによってのみ除去可能であり得る。
【0003】
乾燥機のドラムに取り付け、又は乾燥機中で緩やかに回転することができる、固形又は半固形織物コンディショニング剤を分配するための再使用可能な浸透性分配装置が開発されている。例えば、米国特許第3,870,145号(Mizuno);第3,948,387号(Haertle);第4,004,685号(Mizuno, et al.):及び第4,014,432号(Clothier, et al.)を参照。
【0004】
本発明は、分配装置を必要としないように、ファブリックケア組成物を設計し得るという発見に基づいている。特定の成分を特定の量で選択すると、思いがけないことに、自動機械式回転式乾燥機中で制御された送達を可能としつつ、分配装置を必要としない固形塊マトリックスがもたらされる。ファブリックケア製品が使い果たされると、ファブリックケア製品は単に消失し、製品を補充する必要があることを使用者に知らせる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術によって未実現のまま残されていた、固有のファブリックケア組成物(実質的に、陽イオン性界面活性剤が存在しない。)を有する固形又は半固形マトリックスから構成されるファブリックケア製品及び回転式乾燥機などの機械式乾燥装置におけるその複数回の使用方法に対する要求を充足する。回転式乾燥機には、通例、電気、ガス又はその他であり得る熱源を含み、回転式ドラムと排気装置が取り付けられている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記ファブリックケア組成物は、
(a)前記組成物の約0.2重量%から約10重量%を占める充填剤構造化剤と前記組成物の約0.5から約20重量%を占めるポリマー構造化剤とを含む構造化剤と;
(b)最大約25%の陰イオン性界面活性剤含有石鹸と;
(c)好ましくは約10℃から約65℃の融点を有する約10%から約60%の遊離脂肪酸と;
(d)約1%から約50%の非イオン性物質と;
を含む。
【0007】
前記充填剤構造化剤は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース及びこれらの混合物であり得る不織布である。ポリマー構造化剤は、ポリアミド、親水性末端基と親油性末端基を有する、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック共重合体、アルキルフェノールポリ低級アルキレンオキシド低級アルカノール、低級アルキレングリコールのポリマー、高級脂肪アルコールのポリアルキレングリコールエーテル及び高級脂肪酸のポリアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレン化された脂肪アルコール、ポリウレタン、ポリラクチド、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリビニルアルコール及びこれらの混合物から作製され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、固有のファブリックケア組成物を有する固形又は半固形マトリックスから構成されるファブリックケア製品、及び回転式乾燥機などの機械乾燥装置においてこれを複数回使用する方法に関する。回転式乾燥機は、通例、電気、ガス又はその他であり得る熱源を含み、回転式ドラムと排気装置が取り付けられている。
【0009】
前記ファブリックケア組成物は、
(a)前記組成物の約0.2重量%から約10重量%を占める充填剤構造化剤と前記組成物の約0.5から約20重量%を占めるポリマー構造化剤とを含む構造化剤と;
(b)最大約25%の陰イオン性界面活性剤含有石鹸と;
(c)約10%から約60%の遊離脂肪酸と;
(d)約1%から約50%の非イオン性物質と;
を含む。
【0010】
前記マトリックスは、複合材料の統合された三次元塊であり、回転式乾燥機中で複数回使用するために(好ましくは約10回の使用又は乾燥機サイクル)、約10から約30グラムの棒に成型され得る。前記マトリックスは、約20から約25℃の周温で固形又は半固形である。前記棒は、洗濯用乾燥機中で過熱されると、柔らかくなる。本製品は、乾燥機中の温度と湿度がある点に達すると、直接に接触/拭き取る機構によって、前記織物に送達される。本製品は、これにより、汚れを回避するように設計されている。製品の固体形態は、様々な形態へ仕上げることができるので、その審美性を増大させ得る。ファブリックケア製品が使い果たされると、ファブリックケア製品は単に消失し、製品を補充する必要があることを使用者に知らせる。
【0011】
基材、展着剤又はパッケージが不要であり、これによって、材料の費用、その上にファブリックケア材料を適用するプロセスの費用、及び環境に対する費用が回避される。必要に応じて、前記ファブリックケア製品は、マトリックスを保持し、回転式乾燥機中の織物上へのマトリックス組成物の送達を可能とするパッケージをさらに含む。例えば、前記パッケージは、ファブリックケア組成物を保存するための貯蔵容器を含み得る。前記パッケージは、回転式乾燥機のサイクル当りに織物上に送達された材料の量も調節する。さらに、必要に応じて、前記パッケージには、回転式乾燥機の稼動中にマトリックス材料を吸着又は吸収し得る、送達ウィンドウを与え得る。吸着性材料は、織物上へのマトリックス材料の送達を調節する。吸収性材料は、好ましくはポリエステル、ポリプロピレン、セルロース及びそれらの混合物から得られる不織材料であり得る。パッケージは、好ましくは、乾燥機のドア上若しくは乾燥機の羽の一方の最先端上に載せることができ、又はそれが消失するまで、乾燥機の内部に維持することができる。
【0012】
本明細書において、「複数回の使用」という用語は、その通常の意味で使用され、回転式乾燥機などの機械式乾燥装置の複数の回転乾燥サイクルの間に再使用することを表す。好ましい複数サイクルの数は、約3から約50の乾燥サイクル、より好ましくは約3から約25の乾燥サイクル、最も好ましくは約3から約10の乾燥サイクルである。
【0013】
本明細書において「含む」という用語は、その通常の意味で使用され、含む、からできている、から構成される、からなる及び/又はから実質的になる、ことを意味する。換言すれば、本用語は、本用語が指す工程、構成要素、成分又は特徴を網羅しないものとして定義される。
【0014】
実施例又は比較例中を除き、又は別段の記載が明示されている場合を除き、量又は材料の比又は反応の条件、材料の物理的特性及び/又は使用を示す、本明細書中の全ての数字は、「約」という単語によって修飾されているものと理解しなければならない。本明細書において使用される、「実質的に含まない」という用語は、本用語が指す物の量が、組成物の約5%未満、好ましくは約1%以下に限定されることを意味する。
【0015】
ファブリックケア組成物
ファブリックケア組成物は、織物の特性を改善する。本発明の組成物は、以下に記載されており、複数回使用の再使用可能な形態で存在する。
【0016】
構造化剤
ファブリックケア組成物には、充填剤構造化剤又は材料とポリマー構造化剤とから構成される構造化剤が含まれる。いかなる理論に拘泥することも望むものではないが、構造化剤は、主として、2つの機能、1つは純粋な構造化であり、もう一つは送達を調節するという機能を果たすと思われる。
【0017】
充填剤構造化剤
充填剤構造化剤は、不織布から構成され得る。不織布は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース及びその混合物から構成され得る。本剤も、吸収材料としての役割を果たす。
【0018】
不織布は、毛糸に変換されておらず、複数の手段のうち任意の手段によって、互いに結合されている、シート、織布、又は天然及び/又は人工の繊維若しくはフィラメントのバット(紙を除く。)である。
【0019】
a)接着剤を添加する;
b)繊維若しくはフィラメントを互いに又は他の融解可能な繊維若しくは粉末に、熱的に融合させる;
c)まず溶解し、次いで、それらの表面を再度固化することによって、繊維を融合する;
d)繊維の間に、物理的な絡み又は房を作る;
e)所定の位置に、繊維又はフィラメントを縫い合わせる;及び/又は
f)上記の組み合わせ。
【0020】
乾式(dry−laid)、湿式(wet−laid)、メルトブローン、スパンボンド及びナノファイバー不織布が存在する。好ましいのは、結合剤あり又は結合剤なしの空気式(air−laid)不織布である。より好ましくは、空気式不織布は、約2から約15オンス/平方ヤードの密度、約1/6から「約1」(インチ)の呼び厚さ(nominal thickness)を有する。孔径又は空隙率は、ppi(孔/直線インチ)によって特徴付けることができる。好ましい、空隙率は、約10ppiから約150ppiである。より好ましい孔径は、約20から約100ppiである。
【0021】
充填剤構造化剤は、本発明のファブリックケア製品を構成する、約0.2%から約10%の固形又は半固形マトリックスを含む。
【0022】
ポリマー構造化剤
ポリマー構造化剤は、マトリックス組成物の全体的な粘度を増加させ、回転式乾燥機中の固体ブロックからのマトリックス材料の放出を調節する。構造化剤以外のマトリックス活性物質は、稼働中の回転式乾燥機の高温では、融解された状態にある。理論に拘泥されることを望むものではないが、ポリマー構造化剤がないと、ファブリックケア組成物は、単回の回転式乾燥機サイクルで使い果たされていると考えられる。したがって、ポリマー構造化剤を含めることは、本発明の複数回使用のファブリックケア製品にとって重要である。本発明によれば、回転式乾燥機の各サイクル中に、ファブリックケア材料の制御された量が織物に送達される。ポリマー構造化剤は、ファブリックケア製品の完全性を維持するのにも役立つ。
【0023】
ポリマー構造化剤には、ポリアミド(例えば、ココナツモノエタノールアミドなどの高級脂肪酸アルカノールアミド)などの非イオン性表面材料、親水性末端基と親油性末端基を有する、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック共重合体、アルキル(好ましくは、中級アルキル)フェノールポリ低級アルキレンオキシド低級アルカノール、低級アルキレングリコールのポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)、高級脂肪アルコールのポリアルキレングリコールエーテル及び高級脂肪酸のポリアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレン化された脂肪アルコール、ポリウレタン、ポリラクチド、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリビニルアルコール及びそれらの混合物が含まれる。ポリマー構造化剤の全ては、室温で固体であり、好ましくは約35℃から約90℃の融点を有する。
【0024】
構造化剤のうち幾つか、好ましくは、高級脂肪アルコールのポリアルキレングリコールエーテル及び高級脂肪酸のポリアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレン化された脂肪アルコール、ポリエチレングリコールは、さらに低い温度で送達を調節するのに役立つことが可能である。
【0025】
ポリアミドは、Arizona Chemical Co.から、UNICLEAR 100及びSylvaclear AF1900、Sylvaclear A200ゲル化剤の商品名で入手できる。
【0026】
陰イオン性界面活性剤
一定レベルの織物の柔軟化を達成するために、本発明のファブリックケア組成物は、組成物の重量に対して最大約25%の陰イオン性界面活性剤を含有する。理論に拘泥することを望むものではないが、陰イオン性界面活性剤は、構造化、潤滑性及び/又は静電気防止上の利点を提供すると考えられる。
【0027】
本発明に使用される陰イオン性界面活性剤は、好ましくは水溶性である任意の陰イオン性界面活性剤とすることができる。本明細書において、「水溶性」界面活性剤は、別段の記載がなければ、25℃で、蒸留水中に少なくとも0.01重量%の程度まで可溶性であり、又は分散可能である界面活性剤を含むものと定義される。本明細書において、「陰イオン性界面活性剤」は、通常の洗浄pHである6から11の水溶液中に存在するときに、正味の負電荷を示す一又は複数の官能基を含む、約10,000未満の平均分子量を有する両親媒性分子として定義される。本発明において使用される陰イオン性界面活性剤の少なくともひとつは、4から30個の炭素原子を含有する天然又は合成脂肪酸のアルカリ若しくはアルカリ土類金属又はアミン、アルカノールアミン塩であることが好ましい。一又は複数の他の陰イオン性界面活性剤とのカルボン酸塩の混合物を使用することが特に好ましい。陰イオン性化合物の別の重要なクラスは、約6から24個の炭素原子を含有するアルキル基並びにスルホン酸及び硫酸エステル基からなる群から選択される基を、それらの分子構造中に有する有機硫黄反応産物の水溶性塩、特にアルカリ金属塩である。
【0028】
カルボン酸塩
COOM
は、4から30個の炭素原子の直鎖若しくは分岐、飽和若しくは不飽和アルキル、又は10から30個の炭素原子のヒドロキシルアルキル基であり、Mは、可溶化陽イオンである。Rによって表示されるアルキル基は、鎖長の混合物を表すことができ、飽和又は不飽和であり得るが、R基の少なくとも2/3が8から18個の炭素原子の鎖長を有することが好ましい。適切なアルキル基源の非限定的な例には、ココナッツ油、獣脂、トール油及びパーム核油から得られる脂肪酸が含まれる。しかしながら、臭いを最小限に抑える目的で、主として飽和カルボン酸を使用するのが望ましいことが多い。このような材料は、Uniqema(Wilmington,Del.)及びTwin Rivers Technologies(Quincy,Mass.)など、数多くの商業的な入手先から手に入れることができる。可溶化陽イオンMは、産物に対して水溶性を与える任意の陽イオンとすることができるが、一般的には、一価の部分が好ましい。本発明との使用に許容される可溶化陽イオンの例には、ナトリウム及びカリウムなどのアルカリ金属(特に好ましい)並びにトリエタノールアンモニウム、アンモニウム及びモルホリニウムなどのアミンが含まれる。使用される場合、脂肪酸の過半は、中和された塩の形態で製剤中に取り込まれるべきであるが、以下でさらに詳細に記載されているように、製剤中に少量の遊離脂肪酸を残すのが好ましいことが多く、これは、産物の粘度の維持を助けることができるからである。
【0029】
好ましくは、本発明における陰イオン性界面活性剤には、水溶性C12、C16及びC18の石鹸又はそれらの混合物が含まれる。脂肪酸塩又はそれらの混合物も、構造化に役立つ。
【0030】
例えば、獣脂油、ココナッツオイル(主に、C12飽和、一部C14)、ラウリン酸、パルミチン酸(C16飽和)、ステアリン酸(C18飽和)、獣脂肪油(主にC16−C18、飽和と不飽和の混合物)、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸及びこれらの混合物のナトリウム石鹸。
【0031】
遊離脂肪酸
製剤中の遊離脂肪酸は、産物の粘度の維持を助けることができる。理論に拘泥することを望むものではないが、遊離脂肪酸は、さらさらした/又は非粘着性の離型剤として機能することができると考えられる。さらに、脂肪酸は、吸湿性を調節することが可能である。
【0032】
本発明において、遊離脂肪酸は、CからC30、好ましくはCからC24の、飽和若しくは不飽和脂肪酸又はそれらの混合物である。本発明において遊離脂肪酸は、約10℃から約65℃の融点を有する。
【0033】
好ましい脂肪酸には、ステアリン酸、硬化獣脂脂肪酸(UniqemaからPristerenの商標で入手可能)、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸及びこれらの混合物が含まれる。前記組成物は、組成物の重量の約10%から約60%、より好ましくは約20%から約50%の遊離脂肪酸を含む。
【0034】
非イオン性物質
非イオン性物質は、組成物の融解温度の調節を改善するため、又は組成物が流動する温度に少なくとも影響を与えるために存在する。非イオン性界面活性剤も、マトリックス組成物中に存在し得る任意の香料に対して有用な可溶化剤である。非イオン性界面活性剤、水分を吸着又は維持することによって作用する、静電気防止剤としても有用である。
【0035】
非イオン物質には、約12から約22EO基を有する、エトキシル化された、アルコール及びアルキルフェノール(すなわち、固形タイプ)、四級ホスフィンオキシド、四級アミンオキシド及びこれらの混合物が含まれる。
【0036】
好ましくは、非イオン性物質は、周温で固体である。
【0037】
非イオン性物質及び陰イオン性界面活性剤は、前記組成物の水溶性成分である。非イオン性物質は、約1重量%から約50重量%で本発明の組成物中に存在する。
【0038】
本発明のファブリックケア組成物は、織物によって運ばれる静電気を減少させる。マトリックスは、陽イオン性界面活性剤を実質的に含まない。陰イオン性界面活性剤/脂肪酸/非イオン物質の重量比は、他には陽イオン性界面活性剤の使用によって達成される静電気防止の利点を提供するために、好ましくは約1/1.5/1から約1/10/2、好ましくは約1/1.5/1から約1/2.5/2である。
【0039】
必要に応じて使用される成分
主要なコンディショニング化合物の他に、他の成分を含めることもできる。例えば、香料、光沢剤、殺菌剤、溶媒、濃縮剤又は硬化剤、安定化剤及びその他の材料を、ファブリックケア組成物中に取り込むことができる。幾つかの事例では、特に成分が水和物を形成するときには、少量の水が存在し得る。使用される様々な補助剤の種類及び割合は、主要なファブリックケア化合物の作用を妨害しないように選択される。無機の充填剤、好ましくは、ケイ酸塩、微細沈降石英ガラス及び/又は粘度を取り込ませることができる。
【0040】
マトリックス材料が棒に成型される場合には、棒を形成する特性を改善するために添加物を使用し得る。
【0041】
使用時
洗濯された湿った織物を、機械式の回転式衣服乾燥機の中に入れる。乾燥機が稼動され、ファブリックケア製品と洗濯物との間に相対的な動きが引き起こされる。熱、水分及び前記製品と洗濯物間での衝突接触の組み合わせが、回転する織物上へのファブリックケア剤の放出をもたらす。通常、乾燥機のドラム内では、乾燥空気が1分当たり約5から約50回変化し、空気の温度は約10から100℃、好ましくは50から80℃となるであろう。ドラムは、1分当たり約20から100回転、好ましくは4から80回転で回転する。中に入れる洗濯物は、通常、平均4から12ポンドであり、乾燥機の有効乾燥容積の10から70%を占める。乾燥は、一般に、5分から2時間行われ、通常は20から60分行われる。ナイロン及びポリエステルなどの合成織物は、通常、3から10分しか必要としないが、形状記憶素材は、通常10から30分を必要とする。
【0042】
必要に応じて、本発明のファブリックケア製品には、ファブリックケア製品の組成物を含有し、分配するための液体透過性の吸収性シート材料を与えてもよい。例えば、吸収性シート材料を含むパッケージには、ケア製品を受け取るための貯蔵スペースを与えてもよい。パッケージは、柔軟なシート材料のにおい袋とすることができる。適切な材料には、紙、不織布、プラスチックフィルム及びこれらの薄板が含まれる。ケア組成物は、毛管作用によって、織物を通って表面に浸出(wick)させることができる。使用後、ファブリックケア製品は、所定の位置に残され、必要であれば、以降の使用又は再使用の前に、ファブリックケア剤の選択された量を再充填することができる。
【0043】
複数回使用のファブリックケア製品は、一般に、衣類用回転式乾燥機の少なくとも20サイクルに対して十分であり、好ましくは、50分から60分の約10乾燥サイクルに対して十分である。約0.8gから約2gのファブリックケア活性物質は、各サイクルにおいて、衣服の上に均一に置かれる。
【0044】
以下の実施例は、例示のためにのみ記載されており、本発明を限定することを意図したものではない。別段の記載がなければ、割合は重量による。
【実施例】
【0045】
実施例では、以下の原料を使用した。
【0046】
【表1】

【0047】
本発明のファブリックケア組成物を製造するために、以下の操作を使用した。
【0048】
脂肪酸及び非イオン性界面活性剤を添加し、金属容器中で一緒に混合する。この混合物が融解した後、脂肪酸塩をインシチュで製造するためにアルカリを添加する。混合物が透明になるまで、混合を続ける。次いで、構造化剤を添加することができ、構造化剤が溶解されるまで混合を続ける。最後に、組成物を完成させるために、香料、可塑剤などのその他の添加物を添加する。組成物:不織布の比が約100:2の比率で、シート又は繊維型の形態の不織布がその中に配置されている鋳型の中に、一定量の組成物を注ぎ込み、冷却後に固形ファブリック組成物を得る。
【0049】
(実施例1)
本発明の組成物が下表に記されている。
【0050】
【表2】

【0051】
下表に示された5サイクルにわたって、回転式乾燥機中で本組成物を検査した。本発明のA、B及びCの約10g固形マトリックスをドアの上に置いた。各サイクルにおいて織物上に送達された製品の量を決定し、下表に記してある。
【0052】
【表3】

【0053】
戴置は、約0.8gから約2g/サイクルであった。結果は、乾燥機中に配置された各洗濯物中に、ファブリックケア活性物質の均一量又は用量が分配されたことを示している。平均送達量は約1.33gであり、その標準偏差は乾燥サイクルごとに約0.40gである。汚れは観察されなかった。
【0054】
(実施例3)
下表に示されている組成物を有するファブリックケアマトリックスを、本発明に従って調製した。
【0055】
【表4】

【0056】
上記組成を有する2つのサンプルを作製したが、一方のサンプルは不織布とともに作製され、他方のサンプルは不織布なしに作製された。サンプルは、20gの組成物を含有する。
【0057】
以下は、乾燥サイクルにおける送達データである。不織布なしのサンプルは第一の乾燥サイクルにおいて活性物質のほとんどを送達したのに対して、不織布ありのサンプルは、複数の乾燥サイクルにわたって、活性物質をずっと持続的に送達したことが明らかである。
【0058】
【表5】

【0059】
ある程度具体的に、幾つかの好ましい実施形態を参照しながら、本発明について説明してきたが、当業者であれば、本明細書に記載され、実施可能であり、且つ本発明の範囲及び精神の範疇に属する本発明の多数の変形、修飾及び置換に想到するであろう。これらの修飾及び変形は全て、本明細書及び特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に属するものであり、本発明は、特許請求の範囲によってのみ限定され、かかる特許請求の範囲は合理的な限り広く解釈されるべきものである。本願を通じて、様々な刊行物が引用されている。これらの刊行物の全内容は、参照により、本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)後記組成物の約0.2重量%から約10重量%を占める充填剤構造化剤と後記組成物の約0.5から約20重量%を占めるポリマー構造化剤とを含む構造化剤と;
(b)最大約25%の陰イオン性界面活性剤含有石鹸と;
(c)約10%から約60%の遊離脂肪酸と;
(d)約1%から約50%の非イオン性物質と;
を含む組成物を有する固形又は半固形マトリックスを含み、回転式乾燥機のための複数回使用製品であるファブリックケア製品。
【請求項2】
前記陰イオン性界面活性剤及び前記非イオン性物質が水溶性である、請求項1に記載のファブリックケア製品。
【請求項3】
前記脂肪酸がCからC24の飽和又は不飽和脂肪酸及びそれらの混合物を含む、請求項1に記載のファブリックケア製品。
【請求項4】
前記脂肪酸が約10℃から約65℃の融点を有する、請求項1に記載のファブリックケア製品。
【請求項5】
前記充填剤構造化剤が不織布を含む、請求項1に記載のファブリックケア製品。
【請求項6】
前記不織布がポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース及びそれらの混合物を含む、請求項5に記載のファブリックケア製品。
【請求項7】
前記ポリマー構造化剤が、ポリアミド、親水性末端基と親油性末端基を有する、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック共重合体、アルキルフェノールポリ低級アルキレンオキシド低級アルカノール、低級アルキレングリコールのポリマー、高級脂肪アルコールのポリアルキレングリコールエーテル及び高級脂肪酸のポリアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレン化された脂肪アルコール、ポリウレタン、ポリラクチド、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリビニルアルコール及びこれらの混合物を含む、請求項1に記載のファブリックケア製品。
【請求項8】
前記マトリックスが、陽イオン性界面活性剤を実質的に含まない、請求項1に記載のファブリックケア製品。
【請求項9】
陰イオン性界面活性剤/脂肪酸/非イオン性物質の重量比が、約1/1.5/1から約1/2.5/2である、請求項1に記載のファブリックケア製品。
【請求項10】
前記固形又は半固形マトリックス組成物が約10から約30グラムの棒へ成型される、請求項1に記載のファブリックケア製品。
【請求項11】
パッケージをさらに含む、請求項1に記載のファブリックケア製品。
【請求項12】
前記パッケージがその中に前記マトリックスを保持し、回転式乾燥機中の織物上への前記マトリックス材料の送達を可能とする、請求項11に記載のファブリックケア製品。
【請求項13】
前記パッケージが、前記回転式乾燥機のサイクル当りの前記織物上に送達される前記材料の量を調節する、請求項12に記載のファブリックケア製品。
【請求項14】
前記パッケージに送達ウィンドウが設けられている、請求項11に記載のファブリックケア製品。
【請求項15】
前記送達ウィンドウが、前記回転式乾燥機の稼働中に前記マトリックス材料を吸着及び/又は吸収する材料を含む、請求項14に記載のファブリックケア製品。
【請求項16】
前記吸着性材料が前記織物上への前記マトリックス材料の送達を調節する、請求項15に記載のファブリックケア製品。
【請求項17】
前記吸着性材料が、ポリエステル、ポリプロピレン、セルロース及びこれらの混合物を含む不織材料を含む、請求項15に記載のファブリックケア製品。
【請求項18】
(a)請求項1に記載のファブリックケア製品を機械式回転式乾燥機中に配置することと;
(b)前記乾燥機に洗濯された湿った織物を入れることと;
(c)最大約90℃の高温を達成するために前記乾燥機を稼動することと;
を含み、工程(b)及び(c)が複数回反復される、ファブリックケアの方法。

【公開番号】特開2006−299502(P2006−299502A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−102751(P2006−102751)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】