説明

ファンフィルタユニット

【課題】 コンパクトな構造でありながら軸流式のファンから発生する騒音を低減可能なファンフィルタユニットを提供する。
【解決手段】 表板と背板を有する本体ケースの中に、前記表板と前記背板とを分けるようにして仕切り板が設けられており、前記仕切り板に軸流式のファンが配置されることによって、前記背板側に設けられた吸い込み口から前記表板側に設けられた吹き出し口に至る通路が迂回するように形成されており、さらに前記通路にフィルタが配置されており、
前記吹き出し口の一辺から前記吹き出し口の面に対する角度が90〜0度となる方向を見たときに、及び前記吸い込み口の一辺から前記吸い込み口の面に対する角度が90〜0度の方向を見たときに、前記ファンの表面又は裏面が見えない位置になるように前記ファンが配置されていることを特徴とするファンフィルタユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば半導体工場、精密機械工場、または薬品製造工場などのクリーンルーム、或いは病院の室内等において、清浄な環境を造り出すファンフィルタユニットに関する。詳細には軸流式のファンを内蔵し運転時に騒音の発生が少ないファンフィルタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ファンフィルタユニットは、電子、精密、食品、衛生、バイオ、病院など清浄な作業環境、または居住空間が必要とされる分野で用いられている。これらの分野で用いられるファンフィルタユニットとしては、軸流式のファンやシロッコファン(又は遠心式ファン)などが内蔵されたものが広く用いられている。このうち、シロッコファンを内蔵したファンフィルタユニットは、比較的大型の設備として部屋の天井などに埋め込まれて用いられており、比較的大風量が必要とされる用途に適しているが、設備費用やメンテナンス費用が大きくなるという問題や、コンパクト化が難しいという問題があり、騒音も大きくなるという問題がある。
【0003】
これに対して、軸流式のファンを内蔵したファンフィルタユニットは、空気の通路をファンの羽の大きさに応じて広く利用できる構造となっているため、低コストでコンパクト化できるという利点を有している。しかし、このような軸流式のファンを内蔵したファンフィルタユニットは、コンパクト化を重視するあまり、吸い込み口及び/又は吹き出し口とファンとが直結する形態となっているため、ファンから発生した騒音がファンフィルタユニットの外に発散されるという問題があった。このため特に静かな環境が要求される、病室、手術室、精密作業室などでは、防音対策が要求されていた。
【0004】
このような、防音対策が施されたファンフィルタユニットとしては、例えば特許文献1のファン付きフィルタ装置が知られている。このフィルタ装置は、図7に示すように、軸流ファン2を内蔵したチャンバ1の下流側にフィルタ3を配置したファン付きフィルタ装置であり、軸流ファン2の上流側に軸流ファン2の空気吸込口2dより小さな開口部6aを有する気流逆流防止板6を設けている。そして、この気流逆流防止板6を設けることにより、軸流ファンを通った吹き込み風がフィルタに当たり跳ね返り風が発生しても、気流逆流防止板により再度フィルタ側へ跳ね返すことで吹き込み風と乱流を生じ難くなり、乱流による異音が防止できることが記載されている。
【0005】
しかし、このフィルタ装置では、吸い込み口6aと軸流ファン2とが直結すると共にチャンバ1からの吹き出し口と軸流ファンとがほぼ直結する形態となっており、乱流による異音が防止できても、軸流ファン2から発生した騒音がファンフィルタユニットの外に発散されるという問題に対して、その騒音自体を低減することはできない構造となっていた。
【0006】
そこで、コンパクトな構造でありながら軸流式のファンから発生する騒音を低減可能なファンフィルタユニットが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−294909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題を解決して、コンパクトな構造でありながら軸流式のファンから発生する騒音を低減可能なファンフィルタユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段は、請求項1に係る発明では、
表板と背板を有する本体ケースの中に、前記表板と前記背板とを分けるようにして仕切り板が設けられており、前記仕切り板によって表板側と背板側が区分されており、前記仕切り板に軸流式のファンが配置されることによって、前記背板側に設けられた吸い込み口から前記表板側に設けられた吹き出し口に至る通路が迂回するように形成されており、さらに前記通路にフィルタが配置されており、
前記ファンに対して最も近い位置にある、前記吹き出し口の一辺から前記吹き出し口の面に対する角度が90〜0度のうちいずれかの角度となる方向を見たときに、及び前記ファンに対して最も近い位置にある、前記吸い込み口の一辺から前記吸い込み口の面に対する角度が90〜0度のうちいずれかの角度となる方向を見たときに、前記ファンの表面又は裏面(以下、総称して単に片面と称することがある。)が見えない位置になるように前記ファンが配置されていることを特徴とするファンフィルタユニットである。
このファンフィルタユニットによって、コンパクトな構造でありながら軸流式のファンから発生する騒音を低減可能なファンフィルタユニットを提供することが可能となる。
【0010】
請求項2に係る発明では、前記吹き出し口の一辺から前記吹き出し口の面に対する角度が90〜50度のうちいずれかの角度となる方向を見たときに、及び前記吸い込み口の一辺から前記吸い込み口の面に対する角度が90〜50度のうちいずれかの角度となる方向を見たときに、前記ファンの表面又は裏面が見えない位置になるように前記ファンが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のファンフィルタユニットであり、特に軸流式のファンから発生する騒音をより顕著に低減可能なる。
【発明の効果】
【0011】
コンパクトな構造でありながら軸流式のファンから発生する騒音を低減可能なファンフィルタユニットを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は本発明のファンフィルタユニットの横断面の模式図、(b)は背面の模式図である。
【図2】(a)は本発明の別のファンフィルタユニットの横断面の模式図、(b)は背面の模式図である。
【図3】本発明のさらに別のファンフィルタユニットの横断面の模式図である。
【図4】本発明のさらに別のファンフィルタユニットの横断面の模式図である。
【図5】本発明のさらに別のファンフィルタユニットの横断面の模式図である。
【図6】本発明のさらに別のファンフィルタユニットの横断面の模式図である。
【図7】従来のファンフィルタユニットの横断面の模式図である。
【図8】(a)は従来のファンフィルタユニットの横断面の模式図、(b)は背面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るファンフィルタユニットの好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
本発明のファンフィルタユニット10は、図1(a)の横断面図及び(b)の背面図に例示するように、表板11と背板12を有する本体ケース20の中に、前記表板11と前記背板12とを分けるようにして仕切り板17が設けられており、前記仕切り板17によって表板側と背板側が区分されており、前記仕切り板17に軸流式のファン30が配置されることによって、前記背板側に設けられた吸い込み口15から前記表板側に設けられた吹き出し口16に至る通路21が迂回するように形成されており、さらに前記通路21にフィルタ40、41が配置されており、前記ファン30に対して最も近い位置にある、前記吹き出し口16の一辺Aから前記吹き出し口16の面に対する角度が90〜0度のうちいずれかの角度αとなる方向を見たときに、及び前記ファン30に対して最も近い位置にある、前記吸い込み口15の一辺Bから前記吸い込み口15の面に対する角度が90〜0度のうちいずれかの角度βとなる方向を見たときに、前記ファン30の片面31が見えない位置になるように前記ファン30が配置されていることを特徴としている。
【0015】
なお、前述の「片面が見えない位置」とは、吹き出し口とファンの位置関係あるいは吸い込み口とファンの位置関係を表わす表現であり、仕切り板による遮蔽されている場合を除き実際に見えるか否かを意味していない。例えば、仕切り板によって遮られて実際に見えない場合は「見えない」と表現する。また通路中にフィルタ、防音材、邪魔板などからなる遮蔽物が配置されており、これらの遮蔽物によって遮られて実際に見えない場合は「見えない」と表現されない。すなわち、仕切り板以外の遮蔽物は除いて見た時の状態に応じて、「見える」または「見えない」と表現するものとする。
【0016】
図1に例示するファンフィルタユニット10の好適な使用方法としては、例えば病院の室内に置かれたベッドをカーテンなどから組み立てた簡易な隔離ブースによって隔離して、隔離ブース内の空気と室内の空気の出入りに際して、感染を防止するために隔離ブースに付属するようにして使用する方法がある。このファンフィルタユニットの本体ケース20は、鋼板製であり、表板11及び背板12とこれらに交差するように配置された上板13及び下板14とから構成されており、下板14には車輪51が備えられており、ファンフィルタユニット10全体が隔離ブースの設置場所に応じて室内の任意の場所に移動可能となっている。
【0017】
また、背板側の背板12には吸い込み口15が設けられていると共に表板側の表板11に吹き出し口16が設けられており、仕切り板17が表板11と背板12とを分けるようにして設けられている。この例では、仕切り板17は、上端が上板13の中央付近に接続され下方にその先端が背板12側に傾斜するように配置される部分17aと、その部分17aに折れ曲がって繋がり背板12と平行に下方へ配置される部分17bと、その部分17bと直角に曲がって繋がり下板14に平行に配置され、先端が表板11に接続される部分17cとからなっている。そして、この仕切り板17によって、表板側と背板側が区分されており、さらに前記仕切り板17に軸流式のファン30が配置されることによって、前記背板側に設けられた吸い込み口15から前記表板側に設けられた吹き出し口16に至る通路21が迂回するように形成されており、吸い込み口15から吸込まれた室内の空気がこの通路21を通って、吹き出し口16から吹き出すようになっている。
【0018】
また、吹き出し口16にはアルミ製の枠と一体化したHEPAフィルタがフィルタ40として配置されており、吸い込み口15には金属枠に納められたプレフィルタがフィルタ41として配置されている。
【0019】
また、前記仕切り板17に軸流式のファン30が配置されているが、この例では前述の仕切り板17の部分17c(下板14に平行に配置され、先端が表板11に接続される部分)に配置されている。この軸流式のファン30は、ファンのフレームに回転軸が取り付けられて回転翼32が回転するようになっている。また、このファン30は、フィルタケースの大きさに応じて、複数個設置することが可能である。また、このような軸流式のファン30からの騒音は、主にファンの側面よりは表面又は裏面31の前後に発散される。
【0020】
また、本発明では、前記ファン30に対して最も近い位置にある、前記吹き出し口16の一辺Aから前記吹き出し口16の面に対する角度が90〜0度のうちいずれかの角度αとなる方向を見たときに、ファン30の片面31が見えない位置になるように前記ファン30が配置されている。図1の例では、吹き出し口16の下端Aから片面31の右端Fを結ぶ直線と吹き出し口16の面とのなす角度が45度となっており、その結果、吹き出し口16から前記吹き出し口16の面に対する角度が90〜45度となる方向を見たときに、ファン30の片面31が見えない位置になるように前記ファン30が配置されている。したがって、45度を超え0度となる方向を見たときは、ファン30の片面31が見える位置になっている。
【0021】
ここで、吹き出し口16の下端Aから片面31の右端Fを結ぶ直線を選択する理由は、吹き出し口16の下端Aと片面31とを結ぶ直線のうち、吹き出し口16の面に対する角度が最も大きくなる直線となるからである。そして、図1の例では、ファン30の位置が、上板13に近づくにつれて、この限界の角度αは45度よりも大きくなり、下板14に近づくにつれて、この限界の角度αは45度よりも小さくなることがわかる。なお、前記片面31においてFの点を求めるには、点Aに目を置いて徐々に下の方を見ていき仕切り板やフィルタなどがないものとして最初に片面31が見える点をFとすることができる。
【0022】
本発明では、このように、前記ファン30に対して最も近い位置にある、前記吹き出し口16の一辺Aからファン30の片面31が見えない位置になるように前記ファン30が配置されているので、前記ファン30からの騒音が直接的に吹き出し口16から発散されることがないため、すなわち、前記ファン30の軸方向に沿った経路で吹き出し口16から発散されることがなく、折れ曲がった経路で吹き出し口16から発散されるので、ファンから発生する騒音を低減することが可能になっている。
【0023】
また、本発明では、前記ファン30に対して最も近い位置にある、前記吸い込み口15の一辺Bから前記吸い込み口15の面に対する角度が90〜0度のうちいずれかの角度βとなる方向を見たときに、前記ファン30の片面31が見えない位置になるように前記ファン30が配置されている。図1の例では、吸い込み口15の下端Bから片面31の左端Fを結ぶ直線が仕切り板17の部分17aを横切る状態となっているため、吸い込み口15の一辺Bから前記吸い込み口15の面に対する角度が90〜0度となる方向を見たときに、ファン30の片面31が見えない位置になるように前記ファン30が配置されていることになる。なお、前記片面31においてFの点を求めるには、点Bに目を置いて徐々に下の方を見ていき仕切り板やフィルタなどがないものとして最初に片面31が見える点をFとすることができる。なお、図1では実際には、Fは仕切り板17の部分17aによって遮られて見えない位置となっている。
【0024】
本発明では、このように、前記ファン30に対して最も近い位置にある、吸い込み口15の一辺Bからファン30の片面31が見えない位置になるように前記ファン30が配置されているので、前記ファン30からの騒音が直接的に吸い込み口15から発散されることがないため、すなわち、前記ファン30の軸方向に沿った経路で吸い込み口15から発散されることがなく、折れ曲がった経路で吸い込み口15から発散されるので、ファンから発生する騒音を低減することが可能になっている。
【0025】
前述のように、図1の例では、ファン30の位置が、下板14に近づくにつれて、ファン30の片面31が見える限界の角度αは45度よりも小さくなるが、このような例として例えば、図2に例示するファンフィルタユニットを挙げることができる。図2の例では、ファン30の片面31が見える限界の角度αは30度であり、図1のファンフィルタユニットよりもファンから発生する騒音をより低減することが可能な構造である。このように、ファン30の片面31が見える限界の角度αは小さくなるほど好ましいが、小さくなり過ぎると、ファンフィルタユニットの高さも高くなり、室内に設置できなくなる場合があるので、この限界の角度は50度であることが好ましく、35度であることがより好ましい。
【0026】
すなわち、前記吹き出し口の一辺から前記吹き出し口の面に対する角度が90〜50度のうちいずれかの角度となる方向を見たときに、及び前記吸い込み口の一辺から前記吸い込み口の面に対する角度が90〜50度のうちいずれかの角度となる方向を見たときに、前記ファンの片面が見えない位置になるように前記ファンが配置されていることが好ましい。また、前記吹き出し口の一辺から前記吹き出し口の面に対する角度が90〜35度のうちいずれかの角度となる方向を見たときに、及び前記吸い込み口の一辺から前記吸い込み口の面に対する角度が90〜35度のうちいずれかの角度となる方向を見たときに、前記ファンの片面が見えない位置になるように前記ファンが配置されていることが好ましい。
【0027】
本発明では、仕切り板は、表板と背板とを分けるようにして設けられている限り、特に限定されず、図1の例以外にも図3及び図4に例示するように、上端が上板13の中央付近に接続され下方にその先端が背板12側に傾斜するように配置される部分17aと、その部分17aに繋がり背板12に平行に配置され、先端が下板11に接続される部分17bとからなる仕切り板17であることも可能である。
【0028】
また、本発明では、吸い込み口15は背板側に設けられている限り特に限定されず、例えば図1〜3に例示するように、背板12の上部付近に設けられる例を挙げることができる。また、図4及び図5に例示するように、上板13に設けられる例を挙げることができる。また、図6に例示するように、表板11の下部に設けられる例を挙げることができる。ここで、背板側とは、仕切り板17によって表板11と背板12とを分けて得られる領域であるが、図1、図2、図5及び図6のように、表板の一部を含む領域であることも可能である。すなわち、背板の大部分を含む領域を背板側と称している。同様に、表板の大部分を含む領域を表板側と称している。また、吹き出し口16も表板側に設けられている限り特に限定されず、例えば図1〜6に例示するように、表板11の上部付近に設けられる例を挙げることができる。
【0029】
なお、前述のように、病院の室内に置かれたベッドをカーテンなどから組み立てた簡易な隔離ブースによって隔離して、隔離ブース内の空気と室内の空気の出入りに際して、感染を防止する目的で本発明のファンフィルタユニットを隔離ブースに付属するようにして使用する場合は、吸い込み口15に吸い込まれる空気と吹き出し口から吹き出される空気とを分けることができる、図1〜5に示される形態のファンフィルタユニットが好適であり、図1〜3に示される形態のファンフィルタユニットがより好適である。
【0030】
また、本発明では、軸流式のファン30についても、前記仕切り板17に配置されていると共に、前記吹き出し口16の一辺Aから所定の角度となる方向を見たときに、及び前記吸い込み口15の一辺Bから所定の角度となる方向を見たときに、前記ファンの片面が見えない位置になるように配置されている限り、特に限定されず、例えば、図1、図2及び図5では、下板14と平行な位置関係になっている仕切り板の部分17cに配置されている。また、図3、図4及び図6では、背板12と平行な位置関係になっている仕切り板の部分17bに配置されている。なお、図1、図2、図5及び図6の例では、いずれも吸い込み口15からどのような角度でファン30の片面31又は31bを見ようとしても、切り板17に遮られて見ることができない。すなわち、図1、図2、図5及び図6の例では、吸い込み口15から前記吸い込み口15の面に対する角度が90〜0度のうちいずれの角度となる方向を見ても、前記ファンの表面又は裏面が見えない位置になるように前記ファンが配置されているといえる。
【0031】
また、本発明では前記通路21にフィルタ40、41が配置されているが、ここで「通路」とは吸い込み口から吹き出し口に至るまでの通路の途中、及び吸い込み口付近、及び吹き出し口付近も含む領域を指している。例えば図1〜6では、フィルタ40は吹き出し口16に接するようにして配置されており、フィルタ41は吸い込み口15に接するようにして配置されている。
【0032】
また、本発明では、図1に示すように、通路21の壁に吸音材や防音材を取付けることも可能である。図1では、仕切り板の部分17aの表裏に吸音材50a及び50bが取付けられており、背板12、下板14及び表板11の内側にそれぞれ吸音材50c、50d及び50eが取付けられている。また、本発明による防音効果をさらに高める目的で、通路の途中に邪魔板などを設置することも可能である。この場合、前述のように本発明でいうファンの片面が見えるか否かの判定は、この邪魔板を除外した状態で行なうものとする。また、通路の途中にフィルタ40が配置されている場合も、このフィルタ40を除外した状態で行なうものとする。
【0033】
本発明のファンフィルタユニットの寸法は、車輪51を除いた場合に、縦が500〜2000mm、幅が300〜1200mm、奥行きが150〜500mmであることが好ましい。
【0034】
本発明のファンフィルタユニットは、前述のように病院の室内に置かれたベッドをカーテンなどから組み立てた簡易な隔離ブースによって隔離して、隔離ブース内の空気と室内の空気の出入りに際して、感染を防止する目的で用いる移動式の用途や、壁または天井に設置する用途、あるいは机上にフードと共に設置して簡易的な清浄空間を設ける用途などの用途に好適に用いることができる。
【実施例】
【0035】
以下、本発明の実施例について説明するが、これは発明の理解を容易とするための好適例にすぎず、本発明はこれら実施例の内容に限定されるものではない。
【0036】
(実施例1)
図1に示す形態のファンフィルタユニットを準備した。このファンフィルタユニットの仕様と騒音値を下記に示す。
大きさ:縦650mm×幅500mm×奥行き250mm
限界角度α:45度
限界角度β:35度(但し、吸い込み口15の一辺Bから角度βとなる方向を見たときに、ファン30の片面31は、仕切り板17に遮られて見えない位置にある。)
処理風量:0.8m/min
電源:100V 50Hz
消費電力:18W
運転電流:181mA
吸い込み側の騒音値:41dB(A)
吹き出し側の騒音値:42dB(A)
【0037】
(実施例2)
図2に示す形態のファンフィルタユニットを準備した。このファンフィルタユニットの仕様と騒音値を下記に示す。
大きさ:縦935mm×幅500mm×奥行き250mm
限界角度α:13度
限界角度β:20度(但し、吸い込み口15の一辺Bから角度βとなる方向を見たときに、ファン30の片面31は、仕切り板17に遮られて見えない位置にある。)
処理風量:0.8m/min
電源:100V 50Hz
消費電力:18W
運転電流:181mA
吸い込み側の騒音値:35dB(A)
吹き出し側の騒音値:39dB(A)
【0038】
(比較例1)
図8に示す形態のファンフィルタユニットを準備した。このファンフィルタユニットは図8(a)の横断面図及び(b)の背面図に例示するように、表板11と背板12を有する本体ケース20の中に、前記表板11と前記背板12とを分けるようにして仕切り板17が設けられており、前記仕切り板17によって表板側と背板側が区分されており、前記仕切り板17に軸流式のファン30が配置されることによって、前記背板側に設けられた吸い込み口15から前記表板側に設けられた吹き出し口16に至る通路が形成されており、さらに前記通路にフィルタ40、41が配置されており、前記ファン30に対して最も近い位置にある、前記吹き出し口16の一辺Aから前記吹き出し口16の面に対する角度αが167度となる方向を見たときに、及び前記ファン30に対して最も近い位置にある、前記吸い込み口15の一辺Bから前記吸い込み口15の面に対する角度βが162度となる方向を見たときに、前記ファン30の片面31が見えない位置になるように前記ファン30が配置されている。また、遮音板52が吸い込み口15と仕切り板17との間に配置されており、遮音板53が吹き出し口16と仕切り板17との間に配置されている。
このファンフィルタユニットの仕様と騒音値を下記に示す。
大きさ:縦300mm×幅300mm×奥行き220mm
限界角度α:167度
限界角度β:162度
処理風量:0.4m/min
電源:100V 50Hz
消費電力:18W
運転電流:181mA
吸い込み側の騒音値:46dB(A)
吹き出し側の騒音値:44dB(A)
【0039】
実施例の結果によれば、比較例1のファンフィルタユニットにおいて遮音板52、53が配置されているにもかかわらず、実施例1及び実施例2のファンフィルタユニットは、比較例1のファンフィルタユニットと比較して、騒音値が著しく低いことが確認された。また、実施例1と実施例2を比較すると、限界角度の値が小さい実施例2のファンフィルタユニットでは、騒音値が低くなることが確認された。
【符号の説明】
【0040】
10 ファンフィルタユニット
11 表板
12 背板
13 上板
14 下板
15 吸い込み口
16 吹き出し口
17 仕切り板
17a、17b、17c 仕切り板の部分
20 本体ケース
21 通路
30 ファン
31 ファンの表面、裏面または片面
31a ファンの表面または片面
31b ファンの裏面または片面
32 回転翼
40 フィルタ
41 フィルタ
50a、50b、50c、50d、50e 吸音材又は防音材
51 車輪
52、53 遮音板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表板と背板を有する本体ケースの中に、前記表板と前記背板とを分けるようにして仕切り板が設けられており、前記仕切り板によって表板側と背板側が区分されており、前記仕切り板に軸流式のファンが配置されることによって、前記背板側に設けられた吸い込み口から前記表板側に設けられた吹き出し口に至る通路が迂回するように形成されており、さらに前記通路にフィルタが配置されており、
前記ファンに対して最も近い位置にある、前記吹き出し口の一辺から前記吹き出し口の面に対する角度が90〜0度のうちいずれかの角度となる方向を見たときに、及び前記ファンに対して最も近い位置にある、前記吸い込み口の一辺から前記吸い込み口の面に対する角度が90〜0度のうちいずれかの角度となる方向を見たときに、前記ファンの表面又は裏面が見えない位置になるように前記ファンが配置されていることを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項2】
前記吹き出し口の一辺から前記吹き出し口の面に対する角度が90〜50度のうちいずれかの角度となる方向を見たときに、及び前記吸い込み口の一辺から前記吸い込み口の面に対する角度が90〜50度のうちいずれかの角度となる方向を見たときに、前記ファンの表面又は裏面が見えない位置になるように前記ファンが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のファンフィルタユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−233760(P2010−233760A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83959(P2009−83959)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000229542)日本バイリーン株式会社 (378)
【Fターム(参考)】