説明

ファームウェアバージョンアップ装置

【課題】操作を簡略化し、ファームウェアを格納したファイルの管理を容易にすることができるファームウェアバージョンアップ装置を提供する。
【解決手段】ファームウェアを記憶する記憶部27aと、電力の計測結果を算出する計測用CPU23aと、計測用CPU23aの算出結果を用いた処理を行うメインCPU24とを有するパワーメータ2のファームウェアのバージョンアップを行うパソコン1において、計測ファームウェアとメインファームウェアとを格納した1つのファームウェアファイルを記憶するデータ格納部13と、いずれか一方のファームウェアをユーザー操作によって選択する操作部11と、データ格納部13に記憶されたファームウェアファイルから、操作部11が選択したファームウェアを抽出する抽出部151と、抽出部151が抽出したファームウェアをパワーメータに送信する送信部152とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファームウェアバージョンアップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電源から負荷に供給される電力を計測し、その計測値を表示するパワーメータがある。このパワーメータは、記憶部と、計測用CPU(Central ProcessingUnit)と、メインCPUと、表示部とを備えている。計測用CPUは、記憶部に記憶された計測ファームウェアを実行することで、電力の算出を行う。メインCPUは、記憶部に記憶されたメインファームウェアを実行することで、計測用CPUの算出結果を表示部に表示させる。
【0003】
従来、ファームウェアのバージョンアップを行う様々な方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。例えば、上記のパワーメータのバージョンアップを行う場合、まずバージョンアップ対象のCPUに対応したファームウェアを別々に格納したファイルを準備する。そして、このファイルをパワーメータに読み込ませ、パワーメータの操作部を操作してバージョンアップ対象のCPUを指定することで、ファイルに格納されたファームウェアが記憶部に書き込まれる。それによって、パワーメータのファームウェアのバージョンアップを行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−15382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のバージョンアップ方法では、パワーメータを操作してバージョンアップ対象のCPUを選択する必要があった。パワーメータに設けられている操作ボタンや表示部などは小さく操作性が劣るため、操作効率が悪くなり、誤操作につながるおそれがあった。
【0006】
また、CPU毎のファームウェアを格納したファイルを管理する必要があるため、ファイル管理が複雑となっていた。
【0007】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、操作を簡略化し、ファームウェアを格納したファイルの管理を容易にすることができるファームウェアバージョンアップ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のファームウェアバージョンアップ装置は、計測ファームウェアおよびメインファームウェアを記憶する第1の記憶部と、前記計測ファームウェアを実行することで電力の計測結果を算出する計測用CPUと、前記メインファームウェアを実行することで前記計測用CPUの算出結果を用いた処理を行うメインCPUとを有するパワーメータに対して、ファームウェアを送信することで前記パワーメータのファームウェアのバージョンアップを行うファームウェアバージョンアップ装置において、前記計測ファームウェアと前記メインファームウェアとを格納した1つのファイルを記憶する第2の記憶部と、前記計測ファームウェアと前記メインファームウェアとのうち、いずれか一方のファームウェアをユーザー操作によって選択する操作部と、前記第2の記憶部に記憶された前記ファイルから、前記操作部が選択した前記一方のファームウェアを抽出する抽出部と、前記抽出部が抽出したファームウェアを前記パワーメータに送信する送信部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明では、操作を簡略化し、ファームウェアを格納したファイルの管理を容易にすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態のファームウェアバージョンアップ装置のブロック構成図である。
【図2】パワーメータのブロック構成図である。
【図3】パワーメータの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
(実施形態)
本実施形態のファームウェアバージョンアップ装置のブロック構成図を図1に示す。本実施形態のファームウェアバージョンアップ装置は、バージョンアップツールのプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータ1(以下、パソコン1と略称する)で構成されている。このパソコン1は、パワーメータ2と通信可能に構成されており、バージョンアップツールを用いてパワーメータ2に搭載されているCPUのファームウェアのバージョンアップを行う。
【0013】
まず、図2に示すブロック構成図および、図3に示す外観図を用いてパワーメータ2の構成について説明する。
【0014】
パワーメータ2は、基本ユニット2aと増設ユニット2bとで構成されている。基本ユニット2aは、電圧検出部21と電流検出部22aと計測用CPU23aとメインCPU24と表示部25と通信部26と記憶部27a(第1の記憶部)と操作部28とを備えている。そして、基本ユニット2aは、電源3から負荷4aに供給される電力を計測し、その計測値を表示部25に表示させることができる。電圧検出部21は、電源3の出力電圧を検出し、電流検出部22aは、電源3から負荷4aに供給される電流を検出する。また、記憶部27aには、計測ファームウェアとメインファームウェアが記憶されている。そして、計測用CPU23aは、記憶部27aに記憶された計測ファームウェアを実行することで、電圧検出部21と電流検出部22との検出結果とから電源3から負荷4aに供給される電力を算出する。そして、メインCPU24は、記憶部27aに記憶されたメインファームウェアを実行することで、計測用CPU23aの算出結果を用いた処理を行う。具体的には、メインCPU24は、LCD等で構成された表示部24を制御することで、計測用CPU23が算出した電力計測値の表示を行う。また、操作部28は複数のボタンスイッチで構成されており、基本ユニット2aの操作を行うことができる。
【0015】
なお、本実施形態では計測ファームウェアとメインファームウェアとを1つの記憶部27aに格納しているが、各々異なる記憶部に格納されていてもよい。
【0016】
通信部26は、パソコン1と接続し通信を行うためのインターフェースである。
【0017】
また、基本ユニット2aに対して増設ユニット2bを増設することで、電力計測対象となる系統を増やすことができ、例えば電源3から負荷4bに供給される電力を計測することができる。図3に示すように、増設ユニット2bは基本ユニット2aの側面に連結されており、通信線Lを介して互いに通信可能となるように構成されている。
【0018】
増設ユニット2bは、電流検出部22bと計測用CPU23bと記憶部27bとを備えている。電流検出部22bは、電源3から負荷4bに供給される電流を検出する。また、記憶部27bには、計測ファームウェアが記憶されている。
【0019】
また、計測用CPU23bは、基本ユニット2aに設けられた電圧検出部21の検出結果を取得する。そして、計測用CPU23bは、電流検出部22bの検出結果と、取得した電圧検出部21の検出結果とから、計測ファームウェアを実行することで電源3から負荷4bに供給される電力を算出する。そして、計測用CPU23bが算出した電力計測値を、基本ユニット2aのメインCPU24に送信する。
【0020】
メインCPU24は、増設ユニット2bが計測した電力計測値を、表示部25を用いて表示する。
【0021】
なお、本実施形態では基本ユニット2aに対して1つの増設ユニット2bを増設しているが、図3に示すように、さらに複数台の増設ユニット2bを増設してもよい。
【0022】
次に、上記パワーメータ2のファームウェアのバージョンアップを行うパソコン1について説明する。
【0023】
図1に示すように、パソコン1は、操作部11と、表示部12と、データ格納部13(第2の記憶部)と、通信部14と、制御部15とを備えている。そして、パソコン1はパワーメータ2のファームウェア(計測ファームウェア,メインファームウェア)のバージョンアップを行うためのバージョンアップツールがインストールされている。バージョンアップツールとは、記憶部27a,27bに記憶されているファームウェア(計測ファームウェア,メインファームウェア)のバージョンアップを行うためのプログラムであり、制御部15がバージョンアップツールを実行する。
【0024】
操作部11は、マウスやキーボードなどで構成されており、パソコン1の操作を行うことができる。表示部12は、LCD(Liquid CrystalDisplay)等で構成されており、バージョンアップツールの画面が表示される。データ格納部13は、ハードディスクやRAM(Random AccessMemory)等で構成されており、計測ファームウェアとメインファームウェアとを1つのファームウェアファイルに格納して記憶している。通信部14は、パワーメータ2と通信を行うためのインターフェースであり、パワーメータ2の通信部26に接続されている。
【0025】
表示部12には、バージョンアップツールの操作画面が表示され、ユーザーが操作部11を操作することによって、制御部15がバージョンアップツールを実行する。
【0026】
制御部15は、抽出部151と送信部152とで構成されている。
【0027】
ユーザーが操作部11を操作することで、抽出部151はデータ格納部13にアクセスし、データ格納部13に記憶された1つのファームウェアファイルを読み込む。そして、抽出部151は、読み込んだファイルから計測ファームウェアとメインファームウェアとに分割する。
【0028】
また、ユーザーが操作部11を操作して、計測ファームウェアとメインファームウェアとのうち、いずれか一方のファームウェアを選択する。
【0029】
そして、抽出部151は、上記のように分割した計測ファームウェアとメインファームウェアとのうち、操作部11を用いて選択された一方のファームウェアを抽出する。
【0030】
送信部152は、通信部14を用いて、抽出部151が抽出したファームウェアをパワーメータ2に送信する。
【0031】
パワーメータ2は、パソコン1から送信されるファームウェアを受信し、このファームウェアを記憶部27a,27bに書き込むことでファームウェアのバージョンアップが行われる。
【0032】
例えば、操作部11でメインファームウェアを選択した場合、抽出部151がメインファームウェアを抽出し、パワーメータ2の基本ユニット2aに送信される。基本ユニット2aのメインCPU24は、受信したファームウェアがメインファームウェアか計測ファームウェアかを確認する。この場合、メインCPU24はメインファームウェアを受信したので、メインCPU24は記憶部27aに記憶されているメインファームウェアの書き換えを行う。それによって、メインファームウェアのバージョンアップが行われる。
【0033】
また、操作部11で計測ファームウェアを選択した場合、抽出部151が計測ファームウェアを抽出し、パワーメータ2の基本ユニット2aに送信される。そして、基本ユニット2aのメインCPU24は、記憶部27aに記憶されている計測ファームウェアの書き換えを行う。さらに、メインCPU24は、通信線Lを介して増設ユニット2bの記憶部27bにアクセスし、記憶部27bに記憶されている計測ファームウェアの書き換えを行う。それによって、基本ユニット2aおよび増設ユニット2bの計測ファームウェアのバージョンアップが行われる。
【0034】
このように、ユーザーがパソコン1の操作部11を操作し、制御部15がバージョンアップツールを実行することで、パワーメータ2のファームウェアのバージョンアップを行うことができる。
【0035】
本実施形態では、パソコン1の操作部11を操作して、バージョンアップツールを実行することでパワーメータ2のファームウェアのバージョンアップを行うことができる。そのため、パソコン1の操作部11(マウス,キーボードなど)および表示部12(LCD)を用いるので操作性に優れ、操作効率が向上し、誤操作を防止することができる。
【0036】
さらに、本実施形態では、計測ファームウェアとメインファームウェアとを格納した1つのファームウェアファイルを用いるので、CPU毎にファイルを管理する必要がなく、ファイル管理が容易となる。
【符号の説明】
【0037】
1 パソコン(ファームウェアバージョンアップ装置)
2 パワーメータ
11 操作部
12 表示部
13 データ格納部(第2の記憶部)
14 通信部
15 制御部
151 抽出部
152 送信部
23a,23b 計測用CPU
24 メインCPU
27a,27b 記憶部(第1の記憶部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測ファームウェアおよびメインファームウェアを記憶する第1の記憶部と、前記計測ファームウェアを実行することで電力の計測結果を算出する計測用CPUと、前記メインファームウェアを実行することで前記計測用CPUの算出結果を用いた処理を行うメインCPUとを有するパワーメータに対して、ファームウェアを送信することで前記パワーメータのファームウェアのバージョンアップを行うファームウェアバージョンアップ装置において、
前記計測ファームウェアと前記メインファームウェアとを格納した1つのファイルを記憶する第2の記憶部と、
前記計測ファームウェアと前記メインファームウェアとのうち、いずれか一方のファームウェアをユーザー操作によって選択する操作部と、
前記第2の記憶部に記憶された前記ファイルから、前記操作部が選択した前記一方のファームウェアを抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出したファームウェアを前記パワーメータに送信する送信部とを備えることを特徴とするファームウェアバージョンアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−243236(P2012−243236A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115533(P2011−115533)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(592070649)パナソニック デバイスSUNX竜野株式会社 (61)
【Fターム(参考)】