フィルタパック及びその製造装置
【課題】エンボス加工後のろ材の進行方向に直交する任意断面での突出部の高さの差に起因するジグザグに折り畳まれた折り畳み体の折り筋の湾曲、及びフィルタパック外形の直方体からの乖離を生じないフィルタパックの提供。
【解決手段】加工ロールでろ材に折り筋と突出部を形成するとき、突出部の頂部に塗布するホットメルトビード6の太さをろ材幅中央側では細く、両端側では太くすることによって、前記断面における突出部高さとビード高さの合計高さが概ね均等になるように補正しておき、ジグザグに折り畳んだ時の接着層14厚さの自己調整力と合わせて、隣り合う折壁がV字状をなし、折り筋の湾曲を防止し、外形が直方体に近いフィルタパックの製造を可能にする。
【解決手段】加工ロールでろ材に折り筋と突出部を形成するとき、突出部の頂部に塗布するホットメルトビード6の太さをろ材幅中央側では細く、両端側では太くすることによって、前記断面における突出部高さとビード高さの合計高さが概ね均等になるように補正しておき、ジグザグに折り畳んだ時の接着層14厚さの自己調整力と合わせて、隣り合う折壁がV字状をなし、折り筋の湾曲を防止し、外形が直方体に近いフィルタパックの製造を可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタろ材の進行方向と直角に一定間隔で付けた折り筋で山折りと谷折りを繰り返して、ジグザグ状に折り畳むフィルタパックにおいて、通風時の風圧で隣合う折壁が密着しないようにエンボス加工により折壁のろ材幅方向に一定間隔のリブ状突出部を形成し、その突出部の頂部にホットメルトビードを塗布した後にジグザグに折り畳み、ビード同士を接着させて接着層を形成したフィルタパック及びその製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から多風量に対応できる低圧力損失で長寿命、且つ環境負荷が小さく低価格のフィルタが追求されて来たが、近年それに沿ったフィルタとしてフィルタろ材の進行方向と直角に一定間隔で付けた折り筋で山折りと谷折りを繰り返して、ジグザグに折り畳むフィルタで、通風時の風圧で隣合う折壁が密着しないようにエンボス加工により折壁のろ材幅方向に一定間隔のリブ状突出部を形成し、その突出部の頂部にホットメルトビードを塗布した後にジグザグに折り畳み、ビード同士を接着させてフィルタパックの剛性を高めた、隣り合う折壁がV字状をなすフィルタの採用が増えて来ている。そしてフィルタの利用範囲が広がると共に、フィルタに求められる製品仕様も多様化し、フィルタパックの寸法形状の精度維持が困難になる場合が発生して来ている。すなわち、従来はろ材に形成された突出部を進行方向と直交する断面で見ると、ろ材の突出部高さは中央側は高く、ろ材両端部は低くなるために突出部の頂部にビードを塗布して折り畳んだ場合、図4に示すように折り筋13が湾曲する傾向があり、フィルタパックの外形寸法精度を下げるだけでなく場合によってはフィルタ枠への正しい取付が困難となるため再製作が必要になることもあった。
【0003】
また、ろ材供給部,加熱装置,加工ロール,ろ材全幅用塗布ノズルブロック,折り畳み機,ピッチ出しコンベア等からなる従来のフィルタ製造装置では、ろ材ロール取付時の取付基準を装置の幅の何れかの側、多くは作業者が近寄り易い側に定めることが多かったが、フィルタ幅は多種類に亘るので装置の中心とろ材幅中心が一致することは稀であった。一方、加熱装置,加工ロール等のろ材を加工する部分は装置の幅中心に対称に設計されるので、この様な装置で何れかの側を基準にしてろ材にエンボス加工をすると次のような不都合が生じていた。つまり、エンボス加工中はろ材の両端は拘束されていないので、理論的にはろ材中心に対称な突出部の形成が進められるが、装置の幅中心とろ材幅中心が偏倚しているためろ材に形成された突出部高さの測定値の分布はろ材幅中心に対称にはならなかった。そのため、ビードを塗布した後にジグザグに折り畳み、ビード同士を接着させた時の折り筋を真直ぐ且つ平行にするための調整が、装置中心に対称という単純作業ではなく、ろ材幅に依存する複雑なものとなっていた。
【発明が解決しょうとする課題】
【0004】
本発明はろ材に形成された突出部高さに差があっても、これを後工程で補正することにより、折り筋が真直ぐ且つ平行で全体の外形が直方体に近いフィルタパックを提供しようとするものである。
【0005】
また、本発明はろ材幅中心を製造装置の幅中心と一致させて、ろ材に形成される突出部の高さの分布をろ材幅中心に対称的にすると共に、その高さの差を補正する目的で従来装置の塗布ノズルブロックとは異なる太さのビードを塗布するノズルブロックを設け、その配置をろ材幅中心に対称としたフィルタパック製造装置を提供するものである。
【0006】
また、本発明は塗布ノズルブロックをビードの太さに応じて適切な塗布位置へ配置できるようにライン方向に移動可能とすると共に、本発明に基づく異なる太さのビードを塗布する前記ノズルブロックはろ材幅に応じて広げたり狭めたりの移動をも可能にした製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の解決手段は、フィルタろ材の進行方向と直角に一定間隔で付けた折り筋で山折りと谷折りを繰り返して、ジグザグ状に折り畳むフィルタパックにおいて、通風時の風圧で隣合う折壁が密着しないようにエンボス加工により折壁のろ材幅方向に一定間隔のリブ状突出部を形成し、その突出部の頂部にホットメルトビードを塗布した後にジグザグに折り畳みビード同士を接着させてフィルタパックの剛性を高めた、隣り合う折壁がV字状をなすフィルタパックの空気流に直交する任意の断面に現れる突出部の高さとビード高さの合計高さが均等になるように接着層を形成したことを特徴としたフィルタパック。
【0008】
本発明の第2の解決手段はろ材の進行方向に直交する任意の断面における突出部の高さとビード高さの合計高さを概ね均等化することにより、ジグザグに折り畳んだ時の接着層厚さの自己調整力と相俟って折り筋が真直ぐ且つ平行に折り畳まれ、外形が直方体に近くになることを特徴としたフィルタパック。
【0009】
本発明の第3の解決手段は加工ロールの後段で、ろ材全幅用のホットメルトビード塗布ノズルブロックよりも前段に、ろ材両端側の突出部の頂部にビードを塗布する複数個のノズル群からなる一対のノズルブロックを1段以上設け、各段のノズルブロック毎に異なった太さのビードを塗布することによって、前記断面において突出部の高さとビード高さの合計高さを概ね均等化し、後工程でジグザグに折り畳んだ時の折り筋が真直ぐ且つ平行に折り畳まれ、外形を直方体に近くしたことを特徴としたフィルタパック。
【0010】
第4の解決手段は、ろ材中心を製造装置の幅中心と一致させる製造設備である。ろ材供給部,加熱装置,加工ロール,ろ材両端側用塗布ノズルブロック,ろ材全幅用塗布ノズルブロック,折り畳み機,ピッチ出しコンベア等からなるフィルタ製造装置において、ろ材幅中心を製造装置の幅中心と一致させる場合、ろ材供給部とろ材両端側用塗布ノズルブロック及びろ材の両端を案内するサイドガイドはろ材幅が変わる毎に位置決めし直す必要があり、そのための調整機構が備わっている。ろ材両端側用ノズルブロックとサイドガイドは片側毎単独に、もしくは両側連動して幅方向に広げたり狭めたりの移動を可能としたことを特徴とする。
【0011】
第5の解決手段は、太さの異なるビードを塗布する場合、太さに応じた適切な塗布位置を選択出来るように、ノズルブロックの位置をライン方向へ移動可能にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に基づいて作られたフィルタパックを用いた時に得られる効果、及び本発明に基づく製造装置を用いた時に得られる効果は次のようになる。
【0013】
(1)本発明のフィルタパックは、ろ材の進行方向に直交する任意の断面における突出部の高さとビード高さの合計高さを概ね均等化することにより、ジグザグに折り畳んだ時の接着層厚さの自己調整力と相俟って、折り筋が真直ぐ且つ平行で、直方体に近い正確な外形寸法が得られる。
(2)ろ材に形成された前記断面における突出部の高さの差を塗布ビードの太さを変えて補正した後、ジグザグに折り畳むことにより、折り筋は湾曲することなく、真直ぐ且つ平行で、その連続した折り畳み体をライン方向に所定寸法で切り取って作られるフィルタパックの全体外形は直方体に近くなる。これは外観形状を美しくするだけでなく、寸法精度の向上によりシール面のリーク防止も容易・確実になり、取付時間の削減につながる。
(3)加工ロールで折り筋と突出部を形成したろ材の前記断面における突出部高さに差があり、従来のようにろ材全幅に亘り一様な太さのビードを塗布してジグザグに折った時には折り筋が湾曲してしまう場合でも、本製造装置を用いると突出部の高さに応じてビードの太さが調整,塗布できるので折り筋が湾曲することなく、前記(1)のフィルタパックが得られる。
(4)また、本製造装置では装置の幅中心とろ材幅中心を一致させるのでノズルブロック等の機器類の仕様,配置を装置幅中心に対称にするという設備的に最も自然な思想を踏襲することが出来、且つ太さの異なるビードを塗布する場合の太さの調整も設備の幅中心に対称に行えば良く、設定ミスの防止と調整時間の削減に効果がある。
(5)また、本製造装置を用いると太さの異なるビードを塗布するノズルブロックを望ましい塗布位置に移動可能であるので、ジグザグに折り畳む時に太いビードも細いビードも接着能力を維持しながらも折り畳み力によるビードの潰れが適量となる位置を選択できると共に、ろ材両端側用のノズルブロックはろ材幅方向に広げたり狭めたりの移動が可能なので多種類に亘るろ材幅に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係るフィルタ製造装置、及びフィルタパックについて図1〜11に基づいて説明する。
(実施形態)
【0015】
図1は図示していないろ材供給部から巻き出されるフィルタろ材1に加工ロール2で折り筋と突出部を形成している部分を示してしており、特公昭48−4670,特開平3−196806,特表平9−507157に同様の装置が示されているが、いずれも突出部の加工により隣り合う折壁がV字状を形成・維持することを目指している。図2は図1を含む従来式のフィルタパック製造装置の主要工程を示しており、図中の3はろ材に形成された突出部の頂部に対しろ材全幅に亘り一様な太さのホットメルトビードを塗布するために多数個の塗布ノズルを一列に並べて組み立てたノズルブロックを示している。
【0016】
従来、加工ロール2によりろ材1に折り筋13と突出部11,12を形成し、その後の工程で突出部の頂部にホットメルトビードをノズルブロック3で塗布して折り畳み、ビード同士を接着させることで剛性の高いフィルタパックを製作する装置においては、装置各部の設定条件を種々調整しても、加工ロール通過中のろ材両端部が拘束されていないので形成される突出部の高さは進行方向と直交する断面で見ると、ろ材幅中央付近は高く、両端部に近付くに従って低くなる傾向があった。この様子を模式的に示すと図3のようになり、ろ材中央側の突出部の高さをH、ろ材端部4近傍のそれをH’とするとH>H’となる。
【0017】
この様な突出部が形成されたろ材に対し、ろ材全幅に亘る塗布ノズルブロック3で一様な太さのビード6を突出部の頂部に塗布する従来の製造装置では突出部の高さの差は補正されることがないので、その後の工程でジグザグに折り畳んだ場合には、図4の如く山折り線,谷折り線の折り筋が湾曲し、フィルタパックの外形が直方体から外れてしまうため、外形寸法精度を低下させるだけでなく、湾曲が過大な場合には正しい取付が困難になるので再製作が必要になることがあった。
【0018】
本発明は前記加工ロールで形成された突出部の高さの差を、その後の工程で補正するために、図5に示す如く加工ロールの後段で、ろ材全幅用のビード塗布ノズルブロック3’よりも前段に、ろ材の両端側の突出部の頂部にビードを塗布する片側が複数個のノズル群からなる左右一対のノズルブロック7を1段以上設け、各段のノズルブロック毎に異なった太さのビードを塗布することによって、ろ材の進行方向に直交する任意の断面における突出部の高さとビード高さの合計高さを概ね均等化しておき、ジグザグに折り畳んだ時の接着層厚さの自己調整力と合わせて折り筋が真直ぐ且つ平行でフィルタパックにした時の外形を直方体に近くすることを目指している。ろ材両端側(H’の範囲)には図6に一実施例として示する材両端側用ノズルブロック7により太めのビードを、中央側(Hの範囲)には図7に示す全幅用ノズルブロック3’により細めのビードを塗布することによって、前記断面における突出部の高さとビードの高さの合計高さが両端側でも中央側でも概ね均等になるように補正するものである。
【0019】
また本発明では、ろ材幅中心と製造装置の幅中心とを一致させるために、ろ材供給部のろ材ロールの取付位置及びライン中のサイドガイドの設定等が製造装置の幅中心に合わせられるようになっている。従来装置ではろ材ロールの取付基準を装置の幅の何れかの側、多くは作業者が近寄り易い側に定めることが多かったが、フィルタ幅は多種類に亘るので装置の中心とろ材幅中心が一致することは稀であった。一方、加熱装置,加工ロール等のろ材を加工する部分は装置の幅中心に対称に設計されており、構造上は装置中心に対称な加工を想定している。従って、従来装置では模式的には図3のような突出部が形成されるものの、定量的な突出部高さの分布はろ材中心に対称とはならなかった。非対称な高さ分布の突出部を後工程のビード塗布で補正する場合、ビード太さの調整も非対称となるので複雑になり長時間を要していた。本発明の装置によれば、ろ材に形成される突出部の高さの分布をろ材幅中心に対称にすることが出来るので、両端側用ノズルブロック7はろ材幅中心に対称に位置設定し、バルブの開閉,ビード太さの設定等の調整もろ材幅中心に行えば良いので、ミスなく迅速に作業出来る。
【0020】
また、本発明では異なった太さのビードを塗布するので、山折りと谷折りを繰り返してジグザグに折り畳む際に、ビード表面が接着能力を失わず、且つ折り畳み力によるビードの潰れが適量になる強度を持たせるためにはビード太さ毎に適切な塗布位置を選ぶ必要がある。従って、従来技術であるろ材幅全体に亘る多数個の塗布ノズルを一列に組み立てたノズルブロック3’、及び本発明による両端側用ノズルブロック7のいずれもが製造装置のライン方向に移動可能とすることにより、ビードの太さ応じた最適な塗布位置を選べるようにしている。
また、両端側用ノズルブロック7は製造するフィルタ幅に対応して幅方向に広げたり狭めたりの移動が可能となっており、少ないノズル数で全てのろ材幅に対応出来る構造となっている。
【0021】
ノズルブロック3’は図2のノズルブロック3と同様で、ろ材全幅に亘り一様な太さのホットメルトビードを塗布するために多数個の塗布ノズルを一列に並べて組み立てたノズルブロックである。また、7はろ材両端側の高さの低い突出部を対象に太めのビードを塗布する両端側用ノズルブロックなので、ろ材中央部に対応する部分にはノズルは設けられていない。
【0022】
両端側用ノズルブロック7によりビードが塗布された突出部に対しては、対応する全幅用ノズルブロック3’の塗布ノズルのバルブを閉めてビードの重複塗布を避ける製造方法も採用できる。
【0023】
上述の処置により、ろ材の突出部高さの差は太さの異なるビードが塗布されることで合計高さは殆ど等しくなり、補正が達成されたことになる。補正を終えたろ材幅全体に亘る断面図を模式的に図8に示すが、突出部高さとビード高さの合計高さはろ材中央側でL,ろ材端部近傍でL’とするとL≒L’となることを示している。また、補正されたろ材を山折りと谷折りを繰り返してジグザグに折り畳んで作られたフィルタパックを図9に示すが、図8の如く補正されたろ材を折り畳んだ時にはビード同士が押し潰され接着域を広げ、接着層14を形成する過程で突出部高さとビード高さの合計高さは更に均等化し、折り筋の湾曲は矯正されて真直ぐ且つ平行になり、フィルタパック全体の外形も直方体に近づき、外形寸法精度の向上だけでなく取付作業も能率が向上するなど好ましい結果となっている。
【0024】
図10は図9のC−Cから見た面の中央部分を拡大して模式的に示した図であり、ジグザグに折り畳む時の折り畳み力によりビードが押し潰されて、接着層14の厚さがろ材幅の中央部と端部で異なる様子を示したものである。
また、図11は図10のD−D断面の一部を拡大して模式的に示したものである。突出部(11,12)高さとビード(6,6’)高さの合計高さ(L,L’)が高い部分は折り畳み力を強く受けるのでビードの潰れ方は大きいが、合計高さが低い部分は弱い折り畳み力しか受けないのでビード同士は接着するものの殆ど潰れない。この接着層厚さの自己調整力によって、ジグザグに折り畳んだ後の前記合計高さは更に均等化することになる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
従来から多風量に対応できる低圧力損失で長寿命、且つ環境負荷が小さく低価格のフィルタが追求されて来たが、近年それに沿ったフィルタとしてフィルタろ材の進行方向と直角に一定間隔で付けた折り筋で山折りと谷折りを繰り返して、ジグザグに折り畳むフィルタパックで、通風時の風圧で隣合う折壁が密着しないようにエンボス加工により折壁のろ材幅方向に一定間隔のリブ状突出部を形成し、その突出部の頂部にホットメルトビードを塗布した後にジグザグに折り畳み、ビード同士を接着させてフィルタパックの剛性を高めた、隣り合う折壁がV字状をなすフィルタの採用が増えて来ている。そしてフィルタの利用範囲が広がると共に、フィルタに求められる製品仕様も多様化し、フィルタパックの寸法形状の精度維持が困難になる場合が発生して来ている。すなわち、従来技術ならば図4に示す形状になる傾向があり、外形寸法精度を下げるだけでなく場合によってはフィルタの正しい取付が困難となるため再製作が必要になることもあった。
【0026】
本発明は従来の加工ロールで折り筋と突出部が形成されたろ材に対し、突出部高さの差を補正する装置を設けることで、ジグザグに折り畳んだ時の隣り合う折壁がV字状をなし、折り筋が真直ぐ且つ平行でフィルタパックの外形が直方体に近い製品を作り出すことが出来る。この発明により外形寸法精度が向上し取付の迅速化に寄与すると共に、多様化する製品仕様に対し適用可能範囲を拡大できるので、産業上の利用価値は高い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】フィルタろ材に折り筋と突出部を形成する従来の加工ロール周りを示す略図。
【図2】図1を含む従来の製造ラインの主要工程を示した概略図。
【図3】加工ロールで突出部が形成されたろ材の全幅に亘る断面を模式的に示した図。
【図4】従来設備で製造した折り筋が湾曲したフィルタパックの一例を示す。(a)はその正面図、(b)はその下面図、(c)はその右側面図を示す。
【図5】本発明に基づく一実施例として示した製造ラインの主要工程の概略図。
【図6】図5のA−A断面を示す。
【図7】図5のB−B断面を示す。
【図8】突出部高さに差があるろ材に、本発明に基づく太さが異なるビードを塗布した時のろ材全幅に亘る断面を模式的に示した図。
【図9】図8の如く突出部高さの差を補正したろ材を折り畳んで作られたフィルタパックの一例を示す。
【図10】図9のC−C断面の中央部分を拡大して示した模式図。
【図11】図10のD−D断面の一部を拡大して示した模式図。
【符号の説明】
【0028】
1・・・フィルタろ材 2・・・加工ロール
3,3’・・・ろ材全幅に亘り一様な太さのビードを塗布する全幅用ノズルブロック
4・・・フィルタろ材の端部 5・・・フィルタろ材の中央側
6・・・ろ材中央側の突出部に3’で塗布したビード
6’・・・両端側用ノズルブロック7で塗布したビード
7・・・両端側用ノズルブロック 8・・・折り畳み機
9・・・ジグザグに折り畳まれた連続した折り畳み体
10・・・前記9を所定長さに切り出して作られたフィルタパック
11・・・ろ材に形成された突出部(下に凸)
12・・・ろ材に形成された突出部(上に凸)
13・・・ろ材に形成された折り筋 14・・・接着層
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタろ材の進行方向と直角に一定間隔で付けた折り筋で山折りと谷折りを繰り返して、ジグザグ状に折り畳むフィルタパックにおいて、通風時の風圧で隣合う折壁が密着しないようにエンボス加工により折壁のろ材幅方向に一定間隔のリブ状突出部を形成し、その突出部の頂部にホットメルトビードを塗布した後にジグザグに折り畳み、ビード同士を接着させて接着層を形成したフィルタパック及びその製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から多風量に対応できる低圧力損失で長寿命、且つ環境負荷が小さく低価格のフィルタが追求されて来たが、近年それに沿ったフィルタとしてフィルタろ材の進行方向と直角に一定間隔で付けた折り筋で山折りと谷折りを繰り返して、ジグザグに折り畳むフィルタで、通風時の風圧で隣合う折壁が密着しないようにエンボス加工により折壁のろ材幅方向に一定間隔のリブ状突出部を形成し、その突出部の頂部にホットメルトビードを塗布した後にジグザグに折り畳み、ビード同士を接着させてフィルタパックの剛性を高めた、隣り合う折壁がV字状をなすフィルタの採用が増えて来ている。そしてフィルタの利用範囲が広がると共に、フィルタに求められる製品仕様も多様化し、フィルタパックの寸法形状の精度維持が困難になる場合が発生して来ている。すなわち、従来はろ材に形成された突出部を進行方向と直交する断面で見ると、ろ材の突出部高さは中央側は高く、ろ材両端部は低くなるために突出部の頂部にビードを塗布して折り畳んだ場合、図4に示すように折り筋13が湾曲する傾向があり、フィルタパックの外形寸法精度を下げるだけでなく場合によってはフィルタ枠への正しい取付が困難となるため再製作が必要になることもあった。
【0003】
また、ろ材供給部,加熱装置,加工ロール,ろ材全幅用塗布ノズルブロック,折り畳み機,ピッチ出しコンベア等からなる従来のフィルタ製造装置では、ろ材ロール取付時の取付基準を装置の幅の何れかの側、多くは作業者が近寄り易い側に定めることが多かったが、フィルタ幅は多種類に亘るので装置の中心とろ材幅中心が一致することは稀であった。一方、加熱装置,加工ロール等のろ材を加工する部分は装置の幅中心に対称に設計されるので、この様な装置で何れかの側を基準にしてろ材にエンボス加工をすると次のような不都合が生じていた。つまり、エンボス加工中はろ材の両端は拘束されていないので、理論的にはろ材中心に対称な突出部の形成が進められるが、装置の幅中心とろ材幅中心が偏倚しているためろ材に形成された突出部高さの測定値の分布はろ材幅中心に対称にはならなかった。そのため、ビードを塗布した後にジグザグに折り畳み、ビード同士を接着させた時の折り筋を真直ぐ且つ平行にするための調整が、装置中心に対称という単純作業ではなく、ろ材幅に依存する複雑なものとなっていた。
【発明が解決しょうとする課題】
【0004】
本発明はろ材に形成された突出部高さに差があっても、これを後工程で補正することにより、折り筋が真直ぐ且つ平行で全体の外形が直方体に近いフィルタパックを提供しようとするものである。
【0005】
また、本発明はろ材幅中心を製造装置の幅中心と一致させて、ろ材に形成される突出部の高さの分布をろ材幅中心に対称的にすると共に、その高さの差を補正する目的で従来装置の塗布ノズルブロックとは異なる太さのビードを塗布するノズルブロックを設け、その配置をろ材幅中心に対称としたフィルタパック製造装置を提供するものである。
【0006】
また、本発明は塗布ノズルブロックをビードの太さに応じて適切な塗布位置へ配置できるようにライン方向に移動可能とすると共に、本発明に基づく異なる太さのビードを塗布する前記ノズルブロックはろ材幅に応じて広げたり狭めたりの移動をも可能にした製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の解決手段は、フィルタろ材の進行方向と直角に一定間隔で付けた折り筋で山折りと谷折りを繰り返して、ジグザグ状に折り畳むフィルタパックにおいて、通風時の風圧で隣合う折壁が密着しないようにエンボス加工により折壁のろ材幅方向に一定間隔のリブ状突出部を形成し、その突出部の頂部にホットメルトビードを塗布した後にジグザグに折り畳みビード同士を接着させてフィルタパックの剛性を高めた、隣り合う折壁がV字状をなすフィルタパックの空気流に直交する任意の断面に現れる突出部の高さとビード高さの合計高さが均等になるように接着層を形成したことを特徴としたフィルタパック。
【0008】
本発明の第2の解決手段はろ材の進行方向に直交する任意の断面における突出部の高さとビード高さの合計高さを概ね均等化することにより、ジグザグに折り畳んだ時の接着層厚さの自己調整力と相俟って折り筋が真直ぐ且つ平行に折り畳まれ、外形が直方体に近くになることを特徴としたフィルタパック。
【0009】
本発明の第3の解決手段は加工ロールの後段で、ろ材全幅用のホットメルトビード塗布ノズルブロックよりも前段に、ろ材両端側の突出部の頂部にビードを塗布する複数個のノズル群からなる一対のノズルブロックを1段以上設け、各段のノズルブロック毎に異なった太さのビードを塗布することによって、前記断面において突出部の高さとビード高さの合計高さを概ね均等化し、後工程でジグザグに折り畳んだ時の折り筋が真直ぐ且つ平行に折り畳まれ、外形を直方体に近くしたことを特徴としたフィルタパック。
【0010】
第4の解決手段は、ろ材中心を製造装置の幅中心と一致させる製造設備である。ろ材供給部,加熱装置,加工ロール,ろ材両端側用塗布ノズルブロック,ろ材全幅用塗布ノズルブロック,折り畳み機,ピッチ出しコンベア等からなるフィルタ製造装置において、ろ材幅中心を製造装置の幅中心と一致させる場合、ろ材供給部とろ材両端側用塗布ノズルブロック及びろ材の両端を案内するサイドガイドはろ材幅が変わる毎に位置決めし直す必要があり、そのための調整機構が備わっている。ろ材両端側用ノズルブロックとサイドガイドは片側毎単独に、もしくは両側連動して幅方向に広げたり狭めたりの移動を可能としたことを特徴とする。
【0011】
第5の解決手段は、太さの異なるビードを塗布する場合、太さに応じた適切な塗布位置を選択出来るように、ノズルブロックの位置をライン方向へ移動可能にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に基づいて作られたフィルタパックを用いた時に得られる効果、及び本発明に基づく製造装置を用いた時に得られる効果は次のようになる。
【0013】
(1)本発明のフィルタパックは、ろ材の進行方向に直交する任意の断面における突出部の高さとビード高さの合計高さを概ね均等化することにより、ジグザグに折り畳んだ時の接着層厚さの自己調整力と相俟って、折り筋が真直ぐ且つ平行で、直方体に近い正確な外形寸法が得られる。
(2)ろ材に形成された前記断面における突出部の高さの差を塗布ビードの太さを変えて補正した後、ジグザグに折り畳むことにより、折り筋は湾曲することなく、真直ぐ且つ平行で、その連続した折り畳み体をライン方向に所定寸法で切り取って作られるフィルタパックの全体外形は直方体に近くなる。これは外観形状を美しくするだけでなく、寸法精度の向上によりシール面のリーク防止も容易・確実になり、取付時間の削減につながる。
(3)加工ロールで折り筋と突出部を形成したろ材の前記断面における突出部高さに差があり、従来のようにろ材全幅に亘り一様な太さのビードを塗布してジグザグに折った時には折り筋が湾曲してしまう場合でも、本製造装置を用いると突出部の高さに応じてビードの太さが調整,塗布できるので折り筋が湾曲することなく、前記(1)のフィルタパックが得られる。
(4)また、本製造装置では装置の幅中心とろ材幅中心を一致させるのでノズルブロック等の機器類の仕様,配置を装置幅中心に対称にするという設備的に最も自然な思想を踏襲することが出来、且つ太さの異なるビードを塗布する場合の太さの調整も設備の幅中心に対称に行えば良く、設定ミスの防止と調整時間の削減に効果がある。
(5)また、本製造装置を用いると太さの異なるビードを塗布するノズルブロックを望ましい塗布位置に移動可能であるので、ジグザグに折り畳む時に太いビードも細いビードも接着能力を維持しながらも折り畳み力によるビードの潰れが適量となる位置を選択できると共に、ろ材両端側用のノズルブロックはろ材幅方向に広げたり狭めたりの移動が可能なので多種類に亘るろ材幅に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係るフィルタ製造装置、及びフィルタパックについて図1〜11に基づいて説明する。
(実施形態)
【0015】
図1は図示していないろ材供給部から巻き出されるフィルタろ材1に加工ロール2で折り筋と突出部を形成している部分を示してしており、特公昭48−4670,特開平3−196806,特表平9−507157に同様の装置が示されているが、いずれも突出部の加工により隣り合う折壁がV字状を形成・維持することを目指している。図2は図1を含む従来式のフィルタパック製造装置の主要工程を示しており、図中の3はろ材に形成された突出部の頂部に対しろ材全幅に亘り一様な太さのホットメルトビードを塗布するために多数個の塗布ノズルを一列に並べて組み立てたノズルブロックを示している。
【0016】
従来、加工ロール2によりろ材1に折り筋13と突出部11,12を形成し、その後の工程で突出部の頂部にホットメルトビードをノズルブロック3で塗布して折り畳み、ビード同士を接着させることで剛性の高いフィルタパックを製作する装置においては、装置各部の設定条件を種々調整しても、加工ロール通過中のろ材両端部が拘束されていないので形成される突出部の高さは進行方向と直交する断面で見ると、ろ材幅中央付近は高く、両端部に近付くに従って低くなる傾向があった。この様子を模式的に示すと図3のようになり、ろ材中央側の突出部の高さをH、ろ材端部4近傍のそれをH’とするとH>H’となる。
【0017】
この様な突出部が形成されたろ材に対し、ろ材全幅に亘る塗布ノズルブロック3で一様な太さのビード6を突出部の頂部に塗布する従来の製造装置では突出部の高さの差は補正されることがないので、その後の工程でジグザグに折り畳んだ場合には、図4の如く山折り線,谷折り線の折り筋が湾曲し、フィルタパックの外形が直方体から外れてしまうため、外形寸法精度を低下させるだけでなく、湾曲が過大な場合には正しい取付が困難になるので再製作が必要になることがあった。
【0018】
本発明は前記加工ロールで形成された突出部の高さの差を、その後の工程で補正するために、図5に示す如く加工ロールの後段で、ろ材全幅用のビード塗布ノズルブロック3’よりも前段に、ろ材の両端側の突出部の頂部にビードを塗布する片側が複数個のノズル群からなる左右一対のノズルブロック7を1段以上設け、各段のノズルブロック毎に異なった太さのビードを塗布することによって、ろ材の進行方向に直交する任意の断面における突出部の高さとビード高さの合計高さを概ね均等化しておき、ジグザグに折り畳んだ時の接着層厚さの自己調整力と合わせて折り筋が真直ぐ且つ平行でフィルタパックにした時の外形を直方体に近くすることを目指している。ろ材両端側(H’の範囲)には図6に一実施例として示する材両端側用ノズルブロック7により太めのビードを、中央側(Hの範囲)には図7に示す全幅用ノズルブロック3’により細めのビードを塗布することによって、前記断面における突出部の高さとビードの高さの合計高さが両端側でも中央側でも概ね均等になるように補正するものである。
【0019】
また本発明では、ろ材幅中心と製造装置の幅中心とを一致させるために、ろ材供給部のろ材ロールの取付位置及びライン中のサイドガイドの設定等が製造装置の幅中心に合わせられるようになっている。従来装置ではろ材ロールの取付基準を装置の幅の何れかの側、多くは作業者が近寄り易い側に定めることが多かったが、フィルタ幅は多種類に亘るので装置の中心とろ材幅中心が一致することは稀であった。一方、加熱装置,加工ロール等のろ材を加工する部分は装置の幅中心に対称に設計されており、構造上は装置中心に対称な加工を想定している。従って、従来装置では模式的には図3のような突出部が形成されるものの、定量的な突出部高さの分布はろ材中心に対称とはならなかった。非対称な高さ分布の突出部を後工程のビード塗布で補正する場合、ビード太さの調整も非対称となるので複雑になり長時間を要していた。本発明の装置によれば、ろ材に形成される突出部の高さの分布をろ材幅中心に対称にすることが出来るので、両端側用ノズルブロック7はろ材幅中心に対称に位置設定し、バルブの開閉,ビード太さの設定等の調整もろ材幅中心に行えば良いので、ミスなく迅速に作業出来る。
【0020】
また、本発明では異なった太さのビードを塗布するので、山折りと谷折りを繰り返してジグザグに折り畳む際に、ビード表面が接着能力を失わず、且つ折り畳み力によるビードの潰れが適量になる強度を持たせるためにはビード太さ毎に適切な塗布位置を選ぶ必要がある。従って、従来技術であるろ材幅全体に亘る多数個の塗布ノズルを一列に組み立てたノズルブロック3’、及び本発明による両端側用ノズルブロック7のいずれもが製造装置のライン方向に移動可能とすることにより、ビードの太さ応じた最適な塗布位置を選べるようにしている。
また、両端側用ノズルブロック7は製造するフィルタ幅に対応して幅方向に広げたり狭めたりの移動が可能となっており、少ないノズル数で全てのろ材幅に対応出来る構造となっている。
【0021】
ノズルブロック3’は図2のノズルブロック3と同様で、ろ材全幅に亘り一様な太さのホットメルトビードを塗布するために多数個の塗布ノズルを一列に並べて組み立てたノズルブロックである。また、7はろ材両端側の高さの低い突出部を対象に太めのビードを塗布する両端側用ノズルブロックなので、ろ材中央部に対応する部分にはノズルは設けられていない。
【0022】
両端側用ノズルブロック7によりビードが塗布された突出部に対しては、対応する全幅用ノズルブロック3’の塗布ノズルのバルブを閉めてビードの重複塗布を避ける製造方法も採用できる。
【0023】
上述の処置により、ろ材の突出部高さの差は太さの異なるビードが塗布されることで合計高さは殆ど等しくなり、補正が達成されたことになる。補正を終えたろ材幅全体に亘る断面図を模式的に図8に示すが、突出部高さとビード高さの合計高さはろ材中央側でL,ろ材端部近傍でL’とするとL≒L’となることを示している。また、補正されたろ材を山折りと谷折りを繰り返してジグザグに折り畳んで作られたフィルタパックを図9に示すが、図8の如く補正されたろ材を折り畳んだ時にはビード同士が押し潰され接着域を広げ、接着層14を形成する過程で突出部高さとビード高さの合計高さは更に均等化し、折り筋の湾曲は矯正されて真直ぐ且つ平行になり、フィルタパック全体の外形も直方体に近づき、外形寸法精度の向上だけでなく取付作業も能率が向上するなど好ましい結果となっている。
【0024】
図10は図9のC−Cから見た面の中央部分を拡大して模式的に示した図であり、ジグザグに折り畳む時の折り畳み力によりビードが押し潰されて、接着層14の厚さがろ材幅の中央部と端部で異なる様子を示したものである。
また、図11は図10のD−D断面の一部を拡大して模式的に示したものである。突出部(11,12)高さとビード(6,6’)高さの合計高さ(L,L’)が高い部分は折り畳み力を強く受けるのでビードの潰れ方は大きいが、合計高さが低い部分は弱い折り畳み力しか受けないのでビード同士は接着するものの殆ど潰れない。この接着層厚さの自己調整力によって、ジグザグに折り畳んだ後の前記合計高さは更に均等化することになる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
従来から多風量に対応できる低圧力損失で長寿命、且つ環境負荷が小さく低価格のフィルタが追求されて来たが、近年それに沿ったフィルタとしてフィルタろ材の進行方向と直角に一定間隔で付けた折り筋で山折りと谷折りを繰り返して、ジグザグに折り畳むフィルタパックで、通風時の風圧で隣合う折壁が密着しないようにエンボス加工により折壁のろ材幅方向に一定間隔のリブ状突出部を形成し、その突出部の頂部にホットメルトビードを塗布した後にジグザグに折り畳み、ビード同士を接着させてフィルタパックの剛性を高めた、隣り合う折壁がV字状をなすフィルタの採用が増えて来ている。そしてフィルタの利用範囲が広がると共に、フィルタに求められる製品仕様も多様化し、フィルタパックの寸法形状の精度維持が困難になる場合が発生して来ている。すなわち、従来技術ならば図4に示す形状になる傾向があり、外形寸法精度を下げるだけでなく場合によってはフィルタの正しい取付が困難となるため再製作が必要になることもあった。
【0026】
本発明は従来の加工ロールで折り筋と突出部が形成されたろ材に対し、突出部高さの差を補正する装置を設けることで、ジグザグに折り畳んだ時の隣り合う折壁がV字状をなし、折り筋が真直ぐ且つ平行でフィルタパックの外形が直方体に近い製品を作り出すことが出来る。この発明により外形寸法精度が向上し取付の迅速化に寄与すると共に、多様化する製品仕様に対し適用可能範囲を拡大できるので、産業上の利用価値は高い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】フィルタろ材に折り筋と突出部を形成する従来の加工ロール周りを示す略図。
【図2】図1を含む従来の製造ラインの主要工程を示した概略図。
【図3】加工ロールで突出部が形成されたろ材の全幅に亘る断面を模式的に示した図。
【図4】従来設備で製造した折り筋が湾曲したフィルタパックの一例を示す。(a)はその正面図、(b)はその下面図、(c)はその右側面図を示す。
【図5】本発明に基づく一実施例として示した製造ラインの主要工程の概略図。
【図6】図5のA−A断面を示す。
【図7】図5のB−B断面を示す。
【図8】突出部高さに差があるろ材に、本発明に基づく太さが異なるビードを塗布した時のろ材全幅に亘る断面を模式的に示した図。
【図9】図8の如く突出部高さの差を補正したろ材を折り畳んで作られたフィルタパックの一例を示す。
【図10】図9のC−C断面の中央部分を拡大して示した模式図。
【図11】図10のD−D断面の一部を拡大して示した模式図。
【符号の説明】
【0028】
1・・・フィルタろ材 2・・・加工ロール
3,3’・・・ろ材全幅に亘り一様な太さのビードを塗布する全幅用ノズルブロック
4・・・フィルタろ材の端部 5・・・フィルタろ材の中央側
6・・・ろ材中央側の突出部に3’で塗布したビード
6’・・・両端側用ノズルブロック7で塗布したビード
7・・・両端側用ノズルブロック 8・・・折り畳み機
9・・・ジグザグに折り畳まれた連続した折り畳み体
10・・・前記9を所定長さに切り出して作られたフィルタパック
11・・・ろ材に形成された突出部(下に凸)
12・・・ろ材に形成された突出部(上に凸)
13・・・ろ材に形成された折り筋 14・・・接着層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタろ材の進行方向と直角に一定間隔で付けた折り筋で山折りと谷折りを繰り返して、ジグザグ状に折り畳むフィルタパックにおいて、通風時の風圧で隣合う折壁が密着しないようにエンボス加工により折壁のろ材幅方向に一定間隔のリブ状突出部を形成し、その突出部の頂部にホットメルトビードを塗布し、ろ材の進行方向に直交する任意の断面における突出部の高さとビード高さの合計高さを概ね均等にした後に、ジグザグに折り畳んで相対するビード同士を接着させて接着層を形成し、折り筋が真直ぐ且つ平行で隣り合う折壁がV字状をなし全体の外形が直方体に近いことを特徴としたフィルタパック。
【請求項2】
フィルタろ材の進行方向と直角に一定間隔で付けた折り筋で山折りと谷折りを繰り返して、ジグザグに折り畳むフィルタで、通風時の風圧で隣合う折壁が密着しないようにエンボス加工により折壁のろ材幅方向に一定間隔のリブ状突出部を形成し、その突出部の頂部にホットメルトビードを塗布した後にジグザグに折り畳んで、相対するビード同士を接着させて接着層を形成したフィルタパックに関し、ろ材の進行方向に直交する任意の断面における折壁の突出部の高さがろ材の幅方向で異なる場合に、突出部の頂部に塗布するホットメルトビードの太さを変えることによって、突出部高さとビード高さの合計高さが概ね均等になるように補正した後にジグザグに折り畳む、隣り合う折壁がV字状をなすことを特徴とするフィルタパック。
【請求項3】
ろ材供給部,加熱装置,加工ロール,ろ材両端側用塗布ノズルブロック、ろ材全幅用塗布ノズルブロック,折り畳み機,ピッチ出しコンベア等からなるフィルタ製造装置において、ろ材幅中心を製造装置の幅中心と一致させて、ろ材に形成される突出部の高さの分布をろ材幅中心に対称的にすると共に、その高さの差を補正する目的で前記ろ材全幅用塗布ノズルブロックのビードと異なる太さのビードを塗布するろ材両端側用塗布ノズルブロックの配置をろ材幅中心に対称とすることを特徴とするフィルタパック製造装置。
【請求項4】
加工ロールの後段で、ろ材全幅用塗布ノズルブロックよりも前段に、ろ材両端側の突出部の頂部にホットメルトビードを塗布する片側が複数個のノズル群からなる左右一対のノズルブロックを1段以上設け、ろ材両端側では太い、中央側では細い、ろ材幅中心からの距離に応じて各段のノズルブロック毎に異なった太さのビードを塗布することを特徴とする請求項3記載のフィルタパックの製造装置。
【請求項5】
周知の技術である加工ろ材幅全体に亘る多数個のノズルを一列に組み立てたノズルブロックとは別に、両端側用ノズルブロックを前記の全幅に亘るノズルブロックの上流に設けると共に、いずれのノズルブロックも製造装置のライン方向に移動可能としたことを特徴とする請求項3記載のフィルタパックの製造装置。
【請求項6】
両端側用ノズルブロックは製造するフィルタ幅に対応して幅方向に広げたり狭めたりの移動を可能としたことを特徴とする請求項3記載のフィルタパックの製造装置。
【請求項1】
フィルタろ材の進行方向と直角に一定間隔で付けた折り筋で山折りと谷折りを繰り返して、ジグザグ状に折り畳むフィルタパックにおいて、通風時の風圧で隣合う折壁が密着しないようにエンボス加工により折壁のろ材幅方向に一定間隔のリブ状突出部を形成し、その突出部の頂部にホットメルトビードを塗布し、ろ材の進行方向に直交する任意の断面における突出部の高さとビード高さの合計高さを概ね均等にした後に、ジグザグに折り畳んで相対するビード同士を接着させて接着層を形成し、折り筋が真直ぐ且つ平行で隣り合う折壁がV字状をなし全体の外形が直方体に近いことを特徴としたフィルタパック。
【請求項2】
フィルタろ材の進行方向と直角に一定間隔で付けた折り筋で山折りと谷折りを繰り返して、ジグザグに折り畳むフィルタで、通風時の風圧で隣合う折壁が密着しないようにエンボス加工により折壁のろ材幅方向に一定間隔のリブ状突出部を形成し、その突出部の頂部にホットメルトビードを塗布した後にジグザグに折り畳んで、相対するビード同士を接着させて接着層を形成したフィルタパックに関し、ろ材の進行方向に直交する任意の断面における折壁の突出部の高さがろ材の幅方向で異なる場合に、突出部の頂部に塗布するホットメルトビードの太さを変えることによって、突出部高さとビード高さの合計高さが概ね均等になるように補正した後にジグザグに折り畳む、隣り合う折壁がV字状をなすことを特徴とするフィルタパック。
【請求項3】
ろ材供給部,加熱装置,加工ロール,ろ材両端側用塗布ノズルブロック、ろ材全幅用塗布ノズルブロック,折り畳み機,ピッチ出しコンベア等からなるフィルタ製造装置において、ろ材幅中心を製造装置の幅中心と一致させて、ろ材に形成される突出部の高さの分布をろ材幅中心に対称的にすると共に、その高さの差を補正する目的で前記ろ材全幅用塗布ノズルブロックのビードと異なる太さのビードを塗布するろ材両端側用塗布ノズルブロックの配置をろ材幅中心に対称とすることを特徴とするフィルタパック製造装置。
【請求項4】
加工ロールの後段で、ろ材全幅用塗布ノズルブロックよりも前段に、ろ材両端側の突出部の頂部にホットメルトビードを塗布する片側が複数個のノズル群からなる左右一対のノズルブロックを1段以上設け、ろ材両端側では太い、中央側では細い、ろ材幅中心からの距離に応じて各段のノズルブロック毎に異なった太さのビードを塗布することを特徴とする請求項3記載のフィルタパックの製造装置。
【請求項5】
周知の技術である加工ろ材幅全体に亘る多数個のノズルを一列に組み立てたノズルブロックとは別に、両端側用ノズルブロックを前記の全幅に亘るノズルブロックの上流に設けると共に、いずれのノズルブロックも製造装置のライン方向に移動可能としたことを特徴とする請求項3記載のフィルタパックの製造装置。
【請求項6】
両端側用ノズルブロックは製造するフィルタ幅に対応して幅方向に広げたり狭めたりの移動を可能としたことを特徴とする請求項3記載のフィルタパックの製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−12502(P2008−12502A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207089(P2006−207089)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(390040888)日本エアー・フィルター株式会社 (45)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(390040888)日本エアー・フィルター株式会社 (45)
【Fターム(参考)】
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