説明

フィルターおよび紙巻きタバコ用フィルターの製造方法

【課題】製造時に溝が潰れたり、変形する危険を回避でき、紙巻きタバコのろ過性能がより確実な紙巻きタバコ用のフィルターを提供する。
【解決手段】紙巻きタバコ用のフィルター1であって、このフィルター1は、多孔性のフィルターロッド2とこのフィルターロッド2の周囲に巻かれた多孔性の内方シート材3とを含む。この内方シート材3は、ロッドの軸に平行に延びた複数の溝12を設けるために成形されている。これらの溝12は、溝の無い領域が少なくとも2つ形成されるようにフィルター1の周囲で円周方向の区分されている。またフィルター1は、多孔性の内方シート材3の周囲に巻かれた外方シート材4を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙巻きタバコおよび類似の喫煙品用のフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
通常紙巻きタバコは、タバコロッドとこれに接続されたフィルターを含む。喫煙者は、
タバコロッドの一端に火をつけ、フィルターを介して煙を吸い込む。
【0003】
既に知られている構造、例えば英国特許出願GB−A−2133269号ではフィルタ
ーは、フィルターロッドを包む多孔性の内方シート材(プラグ紙と言う場合もある)を含
む。この多孔性の内方シート材は、フィルターロッドと外方ラッパー(チッピング紙と言
う場合もある)の間に配される。内方シート材は、フィルターの軸に沿ってフィルターの
吸い口端から延び、フィルターのタバコロッド端部の前で終結している複数の溝を形成す
るように成形されている。紙巻きタバコを吸うと、煙が内方シート材を介して、溝に沿っ
てフィルターロッドの内側から吸引される。煙が内方シート材を介して通過する所でシー
ト材自体の抵抗および煙が溝に入る際の煙の突然の加速によって多くの煙成分が堆積する

【0004】
多くの紙巻きタバコにおいて、外方ラッパーは、紙巻きタバコの周囲を完全に包み、外
方ラッパー自体がフィルターの長さに沿って延びた直線状の接着剤によってのり付けされ
る。この接着工程では、接着線に圧力が加えられ、これにより接着線の下の内方シート材
の溝が潰れてしまい、従って塞がれてしまう。これはフィルターのろ過性状やフィルター
の見栄えに影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1つの態様は、多孔性のフィルターロッドとこの周囲を包む多孔性の内方シー
ト材とを含む紙巻きタバコまたは他の喫煙品用のフィルターを提供する。この多孔性の内
方シート材は、ロッドの軸に平行に延びた複数の溝を供するように成形されている。これ
らの溝は、少なくとも2つの溝の無い円周方向の領域ができるようにフィルターロッドの
周囲に円周方向に配分される。また紙巻きタバコは、多孔性の内方シート材の周囲を包む
外方シート材を含む。
【0006】
この溝の無い領域は、紙巻きタバコの製造時に役に立つ。例えば外方シート材の接着を
溝の無い領域に位置合わせして行ってもよい(外方シート材は、フィルターの周囲を1回
以上完全に包んで外方シート材自体を接着してもよく、または多孔性の内方シート材に接
着してもよい)。このように位置合わせすることによって製造時に溝が潰れたり、変形す
る危険を回避でき、紙巻きタバコのろ過性能がより確実に予測できるようになる。またこ
の溝の無い領域は、紙巻きタバコの吸引抵抗の調整を補助するために使用することもでき
る。
【0007】
通常溝自体は、フィルターロッドの軸に平行な方向にフィルターの吸い口端から内方に
部分的に延びている。これにより上述したように溝に多くの煙により堆積物が溜まる。
【0008】
1つの態様では2つの溝の無い領域があり、その円周方向の配分は、次数2の回転対称
性を有する。これにより例えば紙巻きタバコの周囲で外方シート材の接合部を接着する場
合、バランスの取れた圧力を紙巻きタバコの両側から加えることができる。別の態様では
3つの溝の無い領域があり、その円周方向の配分は、次数3の回転対称性を有する。他の
態様では異なる数の溝の無い領域を有し、これらの領域の配分は異なってもよい(必ずし
も対称である必要はない)。
【0009】
各溝の無い領域は、例えば20乃至120度の円周方向の角度の範囲を有してもよい。
1つの態様では各溝の無い領域は、35乃至75度の円周方向の角度の範囲を有している
。より大きな溝の無い領域を設けることによって製造時に隣接する溝が変形するリスクを
軽減することができる(フィルターに設けられる溝の数が減少することになるが)。通常
溝の無い領域は、例えば3またはそれ以上の溝といった複数の溝の大きさに合う角度の範
囲を有する。
【0010】
1つの態様ではフィルターロッドは、セルロースアセテートトウおよび紙で構成された
多孔性の内方シート材を含む(当業者には他の好適な材料も知られている)。多孔性の内
方シート材は、溝を設けるためにエンボス加工されている。またこのエンボス加工により
多孔性の内方シート材を多孔性にする。これとは別に(または加えて)、多孔性の内方シ
ート材の多孔性は、シート材固有の特性によるものであってもよい。
【0011】
1つの態様では外方シート材は、換気空気流を供するために多孔性であってもよい。外
方シート材を介した換気空気流は、フィルターの吸引抵抗を調整するように設定される。
例えば換気空気流の一部は、フィルターの溝内に入るように設定され、換気空気流の一部
は、溝の無い領域でフィルターロッド内に入り込むように設定される。
【0012】
フィルターは、ロッドの軸に沿って1つ以上のセグメントを含んでもよい。複数のセグ
メントが存在する場合、これらセグメントによって異なる種類のろ過効果が得られる。上
記溝(および溝の無い領域)は、複数のセグメントの内の1つ以上に設けてもよい。1つ
の態様では各溝は、1つのセグメントに含まれる(そうでなければ溝に沿って流れる煙は
、完全にそのセグメントを迂回してしまう)。溝は異なるセグメントで異なる方向に延び
てもよい。
【0013】
本発明の別の態様では、紙巻きタバコ用のフィルターの製造方法が提供される。この方
法は、多孔性の内方シート材に複数の溝を設ける工程と、溝がフィルターロッドの軸に平
行に延びるようにこの多孔性の内方シート材をフィルターロッドに巻く工程とを含む。さ
らに本発明の方法は、外方シート材を多孔性の内方シート材の周囲に巻く工程を含む。溝
は、円周方向に溝の無い領域が少なくとも2つできるようにフィルターロッドの周囲に円
周方向に配分される。
【0014】
1つの態様では外方シート材は、内方シート材の溝の無い領域の1つと一致する外方シ
ート材の重なり合う部分で接着される。別の態様では溝の無い領域の少なくとも1つは多
孔性の外方シート材を多孔性の内方シート材に取り付けるための接着面を供する。
【0015】
本発明の種々の態様を添付の図面を参照して説明するが、これはあくまで例示を目的と
したものである。なお、図中同じ部材には同じ参照符号を付してある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一態様によるフィルターの略式横断面図である。
【図2】本発明の一態様により外方シート材が内方シート材に貼り付ける際の図1のフィルターの略式横断面図である。
【図3A】本発明の一態様による換気空気流を示す紙巻きタバコの略図である。
【図3B】本発明の一態様による図3Aの紙巻きタバコを異なる角度から見た際の長手方向断面図である。
【図3C】本発明の一態様による図3Aの紙巻きタバコを異なる角度から見た際の長手方向断面図である。
【図3D】本発明の一態様による図3Aの紙巻きタバコを異なる角度から見た際の長手方向断面図である。
【図4】本発明の一態様による複数のセグメントが設けられたフィルターを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の一態様によるフィルター付き紙巻きタバコまたは他の喫煙品用のフィル
ター1の概念図である。このフィルターは、セルロースアセテートトウ(または他の好適
な材料)などのフィルター材からなる中央ロッド2を含む。このセルロースアセテート材
は、カーボンなどの他のろ過材を含浸させてもよく、またはこのような他のろ過材を付与
してもよい。
【0018】
フィルターロッド2の外側に同心に配されているのは、フィルターロッド2を包む内方
シート材3(例えばプラグラップ紙)とこの内方シート材を包む外方シート材4(例えば
外方プラグラップペーパー)である。図1に示す態様は、さらに外方シート材4を包む層
5(例えばシガレットペーパー/チッピング紙)をも含む。
【0019】
内方シート材3は、ロッドの主軸に平行に延びた一連の溝12A、12Bを形成するよ
うにエンボス加工または成形されている。各溝は内方シート材3の外面と外方シート材4
の内側の間に小さい空気用の間隙を形成している。これとは対照的にフィルター材2は、
溝の形状に合うように変形しているので、内方シート材の内面には空気用の間隙は存在し
ない。(注:溝の半径方向の境界は、図1では明確に示すために幾分誇張されている。)
【0020】
内方シート材3は、煙と空気がフィルターロッド2から内方シート材3を介して溝内に
流れるように多孔性である。上述したように煙が内方シート材を通過する所で煙成分が多
量に堆積する。これは一部シート材自身の比較的大きなろ過効果そして一部は煙と空気が
溝内に入り込む際の煙と空気の急激な加速によりものである。いくつかの態様では内方シ
ート材3の多孔性は、製紙工程の結果生じる固有のものであってもよい。他の場合におい
ては多孔性は、内方シート材をエンボス加工することによって生じる非常に小さな裂け目
によって得られるものであってもよい。
【0021】
溝12はフィルターロッド2の周囲に特定の円周方向の区分を有する。この円周方向の
区分は、少なくとも2つの溝の無い領域6、7を含む。これらの2つの溝の無い領域6、
7の間に2つの対応する溝が設けられた領域がある。図1の態様では溝が設けられた領域
は、連続的な実質的に等間隔に位置し、同じ大きさの溝が密集している。他の態様ではこ
れより多くの溝の無い領域、例えば3または4つの溝の無い領域を設けてもよい。
【0022】
図1の溝の無い領域の大きさは、フィルターロッドの中心軸で溝の無い領域7によって
範囲が定められる角度(弧)を表す角度θによって示される。角度θで表される溝の無い
領域の大きさは、複数の溝、例えば3つ以上の溝などに対応する。同様に溝が設けられた
領域の大きさは、円周の周囲の複数(連続した)の溝に対応する。通常溝が設けられた領
域は、溝の無い領域より大きい。
【0023】
図2は本発明の一態様による図1のフィルター1の製造工程の一工程を示す概念図であ
る。特に図2は既に内方シート材3に包まれていると想定したフィルターロッド2に外方
シート材4を取り付ける方法を示している。この態様では接着剤が外方シート材4の領域
20で外方シート材の外面に線状に塗布される。ここで注目すべきことは外方シート材の
この領域20が内方シート材3の溝の無い領域6に一致している(上に位置している)と
いうことである。
【0024】
外方シート材4は、それがフィルターロッドの円周の周りを一週以上して重なる部分8
ができるような大きさを有する。この重なる部分8を面20に対して押すことによって接
着剤がこれら2つの面(8および20)を接着する。この接着工程中にのり付けされた部
分20とは反対の外方シート材4の側に釣り合わせ圧力を加えることも好ましい。この外
方シート材の反対の側は、図2に符号22で示されており、別の溝の無い領域7と重なっ
ている。接着が完了すると、外方シート材4は内方シート材3とフィルター材2を所定の
位置に保持する。当然のことながらさらに外方シガレットペーパー5などの層を必要に応
じて溝の無い領域6および/または7に位置合わせされた場所で圧力を加えることを含む
外方シート材4と同じ方法で貼り付けてもよい。
【0025】
内方シート材3に溝の無い領域6および7が設けられていないと、外方シート材の面2
0および/または22の下に位置する溝が接着工程中に加えられる圧力によって潰れたり
、変形してしまう。一方、面20および面22それぞれに位置合わせされた溝の無い領域
6および7を設けることによって、この危険を回避することができる。従って溝の無い領
域6、7を設けることによって、溝が潰れたり、または変形したりするのを防ぎながら(
あるいは少なくとも減少させる)、外方シート材4を内方シート材3に貼り付けることが
できる。このことによりフィルターの全体的特性が一定になり、また内方シート材の見栄
えを損なう変形を防ぐことができる。
【0026】
当然のことながら、外方シート材4および/または内方シート材3をフィルターに貼り
付ける別の方法もある。例えば外方シート材に重なる部分8を設けず、外方シート材を内
方シート材に直接接着してもよい(外方シート材自体を接着するのではなく)。このよう
な内方シート材と外方シート材との接着部分を(内方シート材の外面におよび/または外
方シート材の内面に接着剤を塗布することによって)、溝の損傷を軽減するまたは避ける
ために内方シート材の溝の無い領域の1つと合致させることができる。ここでも注目すべ
きことは、この場合内方シート材の平坦な部分は、溝が設けられた領域と比較して接着す
る際に良好な面であるということである。
【0027】
図1および2の態様では、互いに直径方向に対向して位置する2つの溝の無い領域6、
7が設けられている(これは次数2の回転対称に相当する)。このように対称に溝の無い
領域を設けることによって、上述したように外方シート材を接着するために紙巻きタバコ
の両側に均等に圧力を加えることができる。しかしながら、他の溝の無い領域の構成も採
用可能である。例えば、溝の無い領域を120度毎に配分してもよい(次数3の回転対称
に相当する)。
【0028】
当然のことながら、他の態様ではフィルターは異なる数の溝の無い領域および/または
異なる分布の溝の無い領域を有してもよい。例えばフィルターの周囲の溝の無い領域は、
互いに大きさが異なってもよく、その位置も対称または規則的である必要はない。
【0029】
図1に示すように溝の無い領域7は、フィルターロッドの中心で角度θによって定められる範囲を有する。角度θが大きくなると上述したように外方ラッパーの接着剤による接着工程中に溝が潰れたり、歪んだりするのを防ぎやすくなる。しかしながら、角度θを大きくするとろ過のために設けられる溝の数および大きさが制限されてしまう。代わって溝の無い領域が比較的小さい角度θの範囲を有すると、溝が潰れたり、あるいは歪んだりするのを防ぐことが難しくなるが(圧力が全て溝に近いところに加えられるため)、フィルターは、より多くの溝を含むことになる。角度θは、最も一般的には20乃至120度であり、特定の態様では、35乃至75度であり、例えば約40または50度である。
【0030】
図3Aはタバコロッド32とフィルター33とを含む紙巻きタバコ31を示している。
燃焼領域30から煙36がタバコロッドを介してフィルター33内へと吸引される。フィ
ルター33の外方ラッパーは、換気空気35が紙巻きタバコの外側からフィルター内を通
るように多孔性になっている。これらの孔は、外方ラッパーの一組以上の穴40によって
設けてもよく(図3Aに示すように)および/または外方ラッパー自体の固有の特性によ
るものであってもよい。外方ラッパーを介して入り込む換気空気35は、紙巻きタバコの
吸い口端から出る煙34を希釈する。換気空気流35の量は、その量が多くなると吸引抵
抗を小さくするというように紙巻きタバコの吸引抵抗に影響を与える。吸引抵抗は、消費
者にとって重要な紙巻きタバコの特性である。
【0031】
図3Bに示すようにフィルター33は、セルロースアセテートトウなどのフィルター材
からなる中央ロッド2を含む。フィルター33にも上述したように内方ラッパーと外方ラ
ッパーとの間に溝12が設けられている。タバコロッド32からの煙36の一部は、矢印
34Bで示すように吸い口端で紙巻きタバコから出る前に中央のフィルター材を通過し、
残りの煙は、矢印36Aおよび36Bで示すように内方ラッパーを介して溝12内を通過
する。この煙は、矢印34Aで示すように吸い口端で紙巻きタバコから出る前に溝に沿っ
て移動する。
【0032】
図3B、3Cおよび3Dは、換気穴40と溝12の相対位置の3つの異なる形態を示し
ている。図3Bにおいては上述したように換気穴40は、溝12と位置合わせされている
。従って換気空気流35は、換気穴40を介して溝12内を通過し、紙巻きタバコの吸い
口端から出るまで直接溝12を進んで行く。図3Cは換気穴40が溝の無い領域に位置合
わせされている状態を示している。この場合、換気空気流35は、換気穴40を介してそ
して内方シート材を介してフィルターロッド2の主胴体部内を通過する。内方シート材を
介した換気空気流の通過は、内方シート材固有の多孔性に依存させてもよく、あるいは内
方シート材に外方シート材の穴40に位置合わせされた穴または穿孔を設けてもよい。換
気空気流35は、それから中央のフィルターロッドを介して流れる主流煙と混ざる。図3
Dは溝12は設けられているが、換気穴が設けられていない状態を示している。この場合
煙は、矢印36Aおよび36Bで示すようにフィルターロッド2から溝12内へと移動す
る。しかしながら、溝12に流れる換気空気流35は発生しない。
【0033】
換気穴40が図3Bに示すように溝12内に直接開口するように位置している場合、吸
引抵抗は比較的小さくなる。しかしながら、換気穴が図3Cに示すように溝が設けられた
部分を避けて位置する(即ち内方シート材の溝が設けられていない領域に一致して)場合
、吸引抵抗は、比較的大きくなる。吸引抵抗の中間値は、いくつかの換気穴を溝に位置合
わせし、いくつかの換気穴を溝の無い領域に位置合わせすることによって得ることができ
る。従って換気穴を溝の無い領域に向かい合わせに配置することは、換気穴の総数および
大きさに加えて、吸引抵抗の制御を補助するために使用することができる別のパラメータ
ーを供する。当然のことながら、この柔軟性および調整能力は、溝の無い領域がない場合
には存在しない(全ての換気穴が溝と位置合わせさせるので)。さらに溝の無い領域が無
く、よっていくつかの溝が製造中に潰れたり、変形しやすくなる場合、紙巻きタバコの吸
引抵抗を良好に制御するのが困難になる(紙巻きタバコがなんらかの換気空気流を有する
ように設計されていたとしても)。
【0034】
図4はより複雑なフィルター33を示し、このフィルターは3つのセグメント48、5
0および49を含む。最初のフィルター部には溝が設けられている。2番目の部分50は
例えばチャコールなどの異なるフィルター材を含んでいる。3番目の部分49は第1のフ
ィルター部分48と類似しているが、反対方向に延びた溝を有する(タバコ端部の途中か
ら吸い口端に向かって)。従ってタバコロッド32からの煙46の一部は、矢印46Bで
示すようにフィルター49の中央部分を通過し、他の煙は矢印46Aで示すように主フィ
ルター材内を通過する前にフィルター部分49の溝12を通過する。その後煙は中央部分
50を通過し、最終部分48(図3を参照して説明したように作用する)を通過する。
【0035】
フィルター部分48および/またはフィルター部分49は、図1〜3に示したフィルタ
ーに関して上述したように少なくとも2つの溝の無い領域を含む円周方向に配分された溝
が設けられている。さらに図4のフィルター33には必要に応じて換気穴40を設けても
よい。
【0036】
ここで注目すべきことは、フィルター部分49の鏡像のようにフィルター部分48を設
けることは、製造工程において役に立つということである。特に中央部分に沿って延びた
溝を有するフィルターロッドを半分に切断し、左側の部分を1本の紙巻きタバコのフィル
ター部分49として使用し、右側部分を別の紙巻きタバコのフィルター部分48として使
用することができる。
【0037】
いままで説明してきた種々のフィルターは、所望の溝を設けるために内方ラッパーにエ
ンボス加工された紙を用いて製造されているが、当業者にとっては当然のことながら、他
の方法を使用することも可能である。例えば1つの可能性としてフィルター材の周囲を平
坦なプラグラップ紙で包むことが挙げられる。その後フィルターロッドを所望の溝形状(
溝の無い領域を含む)を有するように削られたまたは成型された成形機またはダイを通過
させる。フィルターロッドは、成形機/ダイを通過する際に加熱され(例えば成形機/ダ
イ自体を加熱することによって)、これにより成形機/ダイの溝形状を保持したフィルタ
ーが得られる。
【0038】
上述の態様に対する種々の他の修正は、本発明の範囲を逸脱することなく可能である。
例えば本発明のいくつかの態様では溝はフィルターの全長に沿って、またはフィルターの
中央部分に沿って延びてもよく、あるいはあらゆる好適な形状を有してもよい。当業者で
あれば多くのさらなる可能な変更または修正が可能である。従って本発明の範囲は、添付
の特許請求の範囲およびその同等物によって定められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性のフィルターロッドと、
このフィルターロッドの周囲に巻かれ、ロッドの軸に平行に延びた複数の溝を供し、少なくとも2つの溝の無い領域が形成されるようにこれらの溝が円周方向に区分されるように成形されている多孔性の内方シート材と、
この多孔性の内方シート材の周囲に巻かれた外方シート材とを含む紙巻きタバコまたは他の喫煙品用のフィルター。
【請求項2】
溝の無い領域が2つあり、前記円周方向の区分が次数2の回転対称性を有することを特徴とする請求項1記載のフィルター。
【請求項3】
溝の無い領域が3つあり、前記円周方向の区分が次数3の回転対称性を有することを特徴とする請求項1記載のフィルター。
【請求項4】
各溝の無い領域が20乃至120度の円周方向の角度の範囲を有することを特徴とする請求項1または2記載のフィルター。
【請求項5】
各溝の無い領域が35乃至75度の円周方向の角度の範囲を有することを特徴とする請求項1記載のフィルター。
【請求項6】
前記フィルターロッドがセルロースアセテートトウを含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載のフィルター。
【請求項7】
前記多孔性の内方シート材が紙を含むことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載のフィルター。
【請求項8】
前記多孔性の内方シート材がエンボス加工されることによって溝が設けられていることを特徴とする請求項7記載のフィルター。
【請求項9】
前記多孔性の内方シート材をエンボス加工することによって前記多孔性の内方シート材が多孔性になることを特徴とする請求項8記載のフィルター。
【請求項10】
前記外方シート材が換気空気流を生じさせるために多孔性であることを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項記載のフィルター。
【請求項11】
前記外方シート材を通過する換気空気流がフィルターの吸引抵抗を調整するために設定されていることを特徴とする請求項10記載のフィルター。
【請求項12】
換気空気流の一部が前記溝内に入り、また換気空気流の一部が前記溝の無い領域内に入ることを特徴とする請求項11記載のフィルター。
【請求項13】
前記外方シート材のフィルターに接着剤で接合する場所が前記溝の無い領域の少なくとも1つと位置合わせされていることを特徴とする請求項1乃至12いずれか1項記載のフィルター。
【請求項14】
前記溝がフィルターロッドの軸に平行な方向に部分的に延びていることを特徴とする請求項1乃至13いずれか1項記載のフィルター。
【請求項15】
前記フィルターがその軸に沿って複数のセグメントを含み、溝がその内の1つのセグメントに含まれることを特徴とする請求項1乃至14いずれか1項記載のフィルター。
【請求項16】
少なくともいくつかの前記溝がフィルターの吸い口端からフィルターのタバコロッド端部に向かって延びていることを特徴とする請求項1乃至15いずれか1項記載のフィルター。
【請求項17】
少なくともいくつかの前記溝がフィルターのタバコロッド端部からフィルターの吸い口端に向かって延びていることを特徴とする請求項1乃至16いずれか1項記載のフィルター。
【請求項18】
タバコロッドと、請求項1乃至17いずれか1項記載のフィルターとを含む紙巻きタバコ。
【請求項19】
複数の溝を設けるために多孔性の内方シート材を成形する工程と、
前記多孔性の内方シート材をフィルターロッドの周囲に巻いて、前記溝がフィルターロッドの軸に平行に延びるようにする工程と、
前記多孔性の内方シート材の周囲に外方シート材を巻く工程とを含み、
円周方向に溝の無い領域が少なくとも2つ形成されるように前記溝がフィルターロッドの周囲で円周方向に区分されている紙巻きタバコまたは他の喫煙品用のフィルターの製造方法。
【請求項20】
前記外方シート材が前記内方シート材の溝の無い領域の1つと一致する外方シート材の重なり合う部分で外方シート材自体に接着されることを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記溝の無い領域の少なくとも1つが多孔性の外方シート材を多孔性の内方シート材に接着するための接着面を供することを特徴とする請求項19記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−231797(P2012−231797A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−171778(P2012−171778)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【分割の表示】特願2010−518634(P2010−518634)の分割
【原出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(500252844)ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド (111)
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
【Fターム(参考)】