説明

フィルタートウベール、フィルタートウベールの製造装置及び製造方法、並びにフィルタートウストリップ

本発明は、少なくとも2つの分離したフィルタートウストリップを包含し、前記フィルタートウストリップが、特に二連のトウ内において層状に、好適には同一の層内に配されている、ことを特徴とする、圧縮されたフィルタートウよりなるフィルタートウベール(2)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の特徴を有するフィルタートウベール、フィルタートウベールの製造装置及び製造方法、並びにフィルタートウストリップに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
先行技術の例として、出願人によって製造販売されているタイプのフィルタートウベールについて開示する。
【0003】
煙草の製造に際してフィルターが使用されるが、このフィルターは、捲縮されたセルロースアセテートフィラメントの束または連続的なストランド、いわゆるフィルタートウより製造される。フィルタートウの製造工程において、セルロースアセテートの引き伸ばされたフィラメントはスタッファーボックスで捲縮され、この捲縮構造は、乾燥機を通過することで固定される。フィルタートウは、何メートルもの高さを有する缶の中に充填され、一定の最終湿度下に置かれると、緩んで通常の形状となる。緩んだトウの層は、次いでベールプレスで圧縮されてフィルタートウベールを形成し、最終梱包され、このベールはさらにフィルター加工工程に供給される。
【0004】
フィルタートウの製造工程の詳細は、下記の論文に記載されている。


【0005】
フィルタートウは、フィルターロッド装置上でフィルターロッドに加工される。フィルターロッド装置において、フィルタートウを準備段階で可能な限り膨張させることにより最大の充填力を生じ、これによりフィルタートウが凝集し、将来のたばこフィルターの形状となり、紙で包まれる。フィルタートウを膨張させるために、フィルタートウは圧縮空気で制御されるスプレッダーノズルにより引き剥がされ、筋状またはスクリュー状の表面を有する延伸ローラーにより引き込まれる。その後、引き剥がされたフィルタートウはトリアセチンスプレーボックスに入れられ、アセテート表面に溶剤が働き、表面が粘着性とされる。フィルターロッド装置の初期処理部分において、フィルタートウの束は凝集圧縮され、将来のフィルターロッドの断面を形成する。この場合、フィラメント同士が付着し、さらなる加工と消費者に望ましいフィルターの固さを有する、三次元網状構造を形成する。
【0006】
生産性を向上させる方法として知られるのは、例えば、出願人の特許DE 43 20 317に記載される方法であり、二連フィルターロッド装置によってフィルターロッドを生産する方法である。このフィルターロッド装置において、2つのフィルタートウのストランドが並行して同時に加工される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フィルターロッドの品質を可能な限り一定に保つため、一方ではフィルタートウストリップの性質を類似のものとし、他方では、フィルタートウベールから二連フィルターロッド装置まで可能な限り均一に送られる必要がある。
【0008】
本発明は、フィルタートウストリップが可能な限り均一に充填され、二連フィルターロッド装置への使用に適した状態である、フィルタートウベールを開示する目的に基づくものである。さらに、フィルタートウベールの製造装置及び製造方法と、このタイプのフィルタートウベールを形成するフィルタートウストリップを開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、この目的は、フィルタートウベールに関しては請求項1、装置に関しては請求項10、方法については請求項18、フィルタートウストリップについては請求項21の記載内容によって達成される。
【0010】
本発明は、二連フィルターロッド装置におけるフィルタートウの自発的な張力の増加がフィルタートウストリップの隔離により実質的に回避され、それにより製造されるフィルターの密度の変動が最小限となる、という利点を有する。さらに、二連のフィルタートウは製造と充填が同時にされ、その性質は類似あるいは同一とされ、二連フィルターロッド装置における製造工程において、フィルターの2つのストランドの均一性を向上させることができる。さらに、運転時における2つのフィルタートウの長さを同一とすることで、製造ロスを減少させる。フィルタートウの長さが異なると、例えば、2つの異なるフィルタートウベールの充填により、新しいフィルタートウを機械にかける工程で、廃棄の増加や機械の停止時間が生じる。また、本発明におけるベールは、異なるフィルタートウをベールに導入することができ、例えば、複数の特殊なフィルター用のフィルターロッド装置を2つの異なるトウに使用することができる。
【0011】
より好適な形態では、少なくとも2つのフィルタートウストリップがランダムな(chaotisch)挿入経路により積み重ねられる。挿入経路は、特に、ベール内において、特に実質的に平行な経路、または鋭角ジグザグ状の経路である。この形態はベール内の2つのストリップの経路パターンについての一般的な着想である。経路パターンは、例えば、実質的に平行な、または鋭角ジグザグ状の経路より構成される。2つのトウストリップはいずれの場合においても経路に沿って、若しくは経路内でランダムに積み重ねられる。これは、本形態において、いずれの場合においても、ランダムに積み重ねられたフィルタートウストリップが、ベール内における経路の方向へと続く好適な方向性、若しくは優位な方向性を有することを意味する。したがって、いずれの場合においても経路は仮想の側端を有し、経路内ではランダムに積み重ねられたフィルタートウストリップが配置される。フィルタートウストリップの経路に沿った配置が層状に配されることにより、ベールからのストリップの引き剥がし挙動は有利な影響を受ける。
【0012】
2つのフィルタートウストリップは、実質的に平行な、互いに隣接する経路で配置されてもよい。経路間の距離は0cmからベールの幅の半分未満とする。距離が0cmのとき、フィルタートウストリップ、またはフィルタートウストリップが配列される経路は、互いに直接接する構成となる。平行な経路、または平行に配列されるストリップの間の距離は0cmより大きく、最大でもベールの半分の幅より小さい。特に好適な形態において、少なくとも2つのフィルタートウストリップが少なくとも部分的にオーバーラップすることにより、オーバーラップ領域を有する。オーバーラップ領域のオーバーラップの度合いは0%超100%以下とすることができる。このオーバーラップ領域を複数領域に分けることも可能である。オーバーラップ度が100%のとき、フィルタートウストリップ、またフィルタートウストリップが配列された経路は完全に一方が他方の上に配される。
【0013】
この場合、フィルタートウストリップは、ストリップを頂部と底部に選択的に配置するようにベール内に充填される。この場合、底部経路に配置されたストリップは、ベール末端において、最初に底部に配置されたストリップが折返し後の返送路を経由して頂部に配置されるような折り返し点を有する。この構成は、ストリップの前進を抑制するような自己制御機能を奏し、2つのうち下位のストリップが上位のストリップを追い越す場合は、下位のストリップがより高い引張力を有する。1つのストリップを他方のストリップの上に配置することによって、下位のストリップは上位のストリップを同伴する形となる。折返し点後の返送時には、前記他方のストリップが頂部に位置し、下位のストリップが返送路においてより大きな引張力を有し、頂部に配されたストリップを同伴する。つまり、これはベールから2つのストリップが充填される際の自己制御機能を構成する。
【0014】
発明のフィルタートウベールのさらに好適な形態は、下位請求項に開示されている。
【0015】
フィルタートウベール製造装置に関して、本発明は、フィルタートウを充填するための缶、及び、少なくとも2つの分離したフィルタートウストリップの製造と供給を同時に行う手段と協働する充填装置の提供に基づいている。この場合、分離したフィルタートウストリップは、単一、または二連の充填装置によって、層状で同時に缶に充填される。本発明に係るフィルタートウベールの製造方法の範囲内において、特に二連フィルターロッド装置の操作において、少なくとも2つのフィルタートウストリップは同時に製造または供給され、層状で同時に缶に充填されてベール形状に加圧される。
【0016】
本発明に係るフィルタートウベールは、本発明に係る装置または本発明に係る方法により容易に製造することができる。
【0017】
本発明に係る装置または本発明に係る方法の好適な形態は、下位請求項に開示されている。
【0018】
フィルタートウストリップは、特に本発明における接続され(vernetzten)、捲縮されたフィラメントにより構成されたフィルタートウベールに適しており、少なくとも2つの部分的ストリップを有し、部分的ストリップは、少なくとも部分的に、特に全体的にオーバーラップしており、オーバーラップ領域において機械的な表面力により互いに連結される。ベールからのフィルタートウストリップの引き剥がし挙動は、2つの部分的ストリップ間の微小な連結によって有利な影響を受ける。2つの部分的ストリップは、本発明の他の場面では分離した部分的ストリップとして認識される。
【0019】
本発明の好適な形態は、下位請求項において提供される。
【0020】
本発明の詳細は、下記の添付概略図を参照した実施形態において明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】充填機領域における2つのフィルタートウストリップの想定される多様な組み合わせの断面概略図(パターンA−E)を示す。
【図2】本発明の好適な形態におけるフィルタートウストリップ引き剥がし中のフィルタートウベールを示す。
【図3】本発明のさらに好適な形態におけるフィルタートウストリップ引き剥がし中のフィルタートウベールを示す。
【図4】ベール表面を示す上面概略図である。2つのフィルタートウストリップの充填が、一方が他方の上となるように配置されている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、2つのフィルタートウストリップ1,1'の多様な組み合わせA−Eであって、缶への充填の前、または充填の間のフィルタートウストリップ1,1'の組み合わせ構造を示している。缶内部のフィルタートウは、圧縮されて、二連のトウベール2を形成する。
【0023】
図1に示される、組み合わされたフィルタートウストリップは、充填機(図示せず)内、特に充填機の輸送ローラーの間に配される。この図は、特に2つのフィルタートウストリップ1,1'の他方との位置関係を明確に示すために選択したものである。充填機内の2つのフィルタートウストリップ1,1'の配置により、フィルタートウベール2内の2つのストリップ1,1'の配置が決まる。これは、図1Aに示すように、充填機内で平行に配されるストリップ1,1'が、フィルタートウベール2内においても実質的に平行に、または平行な経路内に配されることを示す。図1Bでは、ストリップ1,1'は一方の上に他方が重ねられ、ベール内でも一方の上に他方が重ねられるか、または、一方の上に他方が重ねられた経路を形成して充填される。
【0024】
フィルタートウストリップが缶内に充填され、それによって圧縮されたベール内でフィルターストリップがその経路に配置される。この場合、経路は予め定められたパターンに配置され、この経路は、充填機内のフィルタートウストリップ1,1と、充填されている間のフィルタートウストリップ1,1'のガイダンスとの配置より形成される。フィルタートウストリップ1,1'は、経路内においてランダムに積み重ねられて配置される。経路は、予め定められたパターンに沿って形成される。例えば、経路が平行に配列され、完全に、または部分的にオーバーラップする。フィルタートウストリップ1,1’の配列、または関連する経路について、図1のパターンA−Eにおいて詳細を示す。
【0025】
図1のパターンAでは、2つのフィルタートウストリップ1,1'は離間部分をおいて互いに隣り合うように配置されている。この場合、ストリップ1,1'は互いに平行になるよう配され、ストリップ1,1'に沿った離間部分は、実質的に一定幅である。フィルタートウストリップ1,1'の互いに対する離間部分を0cmとして、フィルタートウストリップを互いに直接接触させてもよい。また、2つのフィルターストリップ1,1'の間の離間部分を二連トウベール2の幅の半分と同じ幅として、二連トウベール2の半分がいずれの場合も1つのフィルターストリップ1,1'と連結するようにすることもできる。離間部分の値は、0cmからベールの幅の半分以下の何れの値とすることもでき、特に0.5cm〜20cm、5cm〜20cm、5cm〜10cmとすることができる。
【0026】
図1のパターンBでは、2つのフィルタートウストリップ1,1'は互いにその全体でオーバーラップしている。この形態では、2つのフィルタートウストリップ1,1'の間のストリップの幅全体に、微小な連結が形成され、特に、本発明の二連トウベール2からのフィルタートウストリップ1,1'の引き剥がしを均一に、同時進行的に行うことが可能となる。また、2つのフィルタートウストリップ1,1'は、パターンCに示されるように、互いに部分的にオーバーラップさせることもでき、そのオーバーラップの度合いは、0%(パターンA)から100%(パターンB)のいずれにもすることができる。微小な連結は、ストリップ1,1'が互いに重なった状態で加圧されることにより生じるが、本発明には分離したストリップ1,1'も含まれる。
【0027】
好適なパターンDでは、2つのフィルタートウストリップ1,1'が互いに完全にオーバーラップし、半分の長さで折り曲げられており、組み合わされたストリップは、実質的に4つのフィルタートウ層よりなる。組み合わされたストリップの充填の後、このパターンにおいては、2つのフィルタートウストリップ1,1'間には本発明の二連トウベール2の加圧により生じる1つの微小な結合のみでなく、第1のフィルタートウストリップともう一方との2か所の縦半分の微少な結合も生じる。ストリップを折り曲げて組み合わせることにより、相対的に幅が狭くて取り扱いやすい組み合わされたストリップが、相対的に幅広のフィルターストリップ1,1から形成される。パターンEもこの利点を有し、2つのフィルタートウストリップ1,1'は互いに結合して折り曲げられ、例えば、第1のフィルターストリップ1が実質的に第2のフィルタートウストリップ1'と50%の度合いでオーバーラップし、第1のフィルタートウストリップのオーバーラップしていない部分が折り曲げられ、後者が第2のフィルタートウストリップ1'のオーバーラップ部分に、特にオーバーラップ領域と合同な形態で置かれる。外側の、第2のフィルタートウストリップ1'のオーバーラップしていない部分は折り曲げられたような形態となっており、折り曲げられた第1のフィルタートウストリップ1の上に置かれる。パターンEでは、2つのフィルタートウストリップ1,1'の連結面が特に大きく、比較的強いにも関わらず剥がしやすい連結が2つのフィルタートウストリップ1,1'間に形成され、これにより、組み合わせストリップまたは2つのフィルタートウストリップ1,1'を、特に有利に、均一に同時に本発明の二連トウベール2から引き剥がすことができる。
【0028】
図2および3はいずれも本発明に係る二連トウベール2を示しており、図1のパターンAにおける2つのフィルタートウストリップ1,1'の互いに隣接して配された形態を示している。ストリップ1,1'が互いに重ねられたベール2、またはパターンBにおける経路は、図2のように取り扱われる。図2における2つのフィルタートウストリップ1,1'の離間部分はベールの幅の半分より小さく、図3における二連トウベール2における2つのフィルタートウストリップ1,1'の離間部分はベール幅のちょうど半分に相当する。
【0029】
更に、図2及び3は、誘導リング4を有する引き剥がし装置3を概略的に示しており、この装置によって、第1のフィルタートウストリップ1と第2のフィルターストリップ1'がベール2から引き剥がされ、二連フィルターロッド装置(図示せず)に送られる。どちらの形態においても、2つのフィルタートウストリップ1,1'は、二連トウベール2の面上に曲がりくねった形状で配置され、2つのフィルタートウストリップ1,1'間の距離は実質的に一定間隔である。図3に示される形態は、図2に示される形態とは異なり、二連トウベール2の半分が、いずれの場合も、1つのフィルタートウストリップ1,1'と連結している。例えば、フィルタートウストリップ1,1'の充填時、第1のフィルタートウストリップ1は、ベール2の中央より開始して、平行な経路の外側端部に向かって曲がりくねった形状で充填され、第2のフィルタートウストリップ1'は、反対側の外側端部より開始して、二連トウベール2の中央に向かって、第1のフィルタートウストリップ1と平行に曲がりくねった形状で充填される。これは、一方の経路が他方との間に、互いにベール幅の半分に相当する離間部分を有するように、2つの経路が配されることを意味している。2つのフィルタートウストリップ1,1'は互いに平行となるように配され、さらにそれぞれ平行に対応する経路は、互いにベール幅の半分の距離離間している。
【0030】
一般的に、圧縮されたフィルタートウよりなるフィルタートウベール2は、少なくとも2つの分離したフィルタートウストリップ1,1'を含み、これらは層状に、特に好ましくは同一層状に配される。2つのフィルタートウストリップよりなるフィルタートウベールも、二連トウベールと呼ばれる。一般的に、いずれの場合も、ストリップは同時に、特に一対で配置され、層状に共に平面を形成する。この場合、その領域は1つの平面として認識され、フィルタートウまたは連結する充填機の配置サイクルのコースにおいて一度に通過する。この平面内では、個々のフィルタートウストリップの積み重ねにより、複数のフィルタートウ部分が互いに重ね合わされて積み重ねられ、各積層サイクルにおいて平面の積層が継続される。
【0031】
フィルタートウベールは、互いに重ねられた対応する複数の層または平面を積み重ねることによって形成され、いずれの場合においても、2つのフィルタートウストリップを、実質的なストリップの圧縮と共に缶に充填することにより形成される。この場合、ストリップは複数の層の上に、実際にはベール全体の上に継続的に形成される。フィルタートウストリップは、処理工程の必要に応じて変更可能な、予め定められたパターンに配置される。前記パターンにしたがって、経路が形成され、フィルタートウストリップは前記経路で缶に充填され、圧縮後のベール2にて再び視認可能となる。この場合、経路はフィルタートウストリップの好適な方向に対応し、フィルタートウストリップはランダムに積み重ねられた経路にて充填されるか、規則的に再配置される。図4に、積み重ねられたトラックに相当する例を示す。この図において、2つのフィルタートウストリップ1,1'(破線/実線)は、実質的に互いに重なりあって配置されている。互いに重なり合ったフィルタートウストリップ1,1'の配置は、2つの積み重ねられたトラックが完全に重なりあって配置されることを示すものではない。むしろ、2つのフィルタートウストリップ1,1'の充填時、図4に示すような積み重ねられたトラックが形成され、2つのフィルタートウストリップ1,1'は個々に好適な方向性を有する。この好適な方向性よりなる挿入経路は、図4の例においては互いに重なりあうように配置され、そのオーバーラップの度合いは100%である。オーバーラップの度合いがそれより低い場合、例えば50%である場合、2つのストリップ1,1'の積み重ねられたトラックが形成された2つの経路は、積み重ねられたトラックが実質的に半分のみオーバーラップするように、互いに対してオフセット構成となる。統計的に再構成された積み重ねにおいて、場所によってはオーバーラップの度合いが大きかったり小さかったりする。しかし、重要な点は、例えばオーバーラップの度合いが50%の場合、積み重ねられたトラックや経路の、少なくとも大部分はだいたい半分が互いに重なった状態で配されていることである。
【0032】
ベール内における経路や積み重ねられたトラックの配置は、実質的にフィルタートウストリップ1,1'が充填機、特に充填機のローラーにおいてどのように配されているかで決まる。この配置は図1のパターンA−Eに示されている。例えば、パターンC(オーバーラップの度合いが約50%)において、積み重ねられたトラックまたは経路の対応する配置は、圧縮されたベール内に形成される。
【0033】
経路を平行な配置(オーバーラップ、若しくは互いに隣接する配置)とせず、分岐した配置とすることもできる。この場合、2つの経路は互いの長軸方向から逸れて配される。さらに、挿入経路として、鋭角のジグザグ配置とすることもできる。
【0034】
本発明は、2つ以上の離間したフィルタートウストリップ、例えば3つまたは4つのストリップを有するベールも包含する。フィルタートウストリップ1,1'の平行な配置は、内部にフィルタートウストリップ1,1'が配された経路が、いずれの場合においても、ベール内において、直接隣り合った一対として配置されることを意味する。この場合、第1及び第2のフィルタートウストリップ1,1'の経路はオーバーラップした状態、直接隣り合った状態(つまり互いに離間して隣り合った、または平行の状態)で配されてもよい。好適には、2つのフィルタートウストリップ1,1'はオーバーラップした状態でベール2に充填され、微小な連結下で走行する。
【0035】
離間したストリップを同時に製造または供給する方法については、多様な方法が存在する。多様な独立した捲縮機によって、多様な独立したストリップを製造することが可能である。さらに、多様な独立したストリップを単独の捲縮機によって製造することもでき、複数のフィルタートウストリップは互いに連結を生じない程度に離間して捲縮槽に導入される。さらに、連結したストリップを製造し、製造後に2つの独立したストリップに分離してもよい。このために、多様な方法が使用され得る。ストリップの分離は、捲縮機内、捲縮処理の後、充填装置までの工程、または充填装置内のいずれでも行われ得る。分離時に生じるフィラメント片によるフィルターロット製造機の汚染を防ぎ、メンテナンス間隔を長くするため、ストリップの分離はフィルターロッド装置内で行わないことが好ましい。
【0036】
同時に製造されたフィルタートウストリップは、単独もしくは二連の、通常は多連の充填装置(図示せず)によって、組み合わされて缶内部に充填される。この目的において、充填装置は、これに対応してプログラムされた制御装置と組み合わされる。充填装置の制御装置は、2つのフィルタートウストリップが予め定められたパターンに従って缶内に充填されるように制御し、例えば一方のストリップの経路が他方に重なるように配されるように制御する。
【0037】
フィルタートウベールを製造する装置は、同時製造のための前述の手段に加え、フィラメント製造のための紡績機構、フィラメントの捲縮のための捲縮機構、乾燥機、及び充填装置も包含し、フィルタートウを充填するための缶と協働する。{ぼうせきき}
【0038】
分離装置は、フィルタートウストリップの輸送方向に対して垂直方向に離間して配された2つのガイドリングと、これらのガイドリングの輸送方向の上流に配された1つの誘導リングを包含する。選択的に、または付加的に、分離装置は少なくとも1つの分離用ウェッジを有していてもよい。
【0039】
離間したフィルタートウストリップ1,1'の同時または同調製造の代わりに、缶が2つの離間したフィルタートウストリップとともに搭載され、2つの独立したベールの形態として供給されてもよい。この場合、独立したベールの一方を、例えば、不良品として廃棄することもできる。2つのストリップは独立したベールから引き剥がされ、同時に缶内に装填される。
【0040】
上記より、離間したフィルタートウストリップ1,1'はそれぞれ異なる方法で製造されてもよく、フィルタートウストリップの数については、2つ以上であれば制限がなく、例えば、3つまたは4つのフィルタートウストリップが製造または供給されてもよいことは明らかである。本発明に係る実施形態の特に有利な点は、フィルタートウストリップ1,1'が同時に層状に缶内に充填され、圧縮されてベールを形成するという事実より明らかにされる。これらのフィルタートウベールは少なくとも2つのフィルタートウストリップを有し、ベール内で層状に同時に配置される。
【0041】
二連のトウベール内へのフィルタートウストリップのオーバーラップした状態での充填は、さらに、フィルタートウストリップが互いに微小な連結下で走行する、という利点を奏する。この微小な連結は、圧縮、つまり機械的な圧力がかけられることによりもたらされるものである。フィルタートウストリップ間のこのような緩い連結により、ストリップを均一にかつ同調的にベールから引き剥がすことができ、製造されるフィルターストランドの密度の変動を抑制することができる。この点で、本願発明は、部分的ストリップの連結よりなるフィルタートウストリップも包含する。この連結は、特にベールの圧縮の間における部分的ストリップへの機械的圧力によって生じ、相対的にその連結強度は低いものとなる。
【符号の説明】
【0042】
1…第1フィルタートウストリップ
1'…第2フィルタートウストリップ
2…二連トウベール
3…引き剥がし装置
4…誘導リング
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの分離したフィルタートウストリップを包含し、前記フィルタートウストリップが、特に二連のトウ内において層状に、好適には同一の層内に配されている、ことを特徴とする、圧縮されたフィルタートウよりなるフィルタートウベール(2)。
【請求項2】
少なくとも2つのフィルタートウストリップ(1,1')が、ベール内においてランダムに積み重ねられた経路で配置され、特に実質的に平行な経路、または鋭角のジグザグ状の経路で配置される、ことを特徴とする請求項1記載のフィルタートウベール(2)。
【請求項3】
フィルタートウベール(2)内の2つのフィルタートウストリップ(1,1')が、互いに隣接して実質的に平行に配され、フィルタートウストリップ間の離間距離が0cm以上、ベール幅の半分未満である、ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタートウベール(2)。
【請求項4】
少なくとも2つのフィルタートウストリップ(1,1')が少なくとも部分的にオーバーラップすることによりオーバーラップ領域を有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタートウベール(2)。
【請求項5】
前記オーバーラップ領域のオーバーラップの度合いが0%超100%以下であり、特に10%以上90%以下であり、特に20%以上80%以下であり、特に30%以上70%以下であり、特に40%以上60%以下である、ことを特徴とする、請求項4記載のフィルタートウベール(2)。
【請求項6】
フィルタートウストリップ(1,1')が互いに折りこまれ、いずれも折りしろを有する、ことを特徴とした請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルタートウベール(2)。
【請求項7】
一方の折りしろが他方の折りしろに実質的に重なる、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルタートウベール(2)。
【請求項8】
折りしろが実質的に反対側に配される、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルタートウベール(2)。
【請求項9】
フィルタートウストリップ(1,1')のいずれか一方の折りしろが、他方のフィルタートウストリップ(1,1')の長辺を包む、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルタートウベール(2)。
【請求項10】
缶と協働してフィルタートウを充填する充填装置を備えたフィルタートウベール(2)を製造する装置であって、
少なくとも2つの分離したフィルタートウストリップ(1,1')を同時に製造する手段または供給する手段を有し、
単一の、または2つの充填装置により、分離したフィルタートウストリップ(1,1')が同時に層状に、好適には同一層として缶内に充填される、
ことを特徴とするフィルタートウベール(2)を製造する装置。
【請求項11】
少なくとも2つのフィルタートウストリップ(1,1')を同時に製造する手段が、複数の紡績機、または多連の紡績機を有する、ことを特徴とする、請求項10記載の装置。
【請求項12】
少なくとも2つのフィルタートウストリップ(1,1')を同時に製造する手段が、複数の捲縮機、または多連の捲縮機、特に二連の捲縮機を有し、前記捲縮機に2つの分離したストリップが導入される、ことを特徴とした請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも2つのフィルタートウストリップ(1,1')を同時に製造する手段が、フィルタートウストリップを分離する少なくとも1つの分離装置を有し、前記分離装置が紡績機の下流に配された、ことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記分離装置が、フィルタートウストリップ(1,1')の輸送方向に垂直な方向に離間して配された、少なくとも2つのガイドリングを有する、ことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記2つのガイドリングの前記輸送方向における上流に、1つの誘導リングが配された、ことを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記分離装置が、紡績機の下流に配された、少なくとも1つの分離用ウェッジを有する、ことを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
充填装置(3)が、少なくとも2つのフィルタートウストリップ(1,1')を同時に缶内に充填する手段を有する、ことを特徴とする請求項10〜16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
特に二連フィルターロッド装置の工程において、少なくとも2つの分離したフィルタートウストリップ(1,1')が、同時に製造され、または供給され、同時に層状に、好適には同一層として缶内に充填され、ベールを形成するように圧縮される、フィルタートウベール(2)の製造方法。
【請求項19】
フィルタートウストリップ(1,1')は少なくとも部分的にオーバーラップした状態で缶に充填される、ことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
少なくとも2つのフィルタートウストリップ(1,1')は、通常のフィルタートウストリップ(1,1')の分離により製造され、分離工程は捲縮機内または捲縮機の後、若しくは充填工程の前または充填工程内で行われる、ことを特徴とする請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
接続され、捲縮されたフィラメントで形成された、少なくとも二つの部分的ストリップよりなるフィルタートウストリップであって、前記部分的ストリップが、少なくとも部分的に、特に全体的にオーバーラップした状態で配され、機械的な表面力により、オーバーラップ領域において連結されている、フィルタートウストリップ。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−510614(P2011−510614A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538398(P2010−538398)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010296
【国際公開番号】WO2009/083092
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(500017874)ローディア アセトウ ゲーエムベーハー (9)
【Fターム(参考)】