説明

フィルタープレスにおける濾板への濾布吊りアームの取付け構造

【課題】濾布吊りアームを濾板に溶接することなく簡単容易に取付ける。
【解決手段】濾板1の上方で濾布10を2つ折りに垂れ下げる横棒11を弾圧的に上下動自在
に支持する濾布吊りアーム9に少なくとも下方が開口した筒状部13を設け、該筒状部13に
濾板1の左右上端の夫々に縦長な切込み7によって形成された隅柱8を着脱自在に挿嵌す
る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタープレスにおける濾板の上方から濾布を吊り下げ支持する濾布吊り
アームの濾板への取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルタープレスに用いられる濾板には、その表裏面に濾布を被着する様にした
濾布吊り装置が装備されている。
この濾布吊り装置は、濾板の左右側面の上方に外方突設した濾布吊りアームにおいて、
バネ材を内装して弾性的に上下動自在と成した支柱を立設し、該支柱間に横棒を架設して
成り、該横棒に濾布を2つ折りに垂れ下げ、該濾布が濾板の表裏面を覆う様に成している
(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】実開昭57−2107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記濾布吊りアームは、溶接によって濾板に一体形成されているが、濾板は大型で大重
量であるため、濾布吊りアームの濾板に対する左右の位置決めや溶接作業は甚だ面倒であ
り、手間、時間を要していた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、濾板の上方から濾布を垂れ下げる横棒を支持する濾布吊りアームに少なくと
も下方が開口した筒状部を設け、該筒状部に濾板の左右上端の夫々に縦長な切込みによっ
て形成された隅柱を着脱自在に挿嵌することにより、濾布吊りアームを溶接することなく
濾板に簡単容易に取付けできる様にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0005】
要するに本発明は、濾板にはその左右上端の夫々に単に縦長な切込みを設け、濾布吊り
アームには前記切り込みによって形成される隅柱の挿嵌可能な筒状部を設け、該筒状部に
隅柱を挿嵌するだけで、濾板に濾布吊りアームを極めて簡単に取付けできる。
従って、本発明によれば、従来要していた手間を省け、その作業効率を飛躍的に低減で
き、濾板を安価に提供できる。
又、濾布吊りアームは濾板に対し着脱できるので、濾板の破損や老朽化等に際しても、
濾布吊りアームを含む濾布吊り装置一式を除いてその濾板自体のみを交換するだけで良く
、その交換時に必要な費用をも軽減できる等その実用的効果甚だ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下本発明の実施の形態としての実施例を図面に基づいて説明する。
図に示す濾板1は、フィルタープレスの長手方向で濾枠(図示せず)を介在する様に多
数並列配置されるものにして、その表裏面を面一の平面状と成した略正方形状に形成され
、左右側面上方にはフィルタープレスの左右に平行配置したレール2上に走行自在に載置
される支持アーム3を外方突設している。
濾板1の中央には原液通過孔4を貫設すると共に、下方適所に複数の濾過排水路5を設
け、表裏面の夫々には原液通過孔4に対応した透孔を中央に有する円形状の通水網板6を
固着している。
又、濾板1の左右上端の夫々には、その左右側辺に平行で縦長な切込み7を設けること
により隅柱8を形成し、該隅柱8に濾布吊りアーム9を取付けている。
【0007】
濾布吊りアーム9は、濾板1の上方から濾布10を2つ折りに垂れ下げる横棒11を弾圧的
に上下動自在に支持する腕部12と、該腕部12の基端に連続して少なくとも下方が開口(図
示例では上下が開口)した筒状部13を設けている。
筒状部13は、隅柱8の横断面形状に対応した断面方形状の中空部14を有する四角筒状に
形成され、隅柱8を着脱自在に挿嵌することにより、濾布吊りアーム9を濾板1の上方隅
角部に取付けでき、その腕部12を濾板1の外側方へ突出させている。
尚、切込み7の間隙及び長さは、筒状部13の肉厚及び高さに対応する様に形成している

腕部12には、所定長さを有するガイド棒15を立設し、該ガイド棒15には、コイル状のバ
ネ材16を外嵌すると共に、該バネ材16の上端にはガイド棒15を摺動自在に挿通した略円板
状のバネ押さえ17を載置し、該バネ押さえ17上で横棒11の端部をガイド棒15に摺動自在に
挿通している。
【0008】
この様に、濾板1の左右側面上部に外方突設した濾布吊りアーム9より立設して成るガ
イド棒15間に横棒11をバネ材16で以て弾圧的に上下動自在に架設支持することにより濾布
吊り装置18を構成している。
そして、濾布吊り装置18の横棒11に濾布10を2つ折りに垂れ下げることにより、濾布10
が濾板1の表裏面を覆う様に成している。
又、濾布10において、原液通過孔4との対応部位にはこれと略同径の透孔を設け、該透
孔周囲は原液通過孔4周囲に装着したリング状の口金19にて濾板1に止着されている。
尚、ガイド棒15間に架設された状態の横棒11において、ガイド棒15の挿通部位より内側
には、濾布10の折り返し部に設けた鳩目(図示せず)に挿通して濾布10を位置決めするピ
ン20を上方突設している。
又、本実施例にあっては、複式のフィルタープレスに用いる濾板1への濾布吊りアーム
の取付け構造を示したが、本発明にあっては、濾枠を用いない単式のフィルタープレスの
濾板にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】濾板の正面図である。
【図2】濾布吊りアームと隅柱の斜視図である。
【図3】濾布吊り装置の要部拡大図である。
【図4】図3の縦断面図である。
【符号の説明】
【0010】
1 濾板
7 切込み
8 隅柱
9 濾布吊りアーム
10 濾布
11 横棒
13 筒状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾板の上方で濾布を垂れ下げる横棒を支持する濾布吊りアームに少なくとも下方が開口
した筒状部を設け、該筒状部に濾板の左右上端の夫々に縦長な切込みによって形成された
隅柱を着脱自在に挿嵌することを特徴とするフィルタープレスにおける濾板への濾布吊り
アームの取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−81959(P2006−81959A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−266416(P2004−266416)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000139805)株式会社伊藤製作所 (11)
【Fターム(参考)】