説明

フィルター装置

【課題】 フィルターに付着していたほこりがメンテナンス時に脱臭ダクトの内部に落下するのを防止することのできるフィルター装置を提供すること。
【解決手段】 脱臭ダクトを横切る方向に出し入れ自在とされた、便器の脱臭装置に設けられるフィルター装置1であって、起立壁部と水平な底面部とを備え、底面部の前端部に山型の突出部8が設けられた本体2に、メッシュ部3を備えたフィルター4が後方に倒れ込むように傾斜して配設され、フィルターの下端部と本体に設けられた突出部の後端部との間で凹状のほこり受けが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、便器の脱臭装置に設けられるフィルター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
排便にともなう汚臭を消臭するために脱臭装置が便器に取り付けられている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された脱臭装置では、便器に付設された脱臭装置本体に空気吸い込み用の開口部が形成され、この開口部を覆う集塵フィルターが設けられた吸い込みプレートが、脱臭装置本体に着脱自在に取り付けられている。
【特許文献1】特開2003−278223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された脱臭装置では、集塵フィルターが脱臭ダクトに対し垂直に配置されているため、メンテナンスの際に集塵フィルターを取り出すとき、付着していたほこりが脱臭ダクトの内部に落ちてしまう可能性がある。
【0005】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、フィルターに付着していたほこりがメンテナンス時に脱臭ダクトの内部に落下するのを防止することのできるフィルター装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、上記の課題を解決するために、第1には、脱臭ダクトを横切る方向に出し入れ自在とされた、便器の脱臭装置に設けられるフィルター装置であって、起立壁部と水平な底面部とを備え、底面部の前端部に山型の突出部が設けられた本体に、メッシュ部を備えたフィルターが後方に倒れ込むように傾斜して配設され、フィルターの下端部と本体に設けられた突出部の後端部との間で凹状のほこり受けが形成されていることを特徴としている。
【0007】
本願発明は、第2には、フィルターが本体に差込み式で取り付けられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本願の第1の発明によれば、フィルターのメッシュ部により捕集されたほこりの受けが形成され、そのスペースが十分確保されているため、メンテナンスの際にフィルター装置を引き出すとき、メッシュ部から離れるほこりを受け止めることができ、ほこりが脱臭ダクトの内部に落下するのを防止することができる。また、フィルターが斜め後方に傾いて配置されるため、フィルター装置を取り出す際に起こるおそれのあるメッシュ部からのほこりの離脱を未然に防止することもできる。
【0009】
本願の第2の発明によれば、フィルターの本体への取付けおよび取外しが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本願発明のフィルター装置の一実施形態を示した斜視図である。図2は、図1に示したフィルター装置の断面図である。図3、図4は、それぞれ、図1および図2に示したフィルター装置の脱臭ダクトへの取付状態を示した要部平面図、要部断面図である。
【0011】
図1および図2に示したように、フィルター装置1は、本体2と、本体2に着脱自在に取り付けられる、メッシュ部3を備えたフィルター4とを備えている。本体2は、後部に起立壁部5を備え、水平な底面部6を備えている。起立壁部5、底面部6の少なくともいずれか一方には通気孔が形成される。これらの起立壁部5および底面部6は互いに連結されている。図2に示したように、起立壁部5の下端と底面部6の後端が接続されており、接続部は面取りされている。また、起立壁部5と底面部6とは、図1に示したように、左右の側壁部7によっても連結されている。このような起立壁部5と底面部6との連結および側壁部7の連結により本体2は一定の剛性を有している。
【0012】
また、本体2は、山型形状を有する突出部8を備えてもいる。突出部8は、上方に突出し、底面部6の前端部に配設されている。
【0013】
フィルター4は以上の本体2に取り付けられている。フィルター4の上端は本体2の起立壁部5側に配置され、下端は、本体2の底面部6に設けられた突出部8の後端部側に配置され、フィルター4は後方に倒れこむように傾斜して本体2に取り付けられている。フィルター4は本体2に対して着脱自在とされている。たとえば、本体2の後端上部および突出部8の後端部の底面部6付近に溝部を設け、フィルター4の上下端部の溝部への差込みにより、フィルター4が取り付けられ、溝部から上下端部を抜き外すことによりフィルター4を本体2から取り外せるようにすることができる。具体的には、フィルター4をその上端部を溝部に差し込んだ後、撓ませて下端部を溝部に挿入することにより取り付けたり、フィルター4の縦幅を本体2に設けた溝部間の長さよりも若干短めに設定し、上端部を溝部に差し込んだ後にフィルター4を斜め下方に引き下げて下端部を溝部に挿入して取り付けたりすることができる。このような差込み式の取付けにより、フィルター4の本体2への取付けが容易となる。フィルター4を取り外す際には、上記と逆の操作を行えばよく、フィルター4の本体2からの取外しも容易となる。
【0014】
フィルター4は、上記の通り、後方に傾斜しているので、フィルター装置1では、フィルター4の下端部と本体2に設けられた突出部8の後端部との間に凹部9が形成されている。この凹部9は、後述するように、ほこり受けとして機能する。
【0015】
以上のフィルター装置1は、図3に示したように、便器または温水洗浄装置に設けられた脱臭ダクト10の内部に配置されるものであり、脱臭ダクト10を横切る方向に出し入れ自在とされている。フィルター装置1を脱臭ダクト10内に装着し、脱臭ダクト10の後端部に配置された脱臭ダクト10の内部に連通するファン11を作動させると、便器のボウル12内の空気が、図4にも示したように、脱臭ダクト10内に取り込まれる。脱臭ダクト10内に取り込まれた空気は、まず、フィルター装置1を通過し、このとき、空気中に含まれるほこりがフィルター4のメッシュ部3により捕捉される。次いで、空気は、脱臭ダクト10内に設けられたハニカム状の脱臭材13を通過し、その際に、悪臭成分が除去され、浄化される。そして、浄化された空気がファン11から外部に排出される。
【0016】
このような脱臭時に、フィルター装置1は空気中に含まれるほこりを捕集するため、フィルター4のメッシュ部3にはほこりが蓄積されていく。目詰まりが起こると、通風量が減り、脱臭効率が低下するので、メッシュ部3で捕捉され、蓄積したほこりを一定の段階で除去するメンテナンスを行う必要がある。その際には、フィルター装置1を脱臭ダクト10から引き出し、メッシュ部3の清掃を行うが、ほこりは軽いものであるため、フィルター装置1を引き出すときにフィルター4に加わる振動やフィルター装置1の移動にともなってメッシュ部3から離れることがある。だが、フィルター装置1では、フィルター4の下端部と本体2に設けられた突出部8の後端部との間に形成された凹部9で、図2に示したように、そのように離れるほこり14を受けることができ、フィルター装置1を脱臭ダクト10から引き出してもほこり14が脱臭ダクト10内に落下することはない。このように、フィルター装置1では、フィルター4のメッシュ部3により捕集されたほこりの受けが形成され、しかもそのスペースは十分確保されているため、メンテナンスの際にフィルター装置1を引き出すとき、メッシュ部3から離れるほこり14を受け止めることができ、ほこり14が脱臭ダクト10の内部に落下するのを防止することができる。ほこり14が脱臭ダクト10内に落下してしまうと、脱臭時に落下したほこり14が再度フィルター4に捕集されるため、清掃の手間が増えるとともに、目詰まりの回数が多くなり、その分、脱臭効率が落ちたり、ファン11にかかる負荷が増加し、エネルギーロスにつながったりするという問題があるが、フィルター装置1は、上記の通り、ほこり14の脱臭ダクト10への落下を防止することができるため、そのような問題も生じない。
【0017】
また、フィルター装置1では、フィルター4が斜めに後方に傾いて配置されているため、フィルター装置1を取り出す際に起こるおそれのあるメッシュ部3からのほこりの離脱を未然に防止することもできる。
【0018】
なお、本願発明は以上の実施形態によって制限されることはない。本体やフィルターの材質、構造、メッシュ部の目の大きさをはじめ、脱臭装置の構成等については様々な態様が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本願発明のフィルター装置の一実施形態を示した斜視図である。
【図2】図1に示したフィルター装置の断面図である。
【図3】図1に示したフィルター装置の脱臭ダクトへの取付状態を示した要部平面図である。
【図4】図1に示したフィルター装置の脱臭ダクトへの取付状態を示した要部断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 フィルター装置
2 本体
3 メッシュ部
4 フィルター
5 起立壁部
6 底面部
7 側壁部
8 突出部
9 凹部
10 脱臭ダクト
11 ファン
12 ボウル
13 脱臭材
14 ほこり

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱臭ダクトを横切る方向に出し入れ自在とされた、便器の脱臭装置に設けられるフィルター装置であって、起立壁部と水平な底面部とを備え、底面部の前端部に山型の突出部が設けられた本体に、メッシュ部を備えたフィルターが後方に倒れ込むように傾斜して配設され、フィルターの下端部と本体に設けられた突出部の後端部との間で凹状のほこり受けが形成されていることを特徴とするフィルター装置。
【請求項2】
フィルターが本体に差込み式で取り付けられる請求項1記載のフィルター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−265967(P2006−265967A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−87255(P2005−87255)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】