説明

フィルタ保護具及びフィルタ設置治具

【課題】簡易な構成により、はためきによる濾材の損傷を抑制することができるフィルタ保護具を提供すること。
【解決手段】フィルタ保護具10は、開口部3a及び閉塞部3bを有する袋状の濾材3を複数並列に配置して構成され、気体を濾過する濾材集合部(フィルタメディア部)2と、被設置箇所の取付部材6に設置可能に構成され、フィルタメディア部2の開口部3aの側を固定する固定枠部4と、を備えたフィルタ1におけるフィルタメディア部2を囲んで保護する。フィルタ保護具10は、気体を流通可能に構成され、上流側の端部11aが取付部材6に固定される一対の支持部11と、隣接する濾材3を区画するように該濾材3の間に配置される区画部12と、支持部11の下流側の端部11b及び区画部12の下流側の端部12bを接続する第1接続部13と、隣接する区画部12の下流側の端部12bを接続する第2接続部14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所等の換気空調設備等に使用される吹流し型のフィルタをはためきによる損傷から保護するフィルタ保護具、及びフィルタをフィルタ保護具に案内する際に使用されるフィルタ設置治具に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所等の換気空調設備等には、発電所の建屋に導入される外気及び循環空気を浄化する外気処理装置及び給気処理装置や、建屋の外部に排出される排気を浄化する排気処理装置が設けられている。このような外気処理装置、給気処理装置や排気処理装置は、外気、循環空気、排気に含まれる塵埃を捕集するフィルタを備えている。
【0003】
このフィルタは、一端に開口部を有し他端に閉塞部を有する袋状の濾材を複数並列に配置して構成され、開口部の側を上流側として閉塞部に向かって流通される気体(以下、「外気、循環空気及び排気」を、特に明示がない限り、「外気等」という)を濾過する濾材集合部と、被設置箇所に設けられた取付部材に設置可能に構成され、濾材集合部の開口部の側を固定する固定枠部と、を備えて構成されている(例えば、特許文献1参照)。なお、以下の説明において、フィルタに気体が流通する状態を適宜、「通気」ともいう。
【0004】
このように構成されたフィルタには、通気時において外気等の気体が濾材の上流側(開口部側)から下流側(閉塞部側)に向かって流れる。フィルタは、濾材集合部へ流入する気体により濾材の容積(濾過面積)が増大した状態で気体中の塵埃を捕集する。つまり、フィルタは、通気時に吹流しのような形態で塵埃を捕集する。そのため、フィルタは、吹流し型フィルタと称されることもある。
【0005】
このような吹流し型フィルタは、濾材の下流側の端部(閉塞部)が全く支持されていない場合には、通気量が急激に変化したとき(例えば、送風機の起動停止時や強風送風時)等に、濾材がはためき、隣接する濾材同士が接触して擦り切れたり、濾材に穴が開いてしまうことがあった。
【0006】
そのため、濾材の下流側の端部に吊り具を備え、この吊り具にワイヤー等を通すことによって濾材を吊り下げ可能に構成したフィルタが開示されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載の技術によれば、濾材の下流側の端部が吊り具を介して吊り下げられることにより、この吊り下げ方向において濾材のはためきが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−6085号公報
【特許文献2】特開2001−9224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献2に記載の技術は、隣接する濾材側(例えば、濾材の吊り下げ方向と略直交する方向)への濾材の動き(はためき)が規制されていない。そのため、隣接する濾材同士がはためいて接触し、濾材が損傷する虞があった。
【0009】
従って、簡易な構成により、はためきによる濾材の損傷を抑制することができるフィルタ保護具が望まれていた。また、フィルタ保護具に対してフィルタを容易に設置することができるフィルタ設置治具が望まれていた。
【0010】
本発明は、簡易な構成により、はためきによる濾材の損傷を抑制することができるフィルタ保護具を提供することを目的とする。
また、本発明は、フィルタ保護具に対してフィルタを容易に設置することができるフィルタ設置治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一端に開口部を有し他端に閉塞部を有する袋状の濾材を複数並列に配置して構成され、前記開口部の側を上流側として前記閉塞部に向かって流通される気体を濾過する濾材集合部と、被設置箇所に設けられた取付部材に設置可能に構成され、前記濾材集合部の前記開口部の側を固定する固定枠部と、を備えたフィルタにおける前記濾材集合部を囲んで保護するフィルタ保護具であって、前記気体を流通可能に構成され、前記濾材集合部の複数の前記濾材のうち最も外側に配置された該濾材の側面部に沿って配置されると共に、上流側の端部が前記取付部材に固定される一対の支持部と、前記気体を流通可能に構成され、隣接する前記濾材を区画するように該濾材の間に配置される区画部と、前記支持部の下流側の端部及び前記区画部の下流側の端部を接続する第1接続部と、隣接する前記区画部の下流側の端部を接続する第2接続部と、を備えるフィルタ保護具に関する。
【0012】
また、前記第1接続部及び前記第2接続部は、前記気体を流通可能に構成されることが好ましい。
【0013】
また、前記支持部及び前記区画部は、剛性を有する網状部材からなり、該網状部材の下流側における網目の大きさが、該網状部材の上流側における網目の大きさよりも小さいか又は同じであることが好ましい。
【0014】
また、隣接する前記第1接続部及び前記第2接続部、隣接する前記第2接続部同士、及び隣接する前記第1接続部同士を連結して補強する補強部材を更に備えることが好ましい。
【0015】
また、前記フィルタ保護具に前記フィルタの前記濾材集合部を挿入する際に使用されるフィルタ設置治具であって、前記フィルタの前記固定枠部に仮止め可能に構成された枠部と、前記枠部に把持可能に設けられた取手部と、前記枠部から下流側に向かって突出して該枠部に設けられると共に、前記濾材集合部の前記濾材の内部にそれぞれ挿入可能に構成され、該濾材の内部に挿入された状態で該濾材を前記フィルタ保護具に案内する複数の案内部と、を備えるフィルタ設置治具に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡易な構成により、はためきによる濾材の損傷を抑制することができるフィルタ保護具を提供することができる。
【0017】
また、本発明によれば、フィルタ保護具に対してフィルタを容易に設置することができるフィルタ設置治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態のフィルタ保護具10によって保護されるフィルタ1を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態のフィルタ保護具10が被設置箇所に設置された状態を示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態のフィルタ保護具10の支持部11を示す部分側面図である。
【図4】本発明の実施形態のフィルタ設置治具20を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態について図1から図4を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態のフィルタ保護具10によって保護されるフィルタ1を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態のフィルタ保護具10が被設置箇所に設置された状態を示す平面図である。また、図2には、フィルタ1に装着されたフィルタ設置治具20(後述)を想像線で簡略化して示してある。図3は、本発明の実施形態のフィルタ保護具10の支持部11を示す部分側面図である。
【0020】
以下、原子力発電所等における換気空調設備の外気処理装置(図示せず)に設けられ、建屋(図示せず)に導入される外気(気体)を浄化するフィルタ1を例にして説明する。
先ず、フィルタ1が設置される被設置箇所について図2を参照しながら説明する。図2に示すように、フィルタ1は、被設置箇所である仕切壁5の開口部5aに設けられた取付部材6に設置される。仕切壁5は、例えば、建屋(図示せず)の所定箇所に設けられたコンクリート製の壁であり、矩形状の開口部5aを有する。
【0021】
取付部材6は、フィルタ1を開口部5aに取り付ける部材である。取付部材6は、例えば、矩形格子状に複数区画された金属製の枠体である。取付部材6は、断面が略T字状に構成されている。取付部材6は、凹部6aと、開口部6bと、取付面6cと、を有する。凹部6aは、通気方向から視た場合に、矩形状であり、通気方向の上流側から下流側に向かって凹んでいる。開口部6bは、通気方向から視た場合に、矩形状であり、凹部6aの中心に開口されている。また、取付部材6は、通気方向の反対側から視た場合に、矩形状であり、後述する支持部11が固定される。
【0022】
次に、本発明の実施形態のフィルタ保護具10によって保護されるフィルタ1について図1を参照しながら説明する。図1に示すように、フィルタ1は、濾材集合部としてのフィルタメディア部2と、固定枠部4とを備える。フィルタメディア部2は、一端に開口部3aを有し他端に閉塞部3bを有する袋状の濾材3を複数(例えば、8つ)並列に配置して構成されている。各濾材3は、所定の間隔を空けて所定ピッチで並列に配置されている。フィルタメディア部2は、濾材3の開口部3aの側を上流側として閉塞部3bに向かって流通される外気(気体)を濾過する。
【0023】
濾材3は、例えば、側面視で矩形状となっている。濾材3の開口部3aは、図2に示すように、例えば、正面視で矩形状となっている。濾材3の閉塞部3bは、例えば、平面視三角形状となっている(図2においては、説明の便宜上、平面視で矩形状としてある)。
【0024】
固定枠部4は、仕切壁5の開口部5a(図2参照)に設けられた取付部材6(図2参照)に設置される。具体的には、固定枠部4は、取付部材6の凹部6aにボルト及びナット等(図示せず)を用いて固定される。固定枠部4は、開口部4aを有し、矩形枠状に構成されている。固定枠部4には、フィルタメディア部2の開口部3aの側が固定されている。固定枠部4の開口部4aには、後述するフィルタ設置治具20の枠部21(図4参照)が装着される。
【0025】
次に、フィルタ保護具10について図2及び図3を参照しながら説明する。図2に示すように、フィルタ保護具10は、仕切壁5の開口部5aに設けられた取付部材6に固定され、フィルタ1におけるフィルタメディア部2を囲んで保護するものである。
フィルタ保護具10は、一対の支持部11と、区画部12と、第1接続部13と、第2接続部14と、補強部材15と、を備える。
【0026】
支持部11は、フィルタメディア部2の8つの濾材3のうち最も外側に配置された濾材3の側面部3cに沿って配置される。また、図3に示すように、支持部11は、側面視で矩形状となっている。支持部11の側面の大きさは、濾材3の側面部3cの大きさよりも大きくなっている。
【0027】
支持部11の上流側の端部11aは、取付部材6の取付面6cに溶接等によって固定される。支持部11は、フィルタ保護具10の全体を支持する。支持部11の下流側の端部11bは、濾材3の閉塞部3bよりも下流側に位置している。支持部11の下流側の端部11bは、後述する第1接続部13を介して区画部12の下流側の端部12bと接続されている。
【0028】
区画部12は、隣接する濾材3を区画するように濾材3の間に配置される。区画部12の下流側の端部12bは、濾材3の閉塞部3bよりも下流側に位置している。区画部12は、側面視で矩形状に構成され、かつ、平面視で略V字形状に構成されている。
つまり、区画部12は、側面視で矩形状の2つの網目状部材(後述)を上流側の端部12aで接合した構成となっている。区画部12の高さ(図2の紙面に垂直な方向における区画部12の長さ)は、支持部11の高さ(図2の紙面に垂直な方向における支持部11の長さ)と略同一となっている。
【0029】
また、区画部12の上流側の端部12aは、平面視で円弧状となるように面取りされている。区画部12の下流側の端部12bの一方は、後述する第1接続部13を介して支持部11の下流側の端部11bと接続されている。区画部12の下流側の端部12bの他方は、後述する第2接続部14を介して、隣接する区画部12の下流側の端部12bの一方と接続されている。
【0030】
第1接続部13は、支持部11の下流側の端部11b及び区画部12の下流側の端部12bの一方を接続する。第2接続部14は、隣接する区画部12の下流側の端部12b同士を接続する。第1接続部13及び第2接続部14は、フィルタ保護具10の下流側から視た場合において略同一の矩形状となっている。第1接続部13及び第2接続部14の高さ(図2の紙面に垂直な方向における第1接続部13及び第2接続部14の長さ)は、支持部11の高さと略同一となっている。
【0031】
支持部11と区画部12とによって形成される隙間の大きさは、通気時における濾材3の容積の増大を規制しないようになっている。具体的には、支持部11と区画部12とによって形成される隙間の大きさは、通気時において濾材3の容積が増大した場合に、支持部11及び区画部12と濾材3とが接触しない程度になっている。また、第2接続部14によって接続された区画部12同士によって形成される隙間の大きさも、通気時において濾材3の容積が増大した場合に、区画部12と濾材3とが接触しない程度になっている。
【0032】
フィルタ保護具10(支持部11、区画部12、第1接続部13及び第2接続部14)は、剛性を有する網状部材からなり、外気(気体)を流通可能に構成されている。また、フィルタ保護具10を構成するこれらの部材の断面形状は、円、楕円等のように流体抵抗が少ないものであることが好ましい。また、これらの形状の部材は、所定の強度を有する。
【0033】
また、この網状部材は、塩害対策のため、塩化物(例えば、塩化ナトリウム)に対して耐腐食性を有する材料(例えば、ステンレス鋼)から構成されている。なお、フィルタ保護具10を、塩化物に対して耐腐食性を有しない材料から構成する場合には、塩化物に対して耐腐食性を有する塗料をフィルタ保護具10に塗布することが好ましい。
【0034】
また、フィルタ保護具10の支持部11及び区画部12は、前記網状部材の下流側における網目の大きさが、網状部材の上流側における網目の大きさよりも小さい。例えば、図3に示すように、支持部11の下流側における網目の大きさが、上流側における網目の大きさよりも小さくなっている。フィルタ保護具10における網目の位置、網目の形状及び網目の大きさは、通気時における圧力損失が極力生じないように設けられる。
なお、図示例を省略するが、フィルタ保護具10の支持部11及び区画部12は、前記網状部材の下流側における網目の大きさが、網状部材の上流側における網目の大きさと同じであってもよい。
【0035】
補強部材15は、例えば、支持部11及び区画部12と同様に、剛性を有する網状部材からなる。補強部材15は、図2及び図3に示すように、隣接する第1接続部13及び第2接続部14、隣接する第2接続部14同士、及び隣接する第1接続部13同士を、連結して補強する。補強部材15は、これら第1接続部13及び第2接続部14に溶接等によって連結される。この補強部材15によれば、フィルタ保護具10の下流側の端部の剛性(強度)を高めることができる。
【0036】
なお、補強部材15は、パイプ状又は棒状部材から構成されてもよい。また、補強部材15は、第1接続部13及び第2接続部14の機能を有するように構成されてもよい。つまり、補強部材15、第1接続部13及び第2接続部14が一部材として構成されてもよい。
【0037】
次に、フィルタ設置治具20について図4を参照しながら説明する。図4は、本発明の実施形態のフィルタ設置治具20を示す斜視図である。
フィルタ設置治具20は、フィルタ保護具10にフィルタ1のフィルタメディア部2を挿入する際に使用されるものである。図4に示すように、フィルタ設置治具20は、枠部21と、一対の取手部22と、複数(例えば、8つ)の案内部23と、を備える。
【0038】
枠部21は、フィルタ1の固定枠部4の開口部4aに仮止め可能に構成された矩形枠である。具体的には、枠部21は、固定枠部4の開口部4aに係合可能な大きさに構成されている。なお、枠部21を開口部4aに係合させた後、更にボルト及びナット等で枠部21と固定枠部4とを固定してもよい。
取手部22は、作業者が把持する部分である。取手部22は、略コ字状に形成され、枠部21の前面に把持可能に設けられている。
【0039】
案内部23は、濾材3の内部に挿入された状態で濾材3をフィルタ保護具10に案内する部材である。案内部23は、枠部21から下流側に向かって突出して枠部21に設けられると共に、フィルタメディア部2の濾材3の内部にそれぞれ挿入可能に構成されている。案内部23は、例えば、略コ字状の金属製丸パイプにより構成されている。案内部23のコ字状の角部23aは、濾材3を損傷しないように、円弧状に形成されている。
【0040】
フィルタ設置治具20は、作業性の観点から、軽量であることが好ましい。例えば、枠部21は、剛性を有する網状部材から構成されてもよい。また、フィルタ設置治具20は、例えば、ステンレス鋼やアルミニウム合金等から構成されることが好ましい。
【0041】
次に、フィルタ設置治具20の使用方法について図2を参照しながら説明する。
先ず、フィルタ設置治具20の各案内部23を、フィルタ1の各濾材3の内部に挿入し、更に、フィルタ設置治具20の枠部21をフィルタ1の固定枠部4の開口部4aに仮止めする。これにより、フィルタ設置治具20とフィルタ1とが一体となる。また、フィルタ1の各濾材3は、フィルタ設置治具20の各案内部23によって内方から支持される。そのため、各濾材3は、上流側から下流側に向けて直線状に延びた姿勢となる。
【0042】
次に、フィルタ設置治具20と一体となったフィルタ1のフィルタメディア部2をフィルタ保護具10に挿入し、更に、固定枠部4を取付部材6の凹部6aに固定する。フィルタ1の各濾材3は、フィルタ設置治具20の各案内部23によって支持されているので、上流側から下流側に向けて直線状に延びた姿勢となっている。そのため、フィルタメディア部2の各濾材3をフィルタ保護具10に対して位置決めし易く、フィルタ保護具10に容易に挿入することができる。また、フィルタ設置治具20は、フィルタメディア部2の濾材3がフィルタ保護具10に挿入された後、フィルタ1から取り外される。
【0043】
次に、フィルタ保護具10の作用について図2を参照しながら説明する。
図2に示すように、フィルタ1のフィルタメディア部2は、フィルタ保護具10に挿入されている。そのため、フィルタメディア部2の濾材3のうち最も外側に配置された濾材3は、支持部11及び区画部12によって側面を囲まれている。また、フィルタメディア部2の他の濾材3は、区画部12,12によって側面を囲まれている。つまり、全ての濾材3は、隣接する濾材3側への動き(はためき)が規制されている。
【0044】
従って、例えば、通気量が急激に変化した場合(例えば、送風機の起動停止時や強風送風時)等であっても、濾材3がはためいて隣接する濾材3同士が接触することが抑制される。これにより、濾材3同士が接触して擦り切れたり、穴が開いてしまうことを抑制することができる。
【0045】
以上のように、本実施形態のフィルタ保護具10によれば、以下に示す効果が奏される。
本実施形態のフィルタ保護具10は、取付部材6に固定される一対の支持部11と、隣接する濾材3を区画するように濾材3の間に配置される区画部12と、支持部11の下流側の端部11b及び区画部12の下流側の端部12bを接続する第1接続部13と、隣接する区画部12の下流側の端部12bを接続する第2接続部14と、を備える。
【0046】
そのため、フィルタ1の濾材3は、支持部11及び区画部12又は区画部12,12によって側面を囲まれ、隣接する濾材3側への動き(はためき)が規制される。これにより、濾材3がはためいて、隣接する濾材3同士が接触することが抑制される。従って、濾材3同士の接触によって濾材3が損傷することを抑制することができる。
【0047】
また、フィルタ保護具10の第1接続部13及び第2接続部14は、支持部11及び区画部12と共に、外気(気体)を流通可能に構成されている。そのため、濾材3を流通した外気は、第1接続部13及び第2接続部14を容易に流通することができ、圧力損失の発生を抑制することができる。
【0048】
また、支持部11及び区画部12は、剛性を有する網状部材からなり、網状部材の下流側における網目の大きさが、網状部材の上流側における網目の大きさよりも小さくなっている。そのため、支持部11及び区画部12の下流側の強度が低減することを抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態のフィルタ設置治具20によれば、以下に示す各効果が奏される。
本実施形態のフィルタ設置治具20は、枠部21と、枠部21に把持可能に設けられた取手部22と、枠部21から下流側に向かって突出して枠部21に設けられ、フィルタ1の濾材3の内部に挿入された状態で濾材3をフィルタ保護具10に案内する複数の案内部23と、を備える。
【0050】
そのため、フィルタ設置治具20の各案内部23によってフィルタ1の各濾材3を支持することで、各濾材3の姿勢を上流側から下流側に向けて直線状に整えることができる。これにより、フィルタメディア部2の各濾材3をフィルタ保護具10に対して位置決めし易くすることができ、各濾材3をフィルタ保護具10に容易に挿入することができる。従って、フィルタ設置治具20によれば、フィルタ保護具10に対してフィルタ1を容易に設置することができる。
【0051】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、フィルタ保護具10の区画部12は、側面視で矩形状の2つの網目状部材を用いて平面視で略V字形状に構成されるものとして説明したが、これに制限されない。区画部12は、側面視で矩形状の一つの網目状部材から構成されてもよい。
【0052】
また、フィルタ保護具10の支持部11及び区画部12は、剛性を有する網状部材からなり、網状部材の下流側における網目の大きさが、網状部材の上流側における網目の大きさよりも小さくなっているものとして説明したが、これに制限されない。
例えば、支持部11及び区画部12の網目形状は、図3に示した長方形に制限されない。例えば、網目形状は、三角形、菱形及び円形等、長方形以外の形状であってもよい。
【0053】
また、前記実施形態においては、原子力発電所における換気空調設備等の外気処理装置に使用されるフィルタ1を例にして説明したが、排気を処理する排気処理装置に使用されるフィルタに対しても、本発明を同様に適用することができる。また、建屋の外部から取り入れた外気を、建屋の内部を循環する循環空気と共に処理する給気処理装置に使用されるフィルタに対しても、本発明を同様に適用することができる。これらの場合、前記実施形態における「外気」を、「排気」又は「循環空気」と読み替えると共に、「外気処理装置」を、「排気処理装置」又は「給気処理装置」と読み替えるものとする。
また、火力発電所における換気空調設備、火力発電所以外の産業用及び一般用の換気空調設備等に対しても、本発明を同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 フィルタ
2 フィルタメディア部(濾材集合部)
3 濾材
3a 開口部
3b 閉塞部
3c 側面部
4 固定枠部
5 仕切壁(被設置箇所)
6 取付部材
10 フィルタ保護具
11 支持部
11a,11b 端部
12 区画部
12a,12b 端部
13 第1接続部
14 第2接続部
15 補強部材
20 フィルタ設置治具
21 枠部
22 取手部
23 案内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に開口部を有し他端に閉塞部を有する袋状の濾材を複数並列に配置して構成され、前記開口部の側を上流側として前記閉塞部に向かって流通される気体を濾過する濾材集合部と、被設置箇所に設けられた取付部材に設置可能に構成され、前記濾材集合部の前記開口部の側を固定する固定枠部と、を備えたフィルタにおける前記濾材集合部を囲んで保護するフィルタ保護具であって、
前記気体を流通可能に構成され、前記濾材集合部の複数の前記濾材のうち最も外側に配置された該濾材の側面部に沿って配置されると共に、上流側の端部が前記取付部材に固定される一対の支持部と、
前記気体を流通可能に構成され、隣接する前記濾材を区画するように該濾材の間に配置される区画部と、
前記支持部の下流側の端部及び前記区画部の下流側の端部を接続する第1接続部と、
隣接する前記区画部の下流側の端部を接続する第2接続部と、
を備えるフィルタ保護具。
【請求項2】
前記第1接続部及び前記第2接続部は、前記気体を流通可能に構成される請求項1に記載のフィルタ保護具。
【請求項3】
前記支持部及び前記区画部は、剛性を有する網状部材からなり、該網状部材の下流側における網目の大きさが、該網状部材の上流側における網目の大きさよりも小さいか又は同じである請求項1又は2に記載のフィルタ保護具。
【請求項4】
隣接する前記第1接続部及び前記第2接続部、隣接する前記第2接続部同士、及び隣接する前記第1接続部同士を連結して補強する補強部材を更に備える請求項1から3のいずれか一つに記載のフィルタ保護具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の前記フィルタ保護具に前記フィルタの前記濾材集合部を挿入する際に使用されるフィルタ設置治具であって、
前記フィルタの前記固定枠部に仮止め可能に構成された枠部と、
前記枠部に把持可能に設けられた取手部と、
前記枠部から下流側に向かって突出して該枠部に設けられると共に、前記濾材集合部の前記濾材の内部にそれぞれ挿入可能に構成され、該濾材の内部に挿入された状態で該濾材を前記フィルタ保護具に案内する複数の案内部と、
を備えるフィルタ設置治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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