フィルタ及びその取り付け方法
【課題】使いまわす磁石を汚さない使い捨てのフィルタを提供すること。磁石をフィルタ内に収容して一体化できる使い捨てのフィルタを提供すること。
【解決手段】本発明のレンジフード用フィルタ1Aは、シート材2,3で形成され、磁石4を収容する複数個の磁石収容部5を備えてなり、この磁石収容部5が筒状構造又は小袋状構造を有し、所望の長さに切断しても筒状構造又は小袋状構造が取り付けに適切な位置に来るように形成されている。また、複数個の磁石収容部5それぞれは、2枚のシート材2,3が所定間隔で接合されることにより筒状構造に形成され、その筒状構造は連続的に並設している。
【解決手段】本発明のレンジフード用フィルタ1Aは、シート材2,3で形成され、磁石4を収容する複数個の磁石収容部5を備えてなり、この磁石収容部5が筒状構造又は小袋状構造を有し、所望の長さに切断しても筒状構造又は小袋状構造が取り付けに適切な位置に来るように形成されている。また、複数個の磁石収容部5それぞれは、2枚のシート材2,3が所定間隔で接合されることにより筒状構造に形成され、その筒状構造は連続的に並設している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフード用フィルタ、エアコン用フィルタ、通気口用フィルタ等のフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、システムキッチンなどの換気扇には、換気扇のファンが油等で汚れるのを防ぐため、金属製のグリスフィルタが取り外し自在に装着されており、このグリスフィルタの油、塵、埃等の微粒子による汚れを掃除する手間を省くために、グリスフィルタを使い捨ての不織布でカバーしている。
特許文献1には、両端に磁石を装着し伸縮自在で使い回し可能なフィルタ支持部材と、両側辺部に前記フィルタ支持部材を挿入可能な挿入部を形成した使い捨てのフィルタとからなるレンジフード用フィルタ装置が開示されている。
特許文献2には、取り付けるグリスフィルタの大きさに合わせて使い捨てのフィルタをカットし、カットした使い捨てのフィルタを、複数個の磁石片を用いてグリスフィルタに固定するレンジフード用フィルタ装置が開示されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のレンジフード用フィルタ装置は、フィルタ支持部材の全てがフィルタの内部に収容されておらず、フィルタ支持部材の両端がフィルタからはみ出ている。同様に、特許文献2に記載のレンジフード用フィルタ装置の複数個の磁石片それぞれは、フィルタの内部に収容されておらず、露出している。
【0004】
従って、フィルタを交換する際、特許文献1に記載のフィルタ支持部材又は特許文献2に記載の磁石片に付着した油等による汚れを掃除する必要がある。また、特許文献1に記載のレンジフード用フィルタ装置は、挿入部内に磁石が無く、フィルタ支持部材と挿入部との間に隙間があるため、フィルタ装置を密着固定できない。また、特許文献2に記載のレンジフード用フィルタ装置では、複数個の磁石片を一つずつ取り付ける必要があることから、取り付けが面倒である。
【0005】
【特許文献1】実開平5−67311号公報
【特許文献2】特開平4−131113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、使いまわす磁石を汚さない使い捨てのフィルタを提供することにある。また、磁石をフィルタ内に収容して一体化できる使い捨てのフィルタを提供することにある。また、そのフィルタの取り付け方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シート材で形成され、磁石を収容する複数個の磁石収容部を備えてなり、該磁石収容部が筒状構造又は小袋状構造を有し、所望の長さに切断しても筒状構造又は小袋状構造が取り付けに適切な位置に来るように形成されているフィルタを提供することにより前記目的を達成したものである。また、本発明は、そのようなフィルタを、対向する一対の側部近傍に設けられた前記磁石収容部を残すように、所定の大きさに切断し、少なくとも該磁石収容部に磁石を収容し、所定の金属部位に取り付けるフィルタの取り付け方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のフィルタによれば、何度も使用して使いまわす磁石を汚さない使い捨てのフィルタを提供することができる。また、磁石をフィルタ内に収容して一体化できる使い捨てのフィルタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明のフィルタであるレンジフード用フィルタの好ましい第1実施形態について、図1〜図4に基づいて説明する。尚、各図中、同一符号は同一の構成要素を示している。
【0010】
第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aは、図1及び図2に示すように、2枚のシート材2,3で形成され、磁石4を収容する複数個の磁石収容部5を備えてなり、複数個の磁石収容部5それぞれは、2枚のシート材2,3が所定間隔で接合されることにより筒状構造に形成されている。これらの磁石収容部5は、所望の長さに切断しても筒状構造が取り付けに適切な位置に来るように、対向する左右一対の側部1a,1a近傍には、少なくともそれぞれ設けられており、これらの筒状構造は連続的に並設している。
【0011】
レンジフード用フィルタ1Aは、図1に示すように、実質的に横方向に長い長方形状であり、レンジフード用フィルタ1Aは、金属からなるグリスフィルタに当接するグリスフィルタ当接面側のシート材2及びグリスフィルタ非当接面側のシート材3の2枚のシート材で形成されている。グリスフィルタ当接面側のシート材2及びグリスフィルタ非当接面側のシート材3は、図1に示すように、同形・同大のシート材である。
【0012】
レンジフード用フィルタ1Aの磁石収容部5は、図1に示すように、磁石4を収容する部位であり、グリスフィルタ当接面側のシート材2及びグリスフィルタ非当接面側のシート材3をレンジフード用フィルタ1Aの幅方向の両端部間に亘って接合する接合部6と、それと隣接する接合部6とで挟まれて筒状構造に形成されている。図1に示すように、磁石収容部5は、レンジフード用フィルタ1Aの幅方向の両端部間に亘って延びている。
【0013】
レンジフード用フィルタ1Aの複数個の磁石収容部5は、図1に示すように、対向する左右一対の側部1a,1a近傍には、少なくとも設けられており、隣接する磁石収容部5と連続的に並設している。ここで、連続的に並設とは、グリスフィルタの大きさに合うようにカットした際、切断されたレンジフード用フィルタ1Aの両側部に磁石収容部5が備わるように、磁石収容部5を連続的に並設していればよい。
市販のグリスフィルタは横幅が300mmのものが主流であることから、切断して使用する長さとし、複数枚のグリスフィルタに利用できるように、シート材2,3の全長は600〜3600mmが好ましい。また、磁石収容部5を形成する接合部6の幅は、シート材2とシート材3とを接合する強度が保たれる幅であれば良い。また、接合部6と隣接する接合部6との間隔(筒状構造の磁石収容部5の幅)Wは、5〜50mmであることが好ましく、5〜30mmであることがより好ましい。
【0014】
レンジフード用フィルタ1Aに収容される磁石4は、図1に示すように、レンジフード用フィルタ1Aの幅方向の両端部間に亘って延びる矩形状の磁石である。磁石4は、図2に示すように、グリスフィルタ当接面側のシート材2及びグリスフィルタ非当接面側のシート材3の間で挟持されて収容される。レンジフード用フィルタ1Aは、設置するグリスフィルタの大きさに合うようにカットされ、磁石4は、そのカットしたレンジフード用フィルタ1Aの対向する左右一対の側部近傍に位置する磁石収容部5それぞれに収容される。また、磁石4は、カットしたレンジフード用フィルタ1Aの長手方向の略中央に位置する磁石収容部5にも収容しても良い。このように略中央にも磁石4を収容すれば、カット後のレンジフード用フィルタ1Aをグリスフィルタに隙間なく固定することができる。
【0015】
レンジフード用フィルタ1Aに収容される磁石4は、図3に示すように、プラスチック樹脂製の矩形状の本体41と、本体41の長手方向の両端部のグリスフィルタ当接面上に固着された略円状の磁石片42とから形成されている。ここで、磁石の形状は長方形やひし形のものを使用してもよい。矩形状の本体41は、図3に示すように、一方の支持部材41aと他方の支持部材41bとからなり、支持部材41aの外径を支持部材41bの内径と略同一とし、支持部材41aを支持部材41b内に嵌入させ、長さ方向に摺動可能となっている。従って、レンジフード用フィルタ1Aを設置するグリスフィルタの大きさに合うようにカットし、レンジフード用フィルタ1Aの幅が短くなったとしても、矩形状の本体41の長さを調整して、カットしたレンジフード用フィルタ1Aに収容することができる。また、支持部材41aの略円状の磁石片42側の端部及び支持部材41bの略円状の磁石片42側の端部それぞれは、図3に示すように、角を無くし丸く形成している。このように端部を丸くすることにより、磁石収容部5へ磁石4をスムーズに挿入することができる。また、支持部材41aの略円状の磁石片42側の端部において、磁石片42より外側の部位が、幅方向に括れ、一対の括れ部41cを形成している。
【0016】
レンジフード用フィルタ1Aの磁石収容部5それぞれには、図1及び図4に示すように、レンジフード用フィルタ1Aの長手方向の側部の一方であって、レンジフード用フィルタ1Aに収容される磁石4の括れ部41cに合う位置に、磁石4を仮固定する一対の仮固定部51を設けている。一対の仮固定部51それぞれは、グリスフィルタ当接面側のシート材2及びグリスフィルタ非当接面側のシート材3を接合して形成されており、レンジフード用フィルタ1Aの長手方向に平行に、収容する磁石4の括れ部41cの近傍まで延びるように形成されている。一対の仮固定部51の幅は、それぞれ、接合部6の幅と同様である。このような仮固定部51を磁石収容部5に設けることにより、収容する磁石4の抜け落ちを防止することができ、レンジフード用フィルタ1Aと磁石4との密着性を確保でき一体性がより向上する。また、磁石4の端部が磁石収容部5の端部まで延び固定されるので、フィルタ1Aの端部とグリスフィルタの密着性が確保でき、油煙がフィルタ1Aとグリスフィルタの隙間から侵入することによる汚れをより防ぐ事ができる。
【0017】
レンジフード用フィルタ1Aのグリスフィルタ当接面側のシート材2及びグリスフィルタ非当接面側のシート材3は、ケミカルボンド不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、ニードルパンチ不織布等の種々の公知の不織布を用いることができる。レンジフードに取り付けられて用いられる観点から、シート材2及びシート材3は防炎性であることが好ましく、ガラス繊維、炭素繊維などの不燃性繊維、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクラール、難燃ポリエステル、難燃アクリル、難燃レーヨン等の難燃性繊維から構成されるか、不燃物繊維及び/又は難燃性繊維が混綿されていることが好ましい。尚、ここで言う難燃性繊維とはLOI値が26以上の繊維を示す。また、シート材2及びシート材3は不燃性や難燃性繊維から構成されない、または構成されていても防炎性が不十分である場合は、後加工の工程でハロゲン系またはリン系、ポリホウ酸の難燃剤を固着させたり、難燃剤を含んだ樹脂をバインダーとして繊維表面に皮膜形成させたりすることで防炎性が賦与されることが好ましい。
【0018】
シート材2、シート材3には、フィルタとして使用できる繊維であればどのような繊維も利用する事ができ、水流により繊維の配向や交絡を調節し、厚みや強度を変化させることができるスパンレース不織布が特に好ましい。スパンレース不織布はポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクラール、難燃ポリエステル、難燃アクリル、難燃レーヨンなどの難燃性繊維から構成されるか、不燃物繊維及び/又は難燃性繊維が混綿されていることが好ましい。
使用する繊維の繊度は、1.1〜7dtexが好ましい。また、不織布の坪量は、15〜100g/m2が好ましく、厚みは、0.5〜20mmが好ましい。
レンジフード用フィルタ1Aの通気度は、装着後もレンジフードの換気性能の維持が必要なため、35m/KPa・s以上であることが好ましい。
【0019】
尚、レンジフード用フィルタ1Aの磁石収容部5を形成する部分のシート材2,3に、フッ素加工等による撥油加工を施すことにより、収容する磁石4の油汚れを更に防ぐことができる。
【0020】
レンジフード用フィルタ1Aの磁石4に使用される略円状の磁石片42は、フェライト磁石、ネオジム磁石、サマコバ磁石、アルニコ磁石、ラバー磁石等の公知の磁石を用いることができるが、価格及び磁力性能の観点からフェライト磁石が好ましい。
【0021】
レンジフード用フィルタ1Aの接合部6及び仮固定部51の接合方法としては、公知のシール法を利用することができる。例えば、超音波シール、熱シール、接着剤が利用できる。
【0022】
本発明の第1実施形態のレンジフード用フィルタの作用効果について説明する。
第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aは、図1に示すように、磁石4を収容する筒状構造の磁石収容部5を複数個備える実質的に横方向に長いフィルタであり、筒状構造の磁石収容部5それぞれは、並列に連続して形成されている。このように、磁石収容部5を複数個備えているため、設置するレンジフードのグリスフィルタの大きさに合うようにレンジフード用フィルタ1Aの幅方向又は長さ方向にカットすることができる。また、カット後の磁石収容部5の幅が短くなったとしても、磁石4の本体41の長さを調整することができるので、レンジフード用フィルタ1Aの中に磁石4を収容することができ、何度も使用して使いまわす磁石4を汚さない。また、レンジフード用フィルタ1Aは、磁石4を収容して一体化できるので、グリスフィルタへの取り付け又は取り外しが一度にでき、簡便である。また、グリスフィルタの大きさに合うようにカットする際、レンジフード用フィルタ1Aは無地の不織布であることから接合部6を視認し易いので好ましく、レンジフード用フィルタ1Aの幅方向の両端部間に亘って存在する接合部6に沿ってカットすれば、真っ直ぐにカットすることができる。
【0023】
次に、本発明の第2実施形態のレンジフード用フィルタについて、図5及び図6(a)に基づいて説明する。
第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bについては、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aと異なる点について説明し、同様の点については、同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点は、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aと同様であり、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aの説明が適宜適用される。
【0024】
第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bは、図5及び図6(a)に示すように、シート材2で形成され、磁石4を収容する複数個の磁石収容部5’を備えてなり、複数個の磁石収容部5’それぞれは、1枚のシート材2と、このシート材2の対向する上下一対の側部それぞれを折り返し形成された一対の折り返し部2a,2aそれぞれとが、所定間隔で接合されて小袋状構造に形成されている。これらの磁石収容部5’は、所望の長さに切断しても小袋状構造が取り付けに適切な位置に来るように、対向する左右一対の側部1a,1a近傍それぞれの上下両端部には、少なくとも設けられている。これらの小袋状構造は、レンジフード用フィルタ1Bの長手方向の両側部に、それぞれ連続的に並設している。
【0025】
レンジフード用フィルタ1Bは、図5に示すように、実質的に横方向に長い長方形状であり、レンジフード用フィルタ1Bは、図5及び図6(a)に示すように、金属からなるグリスフィルタに当接するグリスフィルタ当接面側のシート材2及びこのシート材2の対向する上下一対の側部それぞれを折り返し形成された一対の折り返し部2a,2aで形成されている。レンジフード用フィルタ1Bの上下一対の折り返し部2a,2aの折り返し幅L1それぞれは、図5に示すように、5〜70mmである。シート材2の全長は、600〜3600mmが好ましい。
【0026】
レンジフード用フィルタ1Bの磁石収容部5’を形成する接合部6’は、折り返し部2aの幅方向の両端部間に亘って形成されている。
レンジフード用フィルタ1Bの磁石収容部5’は、図5に示すように、接合部6’と、それに隣接する接合部6’と、シート材2の折り返し部位2bとで囲まれて内側に開いた小袋状構造に形成されている。レンジフード用フィルタ1Bの小袋状構造の磁石収容部5’は、図5に示すように、対向する左右一対の側部1a,1a近傍それぞれの上下両端部には、少なくとも設けられており、レンジフード用フィルタ1Bの長手方向の一側部に設けられ、隣接する磁石収容部5’と連続的に並設して設けられている。同様に、レンジフード用フィルタ1Bの長手方向の他側部にも設けられている。ここで連続的に並設とは、グリスフィルタの大きさに合うようにカットした際、切断されたレンジフード用フィルタ1Bの両側部に磁石収容部5’が備わるように、磁石収容部5’を連続的に並設していればよい。
【0027】
レンジフード用フィルタ1Bに収容する磁石4’はブロック状の磁石であり、磁石のみで形成されていても、美観や強度を持たせるためにプラスチック樹脂製のカバーで接着面以外を被覆されていてもよい。磁石4’の材質は、磁石片42と同じである。
レンジフード用フィルタ1Bの仮固定部51’は、図5に示すように、内側に開いた小袋状構造の磁石収容部5’それぞれの開口部の近傍に、磁石4’の抜け落ち難くするために、形成されている。一対の仮固定部51’それぞれは、図5に示すように、レンジフード用フィルタ1Bの長手方向に平行に、収容する磁石4’の左右両端部の内側まで延びるように形成されている。
尚、第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bの一部の断面図を示す図6(a)の折り返し部2aの端部を、図6(b)に示すように、さらに折り返し、収容する磁石4’を巻き込むように形成しても良い。このように形成することにより、収容した磁石4’が抜け落ち難く、仮固定部51’を設けなくても良い。
【0028】
次に、本発明の第3実施形態のレンジフード用フィルタについて、第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bの平面図を示す図5及び図6(a)に相当する第3実施形態のレンジフード用フィルタの一部の断面図を示す図6(c)に基づいて説明する。
第3実施形態のレンジフード用フィルタは、第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bの折り返し部2aを設けず、別シート片3’を設けることにより小袋状構造の磁石収容部5’を形成する点で第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bと異なっているが、他の点は、第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bと同様である。
【0029】
第3実施形態のレンジフード用フィルタは、図5及び図6(c)に示すように、シート材2とシート材2の対向する上下一対の側部それぞれに沿って配された別シート片3’,3’とが、所定間隔で接合されることにより小袋状構造に形成され、この小袋状構造の磁石収容部5’は連続的に並設している。第3実施形態の磁石収容部5’は、外側に開いた小袋状構造となる。
【0030】
本発明の第2実施形態のレンジフード用フィルタの作用効果について説明する。
第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bは、レンジフード用フィルタ1Aと同様に、設置するレンジフードのグリスフィルタの大きさに合うようにレンジフード用フィルタ1Bの幅方向にカットすることができる。また、レンジフード用フィルタ1Bは、磁石4’を磁石収容部5’に収容することができ、何度も使用して使いまわす磁石4’を汚さず、磁石4’と一体化できるので、取り付け又は取り外しが簡便である。
第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bは、図5及び図6(a)に示すように、複数のブロック状の磁石4’それぞれが、複数の磁石収容部5’に収容されており、複数のブロック状の磁石4’は、それぞれ独立しているので、所定の形状の金属部位に、磁力を介して取り付けることができる。
尚、本発明の第3実施形態のレンジフード用フィルタの作用効果も同様である。
【0031】
次に、本発明の第4実施形態のレンジフード用フィルタについて、図7及び図8に基づいて説明する。
第4実施形態のレンジフード用フィルタ1Cについては、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aと異なる点について説明し、同様の点については、同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点は、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aと同様であり、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aの説明が適宜適用される。
【0032】
第4実施形態のレンジフード用フィルタ1Cは、図7及び図8に示すように、シート材2,3で形成され、磁石4,4’を収容する複数個の磁石収容部5’’を備えてなり、複数個の前記磁石収容部5’’それぞれは、2枚のシート材2,3が所定間隔で接合されることにより、筒状構造に連続して形成されており、対向する上下一対の側部1b,1bそれぞれも接合されており、複数個の磁石収容部5’’それぞれは、上下一対の側部1b,1b側の両端部から内側に離間した位置に、それぞれ磁石挿入開口部7を有している。この磁石収容部5’’は、所望の長さに切断しても筒状構造が取り付けに適切な位置に来るように、対向する左右一対の側部1a,1a近傍それぞれには、少なくとも設けられており、これらの筒状構造は連続的に並設している。
【0033】
レンジフード用フィルタ1Cは、図7に示すように、実質的に横方向に長い長方形状であり、レンジフード用フィルタ1Cは、図7及び図8に示すように、金属からなるグリスフィルタに当接するグリスフィルタ当接面側のシート材2及びグリスフィルタ非当接面側のシート材3で形成されている。レンジフード用フィルタ1Cは、図7及び図8に示すように、接合部6以外に、レンジフード用フィルタ1Cの長手方向の両側縁部に沿って、グリスフィルタ当接面側のシート材2及びグリスフィルタ非当接面側のシート材3を接合する接合部8がそれぞれ設けられている。
【0034】
レンジフード用フィルタ1Cの磁石収容部5’’は、図7及び図8に示すように、接合部6と、それに隣接する接合部6と、一対の接合部8とで四辺が囲まれている。レンジフード用フィルタ1Cの磁石収容部5’’は、上下一対の側部1b,1b側の両端部から内側に離間した位置に、それぞれ磁石挿入開口部7を有している。レンジフード用フィルタ1Cの磁石収容部5’’の磁石挿入開口部7は、図7及び図8に示すように、グリスフィルタ当接面側のシート材2に形成されており、グリスフィルタ当接面側のシート材2の長手方向の両側縁から離間した位置に、長手方向に平行に、接合部6及びそれに隣接する接合部6の間を切断して形成されている。レンジフード用フィルタ1Cの磁石収容部5’’は、図9に示すように、対向する左右一対の側部1a,1a近傍には、少なくとも設けられており、レンジフード用フィルタ1Cに、隣接する磁石収容部5’’と並列に連続して設けられている。ここで並列に連続とは、グリスフィルタの大きさに合うようにカットした際、切断されたレンジフード用フィルタ1Bの両側部に磁石収容部5’が備わるように、磁石収容部5’を連続的に並設していればよい。また、シート材の全長は600〜3600mmが好ましい。
【0035】
レンジフード用フィルタ1Cに収容する磁石は、プラスチック樹脂製の矩形状の本体41と略円状の磁石片42とからなる矩形状の磁石4及びブロック状の磁石4’が使用できる。
【0036】
本発明の第4実施形態のレンジフード用フィルタの作用効果について説明する。
第4実施形態のレンジフード用フィルタ1Cは、レンジフード用フィルタ1Aと同様に、設置するレンジフードのグリスフィルタの大きさに合うようにレンジフード用フィルタ1Cの幅方向にカットすることができる。また、レンジフード用フィルタ1Cは、磁石4又は磁石4’を磁石収容部5’’に収容することができ、使いまわす磁石4又は磁石4’を汚さず、磁石4又は磁石4’と一体化できるので、取り付け又は取り外しが簡便である。
第4実施形態のレンジフード用フィルタ1Cは、図7及び図8に示すように、矩形状の磁石4及びブロック状の磁石4’の両方を収容することができる。また、レンジフード用フィルタ1Cの磁石収容部5’’は、図7及び図8に示すように、四辺が一対の接合部6と、一対の接合部8とで囲まれており、磁石収容部5’’に収容される長方形状の磁石4又はブロック状の磁石4’は、磁石挿入開口部7から挿入されるため、磁石の抜け落ちを防止することができる。また、設置するレンジフードのグリスフィルタの大きさに合うようにレンジフード用フィルタ1Cをカットし、カット後のレンジフード用フィルタ1Cの対向する左右一対の側部近傍の磁石収容部5’’に矩形状の磁石4をそれぞれ収容し、カット後のレンジフード用フィルタ1Cの長手方向の略中央に位置する磁石収容部5’’の両端の小袋状構造にブロック状の磁石4’を収容することにより、レンジフードとの間に隙間ができにくくなる。そのため、レンジフード用フィルタ1Cは、長手方向の両端縁部及び両側縁部において、グリスフィルタとの密着性を高くする事ができる。
【0037】
次に、本発明のフィルタの取り付け方法について、本発明の第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aの取り付け方法の一実施態様に基づき説明する。
【0038】
本発明の取り付け方法は、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aをレンジフードの金属部位に取り付ける好ましい取り付け方法であって、レンジフード用フィルタ1Aを、対向する左右一対の側部近傍に設けられた磁石収容部5,5を残すように、所定の大きさに切断し、対向する左右一対の磁石収容部5,5には磁石4を収容し、所定の金属部位に取り付けるフィルタの取り付け方法である。
【0039】
本実施態様のレンジフード用フィルタ1Aの取り付け方法としては、先ず、レンジフードの金属部位である、例えば、グリスフィルタの大きさに合わせて、対向する左右一対の側部に磁石収容部5,5を残すように、所定の大きさにレンジフード用フィルタ1Aをカットする。次に、カット後のレンジフード用フィルタ1Aの対向する左右一対の側部近傍の磁石収容部5,5には磁石4をそれぞれ収容する。収容する際に、カット後のレンジフード用フィルタ1Aの幅が短くなっていれば、磁石4の本体41の支持部材41aを支持部材41b内に嵌入させ短くして収容する。次に、磁石4をフィルタ内に収容したレンジフード用フィルタ1Aを金属部位であるグリスフィルタ9に取り付ける。尚、レンジフード用フィルタ1Aのグリスフィルタへの取り付けは、図9(a)に示すように、図10(a)に示すレンジフード10からグリスフィルタ9を取り外さずに、グリスフィルタ9の外表面に取り付けることができる。
【0040】
本発明の第2実施形態及び第3実施形態のレンジフード用フィルタ1Bの取り付け方法は、長方形状の磁石4に替えてブロック状の磁石4’を使用すること以外、第1実施態様のレンジフード用フィルタ1Aの取り付け方法と同様である。また、第4実施形態のレンジフード用フィルタ1Cの取り付け方法は、長方形状の磁石4及びブロック状の磁石4’の何れも使用できること以外、第1実施態様のレンジフード用フィルタ1Aの取り付け方法と同様である。
【0041】
本発明のフィルタは、第1〜第4実施形態のレンジフード用フィルタに何ら制限されず、本発明のフィルタの取り付け方法は、上述の一実施態様に制限されず、何れも、例えば、次に説明するように、適宜変更可能である。また、第1〜第4実施形態のレンジフード用フィルタにおける各構成要件は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜組み合わせて実施できる。
【0042】
第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aのシート材3及び第4実施形態のレンジフード用フィルタ1Cのシート材3は、不織布材が使用されているが、通気性のある、例えば、ネット、ガーゼ、布であっても良い。その場合、シート材2とシート材3との接合は、合成樹脂製のネットの場合は超音波シール、熱シール、接着剤等を、金属製や天然繊維製のネット、ガーゼ、布などの場合は接着剤等を用いて接合する。第3実施形態のレンジフード用フィルタの別シート片3’についても同様である。シート材3に通気性の高いシートを用いることで、複数のシート部材を重ねる構造であるレンジフード用フィルタ1A、1Cを、高い通気度とする事ができる。グリスフィルタ9に装着した状態においてもレンジフード10の換気性能を十分に保つことができる。
【0043】
また、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aの接合部6、第2及び第3実施形態のレンジフード用フィルタ1Bの接合部6’及び第4実施形態のレンジフード用フィルタ1Cの接合部6及び接合部8は、連続的に直線状に形成されているが、実質的に連続であれば良い。また、磁石4,4’が保持できる程度であればドット状や破線状であってもよい。
【0044】
また、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1A及び第4実施形態のレンジフード用フィルタ1Cに収容される磁石4は、プラスチック樹脂製の矩形状の本体41と、略円状の磁石片42とから形成されているが、長方形状のラバー磁石を使用しても良い。磁石の長さの調整は、ラバー磁石をカットすることにより可能である。
【0045】
また、上述の第1実施形態のレンジフード用フィルタ1A及び第3実施形態のレンジフード用フィルタ1Cに収容される磁石4の本体41の支持部材41aには、一対の括れ部41cを有しているが、括れ部41cを設けなくとも良い。
【0046】
また、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aの筒状構造の磁石収容部5、第2及び第3実施形態のレンジフード用フィルタ1Bの小袋状構造の磁石収容部5’には、仮固定部51又は仮固定部51’を設けているが、設けなくとも良い。
【0047】
また、第1〜第4実施形態のレンジフード用フィルタ1A,1B及び1Cの取り付け方法の実施態様では、レンジフード10のグリスフィルタ9に取り付けているが、金属部位であれば良く、例えば、レンジフード10のレンジフード本体10aに取り付けても良い。
図10(a)に示すレンジフード10のレンジフード本体10aにレンジフード用フィルタを取り付ける際には、レンジフード用フィルタ1A、1B,及び1Cを縦、横どちらの向きに取り付けてもよい(図10(b)参照)。また、図11に示すように、グリスフィルタ9の左右に位置し、グリスフィルタ9に隣接されたレンジフード10の両壁面10b,10bまで伸ばして装着してもよい。同様に、グリスフィルタ9の上下に位置する隣接されたレンジフード10の両壁面まで伸ばして装着してもよい。
【0048】
レンジフード10のレンジフード本体10aに、第1〜第4実施形態のレンジフード用フィルタ1A,1B及び1Cを取り付ける場合、レンジフード用フィルタ1A、1B,1Cをグリスフィルタ9に密着させるため、装着時にグリスフィルタ9の位置する面の周端縁部外方のレンジフード本体10aに位置する磁石収容部5、5’又は5’’に、磁石4又は及び4’を収容し装着することができる。
例えば、レンジフード用フィルタ1Cは、図10(a)及び図10(b)に示すように、レンジフード用フィルタ1Cの長手方向の両端部における磁石収容部5’’にそれぞれ磁石4と、磁石収容部5’’の上下一対の側部1bに磁石4’をレンジフード用フィルタ1Cの長手方向に沿った両端縁部付近及び中央部付近に収容し、グリスフィルタ9の周端縁部外方のレンジフード本体10aに取り付けて使用する。同様に、レンジフード用フィルタ1Aは、レンジフード用フィルタ1Aの長手方向において、両端縁部及び中央部付近の磁石収容部5にそれぞれ磁石4を収容して使用する。また、同様に、レンジフード用フィルタ1Bは、レンジフード用フィルタ1Bの一対の側部において、レンジフード用フィルタ1Bの長手方向に沿った両端縁部及び中央部付近の磁石収容部5’にそれぞれ磁石4’を収容して使用する。
【0049】
また、図9(a)に示すように、一実施態様のレンジフード用フィルタ1Aは、グリスフィルタ9の外表面に取り付けているが、図10(a)に示すレンジフード10のレンジフード本体10aからグリスフィルタ9を取り外し、図9(b),図9(c)に示すように、レンジフード用フィルタ1Aの左右一対の側部の磁石収容部5に収容された矩形状の磁石4の一方、又は両方をグリスフィルタ9の内表面に取り付け、再度、グリスフィルタ9をレンジフード本体10aに取り付けても良い。他のレンジフード用フィルタ1B,1C,1Dのグリスフィルタへの取り付けも同様である。
【0050】
グリスフィルタ又はレンジフード本体にレンジフード用フィルタ取り付け用の磁石4、4’がつかない場合、予めグリスフィルタ又はレンジフード本体に、レンジフード用フィルタ取り付け用の磁石4、4’がつく部材、例えば、金属板や別の磁石等を接着剤や両面テープ等で取り付けることにより、磁石取り付け部を形成し、その磁石取り付け部に、レンジフード用フィルタと一体化した磁石を取り付ける。
【0051】
本発明のフィルタは、レンジフード用フィルタ以外にも、例えば、エアコン用フィルタ、通気口用フィルタ等のフィルタに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施形態のレンジフード用フィルタの平面図である。
【図2】図1に示すレンジフード用フィルタのY−Y断面図である。
【図3】第1実施形態で用いた磁石4の拡大平面図である。
【図4】図3に示す磁石4と仮固定部位51との関係を示す部分拡大平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態のレンジフード用フィルタの平面図である。
【図6】(a)は、図5に示すレンジフード用フィルタのY1−Y1断面図であり、(b)は、第2実施形態のレンジフード用フィルタの変更部分を示す断面図であり、(c)は、第3実施形態のレンジフード用フィルタの一部を示す断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態のレンジフード用フィルタの平面図である。
【図8】図7に示すレンジフード用フィルタのY−Y断面図である。
【図9】レンジフード10のグリスフィルタ9にレンジフード用フィルタ1Aを取り付けた状態を示す断面図である。
【図10】(a)は、レンジフード本体10aとグリスフィルタ9と取り付けるレンジフード用フィルタ1Cとの関係を示す斜視図であり、(b)は、レンジフード10の下から見たレンジフード本体10aにレンジフード用フィルタ1Cを取り付けた状態を示す平面図である。
【図11】レンジフード用フィルタ1Cをレンジフードの両壁面10bまで延ばして取り付けた斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1A,1B,1C フィルタ(レンジフード用フィルタ)
2 グリスフィルタ当接面側のシート材
2a 折り返し部
2b 折り返し部位
3 グリスフィルタ非当接面側のシート材
3’ 別シート片
4,4’ 磁石
41 本体
41a,41b 支持部材
41c 括れ部
42 略円状の磁石
5,5’,5’’ 磁石収容部
51 仮固定部
6,6’ 接合部
6a 第1液漏れ防止壁、6b 第2液漏れ防止壁
7 磁石挿入開口部
8 接合部
9 グリスフィルタ
10 レンジフード
10a レンジフード本体、10b レンジフードの壁面
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフード用フィルタ、エアコン用フィルタ、通気口用フィルタ等のフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、システムキッチンなどの換気扇には、換気扇のファンが油等で汚れるのを防ぐため、金属製のグリスフィルタが取り外し自在に装着されており、このグリスフィルタの油、塵、埃等の微粒子による汚れを掃除する手間を省くために、グリスフィルタを使い捨ての不織布でカバーしている。
特許文献1には、両端に磁石を装着し伸縮自在で使い回し可能なフィルタ支持部材と、両側辺部に前記フィルタ支持部材を挿入可能な挿入部を形成した使い捨てのフィルタとからなるレンジフード用フィルタ装置が開示されている。
特許文献2には、取り付けるグリスフィルタの大きさに合わせて使い捨てのフィルタをカットし、カットした使い捨てのフィルタを、複数個の磁石片を用いてグリスフィルタに固定するレンジフード用フィルタ装置が開示されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のレンジフード用フィルタ装置は、フィルタ支持部材の全てがフィルタの内部に収容されておらず、フィルタ支持部材の両端がフィルタからはみ出ている。同様に、特許文献2に記載のレンジフード用フィルタ装置の複数個の磁石片それぞれは、フィルタの内部に収容されておらず、露出している。
【0004】
従って、フィルタを交換する際、特許文献1に記載のフィルタ支持部材又は特許文献2に記載の磁石片に付着した油等による汚れを掃除する必要がある。また、特許文献1に記載のレンジフード用フィルタ装置は、挿入部内に磁石が無く、フィルタ支持部材と挿入部との間に隙間があるため、フィルタ装置を密着固定できない。また、特許文献2に記載のレンジフード用フィルタ装置では、複数個の磁石片を一つずつ取り付ける必要があることから、取り付けが面倒である。
【0005】
【特許文献1】実開平5−67311号公報
【特許文献2】特開平4−131113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、使いまわす磁石を汚さない使い捨てのフィルタを提供することにある。また、磁石をフィルタ内に収容して一体化できる使い捨てのフィルタを提供することにある。また、そのフィルタの取り付け方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シート材で形成され、磁石を収容する複数個の磁石収容部を備えてなり、該磁石収容部が筒状構造又は小袋状構造を有し、所望の長さに切断しても筒状構造又は小袋状構造が取り付けに適切な位置に来るように形成されているフィルタを提供することにより前記目的を達成したものである。また、本発明は、そのようなフィルタを、対向する一対の側部近傍に設けられた前記磁石収容部を残すように、所定の大きさに切断し、少なくとも該磁石収容部に磁石を収容し、所定の金属部位に取り付けるフィルタの取り付け方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のフィルタによれば、何度も使用して使いまわす磁石を汚さない使い捨てのフィルタを提供することができる。また、磁石をフィルタ内に収容して一体化できる使い捨てのフィルタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明のフィルタであるレンジフード用フィルタの好ましい第1実施形態について、図1〜図4に基づいて説明する。尚、各図中、同一符号は同一の構成要素を示している。
【0010】
第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aは、図1及び図2に示すように、2枚のシート材2,3で形成され、磁石4を収容する複数個の磁石収容部5を備えてなり、複数個の磁石収容部5それぞれは、2枚のシート材2,3が所定間隔で接合されることにより筒状構造に形成されている。これらの磁石収容部5は、所望の長さに切断しても筒状構造が取り付けに適切な位置に来るように、対向する左右一対の側部1a,1a近傍には、少なくともそれぞれ設けられており、これらの筒状構造は連続的に並設している。
【0011】
レンジフード用フィルタ1Aは、図1に示すように、実質的に横方向に長い長方形状であり、レンジフード用フィルタ1Aは、金属からなるグリスフィルタに当接するグリスフィルタ当接面側のシート材2及びグリスフィルタ非当接面側のシート材3の2枚のシート材で形成されている。グリスフィルタ当接面側のシート材2及びグリスフィルタ非当接面側のシート材3は、図1に示すように、同形・同大のシート材である。
【0012】
レンジフード用フィルタ1Aの磁石収容部5は、図1に示すように、磁石4を収容する部位であり、グリスフィルタ当接面側のシート材2及びグリスフィルタ非当接面側のシート材3をレンジフード用フィルタ1Aの幅方向の両端部間に亘って接合する接合部6と、それと隣接する接合部6とで挟まれて筒状構造に形成されている。図1に示すように、磁石収容部5は、レンジフード用フィルタ1Aの幅方向の両端部間に亘って延びている。
【0013】
レンジフード用フィルタ1Aの複数個の磁石収容部5は、図1に示すように、対向する左右一対の側部1a,1a近傍には、少なくとも設けられており、隣接する磁石収容部5と連続的に並設している。ここで、連続的に並設とは、グリスフィルタの大きさに合うようにカットした際、切断されたレンジフード用フィルタ1Aの両側部に磁石収容部5が備わるように、磁石収容部5を連続的に並設していればよい。
市販のグリスフィルタは横幅が300mmのものが主流であることから、切断して使用する長さとし、複数枚のグリスフィルタに利用できるように、シート材2,3の全長は600〜3600mmが好ましい。また、磁石収容部5を形成する接合部6の幅は、シート材2とシート材3とを接合する強度が保たれる幅であれば良い。また、接合部6と隣接する接合部6との間隔(筒状構造の磁石収容部5の幅)Wは、5〜50mmであることが好ましく、5〜30mmであることがより好ましい。
【0014】
レンジフード用フィルタ1Aに収容される磁石4は、図1に示すように、レンジフード用フィルタ1Aの幅方向の両端部間に亘って延びる矩形状の磁石である。磁石4は、図2に示すように、グリスフィルタ当接面側のシート材2及びグリスフィルタ非当接面側のシート材3の間で挟持されて収容される。レンジフード用フィルタ1Aは、設置するグリスフィルタの大きさに合うようにカットされ、磁石4は、そのカットしたレンジフード用フィルタ1Aの対向する左右一対の側部近傍に位置する磁石収容部5それぞれに収容される。また、磁石4は、カットしたレンジフード用フィルタ1Aの長手方向の略中央に位置する磁石収容部5にも収容しても良い。このように略中央にも磁石4を収容すれば、カット後のレンジフード用フィルタ1Aをグリスフィルタに隙間なく固定することができる。
【0015】
レンジフード用フィルタ1Aに収容される磁石4は、図3に示すように、プラスチック樹脂製の矩形状の本体41と、本体41の長手方向の両端部のグリスフィルタ当接面上に固着された略円状の磁石片42とから形成されている。ここで、磁石の形状は長方形やひし形のものを使用してもよい。矩形状の本体41は、図3に示すように、一方の支持部材41aと他方の支持部材41bとからなり、支持部材41aの外径を支持部材41bの内径と略同一とし、支持部材41aを支持部材41b内に嵌入させ、長さ方向に摺動可能となっている。従って、レンジフード用フィルタ1Aを設置するグリスフィルタの大きさに合うようにカットし、レンジフード用フィルタ1Aの幅が短くなったとしても、矩形状の本体41の長さを調整して、カットしたレンジフード用フィルタ1Aに収容することができる。また、支持部材41aの略円状の磁石片42側の端部及び支持部材41bの略円状の磁石片42側の端部それぞれは、図3に示すように、角を無くし丸く形成している。このように端部を丸くすることにより、磁石収容部5へ磁石4をスムーズに挿入することができる。また、支持部材41aの略円状の磁石片42側の端部において、磁石片42より外側の部位が、幅方向に括れ、一対の括れ部41cを形成している。
【0016】
レンジフード用フィルタ1Aの磁石収容部5それぞれには、図1及び図4に示すように、レンジフード用フィルタ1Aの長手方向の側部の一方であって、レンジフード用フィルタ1Aに収容される磁石4の括れ部41cに合う位置に、磁石4を仮固定する一対の仮固定部51を設けている。一対の仮固定部51それぞれは、グリスフィルタ当接面側のシート材2及びグリスフィルタ非当接面側のシート材3を接合して形成されており、レンジフード用フィルタ1Aの長手方向に平行に、収容する磁石4の括れ部41cの近傍まで延びるように形成されている。一対の仮固定部51の幅は、それぞれ、接合部6の幅と同様である。このような仮固定部51を磁石収容部5に設けることにより、収容する磁石4の抜け落ちを防止することができ、レンジフード用フィルタ1Aと磁石4との密着性を確保でき一体性がより向上する。また、磁石4の端部が磁石収容部5の端部まで延び固定されるので、フィルタ1Aの端部とグリスフィルタの密着性が確保でき、油煙がフィルタ1Aとグリスフィルタの隙間から侵入することによる汚れをより防ぐ事ができる。
【0017】
レンジフード用フィルタ1Aのグリスフィルタ当接面側のシート材2及びグリスフィルタ非当接面側のシート材3は、ケミカルボンド不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、ニードルパンチ不織布等の種々の公知の不織布を用いることができる。レンジフードに取り付けられて用いられる観点から、シート材2及びシート材3は防炎性であることが好ましく、ガラス繊維、炭素繊維などの不燃性繊維、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクラール、難燃ポリエステル、難燃アクリル、難燃レーヨン等の難燃性繊維から構成されるか、不燃物繊維及び/又は難燃性繊維が混綿されていることが好ましい。尚、ここで言う難燃性繊維とはLOI値が26以上の繊維を示す。また、シート材2及びシート材3は不燃性や難燃性繊維から構成されない、または構成されていても防炎性が不十分である場合は、後加工の工程でハロゲン系またはリン系、ポリホウ酸の難燃剤を固着させたり、難燃剤を含んだ樹脂をバインダーとして繊維表面に皮膜形成させたりすることで防炎性が賦与されることが好ましい。
【0018】
シート材2、シート材3には、フィルタとして使用できる繊維であればどのような繊維も利用する事ができ、水流により繊維の配向や交絡を調節し、厚みや強度を変化させることができるスパンレース不織布が特に好ましい。スパンレース不織布はポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクラール、難燃ポリエステル、難燃アクリル、難燃レーヨンなどの難燃性繊維から構成されるか、不燃物繊維及び/又は難燃性繊維が混綿されていることが好ましい。
使用する繊維の繊度は、1.1〜7dtexが好ましい。また、不織布の坪量は、15〜100g/m2が好ましく、厚みは、0.5〜20mmが好ましい。
レンジフード用フィルタ1Aの通気度は、装着後もレンジフードの換気性能の維持が必要なため、35m/KPa・s以上であることが好ましい。
【0019】
尚、レンジフード用フィルタ1Aの磁石収容部5を形成する部分のシート材2,3に、フッ素加工等による撥油加工を施すことにより、収容する磁石4の油汚れを更に防ぐことができる。
【0020】
レンジフード用フィルタ1Aの磁石4に使用される略円状の磁石片42は、フェライト磁石、ネオジム磁石、サマコバ磁石、アルニコ磁石、ラバー磁石等の公知の磁石を用いることができるが、価格及び磁力性能の観点からフェライト磁石が好ましい。
【0021】
レンジフード用フィルタ1Aの接合部6及び仮固定部51の接合方法としては、公知のシール法を利用することができる。例えば、超音波シール、熱シール、接着剤が利用できる。
【0022】
本発明の第1実施形態のレンジフード用フィルタの作用効果について説明する。
第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aは、図1に示すように、磁石4を収容する筒状構造の磁石収容部5を複数個備える実質的に横方向に長いフィルタであり、筒状構造の磁石収容部5それぞれは、並列に連続して形成されている。このように、磁石収容部5を複数個備えているため、設置するレンジフードのグリスフィルタの大きさに合うようにレンジフード用フィルタ1Aの幅方向又は長さ方向にカットすることができる。また、カット後の磁石収容部5の幅が短くなったとしても、磁石4の本体41の長さを調整することができるので、レンジフード用フィルタ1Aの中に磁石4を収容することができ、何度も使用して使いまわす磁石4を汚さない。また、レンジフード用フィルタ1Aは、磁石4を収容して一体化できるので、グリスフィルタへの取り付け又は取り外しが一度にでき、簡便である。また、グリスフィルタの大きさに合うようにカットする際、レンジフード用フィルタ1Aは無地の不織布であることから接合部6を視認し易いので好ましく、レンジフード用フィルタ1Aの幅方向の両端部間に亘って存在する接合部6に沿ってカットすれば、真っ直ぐにカットすることができる。
【0023】
次に、本発明の第2実施形態のレンジフード用フィルタについて、図5及び図6(a)に基づいて説明する。
第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bについては、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aと異なる点について説明し、同様の点については、同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点は、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aと同様であり、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aの説明が適宜適用される。
【0024】
第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bは、図5及び図6(a)に示すように、シート材2で形成され、磁石4を収容する複数個の磁石収容部5’を備えてなり、複数個の磁石収容部5’それぞれは、1枚のシート材2と、このシート材2の対向する上下一対の側部それぞれを折り返し形成された一対の折り返し部2a,2aそれぞれとが、所定間隔で接合されて小袋状構造に形成されている。これらの磁石収容部5’は、所望の長さに切断しても小袋状構造が取り付けに適切な位置に来るように、対向する左右一対の側部1a,1a近傍それぞれの上下両端部には、少なくとも設けられている。これらの小袋状構造は、レンジフード用フィルタ1Bの長手方向の両側部に、それぞれ連続的に並設している。
【0025】
レンジフード用フィルタ1Bは、図5に示すように、実質的に横方向に長い長方形状であり、レンジフード用フィルタ1Bは、図5及び図6(a)に示すように、金属からなるグリスフィルタに当接するグリスフィルタ当接面側のシート材2及びこのシート材2の対向する上下一対の側部それぞれを折り返し形成された一対の折り返し部2a,2aで形成されている。レンジフード用フィルタ1Bの上下一対の折り返し部2a,2aの折り返し幅L1それぞれは、図5に示すように、5〜70mmである。シート材2の全長は、600〜3600mmが好ましい。
【0026】
レンジフード用フィルタ1Bの磁石収容部5’を形成する接合部6’は、折り返し部2aの幅方向の両端部間に亘って形成されている。
レンジフード用フィルタ1Bの磁石収容部5’は、図5に示すように、接合部6’と、それに隣接する接合部6’と、シート材2の折り返し部位2bとで囲まれて内側に開いた小袋状構造に形成されている。レンジフード用フィルタ1Bの小袋状構造の磁石収容部5’は、図5に示すように、対向する左右一対の側部1a,1a近傍それぞれの上下両端部には、少なくとも設けられており、レンジフード用フィルタ1Bの長手方向の一側部に設けられ、隣接する磁石収容部5’と連続的に並設して設けられている。同様に、レンジフード用フィルタ1Bの長手方向の他側部にも設けられている。ここで連続的に並設とは、グリスフィルタの大きさに合うようにカットした際、切断されたレンジフード用フィルタ1Bの両側部に磁石収容部5’が備わるように、磁石収容部5’を連続的に並設していればよい。
【0027】
レンジフード用フィルタ1Bに収容する磁石4’はブロック状の磁石であり、磁石のみで形成されていても、美観や強度を持たせるためにプラスチック樹脂製のカバーで接着面以外を被覆されていてもよい。磁石4’の材質は、磁石片42と同じである。
レンジフード用フィルタ1Bの仮固定部51’は、図5に示すように、内側に開いた小袋状構造の磁石収容部5’それぞれの開口部の近傍に、磁石4’の抜け落ち難くするために、形成されている。一対の仮固定部51’それぞれは、図5に示すように、レンジフード用フィルタ1Bの長手方向に平行に、収容する磁石4’の左右両端部の内側まで延びるように形成されている。
尚、第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bの一部の断面図を示す図6(a)の折り返し部2aの端部を、図6(b)に示すように、さらに折り返し、収容する磁石4’を巻き込むように形成しても良い。このように形成することにより、収容した磁石4’が抜け落ち難く、仮固定部51’を設けなくても良い。
【0028】
次に、本発明の第3実施形態のレンジフード用フィルタについて、第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bの平面図を示す図5及び図6(a)に相当する第3実施形態のレンジフード用フィルタの一部の断面図を示す図6(c)に基づいて説明する。
第3実施形態のレンジフード用フィルタは、第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bの折り返し部2aを設けず、別シート片3’を設けることにより小袋状構造の磁石収容部5’を形成する点で第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bと異なっているが、他の点は、第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bと同様である。
【0029】
第3実施形態のレンジフード用フィルタは、図5及び図6(c)に示すように、シート材2とシート材2の対向する上下一対の側部それぞれに沿って配された別シート片3’,3’とが、所定間隔で接合されることにより小袋状構造に形成され、この小袋状構造の磁石収容部5’は連続的に並設している。第3実施形態の磁石収容部5’は、外側に開いた小袋状構造となる。
【0030】
本発明の第2実施形態のレンジフード用フィルタの作用効果について説明する。
第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bは、レンジフード用フィルタ1Aと同様に、設置するレンジフードのグリスフィルタの大きさに合うようにレンジフード用フィルタ1Bの幅方向にカットすることができる。また、レンジフード用フィルタ1Bは、磁石4’を磁石収容部5’に収容することができ、何度も使用して使いまわす磁石4’を汚さず、磁石4’と一体化できるので、取り付け又は取り外しが簡便である。
第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bは、図5及び図6(a)に示すように、複数のブロック状の磁石4’それぞれが、複数の磁石収容部5’に収容されており、複数のブロック状の磁石4’は、それぞれ独立しているので、所定の形状の金属部位に、磁力を介して取り付けることができる。
尚、本発明の第3実施形態のレンジフード用フィルタの作用効果も同様である。
【0031】
次に、本発明の第4実施形態のレンジフード用フィルタについて、図7及び図8に基づいて説明する。
第4実施形態のレンジフード用フィルタ1Cについては、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aと異なる点について説明し、同様の点については、同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点は、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aと同様であり、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aの説明が適宜適用される。
【0032】
第4実施形態のレンジフード用フィルタ1Cは、図7及び図8に示すように、シート材2,3で形成され、磁石4,4’を収容する複数個の磁石収容部5’’を備えてなり、複数個の前記磁石収容部5’’それぞれは、2枚のシート材2,3が所定間隔で接合されることにより、筒状構造に連続して形成されており、対向する上下一対の側部1b,1bそれぞれも接合されており、複数個の磁石収容部5’’それぞれは、上下一対の側部1b,1b側の両端部から内側に離間した位置に、それぞれ磁石挿入開口部7を有している。この磁石収容部5’’は、所望の長さに切断しても筒状構造が取り付けに適切な位置に来るように、対向する左右一対の側部1a,1a近傍それぞれには、少なくとも設けられており、これらの筒状構造は連続的に並設している。
【0033】
レンジフード用フィルタ1Cは、図7に示すように、実質的に横方向に長い長方形状であり、レンジフード用フィルタ1Cは、図7及び図8に示すように、金属からなるグリスフィルタに当接するグリスフィルタ当接面側のシート材2及びグリスフィルタ非当接面側のシート材3で形成されている。レンジフード用フィルタ1Cは、図7及び図8に示すように、接合部6以外に、レンジフード用フィルタ1Cの長手方向の両側縁部に沿って、グリスフィルタ当接面側のシート材2及びグリスフィルタ非当接面側のシート材3を接合する接合部8がそれぞれ設けられている。
【0034】
レンジフード用フィルタ1Cの磁石収容部5’’は、図7及び図8に示すように、接合部6と、それに隣接する接合部6と、一対の接合部8とで四辺が囲まれている。レンジフード用フィルタ1Cの磁石収容部5’’は、上下一対の側部1b,1b側の両端部から内側に離間した位置に、それぞれ磁石挿入開口部7を有している。レンジフード用フィルタ1Cの磁石収容部5’’の磁石挿入開口部7は、図7及び図8に示すように、グリスフィルタ当接面側のシート材2に形成されており、グリスフィルタ当接面側のシート材2の長手方向の両側縁から離間した位置に、長手方向に平行に、接合部6及びそれに隣接する接合部6の間を切断して形成されている。レンジフード用フィルタ1Cの磁石収容部5’’は、図9に示すように、対向する左右一対の側部1a,1a近傍には、少なくとも設けられており、レンジフード用フィルタ1Cに、隣接する磁石収容部5’’と並列に連続して設けられている。ここで並列に連続とは、グリスフィルタの大きさに合うようにカットした際、切断されたレンジフード用フィルタ1Bの両側部に磁石収容部5’が備わるように、磁石収容部5’を連続的に並設していればよい。また、シート材の全長は600〜3600mmが好ましい。
【0035】
レンジフード用フィルタ1Cに収容する磁石は、プラスチック樹脂製の矩形状の本体41と略円状の磁石片42とからなる矩形状の磁石4及びブロック状の磁石4’が使用できる。
【0036】
本発明の第4実施形態のレンジフード用フィルタの作用効果について説明する。
第4実施形態のレンジフード用フィルタ1Cは、レンジフード用フィルタ1Aと同様に、設置するレンジフードのグリスフィルタの大きさに合うようにレンジフード用フィルタ1Cの幅方向にカットすることができる。また、レンジフード用フィルタ1Cは、磁石4又は磁石4’を磁石収容部5’’に収容することができ、使いまわす磁石4又は磁石4’を汚さず、磁石4又は磁石4’と一体化できるので、取り付け又は取り外しが簡便である。
第4実施形態のレンジフード用フィルタ1Cは、図7及び図8に示すように、矩形状の磁石4及びブロック状の磁石4’の両方を収容することができる。また、レンジフード用フィルタ1Cの磁石収容部5’’は、図7及び図8に示すように、四辺が一対の接合部6と、一対の接合部8とで囲まれており、磁石収容部5’’に収容される長方形状の磁石4又はブロック状の磁石4’は、磁石挿入開口部7から挿入されるため、磁石の抜け落ちを防止することができる。また、設置するレンジフードのグリスフィルタの大きさに合うようにレンジフード用フィルタ1Cをカットし、カット後のレンジフード用フィルタ1Cの対向する左右一対の側部近傍の磁石収容部5’’に矩形状の磁石4をそれぞれ収容し、カット後のレンジフード用フィルタ1Cの長手方向の略中央に位置する磁石収容部5’’の両端の小袋状構造にブロック状の磁石4’を収容することにより、レンジフードとの間に隙間ができにくくなる。そのため、レンジフード用フィルタ1Cは、長手方向の両端縁部及び両側縁部において、グリスフィルタとの密着性を高くする事ができる。
【0037】
次に、本発明のフィルタの取り付け方法について、本発明の第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aの取り付け方法の一実施態様に基づき説明する。
【0038】
本発明の取り付け方法は、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aをレンジフードの金属部位に取り付ける好ましい取り付け方法であって、レンジフード用フィルタ1Aを、対向する左右一対の側部近傍に設けられた磁石収容部5,5を残すように、所定の大きさに切断し、対向する左右一対の磁石収容部5,5には磁石4を収容し、所定の金属部位に取り付けるフィルタの取り付け方法である。
【0039】
本実施態様のレンジフード用フィルタ1Aの取り付け方法としては、先ず、レンジフードの金属部位である、例えば、グリスフィルタの大きさに合わせて、対向する左右一対の側部に磁石収容部5,5を残すように、所定の大きさにレンジフード用フィルタ1Aをカットする。次に、カット後のレンジフード用フィルタ1Aの対向する左右一対の側部近傍の磁石収容部5,5には磁石4をそれぞれ収容する。収容する際に、カット後のレンジフード用フィルタ1Aの幅が短くなっていれば、磁石4の本体41の支持部材41aを支持部材41b内に嵌入させ短くして収容する。次に、磁石4をフィルタ内に収容したレンジフード用フィルタ1Aを金属部位であるグリスフィルタ9に取り付ける。尚、レンジフード用フィルタ1Aのグリスフィルタへの取り付けは、図9(a)に示すように、図10(a)に示すレンジフード10からグリスフィルタ9を取り外さずに、グリスフィルタ9の外表面に取り付けることができる。
【0040】
本発明の第2実施形態及び第3実施形態のレンジフード用フィルタ1Bの取り付け方法は、長方形状の磁石4に替えてブロック状の磁石4’を使用すること以外、第1実施態様のレンジフード用フィルタ1Aの取り付け方法と同様である。また、第4実施形態のレンジフード用フィルタ1Cの取り付け方法は、長方形状の磁石4及びブロック状の磁石4’の何れも使用できること以外、第1実施態様のレンジフード用フィルタ1Aの取り付け方法と同様である。
【0041】
本発明のフィルタは、第1〜第4実施形態のレンジフード用フィルタに何ら制限されず、本発明のフィルタの取り付け方法は、上述の一実施態様に制限されず、何れも、例えば、次に説明するように、適宜変更可能である。また、第1〜第4実施形態のレンジフード用フィルタにおける各構成要件は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜組み合わせて実施できる。
【0042】
第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aのシート材3及び第4実施形態のレンジフード用フィルタ1Cのシート材3は、不織布材が使用されているが、通気性のある、例えば、ネット、ガーゼ、布であっても良い。その場合、シート材2とシート材3との接合は、合成樹脂製のネットの場合は超音波シール、熱シール、接着剤等を、金属製や天然繊維製のネット、ガーゼ、布などの場合は接着剤等を用いて接合する。第3実施形態のレンジフード用フィルタの別シート片3’についても同様である。シート材3に通気性の高いシートを用いることで、複数のシート部材を重ねる構造であるレンジフード用フィルタ1A、1Cを、高い通気度とする事ができる。グリスフィルタ9に装着した状態においてもレンジフード10の換気性能を十分に保つことができる。
【0043】
また、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aの接合部6、第2及び第3実施形態のレンジフード用フィルタ1Bの接合部6’及び第4実施形態のレンジフード用フィルタ1Cの接合部6及び接合部8は、連続的に直線状に形成されているが、実質的に連続であれば良い。また、磁石4,4’が保持できる程度であればドット状や破線状であってもよい。
【0044】
また、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1A及び第4実施形態のレンジフード用フィルタ1Cに収容される磁石4は、プラスチック樹脂製の矩形状の本体41と、略円状の磁石片42とから形成されているが、長方形状のラバー磁石を使用しても良い。磁石の長さの調整は、ラバー磁石をカットすることにより可能である。
【0045】
また、上述の第1実施形態のレンジフード用フィルタ1A及び第3実施形態のレンジフード用フィルタ1Cに収容される磁石4の本体41の支持部材41aには、一対の括れ部41cを有しているが、括れ部41cを設けなくとも良い。
【0046】
また、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aの筒状構造の磁石収容部5、第2及び第3実施形態のレンジフード用フィルタ1Bの小袋状構造の磁石収容部5’には、仮固定部51又は仮固定部51’を設けているが、設けなくとも良い。
【0047】
また、第1〜第4実施形態のレンジフード用フィルタ1A,1B及び1Cの取り付け方法の実施態様では、レンジフード10のグリスフィルタ9に取り付けているが、金属部位であれば良く、例えば、レンジフード10のレンジフード本体10aに取り付けても良い。
図10(a)に示すレンジフード10のレンジフード本体10aにレンジフード用フィルタを取り付ける際には、レンジフード用フィルタ1A、1B,及び1Cを縦、横どちらの向きに取り付けてもよい(図10(b)参照)。また、図11に示すように、グリスフィルタ9の左右に位置し、グリスフィルタ9に隣接されたレンジフード10の両壁面10b,10bまで伸ばして装着してもよい。同様に、グリスフィルタ9の上下に位置する隣接されたレンジフード10の両壁面まで伸ばして装着してもよい。
【0048】
レンジフード10のレンジフード本体10aに、第1〜第4実施形態のレンジフード用フィルタ1A,1B及び1Cを取り付ける場合、レンジフード用フィルタ1A、1B,1Cをグリスフィルタ9に密着させるため、装着時にグリスフィルタ9の位置する面の周端縁部外方のレンジフード本体10aに位置する磁石収容部5、5’又は5’’に、磁石4又は及び4’を収容し装着することができる。
例えば、レンジフード用フィルタ1Cは、図10(a)及び図10(b)に示すように、レンジフード用フィルタ1Cの長手方向の両端部における磁石収容部5’’にそれぞれ磁石4と、磁石収容部5’’の上下一対の側部1bに磁石4’をレンジフード用フィルタ1Cの長手方向に沿った両端縁部付近及び中央部付近に収容し、グリスフィルタ9の周端縁部外方のレンジフード本体10aに取り付けて使用する。同様に、レンジフード用フィルタ1Aは、レンジフード用フィルタ1Aの長手方向において、両端縁部及び中央部付近の磁石収容部5にそれぞれ磁石4を収容して使用する。また、同様に、レンジフード用フィルタ1Bは、レンジフード用フィルタ1Bの一対の側部において、レンジフード用フィルタ1Bの長手方向に沿った両端縁部及び中央部付近の磁石収容部5’にそれぞれ磁石4’を収容して使用する。
【0049】
また、図9(a)に示すように、一実施態様のレンジフード用フィルタ1Aは、グリスフィルタ9の外表面に取り付けているが、図10(a)に示すレンジフード10のレンジフード本体10aからグリスフィルタ9を取り外し、図9(b),図9(c)に示すように、レンジフード用フィルタ1Aの左右一対の側部の磁石収容部5に収容された矩形状の磁石4の一方、又は両方をグリスフィルタ9の内表面に取り付け、再度、グリスフィルタ9をレンジフード本体10aに取り付けても良い。他のレンジフード用フィルタ1B,1C,1Dのグリスフィルタへの取り付けも同様である。
【0050】
グリスフィルタ又はレンジフード本体にレンジフード用フィルタ取り付け用の磁石4、4’がつかない場合、予めグリスフィルタ又はレンジフード本体に、レンジフード用フィルタ取り付け用の磁石4、4’がつく部材、例えば、金属板や別の磁石等を接着剤や両面テープ等で取り付けることにより、磁石取り付け部を形成し、その磁石取り付け部に、レンジフード用フィルタと一体化した磁石を取り付ける。
【0051】
本発明のフィルタは、レンジフード用フィルタ以外にも、例えば、エアコン用フィルタ、通気口用フィルタ等のフィルタに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施形態のレンジフード用フィルタの平面図である。
【図2】図1に示すレンジフード用フィルタのY−Y断面図である。
【図3】第1実施形態で用いた磁石4の拡大平面図である。
【図4】図3に示す磁石4と仮固定部位51との関係を示す部分拡大平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態のレンジフード用フィルタの平面図である。
【図6】(a)は、図5に示すレンジフード用フィルタのY1−Y1断面図であり、(b)は、第2実施形態のレンジフード用フィルタの変更部分を示す断面図であり、(c)は、第3実施形態のレンジフード用フィルタの一部を示す断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態のレンジフード用フィルタの平面図である。
【図8】図7に示すレンジフード用フィルタのY−Y断面図である。
【図9】レンジフード10のグリスフィルタ9にレンジフード用フィルタ1Aを取り付けた状態を示す断面図である。
【図10】(a)は、レンジフード本体10aとグリスフィルタ9と取り付けるレンジフード用フィルタ1Cとの関係を示す斜視図であり、(b)は、レンジフード10の下から見たレンジフード本体10aにレンジフード用フィルタ1Cを取り付けた状態を示す平面図である。
【図11】レンジフード用フィルタ1Cをレンジフードの両壁面10bまで延ばして取り付けた斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1A,1B,1C フィルタ(レンジフード用フィルタ)
2 グリスフィルタ当接面側のシート材
2a 折り返し部
2b 折り返し部位
3 グリスフィルタ非当接面側のシート材
3’ 別シート片
4,4’ 磁石
41 本体
41a,41b 支持部材
41c 括れ部
42 略円状の磁石
5,5’,5’’ 磁石収容部
51 仮固定部
6,6’ 接合部
6a 第1液漏れ防止壁、6b 第2液漏れ防止壁
7 磁石挿入開口部
8 接合部
9 グリスフィルタ
10 レンジフード
10a レンジフード本体、10b レンジフードの壁面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材で形成され、磁石を収容する複数個の磁石収容部を備えてなり、該磁石収容部が筒状構造又は小袋状構造を有し、所望の長さに切断しても筒状構造又は小袋状構造が取り付けに適切な位置に来るように形成されているフィルタ。
【請求項2】
前記磁石収容部は、2枚の前記シート材が所定間隔で接合されることにより筒状構造に形成され、該筒状構造は連続的に並設している請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記磁石収容部は、前記シート材と該シート材の対向する一対の側部それぞれで折り返し形成された折り返し部とが、所定間隔で接合されることにより小袋状構造に形成され、該小袋状構造は連続的に並設している請求項1に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記磁石収容部は、前記シート材と該シート材の対向する一対の側部それぞれに沿って配された別シート片とが、所定間隔で接合されることにより小袋状構造に形成され、該小袋状構造は連続的に並設している請求項1に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記磁石収容部それぞれは、2枚の前記シート材が所定間隔で接合されることにより、連続して形成される筒状構造を備え、該シート材の対向する一対の側部それぞれも接合されており、該磁石収容部それぞれは、それらの両端部から内側に離間した位置に、それぞれ磁石挿入開口部を有している請求項1に記載のフィルタ。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載のフィルタを、該フィルタの対向する一対の側部近傍に設けられた前記磁石収容部を残すように、所定の大きさに切断し、対向する一対の該磁石収容部には磁石を収容し、所定の金属部位に取り付けるフィルタの取り付け方法。
【請求項1】
シート材で形成され、磁石を収容する複数個の磁石収容部を備えてなり、該磁石収容部が筒状構造又は小袋状構造を有し、所望の長さに切断しても筒状構造又は小袋状構造が取り付けに適切な位置に来るように形成されているフィルタ。
【請求項2】
前記磁石収容部は、2枚の前記シート材が所定間隔で接合されることにより筒状構造に形成され、該筒状構造は連続的に並設している請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記磁石収容部は、前記シート材と該シート材の対向する一対の側部それぞれで折り返し形成された折り返し部とが、所定間隔で接合されることにより小袋状構造に形成され、該小袋状構造は連続的に並設している請求項1に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記磁石収容部は、前記シート材と該シート材の対向する一対の側部それぞれに沿って配された別シート片とが、所定間隔で接合されることにより小袋状構造に形成され、該小袋状構造は連続的に並設している請求項1に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記磁石収容部それぞれは、2枚の前記シート材が所定間隔で接合されることにより、連続して形成される筒状構造を備え、該シート材の対向する一対の側部それぞれも接合されており、該磁石収容部それぞれは、それらの両端部から内側に離間した位置に、それぞれ磁石挿入開口部を有している請求項1に記載のフィルタ。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載のフィルタを、該フィルタの対向する一対の側部近傍に設けられた前記磁石収容部を残すように、所定の大きさに切断し、対向する一対の該磁石収容部には磁石を収容し、所定の金属部位に取り付けるフィルタの取り付け方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−154055(P2009−154055A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332563(P2007−332563)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
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