フィルタ脱着具
【目的】レンジフードや換気扇から作業者等が汚れたフィルタに直に触れることなく、フィルタ脱着作業を簡易且つ円滑に行うことのできるフィルタ脱着具を提供することである。
【構成】例えば、レンジフードないし換気扇に取着された使用済みフィルタを取り外すとき、グリップ部1から延設された突刺体4の開放端をフィルタのフィルタ面に向けて突き刺すことにより、フィルタ繊維に4本の突刺体4を絡ませて保持し、レンジフードないし換気扇からのフィルタ脱離作業を円滑に行うことができる。
【構成】例えば、レンジフードないし換気扇に取着された使用済みフィルタを取り外すとき、グリップ部1から延設された突刺体4の開放端をフィルタのフィルタ面に向けて突き刺すことにより、フィルタ繊維に4本の突刺体4を絡ませて保持し、レンジフードないし換気扇からのフィルタ脱離作業を円滑に行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理場、台所、調理器等の付近に設置され、調理時に発生する煙、油煙、調理臭、燃焼ガス、蒸気、油滴等の廃ガスを吸引して排気する排気装置に装着されるフィルタの取付・取外に用いるフィルタ脱着具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の排気装置として、例えば、調理場、調理器、台所等に設置されるレンジフードや換気扇が使用されている。調理用の油脂、魚や肉から油分が飛散すると、レンジフードや換気扇の表面に大量の油分や塵埃が付着し、その除去作業が必要になる。そのため、レンジフードの廃ガス吸引口等には油煙や塵芥等を捕集するためのレンジフードフィルタが装着されている。かかるレンジフードフィルタは、例えば、特許文献1に示すように、廃ガス吸引口に水平に設置されたり、特許文献2に示すように、前傾姿勢で縦置き状に設置されたりしている。
【0003】
フィルタ材としては、排気中の油分や塵埃を効率的に捕集する繊維フィルタが使用されている。この繊維フィルタは売切商品として販売されており、またレンタル商品としても広範囲に実用化されている。
【0004】
従来、主な繊維フィルタは、長繊維や短繊維をバインダ剤で相互に結着した不織布を所定形状に裁断した不織布フィルタからなる。
【0005】
しかしながら、この不織布フィルタは、廃ガスから捕集した油煙や塵埃によって、目詰まりが生じて、通気抵抗が大きくなり、捕集効果が低減してしまうため、新品フィルタへの交換を頻繁に行う必要があった。
【特許文献1】特開2000−304325号公報
【特許文献2】特開2007−271193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フィルタ交換は、レンジフードや換気扇から直接、作業者等が脱着する手作業によって行われている。このため、フィルタ交換の際に、油分や塵埃で汚れたフィルタに触れて手や指が汚れたり、衣服に付着したりして、脱着作業が簡易に行えず手間を要する問題を生じていた。
【0007】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、レンジフードや換気扇から作業者等が汚れたフィルタに直に触れることなく、フィルタ脱着作業を簡易且つ円滑に行うことのできるフィルタ脱着具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の形態は、レンジフード又は換気扇のフィルタ取付部に装着されるフィルタの取付・取外に用いるフィルタ脱着具であって、作業者の手指で把握するグリップ部と、前記グリップ部の長手方向に延設された、3本以上の突刺部とを具備し、前記突刺部の開放端を前記フィルタに突き刺して前記フィルタ取付部から脱着するフィルタ脱着具である。
【0009】
本発明の第2の形態は、前記第1の形態において、前記突刺部は、前記グリップ部に接続される中心部と、前記中心部から放射状に延設された支持腕部と、前記支持腕部の端部に突設された突刺体とからなるフィルタ脱着具である。
【0010】
本発明の第3の形態は、前記第2の形態において、前記支持腕部と前記突刺体は直線状又は曲線状に連結されているフィルタ脱着具である。
【0011】
本発明の第4の形態は、前記第2又は第3の形態において、前記突刺体の先端部分が外向き又は内向きに屈曲したフィルタ脱着具である。
【0012】
本発明の第5の形態は、前記第2、第3又は第4の形態において、前記突刺体は、前記支持腕部の端部に植設された線材からなるフィルタ脱着具である。
【0013】
本発明の第6の形態は、前記第5の形態において、前記線材は、金属、樹脂又はセラミックスのいずれか又は2種以上の複合材からなるフィルタ脱着具である。
【0014】
本発明の第7の形態は、前記第4、第5又は第6の形態において、前記線材はクリンプ形状に加工された線材からなるフィルタ脱着具である。
【0015】
本発明の第8の形態は、前記第2〜第7のいずれかの形態において、前記中心部、前記支持腕部及び前記突刺体が1本の線材を折曲加工又は湾曲加工して構成されたフィルタ脱着具である。
【0016】
本発明の第9の形態は、前記第1〜第8のいずれかの形態において、前記突刺部の突刺方向に移動自在に配置されたフィルタ分離部材を有し、前記フィルタ分離部材を前記突刺部の前記開放端方向に移動させることにより、前記突刺部に突き刺した前記フィルタを離脱させるフィルタ脱着具である。
【0017】
本発明の第10の形態は、前記第2〜第9のいずれかの形態において、前記フィルタ分離部材は、前記中心部に対しスライド自在に収設されるスライド部と、前記スライド部から延設されたフィルタ押出部とからなり、前記スライド部を前記中心部に沿って前記突刺部の突刺方向にスライド移動させることにより、前記フィルタ押出部を前記突刺部に突き刺した前記フィルタに当接させて前記突刺方向と逆の方向に押し出すフィルタ脱着具である。
【0018】
本発明の第11の形態は、前記第10の形態において、前記フィルタ押出部を前記開放端方向と逆向きに付勢する付勢手段を有し、前記付勢手段の付勢力に抗して前記フィルタ押出部を移動させて、前記突刺部に突き刺された前記フィルタを離脱させるフィルタ脱着具である。
【0019】
本発明の第12の形態は、前記第9、第10又は第11の形態において、前記フィルタ押出部は前記突刺体を遊挿する中空体からなるフィルタ脱着具である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1の形態によれば、前記グリップ部を把持して、前記グリップ部の長手方向に延設された、3本以上の突刺部の各開放端を、レンジフード又は換気扇のフィルタ取付部に装着されるフィルタに突き刺すことにより、簡単に保持することができるので、作業者等が汚れたフィルタに直に触れることなく、フィルタ脱着作業を簡易且つ円滑に行うことができる。1本の錐状のものや2本の二股状のものでもフィルタに突き刺すことによりフィルタを保持することもできるが、作業中に容易に抜け落ちる不具合を生ずるため、前記突刺部の本数は、少なくとも3本以上が好ましい。
【0021】
本発明の第2の形態によれば、前記突刺部は、前記グリップ部に接続される中心部と、前記中心部から放射状に延設された支持腕部と、前記支持腕部の端部に突設された突刺体とからなるので、前記錐状のものでピンポイント的に、あるいは前記二股状のもので2箇所をライン状に突き刺すのではなく、前記グリップ部の前方に放射状に拡がった、3本以上の前記突刺体により、前記フィルタの面に対して各突刺体の突刺位置で形成される突刺面領域で確実に保持することができ、作業中にフィルタが簡単に抜け落ちたりせずにフィルタ脱着作業を円滑に行うことができる。
【0022】
本発明の第3の形態によれば、前記支持腕部と前記突刺体は直線状又は曲線状に連結されているので、前記支持腕部と前記突刺体を線材加工や成型加工により簡単に一体形成することが可能となり、安価なフィルタ脱着具を得ることができる。
【0023】
本発明の第4の形態によれば、前記突刺体の先端部分が外向き又は内向きに屈曲しているので、フィルタの繊維に前記先端部分が絡み付いて、より確実にフィルタを保持することができ、フィルタ脱着作業を簡易且つ円滑に行うことができる。
【0024】
本発明の第5の形態によれば、前記突刺体は、前記支持腕部の端部に植設された線材からなるので、開放端が前記グリップ部の前方に向いた突刺体を前記支持腕部の端部に簡単に形成することができ、安価な突刺型フィルタ脱着具を得ることができる。
【0025】
本発明の第6の形態によれば、前記線材は、金属、樹脂又はセラミックスのいずれか又は2種以上の複合材からなるので、例えば、金属線材を折曲加工して、前記支持腕部と一体的に前記突刺体を簡単に形成することができ、安価な突刺型フィルタ脱着具を得ることができる。線材の断面形状は丸型の他、角型、扁平板状のものを使用することができる。
【0026】
一般的なフィルタは、長繊維及び/又は短繊維が絡まって編まれた繊維フィルタである。前記繊維フィルタは絡まった繊維間に空隙が多数を有し、突き刺しやすい材質であるため、前記突刺体自体に余分の強度を与える必要はない。そこで、例えば、樹脂(又はプラスチックス)あるいはセラミックス製線材を前記支持腕部の端部に成形加工ないし溶着加工等により突刺体を簡単に形成することができ、安価な突刺型フィルタ脱着具を得ることができる。樹脂基材には、アクリル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ABS樹脂、ポリスチレン(PS)等の熱可塑性樹脂を使用することができる。なお、単一組成の素材に限らず、ガラス繊維を含有した強化プラスチックスを用いて、耐久性に優れた突刺体を形成してもよい。
【0027】
前記線材には繊維フィルタの構成繊維と絡み易い素材を使用することによりフィルタ保持性を高めることができる。即ち、本発明の第7の形態によれば、クリンプ形状、即ちジグザグ状に加工された線材を用いるので、フィルタ繊維と絡み易い前記突刺体を形成して、フィルタ保持力を向上させることができる。
【0028】
本発明の第8の形態によれば、前記中心部、前記支持腕部及び前記突刺体が1本の線材を折曲加工又は湾曲加工して構成されているので、例えば、鋼、ステンレス、鉄ユニクロメッキ線あるいはビニールコーティング鉄線等の針金線材(直径:約0.35mm〜5mm)を用いて前記中心部、前記支持腕部及び前記突刺体を一体的に折曲加工又は湾曲加工して、安価な突刺型フィルタ脱着具を得ることができる。
【0029】
本発明に係るフィルタ脱着具により突刺して保持されたフィルタは、前記グリップ部を把持して軽く振ったりして、突き刺したフィルタを前記突刺部から離脱させることができる。しかし、この振るい落としの際に、廃棄フィルタから居宅内等に汚れ物質を飛散させてしまうおそれがある。そこで、本発明の第9の形態によれば、前記突刺部の突刺方向に移動自在に配置されたフィルタ分離部材を有し、前記フィルタ分離部材を前記突刺部の前記開放端方向に移動させることにより、前記突刺部に突き刺した前記フィルタを離脱させるので、フィルタ脱着具を振ったり、フィルタを掴んだりせずとも、前記フィルタ分離部材を移動させて、所望の回収場所に向けてフィルタを前記突刺部から簡単に離脱させることができ、居宅内等に汚れ物質を飛散させずに、フィルタ脱着作業を清潔且つ簡易に行うことができる。
【0030】
本発明の第10の形態によれば、前記フィルタ分離部材は、前記中心部に対しスライド自在に収設されるスライド部と、前記スライド部から延設されたフィルタ押出部とからなり、前記スライド部を前記中心部に沿って前記突刺部の突刺方向にスライド移動させることにより、前記フィルタ押出部を前記突刺部に突き刺した前記フィルタに当接させて前記突刺方向と逆の方向に押し出すので、前記中心部に対し前記スライド部をスライドさせるだけで、前記フィルタ押出部により、前記突刺部に突き刺したフィルタを前記グリップ部より前方に押し出して、ワンタッチで離脱させることができ、居宅内等に汚れ物質を飛散させずに、フィルタ脱着作業を清潔且つ簡易に行うことができる。
【0031】
本発明の第11の形態によれば、前記フィルタ押出部を前記開放端方向と逆向きに付勢する付勢手段を有し、前記付勢手段の付勢力に抗して前記フィルタ押出部を移動させて、前記突刺部に突き刺された前記フィルタを離脱させるので、前記フィルタ押出部は、通常時、前記付勢手段の付勢力により前記開放端方向と逆向きに付勢されており、前記突刺部によるフィルタ突刺作業の妨げとならない。従って、フィルタ突刺作業の後、該付勢力に抗して前記フィルタ押出部を移動させ前記突刺部に突き刺したフィルタを押し出して、ワンタッチで離脱させることができるため、フィルタ突刺作業及び離脱作業を手指の操作だけで簡易に行える突刺型フィルタ脱着具を得ることができる。
【0032】
本発明の第12の形態によれば、前記フィルタ押出部は前記突刺体を遊挿する中空体からなるので、前記フィルタ押出部を前記突刺体に重ね合わせて形成でき、前記突刺部及び前記フィルタ押出部の構成をコンパクト化することができ、作業操作が簡単且つ持ち運び・収納に便利なフィルタ脱着具を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の実施形態に係るフィルタ脱着具を図面を参照して以下に説明する。
図1〜図6は夫々、クリンプ形状に加工された針金線材(以下、クリンプワイヤという。)を用いて突刺部を形成した実施形態を示す。
本実施形態における線材のクリンプ形状とはジグザグ形状を意味しており、線材がフィルタ繊維と絡んでフィルタから抜け難い性質を有する。しかし、本発明の線材には、前記クリンプワイヤ以外に、直線状線材や、線材周面が凹凸状に変形加工又は粗面加工されてフィルタ繊維と絡む性質を有する線材、周期的に算盤玉状に線材の断面直径が大小変化してフィルタ繊維と絡む性質を有する線材、あるいは長手方向に沿って捩り変形させてフィルタ繊維と絡む性質を有する線材など、各種形状の線材が利用できることは云うまでもない。前記クリンプワイヤは断面円形の丸型線材を使用しているが、本発明の線材には、断面形状が角型あるいは扁平板状のものを使用することができる。
図1は実施例1のフィルタ脱着具を示す外観斜視図である。実施例1に係るフィルタ脱着具は、作業者の手指で把握するグリップ部1と、グリップ部1の長手方向に放射状に外延された4本の突刺部を有する。各突刺部はクリンプワイヤを2段階に折曲加工して形成され、夫々の終端部分を互いに結束してグリップ部1の芯材(中心部)2を構成している。
【0034】
グリップ部1を把持しやすいように、芯材2の外周に被覆テープが巻着されている。有底円筒状中空体のグリップ柄に芯材2を挿着して芯材外周を被覆し、グリップ部1を形成してもよい。かかるグリップ柄の材質には木材、金属、樹脂を使用することができる。また、熱硬化性樹脂を芯材2外周に溶着させて被覆してもよい。
【0035】
前記クリンプワイヤには、フィルタ繊維に絡ませるために、中心線に対して5°〜20°に、数mm〜約1cmピッチで折曲加工された金属ワイヤを使用することができる。ワイヤ径は約0.35mm〜5mmであり、ワイヤ素材としては、例えば鋼、ステンレス、鉄ユニクロメッキ線あるいはビニールコーティング鉄線を使用することができる。各突刺部は芯材2の終端部分から放射状に延設された支持腕部3と、支持腕部3の端部から更に外向きに拡げて延設された突刺体4からなる。
【0036】
本実施例1では、1本の突刺部を1本のクリンプワイヤを折曲加工して形成しているが、終端で折り返して別の突刺部を形成して、1本のクリンプワイヤで2本の突刺部を形成するようにしてもよい。
【0037】
4本の各突刺部における、支持腕部3と突刺体4の屈曲点の夫々を結ぶと矩形5の放射形状を形成している。突刺体4の開放端の夫々を結ぶと、矩形5面積より、1.5倍〜3倍程度大きい矩形6の放射形状を形成している。突刺体4はフィルタの厚みを貫通する長さを有する。フィルタ繊維と絡み付きやすいクリンプワイヤの使用により、突刺体4の長さはフィルタの厚み程度でも十分なフィルタ保持力を持たせることができる。
【0038】
実施例1に係るフィルタ脱着具は、例えば、レンジフードないし換気扇に取着された使用済みフィルタを取り外すとき、グリップ部1を把持して、その使用済みフィルタのフィルタ面に突刺体4の開放端を向けて突き刺すことにより、フィルタ繊維に突刺体4を絡ませて保持し、レンジフードないし換気扇からのフィルタ脱離作業を行うことができる。また、レンジフードないし換気扇の清掃等において一時的に取り外した使用中のフィルタを再度装着する際にも、同様に、仮置きした使用中のフィルタのフィルタ面に突刺体4の開放端を向けて突き刺すことにより、フィルタ繊維に突刺体4を絡ませて保持し、レンジフードないし換気扇への装着作業を行うことができる。
【0039】
本実施例1によれば、錐状のものでピンポイント的に、あるいは二股状のもので2箇所をライン状に突き刺すのではなく、グリップ部1の前方に放射状に拡がった4本の突刺体4により、フィルタの面に対して各突刺体の突刺位置で形成される突刺面領域(矩形6の枠に対応する4点領域)で確実に保持することができ、作業中にフィルタが簡単に抜け落ちたりせずに、フィルタ脱着作業を円滑に行うことができる。
【0040】
突刺体4によるフィルタ保持力を更に向上させるためには、突刺体4の先端部分7を外向きに屈曲すればよい。
【0041】
図2はクリンプワイヤを用いた実施例2のフィルタ脱着具を示す外観斜視図である。外向きに拡がった先端部分7が繊維間に入り込んで絡み付くので、より確実にフィルタを保持することができ、フィルタ脱着作業を簡易且つ円滑に行うことができる。突刺方向とは異なる方向に入り込ませるように先端部分7を変形すれば、繊維間に絡み付きやすくなるので、外向きに限らず、内向きあるいはそれらを組み合わせて複合的に先端部分を拡げ曲げ加工してもよい。
【0042】
図3はクリンプワイヤを用いた実施例3のフィルタ脱着具を示す外観斜視図である。なお、図3においては、図1及び図2と同様の構成部分につき同じ符号を付している。実施例3に係るフィルタ脱着具は、4本の突刺体の実施例1及び2に対して、3本の突刺体9で構成された突刺部を有する。グリップ部1及び各突刺部は、実施例1及び2と同様にクリンプワイヤを2段階に折曲加工して形成されている。
【0043】
3本の各突刺部はグリップ部1に対して延設された支持腕部8と突刺体9を有する。支持腕部8と突刺体9の屈曲点の夫々を結ぶと2等辺三角形10の放射形状を形成している。突刺体9の開放端の夫々を結ぶと、2等辺三角形10の面積より、1.5倍〜3倍程度大きい2等辺三角形11の放射形状を形成している。
【0044】
実施例3に係るフィルタ脱着具においては、フィルタ取外の際、例えば、2等辺三角形10、11の底辺を下向きにしてグリップ部1を把持し、フィルタ面に突刺体9の開放端を向けて突き刺すことにより、フィルタ繊維に突刺体9を絡ませて3点支持により保持することができる。実施例4の場合には、4本の突刺体の実施例1及び2における4点支持と同程度のフィルタ保持力を、3本の突刺部構成による3点支持によって得ることができるので、材料コストの低減を図ることができる。なお、突刺体9の開放端により形成される突刺面領域は2等辺三角形に限らず正三角形であってもよい。
【0045】
図4はクリンプワイヤを用いた実施例4のフィルタ脱着具を示す外観斜視図である。なお、図4においては、図1〜図3と同様の構成部分につき同じ符号を付している。実施例1〜3においては、ワイヤ折曲加工により突刺体4、9をグリップ部1に対して前方に拡がった支持腕部3、8を介して延設している。一方、本実施例4では、ワイヤ折曲加工により支持腕部12をグリップ部1に対して略直交する向きに配設している。突刺体13は支持腕部12の終端から直角に曲げられて前方に向いている。4つの支持腕部12は一平面上に位置し、夫々の交差角θ1、θ2が異なるように、各突刺部の終端部分を結束している。交差角θ2はθ1の約2倍である。
【0046】
例えば、レンジフードに装着されるフィルタ形状が長方形であり、フィルタ上下で縦長状に係止させられている場合に、フィルタ脱着をする際に上下方向のバランスをとって作業する必要を生ずる。そこで、実施例4に係るフィルタ脱着具によれば、フィルタ取外の際、例えば、交差角θ1を上側にして、つまり、2本の突刺体13が接近した向きが上下になるようにしてグリップ部1を把持し、フィルタ面に突刺体13の開放端を向けて突き刺すことにより、フィルタ繊維に突刺体9を絡ませて4点支持で、且つ、上下に夫々2点支持した状態で堅固に保持することができる。また、本実施例4では、支持腕部12をグリップ部1に対して略直交する向きに配設しているので、突刺体13の開放端からグリップ部1終端までの長さが最小限になり、小型ないしコンパクト構成にすることができる。
【0047】
上記実施例1〜4においては、芯材(中心部)2の根元部分から支持腕部3、8、12を外延し、更に各支持腕部の終端を折り曲げて突刺体4、9、13を形成しているが、本発明に係る突刺部としては、1本の線材を中心部の根元部分から放射状且つ直線状に延ばして突刺体を形成した直線形態のものも含む。
図5は上記直線形態の突刺部からなる実施例5を示す。実施例5のフィルタ脱着具は実施例3と同様に、3本の突刺体9Aで構成された突刺部を有する。グリップ部1及び各突刺部は、実施例1〜4と同様にクリンプワイヤを折曲加工して形成されている。各突刺体9Aはグリップ部1の根元部分1Aから鋭角的に外延され、突刺体9Aの開放端の夫々を結ぶと三角形11Aを形成している。
【0048】
実施例5に係るフィルタ脱着具においては、グリップ部1を把持し、フィルタ面に突刺体9Aの開放端を向けて突き刺すことにより、フィルタ繊維に突刺体9Aを絡ませて3点支持により保持することができる。実施例5によれば、支持腕部及び突刺体を直線状に一体形成して構成されているので、クリンプワイヤを1回屈曲加工するだけで簡単に製造でき、安価な突刺型フィルタ脱着具を得ることができる。
【0049】
また、本発明に係る突刺部としては、1本の線材を中心部の根元部分から放射状且つ円弧状に延ばして突刺体を形成した湾曲形態のものも含む。
図6は上記湾曲形態の突刺部からなる実施例6を示す。実施例6のフィルタ脱着具は実施例1と同様に、4本の突刺体4Aで構成された突刺部を有する。グリップ部1及び各突刺部は、実施例1〜5と同様にクリンプワイヤを折曲加工して形成されている。各突刺部においては、グリップ部1の根元部分1Aから湾曲状に外延され、湾曲状支持腕部3Aが形成されている。支持腕部3Aの終端からは、グリップ部1の長手方向に略平行に突刺体4Aが延設されており、突刺体4Aの開放端の夫々を結ぶと四角形6Aを形成している。
【0050】
実施例6に係るフィルタ脱着具においては、グリップ部1を把持し、フィルタ面に突刺体4Aの開放端を向けて突き刺すことにより、フィルタ繊維に突刺体4Aを絡ませて4点支持により保持することができる。実施例6によれば、支持腕部及び突刺体が湾曲状に一体形成されて構成されているので、クリンプワイヤを根元部分1Aで屈曲且つ湾曲変形加工するだけで簡単に製造でき、安価な突刺型フィルタ脱着具を得ることができる。
【0051】
図7〜図13は、フィルタ脱着具により突き刺して保持したフィルタを簡単に離脱させる離脱手段を脱着具本体と一体的に設けた別の実施形態を示す。
図7は本実施形態に係るフィルタ脱着具の外観斜視図である。図8は図7のフィルタ脱着具の一部切り欠き側面図である。このフィルタ脱着具は、4本の突刺体22を具備した本体部20と、本体部20に一体的且つスライド自在に付設されたフィルタ離脱用可動体21とからなる。
【0052】
図9は本体部20の一部切り欠き側面図である。図10は本体部20の上面図である。本体部20は、前記図4の実施例4と同様に、支持腕部24をグリップ部23に接続した中空軸部30に対して直交する向きに配設している。突刺体22は支持腕部24の終端部25に垂直に植設されている。4つの支持腕部24と中心部29は、中心部29から放射状に互いに十字形に組み合わされた形状を有し、ダイキャスト鋳造金属で形成されている。即ち、グリップ部23に対して、4つの支持腕部24が延設された本体部20は図4の交差角θ1=θ2に対応する。支持腕部24の腕部には長手方向に溝28が刻設され、部分的な薄肉化による軽量化が図られている。突刺体22はクリンプワイヤを短く切断したワイヤ片からなり、一端が終端部25に設けた貫通穴27に挿入され、終端部25の外側部の貫通穴から圧入されたピン26によって、開放端が外向きに向いた垂直状態に固定されている。
【0053】
中心部29の中央穴部には中空軸部30の先端が圧入され、中空軸部30が連結されている。グリップ部23は木製のグリップ柄具からなり、中空軸部30の他方の端部を該グリップ柄具の貫通穴部に圧入して、グリップ部23が取着、形成されている。
【0054】
図11はフィルタ離脱用可動体21の上面図である。図12はフィルタ離脱用可動体21の一部切り欠き側面図である。可動体21は、中心部40から放射状に延設された4つの支持腕33を有する。中心部40の中央穴部にはスライド軸32が圧入、固着されている。4つの支持腕33はダイキャスト鋳造金属により、本体部20の形状に対して、全体として略同一の十字形に形成されている。支持腕33にも長手方向に沿って溝37が刻設され、部分的な薄肉化による軽量化が図られている。各支持腕33の先端部36には、上方に向けて、中空体からなるフィルタ押出体34が突設されている。フィルタ押出体34は突刺体22を遊挿させる中空部35を有する。
【0055】
図8に示すように、スライド軸32は中空軸部30の貫通穴をスライド自在に挿着されている。この挿着状態において、各フィルタ押出体34は中空部35を突刺体22が貫通する状態になるように、可動体21が本体部20に当接して重ね合わされる。中空軸部30の一部には軸方向に沿ったレバースライド開口部31が切り欠き形成されている。図12に示すように、スライド軸32の下端側にはレバー取り付け用ビス部39が螺設されており、スライド軸32を中空軸部30に挿着した状態でビス部39に操作レバー38がビス止めされる。更に、図8に示すように、4つの支持腕部24の中心部29と操作レバー38の間にスプリング41が介挿されており、操作レバー38を押圧して、可動体21をグリップ部23側に引き込む方向に常時、付勢している。レバースライド開口部31は、可動体21と本体部20の当接状態から、各フィルタ押出体34が突刺体22の長さ以上、前方に移動可能な長さに設定されている。
【0056】
図7の実施形態に係るフィルタ脱着具を用いて、レンジフードないし換気扇に取着された使用済みフィルタを取り外すとき、グリップ部23を把持して、フィルタ面に突刺体22の開放端を向けて突き刺すことにより、フィルタ繊維に突刺体22を絡ませて保持し、レンジフードないし換気扇からのフィルタ脱離作業を行うことができる。このとき、図5に示すように、スプリング41の付勢により、操作レバー38が押圧されて、可動体21はグリップ部23側に引き込む方向に保持されており、突刺体22の開放端は十分に露出しており、突き刺し作業に影響しない。
【0057】
図13は、図7の実施形態に係るフィルタ脱着具によるフィルタ離脱作用を説明するための一部切り欠き側面図である。突き刺したフィルタを脱離させる際、グリップ部23を把持しながら、付勢手段であるスプリング41の付勢力に抗して、操作レバー38をレバースライド開口部31に沿って押し込むことにより、フィルタ押出体34を前方に移動させる。操作レバー38の押し込み操作により、各フィルタ押出体34が突刺体22の長さ以上、前方に移動すると、突刺体22に深く入り込んだフィルタFが押し出されて脱離してしまう。
【0058】
従って、フィルタ脱着具を無理に振ったり、フィルタを掴んだりせずとも、操作レバー38を手指で操作するだけで、所望の回収場所に向けて汚染されたフィルタFを簡単に離脱させることができ、居宅内等に汚れ物質を飛散させずに、フィルタ脱着作業を清潔且つ簡易に行うことができる。しかも、フィルタ押出体34は、通常時、スプリング41の付勢力により突刺体22の開放端方向と逆向きに付勢されており、突刺体22によるフィルタ突刺作業の妨げとならず、フィルタ突刺作業及び離脱作業を手指の操作だけで簡易に行うことができる。更に、フィルタ押出体34は突刺体22を遊挿する中空体からなり、可動体21と本体部20をスプリング41の付勢力により密着させておくことができるため、全体の構成をコンパクト化することができ、作業操作が簡単且つ持ち運び・収納に便利なフィルタ脱着具を得ることができる。可動体21及び/又は本体部20を樹脂ないしプラスチック製で形成して軽量化してもよい。
【0059】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、レンジフードや換気扇において使用されて、汚れのひどいフィルタに直に触れずに、フィルタ脱着作業が簡易且つ円滑に行えるフィルタ脱着具を提供することできる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態における実施例1のフィルタ脱着具の外観斜視図である。
【図2】前記実施形態における実施例2のフィルタ脱着具の外観斜視図である。
【図3】前記実施形態における実施例3のフィルタ脱着具の外観斜視図である。
【図4】前記実施形態における実施例4のフィルタ脱着具の外観斜視図である。
【図5】前記実施形態における実施例5のフィルタ脱着具の外観斜視図である。
【図6】前記実施形態における実施例6のフィルタ脱着具の外観斜視図である。
【図7】本発明の別の実施形態に係るフィルタ脱着具の外観斜視図である。
【図8】図7のフィルタ脱着具の一部切り欠き側面図である。
【図9】図7のフィルタ脱着具を構成する本体部20の一部切り欠き側面図である。
【図10】前記本体部20の上面図である。
【図11】図7のフィルタ脱着具に設けたフィルタ離脱用可動体21の上面図である。
【図12】前記可動体21の一部切り欠き側面図である。
【図13】図7のフィルタ脱着具の脱着作用を説明するための一部切り欠き側面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 グリップ部
1A 根元部分
2 芯材
3 支持腕部
3A 支持腕部
4 突刺体
4A 突刺体
5 矩形
6 矩形
6A 四角形
7 先端部分
8 支持腕部
9 突刺体
9A 突刺体
10 2等辺三角形
11 2等辺三角形
11A 三角形
12 支持腕部
13 突刺体
20 本体部
21 可動体
22 突刺体
23 グリップ部
24 支持腕部
25 終端部
26 ピン
27 貫通穴
28 溝
29 中心部
30 中空軸部
31 レバースライド開口部
32 スライド軸
33 支持腕
34 フィルタ押出体
35 中空部
36 先端部
37 溝
38 操作レバー
39 ビス部
40 中心部
41 スプリング
θ1 交差角
θ2 交差角
F フィルタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理場、台所、調理器等の付近に設置され、調理時に発生する煙、油煙、調理臭、燃焼ガス、蒸気、油滴等の廃ガスを吸引して排気する排気装置に装着されるフィルタの取付・取外に用いるフィルタ脱着具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の排気装置として、例えば、調理場、調理器、台所等に設置されるレンジフードや換気扇が使用されている。調理用の油脂、魚や肉から油分が飛散すると、レンジフードや換気扇の表面に大量の油分や塵埃が付着し、その除去作業が必要になる。そのため、レンジフードの廃ガス吸引口等には油煙や塵芥等を捕集するためのレンジフードフィルタが装着されている。かかるレンジフードフィルタは、例えば、特許文献1に示すように、廃ガス吸引口に水平に設置されたり、特許文献2に示すように、前傾姿勢で縦置き状に設置されたりしている。
【0003】
フィルタ材としては、排気中の油分や塵埃を効率的に捕集する繊維フィルタが使用されている。この繊維フィルタは売切商品として販売されており、またレンタル商品としても広範囲に実用化されている。
【0004】
従来、主な繊維フィルタは、長繊維や短繊維をバインダ剤で相互に結着した不織布を所定形状に裁断した不織布フィルタからなる。
【0005】
しかしながら、この不織布フィルタは、廃ガスから捕集した油煙や塵埃によって、目詰まりが生じて、通気抵抗が大きくなり、捕集効果が低減してしまうため、新品フィルタへの交換を頻繁に行う必要があった。
【特許文献1】特開2000−304325号公報
【特許文献2】特開2007−271193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フィルタ交換は、レンジフードや換気扇から直接、作業者等が脱着する手作業によって行われている。このため、フィルタ交換の際に、油分や塵埃で汚れたフィルタに触れて手や指が汚れたり、衣服に付着したりして、脱着作業が簡易に行えず手間を要する問題を生じていた。
【0007】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、レンジフードや換気扇から作業者等が汚れたフィルタに直に触れることなく、フィルタ脱着作業を簡易且つ円滑に行うことのできるフィルタ脱着具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の形態は、レンジフード又は換気扇のフィルタ取付部に装着されるフィルタの取付・取外に用いるフィルタ脱着具であって、作業者の手指で把握するグリップ部と、前記グリップ部の長手方向に延設された、3本以上の突刺部とを具備し、前記突刺部の開放端を前記フィルタに突き刺して前記フィルタ取付部から脱着するフィルタ脱着具である。
【0009】
本発明の第2の形態は、前記第1の形態において、前記突刺部は、前記グリップ部に接続される中心部と、前記中心部から放射状に延設された支持腕部と、前記支持腕部の端部に突設された突刺体とからなるフィルタ脱着具である。
【0010】
本発明の第3の形態は、前記第2の形態において、前記支持腕部と前記突刺体は直線状又は曲線状に連結されているフィルタ脱着具である。
【0011】
本発明の第4の形態は、前記第2又は第3の形態において、前記突刺体の先端部分が外向き又は内向きに屈曲したフィルタ脱着具である。
【0012】
本発明の第5の形態は、前記第2、第3又は第4の形態において、前記突刺体は、前記支持腕部の端部に植設された線材からなるフィルタ脱着具である。
【0013】
本発明の第6の形態は、前記第5の形態において、前記線材は、金属、樹脂又はセラミックスのいずれか又は2種以上の複合材からなるフィルタ脱着具である。
【0014】
本発明の第7の形態は、前記第4、第5又は第6の形態において、前記線材はクリンプ形状に加工された線材からなるフィルタ脱着具である。
【0015】
本発明の第8の形態は、前記第2〜第7のいずれかの形態において、前記中心部、前記支持腕部及び前記突刺体が1本の線材を折曲加工又は湾曲加工して構成されたフィルタ脱着具である。
【0016】
本発明の第9の形態は、前記第1〜第8のいずれかの形態において、前記突刺部の突刺方向に移動自在に配置されたフィルタ分離部材を有し、前記フィルタ分離部材を前記突刺部の前記開放端方向に移動させることにより、前記突刺部に突き刺した前記フィルタを離脱させるフィルタ脱着具である。
【0017】
本発明の第10の形態は、前記第2〜第9のいずれかの形態において、前記フィルタ分離部材は、前記中心部に対しスライド自在に収設されるスライド部と、前記スライド部から延設されたフィルタ押出部とからなり、前記スライド部を前記中心部に沿って前記突刺部の突刺方向にスライド移動させることにより、前記フィルタ押出部を前記突刺部に突き刺した前記フィルタに当接させて前記突刺方向と逆の方向に押し出すフィルタ脱着具である。
【0018】
本発明の第11の形態は、前記第10の形態において、前記フィルタ押出部を前記開放端方向と逆向きに付勢する付勢手段を有し、前記付勢手段の付勢力に抗して前記フィルタ押出部を移動させて、前記突刺部に突き刺された前記フィルタを離脱させるフィルタ脱着具である。
【0019】
本発明の第12の形態は、前記第9、第10又は第11の形態において、前記フィルタ押出部は前記突刺体を遊挿する中空体からなるフィルタ脱着具である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1の形態によれば、前記グリップ部を把持して、前記グリップ部の長手方向に延設された、3本以上の突刺部の各開放端を、レンジフード又は換気扇のフィルタ取付部に装着されるフィルタに突き刺すことにより、簡単に保持することができるので、作業者等が汚れたフィルタに直に触れることなく、フィルタ脱着作業を簡易且つ円滑に行うことができる。1本の錐状のものや2本の二股状のものでもフィルタに突き刺すことによりフィルタを保持することもできるが、作業中に容易に抜け落ちる不具合を生ずるため、前記突刺部の本数は、少なくとも3本以上が好ましい。
【0021】
本発明の第2の形態によれば、前記突刺部は、前記グリップ部に接続される中心部と、前記中心部から放射状に延設された支持腕部と、前記支持腕部の端部に突設された突刺体とからなるので、前記錐状のものでピンポイント的に、あるいは前記二股状のもので2箇所をライン状に突き刺すのではなく、前記グリップ部の前方に放射状に拡がった、3本以上の前記突刺体により、前記フィルタの面に対して各突刺体の突刺位置で形成される突刺面領域で確実に保持することができ、作業中にフィルタが簡単に抜け落ちたりせずにフィルタ脱着作業を円滑に行うことができる。
【0022】
本発明の第3の形態によれば、前記支持腕部と前記突刺体は直線状又は曲線状に連結されているので、前記支持腕部と前記突刺体を線材加工や成型加工により簡単に一体形成することが可能となり、安価なフィルタ脱着具を得ることができる。
【0023】
本発明の第4の形態によれば、前記突刺体の先端部分が外向き又は内向きに屈曲しているので、フィルタの繊維に前記先端部分が絡み付いて、より確実にフィルタを保持することができ、フィルタ脱着作業を簡易且つ円滑に行うことができる。
【0024】
本発明の第5の形態によれば、前記突刺体は、前記支持腕部の端部に植設された線材からなるので、開放端が前記グリップ部の前方に向いた突刺体を前記支持腕部の端部に簡単に形成することができ、安価な突刺型フィルタ脱着具を得ることができる。
【0025】
本発明の第6の形態によれば、前記線材は、金属、樹脂又はセラミックスのいずれか又は2種以上の複合材からなるので、例えば、金属線材を折曲加工して、前記支持腕部と一体的に前記突刺体を簡単に形成することができ、安価な突刺型フィルタ脱着具を得ることができる。線材の断面形状は丸型の他、角型、扁平板状のものを使用することができる。
【0026】
一般的なフィルタは、長繊維及び/又は短繊維が絡まって編まれた繊維フィルタである。前記繊維フィルタは絡まった繊維間に空隙が多数を有し、突き刺しやすい材質であるため、前記突刺体自体に余分の強度を与える必要はない。そこで、例えば、樹脂(又はプラスチックス)あるいはセラミックス製線材を前記支持腕部の端部に成形加工ないし溶着加工等により突刺体を簡単に形成することができ、安価な突刺型フィルタ脱着具を得ることができる。樹脂基材には、アクリル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ABS樹脂、ポリスチレン(PS)等の熱可塑性樹脂を使用することができる。なお、単一組成の素材に限らず、ガラス繊維を含有した強化プラスチックスを用いて、耐久性に優れた突刺体を形成してもよい。
【0027】
前記線材には繊維フィルタの構成繊維と絡み易い素材を使用することによりフィルタ保持性を高めることができる。即ち、本発明の第7の形態によれば、クリンプ形状、即ちジグザグ状に加工された線材を用いるので、フィルタ繊維と絡み易い前記突刺体を形成して、フィルタ保持力を向上させることができる。
【0028】
本発明の第8の形態によれば、前記中心部、前記支持腕部及び前記突刺体が1本の線材を折曲加工又は湾曲加工して構成されているので、例えば、鋼、ステンレス、鉄ユニクロメッキ線あるいはビニールコーティング鉄線等の針金線材(直径:約0.35mm〜5mm)を用いて前記中心部、前記支持腕部及び前記突刺体を一体的に折曲加工又は湾曲加工して、安価な突刺型フィルタ脱着具を得ることができる。
【0029】
本発明に係るフィルタ脱着具により突刺して保持されたフィルタは、前記グリップ部を把持して軽く振ったりして、突き刺したフィルタを前記突刺部から離脱させることができる。しかし、この振るい落としの際に、廃棄フィルタから居宅内等に汚れ物質を飛散させてしまうおそれがある。そこで、本発明の第9の形態によれば、前記突刺部の突刺方向に移動自在に配置されたフィルタ分離部材を有し、前記フィルタ分離部材を前記突刺部の前記開放端方向に移動させることにより、前記突刺部に突き刺した前記フィルタを離脱させるので、フィルタ脱着具を振ったり、フィルタを掴んだりせずとも、前記フィルタ分離部材を移動させて、所望の回収場所に向けてフィルタを前記突刺部から簡単に離脱させることができ、居宅内等に汚れ物質を飛散させずに、フィルタ脱着作業を清潔且つ簡易に行うことができる。
【0030】
本発明の第10の形態によれば、前記フィルタ分離部材は、前記中心部に対しスライド自在に収設されるスライド部と、前記スライド部から延設されたフィルタ押出部とからなり、前記スライド部を前記中心部に沿って前記突刺部の突刺方向にスライド移動させることにより、前記フィルタ押出部を前記突刺部に突き刺した前記フィルタに当接させて前記突刺方向と逆の方向に押し出すので、前記中心部に対し前記スライド部をスライドさせるだけで、前記フィルタ押出部により、前記突刺部に突き刺したフィルタを前記グリップ部より前方に押し出して、ワンタッチで離脱させることができ、居宅内等に汚れ物質を飛散させずに、フィルタ脱着作業を清潔且つ簡易に行うことができる。
【0031】
本発明の第11の形態によれば、前記フィルタ押出部を前記開放端方向と逆向きに付勢する付勢手段を有し、前記付勢手段の付勢力に抗して前記フィルタ押出部を移動させて、前記突刺部に突き刺された前記フィルタを離脱させるので、前記フィルタ押出部は、通常時、前記付勢手段の付勢力により前記開放端方向と逆向きに付勢されており、前記突刺部によるフィルタ突刺作業の妨げとならない。従って、フィルタ突刺作業の後、該付勢力に抗して前記フィルタ押出部を移動させ前記突刺部に突き刺したフィルタを押し出して、ワンタッチで離脱させることができるため、フィルタ突刺作業及び離脱作業を手指の操作だけで簡易に行える突刺型フィルタ脱着具を得ることができる。
【0032】
本発明の第12の形態によれば、前記フィルタ押出部は前記突刺体を遊挿する中空体からなるので、前記フィルタ押出部を前記突刺体に重ね合わせて形成でき、前記突刺部及び前記フィルタ押出部の構成をコンパクト化することができ、作業操作が簡単且つ持ち運び・収納に便利なフィルタ脱着具を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の実施形態に係るフィルタ脱着具を図面を参照して以下に説明する。
図1〜図6は夫々、クリンプ形状に加工された針金線材(以下、クリンプワイヤという。)を用いて突刺部を形成した実施形態を示す。
本実施形態における線材のクリンプ形状とはジグザグ形状を意味しており、線材がフィルタ繊維と絡んでフィルタから抜け難い性質を有する。しかし、本発明の線材には、前記クリンプワイヤ以外に、直線状線材や、線材周面が凹凸状に変形加工又は粗面加工されてフィルタ繊維と絡む性質を有する線材、周期的に算盤玉状に線材の断面直径が大小変化してフィルタ繊維と絡む性質を有する線材、あるいは長手方向に沿って捩り変形させてフィルタ繊維と絡む性質を有する線材など、各種形状の線材が利用できることは云うまでもない。前記クリンプワイヤは断面円形の丸型線材を使用しているが、本発明の線材には、断面形状が角型あるいは扁平板状のものを使用することができる。
図1は実施例1のフィルタ脱着具を示す外観斜視図である。実施例1に係るフィルタ脱着具は、作業者の手指で把握するグリップ部1と、グリップ部1の長手方向に放射状に外延された4本の突刺部を有する。各突刺部はクリンプワイヤを2段階に折曲加工して形成され、夫々の終端部分を互いに結束してグリップ部1の芯材(中心部)2を構成している。
【0034】
グリップ部1を把持しやすいように、芯材2の外周に被覆テープが巻着されている。有底円筒状中空体のグリップ柄に芯材2を挿着して芯材外周を被覆し、グリップ部1を形成してもよい。かかるグリップ柄の材質には木材、金属、樹脂を使用することができる。また、熱硬化性樹脂を芯材2外周に溶着させて被覆してもよい。
【0035】
前記クリンプワイヤには、フィルタ繊維に絡ませるために、中心線に対して5°〜20°に、数mm〜約1cmピッチで折曲加工された金属ワイヤを使用することができる。ワイヤ径は約0.35mm〜5mmであり、ワイヤ素材としては、例えば鋼、ステンレス、鉄ユニクロメッキ線あるいはビニールコーティング鉄線を使用することができる。各突刺部は芯材2の終端部分から放射状に延設された支持腕部3と、支持腕部3の端部から更に外向きに拡げて延設された突刺体4からなる。
【0036】
本実施例1では、1本の突刺部を1本のクリンプワイヤを折曲加工して形成しているが、終端で折り返して別の突刺部を形成して、1本のクリンプワイヤで2本の突刺部を形成するようにしてもよい。
【0037】
4本の各突刺部における、支持腕部3と突刺体4の屈曲点の夫々を結ぶと矩形5の放射形状を形成している。突刺体4の開放端の夫々を結ぶと、矩形5面積より、1.5倍〜3倍程度大きい矩形6の放射形状を形成している。突刺体4はフィルタの厚みを貫通する長さを有する。フィルタ繊維と絡み付きやすいクリンプワイヤの使用により、突刺体4の長さはフィルタの厚み程度でも十分なフィルタ保持力を持たせることができる。
【0038】
実施例1に係るフィルタ脱着具は、例えば、レンジフードないし換気扇に取着された使用済みフィルタを取り外すとき、グリップ部1を把持して、その使用済みフィルタのフィルタ面に突刺体4の開放端を向けて突き刺すことにより、フィルタ繊維に突刺体4を絡ませて保持し、レンジフードないし換気扇からのフィルタ脱離作業を行うことができる。また、レンジフードないし換気扇の清掃等において一時的に取り外した使用中のフィルタを再度装着する際にも、同様に、仮置きした使用中のフィルタのフィルタ面に突刺体4の開放端を向けて突き刺すことにより、フィルタ繊維に突刺体4を絡ませて保持し、レンジフードないし換気扇への装着作業を行うことができる。
【0039】
本実施例1によれば、錐状のものでピンポイント的に、あるいは二股状のもので2箇所をライン状に突き刺すのではなく、グリップ部1の前方に放射状に拡がった4本の突刺体4により、フィルタの面に対して各突刺体の突刺位置で形成される突刺面領域(矩形6の枠に対応する4点領域)で確実に保持することができ、作業中にフィルタが簡単に抜け落ちたりせずに、フィルタ脱着作業を円滑に行うことができる。
【0040】
突刺体4によるフィルタ保持力を更に向上させるためには、突刺体4の先端部分7を外向きに屈曲すればよい。
【0041】
図2はクリンプワイヤを用いた実施例2のフィルタ脱着具を示す外観斜視図である。外向きに拡がった先端部分7が繊維間に入り込んで絡み付くので、より確実にフィルタを保持することができ、フィルタ脱着作業を簡易且つ円滑に行うことができる。突刺方向とは異なる方向に入り込ませるように先端部分7を変形すれば、繊維間に絡み付きやすくなるので、外向きに限らず、内向きあるいはそれらを組み合わせて複合的に先端部分を拡げ曲げ加工してもよい。
【0042】
図3はクリンプワイヤを用いた実施例3のフィルタ脱着具を示す外観斜視図である。なお、図3においては、図1及び図2と同様の構成部分につき同じ符号を付している。実施例3に係るフィルタ脱着具は、4本の突刺体の実施例1及び2に対して、3本の突刺体9で構成された突刺部を有する。グリップ部1及び各突刺部は、実施例1及び2と同様にクリンプワイヤを2段階に折曲加工して形成されている。
【0043】
3本の各突刺部はグリップ部1に対して延設された支持腕部8と突刺体9を有する。支持腕部8と突刺体9の屈曲点の夫々を結ぶと2等辺三角形10の放射形状を形成している。突刺体9の開放端の夫々を結ぶと、2等辺三角形10の面積より、1.5倍〜3倍程度大きい2等辺三角形11の放射形状を形成している。
【0044】
実施例3に係るフィルタ脱着具においては、フィルタ取外の際、例えば、2等辺三角形10、11の底辺を下向きにしてグリップ部1を把持し、フィルタ面に突刺体9の開放端を向けて突き刺すことにより、フィルタ繊維に突刺体9を絡ませて3点支持により保持することができる。実施例4の場合には、4本の突刺体の実施例1及び2における4点支持と同程度のフィルタ保持力を、3本の突刺部構成による3点支持によって得ることができるので、材料コストの低減を図ることができる。なお、突刺体9の開放端により形成される突刺面領域は2等辺三角形に限らず正三角形であってもよい。
【0045】
図4はクリンプワイヤを用いた実施例4のフィルタ脱着具を示す外観斜視図である。なお、図4においては、図1〜図3と同様の構成部分につき同じ符号を付している。実施例1〜3においては、ワイヤ折曲加工により突刺体4、9をグリップ部1に対して前方に拡がった支持腕部3、8を介して延設している。一方、本実施例4では、ワイヤ折曲加工により支持腕部12をグリップ部1に対して略直交する向きに配設している。突刺体13は支持腕部12の終端から直角に曲げられて前方に向いている。4つの支持腕部12は一平面上に位置し、夫々の交差角θ1、θ2が異なるように、各突刺部の終端部分を結束している。交差角θ2はθ1の約2倍である。
【0046】
例えば、レンジフードに装着されるフィルタ形状が長方形であり、フィルタ上下で縦長状に係止させられている場合に、フィルタ脱着をする際に上下方向のバランスをとって作業する必要を生ずる。そこで、実施例4に係るフィルタ脱着具によれば、フィルタ取外の際、例えば、交差角θ1を上側にして、つまり、2本の突刺体13が接近した向きが上下になるようにしてグリップ部1を把持し、フィルタ面に突刺体13の開放端を向けて突き刺すことにより、フィルタ繊維に突刺体9を絡ませて4点支持で、且つ、上下に夫々2点支持した状態で堅固に保持することができる。また、本実施例4では、支持腕部12をグリップ部1に対して略直交する向きに配設しているので、突刺体13の開放端からグリップ部1終端までの長さが最小限になり、小型ないしコンパクト構成にすることができる。
【0047】
上記実施例1〜4においては、芯材(中心部)2の根元部分から支持腕部3、8、12を外延し、更に各支持腕部の終端を折り曲げて突刺体4、9、13を形成しているが、本発明に係る突刺部としては、1本の線材を中心部の根元部分から放射状且つ直線状に延ばして突刺体を形成した直線形態のものも含む。
図5は上記直線形態の突刺部からなる実施例5を示す。実施例5のフィルタ脱着具は実施例3と同様に、3本の突刺体9Aで構成された突刺部を有する。グリップ部1及び各突刺部は、実施例1〜4と同様にクリンプワイヤを折曲加工して形成されている。各突刺体9Aはグリップ部1の根元部分1Aから鋭角的に外延され、突刺体9Aの開放端の夫々を結ぶと三角形11Aを形成している。
【0048】
実施例5に係るフィルタ脱着具においては、グリップ部1を把持し、フィルタ面に突刺体9Aの開放端を向けて突き刺すことにより、フィルタ繊維に突刺体9Aを絡ませて3点支持により保持することができる。実施例5によれば、支持腕部及び突刺体を直線状に一体形成して構成されているので、クリンプワイヤを1回屈曲加工するだけで簡単に製造でき、安価な突刺型フィルタ脱着具を得ることができる。
【0049】
また、本発明に係る突刺部としては、1本の線材を中心部の根元部分から放射状且つ円弧状に延ばして突刺体を形成した湾曲形態のものも含む。
図6は上記湾曲形態の突刺部からなる実施例6を示す。実施例6のフィルタ脱着具は実施例1と同様に、4本の突刺体4Aで構成された突刺部を有する。グリップ部1及び各突刺部は、実施例1〜5と同様にクリンプワイヤを折曲加工して形成されている。各突刺部においては、グリップ部1の根元部分1Aから湾曲状に外延され、湾曲状支持腕部3Aが形成されている。支持腕部3Aの終端からは、グリップ部1の長手方向に略平行に突刺体4Aが延設されており、突刺体4Aの開放端の夫々を結ぶと四角形6Aを形成している。
【0050】
実施例6に係るフィルタ脱着具においては、グリップ部1を把持し、フィルタ面に突刺体4Aの開放端を向けて突き刺すことにより、フィルタ繊維に突刺体4Aを絡ませて4点支持により保持することができる。実施例6によれば、支持腕部及び突刺体が湾曲状に一体形成されて構成されているので、クリンプワイヤを根元部分1Aで屈曲且つ湾曲変形加工するだけで簡単に製造でき、安価な突刺型フィルタ脱着具を得ることができる。
【0051】
図7〜図13は、フィルタ脱着具により突き刺して保持したフィルタを簡単に離脱させる離脱手段を脱着具本体と一体的に設けた別の実施形態を示す。
図7は本実施形態に係るフィルタ脱着具の外観斜視図である。図8は図7のフィルタ脱着具の一部切り欠き側面図である。このフィルタ脱着具は、4本の突刺体22を具備した本体部20と、本体部20に一体的且つスライド自在に付設されたフィルタ離脱用可動体21とからなる。
【0052】
図9は本体部20の一部切り欠き側面図である。図10は本体部20の上面図である。本体部20は、前記図4の実施例4と同様に、支持腕部24をグリップ部23に接続した中空軸部30に対して直交する向きに配設している。突刺体22は支持腕部24の終端部25に垂直に植設されている。4つの支持腕部24と中心部29は、中心部29から放射状に互いに十字形に組み合わされた形状を有し、ダイキャスト鋳造金属で形成されている。即ち、グリップ部23に対して、4つの支持腕部24が延設された本体部20は図4の交差角θ1=θ2に対応する。支持腕部24の腕部には長手方向に溝28が刻設され、部分的な薄肉化による軽量化が図られている。突刺体22はクリンプワイヤを短く切断したワイヤ片からなり、一端が終端部25に設けた貫通穴27に挿入され、終端部25の外側部の貫通穴から圧入されたピン26によって、開放端が外向きに向いた垂直状態に固定されている。
【0053】
中心部29の中央穴部には中空軸部30の先端が圧入され、中空軸部30が連結されている。グリップ部23は木製のグリップ柄具からなり、中空軸部30の他方の端部を該グリップ柄具の貫通穴部に圧入して、グリップ部23が取着、形成されている。
【0054】
図11はフィルタ離脱用可動体21の上面図である。図12はフィルタ離脱用可動体21の一部切り欠き側面図である。可動体21は、中心部40から放射状に延設された4つの支持腕33を有する。中心部40の中央穴部にはスライド軸32が圧入、固着されている。4つの支持腕33はダイキャスト鋳造金属により、本体部20の形状に対して、全体として略同一の十字形に形成されている。支持腕33にも長手方向に沿って溝37が刻設され、部分的な薄肉化による軽量化が図られている。各支持腕33の先端部36には、上方に向けて、中空体からなるフィルタ押出体34が突設されている。フィルタ押出体34は突刺体22を遊挿させる中空部35を有する。
【0055】
図8に示すように、スライド軸32は中空軸部30の貫通穴をスライド自在に挿着されている。この挿着状態において、各フィルタ押出体34は中空部35を突刺体22が貫通する状態になるように、可動体21が本体部20に当接して重ね合わされる。中空軸部30の一部には軸方向に沿ったレバースライド開口部31が切り欠き形成されている。図12に示すように、スライド軸32の下端側にはレバー取り付け用ビス部39が螺設されており、スライド軸32を中空軸部30に挿着した状態でビス部39に操作レバー38がビス止めされる。更に、図8に示すように、4つの支持腕部24の中心部29と操作レバー38の間にスプリング41が介挿されており、操作レバー38を押圧して、可動体21をグリップ部23側に引き込む方向に常時、付勢している。レバースライド開口部31は、可動体21と本体部20の当接状態から、各フィルタ押出体34が突刺体22の長さ以上、前方に移動可能な長さに設定されている。
【0056】
図7の実施形態に係るフィルタ脱着具を用いて、レンジフードないし換気扇に取着された使用済みフィルタを取り外すとき、グリップ部23を把持して、フィルタ面に突刺体22の開放端を向けて突き刺すことにより、フィルタ繊維に突刺体22を絡ませて保持し、レンジフードないし換気扇からのフィルタ脱離作業を行うことができる。このとき、図5に示すように、スプリング41の付勢により、操作レバー38が押圧されて、可動体21はグリップ部23側に引き込む方向に保持されており、突刺体22の開放端は十分に露出しており、突き刺し作業に影響しない。
【0057】
図13は、図7の実施形態に係るフィルタ脱着具によるフィルタ離脱作用を説明するための一部切り欠き側面図である。突き刺したフィルタを脱離させる際、グリップ部23を把持しながら、付勢手段であるスプリング41の付勢力に抗して、操作レバー38をレバースライド開口部31に沿って押し込むことにより、フィルタ押出体34を前方に移動させる。操作レバー38の押し込み操作により、各フィルタ押出体34が突刺体22の長さ以上、前方に移動すると、突刺体22に深く入り込んだフィルタFが押し出されて脱離してしまう。
【0058】
従って、フィルタ脱着具を無理に振ったり、フィルタを掴んだりせずとも、操作レバー38を手指で操作するだけで、所望の回収場所に向けて汚染されたフィルタFを簡単に離脱させることができ、居宅内等に汚れ物質を飛散させずに、フィルタ脱着作業を清潔且つ簡易に行うことができる。しかも、フィルタ押出体34は、通常時、スプリング41の付勢力により突刺体22の開放端方向と逆向きに付勢されており、突刺体22によるフィルタ突刺作業の妨げとならず、フィルタ突刺作業及び離脱作業を手指の操作だけで簡易に行うことができる。更に、フィルタ押出体34は突刺体22を遊挿する中空体からなり、可動体21と本体部20をスプリング41の付勢力により密着させておくことができるため、全体の構成をコンパクト化することができ、作業操作が簡単且つ持ち運び・収納に便利なフィルタ脱着具を得ることができる。可動体21及び/又は本体部20を樹脂ないしプラスチック製で形成して軽量化してもよい。
【0059】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、レンジフードや換気扇において使用されて、汚れのひどいフィルタに直に触れずに、フィルタ脱着作業が簡易且つ円滑に行えるフィルタ脱着具を提供することできる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態における実施例1のフィルタ脱着具の外観斜視図である。
【図2】前記実施形態における実施例2のフィルタ脱着具の外観斜視図である。
【図3】前記実施形態における実施例3のフィルタ脱着具の外観斜視図である。
【図4】前記実施形態における実施例4のフィルタ脱着具の外観斜視図である。
【図5】前記実施形態における実施例5のフィルタ脱着具の外観斜視図である。
【図6】前記実施形態における実施例6のフィルタ脱着具の外観斜視図である。
【図7】本発明の別の実施形態に係るフィルタ脱着具の外観斜視図である。
【図8】図7のフィルタ脱着具の一部切り欠き側面図である。
【図9】図7のフィルタ脱着具を構成する本体部20の一部切り欠き側面図である。
【図10】前記本体部20の上面図である。
【図11】図7のフィルタ脱着具に設けたフィルタ離脱用可動体21の上面図である。
【図12】前記可動体21の一部切り欠き側面図である。
【図13】図7のフィルタ脱着具の脱着作用を説明するための一部切り欠き側面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 グリップ部
1A 根元部分
2 芯材
3 支持腕部
3A 支持腕部
4 突刺体
4A 突刺体
5 矩形
6 矩形
6A 四角形
7 先端部分
8 支持腕部
9 突刺体
9A 突刺体
10 2等辺三角形
11 2等辺三角形
11A 三角形
12 支持腕部
13 突刺体
20 本体部
21 可動体
22 突刺体
23 グリップ部
24 支持腕部
25 終端部
26 ピン
27 貫通穴
28 溝
29 中心部
30 中空軸部
31 レバースライド開口部
32 スライド軸
33 支持腕
34 フィルタ押出体
35 中空部
36 先端部
37 溝
38 操作レバー
39 ビス部
40 中心部
41 スプリング
θ1 交差角
θ2 交差角
F フィルタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンジフード又は換気扇のフィルタ取付部に装着されるフィルタの取付・取外に用いるフィルタ脱着具であって、作業者の手指で把握するグリップ部と、前記グリップ部の長手方向に延設された、3本以上の突刺部とを具備し、前記突刺部の開放端を前記フィルタに突き刺して前記フィルタ取付部から脱着することを特徴とするフィルタ脱着具。
【請求項2】
前記突刺部は、前記グリップ部に接続される中心部と、前記中心部から放射状に延設された支持腕部と、前記支持腕部の端部に突設された突刺体とからなる請求項1に記載のフィルタ脱着具。
【請求項3】
前記支持腕部と前記突刺体は直線状又は曲線状に連結されている請求項2に記載のフィルタ脱着具。
【請求項4】
前記突刺体の先端部分が外向き又は内向きに屈曲した請求項2又は3に記載のフィルタ脱着具。
【請求項5】
前記突刺体は、前記支持腕部の端部に植設された線材からなる請求項2、3又は4に記載のフィルタ脱着具。
【請求項6】
前記線材は、金属、樹脂又はセラミックスのいずれか又は2種以上の複合材からなる請求項5に記載のフィルタ脱着具。
【請求項7】
前記線材はクリンプ形状の線材からなる請求項4、5又は6に記載のフィルタ脱着具。
【請求項8】
前記中心部、前記支持腕部及び前記突刺体が1本の線材を折曲加工又は湾曲加工して構成された請求項2〜7のいずれかに記載のフィルタ脱着具。
【請求項9】
前記突刺部の突刺方向に移動自在に配置されたフィルタ分離部材を有し、前記フィルタ分離部材を前記突刺部の前記開放端方向に移動させることにより、前記突刺部に突き刺した前記フィルタを離脱させる請求項1〜8のいずれかに記載のフィルタ脱着具。
【請求項10】
前記フィルタ分離部材は、前記中心部に対しスライド自在に収設されるスライド部と、前記スライド部から延設されたフィルタ押出部とからなり、前記スライド部を前記中心部に沿って前記突刺部の突刺方向にスライド移動させることにより、前記フィルタ押出部を前記突刺部に突き刺した前記フィルタに当接させて前記突刺方向と逆の方向に押し出す請求項2〜9のいずれかに記載のフィルタ脱着具。
【請求項11】
前記フィルタ押出部を前記開放端方向と逆向きに付勢する付勢手段を有し、前記付勢手段の付勢力に抗して前記フィルタ押出部を移動させて、前記突刺部に突き刺された前記フィルタを離脱させる請求項10に記載のフィルタ脱着具。
【請求項12】
前記フィルタ押出部は前記突刺体を遊挿する中空体からなる請求項9、10又は11に記載のフィルタ脱着具。
【請求項1】
レンジフード又は換気扇のフィルタ取付部に装着されるフィルタの取付・取外に用いるフィルタ脱着具であって、作業者の手指で把握するグリップ部と、前記グリップ部の長手方向に延設された、3本以上の突刺部とを具備し、前記突刺部の開放端を前記フィルタに突き刺して前記フィルタ取付部から脱着することを特徴とするフィルタ脱着具。
【請求項2】
前記突刺部は、前記グリップ部に接続される中心部と、前記中心部から放射状に延設された支持腕部と、前記支持腕部の端部に突設された突刺体とからなる請求項1に記載のフィルタ脱着具。
【請求項3】
前記支持腕部と前記突刺体は直線状又は曲線状に連結されている請求項2に記載のフィルタ脱着具。
【請求項4】
前記突刺体の先端部分が外向き又は内向きに屈曲した請求項2又は3に記載のフィルタ脱着具。
【請求項5】
前記突刺体は、前記支持腕部の端部に植設された線材からなる請求項2、3又は4に記載のフィルタ脱着具。
【請求項6】
前記線材は、金属、樹脂又はセラミックスのいずれか又は2種以上の複合材からなる請求項5に記載のフィルタ脱着具。
【請求項7】
前記線材はクリンプ形状の線材からなる請求項4、5又は6に記載のフィルタ脱着具。
【請求項8】
前記中心部、前記支持腕部及び前記突刺体が1本の線材を折曲加工又は湾曲加工して構成された請求項2〜7のいずれかに記載のフィルタ脱着具。
【請求項9】
前記突刺部の突刺方向に移動自在に配置されたフィルタ分離部材を有し、前記フィルタ分離部材を前記突刺部の前記開放端方向に移動させることにより、前記突刺部に突き刺した前記フィルタを離脱させる請求項1〜8のいずれかに記載のフィルタ脱着具。
【請求項10】
前記フィルタ分離部材は、前記中心部に対しスライド自在に収設されるスライド部と、前記スライド部から延設されたフィルタ押出部とからなり、前記スライド部を前記中心部に沿って前記突刺部の突刺方向にスライド移動させることにより、前記フィルタ押出部を前記突刺部に突き刺した前記フィルタに当接させて前記突刺方向と逆の方向に押し出す請求項2〜9のいずれかに記載のフィルタ脱着具。
【請求項11】
前記フィルタ押出部を前記開放端方向と逆向きに付勢する付勢手段を有し、前記付勢手段の付勢力に抗して前記フィルタ押出部を移動させて、前記突刺部に突き刺された前記フィルタを離脱させる請求項10に記載のフィルタ脱着具。
【請求項12】
前記フィルタ押出部は前記突刺体を遊挿する中空体からなる請求項9、10又は11に記載のフィルタ脱着具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−107119(P2010−107119A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279856(P2008−279856)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000133445)株式会社ダスキン (119)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000133445)株式会社ダスキン (119)
【Fターム(参考)】
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