説明

フィルタ装置及びそれを用いた放電灯点灯装置並びに照明器具

【課題】高周波ノイズを低減することのできるフィルタ装置及びそれを用いた放電灯点灯装置並びに照明器具を提供する。
【解決手段】商用電源ACの出力端と点灯回路9の入力端との間に接続されて点灯回路9から伝播するノイズを減衰させるフィルタ装置Fであって、商用電源ACと点灯回路9とを接続する一対の電源ライン40、41に挿入されてノイズを低減させる4つのラインフィルタ1と、商用電源ACの出力端に接続されて2個のコンデンサ2a、2bを直列に接続して成る第一のコンデンサ直列回路2とを備え、該第一のコンデンサ直列回路2における各コンデンサ2a、2b間の接続点とアースライン5とをコンデンサ2cを介して接続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源と電気機器との間の電源ラインを伝播するノイズを低減するフィルタ装置及びそれを用いた放電灯点灯装置並びに照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商用電源と電気機器との間の電源ラインを伝播するノイズを低減するフィルタ装置が提供されている(例えば特許文献1参照)。この種のフィルタ装置を備えた放電灯点灯装置の例を以下に示す。この放電灯点灯装置は、図8に示すように、商用電源ACからの交流電圧を整流する整流回路DBと、整流回路DBからの出力を昇圧して直流電圧に変換する昇圧回路CHPと、昇圧回路CHPからの出力を高周波の交流電圧に変換するインバータ回路INVとから成る。
整流回路DBはダイオードブリッジから成り、ダイオードブリッジの低圧側はコンデンサC4を介してアース電位GNDに接続されている。昇圧回路CHPは、整流回路DBの出力端にインダクタンスL1及びMOSFETから成るスイッチング素子Q1の直列回路を接続し、該スイッチング素子Q1と並列にダイオードD1及び平滑コンデンサC1の直列回路を接続して成る昇圧チョッパー回路で、スイッチング素子Q1を制御回路100から送信される制御信号によって高周波でスイッチングすることで整流回路DBからの脈流電圧を昇圧して平滑コンデンサC1の出力端から直流電圧を出力する。インバータ回路INVは、平滑コンデンサC1の出力端にMOSFETから成る2個のスイッチング素子Q2,Q3の直列回路を接続して成り、一方のスイッチング素子Q3の両端にはインダクタンスL2及びコンデンサC2の直列回路を介して放電灯LPが接続される。尚、放電灯LPのフィラメントの非電源側の両端には共振用コンデンサC3が接続されている。これらスイッチング素子Q2、Q3をインバータ駆動回路101から送信される駆動信号によって高周波で交互にスイッチングすることで放電灯LPに高周波の交流電圧を印加して点灯させる。尚、上記の各回路は周知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0003】
ここで、商用電源ACの出力端と整流回路DBの入力端との間には、高周波ノイズを低減するためにコンデンサC5及びコモンモードフィルタLFから成るフィルタ装置102が設けられている。このフィルタ装置102は、図9に示すように、インバータ回路INVで発生した電源ライン間を流れるノーマルモードノイズをコンデンサC5を介してインバータ回路INVに帰還させることで、商用電源AC側に流れ込むノーマルモードノイズを低減している(同図の実線を参照)。また、コモンモードフィルタLFは、図示しないが円環状のフェライトコアに一対の電源ラインを各々逆向きに巻いて構成され、該コモンモードフィルタLFによって電源ライン及び回路のグラウンド間を流れるコモンモードノイズを低減している(同図の点線を参照)。
【特許文献1】特開平6−236822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年医療機関や航空機、半導体製造工場等のノイズによる誤動作に対して影響の大きい分野に関しては、これまで以上に低ノイズ化が望まれるようになっている。このため、従来の照明器具は電気用品安全法によるノイズ規格に準拠していれば問題が無かったが、これらの分野に用いられる照明器具に関しては、例えば電気用品安全法よりも更に厳しい規格である国際無線障害特別委員会(CISPR)のCISPR15(電気照明機器及び類似機器の妨害波特性の許容値及び測定法)等の規格に対応する必要がある。
【0005】
しかしながら、上記従来例においてノイズ電圧を測定すると、例えば図10に示すように、150.0kHz〜400.0kHzの高周波数の帯域においてCISPR15の規格を満足しておらず(同図において、イ、ロはそれぞれCISPR15の準尖頭値の規格値及び平均値の規格値を、ハ、ニはそれぞれ高圧側の電源ラインにおける検波値及び低圧側の電源ラインにおける検波値を示す)、高周波ノイズに対するノイズ低減効果が不十分であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、高周波ノイズを低減することのできるフィルタ装置及びそれを用いた放電灯点灯装置並びに照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、商用電源の出力端と電気機器の入力端との間に接続されて電気機器から商用電源又は商用電源から電気機器に伝播するノイズを減衰させるフィルタ装置であって、商用電源と電気機器とを接続する電源ラインに挿入されてノイズを低減させるラインフィルタと、商用電源の出力端に接続されて少なくとも2個以上のコンデンサを直列に接続して成る第一のコンデンサ直列回路とを備え、該第一のコンデンサ直列回路における各コンデンサ間の接続点を接地したことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、ラインフィルタの出力端に接続されて少なくとも2個以上のコンデンサを直列に接続して成る第二のコンデンサ直列回路を備え、該第二のコンデンサ直列回路における各コンデンサ間の接続点を接地したことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、電気機器と商用電源側の接地点との間に挿入されるインピーダンス素子を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の発明において、第一のコンデンサ直列回路における各コンデンサ間の接続点をインダクタンス素子を介して接地したことを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の発明において、電源ラインに挿入される一乃至複数のインダクタンス素子を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、商用電源からの交流電圧を高周波の交流電圧に変換するインバータ回路と、請求項1乃至5の何れか1項に記載のフィルタ装置とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、器具本体と、器具本体に取り付けられて放電灯が着脱自在に装着されるソケットと、ソケットを介して放電灯に電力を供給する請求項6記載の放電灯点灯装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、電気機器から商用電源へと流れ込む高周波のコモンモードノイズを、第一のコンデンサ直列回路を介して電源ラインに帰還させるので、商用電源に流れ込む高周波のコモンモードノイズを低減することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、電気機器から商用電源へと流れ込む低周波のコモンモードノイズを、第二のコンデンサ直列回路を介して電源ラインに帰還させるので、商用電源に流れ込む低周波のコモンモードノイズを低減することができる。また、第二のコンデンサ直列回路によって低周波のコモンモードノイズを低減するために、ラインフィルタのインダクタンスを小さくすることができ、したがって装置の小型化及びコスト削減を図ることができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、電気機器から商用電源へと流れ込むコモンモードノイズを低減することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、第一のコンデンサ直列回路を介して流れるノイズ電流をインダクタンスで減衰させることができ、したがって電気機器から商用電源へと流れ込む高周波のコモンモードノイズを低減することができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、電源ラインを流れるノイズ電流をインダクタンスで減衰させることができ、したがって電気機器から商用電源に流れ込むノイズを低減することができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、請求項1乃至5の何れかの効果を奏するフィルタ装置を備えた放電灯点灯装置を実現することができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、請求項1乃至5の何れかの効果を奏するフィルタ装置を備えた照明器具を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態は、図1(a)に示すように、電気機器であって商用電源ACからの交流電圧を高周波の交流電圧に変換して放電灯LPに供給する点灯回路9と、商用電源ACの出力端と点灯回路9の入力端との間に接続されて点灯回路9から伝播するノイズを減衰させるフィルタ装置Fとから成る放電灯点灯装置である。尚、点灯回路9は、従来例の整流回路DB、昇圧回路CHP、インバータ回路INVから成り、その構成は後述する他の実施形態においても同様である。したがって、以下ではフィルタ装置Fのみについて説明する。
フィルタ装置Fは、商用電源ACと点灯回路9とを接続する一対の電源ライン40、41に挿入されてノイズを低減させる複数(図示では4つ)のラインフィルタ1と、商用電源ACの出力端に接続されて2個のコンデンサ2a、2bを直列に接続して成る第一のコンデンサ直列回路2とを備え、該第一のコンデンサ直列回路2における各コンデンサ2a、2b間の接続点とアースライン5とをコンデンサ2cを介して接続している。尚、アースライン5は、2個のコンデンサ6a、6bを直列に接続して成るアースコンデンサ回路6を介して点灯回路9と接続され、商用電源AC側の接地点と接続されている。
ラインフィルタ1は、例えばコモンモードノイズを低減する従来例のコモンモードフィルタLFやノーマルモードノイズを低減するインダクタンス素子(図示せず)を組み合わせて成り、所望の特性に応じてインダクタンスを設定する。また、本実施形態では複数個のラインフィルタ1を直列に接続しているが、その構造や使用温度が許容できるものであれば単一のラインフィルタ1で構成されてもよい。
第一のコンデンサ直列回路2は、電源ライン40、41とアースライン5とをコンデンサ2a、2b、2cを介して接続することによって、点灯回路9からアースコンデンサ回路6を介して伝播する高周波のコモンモードノイズを、電源ライン40、41を介して点灯回路9に帰還させる。尚、第一のコンデンサ直列回路2の構成は上述のものに限定される必要はなく、各電源ライン40、41とアースライン5との間の容量の総計が同じであれば他の構成を用いても構わない。また、高周波のコモンモードノイズは、通常点灯回路9とアースライン5との間や配線とアースライン5との間等のあらゆる場所で発生する浮遊容量を介してアースライン5へと流れ込むので、第一のコンデンサ直列回路2は商用電源ACにできるだけ近い場所へ設けるのが好ましい。
上述のように、ノーマルモードノイズ及びコモンモードノイズをラインフィルタ1で低減すると共に、高周波のコモンモードノイズを第一のコンデンサ直列回路2を介して点灯回路9に帰還させることで、商用電源ACに流れ込む高周波のコモンモードノイズを低減することができる。ここで、本実施形態のフィルタ装置Fを用いて従来例と同様にノイズ電圧の測定を行うと、図1(b)に示すように(同図において、イ、ロはそれぞれCISPR15の準尖頭値の規格値及び平均値の規格値を、ハ、ニはそれぞれ高圧側の電源ラインにおける検波値及び低圧側の電源ラインにおける検波値を示し、以下の実施形態で示すグラフにおいても同様である)、150.0kHz〜400.0kHzの高周波数の帯域において従来例では満足していなかったCISPR15の規格値を満足する結果となっている。
(実施形態2)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態は、図2に示すように、実施形態1のフィルタ装置Fにおける4個のラインフィルタ1を単一のラインフィルタ1に統一し、2個のコンデンサ3a、3bを直列に接続して成る第二のコンデンサ直列回路3をラインフィルタ1の出力端に接続し、該第二のコンデンサ直列回路3における各コンデンサ3a、3b間の接続点とアースライン5とをコンデンサ2cを介して接続している。
【0022】
第二のコンデンサ直列回路3は、電源ライン40、41とアースライン5とをコンデンサ3a、3b、3cを介して接続することによって、点灯回路9からアースコンデンサ回路6を介して伝播する低周波のコモンモードノイズを、電源ライン40、41を介して点灯回路9に帰還させる。尚、第二のコンデンサ直列回路3の構成は上述のものに限定される必要はなく、各電源ライン40、41とアースライン5との間の容量の総計が同じであれば他の構成を用いても構わない。
【0023】
上述のように構成することで、実施形態1と同様に商用電源ACに流れ込む高周波のコモンモードノイズを第一のコンデンサ直列回路2で低減すると共に、低周波のコモンモードノイズを第二のコンデンサ直列回路3を介して点灯回路9に帰還させることで、商用電源ACに流れ込む低周波のコモンモードノイズも低減することができる。また、これらコンデンサ直列回路2、3で低周波及び高周波のコモンモードノイズを積極的に低減しているので、ラインフィルタ1のインダクタンスを抑えることができ、したがってフィルタ装置Fの小型化及びコスト削減を図ることができる。
(実施形態3)
以下、本発明の第3の実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態は、図3(a)に示すように、実施形態2のフィルタ装置Fにおけるアースコンデンサ回路6と直列にインピーダンス素子7を接続している。
【0024】
インピーダンス素子7は、アースコンデンサ回路6を介してアースライン5に流れ込むコモンモードノイズを低減するもので、抵抗素子又はインダクタンス素子から成る。抵抗素子を用いた場合、周波数帯域全体に亘ってノイズを低減する効果がある。一方、インダクタンス素子を用いた場合は、インピーダンスが周波数帯域によって大きく異なるため、所定の周波数帯域に対してノイズの低減を図るのに最適である。
【0025】
上述のように構成することで、商用電源ACに流れ込むコモンモードノイズを低減することができる。ここで、本実施形態において第一のコンデンサ直列回路2及び第二のコンデンサ直列回路3を除いてインピーダンス素子7のみを接続したフィルタ装置Fを用いて従来例と同様にノイズ電圧の測定を行うと、図3(b)に示すように、150.0kHz〜400.0kHzの高周波数の帯域において従来例では満足していなかったCISPR15の規格値を満足する結果となっている。したがって、第一のコンデンサ直列回路2及び第二のコンデンサ直列回路3も含む本実施形態のフィルタ装置Fを用いれば、上記と同等若しくはそれ以上のノイズ低減効果が期待できる。
(実施形態4)
以下、本発明の第4の実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態は、図4(a)に示すように、実施形態2のフィルタ装置Fの第一のコンデンサ直列回路2において、インダクタンス素子8をコンデンサ2a、2b、2cとそれぞれ直列に接続している。
【0026】
インダクタンス素子8は、例えばフェライトビーズから成り、アースライン5から電源ライン5へと帰還するノイズ電流を該インダクタンス素子8において減衰させる。
【0027】
上述のように構成することで、第一のコンデンサ直列回路2を介して電源ライン40、41に流れ込む高周波のコモンモードノイズを減衰させることができ、したがって商用電源ACに流れ込む高周波のコモンモードノイズを低減することができる。ここで、本実施形態において第二のコンデンサ直列回路3を除いたフィルタ装置Fを用いて従来例と同様にノイズ電圧の測定を行うと、図4(b)に示すように、150.0kHz〜400.0kHzの高周波数の帯域において従来例では満足していなかったCISPR15の規格値を満足する結果となっている。更には、20MHzの高周波数の帯域においてもノイズが低減している。したがって、第二のコンデンサ直列回路3も含む本実施形態のフィルタ装置Fを用いれば、上記と同等若しくはそれ以上のノイズ低減効果が期待できる。
(実施形態5)
以下、本発明の第5の実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態は、図5(a)に示すように、実施形態2のフィルタ装置Fにおいて電源ライン40、41に複数(図示では6つ)のインダクタンス素子8を挿入している。
【0028】
インダクタンス素子8は、例えばフェライトビーズから成り、電源ライン40、41それぞれにおいて、ラインフィルタ1の入力端及び出力端、並びに点灯回路9の入力端に各々1つずつ接続している。
【0029】
上述のように構成することで、電源ライン40、41を流れるノイズ電流と共に、第一のコンデンサ直列回路2及び第二のコンデンサ直列回路3を介して電源ライン40、41に流れ込むノイズ電流をインダクタンス素子8で減衰させるので、商用電源ACに流れ込むノイズを低減することができる。ここで、本実施形態において第二のコンデンサ直列回路3を除いたフィルタ装置Fを用いて従来例と同様にノイズ電圧の測定を行うと、図5(b)に示すように、150.0kHz〜400.0kHzの高周波数の帯域において従来例では満足していなかったCISPR15の規格値を満足する結果となっている。更には、20MHzの高周波数の帯域においてもノイズが低減している。したがって、第二のコンデンサ直列回路3も含む本実施形態のフィルタ装置Fを用いれば、上記と同等若しくはそれ以上のノイズ低減効果が期待できる。
(実施形態6)
以下、本発明の第6の実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態は、図6に示すように、天井に設けられた吊ボルト18によって吊持される平板状の器具本体10と、器具本体10の長手方向における両端に各々2つずつ設けられて2本の放電灯LPが着脱自在に装着されるソケット11と、器具本体10に取り付けられて放電灯点灯装置が収納される安定器12と、器具本体10に取り付けられて放電灯LPからの光を反射させる逆富士型の反射板13とから成る照明器具であって、安定器12に実施形態1乃至5の何れかの放電灯点灯装置を搭載している。
【0030】
器具本体10の下方には、一定の間隔を空けてボルト取付孔10aが設けられており、該ボルト取付孔に吊ボルト18を上方から挿通し、下方から座金18a及びナット18bで締め付けることで器具本体10が吊持される。また、器具本体10の長手方向における両端及び略中央には、それぞれ反射板13を取り付けるための取付金具17が設けられており、反射板13の長手方向における両端及び略中央にそれぞれ設けられたネジ挿通孔13aに下方から取付ネジ19を挿通し、取付金具17に設けられた取付孔17aに螺合することで反射板13が器具本体10に取り付けられる。
反射板13の長手方向における両端には、それぞれソケットを挿通させるためのソケット挿通孔13bが2つずつ設けられている。放電灯LPをソケット11に装着するには、まず反射板13を器具本体10に取り付ける際にソケット11を該ソケット挿通孔13bを通して下方に臨ませ、その後に反射板13の長手方向における略中央に設けられた2つの略円環状の口金14に放電灯LPを嵌合し、放電灯LPの長手方向における両端をソケット11に取り付ける。
器具本体10下方の略中央には、安定器12と電気的に接続される略箱体の端子台15が設けられており、外部から引き回される電源線16を該端子台15の近傍に設けられた電源線挿通孔10bに挿通させて端子台15に接続することで、安定器12に電力が供給される。
上述のように、実施形態1乃至5の何れかの放電灯点灯装置を安定器12に搭載することで、従来例と比べて高周波ノイズを低減することのできる照明器具を提供することができる。
【0031】
ところで、図7(a)に示すように、実施形態2のフィルタ装置Fにおける第一のコンデンサ直列回路2の代わりに、商用電源AC近傍のアースライン5に略円環状のフェライトコア20を挿入する構成にしてもよい。このように構成することで、ノイズ電流を該フェライトコア20で減衰させることができ、したがって商用電源ACに流れ込む高周波のコモンモードノイズを低減することができる。また、フェライトコア20を実施形態6における端子台15に収納した場合も同様の効果を得ることができる。この場合には、ノイズ低減の効果と共に、フィルタ装置Fの小型化及び製造作業効率の向上を図ることができる。ここで、フィルタ装置Fを用いずに、端子台15内部においてアースライン5をフェライトコア20に巻きつけて従来例と同様にノイズ電圧の測定を行うと、図7(b)に示すように、150.0kHz〜400.0kHzの高周波数の帯域において従来例では満足していなかったCISPR15の規格値を満足する結果となっている。更には、20MHzの高周波数の帯域においてもノイズが低減している。したがって、フェライトコア20と共に上記フィルタ装置Fを併用すれば上記と同等若しくはそれ以上のノイズ低減効果が期待できる。
【0032】
尚、本発明のフィルタ装置Fは、上記各実施形態のフィルタ装置Fの構成を組み合わせたものでも構わない。また、商用電源ACの出力端と点灯回路9の入力端との間に設けるものに限定する必要はなく、点灯回路9に内蔵しても構わない。更に、点灯回路9は接地電位面に対して浮遊容量を持つため、点灯回路9にアースコンデンサ回路6を接続しない場合においても上記各実施形態と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施形態の放電灯点灯装置を示す図で、(a)は回路図で、(b)はノイズ電圧の測定結果を示すグラフである。
【図2】本発明の第2の実施形態の放電灯点灯装置を示す回路図である。
【図3】本発明の第3の実施形態の放電灯点灯装置を示す図で、(a)は回路図で、(b)はノイズ電圧の測定結果を示すグラフである。
【図4】本発明の第4の実施形態の放電灯点灯装置を示す図で、(a)は回路図で、(b)はノイズ電圧の測定結果を示すグラフである。
【図5】本発明の第5の実施形態の放電灯点灯装置を示す図で、(a)は回路図で、(b)はノイズ電圧の測定結果を示すグラフである。
【図6】本発明の第6の実施形態の照明器具を示す分解斜視図である。
【図7】同上の照明器具の端子台にフェライトコアを収納した場合を示す図で、(a)は回路図で、(b)はノイズ電圧の測定結果を示すグラフである。
【図8】従来のフィルタ装置が設けられた放電灯点灯装置を示す回路図である。
【図9】同上のノイズの循環路を示す回路図である。
【図10】同上のノイズ電圧の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0034】
1 ラインフィルタ
2 第一のコンデンサ直列回路
40、41 電源ライン
5 アースライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源の出力端と電気機器の入力端との間に接続されて電気機器から商用電源又は商用電源から電気機器に伝播するノイズを減衰させるフィルタ装置であって、商用電源と電気機器とを接続する電源ラインに挿入されてノイズを低減させるラインフィルタと、商用電源の出力端に接続されて少なくとも2個以上のコンデンサを直列に接続して成る第一のコンデンサ直列回路とを備え、該第一のコンデンサ直列回路における各コンデンサ間の接続点を接地したことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
ラインフィルタの出力端に接続されて少なくとも2個以上のコンデンサを直列に接続して成る第二のコンデンサ直列回路を備え、該第二のコンデンサ直列回路における各コンデンサ間の接続点を接地したことを特徴とする請求項1記載のフィルタ装置。
【請求項3】
電気機器と商用電源側の接地点との間に挿入されるインピーダンス素子を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記第一のコンデンサ直列回路における各コンデンサ間の接続点をインダクタンス素子を介して接地したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか記載のフィルタ装置。
【請求項5】
前記電源ラインに挿入される一乃至複数のインダクタンス素子を備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか記載のフィルタ装置。
【請求項6】
前記電気機器であって、商用電源からの交流電圧を高周波の交流電圧に変換するインバータ回路と、請求項1乃至5の何れか1項に記載のフィルタ装置とを備えたことを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項7】
器具本体と、器具本体に取り付けられて放電灯が着脱自在に装着されるソケットと、ソケットを介して放電灯に電力を供給する請求項6記載の放電灯点灯装置とを備えたことを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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