説明

フィルタ部材の挿入方法

【課題】 ドレーン管路の施工を容易にする。
【解決手段】 地盤に削孔されたトンネル2内に複数のフィルタ部材7を挿入して、トンネル2内に複数のフィルタ部材7によるフィルタ層6を形成するためのフィルタ部材の挿入方法であって、複数のフィルタ部材7の内側にロープ21を挿通し、該ロープ21に各フィルタ部材7を連結して数珠状に形成し、この状態でロープ21と複数のフィルタ部材7とを一緒にトンネル内に挿入し、トンネル2内の全長に亘って複数のフィルタ部材7を配置し、トンネル2内に複数のフィルタ部材7からなる一連のフィルタ層6を構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ部材の挿入方法に関し、特に、地盤に削孔したトンネル内に複数のフィルタ部材を挿入して、トンネル内に複数のフィルタ部材からなるフィルタ層を構築する際に適用されるフィルタ部材の挿入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、河川の氾濫を防止するために、河川の堤防の内側と外側とを連通するドレーン管路を設け、このドレーン管路を介して河川堤防内の水を排水路に排出させることにより、河川内を所定の水位に保つことが行われている。
【0003】
このような構成のドレーン管路を設ける場合に、河川の堤防堤内地側に連通する溝を設け、この溝内に玉砂利、砂等を敷設することによりフィルタ層を形成し、掘削した土を溝内に埋め戻すことにより、堤防堤内地側に連通するドレーン管路を構築している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような方法によってドレーン管路を構築する場合、堤防堤内地側に連通する溝を設けなければならないため、道路や民家等の建物が存在する場合には、民家等の建物を一時移設や迂回して溝を設けなければならず、施工に多大な労力と時間を要し、工期が長くなるとともに、施工費が高くついてしまう。
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、施工に要する時間と手間を大幅に削減することができて、工期を短縮することができるとともに、施工費を大幅に低減させることができるフィルタ部材の挿入方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するために、以下のような手段を作用している。
すなわち、請求項1に係る発明は、地盤に削孔されたトンネル内に複数のフィルタ部材を挿入して、トンネル内に複数のフィルタ部材によるフィルタ層を形成するためのフィルタ部材の挿入方法であって、複数のフィルタ部材の内側にロープを挿通し、該ロープに各フィルタ部材を連結して数珠状に形成し、この状態でロープと複数のフィルタ部材とを一緒にトンネル内に挿入し、トンネル内の全長に亘って複数のフィルタ部材を配置し、トンネル内に複数のフィルタ部材からなる一連のフィルタ層を構築することを特徴とする。
【0007】
本発明によるフィルタ部材の挿入方法によれば、強度が小さい複数のフィルタ部材は、それらの内側を挿通するロープに各々が連結されて数珠状に形成され、この状態でロープと一緒にトンネル内に挿入され、トンネルの全長に亘って配置され、トンネル内に複数のフィルタ部材からなる一連のフィルタ層が構築される。従って、上部構造物を移設することなく、地盤に掘削されたトンネル内にフィルタ部材を挿入することができるとともに、フィルタ部材の引張強度や圧縮強度が小さくても施工を可能にすることができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のフィルタ部材の挿入方法であって、前記フィルタ部材は、網目状の管壁を有する樹脂製の管状部材であることを特徴とする。
【0009】
本発明によるフィルタ部材の挿入方法によれば、所定の粒度以上の粒度の土、砂等は、フィルタ部材の網目状の管壁によって捕捉されてフィルタ部材の内部への侵入が阻止され、所定の粒度以下の土、砂等、及び地下水等の水はフィルタ部材の管壁を通過してフィルタ部材の内部に回収される。このため、一般のフィルタのように、表面に細粒土がべっとり付着して、目詰まりを起こすようなことはなく、半永久的にフィルタ効果を発揮することができる。また、樹脂製の管状部材は、比重が水とほぼ同じであることから、地下水中では漂流状態と同様になり、トンネル内周面との摩擦抵抗を小さくすることができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載のフィルタ部材の挿入方法であって、前記フィルタ部材の外周面には、径方向外方に突出する複数のスペーサが一体に設けられ、該スペーサを前記トンネルの内壁面に当接させることにより、前記フィルタ部材が前記トンネルの略中心部に位置決めされることを特徴とする。
【0011】
本発明によるフィルタ部材の挿入方法によれば、トンネル内の地下水中で漂流状態にある樹脂製のフィルタ部材は、スペーサによってトンネル内の略中心部に位置決め固定されることになるので、フィルタ部材のフィルタとしての機能を確実に発揮することができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1から3の何れかに記載のフィルタ部材の挿入方法であって、前記隣接するフィルタ部材間には、隣接するフィルタ部材間を一体に接合するための継ぎ手が介装され、該継ぎ手に前記ロープが連結されていることを特徴とする。
【0013】
本発明によるフィルタ部材の挿入方法によれば、隣接するフィルタ部材間が離れるようなことはないので、長期に渡って複数のフィルタ部材からなる一連のフィルタ層をフィルタとして機能させ続けることができる。また、継ぎ手にロープが連結されることになるので、フィルタ部材をトンネル内に挿入させる際に、フィルタ部材に挿入による荷重が作用するようなことはなく、フィルタ部材の強度が小さくて済み、フィルタ部材が変形などするのを防止できる。さらに、継ぎ手により、フィルタ部材内に吸い出された細粒分は、各フィルタ部材ごとに堰き止められて、各フィルタ部材の一部に堆積することになるので、排水断面を減少させるようなことはない。
【0014】
請求項5に係る発明は、1から4の何れかに記載のフィルタ部材の挿入方法であって、前記隣接するフィルタ部材間には、径方向外方に環状に張り出るフランジ部が介装され、該フランジ部の外周端を前記トンネルの内壁面に当接させることにより、複数のフィルタ部材とトンネルの内壁面との間に形成される空隙がトンネルの長手方向に複数に区画されていることを特徴とする。
【0015】
本発明によるフィルタ部材の挿入方法によれば、フィルタ部材とトンネルの内壁面との間に形成される空隙が隔壁によって複数の室に区画されることになるので、各室内に充填される充填材が隣接する室間で移動するようなことはない。
【0016】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載のフィルタ部材の挿入方法であって、前記フランジ部の外周端部には、前記フィルタ部材の軸線方向の一方向に屈曲する屈曲部が設けられ、該屈曲部を前記トンネルの内壁面に当接させることにより、前記フィルタ部材のトンネル内での移動が阻止されていることを特徴とする。
【0017】
本発明によるフィルタ部材の挿入方法によれば、フランジ部の屈曲部をトンネルの内壁面に当接させることにより、フィルタ部材がトンネル内で移動するのが阻止されることになる。また、フランジ部を、たわみ性に富む遮水シート等で製造することにより、フィルタ部材の設置時にロープに過大な力がかかるのを防止できる。
【0018】
請求項7に係る発明は、請求項1から6の何れかに記載のフィルタ部材の挿入方法であって、前記各フィルタ部材の外周面には、各フィルタ部材の全長に亘る凹部が設けられ、該凹部内に前記フィルタ部材と前記トンネルとの間の空隙内に粒状体を充填するための注入管が挿着される特徴とする。
【0019】
本発明によるフィルタ部材の挿入方法によれば、注入管を介してフィルタ部材とトンネルの内壁面との間に粒状体を充填することにより、この粒状体による層とフィルタ部材の管壁とによる二重のフィルタが形成されることになる。この粒状体は、注入液体(主に水)と同じ程度の比重のものとすることにより、注入時に圧送抵抗を小さくできるので、注入液体に漂流させながら区画内に注入できる。また、注入液体は、繰り返し使用することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上、説明したように、本発明のフィルタ部材の挿入方法によれば、地盤の削孔したトンネル内に複数のフィルタ部材を挿入する際に、ロープと一緒に複数のフィルタ部材を挿入することにより、複数のフィルタ部材をトンネルの全長に亘って一連に配置できるので、フィルタ部材の挿入に要する時間と手間を大幅に削減することができ、工期を短縮化することができるとともに、工費を削減することもできる。
また、フィルタ部材は樹脂製であるので、トンネル内に地下水が浸透している場合には浮遊状態でトンネル内に挿入することができるので、挿入抵抗を非常に小さくすることができ、挿入作業を容易にすることができる。
さらに、隔壁によってフィルタ部材とトンネルの内壁面との間に形成される空隙を複数の室に区画することができるので、各室の底部に堆積した堆積物が下流側に流出するようなことはなく、フィルタ部材の隔壁の目詰まりを防止でき、長期に渡ってフィルタ機能が得られることになる。
さらに、フィルタ部材とトンネルの内壁面との空隙内には、粒状体が充填されているので、この粒状体による層とフィルタ部材の管壁による層との二重の層がフィルタとして機能することになる。その上、粒状体の外周辺りの土も、細粒土がフィルタ部材内に入り込むことにより、さらに外周の土によるフィルタとして機能し、多重フィルタ層を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面に示す本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図4には、本発明によるフィルタ部材の挿入方法の一実施の形態が示されていて、このフィルタ部材の挿入方法は、河川25の水位を調整するために設けられるドレーン管路1に適用されるものであって、ドレーン管路1内にフィルタ部材7を挿入するのに有効なものである。
【0022】
ドレーン管路1は、例えば、ミニシールド工法等により河川25の堤防26の堤内地側に連通する所定の勾配のトンネル2を削孔し、このトンネル2内に本実施の形態によるフィルタ部材の挿入方法を用いて複数のフィルタ部材7を挿入することにより、構築される。本実施の形態においては、トンネル2の内径を約300mmとしている。
【0023】
フィルタ部材7は、網目構造の管壁8を有する合成樹脂製の管状部材であって、管壁8の網目構造によってフィルターとしての機能が得られ、地下水及び所定の粒度以下の土、砂等の内部への進入を許容し、所定の粒度以上の土、砂等の内部への侵入を阻止している。フィルタ部材7は、耐衝撃性に優れた特性を有するため、土圧によって潰れるようなことはなく、長期に渡って所定のフィルタ機能を発揮することができる。
【0024】
本実施の形態においては、フィルタ部材7として、比重が約1.0、長さが4m〜6m、内径が約200mm、外径が約250mmのものを使用している。
【0025】
フィルタ部材7の外周面の複数箇所には、径方向外方に突出するスペーサ9が一体に設けられ、このスペーサ9の先端をトンネル2の内壁面3に当接させることにより、フィルタ部材7がトンネル2の略中心部に位置決めされる。
【0026】
スペーサ9は、合成樹脂製の線材を略V形状に屈曲させて、その両端部をフィルタ部材7の管壁に熱融着、接着剤による接着等などによって一体に接合したものであって、本実施の形態においては、フィルタ部材7の外周面に周方向に向かって等配に3箇所に設けている。スペーサ9は、3箇所に限らず、4箇所以上に設けてもよい。スペーサ9の形状は特に制限はなく、フィルタ部材7をトンネル2の略中心部に位置決めできる形状であればよい。スペーサ9は金属製としてもよい。
【0027】
フィルタ部材7の管壁8の外周面の一部には、径方向内方に凹む半円断面又は円弧断面の凹部10が全長に亘って設けられ、この凹部10内に後述する注入管11が挿入され、この注入管11を介してフィル部材7とトンネル2の内壁面3との間に形成される空隙4内に後述する粒状体20が充填される。
【0028】
トンネル2内に複数のフィルタ部材7を挿入する際に、隣接するフィルタ部材7、7間は、図4に示すような継ぎ手12を介して一体に連結される。継ぎ手12は、合成樹脂から形成される筒状の本体部13と、本体部13の外周面の中央部に一体に設けられる環状のフランジ部14とから構成され、このフランジ部14によって本体部13の外周面が一方の半部15と他方の半部16の2つに分割されている。
【0029】
継ぎ手12の本体部13の一方の半部15を隣接する一方のフィルタ部材7の内部に挿入し、他方の半部16を隣接する他方のフィルタ部材7の内部に挿入し、両フィルタ部材7、7の端面が継ぎ手12のフランジ部14の両面に当接するまで本体部13の各半部15、16を各フィルタ部材7、7の内部に挿入することにより、隣接するフィルタ部材7、7が継ぎ手12を介して一体に連結される。
【0030】
継ぎ手12の本体13の一方の半部15及び他方の半部16の外周面は、それぞれ所定の角度のテーパ面に形成され、このテーパ面によって本体部13の一方の半部15及び他方の半部16の各フィルタ部材7の内部への挿入を容易にしている。
【0031】
また、継ぎ手12の本体部13の一方の半部15及び他方の半部16の外周面には、抜け止め用の突起17が複数箇所に一体に設けられ、この抜け止め用の突起17を各フィルタ部材7の内壁面に係止させることにより、継ぎ手12が隣接するフィルタ部材7、7間から抜け出るのが防止されている。
【0032】
なお、継ぎ手12は、上記のような構成のものに限らず、隣接するフィルタ部材7、7間を連結できる構成のものであればよい。
【0033】
継ぎ手12の本体部13の他方の半部16の外周面上には円板状の樹脂製の隔壁18が装着され、この隔壁18の外周端部をトンネル2の内壁面3に当接させることにより、隣接する隔壁18、18間でトンネル2の内壁面3とフィルタ部材7の外周面との間に形成される空隙4がトンネル2の長手方向に複数に区画される。
【0034】
隔壁18の外周端部には、継ぎ手12の軸方向に所定の角度で屈曲する屈曲部19が設けられ、この屈曲部19の外周端をトンネル2の内壁面3に当接させることにより、フィルタ部材7が挿入方向と反対方向に移動するのが阻止されている。
【0035】
フィルタ部材7の内部には後述するロープ21が挿通され、このロープ21にフィルタ部材7を固着させることにより、ロープ21と一緒にフィルタ部材7がトンネル2内に挿入され、トンネル2内に複数のフィルタ部材7によるフィルタ層6が構築される。
【0036】
フィルタ部材7をトンネル2内に挿入するには、トンネル2の入口から出口に向かって樹脂製又は鋼製のロープ21を挿入し、このロープ21と一緒に複数のフィルタ部材7をトンネル2内に挿入し、トンネル2内の全長に渡って複数のフィルタ部材7を一連に配置する。
【0037】
具体的には、トンネル2の全長よりも長い樹脂製又は鋼製のロープ21を用意し、このロープ21を複数のフィルタ部材7の内側に通し、隣接するフィルタ部材7、7間に介装されている継ぎ手12にロープ21を溶着、バンド等の固着手段により固着させ、複数のフィルタ部材7をロープ21を介して数珠状に連結する。
【0038】
そして、トンネル2を削孔する際に使用したミニシールド等を用い、ミニシールド等にロープ21の先端を固定し、ミニシールド等をトンネル2内の入口から出口に向かって前進させ、又は出口から入口に向かって後退させ、ロープ21と一緒に複数のフィルタ部材7をトンネル2内に挿入する。
【0039】
この場合、フィルタ部材7は、比重が約1.0の樹脂製であるので、トンネル2内に地下水が浸透している場合には、フィルタ部材7をトンネル2内で浮遊状態とすることができるので、フィルタ部材7の挿入の際の抵抗を非常に小さくすることができ、フィルタ部材7のトンネル2内への挿入作業を容易にすることができる。
【0040】
フィルタ部材7をトンネル2内に挿入する際に、フィルタ部材7の管壁8の外周面の凹部10内に予め注入管11を挿入しておき、フィルタ部材7と一緒に注入管11をトンネル2内に挿入し、フィルタ部材7の挿入が完了した後に、注入管11を介してトンネル2の内壁面3とフィルタ部材7の外周面との間の空隙4内に後述する粒状体20を充填する。
【0041】
このようにして、トンネル2内にロープ21と一緒に複数のフィルタ部材7を挿入することにより、トンネル2内の全長に亘って複数のフィルタ部材7を一連に配置することができ、トンネル2内に複数のフィルタ部材7からなる一連のフィルタ層6を構築することができる。
【0042】
この場合、隣接するフィルタ部材7、7間に介装されている隔壁18の外周端がトンネル2の内壁面3に当接することにより、フィルタ部材7の外周面とトンネル2の内壁面3との間に形成される空隙4がトンネル2の長手方向に複数に区画され、隣接する隔壁18、18間にそれぞれ環状の室5が形成される。
【0043】
そして、複数のフィルタ部材7をトンネル2内に挿入した後に、複数のフィルタ部材7の管壁8の外周面の凹部10内に設けられている注入管11を用い、この注入管11を介してフィルタ部材7とトンネル2の内壁面3との間の各室5内にそれぞれ粒状体である樹脂製のビーズ20を充填し、各室5内に所定量の樹脂製のビーズ20を充填する。
【0044】
このようにして、河川25の堤内地側に連通するドレーン管路1が構築され、このドレーン管路1を介して河川25の水位が所定の水位に保たれる。また、河川25から堤防26に浸透している地下水は、ドレーン管路1のフィルタ層6の各フィルタ部材7の管壁8を通過してフィルタ層6の内側に回収され、ドレーン管路1を介して排水路27に排水される。また、所定の粒度以下の細粒土はフィルタ層6の各フィルタ部材7を通過し、フィルタ部材7の内部に侵入し、フィルタ部材7の内部を流れる水と一緒に排水路27にポンプ排水される。トンネル2の底部に堆積された堆積物は、隔壁18によってその部分から下流側へ移動するのが阻止される。
【0045】
上記のように構成した本実施の形態のフィルタ部材の挿入方法にあっては、複数のフィルタ部材7をそれらの内側に挿通させたロープ21に固着させて、ロープ21と一緒に複数のフィルタ部材7をトンネル2内に挿入するように構成したので、ドレーン管路1を構築する際に、地盤に溝を形成する必要がない。
従って、堤防26の堤内地に民家等の建物がある場合でも、建物を迂回してトンネル2を削孔する必要がないので、工期を短縮化することができるとともに、工費を削減することができる。
【0046】
また、フィルタ部材7は比重が約1.0の樹脂製であるので、トンネル2内に地下水が浸透している場合には浮遊状態でトンネル2内に挿入することができ、挿入の際の抵抗を非常に小さくすることができ、挿入作業を容易にすることができる。
【0047】
さらに、フィルタ部材7とトンネル2の内壁面3との間の空隙4内に樹脂製のビーズ20を充填し、このビーズ20の層もフィルタとして機能させることができるので、ビーズ20による層とフィルタ部材7の管壁8による層との二重の層とすることができる。
【0048】
さらに、フィルタ部材7とトンネル2の内壁面3との間の空隙4を隔壁18によって複数の室5に区画しているので、各室5内に充填した樹脂製のビーズ20が下流側の室5に流出するようなことはなく、また、各室5の底部に堆積した土等の堆積物が下流側の室5に流出するようなことはなく、堆積物によってフィルタ部材7が目詰まりを起こすようなことはない。
【0049】
さらに、フィルタ部材7の管壁8は、周辺の細粒土をわずかに通過させ、または包含させることになるので、長期的に目詰まりが生じるのを防止でき、藻等が成育しやすい地盤でも目詰まりするようなことはなく、フィルタとしての機能を長期的に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明によるフィルタ部材の挿入方法の一実施の形態を示した説明図であって、ドレーン管路内にフィルタ部材を挿入した後の状態を示した説明図である。
【図2】ドレーン管路の部分拡大縦断面図である。
【図3】ドレーン管路の部分拡大横断面図である。
【図4】継ぎ手の斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
1 ドレーン管路
2 トンネル
3 内壁面
4 空隙
5 室
6 フィルタ層
7 フィルタ部材
8 管壁
9 スペーサ
10 凹部
11 注入管
12 継ぎ手
13 本体部
14 フランジ部
15 一方の半部
16 他方の半部
17 突起
18 隔壁
19 屈曲部
20 粒状体
21 ロープ
25 河川
26 堤防
27 排水路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に削孔されたトンネル内に複数のフィルタ部材を挿入して、トンネル内に複数のフィルタ部材によるフィルタ層を形成するためのフィルタ部材の挿入方法であって、
複数のフィルタ部材の内側にロープを挿通し、該ロープに各フィルタ部材を連結して数珠状に形成し、この状態でロープと複数のフィルタ部材とを一緒にトンネル内に挿入し、トンネル内の全長に亘って複数のフィルタ部材を配置し、トンネル内に複数のフィルタ部材からなる一連のフィルタ層を構築することを特徴とするフィルタ部材の挿入方法。
【請求項2】
前記フィルタ部材は、網目状の管壁を有する樹脂製の管状部材であることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ部材の挿入方法。
【請求項3】
前記フィルタ部材の外周面には、径方向外方に突出する複数のスペーサが一体に設けられ、該スペーサを前記トンネルの内壁面に当接させることにより、前記フィルタ部材が前記トンネルの略中心部に位置決めされることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルタ部材の挿入方法。
【請求項4】
前記隣接するフィルタ部材間には、隣接するフィルタ部材間を一体に接合するための継ぎ手が介装され、該継ぎ手に前記ロープが連結されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のフィルタ部材の挿入方法。
【請求項5】
前記隣接するフィルタ部材間には、径方向外方に環状に張り出るフランジ部が介装され、該フランジ部の外周端を前記トンネルの内壁面に当接させることにより、複数のフィルタ部材とトンネルの内壁面との間に形成される空隙がトンネルの長手方向に複数に区画されていることを特徴とする1から4の何れかに記載のフィルタ部材の挿入方法。
【請求項6】
前記フランジ部の外周端部には、前記フィルタ部材の軸線方向の一方向に屈曲する屈曲部が設けられ、該屈曲部を前記トンネルの内壁面に当接させることにより、前記フィルタ部材のトンネル内での移動が阻止されていることを特徴とする請求項5に記載のフィルタ部材の挿入方法。
【請求項7】
前記各フィルタ部材の外周面には、各フィルタ部材の全長に亘る凹部が設けられ、該凹部内に前記フィルタ部材と前記トンネルとの間の空隙内に粒状体を充填するための注入管が挿着されることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のフィルタ部材の挿入方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−190289(P2008−190289A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28260(P2007−28260)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000204099)太洋興業株式会社 (30)
【Fターム(参考)】