説明

フィルムカートリッジ装填式カメラ

【目的】 1本のフィルム内に異なるシーンの撮影を許可するかどうかの判断機会を与えるとともに、撮影枚数が意に反して不足することのないようにする。
【構成】 フィルムカートリッジ1にはスプール11と一体回転するディスク4が設けられる。ディスク4には白色域42及び黒色域43からなる回転位置情報領域Aが形成され、マイコン57は、フィルムカートリッジ1の使用状態に応じて白色域42及び黒色域43を停止させる。フォトリフレクタ32,33は白色域42及び黒色域43の停止位置を検出する。この停止位置から撮影途中のフィルムカートリッジ1が検出されると、スイッチS6,S7によって撮影の続行と撮影の中止を選択する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フィルムを巻回するスプールを内蔵するフィルムカートリッジから撮影毎にフィルムを巻き上げて露出を行うカメラに係り、特に、撮影途中で巻き戻されたフィルムカートリッジが装填された場合の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】フィルムカートリッジ装填式カメラに用いられる撮影用フィルムにおいて、フィルムカートリッジのカメラへのセットを容易にすべく、撮影前の未使用状態でフィルムがフィルムカートリッジ内に全て収納されているものがある(特開平4−76526号公報参照)。
【0003】このようなフィルムカートリッジが装填されるカメラでは、フィルム駆動用のフォークがフィルムカートリッジのフィルム巻き付け用のスプールと係合し、このスプールが自動的あるいは手動によって回転されることにより、フィルムカートリッジ内からフィルムが送り出されるようになっている。そして、フィルムがカメラ側の巻上スプールに巻き付いた後は、フィルムがカメラ側の巻上スプールによって撮影毎に1コマずつ巻き上げられるようになっている。
【0004】また、上記カメラは、全コマの撮影が終了したときに自動的に、あるいは後日残りの未撮影コマに撮影すべく、撮影途中で巻き戻しスイッチで巻き戻しを指示することにより、フィルムカートリッジにフィルムが巻き戻されてカメラより取り出し可能になっている。
【0005】この場合、撮影済みや撮影途中のフィルムはフィルムカートリッジ内に全て巻き戻された状態となるため、未撮影のフィルムカートリッジとの区別が付きにくく、このため未撮影のフィルムカートリッジと誤って、撮影途中で巻き戻したフィルムカートリッジを再度カメラに装填する虞れがあり、かかる場合、撮影済みのコマに対して二重露光を招くことになる。
【0006】従来、かかる二重露光を防止するカメラとして、撮影済みフィルムカートリッジが装填されたときはフィルムの巻き上げを禁止するもの(USP4980709号公報)、フィルムカートリッジのスプールと一体回転する指標を有する回転部材をフィルム巻き戻し時に回転位置制御し、その回転部材の指標や停止位置からフィルムの使用状態を表示するもの(USP5032854号公報)が提案されている。
【0007】また、フィルムカートリッジ装填時に未撮影か撮影途中のものかをフィルムカートリッジの指標に基づいて検知し、撮影途中のフィルムカートリッジであると判別された場合には、未撮影のコマに対して撮影を続行すべく、フィルムカートリッジの記録媒体に記録された撮影枚数の情報に基づいて未撮影の先頭コマまでフィルムを給送するもの(特開平4−76526号公報)が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、USP4980709号公報及びUSP5032854号公報のカメラにあっては、撮影途中のフィルムカートリッジが装填されたときの撮影動作については示されてない。
【0009】また、特開平4−76526号公報のカメラにあっては、撮影途中のフィルムカートリッジへの撮影を行ないたくない場合にも、フィルムが未撮影のコマまで自動的に給送されるようになっている。従って、撮影者の意に反して、1本のフィルム内に予定外のシーンが撮影され、あるいは撮影枚数がいきおい不足する等の不具合を招来する虞れが少なくない。
【0010】本発明は、上記に鑑みてなされたもので、装填されたフィルムカートリッジが撮影途中で巻き戻されたものである場合に、1本のフィルム内に異なるシーンの撮影を許可するかどうかの判断機会を与えるとともに、撮影枚数が意に反して不足することのないフィルムカートリッジ装填式カメラを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係るフィルムカートリッジ装填式カメラは、フィルムを巻回するスプールと一体回転可能で、未使用状態で初期位置に設定されてなる回転位置情報を有する回転部材を備えたフィルムカートリッジを装填し、内蔵フィルムに対し撮影指示の毎に露出を行うカメラであって、撮影途中で巻き戻す時に、上記回転部材が上記初期位置とは異なる位置で停止するように駆動するフィルム駆動手段と、装填されたフィルムカートリッジに対し上記回転部材の回転位置から該フィルムカートリッジが撮影途中で巻き戻されたものであることを検出する検出手段と、撮影の続行と撮影の中止を選択的に指示する操作部材と、上記検出手段が撮影途中で巻き戻されたフィルムカートリッジであることを検出したときに、上記操作部材の選択内容に応じて撮影動作を選択制御する撮影制御手段とを備えたものである。
【0012】
【作用】本発明によれば、撮影途中で巻き戻しが指示されたときは、回転部材が初期位置とは異なる位置で停止される。フィルムカートリッジがカメラに装填されると、検出手段によって回転部材の回転位置の検出が行われる。装填されたフィルムカートリッジが撮影途中のものであることが検出されると、操作部材により当該撮影途中のフィルムカートリッジに対して撮影を行うか、あるいは中止するかの一方の操作が行われる。そして、撮影者がそのいずれかを選択操作すると、カメラの撮影制御手段により、その操作に応じたように撮影動作の選択制御が行われる。例えば、撮影続行が選択されたときは、フィルムの巻き上げが行われて通常の撮影準備動作に入り、一方、撮影中止が選択されたときはフィルムの巻き上げが禁止される。
【0013】
【実施例】図2は、本発明に係るフィルムカートリッジ装填式カメラの一例を示す一部構造図である。図3は、本発明に係るカメラに適用されるフィルムカートリッジの一例を示す側面断面図である。
【0014】1は略円筒形状を有するフィルムカートリッジで、2はこのフィルムカートリッジ1が装填されるカートリッジ室、3はこのカートリッジ室2を備えたカメラ本体である。
【0015】カートリッジ室2は、略円筒形状であってフィルムカートリッジ1と略同一形状を有し、周面適所に上下方向に形成されたガイド部20によりフィルムカートリッジ1を上方向から所定の向きに保持して挿入可能になっている。このカートリッジ室2は、カメラ本体3の左右の一方側であって、フィルム送り出し側となる位置に配設されている。なお、他方側のフィルム巻き上げ側には不図示の巻き上げ機構が設けられており、これらによりフィルムカートリッジ1内のフィルムFは、後述するように巻き上げ、巻き戻しが行われる。
【0016】フィルムカートリッジ1は、図4に示すように、円筒の周面一部であって、軸方向に沿ってフィルム巻き上げ、巻き戻し時のフィルム出入口としての、長尺状の通過口10が形成されている。また、通過口10には開閉自在な遮光用の蓋部材100が配設されており、この蓋部材100によって通過口10が塞がれるようになっている。
【0017】また、フィルムカートリッジ1の軸上には上下面で回動自在に枢支されたスプール11が立設されている。このスプール11は、図3に示すように、上方側がフィルムカートリッジ1の上面中央で枢支され、下方側が、フィルムカートリッジ1内に配設され、フィルム下方の遮光を兼ねた下部枢支板13の中央で枢支されている。そして、フィルムFは、その後端がスプール11に取り付けられるとともに、該スプール11に巻回された状態で内部に収納されている。このスプール11の上下端には、それぞれ係合凹部111が形成され、その少なくとも下端側には径方向の溝111aが形成されている。なお、スプール11は、通常、不図示のロック部材によってロックされており、フィルムカートリッジ1がカートリッジ室2に装填されて下端側の係合凹部111が後述するカメラ本体3のドライブフォーク31と係合したときに上記ロックが解除されるようになっている。
【0018】フィルムカートリッジ1の下端部12には、周方向であって、上記通過口10の両側となる部分が円弧状に切り欠かれた切欠121,122が形成されている。切欠121は後述するディスク4の回転位置情報及びフィルム情報を下方より読み取るための窓である。なお、切欠122はフィルム情報の読取等のための窓であって、必ずしも必要とするものではない。
【0019】下端部12と下部枢支板13との間には、スプール11と一体回転可能にされたディスク4が介設されている。このディスク4の下面の適所には、図5に示すように、例えばディスク4の周方向に白黒による形態で、少なくとも後述する回転位置情報が標記されたシールが光学的に読み取り可能に貼付されている。また、ディスク4には、上記回転位置情報に加えてISO情報、フィルム枚数、フィルム種類、露光範囲等の各種のフィルム情報がバーコード状の形態で適所に記録されている。なお、回転位置情報及びバーコードはディスク4面に直接標記されたものでもよい。また、フィルム情報はバーコード以外のマークを用いて表現されていてもよい。また、ディスク4はスプール11と一体形成されているものでもよい。
【0020】また、フィルムカートリッジ1の通過口10の近傍には、蓋部材100を開閉駆動するスプール14が上下に亘って立設されており、その両端には径方向の溝を有する係合用の凹部141が形成されている。
【0021】また、フィルムFの先頭適所あるいはフィルムカートリッジ1の適所には、記録媒体が配設されており、カメラ本体3によって撮影済みのコマ数、絞り値等の撮影情報が書き込み、また読み出し可能にしている。なお、フィルムFに磁気コーティングを施して各コマ毎の撮影情報を磁気記録するようにしてもよい。
【0022】カメラ本体3には、カートリッジ室2の下端中央位置であって下方からフィルム駆動用モータ30に直結されたドライブフォーク31が上方に所定寸法だけ突出して配設されている。なお、駆動用モータ30は、ギア伝達機構と、このギア伝達機構の間に介設されたクラッチ(共に不図示)とを介してフォークドライバ31に連結されるようにしてもよい。また、フィルム巻き上げ、巻き戻しを別々のモータで行うようにしてもよい。
【0023】ドライブフォーク31は、フィルムカートリッジ1が装填されたときスプール11の係合孔111に嵌挿されるとともに、溝111aに係合して同期回転するように、軸方向に沿った係合片31aが形成されている。また、フィルムカートリッジ1のカートリッジ室2への装填状態で、該フィルムカートリッジ1の下端部12の切欠121に対向する下方位置には、発光素子と受光素子とを隣接配置してなる光学的読取手段としてのフォトリフレクタ32,33が上方に向けて設けられている。
【0024】S4はフィルムカートリッジ1がカートリッジ室2へ完全に装填された状態でのみオンするカートリッジスイッチで、カートリッジ室2の下端部に配設され、不図示の検出接片が、装填されるフィルムカートリッジの一部に当接することにより、装填の有無を検出するようになっている。
【0025】また、カメラ本体3は、カートリッジ室2の上部に開口部34を有し、その1側辺には、この開口部34を開閉する蓋35が水平軸350回りに回動可能に設けられている。この蓋35の構造について説明すると、その適所には孔351が穿設され、蓋35を閉成したとき、カメラ本体3側に配設されているピン36と係合して、蓋35の位置決めを確保している。フォーク352は蓋35の下面略中央に回動可能に設けられ、蓋35の閉成状態でドライブフォーク31との間で装填されたフィルムカートリッジ1のスプール11を枢支するものである。スプロケット353は蓋35の下面であって、装填されたフィルムカートリッジ1のスプール14の凹部141に回転係合するものである。なお、カメラ本体3のカートリッジ室2の下端であって、スプロケット353と対応する位置には、スプール14の下方側の凹部141に回転係合するスプロケット37が配設されている。そして、フィルムカートリッジ1からフィルムを送り出すべく、ドライブフォーク31が駆動されると、スプロケット37に連動してスプール14が回転して蓋部材100を開成するようになっている。
【0026】また、回動中心となる側辺と対向する側辺であって蓋35の肉厚部には、その辺方向に所定寸法の長溝354が穿設されており、その内部を頭部が突出した片を有するロック片355がスライド可能に配設されている。
【0027】一方、カメラ本体3の開口部34の側辺には、蓋35が閉成された時、上記ロック片355を係合する係止部材341が配設されており、その側面であって、長溝354と対向するようにして同一形状の長溝342が形成されている。また、係止部材341の長手方向の一部には、上記突片354がその上方から不図示の長溝に嵌合し得るように切欠343が形成されている。なお、長溝354が形成されている側辺の上半部には所定寸法だけ延設された縁部356が形成されており、これにより蓋35の閉成時の遮光性とカメラ本体3上面を面一とする形態性が実現されるようにしている。
【0028】開閉操作部38は、カメラ本体3の上部であって上記係止部材341の直ぐ横に並列に配設され、カメラ本体3の上面に穿設された所定長の開口381、この開口381内をスライド可能にされた操作部材382、この操作部材382の下部に取り付けられたスライド部材383、このスライド部材383の側面に、少なくともロック片355の幅寸法以上離間して、上記長溝342に嵌合されたロック片355の頭部をスライド方向から押圧可能にする押圧部384,384が形成されている。そして、蓋35を閉じた後、操作部材382を図2の矢印と逆方向にスライドさせることにより、閉成状態をロックすることができ、一方、蓋35を開ける際は、操作部材382を矢印方向にスライドさせることにより開成可能状態にすることができる。
【0029】スイッチS3は蓋35の開閉状態を検出するもので、上記開閉操作部38のスライド部材383の近傍位置に配設されている。このスイッチS3は固定接片a1と可動接片b1とが突出して並設され、通常開状態にあるもので、スライド部材383が矢印方向にスライドされたときは、上記両接片a1とb1とが接触してオンし、他方側にスライドされている時、すなわち蓋35が閉成されているときは両接片a1とb1とが非接触(オフ)となるようになっている。
【0030】次いで、図5を用いて、切欠121とフォトリフレクタ32,33の位置関係について説明する。フォトリフレクタ32,33は、ディスク4の回転位置情報及びバーコード(フィルム情報)を読み取るもので、フォトリフレクタ32は上記切欠121内の、図中、反時計回り側に、フォトリフレクタ33は切欠121内の、図中、時計回り側に対面するように周方向所定間隔だけ離間して配設されている。そして、フォトリフレクタ32,33は、発光素子から投光されてディスク4上の白色部で反射した光を受光素子で検出することによりハイ信号を出力するようになっている。また、フォトリフレクタ32,33は、発光素子からの光がディスク4上の黒色部に投光されたときにはロー信号を出力するようになっている。なお、ディスク4上に磁気的に回転位置情報及びバーコードを書き込み、これをフォトリフレクタ32,33に代えて磁気センサで読み取るようにしてもよい。
【0031】ここで、図5を用いて、未撮影のもの、撮影途中で巻き戻したもの、全コマ撮影済みで巻き戻したものの各使用状態に応じたディスク4の停止位置に対するフォトリフレクタ32,33の出力状態について説明する。なお、ディスク4の停止位置制御については、図1において行う。また、未撮影のフィルムカートリッジ1とは、フィルムカートリッジ1からフィルムFが1度も送り出されていないものをいい、撮影途中のフィルムカートリッジ1とは、少なくとも1コマは撮影されているものをいい、撮影済みのフィルムカートリッジ1とは、全てのコマの撮影が終了したものをいう。
【0032】まず、ディスク4上の停止位置について説明する。なお、図中、ディスク4上の黒く塗りつぶした部分は黒色(光非反射部)であり、斜線を施した部分は白黒からなるバーコードでフィルム情報が書き込まれた領域(不定部)であり、その他の部分は白色(光反射部)である。
【0033】ディスク4は、図5に示すように、その周方向に、少なくとも切欠121の1/2程度の白色域42と、この白色域42の時計回り側に少なくとも切欠121程度の黒色域43とから形成された回転位置情報領域Aを有している。
【0034】そして、未撮影のフィルムカートリッジ1では、図5の(a)に示すように、ディスク4はそのフィルム情報領域Bがフォトリフレクタ32と対面する位置に、回転位置情報領域Aの白色域42がフォトリフレクタ33と対面する位置になるようにスプール11の停止位置が予めセットされるようになっている。
【0035】また、撮影途中で巻き戻されたフィルムカートリッジ1では、図5の(b)に示すように、後述するようにカメラ本体3によって白色域42がフォトリフレクタ32と対面する位置に、黒色域43がフォトリフレクタ33と対面する位置にセットされる。また、撮影済みのフィルムカートリッジ1では、図5の(c)に示すように、後述するようにカメラ本体3によって黒色域43がフォトリフレクタ32,33共に対面する位置にセットされる。
【0036】従って、フォトリフレクタ32,33の出力は、図5の(a)では(不定,ハイ信号)、図5の(b)では(ハイ信号,ロー信号)、図5の(c)では(ロー信号,ロー信号)となり、これによりフィルムカートリッジ1の使用状態を識別することが可能となる。
【0037】次いで、フィルムFの撮影及びフィルムカートリッジ1の使用状態検出動作を行うための回路について図1の回路ブロック図を用いて説明する。S0は撮影動作を可能にするためのメインスイッチ、S1は撮影準備のための被写体に対する測光を指示する測光スイッチ、S2はフィルムFの露出を指示するレリーズスイッチである。なお、測光スイッチS1とレリーズスイッチS2は1つの操作部材(シャッターボタン)からなり、このシャッターボタンを半押しすると測光スイッチS1がオンし、全押しするとレリーズスイッチS2がオンするように構成されるようになっている。
【0038】S5は電源としての内蔵電池(バッテリー)の残容量がカメラを正常動作させるのに必要な所定レベル以下に低下したときオンする電池検知スイッチである。S6は装填されたフィルムカートリッジ1が撮影途中のものである場合に、そのまま撮影の続行を指示する際にオンされるスイッチ、S7は装填されたフィルムカートリッジ1が撮影途中のものである場合に、撮影の中止を指示する際にオンされるスイッチである。これらのスイッチS6,S7により、装填された撮影途中のフィルムカートリッジ1に対して撮影の続行と中止の一方の選択が行えるようになっている。
【0039】S8は、撮影途中であって未撮影のコマが残っている状態からのフィルムFのフィルムカートリッジ1への巻き戻しを指示する巻戻しスイッチである。
【0040】50は、フィルムFが撮影位置(露出開口部)まで給送されているかどうかを検出するフォトインタラプタで、露出開口位置近傍等に配設され、フィルムFの各コマに対応して配設されたパーフォレーションを検出することでフィルムFが撮影位置まで給送されていることを検出するようになっている。51は上述したフィルム駆動用モータ30を駆動するモータドライバで、後述するCPU57からの時間信号あるいはパルス列信号を所要レベルの駆動信号に変換してフィルム駆動用モータ30を駆動するようになっている。52は不図示の露光調整用の絞り、露出用のシャッターの駆動用モータ520の駆動を制御する露出制御部である。
【0041】53はフォトセンサ等からなり、シャッター速度、絞り量等を制御すべく被写体に対する測光を行なう測光部である。54は、自動焦点調整を行なうべく撮影レンズの駆動用モータ540の駆動を制御するオートフォーカス部である。なお、自動焦点調整の手段としては、三角測距方式や位相差検出方式等が用いられる。
【0042】55は、カメラ本体3の、例えば上面に設けられ、フィルムFのコマ数等の各種の表示を行なう表示部である。また、表示部55は、撮影済みあるいは撮影途中のフィルムカートリッジ1がカートリッジ室2に装填されたときに、警告表示を行うようになっている。56はフィルムFまたはフィルムカートリッジ1に配設されている記録媒体に撮影済みのコマ数、絞り値等の撮影情報を書き込み、また撮影済みのコマ数を読み出す撮影情報読書部である。
【0043】57は、メモリ、インターフェイス等を有するマイコン(以下、CPUという)で、撮影動作の制御やフィルム給送の他、後述する撮影動作の選択制御等、カメラ動作全体を統轄制御するものである。
【0044】CPU57はレリーズスイッチS2のオンによる撮影動作の回数から撮影枚数の計数を行うようにしている。なお、CPU57はフォトインタラプタ50によるフィルムFのパーフォレーションの検出結果に基づいて撮影枚数の計数を行うようにしてもよい。また、CPU57は巻戻しスイッチS8からの巻き戻しの指示信号が入力された時、フィルムFの巻き戻しを行うための制御信号をモータドライバ51へ出力する。すなわち、CPU57は、その指示時の撮影枚数から逆算して、フィルムFをフィルムカートリッジ1に確実に収納し得る時間信号、あるいは上記時間信号に相当するパルス列信号をモータドライバ51へ出力する。なお、フィルムFの巻き戻しはパーフォレーションを検出するフォトインタラプタ50からの出力を用いて行うようにしてもよい。
【0045】また、CPU57は、フィルムカートリッジ1の装填を蓋スイッチS3及びカートリッジスイッチS4のオンにより確認するようになっている。また、CPU57は、フォトリフレクタ32,33を介して上述したディスク4の回転位置情報領域Aの位置状態を読み取って、フィルムカートリッジ1の使用状態(未撮影、撮影途中、撮影済み)を判別し、スイッチS6,S7の操作に応じて装填された撮影途中のフィルムカートリッジ1に対して撮影を続行し、あるいは中止してその旨の表示を行なわすようにしている。
【0046】また、CPU57は、ディスク4の回転位置情報領域Aの位置状態の読み取り後にフィルム駆動用モータ30を駆動してスプール11を回転させ、フォトリフレクタ32,33を介してフィルム情報領域Bに記録されているフィルム枚数等のフィルム情報を読み取り、計数している撮影枚数が上記読み取ったフィルム枚数に達したときに自動的にフィルムFの巻き戻しを行なわせるようになっている。すなわち、CPU57は、読み取ったフィルム枚数に応じた時間信号あるいはパルス列信号を出力してフィルムFをフィルムカートリッジ1内に巻き戻す。
【0047】また、CPU57は、全コマの撮影終了及び撮影途中からの巻き戻し指示に対する巻き戻し完了後のディスク4の停止位置の制御をフォトリフレクタ32,33によるディスク4の回転位置情報領域Aの位置検出状態に基づいて行うようにしている。すなわち、CPU57は撮影終了からの巻き戻しの時は、全コマ分の巻き戻しを終了した後に、回転位置情報領域Aの白色域42及び黒色域43の位置が図5の(b)の状態に一致するように駆動用モータ30の駆動停止を制御する。また、撮影途中からの巻き戻しを行う際は、撮影したコマ数分の巻き戻しが終了した後に、回転位置情報領域Aの白色域42及び黒色域43の位置が図5の(c)の状態に一致するように駆動用モータ30の駆動停止を制御する。
【0048】また、CPU57は、例えば各コマの巻き上げ毎に、撮影情報読書部56を介してフィルムFまたはフィルムカートリッジ1の記録媒体に撮影済みかどうか、及び絞り値等の撮影情報を記録し、一方、フィルムカートリッジ1の装填時等にこの撮影情報を読み取るようになっている。
【0049】図6及び図7はフィルムカートリッジ1の使用状態検出及び撮影開始動作を説明するフローチャートである。内蔵電池の残容量が充分で、カメラを正常に動作させることが可能であれば、すなわち電池検知スイッチS5がオフ状態であれば、初期化すべく、CPU57のメモリや後述するレリーズ禁止フラグ等がリセットされる(#2)。次いで、スイッチS0〜S3のいずれかがオンするまで待機する(#4でNO)。
【0050】まず、#4において、カートリッジ室2の蓋35が開成され、フィルムカートリッジ1がカートリッジ室2内へ完全に装填された後、蓋35が閉成され、且つロックされると、蓋スイッチS3及びカートリッジスイッチS4がオンし(#4〜#8が全てYES)、後述する“使用状態検出”のサブルーチンが実行される(#10)。
【0051】#10の処理による使用状態記憶レジスタからフィルムカートリッジ1が未撮影のものであると判別されると(#12でYES)、フィルムカートリッジ1からフィルムFが送り出され、1コマ目が撮影位置にセット(イニシャルロード)される(#14)。この後、#30に移行する。
【0052】一方、フィルムカートリッジ1がカートリッジ室2内へ装填されていない場合、すなわちカートリッジスイッチS4がオフの場合には(#8でNO)、フィルムカートリッジ1が未装填である旨の表示が行なわれた後(#9)、#4に戻る。
【0053】一方、#10の処理による使用状態記憶レジスタからフィルムカートリッジ1が撮影済みであると判断されると(#12,#16が共にNO)、表示部55にフィルムカートリッジ1が撮影済みのものである旨の表示が行なわれ(#18)、カメラの撮影動作が禁止される(HLTの状態)。このHLTの状態はカートリッジ室2の蓋35が開成されて蓋スイッチS3が一旦オンすると解除され、カメラの撮影動作が初期化状態に戻る。なお、フィルムカートリッジ1がカートリッジ室2から取り出されてカートリッジスイッチS4がオフになるとHLTの状態が解除されて初期化状態に戻るようにしてもよい。
【0054】一方、#10の処理による使用状態記憶レジスタからフィルムカートリッジ1が撮影途中であると判断されると(#16でYES)、表示部55に当該フィルムカートリッジ1への撮影を行なうか否かを選択する必要がある旨の表示が行なわれる(#20)。そして、当該フィルムカートリッジ1への撮影を行なうか否かを選択すべく、スイッチS6,S7のいずれかがオンされるまで待機する(#22,#24が共にNO)。
【0055】当該フィルムカートリッジ1のフィルムFへそのまま撮影の続行を行なうべく、スイッチS6がオンされると(#22でYES)、フィルムFまたはフィルムカートリッジ1の記録媒体から撮像情報としての撮影済みのコマ数を読み取り(#26)、このコマ数に基づいて未撮影のコマまでフィルムFがフィルムカートリッジ1から送り出され、当該未撮影のコマの内、先頭のコマが撮影位置にセット(イニシャルロード)される(#14)。この後、#30に移行する。
【0056】一方、当該フィルムカートリッジ1への撮影を中止すべく、スイッチS7がオンされると(#24でYES)、表示部55にフィルムカートリッジ1の取り出しを行なう必要がある旨の表示が行なわれ(#28)、この後、カメラの撮影動作が禁止される(HLTの状態)。
【0057】次に、#4において、メインスイッチS0がオンされると(#4でYES)、このときは蓋スイッチS3がオフであるから(#6でNO)、メインスイッチS0がオンの状態で、且つレリーズ可能か、すなわち後述する測光結果に応じてレリーズ禁止フラグがセットされているかどうかが判別される(#30)。メインスイッチS0がオンされた時点では、#2の初期化によりレリーズ禁止フラグがリセットされたままとなっており、レリーズ可能なため(#30でYES)、表示部55にレリーズ可能を示すON表示が行なわれる(#32)。この後、#36に移行する。
【0058】一方、メインスイッチS0がオンからオフに変更されたとき、あるいは測光結果によりレリーズ禁止フラグがセットされると#30でNOとなり、この場合、撮影が不可能である旨を示すOFF表示が行なわれる(#34)。この後、#4に戻る。
【0059】#36では、シャッターボタンが押されて測光スイッチS1がオンされたかどうかが判別される。測光スイッチS1がオフの場合には(#36でNO)、#60に移行する。一方、測光スイッチS1がオンされると(#36でYES)、内蔵電池の残容量が正常にカメラを動作させるのに必要な所定レベル以上かどうかが判別される(#38)。内蔵電池の残容量が不充分で、カメラを正常に動作させることが不可能であれば、すなわち電池検知スイッチS5がオン状態であれば(#38でNO)、表示部55にバッテリー不良の旨の表示すべく、例えば電池のシンボルマークが表示された後に(#40)、#4に戻る。
【0060】一方、内蔵電池の残容量が充分で、カメラを正常に動作させることが可能であれば(#38でYES)、被写体に対する測光が行なわれ、撮像するのに充分な光量が得られた場合にはレリーズ禁止フラグがリセットされ、光量が不十分な場合にはレリーズ禁止フラグがセットされる(#42)。
【0061】次いで、シャッターボタンが全押されて測光スイッチS1及びレリーズスイッチS2がオンされたかどうかが判別され(#44,#46)、シャッターボタンが戻されて測光スイッチS1がオフになったときには(#44でNO)、#60に移行する。一方、シャッターボタンが半押し状態で測光スイッチS1のみオンの場合には(#44でYES、#46でNO)、#38に戻り、内蔵電池の残容量が充分である限り(#38でYES)、レリーズスイッチS2がオンされるまで被写体に対する測光(#42)が繰り返し行なわれる。
【0062】一方、シャッターボタンが全押されて測光スイッチS1及びレリーズスイッチS2がオンされた場合には(#46でYES)、焦点検出が行なわれ、被写体距離が適当で焦点調整が可能な範囲の場合にはレリーズ禁止フラグがリセットされ、被写体距離が短すぎて焦点調整不可能な場合にはレリーズ禁止フラグがセットされる(#48)。続いて、上記焦点検出に応じて撮影レンズが合焦位置へ駆動された後、フィルムFが露出され、次いで、次のコマへの巻き上げが行なわれ、このとき、上記露出されたコマの撮影情報がフィルムFまたはフィルムカートリッジ1の記録媒体に記録される(#50〜#56)。続いて、全コマの撮影が終了したかどうかが判別され(#58)、撮影枚数がフィルムカートリッジ1のフィルム枚数に達していないときには(#58でNO)、#60に移行する。
【0063】#60では、撮影途中で巻戻しスイッチS8がオンされたかどうかが判別される。そして、巻戻しスイッチS8がオンされると(#60でYES)、フィルムFの巻き戻しが開始され(#62)、フィルムFがフィルムカートリッジ1内に完全に巻き戻されて巻き戻しが終了すると(#64でYES)、ディスク4が図5の(b)の撮影途中位置で停止される(#66)。この後、カメラの撮影動作が禁止される(HLTの状態)。一方、巻戻しスイッチS8がオフの場合には(#60でNO)、表示部55に残りのコマ数等の表示が行なわれた後(#68)、#4に戻る。
【0064】一方、撮影枚数がフィルムカートリッジ1のフィルム枚数に達した場合には(#60でYES)、自動的にあるいは巻戻しスイッチS8のオンによってフィルムFの巻き戻しが開始される(#70)。そして、フィルムFがフィルムカートリッジ1内に完全に巻き戻されて巻き戻しが終了すると(#72でYES)、ディスク4が図5の(c)の撮影済位置で停止される(#74)。この後、カメラの撮影動作が禁止される(HLTの状態)。
【0065】次に、#10の“使用状態検出”のサブルーチンについて図8のフローチャートを用いて説明する。まず、フォトリフレクタ33からの出力信号がハイレベルかどうかが判別される(#82)。そして、ディスク4が図5の(a)の停止位置にあり、白色域42がフォトリフレクタ33に対向するようになっていると、フォトリフレクタ33からハイレベルの信号が出力され(#82でYES)、この場合には、フィルムカートリッジ1が未撮影のものである旨が使用状態記憶レジスタに記憶される(#84)。
【0066】一方、撮影途中あるいは撮影済みのフィルムカートリッジ1の場合には、黒色域43がフォトリフレクタ33に対向するため、フォトリフレクタ33からローレベルの信号が出力される(#82でNO)。このため、フォトリフレクタ32からの出力信号がハイレベルかどうかが判別される(#86)。
【0067】そして、ディスク4が図5の(b)の停止位置の場合にあり、白色域42がフォトリフレクタ32に対向するようになっていると、フォトリフレクタ32からハイレベルの信号が出力され(#86でYES)、この場合には、フィルムカートリッジ1が撮影途中のものである旨が使用状態記憶レジスタに記憶される(#88)。
【0068】一方、ディスク4が図5の(c)の停止位置にあり、黒色域43がフォトリフレクタ32に対向するようになっていると、フォトリフレクタ32からローレベルの信号が出力され(#86でNO)、この場合には、フィルムカートリッジ1が撮影済みのものである旨が使用状態記憶レジスタに記憶される(#90)。
【0069】このように、フィルムカートリッジ1をカートリッジ室2内へ装填し、蓋35を閉成してロックした時点で、当該フィルムカートリッジ1の使用状態(未撮影、撮影途中、撮影済み)を直ちに判別し、当該フィルムカートリッジ1が撮影途中のものである場合には、表示部55にその旨が表示され、更に当該フィルムカートリッジ1への撮影を行なうか否かを選択すべくスイッチS6,S7のいずれかをオンするようになっているので、撮影途中のフィルムカートリッジ1が未撮影のフィルムカートリッジ1と誤認されてそのまま撮影が続行されることはない。
【0070】また、スイッチS6がオンされなければ、フィルムカートリッジ1からフィルムFが送り出されないので、必要以上にフィルムFの送り出しが行なわれず、フィルムFの損傷を防止することができる。
【0071】なお、上記実施例では、スイッチS6がオンされるとフィルムカートリッジ1の記録媒体に記録されている撮影済みのコマ数を自動的に読み取って未撮影の先頭コマまでフィルムFをフィルムカートリッジ1から送り出すようにしているが、例えば、フィルムカートリッジ1が撮影途中のものである場合に、スイッチS5がオンされるとフィルムカートリッジ1からフィルムFが送り出せないようにロックし、スイッチS6がオンされるとこのロックを解除するように構成する。そして、撮影途中でフィルムFをフィルムカートリッジ1へ巻き戻したときに、撮影者が当該撮影途中のフィルムカートリッジ1に撮影済みのコマ数を記載しておいて、スイッチS6がオンされることによりフィルムFをフィルムカートリッジ1からマニュアル操作で当該記載されたコマ数に応じて未撮影の先頭コマまでフィルムFをフィルムカートリッジ1から送り出すようにしてもよい。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、装填されたフィルムカートリッジに対し回転部材の回転位置から該フィルムカートリッジが撮影途中で巻き戻されたものであることを検出したときに、操作部材の選択内容に応じて撮影動作を選択するので、撮影途中のフィルムカートリッジを未撮影のフィルムカートリッジと誤認して撮影することを防止することができる。従って、撮影途中のフィルムカートリッジのフィルムの二重露光を確実に防止することが可能となる。また、1本のフィルム内に異なるシーンの撮影が行なわれたり、撮影枚数が意に反して不足することが防止できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 フィルムを巻回するスプールと一体回転可能で、未使用状態で初期位置に設定されてなる回転位置情報を有する回転部材を備えたフィルムカートリッジを装填し、内蔵フィルムに対し撮影指示の毎に露出を行うカメラであって、撮影途中で巻き戻す時に、上記回転部材が上記初期位置とは異なる位置で停止するように駆動するフィルム駆動手段と、装填されたフィルムカートリッジに対し上記回転部材の回転位置から該フィルムカートリッジが撮影途中で巻き戻されたものであることを検出する検出手段と、撮影の続行と撮影の中止を選択的に指示する操作部材と、上記検出手段が撮影途中で巻き戻されたフィルムカートリッジであることを検出したときに、上記操作部材の選択内容に応じて撮影動作を選択制御する撮影制御手段とを備えたことを特徴とするフィルムカートリッジ装填式カメラ。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図8】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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