説明

フィルムシート継ぎ方法及び装置

【課題】新旧フィルムを確実にシールでき、フィルム継ぎ位置に未シールのフィルム部分を残さないフィルム継ぎ方法を提供する。
【解決手段】使用に供されている旧フィルムとこれに継ぎ合わせる新フィルムにテンションを与え、新旧フィルムの継ぎ位置の内面同士または外面同士を対向させ、この状態で新旧フィルムをインパルスシールにより継ぎ合わせ、ヒートシール済み領域の中間をカットする。このように、新旧フィルムにテンションを与えた状態でシールすることで、新旧フィルムのカールや弛みが防止されフィルム継ぎ動作が安定する。また、新旧フィルムの内面または外面同士をヒートシールするので、ラミネートフィルムを用いる場合でも確実にシールできる。さらにシール領域の中間をカットすることで、未シールの余剰フィルムを残さず切り取れるので、新旧フィルムの継ぎ代部のカールを確実に防止でき、自動包装機側での動作不良を解消できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動包装機に給送される包装用フィルムシートの自動継ぎ方法及び装置に関するものであり、特に、カール性のあるフィルムシートを用いる場合に好適である。
【背景技術】
【0002】
製袋充填包装機の技術分野では、繰り出される包装用フィルムシートの終了が迫ってくると、このフィルムシート(旧フィルムシート)に対し新たなフィルムシート(新フィルムシート)を継ぎ足して一連のシートとする技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、終了間際の旧フィルムシートに対する新フィルムシートの継ぎ足しを、粘着テープを用いて行う方法が開示されている。具体的には、真空ポンプを用いて、新フィルムシートの始端を所定位置に吸着固定し、継ぎ合わせ用の粘着テープを貼り付けた状態で待機させておく。次いで、吸着固定された新フィルムシートの内面側と、旧フィルムシートの外面側とを対向させた状態で押圧して、両シートを粘着テープで接着接続するようになっている。
また特許文献1には、上記粘着テープに代えて、ヒートシールにより新旧フィルムシートの継ぎ合わせを行うことが開示されている。
【0004】
特許文献2〜4には、ヒートシーラーを間隔をおいた二箇所に設け、両ヒートシーラーの間にフィルムカッターを配設した装置が開示されている。これらの装置では、新旧フィルムシートを離れた二箇所でヒートシールして継ぎ合わせ、該二箇所のヒートシール部分の間にある未シール部分の中間を切断するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−115820号公報
【特許文献2】特開2004−338956号公報
【特許文献3】特開平5−345355号公報
【特許文献4】特開2008−1429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたフィルムシート継ぎ方法には、次のような問題がある。
【0007】
粘着テープを用いたフィルムシートの継ぎ方法は、貼り付けミスが生じ易く、特に、包装室の温度環境が粘着性能に影響し、室温によっては剥がれ易くなり貼り付けミスが頻発するといった問題がある。
【0008】
一方、ヒートシールを利用した方法では、上述したような貼り付けミスの問題は生じ難い。しかしながら、一方のフィルムシートの内面側と、他方のフィルムシートの外面側とをヒートシールする方法では、ラミネートフィルムを用いる場合にフィルム継ぎができないといった問題がある。ラミネートタイプのフィルムシートは積層構造を有し、各層が異なる材料から形成されているため、材質の異なる内面側と外面側を接触させ加熱しても溶着しない。
【0009】
また、粘着テープ及びヒートシールのいずれの場合であっても、継ぎ合わされた新旧フィルムシートの継ぎ部分には、余剰フィルム(接着・溶着されていない余ったフィルム部分)が生じる。特許文献1の場合では、旧フィルムシートの継ぎ部分(接着又は溶着した箇所)から終端までが余剰フィルムとなる。ところが、巻き癖が残るタイプのフィルムシートには強いカール性があるため、このような余剰フィルムをそのまま残しておくと、繰り出し途中でカールし、円筒状に巻回する。そして、当該カール部分(継ぎ部分から伸び出た余剰フィルム)がフィルムシートと一体となって包装機へ給送されると、厚みのあるカール部分が包装機側のフォーマーで引っかかってフィルム送りミスなどの問題が生じる。
【0010】
さらに、特許文献1に開示の方法では、旧フィルムシートの終端がボビン部(紙管)から外れた後で、フィルム継ぎを行うようになっている。このような方法では、旧フィルムシートがボビン部から外れた瞬間にテンションが失われ、その後のフィルム継ぎ動作が安定しないといった問題がある。
【0011】
また、上記特許文献2〜4に開示された装置には、次のような問題がある。
【0012】
フィルム継ぎの際に、新旧フィルムシートを二箇所でヒートシールするため、ヒートシーラーが複数必要で、加えて、二箇所のヒートシーラー間にフィルムカッターを出没可能に設ける必要があるため、装置構成が複雑になるといった問題がある。
また、二箇所のヒートシール領域の間に未シール領域があり、この未シール領域の中間をカットするようになっているため、フィルム継ぎ部分の端には未シール部分が残る。巻き癖が残るフィルムシートを用いる場合には、フィルム継ぎ部分の端(カット端)に残った未シール部分がカールし、フォーマーで引っかかるなどしてフィルム送りミスを生じるといった問題がある。
【0013】
上述した従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、温度環境やフィルムシートのタイプにかかわらず、新旧フィルムシートを確実に継ぎ合わせることができ、また、カールする余剰フィルムを継ぎ部分に残すことのない、新たなフィルムシート継ぎ方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、使用に供されている包装用のフィルムシートに対し、新たなフィルムシートを継ぎ合わせる方法において、使用に供されている旧フィルムシートと、該旧フィルムシートに対し継ぎ合わせる新フィルムシートのそれぞれにテンションを与えた状態で(弛みが生じないように引っ張り力を与えた状態で)、新旧フィルムシートをヒートシールして継ぎ合わせることによって達成される。
【0015】
また本発明の目的は、使用に供されている包装用のフィルムシートに対し、新たなフィルムシートを継ぎ合わせる方法において、使用に供されている旧フィルムシートと、該旧フィルムシートに対し継ぎ合わせる新フィルムシートのそれぞれにテンションを与え、新旧フィルムシートのフィルム継ぎ位置の内面同士または外面同士を対向させ、テンションがかかった状態で新旧フィルムシートの対向位置(フィルム継ぎ位置)をヒートシールして継ぎ合わせることによって達成される。
【0016】
上記方法では、ヒートシールをインパルスシールにより行う。
【0017】
また上記方法では、ヒートシールされた領域内(ヒートシール済みの単一領域内)の中間をカットする。
ここでいう「中間」とは、ヒートシール領域の両端の中間という意味である(離れた二箇所のヒートシール領域の間という意味ではない)。またこの「中間」は、必ずしもセンターラインに限定されない。
【0018】
また上記方法では、新旧フィルムシートのそれぞれにテンションを与える際に、各フィルムシートをクランプしてテンションをかける。各フィルムシートのクランプにはトグル機構を利用する。
【0019】
また本発明の目的は、使用に供されている包装用のフィルムシートに対し、新たなフィルムシートを継ぎ合わせる装置であって、使用に供されている旧フィルムシートと、該旧フィルムシートに対し継ぎ合わせるべき新フィルムシートとを、ヒートシールにより継ぎ合わせるシール手段と、継ぎ合わされた新旧フィルムシートのヒートシール領域内の中間をカットする中間カット手段と、を有するフィルムシート継ぎ装置によって達成される。
【0020】
上記フィルムシート継ぎ装置は、旧フィルムシートをクランプするためのクランプ手段と、新フィルムシートをクランプするためのクランプ手段と、をさらに有しており、前記クランプ手段の少なくとも何れか一方がトグル機構を含んで構成されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、新フィルムシートと旧フィルムシートのそれぞれにテンションを与えた状態で(すなわち、弛みやカールが生じないように引っ張り力を与えた状態で)両フィルムをヒートシールするようになっている。これにより、巻き癖が強く残留しカール性の強いフィルム材料を用いる場合でも、フィルム継ぎ動作が安定し、所望の姿勢を保った状態で両フィルムシートを継ぎ合わせることができる。しかも、ヒートシールにより接合するので、温度環境等の影響を受けることがなく、また粘着テープに比して接続強度が強いので、両フィルムシートを確実に継ぎ合わせることができる。
【0022】
また本発明によれば、新旧フィルムシートの内面同士または外面同士を対向させた状態で、当該対向部分をヒートシールする。同じ材質の面同士が接触するので、ラミネートタイプの合成樹脂製フィルムシートを用いる場合であっても、両フィルムシートを確実にヒートシールできる。
【0023】
また本発明によれば、ヒートシールされた領域の両端の中間をカットするようになっている。これにより、ヒートシール領域から伸び出た余剰フィルムを切り離すことができる。従来ではこの余剰フィルムはヒートシールされておらず、そのまま残しておくとカールして厚みを増し、繰り出し先の自動包装機内で引っかかって支障(フィルム送りミスなど)をきたす虞がある。一方本発明によれば、ヒートシール領域内の中間でカットすることで未シール部分が確実になくなり、継ぎ代部のカールが確実に防止され、余剰フィルムに起因する自動包装機の動作不良を解消することができる。また、ヒートシール領域の中間でカットすることで、フィルム継ぎ部(カットされたヒートシール領域の片側)は残されるので、フィルムの継ぎ合わせを損なうことはない。
また、ヒートシール領域を分断するようにカットする方法であれば、ヒートシールを一箇所で行えば足り、特許文献2〜4に開示の如く二箇所でヒートシールする必要がなくなる。したがって、フィルム継ぎのための構成を著しく簡略化できる。
さらに、ヒートシール領域の両端の中間でカットすることで、カット端に未シール部分を一切残すことがないので、フィルム継ぎ部の全体及び端部におけるカールを確実に阻止できる。
【0024】
また本発明によれば、ヒートシールをインパルスシールにより行うようになっている。これにより、粘着テープを用いる場合のように包装室温度環境の影響を受けることがなく、また、貼り付けミスが生じることはない。したがって、繰り出し先で剥離することのないように、新旧フィルムシートを確実に継ぎ合わせることができる。
また、インパルスシールを採用することで、ヒートシール領域の中間カットをヒートシールと同時期に行うことが可能になる。その結果、インパルスシールと中間カットの時間短縮と、これらの処理を行う構成のコンパクト化を図ることができる。
【0025】
また本発明によれば、新旧フィルムシートのそれぞれにテンションを与える際に、各フィルムシートをクランプしてテンションをかけるようになっている。すなわち、待機時にフィルムシートを保持する手段として、真空ポンプなどのバキューム手段を用いていないので、消費エネルギーを節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】本発明に係るフィルムシート継ぎ装置を示す側面図である。
【図1B】本発明に係るフィルムシート継ぎ装置を示す正面図である。
【図2】図1Aのフィルムシート継ぎ装置の内部構成を示す図である。
【図3A】新フィルムが下段ボビンである場合のフィルム継ぎ動作を示す図である。
【図3B】図3Aの続きを示す図である。
【図4A】新フィルムが上段ボビンである場合のフィルム継ぎ動作を示す図である。
【図4B】図4Aの続きを示す図である。
【図5A】クランプユニットを示す側面図である。
【図5B】クランプユニットを示す正面図である。
【図6A】クランプユニットの動作を示す図である。
【図6B】図6Aの続きを示す図である。
【図7】クランプユニットに新フィルムを通すときの手順を示す図である。
【図8A】フィルムカット部を示す側面図である。
【図8B】フィルムカット部を示す正面図である。
【図9】フィルム継ぎ時におけるシール・カット部とその周辺構成を示す側面図である。
【図10】フィルム継ぎ時における新旧フィルムの位置関係を示す側面図である。
【図11】インパルスシール直前、インパルスシール・中間カット時、フィルム継ぎ完了後における新旧フィルムを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係るフィルムシート継ぎ装置は、自動包装機(製袋充填包装機)との組み合わせで用いられる。その主な機能作用は、自動包装機側での使用に供されている包装用のフィルムシート(「旧フィルム」と略称する。)に対し、別体の新たなフィルムシート(「新フィルム」と略称する。)を自動的に継ぎ合わせ、一連のシートとして繰り出すことにある。
【0028】
(フィルムシート継ぎ装置の構成の概略)
はじめに、図1A,図1B,図2に基づいて、フィルムシート継ぎ装置の概略構成について説明する。
図1A及び図1Bは、それぞれ、フィルムシート継ぎ装置の側面図及び正面図である。
図2は、図1Aのフィルムシート継ぎ装置の内部構成を具体的に示す図である。
【0029】
フィルムシート継ぎ装置はフレームの内側に、主として、旧フィルム及び新フィルムをそれぞれ備えた片持ち2段式のボビン部11,12と、ボビン部からフィルムシートを繰り出し自動包装機へ給送するフィルム繰り出し部13と、上下動可能に設けられたストックローラー部14と、フィルム継ぎに備えて新フィルムの始端側をクランプするクランプユニット3と、繰り出し途中の旧フィルムを所定タイミングでクランプしボビン部から切り離すフィルムカット部5と、クランプユニット3と協動して新旧フィルムをヒートシールするシール・カット部7と、上記各構成及びその他のエアシリンダ等の動作を制御する図示しない制御回路とを有している。
【0030】
上下2段のボビン部11,12は、それぞれ片持ち式のボビン軸を備え、交換可能に設けられている。上下のボビン部の一方はロール状に巻回した旧フィルムを備えており、他方は新フィルムを備えている。旧フィルムは、先行して自動包装機へ向けて繰り出されているフィルムシートである。新フィルムは、終了間近の先行の旧フィルムに対して、内面・外面の向きを揃えて継ぎ合わされる後行のフィルムシートである。本発明では、新フィルム・旧フィルムが上段・下段の何れにセットされても、後述するフィルム継ぎを行うことが可能である。
【0031】
フィルム繰り出し部13は、自動包装機の能力や袋ピッチに合わせてフィルムシートを繰り出すための繰り出しローラーから構成されている。
【0032】
ストックローラー部14は上下動可能に設けられ、3本のローラー、ガイド用ブッシュ、ブラケット等から構成されている。ストックローラー部14のウエイトによって、フィルムシートに対して常に一定のテンションが与えられる。フィルム継ぎのために旧フィルムの繰り出しが停止している間は、ストックローラー部14が徐々に上昇して、該ストックローラー部でストックされた旧フィルムが自動包装機側へ引き出される。これにより、フィルム継ぎのために旧フィルムの繰り出しが停止している間も、自動包装機側の運転が継続される。
【0033】
上下2段のボビン部11,12にはそれぞれ、図2に示すようにベルト(ドラム)式ブレーキ18が設けられ、また、図示しないトルクモーターに連結されている。
ベルト式ブレーキ18は、エアシリンダの駆動により作動する。
トルクモーターは、主として、フィルム継ぎの一連の工程で新フィルムにテンションを与え、弛みが生じるのを防ぐ役割を担っている。
ブレーキ用エアシリンダとトルクモーターは切り替え可能に設けられ、制御回路からの所定の制御信号に応じて何れか一方が作動してボビン部を停止又は回動させる。
【0034】
クランプユニット3は、フィルム継ぎに備えて新フィルムの始端側をクランプさせておくための構成である。このクランプユニット3は、新旧フィルムのヒートシールを行う際に、シール・カット部7と協動して機能するようにもなっている。
【0035】
フィルムカット部5は、旧フィルムの終了が間近に迫ったときに、所定のタイミングで旧フィルムをクランプしボビン部から切り離すための構成である。このフィルムカット部5は、シール・カット部7が新旧フィルムのヒートシールを行う際には、所定配置(フィルム継ぎのための配置)に旧フィルムを位置決めする役割も担っている。
【0036】
シール・カット部7は、新旧フィルムの所定部位をヒートシールするとともに、帯状のヒートシール領域を中間でカット(必要に応じて「中間カット」と略称する。)するための構成である。シール・カット部7における新旧フィルムのヒートシール及び中間カットは、所定位置にあるクランプユニット3と協動して行われる。
【0037】
上記構成を有するフィルムシート継ぎ装置の動作は、図3AB及び図4ABに示されている。その具体的動作は後述する。
【0038】
以下、主要部をなすクランプユニット3、フィルムカット部5、シール・カット部7の各構成について具体的に説明する。
【0039】
(クランプユニットとそれに関連する構成)
図5A及び図5Bに基づいて、クランプユニット3及びこれに関連する構成について説明する。図5A及び図5Bは、それぞれ、クランプユニット3及びこれに関連する構成を示す側面図及び正面図である。
【0040】
トグルクランプ式のクランプユニット3は、新フィルムの始端側を挟持するためのクランプ機構31と、該クランプ機構を開閉させるためのリンク機構38とを含んで構成されている。
【0041】
クランプユニットのクランプ機構31は、リンク機構38の動作に連動して開閉する押さえ部材32と、ロッド状の支持台35とを有している。このクランプ機構31は、旧フィルムの終了に備えて、新フィルムの始端側をクランプした状態で待機する役割を担っている。またフィルム継ぎの際には、シール・カット部7と協動して、新旧フィルムのヒートシール及び中間カットを行う役割を担っている。
【0042】
クランプ機構の押さえ部材32には、フィルムカット用の溝36が形成されている。この溝36に沿って、後述するフィルムカットユニット45のフィルムカッター47をスライドさせる。
【0043】
図5Bに示すようにクランプ機構の支持台35は、後述するインパルスシーラー71と協動して機能する帯状のシール受け台33と、該シール受け台上に張設されたフィルム継ぎ溶断用ヒーター34(中間カット手段)とを有している。
【0044】
シール受け台33には、フィルム継ぎの際に、後述するインパルスシーラー71の先端面(溶着面)が突き当たるようになっている。
ヒーター34は、通電することで発熱するニクロム線から構成されている。このニクロム線からなるヒーター34は、図5Bに示すように、シール受け台33の正面側の長手方向の中間線に沿って張設されており、フィルム継ぎの際に帯状のヒートシール領域を中間でカットする役割を担っている。
上記構成のシール受け台33とヒーター34は、旧フィルムに対し新フィルムを継ぎ合わせる際にシール・カット部7と協動して機能する。
【0045】
またフィルムシート継ぎ装置は、クランプユニット3に関連する構成として、該クランプユニットへのフィルムセットの際にレジマークの位置合わせをするためのマークセンサ48と、クランプ機構31の開閉のための動力源となるクランプ用エアシリンダ40と、クランプ機構31にセットされた新フィルムから余分なフィルム端(フィルム継ぎに不要な余剰フィルム)をカットするためのフィルムカットユニット45と、クランプユニット3を装置内の所定軌道に沿って移動させるための搬送手段(後述)を備えている。
【0046】
エアシリンダ40は、図5Aに示すように、伸縮可能なピストンロッド41と、その先端に回動自在に設けられた開閉レバー42とを有しており、3ポジションの電磁弁を介して作動する。このエアシリンダ40は、ピストンロッド41を伸縮自由にする「フリーモード」と、ピストンロッド41を引き戻す「引き戻しモード」と、ピストンロッド41を押し上げる「押し上げモード」の3モードのいずれかに設定することが可能である。
【0047】
ピストンロッド先端の回動自在の開閉レバー42は、側面視略V字状に形成され、ピストンロッド41の引き戻し行程でリンク機構38と係合する押し下げ部43と、押し上げ行程でリンク機構38と係合する押し上げ部44とを有している。
【0048】
フィルムカットユニット45は、図5Bに示すように、ガイドレール46に沿ってスライド可能に設けられ、円板状のフィルムカッター47を備えている。所定位置のクランプユニット3に新フィルムを通してクランプさせた状態で、このフィルムカットユニット47を横方向にスライドさせ、クランプされた新フィルムから余剰フィルム(フィルム継ぎに不要な余剰フィルム)をカットする。
【0049】
クランプユニット3を移動させる搬送手段は、図2に示すように、装置内の所定軌道(ガイドレール)に沿って張設された動力伝達用チェーン20と、このチェーンを介してクランプユニット3を移動させる歯車21,22,23,24とを含んで構成されている。クランプユニット3は、チェーン20に連結されており、歯車が正転又は逆転することで所定軌道に沿って前進又は後退する。クランプユニット3の搬送タイミングと搬送方向は、制御回路によって制御される。
【0050】
上記構成の搬送手段の作用によって、クランプユニット3は、「フィルムセット位置」、「待機位置」、「シール位置」の3つの異なる位置に、所定のルートを経て所定のタイミングで位置決めされる。なお、新フィルムが上段ボビン部である場合と、新フィルムが下段ボビン部である場合とでは、待機位置が異なる。新フィルムが下段側である場合には「第1の待機位置」が選択され、新フィルムが上段側である場合には「第2の待機位置」が選択される。
【0051】
「フィルムセット位置」にあるクランプユニット3を、図3(1)(5)に示す。
「フィルムセット位置」は、クランプユニット3に対し新フィルムをセット可能なときの位置である。
【0052】
「第1の待機位置」にあるクランプユニット3を、図3(2)(3)に示す。
「第1の待機位置」は、シール・カット部7の近傍(シール位置の奥)であって、フィルムカット部5が横向きのシール位置へ揺動し終わるのを待っているときの位置である。新フィルムが下段ボビン部12の場合に限って、クランプユニット3の待機位置は当該「第1の待機位置」に設定される。
【0053】
「第2の待機位置」にあるクランプユニット3を、図4(2)(3)に示す。
「第2の待機位置」は、シール・カット部7の近傍(シール位置の手前)であって、フィルムカット部5が横向きのシール位置へ揺動し始めるのを待っているときの位置である。新フィルムが上段ボビン部11の場合に限って、クランプユニット3の待機位置は当該「第2の待機位置」に設定される。
【0054】
「シール位置」にあるクランプユニット3を、図3(4)に示す。
「シール位置」は、シール・カット部7の真下の位置であって、クランプユニット3とシール・カット部7とが協動して、新旧フィルムのヒートシール及び中間カットを行う位置である。
【0055】
上記構成のクランプユニット3及びその周辺構成の具体的動作は、図6及び図7に基づいて後述する。
【0056】
(フィルムカット部)
図8A及び図8Bに基づいて、フィルムカット部5の構成について説明する。
図8A及び図8Bは、それぞれ、フィルムカット部5とその周辺構成を示す側面図及び正面図である。
【0057】
フィルムカット部5は、軸51を基点として約90°揺動可能に設けられ、下向きの「運転位置」と横向きの「シール位置」との間で移動するようになっている。
【0058】
このフィルムカット部5は、軸51を基点として揺動する本体52と、ボビン部から繰り出される旧フィルムをガイドするガイドローラー53と、所定タイミングで旧フィルムをクランプするクランプレバー54と、クランプした旧フィルムをボビン側から切り離すためのフィルムカット用ナイフ60と、上記各構成を作動させるための図示しないエアシリンダとを有している。
【0059】
開閉式のクランプレバー54は、図8Bに示すように、左右一対の折り畳み式アーム55,55から構成されている。左右の各折り畳み式アームは、開閉の基点となる軸56と、折り畳みを可能にする間接部57とを有している。上記構成のクランプレバー54は、本体52と一体となって揺動する。
【0060】
クランプレバー54は、制御内容に応じて、「開状態」、「閉状態」、「クランプ状態」のいずれかの状態にセットされる。
「開状態」では、折り畳み式アーム55,55が折り畳まれて、クランプレバー54が開いた状態にある。
「閉状態」では、折り畳み式アーム55,55が直線状に展開し、本体52との間に隙間(フィルムシートを通すための隙間)をあけてクランプレバー54が閉まっている状態にある。通常の運転時には図8Aに示すように、フィルムカット部5は下向きの「運転位置」にセットされ、クランプレバー54は「閉状態」にセットされ、本体52とクランプレバー54の間の隙間を通って旧フィルムが繰り出される。
「クランプ状態」では、閉状態のクランプレバー54を本体52側へ図示しないエアシリンダにて引き寄せて、該本体との間に介在する旧フィルムをクランプしている状態にある。フィルム継ぎ時には、旧フィルムの繰り出しを自動停止してクランプ状態にセットされる。
【0061】
フィルムカット用ナイフ60は、本体内に設けられている。当該ナイフで旧フィルムをカットする際には、クランプレバー54がクランプ状態にあるときに、図示しないエアシリンダを駆動させてナイフ60をフィルム方向へ押し出す。これにより、旧フィルムのクランプ位置の下側がカットされてボビン側から切り離される。
【0062】
上記構成のフィルムカット部5が、図8Aに示す下向きの「運転位置」にあるときには、ボビン部から繰り出される旧フィルムは、ガイドローラー53を経由し、本体52とクランプレバー54の間を通って、上方へガイドされている。旧フィルムの終了が間近に迫ったときには、所定の制御信号に基づいてフィルム送りが自動停止し、上述した旧フィルムのクランプとカットを行う。
【0063】
一方、フィルムカット部が横向きの「シール位置」にあるときには、クランプした旧フィルムを、テンションを与えた状態で所定配置(シール・カット部7によるヒートシール及び中間カットのための配置)に位置決めする。
【0064】
(シール・カット部)
図9に基づいて、シール・カット部7の構成について説明する。
図9は、シール・カット部7とその周辺構成を示す側面図である。
【0065】
シール・カット部7は、新旧フィルムをヒートシールするためのインパルスシーラー71(シール手段)と、旧フィルムをインパルスシーラー71の真下に位置決めするためのガイドコーナー72,73とを有している。
【0066】
フィルムカット部5が図9に示す横向きのシール位置に揺動すると、該フィルムカット部5によってクランプされた旧フィルムは、揺動にともなってシール・カット部7のガイドコーナー72,73に当たって屈曲する。その結果、図示するように、旧フィルムがガイドコーナー72,73の間に張設され、インパルスシーラー71の真下に位置決めされる。このとき、ガイドコーナー72,73の間に張設された旧フィルムにはテンションが与えられている。
【0067】
インパルスシーラー71は、その先端に所定幅の単一のリボン状溶着面を有しており、エアシリンダを作動させることで下方に突き出すように設けられている。インパルスシーラー71に対し所定タイミングで通電を行うことで、高周波インパルスが印加され、フィルム継ぎに必要な温度に瞬時に発熱する。
【0068】
フィルム継ぎの際には、フィルムカット部5によってクランプされた旧フィルムと、クランプユニット3によってクランプされた新フィルムを、図9に示すように対向させる。この状態で、インパルスシーラー71に対し通電を行い、瞬間的に発熱させる。同時に、新旧フィルムの対向部分(フィルム継ぎ位置)に対してインパルスシーラー71の先端溶着面を押し当てることで、両フィルムをヒートシールする。
【0069】
上記構成のシール・カット部7の具体的動作は、図10及び図11に基づいて後述する。
【0070】
(フィルムシート継ぎ装置の動作1)
次に、図3A及び図3Bを中心に、フィルムシート継ぎ装置の動作を工程順に具体的に説明する。図3A及び図3Bは、旧フィルムが上段ボビン部11、新フィルムが下段ボビン部12の場合におけるフィルム継ぎ動作を工程順に示している。
【0071】
1−1. 運転中・フィルムセット状態
図3(1)に示す工程において、上段ボビン部11側の旧フィルムは自動包装機へ給送され続けており、フィルム残量には余裕がある。この状態で(すなわち旧フィルムの終了まで余裕がある間に)、新フィルムを下段側のボビン軸にセットし、その始端側を繰り出してクランプユニット3にセットする。
新フィルムをクランプユニット3にセットする際の一連の動作は、図6AB及び図7に詳細に示されている。
【0072】
図6(1)に示すように、はじめに、クランプユニット3がフィルムセット位置に到達するのを待つ。このとき、クランプユニット3は閉状態にあり、ピストンロッド41はフリーの状態(外力を受けて自由に伸縮する状態)に設定されている。
図6(2)(3)に示すようにクランプユニット3が上昇してくると、リンク機構38がピストンロッド先端の開閉レバー42に引っかかるが、ピストンロッド41がフリー状態にあるため、該ピストンロッドを引き出しながら上昇し続ける。
図6(4)に示すフィルムセット位置に達すると、クランプユニット3は自動停止する。このときまで、クランプユニット3は閉状態にあり、ピストンロッド41はフリーの状態にある。
クランプユニット3がフィルムセット位置で停止すると、図6(5)に示すように、エアシリンダ40が自動的に作動して開閉レバー42が引き戻され、その押し下げ部43がリンク機構38と係合して、クランプ機構31を開放させる。
開閉レバー42が限界まで引き戻され、クランプ機構31が全開すると、図6(6)に示す状態に達する。この状態で、クランプ機構31に新フィルムを通す準備が整う。なお、クランプ機構31に新フィルムを通す具体的手順は、図7に基づいて後述する。
クランプ機構31に新フィルムを通したら、図6(7)に示すように、エアシリンダ40を作動させて開閉レバー42の押し上げを開始する。これにより、開閉レバー42の押し上げ部44がリンク機構38と係合して、クランプ機構31が閉まり始める。
開閉レバー42が限界まで押し上げられて、図6(8)に示すようにクランプ機構31が全閉すると、クランプユニット3への新フィルムのセットが完了する。
新フィルムのセットが完了したら、エアシリンダ40の作動は解除されて、ピストンロッド41及び開閉レバー42は再びフリーの状態にセットされる。なお、クランプユニット3はトグルクランプ式を採用している為、開閉レバー42がフリーの状態に於いてもフィルムのクランプは保持される。
【0073】
次に、図6及び図7に基づいて、クランプユニット3に新フィルムを通す手順について具体的に説明する。
図6(6)に示すようにクランプ機構31が全開したら、図7(1)に示すように、ボビン部から繰り出した新フィルム始端側を、シール受け台33の正面側に通し、さらに支持台35と押さえ部材32の間に通す。なお、シール受け台33の正面に接するフィルム部分が、後の工程で旧フィルムに対してヒートシールされる。
続いて、新フィルムのレジマークを手動でマークセンサ48の位置に合わせ、図7(2)に示すようにクランプ機構31を全閉させて該新フィルムをクランプする。このクランプ工程は図6(7)(8)に対応している。
続いて、図5Aに示すフィルムカットユニット45を手動でスライドさせる。このとき、図7(3)に示すように、フィルムカットユニット45のカッター47がクランプ機構の溝36に部分的に進入した状態でスライドさせる。その結果、フィルムカットユニット45を横にスライドさせるだけで、図7(4)に示すように余剰フィルム(余分なフィルム端)がカットされる。
【0074】
1−2. 運転中・クランプユニット移動・待機状態
図3(2)に示す状態では、依然として、自動包装機への旧フィルムの繰り出しが続いている。
【0075】
クランプユニット3への新フィルムのセットが完了すると、該クランプユニットは新フィルムの始端側(カット端)をクランプした状態で、図3(2)に示すように、シール位置の奥にある待機位置へ移動する。なお、図3に例示する実施形態では、クランプユニット3は歯車22,23,24を順に経由する下ルートで待機位置へ移動する。この点で、新フィルムが上段側にセットされる場合(図4(2)との関係で後述)と異なる。
【0076】
図3(2)に示すクランプユニット3の移動中は、下段ボビン部12のブレーキを解除して、トルクモーターにより該下段ボビン部をフィルム巻取方向に駆動させ、繰り出された新フィルムが弛まないようにテンションを与え続ける。クランプユニット3が待機位置に達して停止したら、トルクモーターをオフにするとともに、ボビン部12にブレーキをかける。
【0077】
1−3. フィルム終了前・フィルム継ぎ作業開始
図3(3)に示す状態では、自動包装機へ向けて繰り出されている旧フィルムの終了が間近に迫ってきたために、フィルム送りを停止している。
【0078】
旧フィルムがすべて繰り出され、その終端がボビン部11から外れてしまうと、フィルムシートのテンションがなくなり、フィルムの特性でカールし始めてフィルム継ぎ動作が安定しない。そこで本発明では、繰り出されているフィルムシートの終端手前に設けられた「終了前信号」を利用して、旧フィルムの終端がボビン部11から外れる前に(すなわちボビン部11によって終端が保持された状態で)旧フィルムの繰り出しを自動停止する。「終了前信号」は、例えば、フィルムシート終端の手前2mの位置に貼付されたアルミ箔テープから構成される。
【0079】
繰り出される旧フィルムの残量が減り、所定の終了前検知用センサが「終了前信号」を検知すると、その直後のマークセンサによるレジマーク検知に基づいて設定量の繰り出しを行い、旧フィルムの継ぎ位置合わせを行う。これにより、旧フィルムの所定位置に対してフィルム継ぎが行われるようにする。位置合わせが完了した時点で、旧フィルムの繰り出しは完全に停止する。
【0080】
なお、旧フィルムの繰り出しが停止している間は、ストックローラー部14でストックされた旧フィルムが引き出されるので、自動包装機の運転は継続している。
【0081】
旧フィルムの終端がボビン部11から外れる前にフィルム送りを停止すると、繰り出し済みの旧フィルムが、テンションが与えられた張設状態で停止する。この状態で、運転位置(図8A参照)にあるフィルムカット部5のクランプレバー54がクランプ状態にセットされ、繰り出し途中の張設状態の旧フィルムをクランプする。続いて、旧フィルムのクランプ位置の下側をカットし、ボビン側11から切り離す。(フィルムカット部5による旧フィルムのクランプ及びカットの詳細は図8Aに基づいて後述する。)
【0082】
図3(3)に示すように、クランプした旧フィルムをボビン側から切り離したら、ボビン部11のブレーキをトルクモーターに切り替えて、カット端までの旧フィルムを巻き取る。そして所定タイム経過後、トルクモーターを停止し、ブレーキに切り替えてボビン部11を停止させる。
【0083】
一方、自動包装機側へ繋がる旧フィルムをクランプしたフィルムカット部5は、クランプ状態を保ったままで、横向きのシール位置まで移動(上へ揺動)する。続いて、待機位置にあるクランプユニット3が新フィルムを保持したまま、シール・カット部7の真下のシール位置に移動する。
【0084】
なお、クランプユニット3が待機位置からシール位置に移動する前には、下段側ボビン部12のブレーキを解除しトルクモーターに切り替えておき、移動の過程でクランプユニット3との間に繰り出される新フィルムにテンションを与えるようにする。シール位置到達後は再びブレーキに切り替えて、前記テンションが与えられた状態を維持する。
【0085】
次に、図8Aに基づいて、旧フィルムをクランプ・カットする際におけるフィルムカット部5の動作を具体的に説明する。
【0086】
通常の運転時においては、ボビン部から繰り出された旧フィルムは、下向きの運転位置にあるフィルムカット部5のガイドローラー53を経由して上昇し、本体52と閉状態のクランプレバー54の間を通り、別のガイドローラー17等を経て自動包装機へ給送されている。
【0087】
一方、終了前信号を検知してフィルム送りを自動停止すると、繰り出し済みの旧フィルムがテンションがかかった状態で停止する。この状態で、はじめに、図示しないエアシリンダを作動させて閉状態のクランプレバー54を本体52側へ引き寄せて、クランプレバー54と本体52との間で旧フィルムをクランプする。
【0088】
続いて、図示しないエアシリンダを作動させて、本体に内蔵したナイフ60を押出して、旧フィルムのクランプ位置の下側をカットする。これにより、自動包装機側へ繰り出された旧フィルムが、フィルムクランプによりテンションが与えられた状態のままで、ボビン側から切り離される。
【0089】
旧フィルムをカットしたら、クランプレバー54による旧フィルムのクランプ状態を保ちつつ、フィルムカット部5はシール位置まで移動(上へ揺動)する。
【0090】
1−4. インパルスシール・中間カット
図3(4)に示すように、フィルムカット部5及びクランプユニット3のシール位置への移動が完了すると、新旧フィルムのヒートシールとヒートシール領域の中間カットを連続して行う。ヒートシールと中間カットを行う際における、フィルムカット部5とクランプユニット3の位置関係、及び新旧フィルムの位置関係は、図10及び図11に具体的に示されている。
【0091】
図10に示すように、フィルムカット部5が下向きの「運転位置」から横向きの「シール位置」へ揺動すると、カット端をクランプされた旧フィルムが、シール・カット部7のガイドコーナー72,73に当たって屈曲する。その結果、シール・カット部7のガイドコーナー72,73の間であって、インパルスシーラー71の真下に旧フィルムが張設された状態(テンションが与えられた状態)が生じる。この状態で、ガイドコーナー72,73間に張設された旧フィルムの外面はインパルスシーラー71側を臨み、内面はクランプユニット3側を臨んでいる。
【0092】
一方、クランプユニット3が「待機位置」から「シール位置」へ移動すると、そのシール受け台33が、インパルスシーラー71の真下に位置する。このとき、シール受け台33上に張設された新フィルムにはテンションが与えられており、また、張設された新フィルムの外面はシール受け台33側を臨み、内面はインパルスシーラー71側を臨んでいる。
【0093】
したがって、フィルムカット部5及びクランプユニット3がそれぞれ「シール位置」に達すると、図10に示すように、インパルスシーラー71とシール受け台33が新旧フィルムを挟んで対向する。また、インパルスシーラー71の真下で張設された旧フィルムと、シール受け台33の真上に張設された新フィルムが、それぞれテンションがかかった状態で向かい合う。インパルスシーラー71とシール受け台33の間では、新旧フィルムの内面同士が対向している。なお、この出願において「内面」とは、製袋充填包装後の完成品の状態で内側の面となるべき側をいう。「外面」とは、その逆の外側の面となるべき側をいう。
【0094】
次に、図11に基づいて、ヒートシール時及び中間カット時の作用を具体的に説明する。
【0095】
フィルムカット部5とクランプユニット3が「シール位置」に達すると、フィルムカット部5によってクランプされた旧フィルムと、クランプユニット3によってクランプされた新フィルムとの位置関係は、図11(1)に示すとおりになる。新旧フィルムはそれぞれテンションが与えられた状態、すなわち弛みが生じないように引っ張り力が与えられた状態でクランプされている。
【0096】
図示する位置関係で、新旧フィルムのヒートシールと、ヒートシール領域の中間カットを行う。はじめに、インパルスシーラー71に瞬間的に通電を行うと同時に、エアシリンダを作動させて該インパルスシーラーを下方へ突き出す。これにより、瞬間的に発熱して突き出したインパルスシーラー71の先端面(溶着面)が、旧フィルムの上からシール受け台33に突き当たる。その結果、インパルスシーラー71の先端面とシール受け台33の間の単一の帯状領域において、対向する新旧フィルムの内面同士がヒートシールされ一体化する。
【0097】
以上のヒートシール処理によって、自動包装機側へ繋がる旧フィルムと、ボビン部から繰り出された新フィルムが、帯状のヒートシール領域(一箇所のヒートシール領域)で溶着一体化して継ぎ合わされる。なお、図示する実施形態では、一例として、シール幅が10mmに設定されている。
【0098】
ヒートシール領域から右側(ヒートシール領域を含む)は、継ぎ合わされた一連のフィルムシートを形成している。一方、ヒートシール領域の左側には、旧フィルムのカット端までの部分と、新フィルムのカット端までの部分が、未シールの余剰フィルムとなって伸び出ている。
【0099】
これらの余剰フィルムは、それぞれ新旧フィルムをクランプして前述した各動作を行うのに必要な部分(引っ張り代)ではあったが、フィルム継ぎが完了すれば以降の処理に不要な部分である。むしろ、従来技術との関係で述べたとおり、これらの未シール部分をそのまま残しておくとカールして厚みを増し、自動包装機側の動作に支障をきたすことになる。
【0100】
そこで本発明では、クランプユニット3のシール受け台33上面の中間線に沿って、溶断用ヒーター34を張設している(図5B参照)。インパルスシーラー71が下方に突き出ると、新旧フィルムが介在した状態で、該インパルスシーラーの先端溶着面がシール受け台33に突き当たり、その際同時に、該インパルスシーラーの先端溶着面の中間線上にシール受け台上の溶断用ヒーター34が当たる。そして、インパルスシーラー71への通電タイミングから僅かに遅延して(インパルスシーラー71への通電停止直後に)、シール受け台33側に設けた溶断用ヒーター34に通電を行う。
【0101】
これにより、新旧フィルムのヒートシールの直後のシール冷却中に、帯状のヒートシール領域の中間が、下側(シール受け台33側)から溶断される。すなわち、ヒートシールで一体化した単一の帯状領域が、溶断用ヒーター34により二分割される。二分割されたヒートシール領域の一方側は、自動包装機側での使用に供される一連の新旧フィルムを継ぎ合わしており、二分割されたヒートシール領域の他方側は、余剰フィルムをなす新旧フィルムのカット片を継ぎ合わしている。このように帯状のヒートシール領域を短手方向で分断することで、図11(2)に示すように、自動包装機側での使用に供される一連の新旧フィルムから、余剰フィルムの全体とそれに繋がるヒートシール領域の一部が切り離される。
【0102】
余剰フィルムを切り離した状態では、図11(3)に示すように、新旧フィルムはフィルム継ぎ部(中間カットで二分割されたヒートシール領域の片側)を介して継ぎ合わされている。なお、上述したとおり、溶断用ヒーター34によるフィルムカットは、帯状のヒートシール領域内の中間に沿って行われている。したがって、カールする余剰フィルムはすべて完全に切り離されている。また、フィルム継ぎ部は、カット端を含むすべての部分が完全一体化しているので、新旧フィルムが剥離してカールする虞はない。
【0103】
上述したヒートシール及び中間カットが完了したら、フィルムカット部5による旧フィルム切れ端のクランプが解除される。続いて、図3(5)に示すように、新旧フィルムのカット片(すなわち余剰フィルム)を掴んだ状態のクランプユニット3が、歯車24,23,22を順に経由する下ルートでフィルムセット位置へ復帰する。クランプユニット3がフィルムセット位置へ戻るときの具体的動作は、図6に基づいて前述した。
【0104】
1−5. フィルム継ぎ完了
図3(5)に示すようにクランプユニット3がフィルムセット位置に復帰すると、クランプ機構31が自動的に開いて(図6(6)参照)、回収してきた余剰フィルムを解放する。
【0105】
一方、フィルムカット部5は、横向きの「シール位置」から下向きの「運転位置」へ揺動する。このとき、揺動前にクランプレバー54を開状態(図8B参照)にセットしておき、揺動の過程で該クランプレバーがフィルムシート(継ぎ合わされた新旧フィルム)を回避できるようにする。フィルムカット部5が下向きの運転位置に復帰したら、再びクランプレバー54を閉状態にセットする。
【0106】
フィルムカット部5が図8Aに示す「運転位置」に復帰し、クランプレバー54が「閉状態」にセットされると、フィルム送りを再開する。旧フィルムに継ぎ合わされた新フィルムは、ガイドローラー53を経由し、フィルムカット部の本体52とクランプレバー54の間の隙間を通って、自動包装機へ給送される。
【0107】
(フィルムシート継ぎ装置の動作2)
上述した動作は、新フィルムが下段ボビン部である場合を例に挙げて説明した。
本発明では、新フィルムが上段ボビン部である場合も同様にフィルム継ぎ処理を行うことが可能であり、その具体的動作を図4ABに示している。上述した動作(図3AB)と共通する点については詳細な説明を省略し、相違点について具体的に説明する。
【0108】
2−1. 運転中・フィルムセット状態
図4(1)に示す工程において、下段ボビン部12側の旧フィルムは自動包装機へ給送され続けており、フィルム残量には余裕がある。この状態で(すなわち旧フィルムの終了まで余裕がある間に)、新フィルムを上段側のボビン軸にセットし、その始端側を繰り出してクランプユニット3にセットする。
新フィルムをクランプユニット3にセットする際の一連の動作・手順は、前述した動作・手順と同様である。
【0109】
2−2. 運転中・クランプユニット移動・待機状態
図4(2)に示す状態では、依然として、自動包装機への旧フィルムの繰り出しが続いている。
【0110】
クランプユニット3への新フィルムのセットが完了すると、該クランプユニットは新フィルムの始端(カット端)をクランプした状態で、図4(2)に示すように、シール位置手前の待機位置へ移動する。なお、待機位置が異なるという点で、新フィルムが下段側にセットされる場合(図3(2)との関係で前述)と異なる。
【0111】
クランプユニット3の移動中は、上段ボビン部11のブレーキを解除して、トルクモーターにより該上段ボビン部をフィルム巻取方向に駆動させ、繰り出された新フィルムにテンションを与える。クランプユニット3が待機位置に達して停止したら、再びブレーキに切り替える。
【0112】
2−3. フィルム終了前・フィルム継ぎ作業開始
図4(3)に示す工程では、フィルムカット部5における旧フィルムカット後に該フィルムカット部5が横向きのシール位置へ揺動し始めると、クランプユニット3が歯車21を経由する上ルートで「待機位置」から「シール位置」へ移動する。クランプユニット3の移動タイミングと移動ルートが異なる点を除き、図3(3)に示す動作と同様である。
【0113】
2−4. インパルスシール・中間カット
図4(4)の工程における動作は、図3(4)に示す動作と同様である。
【0114】
2−5. フィルム継ぎ完了
図4(5)の工程における動作は、図3(5)に示す動作と同様である。
【0115】
(変形例)
上述した実施形態は本発明の形態の一例であって、特許請求の範囲の記載の範囲内で種々の変形例を採用することが可能である。
【0116】
例えば上述した実施形態では、フィルム継ぎ動作において、新旧フィルムの継ぎ位置の内面同士を対向させてヒートシールしていたが、これとは逆に、継ぎ位置の外面同士を対向させてヒートシールするようにしてもよい。
【0117】
また、適用可能なフィルムシートのタイプは特に限定されず、複数材料からなるラミネートフィルムやPE単体フィルムなど様々なタイプのフィルムシートを用いることが可能である。
【符号の説明】
【0118】
3 クランプユニット(クランプ手段)
5 フィルムカット部(クランプ手段)
7 シール・カット部
9 ヒートシール領域
11 ボビン部
12 ボビン部
13 フィルム繰り出し部
14 ストックローラー部
17 ガイドローラー
18 ベルト(ドラム)式ブレーキ
20 動力伝達用チェーン
21 歯車
22 歯車
23 歯車
24 歯車
31 クランプ機構
32 押さえ部材
33 シール受け台
34 フィルム継ぎ溶断用ヒーター(中間カット手段)
35 支持台
36 溝
38 リンク機構
40 クランプ用エアシリンダ
41 ピストンロッド
42 開閉レバー
43 押し下げ部
44 押し上げ部
45 フィルムカットユニット
46 ガイドレール
47 フィルムカッター
48 マークセンサ
51 軸
52 本体
53 ガイドローラー
54 クランプレバー(クランプ手段)
55 折り畳み式アーム
56 軸
57 間接部
60 フィルム用ナイフ
71 インパルスシーラー(シール手段)
72 ガイドコーナー
73 ガイドコーナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用に供されている包装用のフィルムシートに対し、新たなフィルムシートを継ぎ合わせる方法であって、
使用に供されている旧フィルムシートと、該旧フィルムシートに対し継ぎ合わせる新フィルムシートのそれぞれにテンションを与えた状態で、新旧フィルムシートをヒートシールすることを特徴とするフィルムシート継ぎ方法。
【請求項2】
使用に供されている包装用のフィルムシートに対し、新たなフィルムシートを継ぎ合わせる方法であって、
使用に供されている旧フィルムシートと、該旧フィルムシートに対し継ぎ合わせる新フィルムシートのそれぞれにテンションを与え、
新旧フィルムシートの継ぎ位置の内面同士または外面同士を対向させ、
テンションがかかった状態で新旧フィルムシートをヒートシールする、
ことを特徴とするフィルムシート継ぎ方法。
【請求項3】
前記ヒートシールをインパルスシールにより行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルムシート継ぎ方法。
【請求項4】
ヒートシールされた領域内の中間をカットすることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルムシート継ぎ方法。
【請求項5】
新旧フィルムシートのそれぞれにテンションを与える際に、各フィルムシートをクランプしてテンションをかけることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルムシート継ぎ方法。
【請求項6】
各フィルムシートのクランプにトグル機構を利用したことを特徴とする請求項5に記載のフィルムシート継ぎ方法。
【請求項7】
使用に供されている包装用のフィルムシートに対し、新たなフィルムシートを継ぎ合わせる装置であって、
使用に供されている旧フィルムシートと、該旧フィルムシートに対し継ぎ合わせるべき新フィルムシートとを、ヒートシールにより継ぎ合わせるシール手段と、
継ぎ合わされた新旧フィルムシートのヒートシール領域内の中間をカットする中間カット手段と、を有することを特徴とするフィルムシート継ぎ装置。
【請求項8】
旧フィルムシートをクランプするためのクランプ手段と、
新フィルムシートをクランプするためのクランプ手段と、をさらに有しており、
前記クランプ手段の少なくとも何れか一方がトグル機構を含んで構成されていることを特徴とする請求項7に記載のフィルムシート継ぎ装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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