説明

フィルムハウスの多機能保持材

【課題】 フィルムハウスの規模に合わせて自在に連結展開し固定保持ができ、且散水ホースもフィルムハウス頂部に安定して保持配置できるフィルムハウスの多機能保持材を提供する。
【解決手段】 所要の厚さと幅の合成樹脂フィルムの長さ方向に、その間隔が1乃至3mの範囲の所定間隔の区分線と且長さ方向の中心線との交点を挟んで長さ方向の対称的位置2ヶ所に着脱自在な嵌着具の嵌着雌具が取付けられた固定係止幹材と、該固定係止幹材と同様の合成樹脂フィルムで、所要の長さの中央線位置には固定係止枝材とによりなるフィルムハウスの多機能保持材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルムハウスにおける被覆フィルム材の安全な固定と、融雪及び高温障害を防止する散水ホースの安定した配設保持の可能な多機能保持材に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムハウスは露地栽培により育成されていた農作物を、自然条件により隔離し気温の変動や風雨、降霜、降雪或いは鳥害や虫害等の育成阻害要因を排除する管理栽培施設による管理栽培即ちトンネルハウスが開発され、これにより蔬菜類の高品質高収量化が実現され、急速な普及がなされるに至っている。
これがためかかる管理栽培はその後育成丈の高い果菜類や花卉等への利用のために軽量鉄パイプ材による栽培施設を構築のうえ、その外面を合成樹脂フィルム材で包被させた所謂フィルムハウスが全国的に普及され、且今日においてはぶどうを初め桜桃や柑橘等極めて丈高な果樹に亘っても積極的にフィルムハウスの普及拡大化が進んでいる。
【0003】
ところでこれら果菜類や花卉類或いは果樹等のフィルムハウスにおいては、果菜類や花卉類ではその育成丈も略2乃至3mで且展開も比較的大きなため軽量鉄パイプで構築される栽培施設の高さも略3乃至4m程度となる。これがためかかる栽培施設の外面に合成樹脂フィルム材を包被させたうえは、金属素材や合成樹脂素材からなるパッカーやクリップなる係止具を用いて栽培施設を形成している軽量鉄パイプ材からなるアーチパイプ材や支柱パイプ材、裾パイプ材若しくは張りパイプ材等の適宜位置に嵌着固定し、若しくは扁平バンドや適宜の紐で包着固定させているもので、該果菜類や花卉類の栽培施設となるとその高さも3乃至4m程度に及ぶために、合成樹脂フィルム材の包被も栽培施設の両側に作業者を配して一方側より他方側へ引上げて包被させねばならず作業が面倒なうえ多数の作業者を要し、而も包被後の合成樹脂フィルムの風による孕みや飛散防止のための固定係止も、栽培施設が脆弱なため地上作業の可能な範囲に適宜の係止具を以って仮固定させたうえ、幅方向及び長さ方向に所要の間隔を以って固定用バンド若しくは固定紐を張設せしめて全体の固定係を図っている。
【0004】
反面ぶどうや桜桃、柑橘等の果樹類、特には桜桃においては果樹自体の樹丈も6乃至8mにも及び且樹葉の展開も多量で広大に亘るものであるから、かかる栽培施設は園地の外周囲に所要の間隔で且極めて高い支柱と、その内部にも所要間隔で同様に高い褄柱が立設されたうえ、該褄住の相互間には峰パイプ材が連結され、而も支柱及び褄柱の全体の構造補強を図るうえから、裾パイプが所要の高さ位置に支柱及び褄柱と連結され、更には峰パイプ材からは所要の間隔を以って対称的に弧形状アーチパイプ材が延出されその端縁が裾パイプ材と連結され、而もアーチパイプ材と直交して所要の間隔に張りパイプ材が連結された構造で構築されている。
【0005】
加えて該栽培施設は施設も高く且長さも12m程度から最長100mにも亘る大型であるから全体の軽量化とコスト低減化を図るうえから専ら軽量鉄パイプ材が使用される。反面該栽培施設に展張される合成樹脂フィルム材は、少なくともその幅が8m程度から最大で略20m程度に及び、従って該栽培施設への合成樹脂フィルム材の包被展張には極めて多数の作業者によらねばならぬばかりか、包被展張された合成樹脂フィルム材も広大な面積に亘るため、強力な風の孕み圧や風圧の付加がなされる。これがためには包被展張された合成樹脂フィルム材を栽培施設に強固に固定保持させる必要があるが、栽培施設は大型で且軽量鉄パイプ材での構築であるから脆弱であるため、栽培施設の高所固定作業も出来ず、従って強靱な固定保持テープ若しくは固定保持紐を、一側より他側に栽培施設の高所頂部を跨渡させ而もその間隔も0.5乃至1.0m程度を以って交互に結縛固定せねばならず、その固定保持作業には莫大な労力と時間を要していた。
【0006】
かかる実情に鑑み発明者は、包被展張される合成樹脂フィルム材の上面より、合成樹脂フィルム材を所要の幅と長さで且栽培施設の頂部を誘引配位させる幹部と、この幹部と直交する方向に栽培施設の幅方向に包被展張される合成樹脂フィルム材より適宜長さの長い枝部とを一体的に融着若しくは接着させた固定保持材を開発し、これにより大型栽培施設に包被展張される合成樹脂フィルム材の固定保持に係わる問題を解決し、本格的に普及されるに至っている。
【特許文献1】実用新案登録第3137327号公報
【0007】
而してかかる幹部と枝部とが一体的に融着若しくは接着形成された固定保持材は、ぶどうや桜桃、柑橘等の大型栽培施設はもとより果菜類や花卉類等の中型栽培施設への普及とともに、栽培施設の面積や幅及び長さも広範囲に亘るため、該固定保持材の幹部は所望の長さに裁断して使用可能なものの、枝部の長さは栽培施設により短い場合や長過ぎる場合も多々発生し、かかる幹部と枝部とが一体的に融着若しくは接着固定された構成では、極めて多種に亘る規格を用意せねばならない。
【0008】
更に他方において中型栽培施設や大型栽培施設は、施設コストの削減から軽量鉄パイプ材で構築されてなり、これがため冬期の降雪に際してその積雪荷重で施設崩壊事故が随所で頻発し、且降霜に際して包被展張された合成樹脂フィルム面に着霜すると栽培施設内の温度が急激に低下し低温障害が度々発生する。反面近年の平均気温の上昇に伴って夏期特には温暖地域における夏期の栽培施設内は過剰な高温化により高温障害が多発し、大きな問題となっている。
【0009】
かかる積雪や着霜への対処或いは高温障害防止には種々なる手段が提案されてなるものの、簡便且安価で効果的手段としては栽培施設頂部に配設させた散水ホースより地下水を散水させ若しくは噴霧させることが最適とされており、栽培施設即ちフィルムハウスの頂部に散水ホースを配設させる手段も強く求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述の問題を解決するためになされたもので、本発明はフィルムハウスの規模に合わせて連結展開し固定保持ができ、且散水ホースをフィルムハウス頂部に安定して保持配置できるフィルムハウスの多機能保持材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために本発明が用いた技術的手段は、フィルムハウスに包被展張される合成樹脂フィルムと、広い接触保持面積を以って保持固定を図るうえから、所要の厚さと幅の合成樹脂フィルム材の長さ方向には、その間隔が1乃至3mの範囲の適宜の長さの区分線と且長さ方向中心線との交点を挟んだ長さ方向の対称的位置2ヶ所に着脱自在な嵌着具の嵌着雌具が加圧固定若しくは融着固定されてなる固定係止幹材と、該固定係止幹材と厚さ及び幅が同一の合成樹脂フィルム材からなり、且所要の長さの中央線位置で而も固定係止幹材の嵌着雌具に嵌着可能な位置には着脱自在な嵌着具の嵌着雄具が加圧固定止若しくは融着固定された固定係止枝材とからなり、固定保持させるフィルムハウスの長さに固定係止幹材を切断し、且フィルムハウス幅長に形成された固定係止枝材が上側に且直交して配位されるよう相互の嵌着具を嵌着させたうえ、フィルムハウスの頂部を誘引させて固定保持を図ることを特徴とするフィルムハウスの多機能保持材に存するものであり、加えて固定係止幹材の交点を囲む対称的位置4ヶ所には嵌着雌具が加圧固定若しくは融着固定され、且固定係止枝材の中央線位置には固定係止幹材の嵌着雌具と嵌着可能な位置4ヶ所に、嵌着雄具が加圧固定若しくは融着固定されたフィルムハウスの多機能保持材に存する。
【0012】
更に散水ホースを安定して配設保持させるため、前記固定係止幹材に加圧固定若しくは融着固定されてなる嵌着雌具に嵌着しえる固定係止枝材の嵌着雄具が散水ホースを包着挿通しえる包着長を以って加圧固定若しくは融着固定された構成からなる、フィルムハウスの多機能保持材に存するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述の如き構成からなるものであって、所要の厚さと幅の合成樹脂フィルム材を用い、その長さ方向には間隔が1乃至3m毎の区分線と且長さ方向中心線との交点を挟んだ長さ方向の対称的位置2ヶ所若しくは交点を適宜長さの挟んだ対称的位置4ヶ所に、着脱自在な嵌着具の嵌着雌具が加圧固定若しくは融着固定されて固定係止幹材が形成されるため、該固定係止幹材が連続的且長尺状に形成できるため、フィルムハウスの規模に合わせて適宜に切断し使用することが可能である。
【0014】
そして固定係止幹材と同様の厚さと幅の合成樹脂フィルム材からなり、所要の長さの中央線位置で且固定係止幹材の嵌着雌具と嵌着可能な位置には、嵌着雄具が加圧固定若しくは融着固定されて固定係止枝材が形成されてなるから、使用に際しては該固定係止枝材を固定係止幹材の上面に且該固定係止幹材と直交するように嵌着させることにより、フィルムハウスを包被しえる長さと幅に連結形成され、この固定係止幹材の一側端を適宜の誘引ロープ等で結縛させ、フィルムハウス頂部の一側より他側に誘引させることで規模の大きな施設でも簡便にフィルムハウス全体に包被しえ、且所定の間隔毎に嵌着された固定枝材が施設両側面に配位且垂下されるため、その下端縁を地上作業において能率良く結縛しえるとともに包被展張された合成樹脂フィルムも強固に且均質に固定保持できる。
【0015】
加えて強風の付加や孕み圧の付加によっても、所要の幅の扁平状で且柔軟な素材からなるため薄肉な合成樹脂フィルムの破損や裂損も防止される。
更に本発明では固定保持枝材の嵌着雄具の配設を、通水時の散水ホースを包着挿通しえる包着長を以って加圧固定若しくは融着固定させてなるから、適宜の散水ホースを該固定保持枝材の嵌着雄具を固定保持幹材の嵌着雌具と嵌着させることにより散水ホースも包着保持され、フィルムハウス頂部全体に亘って配置固定される。従って降雪時には該散水ホースより地下水を散水することにより融雪がなされ、フィルムハウスの崩壊や損壊が防止され且降霜時には着霜の除去による低温障害が防止され、而も夏期における地下水噴霜により高温障害を確実に防止しえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
所要の厚さと幅の合成樹脂フィルム材の長さ方向には、1乃至3mの範囲の適宜間隔の区画線と、その長さ方向中心線との交点を挟んで対称的位置2ヶ所に着脱自在な嵌着具の嵌着雌具が加圧固定された固定係止幹材と、該固定係止幹材と厚さ及び幅が同一の合成樹脂フィルム材からなり、所要の長さの中央線位置で且固定係止幹材の嵌着雌具と嵌着可能な位置には、嵌合雄具が加圧固定された固定保持枝材とを用い、フィルムハウスの長さに合わせて固定保持幹材を切断のうえ、所要の長さの固定係止枝材を固定係止幹材の上側に且直交するよう配位し相互を嵌着させたうえ、固定係止幹材の一端を誘引ロープ等で、フィルムハウス頂部の一方側より他方側に誘引方被させたうえ、垂下する固定係止枝材の端縁を結縛固定させる。
【実施例1】
【0017】
以下に本発明実施例を図とともに説明すれば、図1は本発明を構成する固定係止幹材1の説明図であって、該固定係止幹材1は所要の厚さと幅の合成樹脂フィルム材1Aが用いられるもので、本発明は比較的その栽培施設規模が大きく広面積に包被展張される合成樹脂フィルムを強風圧や孕み圧によっても破損や裂損させることなく安全に保持固定させるうえから、比較的幅広扁平状で且柔軟なものが好適であることによるもので、且フィルムハウスは農作物の育成のうえから太陽光の透光も必要であることから、使用する合成樹脂フィルム材1Aも当然に透明性のものが用いられる。
【0018】
加えて該合成樹脂フィルム材1Aの厚さ及び幅は、本発明をフィルムハウスに包被展張される合成樹脂フィルムを包被固定係止させる場合に、それぞれの端縁を栽培施設の適宜部位に結縛固定するものであるから、あまり幅広で肉厚のものでは扱い性が悪くなることから、通常においては略10乃至15cm程度が好適で且その厚さも合成樹脂フィルム1Aの素材によっても異なるが、風圧に対抗しえる破断強力としては略100kg程度が望まれるもので、合成樹脂フィルム1Aの素材がポリエチレンの場合では略0.1乃至0.2程度が目処となる。
【0019】
そして固定係止幹材1はフィルムハウスの頂部をその長さ方向に亘って包被配位されるものであるが、フィルムハウスの施設規模等は育成作物によっても、或いは施設の立地条件によっても多様に亘るため、その施設の長さに合わせて適宜に切断し使用することが合理的であることから可能な限り長尺状に形成させることが好都合である。
そして該固定係止幹材1には、その間隔が1乃至3mの範囲の適宜間隔の区分線A−A線と且その長さ方向中心線B−B線との交点Pを挟んで、長さ方向の対称的位置2ヶ所には着脱自在な嵌着具3の一方の嵌着雌具3Aが加圧固定若しくは融着固定30されている。
【0020】
かくしてなる固定係止幹材1には、その適宜間隔毎に加圧固定若しくは融着固定30された嵌着雌具3Aには、フィルムハウスの頂部より両側に向かって包被展張されてなる合成樹脂フィルムの傾斜勾配に沿って該合成樹脂フィルムの下端よりやや長い長さの固定係止枝材2が該固定係止材枝2に形成された嵌着雄具3Bと嵌着されている。
即ち固定係止枝材2は、図2に示すようにその厚さ及び幅が固定係止幹材1と同様の合成樹脂フィルム1Aが用いられるとともに、その長さは栽培施設の頂部から両側の傾斜屋根部分と且その下方の裾部分に相当するものであるから、栽培施設規模の大きさに係わりなく通常では略6m、8m、10m及び12m程度で対処できる。
【0021】
そしてかかる固定係止枝材2には、その長さに対する中央線C−C線と且長さ方向の中心線D−D線との交点Pを挟んで幅方向の対称的2ヶ所に且固定係止幹材1に形成された嵌着雌具3Aと嵌着可能な位置には、着脱自在な嵌着具3の嵌着雄具3Bが加圧固定若しくは融着固定30されている。
而て図1及び図2において固定係止幹材1に形成された嵌着雌具3Aと、固定係止枝材2に形成された嵌着雄具3Bの形成方向の違いは、固定係止幹材1に対し固定係止枝材2が直交して嵌着される理由による。
【0022】
更にフィルムハウスの規模が極めて大型で風圧や孕み圧が大きく付加され若しくは平時の強風立地や台風等による強固且安全な固定係止を図るためには、固定係止幹材1及び固定係止枝材2との嵌着強力を向上させること、及び散水ホース4の通水に伴う多重化にも安定した包着保持を図るうえからは、図3に示す如く固定係止幹材1には嵌着雌具3Aを4ヶ所、及び固定係止枝材2にも嵌着雄具3Bが4ヶ所加圧固定若しくは融着固定30させることが望まれる。
【0023】
即ち図3のAは嵌着雌具3Aが4ヶ所形成された固定係止幹材1の説明図であって、その間隔が1乃至3mの範囲の適宜間隔の区分線A−A線と且その長さ方向中心線B−B線との交点Pを挟んで対称的位置に4ヶ所加圧固定若しくは融着固定30されてなるもので、更に図3のBには嵌着雄具3Bが4ヶ所形成された固定係止枝材2が示されてなるもので、固定係止枝材2の長さ分における中央線C−C線及び長さ方向の中心線D−D線との交点Pを挟んで対称的に且固定係止幹材1に形成された嵌着雌具3Aと嵌着できる位置4ヶ所に嵌着雄具3Bが加圧固定若しくは融着固定30されてなるものである。
【0024】
図4は散水ホース4の包着挿通の説明図が示されてなるもので、固定係止幹材1の嵌着雌具3A、3Aと嵌着される固定係止枝材2の嵌着雄具3B、3Bの間の固定係止枝材2が、注水され膨脹してなる散水ホース4の外周を包着挿通しえる長さ分をもって、嵌着雌具3Aと嵌着雄具3Bとが嵌着されるよう形成しておくことで可能となる。
【0025】
図5は嵌着具3の説明図であって、該嵌着具3は着脱自在で強固な嵌着力と且小型軽量で固定係止幹材1や固定係止幹材2との取付けが簡便なものが望まれる。これがためには図5に示す如くプラホック31なるものが提案され、このプラホック31は雌型プラホック32と雄型プラホック33からなり、雌型プラホック32は強靱で粘弾性及び軽量な素材が望まれることから、ポリアミド系樹脂やポリオレフィン系樹脂が好適であって、十分な圧着係止面を有しその中央には係止保持ピン32Bが一体的に形成された係止蓋32Aと、且十分な圧着係止面を有しその中央に係止保持ピン係入孔32Dを有し、而も二層に亘る係止固定溝32Eが形成された係止凹部材32Cとからなり、該雌型プラホック32は固定係止幹材1の所要の形成位置に該固定係止幹材1を挟んで係止蓋32Aと係止凹部材32Cと配位したうえ、プレス等で圧着させることにより係止蓋32Aの係止保持ピン32Bを固定係止幹材1を貫通させて係止凹部材32Cの係止保持ピン係入孔32D内に係入させて係止固定がなされる。
【0026】
他方雄型プラホック33も強靱で粘弾性及び軽量な素材が用いられるとともに、十分な圧着係止面を有しその中央には係止保持ピン33Bが一体的に形成された係止蓋33Aと、且十分な圧着係止面を有しその中央には、雌型プラホック32の二層に亘る係止固定溝32E内に係合保持される係止係合突部33Dが形成された係合凹部材33Cが形成されてなるもので、同様に固定係止枝材2の所要の形成位置に、該固定係止枝材2を挟んで係止蓋33Aと係合凹部材33Cとを配位のうえ、プレス等で圧着させることにより係止固定がなされる。
無論嵌着具3はかかるプラホック31に限定されるものではなく、着脱自在に固定係止幹材1と固定係止枝材2とが連結しえるものであれば使用出来、例示すれば面状ファスナー片や強力粘着剤の塗着手段も挙げられる。
【0027】
かかる如くして固定係止幹材1及び固定係止枝材2の所要位置に係止固定されたプラホック31の相互を嵌着させて連結を図ることにより、図6に示す如きフィルムハウスの多機能保持材5が形成される。
かくしてなるフィルムハウスの多機能保持材5を、フィルムハウスに包被展張された合成樹脂フィルムの固定保持のために使用する場合には、固定係止幹材1の一側端に適宜の誘引紐等を結縛のうえ、フィルムハウスの一側から他側にその頂部を誘引させることにより、図7の如き包被がなされ、且それぞれの固定係止枝材2の端縁を結縛することにより固定保持がなされる。
【0028】
更に固定係止幹材1と固定係止枝材2との嵌着に際して、散水ホース4を包着挿通しえるよう嵌着せしめたうえ散水ホースを挿通させて、フィルムハウスの一側から他側にその頂部を誘引させたうえ固定係止枝材2の結縛により、図8に示す如く散水ホース4がフィルムハウス頂部に安定して配置保持されることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
軽量鉄パイプ材で構築され且合成樹脂フィルムで包被展張されるフィルムハウスには農業用、畜産用或いは一般工事用にかかわらず使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】 固定係止幹材の説明図である。
【図2】 固定係止枝材の説明図である。
【図3】 嵌着具が4個で形成された固定係止幹材と固定係止枝材の説明図である。
【図4】 散水ホースの包着挿通説明図である。
【図5】 プラホックからなる嵌着具の断面説明図である。
【図6】 本発明の説明図である。
【図7】 本発明の使用態様図である。
【図8】 散水ホースを包被挿通させた使用態様図である。
【符号の説明】
【0031】
1 固定係止幹材
1A 合成樹脂フィルム材
2 固定係止枝材
3 嵌着具
3A 嵌着雌具
3B 嵌着雄具
30 加圧固定若しくは融着固定
31 プラホック
32 雌型プラホック
32A 係止蓋
32B 係止保持ピン
32C 係止凹部材
32D 係止保持ピン係入孔
32E 係止固定溝
33 雄型プラホック
33A 雄型プラホックの係止蓋
33B 雄型プラホックの係止保持ピン
33C 係合凹部材
33D 係止係合突部
4 散水ホース
5 本発明品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要の厚さと幅の合成樹脂フィルム材の長さ方向には、1乃至3mの範囲の適宜間隔毎の区画線と且長さ方向中心線の交点を挟んで、長さ方向の対称的位置2ヶ所には、着脱自在な嵌着具の嵌着雌具が加圧固定若しくは融着固定された固定係止幹材と、該固定係止幹材と同一の合成樹脂フィルム材からなり、その長さの中央線位置で且固定係止幹材の嵌着雌具と嵌着可能な位置に嵌合雄具が加圧固定若しくは融着固定された固定係止枝材とからなり、所要の長さに切断した固定係止幹材の上側より且直交して相互の嵌着具を嵌着させたうえ、フィルムハウスの頂部を誘引させ包被したうえ固定保持を図ることを特徴とする、フィルムハウスの多機能保持材。
【請求項2】
固定係止幹材の交点を囲む対称的位置4ヶ所に嵌合雌具が加圧固定若しくは融着固定され、且固定係止枝材の中央線位置には、固定係止幹材の嵌着雌具と嵌着可能な位置4ヶ所に、嵌着雄具が加圧固定若しくは融着固定されてなる、請求項1記載のフィルムハウスの多機能保持材。
【請求項3】
固定係止枝材の中央線位置に、固定係止幹材に設けられた4ヶ所の嵌着雌具と嵌着できる嵌着雄具のうち、中央線を挟んでそれぞれ2ヶ所の嵌合雄具と他の2ヶ所の嵌着雄具とが、散水ホースを包着挿通しえる長さ分を以って加圧固定若しくは融着固定させてなる、請求項2記載のフィルムハウスの多機能保持材。
【請求項4】
嵌着具が面状ファスナーである請求項1乃至請求項3記載のフィルムハウスの多機能保持材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−46051(P2010−46051A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238641(P2008−238641)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(504384516)
【Fターム(参考)】