説明

フィルム又はシートの巻き取り方法、並びにそれに使用される巻芯

【課題】 フィルム等を巻き取った後に巻芯をロール体から容易に抜き取って回収し、再利用することで省コスト化を図ることができるフィルム又はシートの巻き取り方法、並びにそれに使用される巻芯を提供することを課題とする。
【解決手段】 巻芯61上に長尺のフィルム又はシートを巻き取る方法であって、フィルム又はシート先端部の両側部を巻き取るための一対の両側巻取部62,62で先端側から巻き取って筒状支持部を形成し、その後、前記両側巻取部62,62を、形成された前記筒状支持部から抜き取ることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム又はシートの巻き取り方法、並びにそれに使用される巻芯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種材質の長尺のフィルム又はシート(以下、単に「フィルム等」と言うことがある。)を所定長さ巻き取ってロール体を形成するために、該ロール体の巻き取り工程において巻芯が用いられる。
【0003】
巻芯は、コアとも呼ばれ、通常フィルム等の薄く柔らかいものを巻き取る際に、巻き始めを安定させて斜行を防止したり、巻き皺防止等のために必要となる。かかる巻芯は、一般には、紙製、プラスチック製又は金属製の中空管が使用されている。
【0004】
このような巻芯にフィルム等を巻き取る場合、まず、接着剤を巻芯の全体もしくは一部に塗布してフィルム等の一端を接着したり、両面粘着テープを巻芯の全体もしくは一部に貼着し、この両面粘着テープの上にフィルム等の一端を貼り付けたり、あるいは巻芯の円柱面にフィルム等の一端をセットし、そのフィルム等を粘着テープによって巻芯に貼り付けたりする。また、フィルム等の一端をセットし、その状態で巻芯に数周フィルム等を巻き付けてフィルム等の自らの巻き圧によって一端を固定したりする場合もある。そして、巻芯にフィルム等の一端を固定した上で巻き取りを行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、所定の処理に用いられたフィルム等を巻き取る場合、巻き取った後の巻芯も、上記の如く、フィルム等の一端が固定されているため、ロール体の内側から巻芯のみを抜き取ることは非常に困難であり、通常、フィルム等と共に廃棄されている。
【0006】
紙管等の中空管から構成される巻芯は、その材料費及び製造コスト等がかかっているため、再利用できないと、コストがアップするという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような実情に鑑みてなされ、フィルム等を巻き取った後に巻芯をロール体から抜き取って回収し、再利用することで省コスト化を図ることができるフィルム又はシートの巻き取り方法、並びにそれに使用される巻芯を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るフィルム又はシートの巻き取り方法は、巻芯上に長尺のフィルム又はシートを巻き取る方法であって、フィルム又はシート先端部の両側部を巻き取るための一対の両側巻取部で先端側から巻き取って筒状支持部を形成し、その後、前記両側巻取部を形成された前記筒状支持部から抜き取ることを特徴とする。
【0009】
また、長尺のフィルム又はシートを巻き取るための巻芯であって、フィルム又はシートの両側部をそれぞれ巻き取り面で巻き取って筒状支持部を形成する一対の両側巻取部を備え、且つ該両側巻取部は、前記筒状支持部から離間可能に構成されることを特徴とする。
【0010】
これらの構成によれば、フィルム又はシートの両側部を巻き取って筒状支持部を形成する一対の両側巻取部を備える巻芯で、フィルム又はシートの先端部から巻き始める。そうすると、かかるフィルム又はシートの先端部が最初に両側巻取部によって巻き取られ、両側巻取部に数周巻き取られたフィルム又はシートによって筒状支持部が形成される。そして、この筒状支持部にフィルム又はシートを所定長さ巻き付けてロール体を形成した後、両側巻取部をロール体(筒状支持部及びロール状のフィルム又はシート)の左右方向(フィルム又はシートの幅方向)へ抜き取る。このとき、該両側巻取部の巻き取り面は、ロール体(筒状支持部)両側部の内周面にしか接していないため、ロール体の内周面全面に接する中空管で構成される巻芯に比べ、摩擦力が極めて小さくなるため抜き取り易くなる。
【0011】
また、前記巻き取り方法において、前記フィルム又はシートは、先端部が剛性を有する構成を採用しても良い。
【0012】
上記構成とすることで、フィルム又はシートを先端部から巻芯で巻き取って筒状支持部を形成すると、この筒状支持部はより堅く形成される。従って、この筒状支持部にさらにフィルム又はシートを巻き付けてロール体を形成する際に、筒状支持部が撓むことなく巻き取ることができるようになる。その結果、巻き取るフィルム又はシートが斜行してロール体に皺が発生することを防ぐことができる。
【0013】
また、前記一対の両側巻取部同士をつなぐ連結部がさらに備えられる構成とすることが好ましい。
【0014】
上記構成とすることで、フィルム又はシートを巻き取る際に、片側を駆動するだけで左右の両側巻取部を同期させて回転できる。これにより、一対の両側巻取部の回転速度に差が生じないため、巻き取るフィルム又はシートの斜行を防ぐことができ、巻き皺等が発生せずにきれいに巻き取ることができる。
【0015】
また、前記一対の両側巻取部は、前記巻き取り面にフィルム又はシートの先端を着脱自在に固定するための固定手段をさらに備える構成とすることが好ましい。
【0016】
上記構成とすることで、フィルム又はシートを両側巻取部にしっかりと固定できるようになり、巻き始め易くなる。また、着脱自在に固定できることからロール状に巻き取ってから巻芯を抜き取る際にも、固定手段を解放することで容易に抜き取ることができる。
【0017】
また、前記固定手段は、巻き取り方向に対して直交する方向のスリットを前記巻き取り面に設けることで構成されることが好ましい。
【0018】
上記構成とすることで、折れ線に沿って屈曲させたフィルム又はシートの先端部を両側巻取部の巻き取り面に設けられたスリットに挿入するだけで固定でき、容易に巻き取り始めることができるようになる。また、巻き取り後のロール体から巻芯を抜き取る際にも、フィルム又はシートの先端をロール体の幅方向のスリットに挿入しているだけなので、フィルム又はシート先端の固定状態を解放状態にする作業が不要であり、そのまま前記幅方向に抜き取ることができる。
【0019】
さらに、フィルム又はシートの先端を幅方向に屈曲、即ち、長さ方向に対して垂直方向に屈曲させて、巻き取り方向と直交する方向に設けられたスリットに挿入するだけで、容易に巻芯の巻き取り方向に対してまっすぐに(斜行することなく)フィルムをセットすることができる。その結果、フィルム又はシートの斜行による巻き皺が生じることなくきれいに巻き取ることができるようになる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、フィルム等を巻き取った後に巻芯をロール体から容易に抜き取って回収できるようになり、この抜き取って回収した巻芯を再利用することで省コスト化を図ることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態として、プリンタ装置と一体化されたラミネート装置であって、ラミネート処理の前提となる被記録媒体への画像記録(プリント)をも連続的に行えるようにした装置について説明する。
【0022】
図1は、全体装置の概略構成図、図2は、その具体的な断面側面図を示す。境界線Lから右側がプリンタ装置P、左側がラミネート装置Rとなっている。
【0023】
プリンタ装置Pは、本発明に直接関係がないので説明を簡単にするとして、印刷台2、インクジェット記録方式を採用したプリントヘッド3を備えており、ロール1から引き出された被記録媒体Aは、その長手方向に沿って印刷台2上を間欠的に搬送され、その間にプリントヘッド3によって印刷が施され、記録面上に画像が記録(形成)されていく。
【0024】
プリントヘッド3の下流にはカッター装置5が配置されており、記録を終えた被記録媒体Aは画像単位に切断される。そして、カットペーパーとなった各被記録媒体Aは、複数のローラ対によって搬送経路上を搬送され、しかる後、排出口8から排出され、ラミネート装置Rに順次送り込まれる。
【0025】
尚、符号4で示す構成は、プリントヘッド3をクリーニングするためのクリーナーユニット、符号6で示す構成は、被記録媒体Aの裏面に各種情報を印字可能なドッドインパクトプリンタユニット、符号7で示す構成は、被記録媒体Aが両装置P,Rに跨るような長尺の場合、プリンタ装置Pとラミネート装置Rの各処理速度差を吸収するために被記録媒体Aを一時的にループ状に撓ませてバッファを形成することがあるが、そのループを収容するための中継タンク、符号9で示す構成は、制御基板、電源基板等の電装部、符号10で示す構成は、印刷に用いられなかったインクを回収するための廃インクタンクである。
【0026】
ラミネート装置Rは、プリンタ装置Pから送り込まれた被記録媒体Aを受入口15から受け入れる。このラミネート装置Rは、ラミネート処理を行う場合と行わない場合とに切り替え選択可能に構成されており、ラミネート処理を行う場合は、振り分け部16が第1姿勢となり、被記録媒体Aがラミネート処理部17に送り込まれ、最終的にラミネート処理が施された状態で第1トレイ18上に排出される。一方、ラミネート処理を行わない場合は、振り分け部16が第2姿勢となり、被記録媒体Aがそのまま第2トレイ19上に排出される。
【0027】
図3は、ラミネート装置Rの拡大断面側面図を示す。ラミネート装置Rは本発明に直接関係があるので以下に詳細に説明していく。
【0028】
ラミネート装置Rの機能部は、振り分け部16以降の搬送経路上で搬送される被記録媒体Aの記録面側(図中の左側)からラミネート材Bを供給するラミネート材供給部20と、被記録媒体Aの記録面とは反対の面(ベース面)側(図中の右側)からアンダーフィルムEを供給するアンダーフィルム供給部30と、供給されたラミネート材B及びアンダーフィルムEの間に被記録媒体Aが供給されて積層された積層体を加熱圧着する圧着部40と、加熱圧着後のラミネート材Bから基材を剥離する剥離部50と、剥離された基材を回収する基材回収部60と、加熱圧着後のアンダーフィルムEを被記録媒体Aから分離する分離部70と、分離したアンダーフィルムEを回収するアンダーフィルム回収部80とに分けられる。
【0029】
ラミネート材供給部20は、ラミネート材Bをロールから連続シートとして供給するもので、ラミネート材Bのロールを保持するホルダー(ラミネート材原反ロール保持体)21を備える。一方、アンダーフィルム供給部30は、アンダーフィルムEをロールから連続シートとして供給するもので、アンダーフィルムEのロールを保持するホルダー(アンダーフィルム原反保持体)31を備える。
【0030】
圧着部40は、駆動ローラ41と圧着ローラ43とを備える。駆動ローラ41は、被記録媒体Aのベース面側に配置され、圧着ローラ43は、被記録媒体Aの記録面側に配置されている。両ローラ41,43間において、ラミネート材B及びアンダーフィルムE並びにその間に供給された被記録媒体Aが積層される(以下、被記録媒体A、ラミネート材B及びアンダーフィルムEの少なくとも二つ以上が積層されたものを総称して「積層体」という)。
【0031】
両ローラ41,43は、軸芯部にヒータが存在しており、加熱ローラとなっている。ローラ41,43の表面における加熱温度は、駆動ローラ41では、60〜120℃の範囲内で設定され、圧着ローラ43では、80〜120℃の範囲内で設定される。尚、圧着部40におけるアンダーフィルムE側のローラ(駆動ローラ)41も、加熱ローラとし且つラミネート材B側のローラ(圧着ローラ)43のローラ表面での加熱温度より低く設定するのは、アンダーフィルムEに対する熱影響を抑えつつ、ラミネート層D及びアンダーフィルムE間の熱溶着性を活性化させるためである。
【0032】
剥離部50は、搬送経路に対向して配置された剥離ローラ(剥離ガイド体)51と、該剥離ローラ51の上流側近傍に配置され、剥離ローラ51への基材の巻き付け角度を大きくするための段差ローラ52とを備える。剥離ローラ51は、圧着部40から下流側に距離を十分に離した位置に配置されるが、これは、圧着部40で加熱圧着されることで活性化(粘性等を発揮)したラミネート層が通常の平衡状態(接着力が強くなった状態)になってからラミネート材B(ラミネート層)に外力を作用させるようにするためである。つまり、圧着部40における加熱から所定時間を経過すれば、被記録媒体Aに対するラミネート層の接着力が基材とラミネート層との密着力よりも確実に増した状態となり、この状態で基材の剥離工程を行えば、ラミネート層が被記録媒体Aから不用意に剥がされることなく基材のみがきれいに剥がれるため、剥離部50と圧着部40との間隔を設けている。
【0033】
基材回収部60は、ラミネート層から剥離させた連続シート状の基材をロール状に巻き取って回収するもので、基材のロールを保持するホルダー(回収基材ロール保持体又は巻芯)61を備える。このホルダー61は、基材を回収した後、回収した基材によって形成されるロール体の中心から抜き取って再利用(リサイクル)できる構成をしている。図4(イ)は、ホルダー61の概略斜視図を示す。
【0034】
ホルダー61は、回収する基材を巻き付けて内側から支持する一対の両側巻取部62,62と、その間に配設され且つ一対の両側巻取部62,62同士を連結する連結部63とを備える。
【0035】
両側巻取部62は、回収する基材の側部を巻き取るための巻き取り面64を周側面とする円柱状(短筒状)に形成されている。この巻き取り面(周側面)64には、回収する基材の先端部を差し込むことができるスリット65が形成されている。そして、スリット65は、巻き取り面64の周方向に対して直交方向に一端から他端まで、且つ円柱の中心(軸心)に向かって形成されている。
【0036】
連結部63は、棒状(軸方向に長い円柱状)に形成されている。この棒状の連結部63は、両側巻取部62よりも径が小さく、長さ方向両端部には、一対の両側巻取部62,62がその中心軸が同一線上となるようにそれぞれ取り付けられている。この時、一対の両側巻取部62,62の少なくとも一方は、連結部63へ着脱自在に取り付けられている。
【0037】
このような構成とすることで、基材をロール状に巻き付けて回収した後、一方の両側巻取部62と連結部63とを分離して、一対の両側巻取部62,62をそれぞれ離間方向に抜き出すことができるようになる。このようにして抜き出したホルダー61は、基材の回収のために再利用される。
【0038】
一方、ロール状に巻き取って回収した基材は廃棄される。この時、一対の両側巻取部62,62は、ロール体の内周面の端部(基材の幅方向の側部)しか接触(支持)していないので、中空管のような巻芯(ホルダー)と比べ、ロール体の内周面に接触している面積が極めて小さいことから容易に抜き出すことができる。尚、本実施形態では、一方の両側巻取部62と連結部63とが着脱自在に構成されるが、連結部63の中間部で分離可能な構成としても良い。
【0039】
このような構成のホルダー61は、その巻き取り面64,64が剥離ローラ51よりも搬送経路の上流側となるように配置されることにより、搬送経路から剥離される基材を剥離ローラ51に巻き付かせ、併せて搬送経路に対する基材の剥離角度を決定する。
【0040】
分離部70は、搬送経路に対向して配置された分離ローラ(分離ガイド体)71を備える。分離ローラ71は、剥離ローラ51と同様、圧着部40から下流側に距離を十分に離した位置に配置されるが、これは、圧着部40で加熱圧着されることで活性化(粘性等を発揮)したラミネート層Dが通常の平衡状態(接着力が強くなった状態)になってからラミネート材B(ラミネート層)に外力を作用させるようにするためである。つまり、圧着部40における加熱から所定時間を経過すれば、被記録媒体Aに対するラミネート層の接着力が確実に増した状態となり、この状態でアンダーフィルムEの分離工程を行えば、ラミネート層が被記録媒体Aから不用意に剥がされてしまうことがないため、分離部70と圧着部40との間隔を設けている。
【0041】
アンダーフィルム回収部80は、余分なラミネート層を転写させたアンダーフィルムEの連続シートをロール状に巻き取って回収するもので、アンダーフィルムEのロールを保持するホルダー(回収アンダーフィルムロール保持体)81を備える。ホルダー81は、その巻き取り面が分離ローラ71よりも搬送経路の上流側となるように配置されることにより、搬送経路から分離されるアンダーフィルムEを分離ローラ71に巻き付かせ、併せて搬送経路に対するアンダーフィルムEの分離角度を決定する。尚、ホルダー81は、一般的な巻芯(ホルダー)の形状である中空管状に構成されていても良く、前記ホルダー61のような構成であっても良い。
【0042】
各機能部の概略構成は以上の通りである。ラミネート材Bは、予めラミネート材供給部20から引き出され、圧着部40(駆動ローラ41と圧着ローラ43との間)に挿通される。図5は、このラミネート材Bの先端部の概略部分拡大斜視図を示している。
【0043】
このラミネート材Bは、その先端部に他の部分よりも剛性を有する素材で形成された剛性部(リーダー)B1を備えている。この剛性部B1は、剛性を有してはいるがホルダー61に巻き付けることができる程度の柔軟性はある。この剛性部B1の先端部には、ラミネート材Bの長さ方向に対して直交方向に折れ線B2が設けられている。この折れ線B2は、本実施形態においてはミシン目によって形成されているが、ハーフカット、プレス線等で形成されていても良い。この剛性部B1は、ラミネート材Bの先端に接合部B3を介して接合されている。接合部B3は、本実施形態においては接着剤によって貼着されているが、ラミネート材Bに熱を加えて融着させても良く、両面粘着テープ等のテープによって貼着しても良い。また、剛性部B1は、厚みのあるラミネート材Bや合成樹脂製のフィルム等の剛性を有している素材であれば種類は問わないが、本実施形態においては紙(ペーパー)によって構成されている。尚、剛性部B1は、ラミネート材Bと一体的に形成されても良い。
【0044】
このラミネート材Bは、上記圧着部40に挿通された後、先端部が基材回収部60のホルダー61に以下のようにして巻き付けられる。図4(ロ)及び(ハ)は、ホルダー61に基材(ラミネート材B)を巻き付ける方法の概略図を示す。
【0045】
基材は、剛性部B1の先端部に設けられた折れ線B2に沿って先端が折り曲げられる。この折り曲げられた部分を、ホルダー61の両側巻取部62,62の巻き取り面64,64に設けられたスリット65,65に挿入する。この時、折れ線B2は、巻き付け方向に対して直交方向(基材の幅方向)に設けられると共に、スリット65,65も同方向に形成されている。従って、基材は、折り曲げ部をスリット65,65に挿入するだけで、巻き付け方向に対して斜行することなく真っ直ぐにホルダー61へセットされる。
【0046】
そして、この状態でホルダー61を1回転以上回転させると、基材先端の折れ線B2部分が、巻き取り面64,64に沿って巻き取られた剛性部B1によって上から(ロールの周面に向かって垂直方向に)押さえつけられる。その結果、スリット65,65に挿入された折り曲げ部が抜けなくなって固定され、基材はホルダー61に固定される。それと同時に、巻き取り面64,64に巻き付けられることによって剛性部B1が中空管状の筒状支持部を形成する。この形成された筒状支持部が、ホルダー61の軸方向の中心部(両側巻取部62,62間)に巻き取り面が形成されていなくても、巻き取り時に基材が撓んで斜行や巻き皺が生じることを防ぐ。その結果、ホルダー61に基材をきれいに巻き付けることができるようになる。
【0047】
また、アンダーフィルムEも、アンダーフィルム供給部30から引き出され、圧着部40(駆動ローラ41と圧着ローラ43との間)に挿通され、先端部がアンダーフィルム回収部80のホルダー81に巻き付けられている。この状態では、圧着部40と剥離部60との間における搬送経路で、ラミネート材BとアンダーフィルムEとが重なり合った状態となっている。尚、ホルダー81がホルダー61と同様の構成の場合には、アンダーフィルムEは、先端部に上記基材先端と同様に幅方向の折れ線が設けられた剛性部を有し、上記基材と同様にしてホルダー81に巻き付けられる。
【0048】
そして、圧着部40の駆動ローラ41のみならず、基材回収部60及びアンダーフィルム回収部80のホルダー61,81の全てに対し、スプロケット、チェーン、ギアトレイン等の周知の駆動力伝達手段によってモータ(図示しない)の駆動力が同時に伝達されるようになっている。これらの同期駆動により、ラミネート材供給部20からラミネート材Bが引っ張られ、アンダーフィルム供給部30からアンダーフィルムEが引っ張られ、且つ積層体が搬送経路に沿って下流側に搬送されるようになっている。
【0049】
また、本実施形態においては、ホルダー61の一対の両側巻取部62,62は、連結部63によって連結されているため、一対の両側巻取部62,62のどちらか一方に上記同期駆動が伝達されれば連結部63によって他方に伝達され、同期がとれる(回転速度の差がない)。しかし、両側巻取部62,62は、連結されてない独立した構成であっても良い。その場合、一対の両側巻取部62,62の回転同期がとれていなければ、回転速度の差により回収する基材が斜行してしまう。従って、一対の両側巻取部62,62間の同期がとれるような駆動力伝達手段をさらに設け、かかる駆動伝達手段又は一方の両側巻取部62に上記同期駆動が伝達されるような構成とすることが必要である。
【0050】
この状態で、受入口15から被記録媒体Aが順次供給されると、各被記録媒体Aは、記録面とラミネート層とが対向した状態でラミネート材BとアンダーフィルムEとの間に介在した状態となり、圧着部40でラミネート材B、被記録媒体A及びアンダーフィルムEが加熱圧着される。
【0051】
そして、圧着部40で得られた積層体は、剥離部50に搬送され、基材が剥離されてから、さらに分離部70に搬送され、アンダーフィルムEが分離される。この際、被記録媒体Aのベース面とアンダーフィルムEとが離間するように、被記録媒体A及びアンダーフィルムEは、相対移動することになる。即ち、被記録媒体Aは、搬送経路をさらに下流側に向けて移動しようとするのに対し、アンダーフィルムEは、被記録媒体Aの移動方向とは異なる方向(被記録媒体Aのベース面から離間する方向)に引っ張られることになる。そのため、基材が剥離された非ラミネート部分のラミネート層もアンダーフィルムEと同方向に移動しようとするため、被記録媒体Aがある部分とない部分との境界(即ち、非ラミネート部分とラミネート部分との境界)において引っ張り力が集中的に作用することになる。そうすると、確実に非ラミネート部分のみが切除されて、ラミネート部分の端縁は被記録媒体Aの端縁に沿ったきれいなものとなる。尚、当然の如く、ラミネート部分から切り離された非ラミネート部分のラミネート層は、アンダーフィルムEと共にアンダーフィルム回収部80に回収されることとなる。
【0052】
その結果、第1トレイ18には、被記録媒体Aの端縁に沿ったきれいな端縁を有し、且つ被記録媒体Aとの間に空気等が介在することなく記録面に密着したラミネート層でラミネートされた被記録媒体Aが排出されることになる。
【0053】
また、基材回収部60のホルダー61及びアンダーフィルム回収部80のホルダー81にそれぞれ巻き取られた基材(ラミネート層剥離後のラミネート材B)及びアンダーフィルムEは廃棄される。その際、ホルダー61は、両側巻取部62,62が互いに分離可能である(離間する)ため、抜き取って再利用される。尚、ホルダー81もホルダー61と同じ構成である場合は、同様に再利用することができる。
【0054】
ところで、本実施形態においては、メンテナンス性向上を図るべく、ラミネート材供給部20、アンダーフィルム供給部30、基材回収部60及びアンダーフィルム回収部80を一体的に取り扱えるよう、ラミネート装置Rの装置本体に対して着脱自在なマガジン化を図っている。図6は、そのマガジン100の断面側面図、図7は、そのマガジン100を反対側から見た外観斜視図を示す。
【0055】
マガジン100の筐体101は、ラミネート材B及びアンダーフィルムEの幅方向左右に配置される側方フレーム101a,101bと、該側方フレーム101a,101b間の適宜箇所に配されて側方フレーム101a,101bを所定間隔で連結する複数の連結フレーム101c,…とからなる。また、側方フレーム101a,101bは、それぞれ前部後部に分かれており、前部(図6では左側、図7では右側)の側方フレーム101a−1,101b−1及びそれを連結する連結フレーム101c−1,101c−2で前部筐体1Aが構成される一方、後部(図6では右側、図7では左側)の側方フレーム101a−2,101b−2及びそれを連結する連結フレーム101c−3,101c−4,101c−5で後部筐体1Bが構成される。
【0056】
そのため、筐体101は前後に分離可能である。より詳しくは、後部筐体101Bは、一部101dが前部筐体101Aに回転自在に支持されて前部筐体101Aに対して開閉自在に揺動する。また、前部筐体101Aと後部筐体101Bとが合わさった閉位置を維持するために、ロック機構102が筐体101に設けられている。
【0057】
圧着部40と剥離部50とを連絡する被記録媒体Aの搬送経路は、前部筐体101Aと後部筐体101Bとの境界部分に沿って設定されている。従って、前部筐体101Aと後部筐体101Bとの角度が開いた開位置において、搬送経路は開放され、搬送経路上の被記録媒体Aを取り出すことができる。
【0058】
ラミネート材供給部20、剥離部50及び基材回収部60は、一方の筐体(被記録媒体Aの記録面側に位置する前部筐体101A)に配置される一方、アンダーフィルム供給部30、分離部70及びアンダーフィルム回収部80は、他方の筐体(被記録媒体Aのベース面側に位置する後部筐体101B)に配置されている。
【0059】
また、連結フレーム101c−1は、連結フレーム101c−3との協働によりラミネート材供給部20を囲うようにして配置され、連結フレーム101c−2は、基材回収部60を囲うようにして配置され、連結フレーム101c−4は、連結フレーム101c−3との協働によりアンダーフィルム供給部30を囲うようにして配置され、連結フレーム101c−5は、アンダーフィルム回収部80を囲うようにして配置され、そのため、各連結フレーム101cは、防塵等のカバーとしても機能する。
【0060】
これに対し、圧着部40は、マガジン100と独立して、ラミネート装置Rの装置本体側に配置される。即ち、図3に戻り、圧着部40の駆動ローラ41及び圧着ローラ43は、装置本体の筐体90に回転自在に支持されており、マガジン100とは縁が切られている。マガジン100の前部筐体101A及び後部筐体101Bのそれぞれに形成された凹部は、圧着部40の駆動ローラ41や圧着ローラ43がマガジン101と干渉しないように設けられたものである。
【0061】
尚、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更は可能である。
【0062】
本実施形態においては、一対の両側巻取部62,62同士は、一本の棒状の連結部63によって連結されているが、複数の棒状の連結部によって連結されても良く、径の大きさが一定でない連結部によって連結されても良く、一方の両側巻取部62に伝達された駆動力を他方の両側巻取部62に伝達できる部材であれば良い。この場合、一対の両側巻取部62,62を回収した基材のロール体から抜き取り難くならないように、これら連結部は、一対の両側巻取部62,62に基材の剛性部B1を巻き付けて形成した筒状支持部の内周面に接触しないように形成及び配設されなければならない。このように形成及び配設されることでロール体(筒状支持部)内周面に接触しないため、一対の両側巻取部62,62をロール体から抜き出す際の摩擦抵抗が増えない。
【0063】
また、本実施形態においては、基材先端を固定するため、両側巻取部62にスリット65を設けているが、基材を巻き付けた後に固定姿勢と解放姿勢とに切り替え可能な固定手段を巻き取り面64に備えても良い。
【0064】
また、本実施形態においては、処理後の廃棄が予定されている基材のロール体を形成するための巻き取り方法及び巻芯であるが、例えば、製品として出荷するためのロール体を形成する際に使用される巻き取り方法または巻芯であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施形態に係る写真処理装置の概略構成図を示す。
【図2】同実施形態に係る写真処理装置の断面側面図を示す。
【図3】同実施形態に係るラミネート装置の拡大断面側面図を示す。
【図4】同実施形態に係る、(イ)は、基材回収部のホルダーの概略斜視図を示し、(ロ)及び(ハ)は、同ホルダーに基材を巻き付ける方法の概略図を示す。
【図5】同実施形態に係るラミネート材の先端部の概略部分拡大斜視図を示す。
【図6】同実施形態に係るマガジンの断面側面図を示す。
【図7】同実施形態に係るマガジンの外観斜視図を示す。
【符号の説明】
【0066】
61…ホルダー(回収基材ロール保持体又は巻芯)、62…両側巻取部、63…連結部、64…巻き取り面、65…スリット(固定手段)、B…ラミネート材(基材)、B1…剛性部(リーダー)、B2…折れ線、B3…接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯上に長尺のフィルム又はシートを巻き取る方法であって、フィルム又はシート先端部の両側部を巻き取るための一対の両側巻取部で先端側から巻き取って筒状支持部を形成し、その後、前記両側巻取部を、形成された前記筒状支持部から抜き取ることを特徴とするフィルム又はシートの巻き取り方法。
【請求項2】
前記フィルム又はシートは、先端部が剛性を有することを特徴とする請求項1記載のシートの巻き取り方法。
【請求項3】
長尺のフィルム又はシートを巻き取るための巻芯であって、フィルム又はシートの両側部をそれぞれ巻き取り面で巻き取って筒状支持部を形成する一対の両側巻取部を備え、且つ該両側巻取部は、前記筒状支持部から離間可能に構成されることを特徴とする巻芯。
【請求項4】
前記一対の両側巻取部同士をつなぐ連結部がさらに備えられることを特徴とする請求項3記載の巻芯。
【請求項5】
前記一対の両側巻取部は、前記巻き取り面にフィルム又はシートの先端を着脱自在に固定するための固定手段をさらに備えることを特徴とする請求項3又は4記載の巻芯。
【請求項6】
前記固定手段は、巻き取り方向に対して直交する方向のスリットを前記巻き取り面に設けることで構成されることを特徴とする請求項5記載の巻芯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−8663(P2007−8663A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−192020(P2005−192020)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】