説明

フィードフォワードデータによるデータタグリーダの調整

移動している物品に関するデータに応じてデータタグリーダの設定可能パラメータを調整し、物品上のデータタグの読み取りを向上させる。コントローラが、データタグ、データタグリーダ、又は物品に関する値の関数に応じてデータタグリーダを調整する。データタグリーダを調整することにより、移動している物品上のデータタグの読み取りを向上させる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
無線周波数識別(RFID)技術などのデータタグ技術は、製品又は材料に組み込まれ、或いは取り付けられて、スキャナが読み取ることのできる情報を伝えるパッシブスマートタグ(内部電源を必要としない小型アンテナ内蔵タグ)に関する。一般に、導電性すなわちパッシブなスマートタグは、データ回路及びアンテナを含む。具体的には、スマートタグは、半導体、コイルアンテナ、エッチングアンテナ、又はスタンプアンテナ、コンデンサ、及び部品を実装した、或いは組み込んだ基板を含む。通常、基板を封入しシールするために保護カバーを使用する。
【0002】
一般に、RFIDシステム及びその他のデータタグシステムはリーダ及びタグを含み、タグが、リーダからの電子信号に対して電磁応答を生成する。リーダは、通常約数フィートの可読範囲で応答信号を読み取るが、より広い又は狭い範囲も対応可能である。タグが生成する信号には、タグ又は(電子製品コードなどの)タグを含む物品を識別する情報が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第10/306,794号
【特許文献2】米国特許第6,765,476号
【特許文献3】米国特許公報20030155415号A1
【特許文献4】米国特許第6,669,089号
【特許文献5】米国特許出願第10/338,892号
【特許文献6】米国特許公報第200030174099号A1
【特許文献7】米国特許第6,750,769号
【特許文献8】米国特許公報第20020104013号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J.Lindsay著 「スマートシェルフを使用しない小売店のRFIDシステム」 文献21114D 2003年12月23日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
典型的なRFIDリーダは設定可能な電力レベルを含む。RFIDリーダに適切な電力レベルを使用することは、既存の環境における課題である。電力レベルが低すぎると、多くのデータタグを正確に読み取ることができない。電力レベルが高すぎると、近隣の他のRF装置及びRFID読み取り動作を妨害する可能性のある過剰な無線周波数(RF)ノイズが発生する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、データタグリーダに対して移動する物品上のデータタグが発する信号の受信を向上させる。ある実施形態では、本発明は、データタグリーダに接近する、データタグを有する物品の性質に関する情報を提供する別の装置が送信した信号に応じて、データタグリーダの設定可能なパラメータを調整できるようにするフィードフォワードシステムを含む。
【0007】
詳細な説明で以下さらに説明する概念の選択を簡略化した形で紹介するためにこの概要を示す。この概要は、特許請求の範囲に記載する対象の重要な特徴又は基本的な特徴を特定することを意図したものではなく、また特許請求の範囲に記載する対象の範囲を決定する際の補助として使用されることを意図したものでもない。
【0008】
他の特徴については、一部は明らかであり、一部は以下に示す。
【0009】
同じ参照文字は、図面を通して同じ部品を示すものとする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】データタグリーダを通過する物品を示す例示的なブロック図である。
【図2】本発明の実施形態の動作を示す例示的なフローチャートである。
【図3】センサモジュールからの出力に応答してデータタグリーダの位置を調整するための平行移動可能なポジショニング装置を備えた(ベースなどの)上部ポータルビームの上面図を示す例示的なブロック図である。
【図4】ウォームギアに装着された3つのデータタグリーダを有するポータルを示す例示的なブロック図である。
【図5A】ウォームギアに装着された伸縮データタグリーダアセンブリを示す例示的なブロック図である。
【図5B】ウォームギアに装着された伸縮データタグリーダアセンブリを示す例示的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すような本発明の実施形態では、データタグリーダ112は、データタグ104が発する信号の受信を増やし、及び/又はデータタグ104の応答を増やすように構成される。データタグ104、スマートタグ、又は(バーコードなどの)他の識別手段は、手動で又は機械で物品102上に配置することができる。データタグ104は、物品102の内部又は外部に配置することができる。データタグ104は識別情報を記憶する。1つの実施形態では、タグ内の情報を使用して、製造工程における物品102の工程を支援する。データタグリーダ112は、物品102に取り付けられたデータタグ104に問い合わせを行う。
【0012】
センサ106は物品102の特徴を判断する。設定モジュール108は、センサ106が判断した特徴の関数としてデータタグリーダ112のパラメータ114の値を生成する。コントローラ110は、設定モジュール108が生成した値の関数に応じてデータタグリーダ112の設定可能パラメータ114を調整する。その効果は、物品102がデータタグリーダ112又はその近くを通過する際に、移動している物品102上のデータタグ104のデータタグリーダ112による読み取りが向上する点にある。
【0013】
ある実施形態では、パッケージ又はケースのパレット或いは外面上の読み取りが容易なタグ又はバーコードが、データタグ104の中身などのデータタグの性質に関する情報を提供する。例えば、パレット上のバーコード又はデータタグ104のコードを、データベース内で(起動中の電池式タグなどの)データタグ104上のアイテムに関する情報に関連付けることができる。バーコード又はデータタグ104上のコードに関連付けられた情報は、読み取りが行われる前にデータタグリーダ112を含む(ポータル内などの)1又はそれ以上のデータタグリーダへ転送され、これにより、情報に応じてリーダを調整できるようになる。ある実施形態では、フィードフォワードにより、ジャストインタイムの読み取り、又はわずかに早めの読み取りを最適化するようにリーダを調整できるようになる。これとは別に、或いはこれに加えて、データタグ104に直接情報を書き込むことができる。
【0014】
(例えば、ストレッチ包装機を介して)パレットの構築段階中にデータタグ104に、物品102に関するコード又は情報を書き込むことができる。例えば、ケースを組み立ててパレットを構築する場合、ストレッチ包装機又は他の装置が、OATS又はSAPなどのシステムを使用してパレット上のコードに関連付けられた情報でパレットの記録を作成し、この情報をパレット上の電子製品コード又はバーコードにリンクする。
【0015】
物品102に関する情報は、リーダの種類、ポータルの形状、移動速度などに対応する電力レベルのテーブルを読み取るための推奨電力レベルを含むことができる。情報は、製品及びその包装の性質、製品の積み重ね形状、積み重ね状態におけるデータタグリーダアンテナの向きなどに基づいて、距離、向き、移動速度、干渉条件などの所定の条件に適した電力レベルの決定に(アルゴリズムなどにより)使用するようにされたデータを含むことができる。ある実施形態では、ソフトウェアシステムが、物品102に関する情報に基づいて動作し、次に荷物を読み取るためにデータタグリーダ112に対して行うべき調整を決定する。
【0016】
物品102に関する情報の少なくとも一部は、バーコード又はデータタグ104上のコード以外の手段により提供される。このような情報は、(音声認識システムでタイプされた又は口にした情報などの)オペレータがマニュアル入力したデータ、(パレット上にあるカートン数、又はカートンの積み重ね及び向きの状態を判断する撮像装置、又は製品の種類を判断するシステムなどの)視界システムが行った推定、及び具体的な出荷を特定し、その情報をデータベースで探し出すための他のラベル又はタガントシステムからの読み取りなどを含むことができる。
【0017】
データタグリーダ112は、データタグリーダ112の調整を行うための、設定可能パラメータ114などの1又はそれ以上の設定可能パラメータを有する。ある実施形態では、インタフェースを介して(例えばユニバーサルシリアルバスを介して)データタグリーダ112を設定することができる。このような実施形態では、コンピュータ装置又は端末がコントローラ110を構成する。
【0018】
物品102に対して設定可能パラメータの1又はそれ以上を調整することができる(例えば、電力レベルを上げたり、またデータタグリーダ112を動かしたりする)。データタグリーダ112を調整することにより、データタグ104の読み取りが向上するようになる。この調整は、電力レベル、データタグリーダ112の物理的な位置、呼び出し周波数、読み取り周波数、信号強度、信号の向き、(ベース108に対してその角度を変えるための回転などの)物理的な向き、動作モード、データ通信プロトコル、周波数、衝突防止アルゴリズム、又はデータタグリーダ112のその他の動きの調整を含むことができる。データタグリーダ112は、例えばデータタグ104が強い信号を有するアクティブタグであること、或いはデータタグ104がデータタグリーダ112の現在の周波数以外の周波数で動作する、或いはこれに最適化されたタグであることを検出した場合、自身の動作を調整することができる。データタグリーダ112は、タグが遠すぎる場合、又は金属、液体、又は他の材料からの干渉が存在する場合、或いはタグに関連するアンテナの向きがデータタグリーダ112にとって適切でない場合、測定された低い応答信号に対応して、例えば自身の信号強度及び位置を調整することもできる。
【0019】
設定可能パラメータ114がデータ通信プロトコルを含む実施形態では、設定モジュール108及び/又はコントローラ110が、マルチプロトコル読み取り要求からの応答フィードバックに基づいてデータ通信プロトコルを調整する。例えば、データタグリーダ112は、応答が認識され、プロトコルの1又はそれ以上に適合するまで、サンプルプロトコルA、B、及びCを通じて順番に単一の読み取りコマンドを出す。応答が認識されなかった場合、データタグリーダ112は限られた読み取り状態に入ることができ、この場合、応答が認識されるまで所定の時間これらのプロトコルの各々を使用して読み取りコマンドが送出される。
【0020】
設定可能パラメータ114が呼び出し周波数を含む実施形態では、設定モジュール108及び/又はコントローラ110が、マルチ周波数掃引読み取り要求からの応答の信号強度に基づいて呼び出し周波数を調整する。これとは別に、或いはこれに加えて、調節領域ごとの動作帯域幅を制限するためにソフトウェア制御又は物理スイッチを介してユーザが呼び出し周波数を設定できる。応答が認識されなかった場合、データタグリーダ112は限られた読み取り状態に入ることができ、この場合、応答が認識されるまで所定の時間これらの周波数の各々に基づいて読み取りコマンドが送出される。
【0021】
設定可能パラメータ114が読み取り周波数を含む実施形態では、設定モジュール108及び/又はコントローラ110が、マルチ周波数掃引読み取り要求からの応答の信号強度に基づいて読み取り周波数を調整する。これとは別に、或いはこれに加えて、調節領域ごとの動作帯域幅を制限するためにソフトウェア制御又は物理スイッチを介してユーザが読み取り周波数を設定できる。応答が認識されなかった場合、データタグリーダ112は限られた読み取り状態に入ることができ、この場合、応答が認識されるまで所定の時間これらの周波数の各々に基づいて読み取りコマンドが送出される。
【0022】
設定可能パラメータ114がデータタグリーダ112に関連付けられた1又はそれ以上のアンテナの位置を含む実施形態では、設定モジュール108及び/又はコントローラ110が、位置及び/又は近接センサに基づいてアンテナの位置を調整し、物品102及び/又はデータタグ104の位置を判断する。センサは、以下に限定されるわけではないが、光、圧力、温度、湿度、又はその他の物理的に測定可能な変数を含む。認識された及び/又は認識されなかった変数のいずれかに応じてアンテナの位置を調整することができる。自動及び/又は(ユーザなどによる)手動のいずれかでアンテナの応答及び/又は位置パラメータを設定することができる。
【0023】
設定可能パラメータ114が衝突防止アルゴリズムを含む実施形態では、設定モジュール108及び/又はコントローラ110が、データタグ104の実装及び/又は呼び出し周波数掃引についての最初のすなわち第1の応答フィードバックに基づいて衝突防止アルゴリズムを変更し、周囲の無線周波数(RF)ノイズフロアを測定する。周囲のRFノイズレベルに関する所定のしきい値に基づいて、衝突防止アルゴリズムを自動及び/又は手動で調整し、データタグ104の読み取り速度の向上を促進する。衝突防止アルゴリズムは専用のものであってもよく、及び/又は例えば、EPCglobal社の860MHz−960MHzにおけるクラス1世代2UHF RFID通信用プロトコルバージョン1.0.9などの既存のエアインタフェース規格の一部であってもよい。
【0024】
1つの実施形態では、データタグリーダ112は、ポータルを通過する物品又はアイテムに関連付けられたデータタグ104を含む複数のデータタグ上のコードを読み取る。パレット、ケース、カート、自動搬送車(AGV)、ショッピングカート、人間、車、トラック、列車、地下鉄車両、搬送ベルト上のアイテム、気送管や連続ウェブで搬送されるアイテムなどの、(データタグリーダ112、又はそれに関連付けられたベースに対して物品102を移動させる手段などの)ポータルを介してアイテムを移動させる手段を構成するあらゆるものにデータタグを実際に関連付けることができる。
【0025】
本発明の態様は、以下に限定されるわけではないが、スマートタグ及びアクティブ又はパッシブ無線周波数識別(RFID)タグを含むあらゆる形のデータタグ104とともに動作可能である。本明細書では、本発明のいくつかの実施形態は無線周波数識別(RFID)システムとともに動作可能であると説明しているが、本発明はあらゆるデータタグ手段及びデータタグリーダ手段とともに動作可能である。すなわち、本発明はRFIDに制限されるものではない。
【0026】
当業者であれば、RFIDスマートタグ技術については認識及び理解しており、これについての詳細な説明は、本発明の態様による方法及びシステムの実施形態の説明には必要でない。2002年11月27日にMarkham他によって出願された同一出願人による米国特許出願第10/306,794号「機械間通信及びイベントベースの製品製造におけるフィードフォワード制御」に開示されるPIPE/STORMシステムを含むシステムに対して、製造を向上させるためのRFIDシステムが提案されており、上記特許は引用により本明細書に組み入れられる。
【0027】
一般に、RFIDチップは、固定電子コードを含む読み出し専用チップであってもよく、或いは新しい情報を追加できる読み書きチップであってもよい。チップをセンサに関連付けてセンサ情報を読み取り、バイオセンサから得られる値などの情報に応じて信号を送信することもできる。センサに関連付けられたRFID技術を含むスマートタグの例として、温度測定及び記録用のTEMPSENS(登録商標)アクティブスマートラベルを含むKSW Microtec社(ドイツ、ドレスデン)のアクティブラベルがある。
【0028】
RFIDタグは、日立社の2.45GHzミューチップなどの微小金属アンテナに接合された厚さ30から100ミクロン、幅0.1から1ミリメートルまでのマイクロチップなどの多くの物理的形式を取ることができる。別の形として、マクセル社(日本、東京)製の「コイル−オン−チップ」システムがある。タグ及び/又はリーダ及び関連システムの供給メーカーの例として、Intermec Technoligies社(ワシントン州エベレット)、Symbol Technologies社(ニューヨーク州ホルツビル)、AWID社(ニューヨーク州モンシー)、Philips Semiconductor社(オランダ、アイントホーフェン)、及びTexas Instruments社(テキサス州ダラス)が挙げられる。
【0029】
ラップトップコンピュータ、パーソナルデータアシスタント(PDA)装置、携帯電話、又はその他の電子装置にデータタグリーダを一体化又は追加することもできる。本発明で使用するデータタグリーダ112のようなデータタグリーダは任意の周知の多様性を含むことができ、これらのリーダの中には、複数の周波数をスキャンし、或いは様々なRFIDタグ又は他の識別要素を読み取るようにされた(AWID社のリーダなどの)マルチプロトコルリーダが含まれる。データタグリーダ112のようなデータタグリーダは、タグから得られる信号又は読取られるタグを改良するために、走査周波数、信号強度、及び/又は信号の向き又は方向などを調整して、1又は複数の読み取るタグから得られる信号を向上させる適応的なリーダを含むことができる。自身の周波数を適応させるリーダは、Steeleに付与された2004年7月20日取得の米国特許第6,765,476号「マルチレベルRF識別システム」で例示的に説明されており、該特許は本明細書と矛盾しない範囲で引用により本明細書に組み入れられる。
【0030】
図1の要素は、本発明の態様の範囲において様々な入力データに作用する。例えば、設定モジュール108がセンサ106から受信した位置情報は、以下に限定されるわけではないが、センサ106、設定モジュール108、コントローラ110、及びデータタグリーダ112のいずれかに対して移動している物品102の位置を含むことができる。さらに、1つの実施形態では、この位置情報は移動している物品102の全地球測位システム座標を含む。多くの場合、ポータルを通過する所定の荷物又は製品の種類は既知の特徴を有しており、この特徴を利用してデータタグ104の読み取りを修正し、最良の結果を得ることができる。データタグリーダ112などのポータル内の1又はそれ以上のリーダの最適な調整を、通常受信するオブジェクトタイプの関数に応じて事前にプログラムすることができる。
【0031】
物流システム、SAP、又は電子データ交換(EDI)或いは船荷証券(BOL)システムなどのシステムから得られる情報を使用して、到来するものに関する情報をポータルへ送信することにより、ポータル内のリーダを読み取りのために調整できる(例えば、最適な位置に動かせる)ようになる。別の実施形態では、フィードフォワードプロセス制御システムから情報を受信し、或いは取得することができる(例えば、既に引用により本明細書に組み入れられている2003年8月21日にMarkham他によって公開された米国特許公報20030155415号A1「機械間通信及びイベントベースの製品製造におけるフィードフォワード制御」を参照のこと)。
【0032】
図1の例では、センサ106が設定モジュール108と通信している。他の実施形態では、センサ106が図1の他の要素の1又はそれ以上に物理的に関連付けられて、ポータルに接近する、或いはポータル内にある商品に関する情報を判断し、その後データタグリーダ112が最適な態様で自動的に調整される。例えば、センサ106は、(例えば、物品102は8フィートの高さであるなどの)物品102の大きさを検出するための視界システムを含むことができる。1つの実施形態では、設定可能パラメータ114は個々のデータタグリーダ112の位置であり、いくつかのデータタグリーダ(図1には図示せず)を8フィートの縦の長さをカバーするように自動的に配置することができる。より短い物品102では、リーダをより低い高さに配置することができる。別の例では、センサ106は、赤外線又は超音波センサを含むことにより、商品の積み重ねがポータルの右側に位置していると判断し、この結果、ポータルの上部ビーム上のいくつかのデータタグリーダが右にスライドし、或いはその電力レベルを上げて読み取りを向上させる。別の実施形態では、センサ106は、接近する物品102の他の材料特性を判断する。
【0033】
設定モジュール108は、センサ106から受信した異なる種類の情報のいずれかを処理して、データタグリーダ112に対する調整を計算する。構成パラメータ114がデータタグリーダ112の位置を含む実施形態では、設定モジュール108が、センサ106のデータタグリーダ112に対する位置についての知識を有する。この知識を得て、これを維持するための手段は当業で公知である。
【0034】
ある実施形態では、センサ106、設定モジュール108、及び/又はコントローラ110は、ハードウェア、ソフトウェアコンポーネント、及び/又はプロセッサを含むコンピュータで実行可能なモジュール又はコンポーネントである。
【0035】
センサ106をデータタグリーダ112から物理的に離す(例えば、少なくとも1メートル、或いは少なくも約5メートルの距離だけ離す)ことができ、或いは物理的にデータタグリーダ112の近くに置く(例えば、センサ106の少なくとも一部をデータタグリーダ112の約1メートル内に置く)ことができる。
【0036】
他の実施形態では、センサ106及びデータタグリーダ112を、物理的に接続されるように一体化することができる。例えば、センサ106が、データタグリーダ112上に、或いはその近傍に取り付けられたセンサ106で物体の存在を感知するためのビデオカメラ(或いは別様に、動き検出器、データタグ104を検出するための指向性アンテナ、光電アイなど)を含むことにより、センサ106がデータタグリーダ112と共に動けるようになる。別の実施形態では、センサ106は、データタグリーダ112の近傍のカメラであってもよいが、この場合データタグリーダ112と共には動かない。
【0037】
ある実施形態では、センサ106の少なくとも一部を、物品102又は物品102に関連付けられたデータタグ104と一体化することができる。例えば、物品102、又はフォークリフト(Cybulski他に付与された2003年12月30日取得の米国特許第6,669,089号「資産管理のための無線周波数識別システム」を参照のこと)、自動搬送車、トラック、ショッピングカートなどの物品102を運搬する装置(図示せず)を、データタグリーダ112、或いはデータタグリーダ112と協働的に関連付けられた別の装置(図示せず)によって読取られる自分の位置を示す信号を発するGPS装置に接続し、或いは関連付けることができる。このようにして、接近する物品102の位置を推測し、データタグリーダ112を適切に調整することができる。
【0038】
或いは、物品102又は物品102を輸送する装置を、カメラ、フロアのわかる位置に取り付けられたデータタグを読み取るための(データタグリーダ112のような)データタグリーダ、又はさらに図1に示すシステムと通信するようにされた、物品102の位置を追跡するための別の手段を使用する位置検出システムに統合し、或いはこれらに協働的に関連付けることにより、データタグリーダ112を適切に調整して、物品102に関連付けられたデータタグ104を最適に読み取ることができるようになる。
【0039】
1つの実施形態では、RFID技術を使用して、物品102及び/又は物品102に関連付けられたタグの位置を判断することができる。物品102又は物品102の輸送装置に関連付けられた可動データタグリーダの使用(この場合、わかる位置に固定されたタグを読み取って物品102の位置を判断する)に加えて、倉庫又はその他の環境が、固定位置に取り付けた複数のリーダを備えることもでき、これらのリーダが、物品102上のデータタグ104の存在、又は物品102を運搬する輸送装置に取り付けられた別のアクティブ又はパッシブタグ(図示せず)の存在を検出する。わかる位置にあるデータタグリーダが、物品102上のデータタグ104の存在又は輸送装置(図示せず)上の別のタグ(図示せず)の存在を検出した場合、物品102の位置を推定することができる。
【0040】
RFIDを他の方法で利用して、物品102の位置を判断することができる。例えば、タグを読み取る複数のRFIDリーダに関与する三角測量を使用して、或いはタグの位置をスキャンする方向リーダを使用してこれを行うことができる。例えば、引用により本明細書に組み入れられる2003年12月23日に文献21114DとしてIP.comで発表されたJ.Lindsayによる「スマートシェルフを使用しない小売店のRFIDシステム」を参照されたい。RFIDタグのおおよその位置を判断するようにされた指向性の及び任意的に可動のアンテナ又はアンテナアレイを備えた方向リーダを、データタグリーダ112上又はその近傍に、或いはそこから離して装着することができる。タグの空間的位置を判断するようにされたリーダシステムの1つの例が、MeadWestvaco Corporationに割り当てられた、米国特許出願第10/338,892号として出願され、2003年9月18日に公開された米国特許公報第200030174099号A1「マルチRFアンテナを使用する知的工程及びこれを取り入れた在庫管理システム及び方法」においてD.G.Bauer他により教示されており、該特許は本明細書と矛盾しない範囲で引用により本明細書に組み入れられる。別のアプローチが、R.B.Smithに付与された2004年6月15日取得の米国特許第6,750,769号「RFIDタグを使用して物体の位置を判断する方法及び装置」に記載されており、該特許は本明細書と矛盾しない範囲で引用により本明細書に組み入れられる。Smithのシステムは数多くのRFIDタグを利用し、間に物体が存在することにより、RFIDタグのいくつかがリーダに対して隠れている。隠れた信号と隠れていない信号とを分析することにより、物体に関する空間情報が得られる。
【0041】
図2は、データタグリーダによるデータタグの可読性を高めるためのデータタグリーダの設定可能パラメータの調整を示す例示的なフローチャートである。202において、本発明の態様は物品が検出されたかどうかを判断する。検出された場合、物品の記述データ又は少なくとも1つの特徴が204において(例えば、センサにより)判断される。ある実施形態では、この記述データは、データタグリーダに対するデータタグの位置、物品に対するデータタグの位置、データタグに関連付けられた種類、データタグに関連付けられたモデル、及び/又はデータタグに関連付けられたブランドを含む。本発明のある実施形態では、記述データ又は特徴を判断するステップは、別のデータタグ上のコード、音声入力システム、視界システム、人間のオペレータ、及びフィードフォワードデータベースのうちの1又はそれ以上から記述データを受信するステップを含む。記述データを判断するステップは、例えば、記述データを計算するステップ、記述データを推定するステップ、手動オペレータから記述データを受信するステップ、センサから記述データを受信するステップ、及びプロセス制御システムから記述データを受信するステップのうちの1又はそれ以上を含む。
【0042】
206において、少なくとも1つのデータタグリーダの少なくとも1つのパラメータに対して、判断された記述データ又は特徴の関数として少なくとも1つの値が生成される。明確に値を生成するか、或いは物品に関する他のデータ又は他の情報に基づいて値を推定又は計算することができる。ある実施形態では、この値は、データタグ、データタグリーダ、及び物品の構成の少なくとも1つに関する。例えば、この値は、特定の電力レベル、データ通信プロトコル、周波数、衝突防止アルゴリズム、又はデータタグリーダの設定可能パラメータに関する他の任意の値を表すことができる。本明細書の図、説明、及び実施例、並びに本明細書で具体的に説明してはいないが本発明の態様の範囲内にある要素が、データタグリーダの設定可能パラメータに関する値を生成するための手段を構成する。
【0043】
これとは別に、或いはこれに加えて、この値は、物品の大きさ、物品上のデータタグの位置、又は物品に対するデータタグリーダの望ましい位置に対応することができる。このような実施形態では、データタグリーダは、入力値に対して1又はそれ以上の演算を行って調整を行う。例えば、データタグリーダは、物品上のデータタグの入力位置を電力レベルと相関付けるためのルックアップテーブルにアクセスすることができる(例えば、データタグが物品から離れた位置ある場合、特定のレベルまで電力を上げる)。
【0044】
208において、データタグリーダのパラメータが、生成された値の関数に応じて調整される。
【0045】
ある実施形態では、設定可能パラメータを調整するステップは、物品がデータタグリーダを通過する際に、或いは物品がデータタグリーダを通過する少し前に行われる。1つの例では、クランプトラック、フォークリフト、自動搬送車などの運搬車両は、リーダ、スキャナ、或いは、タグを読み取るか又は別様に荷物の性質を識別できる他の装置を含む。装置は、荷物が接近するポータルに前もってこの情報を伝えるか、或いはこの情報を介して、ポータルが効果的な読み取りに間に合うようにポータル内のリーダの電力レベルを調整するように別様に荷物が運ばれることになる。
【0046】
210において、調整したデータタグリーダによりデータタグが読み取られる。
【0047】
ある実施形態では、1又はそれ以上のコンピュータ可読媒体が、図2に示す方法を行うためのコンピュータ実行可能命令を有する。
【0048】
次に図3を参照すると、例示的なブロック図により、センサモジュール310からの出力に応じてデータタグリーダ304の位置を調整するための平行移動可能なポジショニング装置306を備えた(ベース308などの)上部ポータルビームの上面図を示している。図3の例示的な実施形態では、設定可能パラメータは、ベース308、物品302、又はその外観に対するデータタグリーダ304の位置であり、データタグリーダ304は可動である。別の実施形態では、データタグリーダ304は固定される。このような実施形態は、物品302上のデータタグ303を含むデータタグの読み取りを向上させるための可動データタグリーダを備えた自動調整式ポータルを含む。例えば、フォークリフトなどの輸送装置が物品302を運搬しており、ポータルに接近するフォークリフトの位置がポータルの左側に近いと判断された場合、ポータルの上部ビームにある可動リーダ304が左にスライドして信号強度を高めることができる。或いは、パレットが接近中で、(約3フィートの高さなどの)短く積み重ねた物体を有すると判断された場合、ポータルの側面にあるリーダが、地上約2フィートなどのより低い位置に自動的にスライドして読み取りを向上させることができる。
【0049】
再び図3を参照すると、例示的なブロック図により、センサモジュール310からの出力に応じてデータタグリーダ304の位置を調整するための平行移動可能なポジショニング装置306を備えた(ベース308などの)上部ポータルビームの上面図を示している。一般に、物品が通過するポータルユニットは、データタグリーダ304のような(スキャナ、トランスポンダ、インテロゲータ、又はアンテナシステムなどの)1又はそれ以上のデータタグリーダを含む。例えば、Pelican Control Systems社(イギリス)のポータル及び米国特許公報第20020104013号「電子車両製品及びパーソナルモニタリング」のポータルのような、フォークリフト、パレット、及び他の荷物用のRFIDポータルが公知である。他のRFIDポータルの例として、RFID対応許可証を身に付けた会議のゲストなどの、人間に付けられたRFIDタグを読み取るためのLeads−Trakkerポータルがある。RFIDスキャナを使用する自動料金所も、本発明の範囲内にある別の形のポータルである。しかしながら、本発明は、RFIDポータルに限定されるものではなく、任意の形のポータルを使用することができる。
【0050】
図3では、(車両、製造システム内の原料、又は人間などの)物品302が、ポータルに関連付けられたセンサモジュール310及びベース308に接近している。物品302には、データタグ303が取り付けられている。(ウォームギアなどの)ベース308には、データタグリーダ304を保持する(キャリッジなどの)ポジショニング装置306が取り付けられている。ポジショニング装置306は、ベース308に沿って平行移動し、データタグリーダ304を望ましい位置に位置付けることができる。センサモジュール310は、ベース308に対して接近する物品302の位置を記述する位置情報又はその他の位置データを判断するための1又はそれ以上の位置検知要素又は(例えば、動きセンサ、ビデオカメラ、レーダー装置、金属探知器、渦電流検出器、床又はマットに埋め込まれた圧力センサ、赤外線センサなどの)その他の位置センサを含む。1つの実施形態では、センサモジュール310が判断した位置情報をベース308上の位置に関連付けるように、センサモジュール310とベース308とが位置合わせされる。本明細書で説明するセンサモジュール310及び/又はその他の要素は、位置情報を生成するための手段を構成する。
【0051】
センサモジュール310は、判断した位置情報をインタフェース312を介して設定モジュール314へ通信する。設定モジュール314は、位置情報を処理してデータタグリーダ304の望ましい位置を判断する。設定モジュール314はコントローラモジュール316と通信して、(モータなどの)アクチュエータを起動させ、ベース308に対してポジショニング装置306を動かして、データタグリーダ304を望ましい位置に配置する。別の実施形態では、ベース308が、位置情報に応答してポジショニング装置306を旋回させるように構成されたアームを含む。
【0052】
データタグリーダ304は、物品302がデータタグリーダ304の側を通過するときに物品302上のデータタグ303を読み取り、或いはスキャンする。1つの実施形態では、物品302がデータタグリーダ304の射程内に入ると、物品302の動きが減速し、或いは一瞬停止する。この減速又は停止ステップは、信号を効率良く読み取るのに適した時間を提供するために、データタグリーダ304から得られる、センサモジュール310から取得した情報、又はポータルに接近する物品に関する他の情報に対応することができる。例えば、データタグリーダ304が大きなノイズ又は干渉を含む弱い信号を検出した場合、物品302は、何回もの読み取りに十分なほど、或いはデータタグリーダ304が異なる位置又は読み取り条件で何回も読み取りを試みるのに十分なほど長く停止し、或いは減速して読み取りを向上させる必要がある。
【0053】
図4は、ウォームギア又は他の平行移動要素に取り付けられた3つのデータタグリーダ402、404、406を有するポータルを示す例示的なブロック図である。この実施形態では、個々のデータタグリーダ402、404、406の設定可能パラメータが、データタグリーダ402、404、406の各々の位置に対応する。個々のデータタグリーダ402、404、406の設定可能パラメータの値は、データタグリーダ402、404、406の望ましい位置、ベース又はその他の基準点からの相対的なオフセット値などを指定することができる。物品はポータルの中心を通って移動する。データタグリーダ402、404、406はウォームギアに沿って平行移動して、移動している物品上のデータタグの読み取りの向上を達成する。データタグリーダ402、404、406の平行移動は、(レールなどの)ポータルの側面に沿ったものであってもよいが、いずれの望ましい方向への平行移動も本発明の範囲内にある。例えば、本発明の実施形態は3次元位置制御システムを使用して動作することができる。また、いくつかのリーダ402、404、406をウォームギアに固定することもできる。その他の平行移動要素は本発明の範囲内にある。例えば、ウォームギアに加えて、平行移動要素は、ベルト、滑車、チェーン、ケーブル、及び/又はその他の位置調整手段を含むことができる。
【0054】
次に図5A及び図5Bを参照すると、例示的なブロック図により、ウォームギアに装着した伸縮データタグリーダアセンブリを示している。この実施形態では、データタグリーダの設定可能パラメータは、データタグリーダの各々の位置に対応する。図5A及び図5Bの設定可能パラメータの値は、データタグリーダの望ましい位置、ベース又は他の基準点からの相対的なオフセット値などを指定することができる。
【0055】
伸縮アセンブリは、データタグリーダをポータル内又はポータル近くにある商品の方向へ、又は商品から離して動かす。アセンブリは、データタグリーダをウォームギアに対して伸ばし、縮めるための伸縮手段を含む。図5Aは、縮めたデータタグリーダアセンブリを示す図である。図5Bは、伸ばしたデータタグリーダアセンブリを示す図である。伸縮データタグリーダアセンブリは、(図1の物品102などの)移動している物品上のデータタグを読み取るのに最適な位置にデータタグリーダを位置付ける。
【0056】
本発明は、当業で公知の任意の形のコンピュータ又はコンピュータ装置を使用することができる。ユーザは、キーボード及び(マウス、トラックボール、ペン、又はタッチパッドなどの)ポインティング装置などの当業で公知の入力装置又はユーザインタフェース選択装置を介してコマンド及び情報をコンピュータ装置に入力することができる。通常、コンピュータは、少なくともいくつかの形のコンピュータ可読媒体を有する。コンピュータ可読媒体(これには揮発性及び不揮発性の両方の媒体、取り外し可能型及び固定型の両方の媒体が含まれる)は、コンピュータがアクセスできる任意の利用可能な媒体であってよい。例として、限定的な意味ではないが、コンピュータ可読媒体はコンピュータ記憶媒体と通信媒体とを含む。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール又はその他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法又は技術で実装される揮発性及び不揮発性、取り外し可能型及び固定型媒体を含む。例えば、コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ又はその他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多機能ディスク(DVD)又はその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置又はその他の磁気記憶装置、或いは望ましい情報の記憶に使用できるとともにコンピュータ130がアクセスできる他の任意の媒体を含む。通常、通信媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又はその他のデータを、搬送波又はその他の移送メカニズムなどの変調データ信号に盛り込むとともに任意の情報配信媒体を含む。当業者であれば変調データ信号に精通しているが、この変調データ信号は、その特性集合の1又はそれ以上を有し、情報を信号の形で符号化するような態様で変更されたものである。有線ネットワーク又は直接有線接続などの有線媒体、及び音響、RF、赤外線、及びその他の無線媒体などの無線媒体が通信媒体の例として挙げられる。上記の任意の組合せもコンピュータ可読媒体の範囲内に含まれる。本発明は、本明細書で説明する方法及び技術に従ってプログラムされたものであれば、コンピュータ装置自体をも含む。
【0057】
コンピュータは、1又はそれ以上のプロセッサ又は処理ユニット及びシステムメモリを有する。コンピュータは、リモートコンピュータなどの1又はそれ以上のリモートコンピュータへの論理接続を使用してネットワーク化された環境で動作することができる。一般に、コンピュータのデータプロセッサは、コンピュータの様々なコンピュータ可読記憶媒体に異なる時刻に記憶された命令によりプログラムされる。
【0058】
本発明の実施形態をコンピュータ実行可能命令で実行することができる。コンピュータ実行可能命令は、1又はそれ以上のコンピュータ又はその他の装置により実行される1又はそれ以上のコンピュータ実行可能コンポーネント又はモジュールで構成することができる。一般に、プログラムモジュールは、以下に限定されるわけではないが、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、及び特定のタスクを実行し、或いは特定の抽象データ型を実装するデータ構造を含む。本発明の態様は、任意の数及び構成のこのようなコンポーネント又はモジュールで実行することができる。例えば、本発明の態様は、図に示し本明細書で説明する特定のコンピュータ実行可能命令又は特定のコンポーネント又はモジュールに限定されるものではない。本発明の別の実施形態は、本明細書で図示及び説明するものよりも多くの又は少ない機能を有する様々なコンピュータ実行可能命令又はコンポーネントを含むことができる。
【0059】
本発明の態様は、通信ネットワークを介してリンクされた遠隔処理装置によってタスクが実行される分散コンピューティング環境でも実施することができる。分散コンピューティング環境では、メモリ記憶装置を含むローカル及び遠隔のコンピュータ記憶媒体の両方にプログラムモジュールを配置することができる。
【0060】
動作中、例示のコンピュータは、図に示すようなコンピュータ実行可能命令を実行して本発明の態様を実施する。
【0061】
例示的なシステム環境に関連して説明しているが、本発明の実施形態は、数多くの他の汎用の又は特定用途の環境又は構成で実施可能である。例示的なシステム環境は、本発明の任意の態様の使用又は機能の範囲に関していずれの限定も意図したものでもない。さらに、このシステム環境は、例示的な動作環境で示すコンポーネントの任意の1つ又は組合せに関して任意の従属関係又は要件を有するものであると解釈すべきではない。
【0062】
本明細書で開示するRFIDの実施形態の代わりに、潜在的に他の多くの技術を使用することができる。例えば、RFIDリーダの代わりに光スキャナ、画像分析装置、多くの化学検出装置などを使用することにより、識別手段を読み取るための他の技術が応用できるようになる。
【0063】
本発明の範囲内にある関連技術に、表面弾性波(SAW)技術がある。例えば、InfoRay社(マサチューセッツ州ケンブリッジ)は、アンテナに結合したチップ上の表面弾性波(SAW)装置を使用して(30メートルまでの)長距離を達成すると言われるパッシブスマートタグを販売している。SAW装置は無線信号を音波に変換し、これを識別コードで変調し、次にこれをスマートタグが発してスキャナが読み取る別の無線信号に変換する。スマートタグの識別コードは無線信号から抽出される。RFSAW社(テキサス州ダラス)は、本発明の範囲内で使用できる小型表面弾性波(SAW)RFID装置を提供する。
【0064】
別の関連する技術に、超広帯域(UWB)技術がある。UWB技術は、低出力電磁送信を使用して物体間の無線通信を可能にする。しかしながら、一般に、受信器及び送信器は両方ともアクティブではあるが、特定の周波数の送信よりはむしろ広帯域の周波数をカバーする間欠パルスに依拠するため、通常、無線周波数ノイズよりも低い非常に低い出力を使用する。UWB技術は、BLUETOOTHブランドコンピュータの信サービス又は米電気電子学会(IEEE)の802.11a又は802.11bなどの他の無線規格よりも高い空間容量(単位面積当たりの情報送信)を提供することができる。
【0065】
本明細書で図示及び説明した方法の実行又は動作の順序は、特に定めない限り本質的な要素ではない。すなわち、本方法の要素は、特に定めない限りどのような順序でも実行することができ、また本方法は、本明細書に開示した要素よりも多くの又は少ない要素を含むことができる。例えば、別の要素の前に、別の要素と同時に、又は別の要素の後に特定の要素を実行し、機能させることは、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0066】
本発明の要素又は本発明の(単複の)実施形態を紹介する場合、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、要素のうちの1又はそれ以上の存在を意味することを意図するものである。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、包括的な用語であり、リストした要素以外の追加の要素が存在する可能性があることを意味するものである。
【0067】
本発明の態様を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義する本発明の態様の範囲から逸脱することなく修正及び変更が可能であることを理解できよう。本発明の態様の範囲から逸脱することなく、上記の構成、製品、及び方法に様々な変更が行われ得る場合、上記の説明に含み、添付の図面に示した全ての事柄は、例示的なものであると解釈すべきであり、本発明を限定する意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0068】
102 物品
104 データタグ
106 センサ
108 設定モジュール
110 コントローラ
112 データタグリーダ
114 構成可能パラメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品がデータタグリーダに対して移動しているときに前記物品上のデータタグを読み取るためのシステムであって、
データタグの読み取りを向上させるための設定可能パラメータを有し、前記移動している物品上のデータタグを読み取るようにされたデータタグリーダと、
前記データタグ、データタグリーダ、及び物品の構成の少なくとも1つに関する値の関数に応じて、前記データタグリーダの設定可能パラメータをさらに調整し、前記データタグが発する信号の受信を増やすようにされた、前記設定可能パラメータを制御するためのコントローラと、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記設定可能パラメータは前記データタグリーダの電力レベルを含み、前記コントローラは前記値の関数に応じて前記電力レベルを調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記設定可能パラメータはデータ通信プロトコルを含み、前記コントローラは複数の読み取り要求への応答に基づいて前記データ通信プロトコルを変更し、前記読み取り要求の各々は異なるデータ通信プロトコルにより送出される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記設定可能パラメータは呼び出し周波数を含み、前記コントローラは複数の読み取り要求への応答に基づいて前記呼び出し周波数を調整し、前記読み取り要求の各々は異なる呼び出し周波数により送出される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記設定可能パラメータは衝突防止アルゴリズムを含み、前記コントローラは、測定された周囲の無線周波数ノイズレベルに基づいて前記衝突防止アルゴリズムを調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記設定可能パラメータは前記データタグリーダの位置を含み、前記コントローラは、前記物品上の前記データタグの位置に基づいて前記データタグリーダの位置を調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記値を生成するための手段をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記データタグリーダは無線周波数識別リーダを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記データタグリーダはアンテナを含み、前記設定可能パラメータはアンテナ位置を含み、前記コントローラは前記値の関数に応じて前記アンテナ位置を調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記値は、前記物品の位置又は大きさと、前記物品上の前記データタグの位置又は大きさと、前記物品に対する前記データタグリーダの位置又は大きさとのうちの1又はそれ以上を表すものである、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
原料を含む前記物品を前記データタグリーダに対して移動させるための手段をさらに含み、前記データタグリーダに対して前記物品を移動させるための前記手段は、フォークリフト、ショッピングカート、自動車、自動搬送車、パレット、ケース、人間、列車、地下鉄車両、搬送ベルト、気送管、及び連続ウェブのうちの1又はそれ以上を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記物品の位置を判断するためのセンサをさらに含み、該センサは、位置検知要素、位置センサ、動きセンサ、ビデオカメラ、レーダー装置、金属探知器、渦電流検出器、床又はマットに埋め込まれた圧力センサ、及び赤外線センサのうちの1又はそれ以上を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記データタグリーダのパラメータを調整して、データタグリーダによるデータタグの可読性を向上させる方法であって、
前記データタグに関連付けられた記述データを判断するステップと、
前記判断した記述データに応じて前記データタグリーダの設定可能パラメータを調整して、前記データタグリーダによる前記移動している物品上の前記データタグの読み取りを向上させるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記記述データは、前記データタグリーダに対する前記データタグの位置、前記物品に対する前記データタグの位置、前記データタグに関連付けられた種類、前記データタグに関連付けられたモデル、及び前記データタグに関連付けられたブランドを含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記記述データを判断するステップは、別のデータタグ上のコード、音声入力システム、視界システム、人間のオペレータ、及びフィードフォワードデータベースのうちの1又はそれ以上から記述データを受信するステップを含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記記述データを判断するステップは、前記記述データを計算するステップと、前記記述データを推定するステップと、手動オペレータから前記記述データを受信するステップと、センサから前記記述データを受信するステップと、プロセス制御システムから前記記述データを受信するステップとのうちの1又はそれ以上を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記設定可能パラメータを調整するステップは、前記物品が前記データタグリーダを通過する際に行われる、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
データタグリーダに対して移動している物品上のデータタグの可読性を向上させるためのコンピュータ実行可能コンポーネントを有する1又はそれ以上のコンピュータ可読媒体であって、前記コンポーネントは、
前記物品の特徴を判断するためのセンサモジュールと、
前記センサモジュールにより判断された前記特徴の関数として前記データタグリーダのパラメータの値を生成するための設定モジュールと、
前記設定モジュールが生成した値の関数に応じて前記データタグリーダの前記設定可能パラメータを調整し、前記データタグリーダによる前記移動している物品上のデータタグの読み取りを向上させるためのコントローラモジュールと、
を備えることを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記センサモジュールは、プロセス制御システムから前記特徴を受信する、
ことを特徴とする請求項18に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記データタグは無線周波数識別タグを含む、
ことを特徴とする請求項18に記載のコンピュータ可読媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2010−503053(P2010−503053A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526213(P2009−526213)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052948
【国際公開番号】WO2008/026111
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】