説明

フィールド機器の充電システム

【課題】保守が容易で、装置の小型化や電力ロスの軽減を図ることができる充電システムを提供する。
【解決手段】充電された電力により作動する、複数のフィールド機器の各々に充電を行うフィールド機器の充電システムである。電源ラインが複数のフィールド機器に共通に接続される。前記複数のフィールド機器の中から一部のフィールド機器を充電対象として選択し、選択された前記一部のフィールド機器に対してのみ前記電源ラインを介して選択的に充電を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電された電力により作動する、複数のフィールド機器の各々に充電を行うフィールド機器の充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
フィールド機器は、プラント・工場などに設置され測定、制御等を行う。また、フィールド機器は、無線によって他のフィールド機器や上位のデータ収集装置等と通信を行なっている。
【0003】
図10(a)は、従来のフィールド機器の構成例を示すブロック図である。図10(a)に示すように、フィールド機器10は、バッテリー11、無線通信部12、処理部13を有する。バッテリー11は、例えば、塩化チオニルリチウム電池のような一次電池である。無線通信部12は、バッテリー11からの電力供給を受け、他のフィールド機器やデータ収集装置と無線通信を行う。処理部13は、バッテリー11からの電力供給を受け、センサ(不図示)からの測定データの収集・信号処理、バルブ(不図示)の開閉等の処理を行う。なお、無線通信部12が受信したコマンドに従って処理部13は動作し、測定結果やバルブの制御状態、自フィールド機器の状態などを無線通信部12を介してデータ収集装置に送信させる。
【0004】
図10(b)は、従来のフィールド機器の他の構成例を示すブロック図である。図10(b)に示すように、フィールド機器20では、バッテリーの代わりに電源ラインL1の電圧を自フィールド機器に用いる直流電圧レベルに変換する変換部21を備える(例えば、特表2007−515717号公報参照)。フィールド機器20では、変換部21からの電力によって、無線通信部22および処理部23が作動する。無線通信部22および処理部23の機能は、それぞれ無線通信部12および処理部13の機能と同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2007−515717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フィールド機器の台数は、プラント・工場の規模によるが、数百〜数千台になる。このため、図10(a)に示す例では、フィールド機器20のバッテリ11を1台ごとに保守・交換するのに多大な工数を要する。また、図10(b)に示す例では、電源ラインL1に数百〜数千台分のフィールド機器20の電力を通電することになり、大電力となり、発熱による電力ロス、電源ラインL1に電力を供給する装置の大型化、電源ラインL1のケーブルの大口径化、さらに感電の危険性を招くという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、保守が容易で、装置の小型化や電力ロスの軽減を図ることができる充電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の充電システムは、充電された電力により作動する、複数のフィールド機器の各々に充電を行うフィールド機器の充電システムであって、複数のフィールド機器に共通に接続された電源ラインと、前記複数のフィールド機器の中から一部のフィールド機器を充電対象として選択する選択手段と、前記選択手段により選択された前記一部のフィールド機器に対してのみ前記電源ラインを介して選択的に充電を行う電源と、を備える。
この充電システムによれば、充電対象として選択された一部のフィールド機器に対してのみ電源ラインを介して選択的に充電を行うので、フィールド機器の個々の充電状態を点検する必要がなく、装置の小型化や電力ロスの軽減を図ることができる。
【0009】
前記選択手段は、前記フィールド機器からの要求に応じて前記一部のフィールド機器を充電対象として選択してもよい。
【0010】
前記要求は無線通信を介する要求であってもよい。
【0011】
前記要求は前記電源ラインを通信経路とする通信を介する要求であってもよい。
【0012】
前記要求は前記フィールド機器からの自発的な要求であってもよい。
【0013】
前記要求は前記選択手段からの問い合わせに応じた要求であってもよい。
【0014】
前記フィールド機器は、充電可能な充電状態と充電不可能な非充電状態とを切り替えるスイッチを備え、前記選択手段は、充電対象として選択されている前記フィールド機器の前記スイッチを前記充電状態とし、充電対象として選択されていない前記フィールド機器の前記スイッチを前記非充電状態としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の充電システムによれば、充電対象として選択された一部のフィールド機器に対してのみ電源ラインを介して選択的に充電を行うので、フィールド機器の個々の充電状態を点検する必要がなく、装置の小型化や電力ロスの軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1の充電システムの構成を示すブロック図。
【図2】実施例1の充電システムの充電動作を示すフローチャート。
【図3】実施例2の充電システムの充電動作を示すフローチャート。
【図4】実施例3の充電システムの充電動作を示すフローチャート。
【図5】実施例4の充電システムの構成を示すブロック図。
【図6】実施例5の充電システムの構成を示すブロック図。
【図7】実施例5の充電システムの充電動作を示すフローチャート。
【図8】実施例6の充電システムの充電動作を示すフローチャート。
【図9】実施例7の充電システムの充電動作を示すフローチャート。
【図10】従来のフィールド機器を示す図であり、(a)は従来のフィールド機器の構成例を示すブロック図、(b)は従来のフィールド機器の他の構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による充電システムの実施形態について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、実施例1の充電システムの構成を示すブロック図である。この充電システムは、プラントの一部を構成している。
【0019】
図1に示すように、プラントに設置されたフィールド機器30,30,・・・は、共通の電源ラインLに接続され、電源ラインLの一端側には電源供給装置100が接続されている。後述するように、電源ラインLは、選択されたフィールド機器30の二次電池への充電のための電力供給ラインとして機能する。
【0020】
フィールド機器30は、電源として機能する二次電池31と、無線によるデータ通信を行う無線通信部32と、種々の信号処理を実行する信号処理部33と、二次電池31への充電を行うための充電部34と、充電部34への電力供給を制御するスイッチ35と、を備える。フィールド機器30は、二次電池31を電源として用いることで、電源供給装置100との間で無線によるデータ通信を行う。
【0021】
二次電池31は繰り返し充電可能な電池であり、例えばリチウムイオン電池が使用される。無線通信部32は、二次電池31からの電力供給を受け、電源供給装置100との間で無線によるデータ通信を行う。
【0022】
信号処理部33は、二次電池31からの電力供給を受け、センサ(不図示)からの測定データに基づく信号処理やバルブ(不図示)の開閉などの処理を行う。なお、フィールド機器30に接続されるセンサ、バルブ等の機器は、フィールド機器30の機種・用途によって様々である。また、信号処理部33は、無線通信部32に通信データの授受を行わせるとともに、スイッチ35を制御する。
【0023】
充電部34は、スイッチ35を介して供給される電源ラインLからの電力により、二次電池31を充電する。
【0024】
スイッチ35は、信号処理部33の指示に基づいて電源ラインLと充電部34との間の接続のオン、オフを切り替える。
【0025】
図1に示すように、電源供給装置100は、電源ラインLに電力を供給する電源部101と、電源供給装置100全体を統合的に制御する制御部102と、無線によるデータ通信を行う無線通信部103と、電力供給のために必要な情報を格納するメモリ104と、を備える。
【0026】
電源部101は、外部の装置(不図示)からの電力を所定の電圧レベル・電流レベルの電力に変換し、電源ラインLに出力する。電源ラインLに出力される電力は直流、交流のいずれでもよい。
【0027】
無線通信部103は、制御部102の指示に基づいて、フィールド機器30との間で無線によるデータ通信を行う。
【0028】
次に、図1に示す充電システムの動作を説明する。
【0029】
電源供給装置100の電源部101は、電源ラインLに二次電池31を充電するのに必要な電力を出力する。例えば、1台のフィールド機器30の二次電池31を充電するためにフィールド機器30に供給すべき電力に、電源ラインLにおける電力損失を付加した電力を出力する。もちろん、電源部101がプラント内のフィールド機器30以外の設備に対しても電力を供給しているのならば、電力供給能力に対してそれらの設備用の電力をさらに上乗せする必要がある。
【0030】
一方、フィールド機器30は、内蔵された二次電池31によって駆動される。そして、信号処理部33が、センサの測定、バルブのコントロール等を行い、センサの測定結果やバルブのコントロール状態などのデータを、無線通信部32を介して自機器よりも上位装置であるデータ収集装置(不図示)との間で送受信する。
【0031】
図2は、二次電池への充電動作を示すフローチャートである。図2のステップS1〜ステップS8は、フィールド機器30の信号処理部33における処理を、図2のステップS11〜ステップS14は、電源供給装置100の制御部102における処理を、それぞれ示している。
【0032】
図2のステップS1では、フィールド機器30の信号処理部33は、自機器の二次電池31の残容量を監視し、残容量が所定のレベルを下回った場合(ステップS1:Yes)、無線通信部32を介して電源供給装置100に自機器の再充電要求(すなわち、自機器のスイッチ35のオンの許可要求)を行う(ステップS2)。
【0033】
そして、電源供給装置100の制御部102が、フィールド機器30からの再充電要求を、通信部103を介して受信した場合(ステップS11:Yes)、現状で他のフィールド機器30に対して、スイッチ35のオンの許可を行なっていなければ(ステップS12:Yes)、再充電要求を受けたフィールド機器30に対し、通信部103を介してスイッチ35のオンの許可を送信する(ステップS13)。
【0034】
スイッチ35のオンの許可(ステップS13)が電源供給装置100から送信された場合(ステップS3:Yes)、この許可を無線通信部32を介して受信したフィールド機器30では、信号処理部33がスイッチ35をオンする(ステップS4)。そして、充電部34が、スイッチ35を介して電源ラインLから供給される電力で二次電池31を再充電する。再充電が完了した場合(ステップS6:Yes)、信号処理部33がスイッチ35をオフするとともに、無線通信部32を介して電力供給装置100に充電が完了した旨を送信する(ステップS7)。そして電源供給装置100の制御部102が、充電が完了した旨のデータを受信すると、次の再充電要求を許可できる状態(ステップS12:Yes)となる。
【0035】
なお、スイッチ35のオンの許可の有無および充電が完了した旨のデータ受信の有無はメモリ104に記憶されており、ステップS12において、制御部102はメモリ104を参照することで、他のフィールド機器30に対するスイッチ35のオンの許可の有無を判断する。
【0036】
一方、電源供給装置100の制御部102が、スイッチ35のオンの許可を送信して再充電が完了した旨のデータを受信するまでの間に、他のフィールド機器30からの再充電要求を受けた場合(ステップS12:No)は、この他のフィールド機器30に対し、スイッチ35のオンの不許可を送信する(ステップS15)。この不許可を受けたフィールド機器30は(ステップS5:Yes)、所定の時間経過後に(ステップS8:Yes)再充電要求を再送する(ステップS2)。
【0037】
このように、電源供給装置100が、フィールド機器30からの要求を受けた場合に、いずれかのフィールド機器30に対しスイッチ35のオンの許可を出していない場合にのみスイッチ35のオンの許可を出すので、電源ラインL上に供給される電力を抑制することができる。つまり、電源ラインLに接続された数百〜数千台のフィールド機器30を駆動するための電力を供給する必要がない。これにより、電源ラインLにおける電力ロスを抑えられるとともに、電源ラインLの大口径化を抑制できる。さらに、電源供給装置100の小型化、低コスト化を図ることができる。また、電源ラインLの通電部分に誤って触れた際の感電等の安全面の向上を図ることができる。
【0038】
また、電源ラインLを介して適時、二次電池35を充電できるので、図10(a)に示す従来の構成における一次電池よりも小容量の二次電池を使用することができる。これにより二次電池そのものも小型化でき、フィールド機器30全体としての小型化を図ることができる。
【0039】
また、図10(b)に示す従来の構成では、電源ラインL1に電力を供給する装置が故障・停止した場合、この電源ラインL1に接続されるフィールド機器も動作しなくなるが、本実施例の装置では、フィールド機器30は二次電池31で駆動されているので、電源供給装置100が故障・停止しても、フィールド機器30の動作が継続し、停止しない。これにより、工場・プラント全体の動作も継続させることができ、工場・プラントの信頼性も向上する。
【0040】
なお、本実施例では、二次電池への充電を行う対象は1台のフィールド機器30のみとした場合を例示しているが、2台以上の任意の台数のフィールド機器30に対して同時に二次電池への充電を行うようにしてもよい。この場合、電源供給装置100からの電力供給能力を、複数台のフィールド機器30の二次電池への充電に対応可能な能力とすればよい。
【実施例2】
【0041】
以下、実施例2の充電システムについて実施例1との相違点を中心に説明する。
【0042】
実施例2の充電システムでは、電源供給装置100のメモリ104(図1)に、再充電要求および充電が完了した旨の受信状況を記録し、この受信状況を、許可要求を出すフィールド機器の選択に使用する。
【0043】
図3は、実施例2の充電システムの充電動作を示すフローチャートである。図3のステップS21〜ステップS27は、フィールド機器30の信号処理部33における処理を、図3のステップS31〜ステップS36は、電源供給装置100の制御部102における処理を、それぞれ示している。
【0044】
図3のステップS21では、フィールド機器30の信号処理部33は、自機器の二次電池31の残容量を監視し、残容量が所定のレベルを下回った場合(ステップS21:Yes)、無線通信部32を介して電源供給装置100に自機器の再充電要求(すなわち、自機器のスイッチ35のオンの許可要求)を行う(ステップS22)。
【0045】
次に、電源供給装置100からのスイッチ35のオンの許可(ステップS36)が無線通信部32を介して受信されるのを待って(ステップS23:Yes)、信号処理部33がスイッチ35をオンする(ステップS25)。そして、充電部34が、スイッチ35を介して電源ラインLから供給される電力で二次電池31を再充電する。再充電が完了した場合(ステップS26:Yes)、信号処理部33がスイッチ35をオフするとともに、無線通信部32を介して電力供給装置100に充電が完了した旨を送信し(ステップS27)、ステップS21へ戻る。
【0046】
一方、電源供給装置100の制御部102が、フィールド機器30からの再充電要求を、通信部103を介して受信した場合(ステップS31:Yes)、メモリ104に再充電要求を受けたフィールド機器30の識別情報(フィールド機器30を特定するための情報)を書き込む(ステップS33)。また、電源供給装置100の制御部102が、フィールド機器30から充電が完了した旨を、通信部103を介して受信した場合(ステップS32:Yes)、充電が完了した旨を送信したフィールド機器30の識別情報をメモリ104から消去する(ステップS33)。
【0047】
フィールド機器30の識別情報が書き込みまたは消去された場合(ステップS33)には、メモリ104を参照してメモリ104に識別情報が記憶されているフィールド機器30があれば(ステップS34:Yes)、その中から次に充電対象とすべきフィールド機器30を選択して(ステップS35)、そのフィールド機器30に対し、通信部103を介してスイッチ35のオンの許可を送信する(ステップS36)。その後、ステップS31へ戻る。
【0048】
なお、ステップS35では、メモリ104に識別情報が記憶されているフィールド機器30が1台の場合には、そのフィールド機器30を選択する。また、メモリ104に識別情報が記憶されているフィールド機器30が複数台ある場合には、任意のアルゴリズムに従って次に充電対象とすべきフィールド機器30を選択することができる。例えば、識別情報が格納された順番に従い、最も早く再充電要求を受けたフィールド機器30を選択してもよい。また、再充電要求に緊急度のレベル(二次電池の残容量に対応したもので、残容量が少ないほどレベルが高くなる)を付加させ、識別情報とともに緊急度のレベルのも併せて格納し、この緊急度のレベルが最も高いフィールド機器30を選択してもよい。
【0049】
以上のように、実施例2の充電システムでは、再充電要求および充電が完了した旨の受信状況を電力供給装置100において管理するため、フィールド機器30における動作を単純化することができる。例えば、フィールド機器30から電力供給装置100に対して繰り返し再充電要求を送信する必要がなくなる。
【実施例3】
【0050】
以下、実施例3の充電システムについて実施例1との相違点を中心に説明する。
【0051】
実施例3の充電システムでは、電源供給装置100が順次各フィールド機器30に対して再充電の要否を問い合わせ、再充電の要求がある場合に、そのフィールド機器30に対しスイッチ35のオンの許可を与える。
【0052】
図4は、実施例3の充電システムの充電動作を示すフローチャートである。図4のステップS41〜ステップS47は、フィールド機器30の信号処理部33における処理を、図4のステップS51〜ステップS56は、電源供給装置100の制御部102における処理を、それぞれ示している。
【0053】
図4のステップS51〜ステップS56に示すように、電源供給装置100の制御部102は、メモリ104に格納されたリストを参照し、例えばリスト上のn番目のフィールド機器30を選択し(ステップS51)、この選択されたフィールド機器30に対して無線通信部103を介し再充電の要否についての問い合わせを行う。
【0054】
この問い合わせに応じて、後述するスイッチ35のオンの許可要求が無線通信部103を介して受信された場合には(ステップS53:Yes)、無線通信部103を介してスイッチ35のオンの許可を返信する(ステップS55)。その後、無線通信部103を介してこのフィールド機器30から再充電が完了した旨のデータが受信されるのを待って(ステップS56:Yes)、メモリ104のリストを参照し、次のn+1番目のフィールド機器を選択する(ステップS51)。
【0055】
上記の問い合わせに応じて、後述する不要情報が受信された場合には(ステップS54:Yes)、メモリ104のリストを参照し、次のn+1番目のフィールド機器を選択する(ステップS51)。
【0056】
一方、フィールド機器30が、無線通信部32を介して電源供給装置100からの上記問い合わせを受信した場合(ステップS41:Yes)、フィールド機器30の信号処理部33は再充電が必要か否か判断し、必要と判断した場合には(ステップS42:Yes)、無線通信部32を介してスイッチ35のオンの許可要求を送信する(ステップS43)。この許可要求は、電源供給装置100において受信されることになる(ステップS53:Yes)。次に、信号処理部33は、電源供給装置100からの許可(ステップS55)が無線通信部32を介して受信されるのを待って(ステップS44)、スイッチ35をオンする(ステップS45)。次に、再充電が終了するのを待って(ステップS46:Yes)、信号処理部33がスイッチ35をオフするとともに、無線通信部32を介して電力供給装置100に充電が完了した旨を送信する(ステップS47)。その後、ステップS41に戻る。
【0057】
一方、フィールド機器30が、無線通信部32を介して電源供給装置100からの上記問い合わせを受信した際に(ステップS41:Yes)、フィールド機器30の信号処理部33は再充電が必要か否か判断し、不要と判断した場合には(ステップS42:No)、無線通信部32を介してスイッチ35の不要情報を送信する(ステップS44)。この不要情報は、電源供給装置100において受信されることになる(ステップS54:Yes)。
【0058】
このように、実施例3の充電システムでは、電源供給装置100の側から再充電の要否をフィールド機器30に問い合わせ、その問い合わせに対する返答に基づいてスイッチ35をオンする許可を与えている。
【0059】
なお、図4に示す処理において、フィールド機器30からの許可要求(ステップS43)に対する許可(ステップS55)の送信を省略してもよい。電源供給装置100からの問い合わせ(ステップS52)が、対応するフィールド機器30に対しスイッチ35をオンする権利を与えることを意味するからである。ただし、この場合にも不要情報の送受信(ステップS44、ステップS54)および充電完了を知らせるデータの送受信(ステップS47、ステップS56)は必要である。
【0060】
上記実施例3の充電システムでは、メモリ104にフィールド機器のリストを格納しているが、メモリ104とは別のメモリにこのリストを格納してもよい。
【実施例4】
【0061】
以下、実施例4の充電システムについて説明する。図5は、実施例4の充電システムの構成を示すブロック図である。この充電システムは、プラントの一部を構成している。なお、図5において図1と同一要素には同一符号を付し、その説明は省略する。実施例4の充電システムは、電源ラインLを通信ラインとして使用することを特徴としている。
【0062】
図5に示すように、実施例4の充電システムでは、フィールド機器30Aの充電部34とスイッチ35の間に変復調部36が設けられる。この変復調部36は二次電池31により駆動されるとともに、信号処理部33により制御される。スイッチ35は、電源ラインLと充電部34とを結ぶ電源供給経路、電源ラインLと変復調部36とを結ぶ通信経路の接続/切断を同時に切り替える共通のスイッチとして機能する。
【0063】
また、電源供給装置100Aの電源部101と電源ラインLの接続部に、変復調部106が設けられる。この変復調部106は制御部102により制御される。
【0064】
変復調部36および変復調部106は、電源ラインL上に通電される電圧または電流を変調して情報を重畳させるとともに、電圧または電流に重畳した情報を抽出して復調するものである。
【0065】
ここで、変復調部36および変復調部106としては、例えば、電源ラインLがファウンデーションフィールドバス、PROFiバス、ハート通信のように規格化されたものであれば、それらの規格に準拠したものである。また、電源ラインLが、プラント内の商用電源ライン(例えば、東日本ならば100V、200Vの50Hz電源の配線)であれば、高速電力線通信(いわゆるPLC(Power Line Communication))、外国の給電方式であれば、HomePlug、UPA(Universal Powerline Association)などに準拠するとよい。
【0066】
次に、実施例4の充電システムの動作について説明する。
【0067】
フィールド機器30Aのスイッチ35がオンするまでの動作は、実施例1〜3の充電システムと同様の動作を適用でき、フィールド機器30Aからの再充電要求、あるいは電源供給装置100Aからの問い合わせをトリガとして一連の処理が実行され、最終的にスイッチ35がオンされる。
【0068】
スイッチ35がオンされ充電が開始されてから、充電が完了してスイッチ35がオフされるまでの間、そのフィールド機器30Aの信号処理部33が自機器の情報を、変復調部36を介して電源ラインLに乗せて電源供給装置100Aに送信する。
【0069】
電源供給装置100Aの変復調部106は、電源ラインLに重畳されたフィールド機器30の情報を抽出・復調して制御部102に出力する。そして、制御部102が抽出された情報に対する処理を行う。
【0070】
なお、フィールド機器30が送信する自機器の情報としては、例えば、充電が完了する予想時刻の情報があり、制御部102の処理としては、この情報に基づいて、次にスイッチ35をオンさせる時刻を決めるスケジューリングなどがある。
【0071】
また、フィールド機器30Aの自機器の情報として、充電を開始してからの経過時間を送信することにより、この情報に基づいて制御部102において二次電池31や充電部34の回路の劣化、異常、故障等を検出することができる。例えば、通常は数時間程度で充電が終わるものについて充電に数十時間もかかるような場合には、劣化等が発生していると判断できる。
【0072】
また、フィールド機器30Aは再充電要求を無線通信で電源供給装置100Aに送信する際に、自機器の識別情報を併せて送信しているので、電源供給装置100A側ではどのフィールド機器が再充電要求を出しているのかを把握している。このため電源ラインLからも自機器の識別情報を送信することで、電源供給装置100A側において、実際にスイッチ35がオンされている機器と無線通信で得た識別情報との整合性を確認できる。
【0073】
また、フィールド機器30Aの自機器の情報として、充電を行なった回数を送信することにより、この情報に基づいて制御部102において二次電池31の交換時期を判断することができる。
【0074】
さらに、フィールド機器30Aの自機器の情報として、前回充電を行なってからの経過時間を送信することにより、この情報に基づいて制御部102において二次電池の状態等を推定できる。例えば、前回の充電から短期間で充電が行われるような場合には、二次電池31の劣化またはフィールド機器の異常や故障による電力消費の増加などを事前に検出できる。
【0075】
このように、実施例4の充電システムでは、スイッチ35がオンされている間、電源供給装置100Aが、フィールド機器30Aから電源ラインLを介して情報を取得できるので、フィールド機器30Aの管理を効率よく行うことができるとともに、無線通信側の資源を有効に用いることができる。
【0076】
すなわち、フィールド機器30Aは、上位のデータ収集装置、他のフィールド機器30A等と、無線通信でデータの送受信を行なっている。電源ラインL経由でなく無線通信で自機器の情報を電源供給装置100Aに送信すると、無線通信部32の負荷、無線通信のトラフィックが増加するが、電源ラインLを用いることでそれらの問題を軽減することができる。
【0077】
また、スイッチ35は電源供給経路および通信経路の両者の接続/切断を同時に行うため、電源供給装置100Aの通信相手となるフィールド機器30Aが、充電対象となっている機器に物理的に限定される。このため、通信相手となっていない他のフィールド機器30の故障等に起因する電源ラインL上の通信障害を回避できる。また、通信相手となるフィールド機器30Aを特定するための通信上の処理が不要になるなど、電源ラインL上の通信処理の簡素化を図ることができる。
【0078】
なお、スイッチ35がオンされている間、電源供給装置100側からもフィールド機器30Aに対し、電源ラインLを介して情報を送信してもよい。
【実施例5】
【0079】
以下、実施例5の充電システムについて説明する。図6は、実施例5の充電システムの構成を示すブロック図である。この充電システムは、プラントの一部を構成している。なお、図6において図1と同一要素には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0080】
実施例1〜4の充電システムでは、再充電要求やスイッチ35のオンの許可/不許可などを無線通信で行う例を示したが、実施例5の充電システムでは、これらの再充電要求やスイッチ35のオンの許可/不許可についても電源ラインLを介する通信を用いる。
【0081】
図6に示すように、フィールド機器30Bに設けられた変復調部36は、スイッチ35を介することなく直接、電源ラインLに接続される。変復調部36は二次電池31によって駆動され、電源ラインL上の電力で駆動されない。また、変復調部36は信号処理部33により制御される。
【0082】
次に、実施例5の充電システムの動作について説明する。
【0083】
フィールド機器30Bが、センサ・バルブに関する情報を、無線通信部32を介してデータ収集装置と送受信する動作は実施例1〜4と同様であるため説明を省略する。
【0084】
実施例5の充電システムでは、再充電要求およびスイッチ35のオンの許可/不許可について実施例1と同様の手順で行うが、通信経路として無線通信に代えて、電源ラインLを使用する。以下、再充電要求およびスイッチ35のオンの許可/不許可の手順について説明する。
【0085】
図7は、二次電池への充電動作を示すフローチャートである。図7のステップS101〜ステップS108は、フィールド機器30Bの信号処理部33における処理を、図7のステップS111〜ステップS114は、電源供給装置100Aの制御部102における処理を、それぞれ示している。
【0086】
図7のステップS101では、フィールド機器30Bの信号処理部33は、自機器の二次電池31の残容量を監視し、残容量が所定のレベルを下回った場合(ステップS101:Yes)、変復調部36と電源ラインLを介して電源供給装置100Aに自機器の再充電要求(すなわち、自機器のスイッチ35のオンの許可要求)を行う(ステップS102)。
【0087】
そして、電源供給装置100Aの制御部102が、フィールド機器30からの再充電要求を、変復調部106を介して受信した場合(ステップS111:Yes)、現状で他のフィールド機器30Bに対して、スイッチ35のオンの許可を行なっていなければ(ステップS112:Yes)、再充電要求を受けたフィールド機器30Bに対し、変復調部106を介してスイッチ35のオンの許可を送信する(ステップS113)。すなわち、変復調部106がスイッチ35のオンを許可するデータを電源ラインL上に重畳させる。このとき、再充電を要求してきたフィールド機器30Bを送信先とする情報も併せて重畳する。
【0088】
スイッチ35のオンの許可(ステップS113)が電源供給装置100Aから送信された場合(ステップS3:Yes)、この許可を変復調部36が抽出、変調して信号処理部33に出力する。この許可を受けてフィールド機器30Bの信号処理部33がスイッチ35をオンする(ステップS104)。そして、充電部34が、スイッチ35を介して電源ラインLから供給される電力で二次電池31を再充電する。再充電が完了した場合(ステップS106:Yes)、信号処理部33がスイッチ35をオフするとともに、変復調部36および電源ラインLを介して電力供給装置100Aに充電が完了した旨を送信する(ステップS107)。そして電源供給装置100Aの制御部102が、充電が完了した旨のデータを受信すると、次の再充電要求を許可できる状態(ステップS112:Yes)となる。
【0089】
なお、スイッチ35のオンの許可の有無および充電が完了した旨のデータ受信の有無はメモリ104に記憶されており、ステップS112において、制御部102はメモリ104を参照することで、他のフィールド機器30Bに対するスイッチ35のオンの許可の有無を判断する。
【0090】
一方、電源供給装置100Aの制御部102が、スイッチ35のオンの許可を送信して再充電が完了した旨のデータを受信するまでの間に、他のフィールド機器30Bからの再充電要求を受けた場合(ステップS112:No)は、この他のフィールド機器30Bに対し、スイッチ35のオンの不許可を送信する(ステップS115)。この不許可を受けたフィールド機器30Bは(ステップS105:Yes)、所定の時間経過後に(ステップS108:Yes)再充電要求を再送する(ステップS102)。
【0091】
このように、電源供給装置100Aが、フィールド機器30Bからの要求を受けた場合に、いずれかのフィールド機器30Bに対しスイッチ35のオンの許可を出していない場合にのみスイッチ35のオンの許可を出すので、電源ラインL上に供給される電力を抑制することができる。つまり、電源ラインLに接続された数百〜数千台のフィールド機器30Bを駆動するための電力を供給する必要がない。これにより、電源ラインLにおける電力ロスを抑えられるとともに、電源ラインLの大口径化を抑制できる。さらに、電源供給装置100Aの小型化、低コスト化を図ることができる。また、電源ラインLの通電部分に誤って触れた際の感電等の安全面の向上を図ることができる。
【0092】
また、電源ラインLを介して適時、二次電池35を充電できるので、図10(a)に示す従来の構成における一次電池よりも小容量の二次電池を使用することができる。これにより二次電池そのものも小型化でき、フィールド機器30B全体としての小型化を図ることができる。
【0093】
また、図10(b)に示す従来の構成では、電源ラインL1に電力を供給する装置が故障・停止した場合、この電源ラインL1に接続されるフィールド機器も動作しなくなるが、本実施例の装置では、フィールド機器30Bは二次電池31で駆動されているので、電源供給装置100Aが故障・停止しても、フィールド機器30Bの動作が継続し、停止しない。これにより、工場・プラント全体の動作も継続させることができ、工場・プラントの信頼性も向上する。
【0094】
さらに、本実施例の充電システムでは、二次電池への充電動作の通信経路として電源ラインLを使用しているので、無線通信側の資源を有効に用いることができる。
【0095】
なお、本実施例では、二次電池への充電を行う対象は1台のフィールド機器30Bのみとした場合を例示しているが、2台以上の任意の台数のフィールド機器30Bに対して同時に二次電池への充電を行うようにしてもよい。この場合、電源供給装置100Aからの電力供給能力を、複数台のフィールド機器30Bの二次電池への充電に対応可能な能力とすればよい。
【実施例6】
【0096】
以下、実施例6の充電システムについて実施例5との相違点を中心に説明する。
【0097】
実施例6の充電システムでは、実施例2の充電システムと同様、電源供給装置100Aのメモリ104(図6)に、再充電要求および充電が完了した旨の受信状況を記録し、この受信状況を、許可要求を出すフィールド機器の選択に使用する。
【0098】
図8は、実施例6の充電システムの充電動作を示すフローチャートである。図8のステップS121〜ステップS127は、フィールド機器30B(図6)の信号処理部33における処理を、図8のステップS131〜ステップS136は、電源供給装置100A(図6)の制御部102における処理を、それぞれ示している。
【0099】
図3のステップS121では、フィールド機器30Bの信号処理部33は、自機器の二次電池31の残容量を監視し、残容量が所定のレベルを下回った場合(ステップS121:Yes)、変復調部36および電源ラインL(図6)を介して電源供給装置100Aに自機器の再充電要求(すなわち、自機器のスイッチ35のオンの許可要求)を行う(ステップS122)。
【0100】
次に、電源供給装置100Aからのスイッチ35のオンの許可(ステップS136)が変復調部106を介して受信されるのを待って(ステップS123:Yes)、信号処理部33がスイッチ35をオンする(ステップS25)。そして、充電部34が、スイッチ35を介して電源ラインLから供給される電力で二次電池31を再充電する。再充電が完了した場合(ステップS126:Yes)、信号処理部33がスイッチ35をオフするとともに、変復調部36および電源ラインLを介して電力供給装置100Aに充電が完了した旨を送信し(ステップS127)、ステップS121へ戻る。
【0101】
一方、電源供給装置100Aの制御部102が、フィールド機器30Bからの再充電要求を、変復調部106を介して受信した場合(ステップS131:Yes)、メモリ104に再充電要求を受けたフィールド機器30の識別情報(フィールド機器30Bを特定するための情報)を書き込む(ステップS133)。また、電源供給装置100Aの制御部102が、フィールド機器30Bから充電が完了した旨を、変復調部106を介して受信した場合(ステップS132:Yes)、充電が完了した旨を送信したフィールド機器30Bの識別情報をメモリ104から消去する(ステップS133)。
【0102】
フィールド機器30Bの識別情報が書き込みまたは消去された場合(ステップS133)には、メモリ104を参照してメモリ104に識別情報が記憶されているフィールド機器30Bがあれば(ステップS134:Yes)、その中から次に充電対象とすべきフィールド機器30Bを選択して(ステップS135)、そのフィールド機器30Bに対し、変復調部106を介してスイッチ35のオンの許可を送信する(ステップS136)。その後、ステップS131へ戻る。
【0103】
なお、ステップS135では、メモリ104に識別情報が記憶されているフィールド機器30Bが1台の場合には、そのフィールド機器30Bを選択する。また、メモリ104に識別情報が記憶されているフィールド機器30Bが複数台ある場合には、任意のアルゴリズムに従って次に充電対象とすべきフィールド機器30Bを選択することができる。例えば、識別情報が格納された順番に従い、最も早く再充電要求を受けたフィールド機器30Bを選択してもよい。また、再充電要求に緊急度のレベル(二次電池の残容量に対応したもので、残容量が少ないほどレベルが高くなる)を付加させ、識別情報とともに緊急度のレベルのも併せて格納し、この緊急度のレベルが最も高いフィールド機器30Bを選択してもよい。
【0104】
以上のように、実施例6の充電システムでは、再充電要求および充電が完了した旨の受信状況を電力供給装置100Aにおいて管理するため、フィールド機器30Bにおける動作を単純化することができる。例えば、フィールド機器30Bから電力供給装置100Aに対して繰り返し再充電要求を送信する必要がなくなる。
【実施例7】
【0105】
以下、実施例7の充電システムについて実施例5との相違点を中心に説明する。
【0106】
実施例7の充電システムでは、実施例3の充電システムと同様、電源供給装置100A(図6)が順次各フィールド機器30B(図6)に対して再充電の要否を問い合わせ、再充電の要求がある場合に、そのフィールド機器30Bに対しスイッチ35のオンの許可を与える。
【0107】
図9は、実施例7の充電システムの充電動作を示すフローチャートである。図9のステップS141〜ステップS147は、フィールド機器30Bの信号処理部33における処理を、図9のステップS151〜ステップS156は、電源供給装置100Aの制御部102における処理を、それぞれ示している。
【0108】
図3のステップS151〜ステップS156に示すように、電源供給装置100Aの制御部は、メモリ104に格納されたリストを参照し、例えばリスト上のn番目のフィールド機器30Bを選択し(ステップS151)、この選択されたフィールド機器30Bに対して変復調部106および電源ラインLを介するデータ送信により再充電の要否についての問い合わせを行う。
【0109】
この問い合わせに応じて、後述するスイッチ35のオンの許可要求が変復調部106を介して受信された場合には(ステップS153:Yes)、変復調部106を介してスイッチ35のオンの許可を返信する(ステップS155)。その後、変復調部106を介してこのフィールド機器30Bから再充電が完了した旨のデータが受信されるのを待って(ステップS156:Yes)、メモリ104のリストを参照し、次のn+1番目のフィールド機器を選択する(ステップS151)。上記の問い合わせに応じて、後述する不要情報が受信された場合には(ステップS154:Yes)、メモリ104のリストを参照し、次のn+1番目のフィールド機器を選択する(ステップS151)。
【0110】
一方、フィールド機器30Bが、変復調部36を介して電源供給装置100Aからの上記問い合わせを受信した場合(ステップS141:Yes)、フィールド機器30Bの信号処理部33は再充電が必要か否か判断し、必要と判断した場合には(ステップS142:Yes)、変復調部36を介してスイッチ35のオンの許可要求を送信する(ステップS143)。この許可要求は、電源供給装置100Aにおいて受信されることになる(ステップS153:Yes)。次に、信号処理部33は、電源供給装置100Aからの許可(ステップS155)が変復調部36を介して受信されるのを待って(ステップS144)、スイッチ35をオンする(ステップS145)。次に、再充電が終了するのを待って(ステップS146:Yes)、信号処理部33がスイッチ35をオフするとともに、変復調部36を介して電力供給装置100Aに充電が完了した旨を送信する(ステップS147)。その後、ステップS141に戻る。
【0111】
一方、フィールド機器30Bが、変復調部36を介して電源供給装置100Aからの上記問い合わせを受信した際に(ステップS41:Yes)、フィールド機器30Bの信号処理部33は再充電が必要か否か判断し、不要と判断した場合には(ステップS142:No)、変復調部36を介してスイッチ35の不要情報を送信する(ステップS143)。この不要情報は、電源供給装置100Aにおいて受信されることになる(ステップS154:Yes)。
【0112】
このように、実施例7の充電システムでは、電源供給装置100Aの側から再充電の要否をフィールド機器30Bに問い合わせ、その問い合わせに対する返答に基づいてスイッチ35をオンする許可を与えている。
【0113】
なお、図9に示す処理において、フィールド機器30Bからの許可要求(ステップS143)に対する許可(ステップS155)の送信を省略してもよい。電源供給装置100Aからの問い合わせ(ステップS152)が、対応するフィールド機器30Bに対しスイッチ35をオンする権利を与えることを意味するからである。ただし、この場合にも不要情報の送受信(ステップS144、ステップS154)および充電完了を知らせるデータの送受信(ステップS147、ステップS156)は必要である。
【0114】
上記実施例7の充電システムでは、メモリ104にフィールド機器のリストを格納しているが、メモリ104とは別のメモリにこのリストを格納してもよい。
【0115】
上記実施例1〜7の充電システムに使用されるスイッチ35として、例えば、金属などの導電体を物理的に接触・非接触させるような機械的スイッチ、半導体スイッチ、電磁誘導を用いた非接触型スイッチを適用することができる。
【0116】
また、電源供給装置から電源ラインLに供給される電力が交流の場合には、コイル間の電磁誘導を用いて電源ラインLの側(1次側)からフィールド機器の側(2次側)に電力を供給してもよい。この場合、電源ラインL側(1次側)のコイルに直列にスイッチを挿入し、このスイッチにスイッチ35に代わる機能を持たせてもよい。なお、電源ライン側(1次側)のコイルと、フィールド機器に設けられた2次側のコイルとを分離可能に構成することにより、フィールド機器を所定位置に設置することで、電源ラインLから電力供給を受けるようにしてもよい。この場合には、フィールド機器を電源ラインLに対して容易に着脱可能となる。
【0117】
上記実施例1〜7の充電システムに使用されるスイッチ35および上記実施例5〜7の変復調部36を、フィールド機器本体の筐体とは別の筐体に収容し、この別の筐体をフィールド機器本体と電源ラインLとの中間に設置してもよい。
【0118】
上記実施例6〜7の充電システムにおいて、無線通信により送受信しているデータの一部または全部を、無線通信とともに電源ラインL上で送受信してもよい。例えば、測定データ・制御状態などを無線で飛ばした場合には、有線通信に対比して十分な信頼性が得られない場合がある。そこで、重要なデータについては無線と電源ラインLの双方で送受信してもよい。
【0119】
そして、電源ラインL経由と無線通信の双方でデータを送信し、受信されたデータの整合性が取れない場合は、無線通信の通信周波数を変える、無線の送信パワーを大きくするなどの処置をとるとよい。
【0120】
電源ラインL経由で情報を送受信する際に、従来、指摘されるような問題、例えば、電源にデータを重畳させるためにデータが正しく伝送されないなどの問題がある場合、同一データについて無線通信部32による無線通信による送受信を行なって、電源ラインL経由で送受信されたデータが正しく伝送されているかを確認してもよい。この場合、所定の周期で、あるいはデータ値異常が発生した際や保守点検時などに上記の確認作業を行えばよい。
【0121】
また、無線での送受信に失敗した場合、例えば、データそのものが送受信に失敗した場合、データが欠落し、あるいはサム値チェックが一致しない場合等には、電源ラインL経由でデータを送受信するようにしてもよい。
【0122】
また無線通信の場合、フィールド機器の無線通信部32と通信を行うアクセスポイントとの距離が物理的に遠い場合、無線通信部32の送信パワーを大きくする必要があり、二次電池31の消耗も早くなる。このような場合は、電源ラインL経由でデータを送受信してもよい。
【0123】
上記実施例1〜7では、スイッチ35を単独使用しているが、信頼性を増すために、2つのスイッチを並列に設けてもよい。この場合、一方を稼働用とし、他方を待機用とすることで、稼働用のスイッチが故障した場合に待機用であったスイッチを稼働用に切り替えることができる。
【0124】
上記各実施例では、スイッチ35をオンさせるフィールド機器を1台のみ選択する例を中心に説明しているが、同時にスイッチ35をオンさせるフィールド機器を複数台にしてもよい。要は、(スイッチがオンしているフィールド機器数)<(電源ラインLに接続されるフィールド機器数)となればよい。電源供給装置の容量、安全面などを考慮し、同時に充電できる台数を決定するとよい。
【0125】
フィールド機器に複数の二次電池を搭載し、複数の二次電池の中から1つの二次電池を択一的に使用可能としてもよい。複数の二次電池の中からその時点で残容量の大きなものを使用し、残容量の小さなものに対して同時に充電するようにしてもよい。
【0126】
上記各実施例において、充電部34またはスイッチ35に対しても、二次電池31から電力を供給してもよい。この場合、二次電池31の残容量が完全に失われると充電部34またはスイッチ35が動作しなくなるので、上記のように二次電池を複数個設け、いずれかの二次電池には電力が残っているようにするとよい。
【0127】
本発明の適用範囲は上記実施形態に限定されることはない。本発明は、充電された電力により作動する、複数のフィールド機器の各々に充電を行うフィールド機器の充電システムに対し、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0128】
30、30A、30B フィールド機器
33 信号処理部(選択手段)
35 スイッチ
102 制御部(選択手段)
101 電源部(電源)
L 電源ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電された電力により作動する、複数のフィールド機器の各々に充電を行うフィールド機器の充電システムであって、
複数のフィールド機器に共通に接続された電源ラインと、
前記複数のフィールド機器の中から一部のフィールド機器を充電対象として選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記一部のフィールド機器に対してのみ前記電源ラインを介して選択的に充電を行う電源と、
を備える充電システム。
【請求項2】
前記選択手段は、前記フィールド機器からの要求に応じて前記一部のフィールド機器を充電対象として選択することを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記要求は無線通信を介する要求であることを特徴とする請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記要求は前記電源ラインを通信経路とする通信を介する要求であることを特徴とする請求項2に記載の充電システム。
【請求項5】
前記要求は前記フィールド機器からの自発的な要求であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項6】
前記要求は前記選択手段からの問い合わせに応じた要求であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項7】
前記フィールド機器は、充電可能な充電状態と充電不可能な非充電状態とを切り替えるスイッチを備え、
前記選択手段は、充電対象として選択されている前記フィールド機器の前記スイッチを前記充電状態とし、充電対象として選択されていない前記フィールド機器の前記スイッチを前記非充電状態とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の充電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−106429(P2013−106429A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248585(P2011−248585)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】