フェアリング内空調用空気の拡散装置
【課題】 フェアリグに対して着脱可能であり、かつ送込んだ空気をフェアリングの内周面に沿って拡散させることができるフェアリング内空調用空気の拡散装置を提供する。
【解決手段】 拡散板30は、送込孔部26の内径よりも小さい外径に形成され、ダクト25に連結され、フェアリング21に対してダクト25ともに着脱可能である。拡散板30は、ダクト25によって導かれて送込孔部26から送込まれる空気を案内して、送込孔部26の軸線L26から遠ざかる方向へ拡散させる。拡散板30は、基部33と周壁部34とを有し、ダクト25の開口部に対向する側の表面部が、凹となる形状に形成されており、送込まれる空気は、送込孔部26の軸線Lから遠ざかりかつ送込孔部26の軸線Lに沿ってフェアリング21の外方に向かう方向へ案内される。したがってフェアリング21内に送込まれる空気は、フェアリング21の内周面に沿って拡散される。
【解決手段】 拡散板30は、送込孔部26の内径よりも小さい外径に形成され、ダクト25に連結され、フェアリング21に対してダクト25ともに着脱可能である。拡散板30は、ダクト25によって導かれて送込孔部26から送込まれる空気を案内して、送込孔部26の軸線L26から遠ざかる方向へ拡散させる。拡散板30は、基部33と周壁部34とを有し、ダクト25の開口部に対向する側の表面部が、凹となる形状に形成されており、送込まれる空気は、送込孔部26の軸線Lから遠ざかりかつ送込孔部26の軸線Lに沿ってフェアリング21の外方に向かう方向へ案内される。したがってフェアリング21内に送込まれる空気は、フェアリング21の内周面に沿って拡散される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェアリング内を空調する空調用空気を、フェアリング内に拡散させるための拡散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図24は、従来の技術のフェアリング内空調用空気の拡散装置1を示す断面図である。図25は、拡散装置1が設けられるフェアリング2の一部を示す断面図である。人工衛星をロケットに搭載して打上げるとき、人工衛星は、その保護を目的としてフェアリングによって覆われている。さらにフェアリング内の温度および湿度環境を一定に保つために、ロケットがリフトオフされるまで間、送込孔部4と同一内径のダクト3をフェアリング2に形成された送込孔部4に接続して空調用空気を送込んでいる。空調用空気を送込むにあたって、送込んだ空気の風圧によって人工衛星が損傷してしまうことを防ぐために、送込まれた空気の気流が直接人工衛星に衝突しないように、拡散装置1が設けられている。
【0003】
拡散装置1は、円形平板状の拡散板5と、拡散板5をダクト3に連結脚6とを有する。拡散板5は、ダクト3の軸線に垂直かつ同軸に配置され、ダクト3が送込孔部4に接続された状態で、フェアリング2内に配置されるように、ダクト3に固定されている。このように拡散装置1は、ダクト3に連結されており、ロケットがリフトオフされるときには、ダクト3とともににフェアリング2から離脱される。この離脱時に、送込孔部4が干渉することを防ぐために、拡散板5の外径d5は、送込孔部4の内径d4よりも小さく形成されている。このような拡散板5を備える拡散装置1を設けることによって、送込孔部4からフェアリング2内に送込まれる空調用空気を、フェアリング2内に拡散させている。
【0004】
他の従来の技術として、特許文献1に示される装置がある。この装置は、フェアリングなどの構造体内に送込まれた空気を拡散させるための風止板が設けられ、この風止板は、ダクト側の表面部が凹となる形状に円錐台形状に形成されている。またこの風止板は、ダクトに対して軸線方向へ変位可能であり、ダクトを構造体から離脱させるときに、ダクト内に退避させることができるように構成されている。
【0005】
さらに他の従来の技術として、特許文献2に示される装置がある。この装置は、フェアリング内に、もう1つのフェアリング(内部フェアリングがある場合、フェアリングに形成されるガス入口と、内部フェアリングに形成されるガス入口とを、連通部材によって連通して、フェアリング外部からダクトによって輸送される空気を、内部フェアリング内に送込めるように構成されている。
【0006】
【特許文献1】特開2000−85699号公報
【特許文献2】特開平6−8891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図26は、円形平板8に向けて空気を噴出した場合の空気の流れを示す断面図である。円筒状の管路9に対して同軸かつ垂直に円形平板8を配置して、管路9から円形平板8に向けて管路9の軸線に平行な噴出方向A1へ空気を噴出したとき、空気は、円形平板8に衝突すると円形平板8に沿って流下する。円形平板8の周縁部に到達した空気は、円形平板8の軸線L8に対して角度β1を成す方向A2へ流下する。前記角度β1は、円形平板8の外径d8が、管路9の内径d9の6倍より小さい(d8<(6×d9))場合、π/2より小さくなる(β1<(π/2))。
【0008】
この関係を拡散装置1に当てはめると、拡散板5の外径d5が円形平板の外径d8に相当し、送込孔部4の外径d4が管路9の内径d9に相当する。したがって拡散装置1では、送込まれた空気は、拡散板5の周縁部から拡散板5に平行な方向へ流下するのではなく、拡散板5の軸線方向の成分を含む方向(以下「従来拡散方向」という)Bへ流下する。この従来拡散方向Bは、フェアリング2の内周面に沿う方向ではなく、フェアリング2の内方に向かう成分を含む方向である。
【0009】
送込んだ空気の風圧による人工衛星の損傷を防ぎ、かつ効率良く空調するためには、送込んだ空気は、フェアリング2の内周面に沿って流下させることが好ましい。しかしながら、従来の技術の拡散装置1では、フェアリング2の内周面に沿って流下するように好適に拡散させることができない。
【0010】
さらに図27に示すように、フェアリング2内に人工衛星が収容されていない状態を想定して、送込んだ空気が従来拡散方向Bへ拡散されると、この従来拡散方向Bへ流下する空気流の両側に圧力の低い領域S1,S2が形成され、フェアリング2の内周面に沿って送込孔部4に向かう方向Cの2次的な空気の流れが生じ、最終的に、矢符D1,D2で示すような安定した循環流を生じ、前記拡散方向Bへ安定して拡散される。
【0011】
さらに図28に示すように、フェアリング2内に人工衛星7が収容されている場合、一方の圧力が低い領域S2は、人工衛星7の表面に沿って形成されることになる。これによって図29に示すように、拡散方向Bへ拡散された空気は、人工衛星7側に引寄せられて、矢符B1,B2で示す方向へ人工衛星7に沿って流下する。そして、フェアリング2の内周面に沿って送込孔部4に向かう方向Cの2次的な空気の流れが生じることによって、循環流D1を生じて安定する。
【0012】
このように拡散装置1では、送込まれた空気が、フェアリング2の内方へ向かう拡散方向Bへ拡散されるので、送込まれた空気2は、人工衛星7に引寄せられることになり、1次的な気流が人工衛星7に衝突することになる。したがって拡散板5が無い場合に比べると空気流によって人工衛星7に与えられる外力は小さくなるが、損傷を確実に防ぐためには、1次的な気流が人工衛星7に衝突しないように、また効率的な空調を実現するために、送込んだ空気をフェアリング2の内周面に沿って拡散させることができる装置が望まれている。
【0013】
特許文献1に示される装置では、風止板は、平板状ではなく、円形平板状の中央部と円錐台状の外周部から成り、ダクト側に凹となる形状であるが、その形状は、送込まれる空気を構造体の内表面に沿って流下させることを考慮して決定されていない。しかもこの装置では、風止板がダクトに対して変位可能であり、構成が複雑になる。またこのような構造では、ダクトを構造体に装着したままの状態で、風止板をダクトに案内させて構造体から引出すことが可能であり、風止板を構造体の開口部よりもわずかに小さいだけの寸法に形成することができ、風止板を大きくできるので、送込まれる空気を構造体に沿って流下させやすくなり、この点からも、風止板の形状については、送込まれる空気を構造体の内表面に沿って流下させることを考慮して決定されているものではない。
【0014】
また特許文献2に示される装置は、内部フェアリング内を効率良く空調するための装置であり、フェアリング内に送込まれた空気を、フェアリングの内周面に沿って流下させることができる構造ではない。
【0015】
図30は、さらに他の従来の技術の拡散装置1Aを示す断面図である。図30の拡散装置1Aは、図24の拡散装置1と類似しており、対応する構成には、同一の符号を付して説明を省略する。拡散装置1Aは、図31および図32に示されるように、ダクト3ではなく、フェアリング2の内周部に固定されている。この構成では、フェアリグ2に対して、ダクト3とともに着脱する必要がなく、拡散板5の外径d5を、送込孔部4の内径d4よりも大きく形成することができる。このような構成にすれば、送込んだ空気をフェアリング2の内周面に沿って拡散させることができるが、拡散装置1Aも打上げなければならない。打上げにあたっては、できるだけ重量を軽くすることが要求されるので、拡散装置1は、ダクト3ともに着脱可能であることが好ましい。
【0016】
図33は、さらに他の従来の技術の拡散装置1Bを示す断面図である。図33の拡散装置1Bにおいて、図24の拡散装置1と対応する構成には、同一の符号を付して説明を省略する。拡散装置1Bは、送込孔部4からフェアリング頂部10へ空気を導くフェアリング内ダクト11を有する。このようにフェアリング内ダクト11を設けることによって、送込んだ空気をフェアリング頂部10から、人工衛星に働く風圧を抑えて、効率良く拡散させることはできるが、図30の拡散装置1Aと同様の課題を有する。
【0017】
本発明の目的は、フェアリグに対して着脱可能であり、かつ送込んだ空気をフェアリングの内周面に沿って拡散させることができる簡単な構造のフェアリング内空調用空気の拡散装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、ロケットに搭載される搭載物を保護するフェアリングの内方の空間を空調するために、フェアリングに形成された送込孔部にフェアリングの外方から着脱可能に装着される空調用ダクトによって輸送され、送込孔部からフェアリング内に送込まれる空調用空気を、フェアリング内に拡散させる拡散装置であって、
空調用ダクトの開口部に対向して固定され、送込孔部を通過可能な寸法を有し、空調用ダクトが送込孔部に装着された状態でフェアリング内に配置され、空調用ダクトの開口部に対向する側の表面部が、フェアリング内に送込まれる空気を、フェアリングの内周面に沿って流下するように案内可能な凹形状に形成される拡散装置本体を含むことを特徴とするフェアリング内空調用空気の拡散装置である。
【0019】
本発明に従えば、拡散装置本体は、送込孔部の内形寸法よりも小さい外形寸法に形成され、空調用ダクトに連結されるので、フェアリングに対して、空調用ダクトともに着脱可能である。拡散装置本体は、空調用ダクトの開口部に対向する位置に設けられ、空調用ダクトが送込孔部に装着された状態では、フェアリング内に配置される。これによって空調用ダクトによって導かれる空調用空気(以下単に「空気」という場合がある)は、送込孔部からフェアリング内に送込まれ、拡散装置本体の空調用ダクトの開口部に対向する側の表面部に案内されて、送込孔部の軸線から遠ざかる方向へ拡散される。拡散装置体の空調用ダクトの開口部に対向する側の表面部は、凹となる形状に形成されており、送込まれる空気は、送込孔部の軸線から遠ざかりかつ送込孔部の軸線に沿ってフェアリングの外方に向かう方向へ案内される。したがってフェアリング内に送込まれる空気は、フェアリングの内周面に沿って拡散される。このような効果を、拡散装置をダクトに固定するだけの簡単な構造で実現することができる。
【0020】
また本発明は、拡散装置本体は、
空調用ダクトの開口部に対向する平板状の基部と、
基部の周縁部から空調用ダクトに近づくように屈曲して突出し、フェアリング内に送込まれる空気を、フェアリングの内周面に沿って流下するように案内可能な突出寸法を有する周壁部とを有することを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、拡散装置本体は、平板状の基部と、基部の周縁部から屈曲して突出する周壁部とを有する。これによって基部と周壁部との有するだけの簡単な構成によって、空調用ダクトの開口部に対向する側の表面部が凹となる形状の拡散装置本体を実現することができる。しかも周壁部は、送り込まれる空気を、フェアリングの内表面に沿って流下するように案内可能な突出寸法を有しており、空気をフェアリング内表面に沿って流下させることができる。
【0022】
また本発明は、拡散装置本体における空調ダクトの開口部に対向する側の表面部は、フェアリング内に送込まれる空気を、フェアリングの内周面に沿って流下するように案内可能な滑らかな曲面状に形成されることを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、拡散装置本体における空調ダクトの開口部に対向する側の表面部は、滑らかな曲面状に形成される。これによって送り込まれる空気をフェアリング内表面に沿って流下させるように、送込まれる空気が円滑に案内されるので、送込まれた空気の円滑な流れを形成し、空調効率を向上することができる。
【0024】
また本発明は、拡散装置本体には、貫通する細孔が形成されていることを特徴とする。
本発明に従えば、拡散装置本体には、貫通する細孔が形成されているので、送込まれた空気の一部を細孔から拡散装置本体の裏側に導くことができる。これによって拡散装置本体の裏側に圧力の低い領域が形成されてしまうことを防止し、またその領域の圧力が低くなることを抑えることができる。拡散される空気流がフェアリングの内方側に引寄せられることを防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、拡散装置体の空調用ダクトの開口部に対向する側の表面部が凹となる形状に形成されており、フェアリング内に送込まれる空気は、拡散装置体の空調用ダクトの開口部に対向する側の表面部に案内されて、フェアリングの内周面に沿って拡散される。したがって簡単な構造の装置によって送込まれた空気の風圧によって、フェアリング内に収容される搭載物が損傷することを確実に防止することができ、かつ効率的な空調を達成することができる。
【0026】
また本発明によれば、基部と周壁部との有するだけの簡単な構成によって、送り込まれる空気をフェアリング内表面に沿って流下させるように、空調用ダクトの開口部に対向する側の表面部が凹となる形状の拡散装置本体を実現することができる。
【0027】
また本発明によれば、送り込まれる空気をフェアリング内表面に沿って流下させるように、送込まれた空気が円滑に案内されるので、送込まれた空気の円滑な流れを形成し、空調効率を向上することができる。
【0028】
また本発明によれば、送込まれる空気の一部を細孔から拡散装置本体の裏側に導き、拡散装置本体の裏側に圧力の低い領域が形成されることを防止し、送込まれる空気を、確実にフェアリングの内周面に沿って拡散させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、本発明の実施の一形態のフェアリング内空調用空気の拡散装置20をフェアリング21に装着した状態で示す断面図である。図2は、フェアリング21の一部を示す断面図である。図3は、フェアリング21を示す正面図である。図4は、フェアリング21を示す平面図である。図5は、図3の切断面線V5−V5から見て示す断面図である。図6は、図3の切断面線V6−V6から見て示す断面図である。図2は、フェアリング21の軸線L21に平行な平面で切断した断面を示し、図2は、フェアリング21の軸線に垂直な平面で切断した断面を示す。図2、図5および図6には、一部の構成の厚みを省略して示す。また以下の説明で参照する図面においても、一部の構成の厚みを省略して示す場合がある。ペイロードなどと呼ばれる搭載物、たとえば人工衛星22をロケット23に搭載して打上げるにあたっては、ロケット本体24とフェアリング21とを有するロケット23を用い、ロケット本体24の先端部に人工衛星22を搭載し、ロケット本体24にフェアリング21を設けることによって、フェアリング21で人工衛星22を覆い、保護している。
【0030】
フェアリング21内の温度および湿度環境は、人工衛星22を収容してからロケット23がリフトオフされるまでの間に変化するので、人工衛星22への悪影響を考慮して、ロケットがリフトオフされるまでの間、フェアリング21内の温度および湿度環境を一定に保つために、フェアリング21内の空間が空調されている。このような地上空調と呼ばれる空調は、フェアリング21に形成されるたとえば1つの送込孔部26に、空調用ダクト(以下単に「ダクト」という)25を装着して空調用空気(以下単に「空気」という場合がある)を送込み、フェアリング21に形成されるたとえば4つの排出孔部27からフェアリング21内の空気を排出させて、実現されている。
【0031】
フェアリング21は、その軸線方向一端部がロケット本体24に連結され、軸線方向他端部が先細状に形成されており、軸線方向両端部間の中間部の内方に人工衛星22を収容している。送込孔部26は、人工衛星22のロケット本体24と反対側の端部付近に臨む位置の周方向1カ所に形成される。排出孔部27は、送込孔部26よりもロケット本体24寄りの位置であり、人工衛星22のロケット本体24寄りの端部付近に臨む位置の周方向4カ所に形成される。排出孔部27には、逆止弁が設けられており、フェアリング21内から排出は許容されるが、フェアリング21内への侵入は防止されている。フェアリング21の寸法の一例を述べると、たとえば軸線方向寸法H21は、12mであり、最大内径d21は、5mである。
【0032】
ダクト25は、開口部29で、ガスケット28を介在させて送込孔部26に着脱可能に装着される構成であり、装着状態では、少なくとも開口部29付近は送込孔部26と同軸に配置される。送込孔部26の軸線L26は、フェアリング21の軸線L21に対して垂直である。またダクト25の少なくとも開口部29付近の内径d25は、送込孔部26の内径d26と同一である。
【0033】
このダクト25によって供給源から導かれた空調用空気を、送込孔部26を介して、送込孔部26の軸線L26に沿う噴出方向Dへ、噴出して送込むと、その送込んだ空気流の風圧で人工衛星22を損傷してしまうおそれがあるので、これを防ぐために拡散装置20が設けられる。この拡散装置20によって、送込まれる空気がフェアリング21の内周面に沿って拡散されることによって、前記風圧による人工衛星22の損傷を防ぐことができるとともに、フェアリング21内を効率良く空調することができる。
【0034】
図7は、拡散装置20を示す断面図である。図8は、拡散装置20を示す正面図である。図1〜図6を併せて参照して、軸線L25に垂直な断面の形状が円形状であるダクト25は、開口部29に正方形状の外向きフランジ36が形成されており、このフランジ36とフェアリング21の外周面との間に円環状のガスケット28を介在させて、フェアリング21に装着され、送込孔部26に気密に接続される。拡散装置20は、このようなダクト25の開口部29に連結されて、ダクト25からさらにダクト25の軸線L25に沿って延出するように設けられる。
【0035】
拡散装置20は、拡散装置本体である拡散板30と、拡散板30をダクト25の開口部29に連結する連結脚31とを含む。拡散板30は、ダクト25の開口部29からダクト25の軸線L25に沿う方向に間隔をあけた位置でありかつダクト25の開口部29に対向する位置に設けられている。拡散板30は、円形状であり、ダクト25と同軸に設けられる。この拡散板30は、ダクト25の軸線L25に垂直に配置され、ダクト25の開口部29に対向する円形の平板状の基部33と、基部33の周縁部からダクト25に近づく方向へ屈曲して突出する周壁部34とを有する。基部33の軸線は、拡散板30の軸線L30と一致しており、ダクト25の軸線L25とも一致している。周壁部34は、本実施の形態では、拡散板30の軸線L30まわりの周方向全周にわたって形成され、周方向に関して一様な軸線方向寸法W34を有している。拡散板30は、このように基部33および周壁部34を有して構成され、ダクト25の開口部29に対向する側の表面部が凹となる形状に形成される。
【0036】
図9は、ダクト25の装着操作を示す断面図である。図9は、フェアリング21の軸線L21に平行な平面で切断した断面を示す。拡散装置20が連結されたダクト25は、図9(1)に示すように、ダクト25の軸線L25が送込孔部26の軸線L26と一致するように配置し、ダクト25をその軸線L25に沿って変位させることによって、図9(2)に示すように、ダクト25がフェアリング21に装着される。拡散装置20は、ダクト25がフェアリング21に装着された状態で、部分的に、送込孔部26からフェアリング21内に突出して設けられる。このよう状態で、少なくとも拡散板30は、フェアリング21の内方の、フェアリング21の内周面から間隔をあけた位置に配置される。
【0037】
図10は、ダクト25の離脱操作を示す断面図である。図10は、フェアリング21の軸線L21に平行な平面で切断した断面を示す。フェアリング21に装着されたダクト25は、図10(1)に示すように、ダクト25をその軸線L25に沿って変位させて離脱させ、または図10(2)に示すように、フェアリング21の外表面上に設定される角変位中心まわりに角変位させて離脱される。拡散装置20は、このようにダクト25がフェアリング21から離脱されることによって、送込孔部26からフェアリング21外に引き抜かれる。
【0038】
図11は、拡散装置20に関連する構成の寸法を一例を示すための断面図である。図11は、フェアリング21の軸線L21に垂直な平面で切断した断面を示す。送込まれる空気を、フェアリング21の内周面に沿って流下させるための好適な、拡散板30の基部33に対する周壁部34の突出量W34は、ダクト25の内径d25および送込孔部26の内径d26と、拡散板30の軸線L30上におけるフェアリング21の内周面の延長面と基部33との間の間隔(クリアランス)H30と、拡散板30の外径d30とによって表される次式(1)によって決定される。
【0039】
具体的な数値の一例を述べると、たとえばダクト25の内径d25および送込孔部26の内径d26は、約300〜500mmであり、拡散板30の外径d30は、ダクト25の内径d25および送込孔部26の内径d26よりも、約25〜60mm程度小さく、約250〜450mmである。拡散板30の軸線L30上におけるフェアリング21の内周面の延長面と基部33との間の間隔(クリアランス)H30は、約80〜150mmである。拡散板30の基部33に対する周壁部34の突出量W34は、フェアリング21との間に空気の通路が確保される寸法で約20mm以上であればよい。
【0040】
このように拡散装置20は、拡散板30の外形寸法、具体的には外径d30が、送込孔部26の内形寸法、具体的には内径d26よりも小さく形成されている。これによって拡散装置20をダクト25に連結し、図9および図10に示すようなフェアリング21に対するダクト25の着脱操作によって、拡散板30を、送込孔部26を介して、フェアリング21内に出し入れすることができる。
【0041】
図12は、拡散板30と同様の形状の板状部材40に向けて空気を噴出した場合の空気の流れを示す断面図である。板状部材40は、拡散板30と同様の形状であり、基部42と周壁部43とを有する。板状部材40の外径d40よりも小さい内径d41の円筒状の管路41に対して同軸かつ垂直に、さらに凹となる側の表面部を管路41に対向させて板状部材40を配置し、管路41から板状部材40に向けて管路41の軸線に平行な噴出方向C1へ空気を噴出したとき、空気は、板状部材40の基部42に衝突して基部42に沿って流下する。基部42に沿って流下して周縁部に到達した空気は、噴出方向C1と反対方向へ向けて案内され、最終的には、周壁部43を乗り越えるようにして、板状部材40の軸線L40に対して略垂直な方向C2へ流下する。この図12に示す構成では、管路41の内径d41が板状部材40の外径d40よりも小さい例で説明したけれども、周壁部43が形成されることによって、図26を参照して説明したような周壁部43が設けられない場合に比べ、噴出方向C1の成分を無くし、または小さく抑えて、板状部材40の周縁部から板状部材40の軸線に垂直な方向C2へ空気を流下させることができる。
【0042】
図13は、送込まれる空気が拡散される拡散方向Dを示す断面図である。図14は、空気を送込むことによって生じる2次流れを示す断面図である。図13および図14は、フェアリング21の軸線に垂直な平面で切断した断面を示す。また図13および図14には、各軸線L25,L26,L30に関して一方側だけの空気の流れに関して示しており、実際には、両側に対称の流れを生じている。本実施の形態では、板状部材40と同様に基部33と周壁部34とを有する拡散板30を有する拡散装置20が用いられる。したがってダクト25によって導かれる空気は、拡散板30とフェアリング21との間であって、各連結脚部31の間から、ダクト25の軸線L25に沿う噴出方向Dに噴出されると、拡散板30によって、その軸線L30に略垂直な方向へ、したがってフェアリング21の内周面に沿う方向(以下「拡散方向」という)Eへ拡散される。
【0043】
このように本実施の形態によれば、拡散板30のダクト25の開口部29に対向する側の表面部が、凹となる形状に形成されており、ダクト25によって送込まれる空気は、送込孔部26の軸線L26から遠ざかりかつ送込孔部26の軸線L26に沿ってフェアリング21の外方に向かう方向へ案内される。したがってフェアリング21内に送込まれる空気は、フェアリング21の内方に向かう成分が小さい方向に拡散され、具体的には、フェアリング21の内周面に沿って流下する。
【0044】
さらに詳細に説明すると、ダクト25によって導かれる空気は、拡散板30の外径d30が送込孔部26の内径d26よりも小さいので、ダクト25、送込孔部26および拡散板30の各軸線L25,L26,L30に垂直な方向ではなく、フェアリング21の内方に向かう成分、すなわち噴出方向Dの成分を含んではいるが、従来の技術における拡散方向Bに比べてその成分は小さく、フェアリング21の内周面寄りの方向である。
【0045】
図13に示すように、拡散方向Eに流下する気流の両側には、圧力が低い領域S21,S22が形成される。一方の領域S21は、気流とフェアリング21との間に形成される領域であり、他方の領域S22は、気流と人工衛星22との間に形成される領域である。また他方の領域S22は、拡散板30の裏側となる拡散板30と人工衛星22との間の領域まで延びている。このような圧力の低い領域S21,S22が形成されると、気流は、圧力差によって引っ張られるが、本実施の形態では、拡散方向Eが人工衛星22に比べてフェアリング21の内周面寄りの方向であり、図14に矢符E1〜E3で示すように、フェアリング21の内周面に引寄せられる。したがって送込まれる空気は、図1および図2に矢符Fで示すように、フェアリング21の内周面に沿って拡散され、流下される。さらにこのようにフェアリング21の内周面に沿って空気が拡散されると、図17に矢符Gで示すように、人工衛星22の外表面に沿って送込孔部26付近に戻る2次的な流れを生じ、これによって送込まれた空気がフェアリング21の内周面に沿って拡散する気流が安定化する。
【0046】
このように本実施の形態の拡散装置20を用いることによって、フェアリング21内に送込まれる空気は、フェアリング21の内周面に沿って拡散され、送込まれる空気の風圧によって、フェアリング21内に収容される人工衛星22が損傷することを確実に防止することができ、かつ効率的な空調を達成することができる。さらに具体例を述べると、温度が10〜25℃であり、湿度が40〜50%RHである空気が、最大風量(流量)100m3/分の送込流量で送込まれる。本件発明者は、たとえば前述の寸法関係にある場合、周壁部34の高さW34が20mm以上であると、送込まれる空気がフェアリング21の内周面に沿って拡散、流下され、人工衛星22を損傷させることなく、かつフェアリンク内を効率良く空調できることを確認している。
【0047】
また拡散装置20は、拡散板30が、平板状の基部33と、基部33の周縁部から屈曲して突出する周壁部34とを有する。これによって基部33と周壁部34とを有するだけの簡単な構成によって、ダクト25の開口部に対向する側の表面部が凹となる形状の拡散板30を実現することができる。したがって簡単な構成の拡散装置20によって、前述の優れた効果を達成することができる。
【0048】
またこのような拡散装置20は、円形平板を用いる従来の技術と比較して、構成上の大きな変更を必要とせず、特に、フェアリング21には、全く改良を必要としない点で、利便性に優れている。また円形平板を用いる従来の技術と比較しても、大きな圧力損失を生じることがなく、空気の供給源などの改良も不要であり、要求される空気の供給流量を達成することができる。
【0049】
図15は、本発明の実施の他の形態の拡散装置20Aを示す断面図である。図16は、拡散装置20Aの拡散板30を示す正面図である。図15は、フェアリング21の軸線に平行な平面で切断した断面を示し、図16は、拡散板30をその軸線L30に沿う方向から見て示す。図15および図16に示す拡散装置20Aは、図1〜図14を参照して説明した拡散装置20と類似しており、対応する部分に同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。本実施の形態の拡散装置20Aの拡散板30には、基部33に、厚み方向、したがって拡散板30の軸線L30に沿う方向に貫通する複数の細孔50が形成されている。各細孔50は、たとえば放射状に並んで形成される。また各細孔50は、送込まれる空気が細孔50通過することによって、人工衛星22を損傷しない程度まで流速を低下させることができる寸法に形成されている。その他の構成は、図1〜図14の拡散装置20と同様である。
【0050】
本実施の形態の拡散装置20Aによれば、拡散板30には、複数の細孔50が形成されているので、送込まれた空気の一部を細孔50から拡散板30の裏側、したがってダクト25と反対側S30に導くことができる。これによって図17に示すように、図13を参照して説明した領域S22に相当する領域が、拡散板30の裏側に形成されてしまうことを防止し、またその領域S22の圧力が低くなることをできるだけ抑えることがでできる。したがって図18に示すように、図14を参照して説明したような矢符E1〜E3,Gの方向に流下する気流の形成を促すことができる。したがって送込まれる空気のフェアリング21の内周面に沿う拡散、流下を確実に達成することができる。
【0051】
図19は、本発明の実施のさらに他の形態の拡散装置20Bを示す断面図である。図19は、フェアリング21の軸線に平行な平面で切断した断面を示す。図19に示す拡散装置20Bは、図1〜図14を参照して説明した拡散装置20と類似しており、対応する部分に同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。本実施の形態の拡散装置20Bの拡散板30は、ダクト25に臨む側の表面が球面の一部である曲面形状に形成され、ダクト25に臨む側の表面部が凹状に形成される。ダクト25に臨む側の表面部における周縁部の軸線方向の突出高さW34は、図1〜図14の周壁部34の突出高さW34と同様の寸法である。その他の構成は、図1〜図14の拡散装置20と同様である。
【0052】
図20は、拡散装置20Bの拡散板30と同様の形状の板状部材45に向けて空気を噴出した場合の空気の流れを示す断面図である。板状部材45は、拡散板30と同様の形状である。板状部材45の外径d45よりも小さい内径d46の円筒状の管路46に対して同軸かつ垂直に、さらに凹となる側の表面部を管路46に対向させて板状部材45を配置し、管路46から板状部材45に向けて管路45の軸線に平行な噴出方向C3へ空気を噴出したとき、空気は、板状部材45に衝突して板状部材45に沿って流下する。このときに空気は、噴出方向C3と反対方向へ向けて案内され、最終的には、周縁部から板状部材45の軸線L45に対して略垂直な方向C4へ流下する。この図20に示す構成では、管路46の内径d46が板状部材45の外径d45よりも小さい例で説明したけれども、凹状の表面部に案内されることによって、図26を参照して説明したような円形平板の場合に比べ、噴出方向C3の成分を無くし、または小さく抑えて、板状部材40の周縁部から板状部材40の軸線に垂直な方向C4へ空気を流下させることができる。
【0053】
このように空気を案内することができる形状の拡散板30が設けられる拡散装置20Bは、図1〜図14の拡散装置20と同様の効果を達成することができる。さらに拡散板30における空調ダクトの開口部に対向する側の表面部は、滑らかな曲面状に形成される。これによって送込まれる空気が円滑に案内されるので、送込まれた空気の円滑な流れを形成し、空調効率を向上することができる。
【0054】
本発明の実施のさらに他の形態として、図19に示す拡散板30に、図15〜図18に示す拡散装置20Aの拡散板30と同様に、軸線に沿って厚み方向に貫通する複数の細孔50を形成するようにしてもよい。これによって細孔50が形成されることによって達成される効果を同様に達成することができる。
【0055】
図21は、本発明の実施のさらに他の形態の拡散装置20Cを示す断面図である。図21は、フェアリング21の軸線に平行な平面で切断した断面を示す。図21に示す拡散装置20Cは、図1〜図14を参照して説明した拡散装置20と類似しており、対応する部分に同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。本実施の形態の拡散装置20Cの拡散板30は、周壁部34の突出量W34が軸線L30の軸線まわりの周方向に関して異なる。その他の構成は同様である。
【0056】
このような構成にすれば、前述の優れた効果に加えて、突出量W34の大きく、拡散板30の周縁部とフェアリング21の内周面との距離が小さい方向への空気の拡散流量を小さくし、突出量W34の小さく、拡散板30の周縁部とフェアリング21の内周面との距離が大きい方向への空気の拡散流量を大きくすることができる。本実施の形態では、フェアリング21のロケット本体24に連結される端部である連結端部54寄りに配置される周壁部34の突出量W34が大きく、フェアリング21の連結端部54と反対側の頂部55寄りに配置される周壁部34の突出量W34が小さく形成される。これによって頂部55に向けて拡散される空気の流量を大きくすることができる。このように送込まれる空気を頂部55側にできるだけ拡散することによって、送込んだ空気をフェアリング21内全体に行きわたらせることができ、空調効率のさらなる向上を図ることができる。
【0057】
図22は、本発明の実施のさらに他の形態の拡散装置20Dを示す断面図である。図22は、フェアリング21の軸線に平行な平面で切断した断面を示す。図22に示す拡散装置20Dは、図1〜図14を参照して説明した拡散装置20と類似しており、対応する部分に同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。本実施の形態の拡散装置20Dの拡散板30は、その軸線L30がダクト25および送込孔部26の軸線L25,L26に対して傾斜している。その他の構成は同様である。
【0058】
このような構成にすれば、前述の優れた効果に加えて、拡散板33の傾斜方向に応じて、軸線L30まわりの周方向に空気の拡散流量を変化させることができる。具体的には、拡散板30の周縁部とフェアリング21の内周面との距離が小さい方向への空気の拡散流量を小さくし、拡散板30の周縁部とフェアリング21の内周面との距離が大きい方向への空気の拡散流量を大きくすることができる。本実施の形態では、拡散板30は、凹となるダクト25側の表面部が頂部55側を向くように傾斜されている。これによって連結端部54側における拡散板30の周縁部とフェアリング21の内周面との距離が小さく、頂部55側における拡散板30の周縁部とフェアリング21の内周面との距離が大きくなるように配置されている。これによって頂部55に向けて拡散される空気の流量を大きくすることができる。このように送込まれる空気を頂部55側にできるだけ拡散することによって、送込んだ空気をフェアリング21内全体に行きわたらせることができ、空調効率のさらなる向上を図ることができる。
【0059】
図23は、本発明の実施のさらに他の形態の拡散装置20Eを示す断面図である。図23は、拡散板30の軸線L30に垂直な平面で切断した断面を示す。図23に示す拡散装置20Eは、図1〜図14を参照して説明した拡散装置20と類似しており、対応する部分に同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。本実施の形態の拡散装置20Eは、拡散板30をダクト25に連結する連結脚部31が、周方向に非対称に設けられている。本実施の形態では、たとえば断面形状が長方形状の4つの連結脚部31が設けられて、前記長方形の長辺の向きが非対称となるように配置される。具体的には、周方向に等間隔に配置される4つの連結脚部31のうち、1つの連結脚部31が前記長方形の長辺を周方向に配置し、他の3つの連結脚部31が前記長方形の長辺を半径方向に配置して設けられる。前記長辺が周方向に配置される連結脚部31付近は、送込まれる空気の流下の妨げになりやすく、前記長辺が半径方向に配置される連結脚部31付近は、送込まれる空気の流下の妨げになりにくいので、送込まれる空気を整流することができる。その他の構成は同様である。
【0060】
このような構成にすれば、前述の優れた効果に加えて、連結脚部31の配置状態に応じて、軸線L30まわりの周方向に空気の拡散流量を変化させることができる。具体的には、前記長辺が周方向に配置される連結脚部31が設けられる方向への空気の拡散流量を小さくし、前記長辺が半径方向に配置される連結脚部31が設けられる方向への空気の拡散流量を大きくすることができる。本実施の形態では、連結端部54寄りに配置される連結脚部31が長辺を周方向に配置し、他の3つの連結脚部31が長辺を半径方向に配置して設けられる。これによって頂部55に向けて拡散される空気の流量を大きくすることができる。このように送込まれる空気を頂部55側にできるだけ拡散することによって、送込んだ空気をフェアリング21内全体に行きわたらせることができ、空調効率のさらなる向上を図ることができる。
【0061】
前述の実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、構成を変更することが可能である。たとえば、前述の具体的な形状、寸法などは一例であり、これに限定されるものではない。また図21〜図23に示す拡散装置20C〜20Eの拡散板30に、細孔50を形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の一形態のフェアリング内空調用空気の拡散装置20をフェアリング21に装着した状態で示す断面図である。
【図2】フェアリング21の一部を示す断面図である。
【図3】フェアリング21を示す正面図である。
【図4】フェアリング21を示す平面図である。
【図5】図3の切断面線V5−V5から見て示す断面図である。
【図6】図3の切断面線V6−V6から見て示す断面図である。
【図7】拡散装置20を示す断面図である。
【図8】拡散装置20を示す正面図である。
【図9】ダクト25の装着操作を示す断面図である。
【図10】ダクト25の離脱操作を示す断面図である。
【図11】拡散装置20に関連する構成の寸法を一例を示すための断面図である。
【図12】拡散板30と同様の形状の板状部材40に向けて空気を噴出した場合の空気の流れを示す断面図である。
【図13】送込まれる空気が拡散される拡散方向Dを示す断面図である。
【図14】空気を送込むことによって生じる2次流れを示す断面図である。
【図15】本発明の実施の他の形態の拡散装置20Aを示す断面図である。
【図16】拡散装置20Aの拡散板30を示す正面図である。
【図17】拡散装置20Aを用いた場合の空気の流下状態を示す断面図である。
【図18】拡散装置20Aを用いた場合の空気の流下状態を示す断面図である。
【図19】本発明の実施のさらに他の形態の拡散装置20Bを示す断面図である。
【図20】拡散装置20Bの拡散板30と同様の形状の板状部材45に向けて空気を噴出した場合の空気の流れを示す断面図である。
【0063】
【図21】本発明の実施のさらに他の形態の拡散装置20Cを示す断面図である。
【図22】本発明の実施のさらに他の形態の拡散装置20Dを示す断面図である。
【図23】本発明の実施のさらに他の形態の拡散装置20Eを示す断面図である。
【図24】従来の技術のフェアリング内空調用空気の拡散装置1を示す断面図である。
【図25】拡散装置1が設けられるフェアリング2の一部を示す断面図である。
【図26】円形平板8に向けて空気を噴出した場合の空気の流れを示す断面図である。
【図27】拡散装置1を用いた場合の空気の拡散状態を示す断面図である。
【図28】拡散装置1を用いた場合の空気の拡散状態を示す断面図である。
【図29】拡散装置1を用いた場合の空気の拡散状態を示す断面図である。
【図30】さらに他の従来の技術の拡散装置1Aを示す断面図である。
【図31】ダクト3を示す図である。
【図32】ダクト3を離脱させた状態で拡散装置1Aを示す断面図である。
【図33】さらに他の従来の技術の拡散装置1Bを示す断面図である。
【符号の説明】
【0064】
20,20A〜20E 拡散装置
21 フェアリング
22 衛星
25 ダクト
26 送込孔部
30 拡散板
31 連結脚部
33 基部
34 周壁部
50 細孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェアリング内を空調する空調用空気を、フェアリング内に拡散させるための拡散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図24は、従来の技術のフェアリング内空調用空気の拡散装置1を示す断面図である。図25は、拡散装置1が設けられるフェアリング2の一部を示す断面図である。人工衛星をロケットに搭載して打上げるとき、人工衛星は、その保護を目的としてフェアリングによって覆われている。さらにフェアリング内の温度および湿度環境を一定に保つために、ロケットがリフトオフされるまで間、送込孔部4と同一内径のダクト3をフェアリング2に形成された送込孔部4に接続して空調用空気を送込んでいる。空調用空気を送込むにあたって、送込んだ空気の風圧によって人工衛星が損傷してしまうことを防ぐために、送込まれた空気の気流が直接人工衛星に衝突しないように、拡散装置1が設けられている。
【0003】
拡散装置1は、円形平板状の拡散板5と、拡散板5をダクト3に連結脚6とを有する。拡散板5は、ダクト3の軸線に垂直かつ同軸に配置され、ダクト3が送込孔部4に接続された状態で、フェアリング2内に配置されるように、ダクト3に固定されている。このように拡散装置1は、ダクト3に連結されており、ロケットがリフトオフされるときには、ダクト3とともににフェアリング2から離脱される。この離脱時に、送込孔部4が干渉することを防ぐために、拡散板5の外径d5は、送込孔部4の内径d4よりも小さく形成されている。このような拡散板5を備える拡散装置1を設けることによって、送込孔部4からフェアリング2内に送込まれる空調用空気を、フェアリング2内に拡散させている。
【0004】
他の従来の技術として、特許文献1に示される装置がある。この装置は、フェアリングなどの構造体内に送込まれた空気を拡散させるための風止板が設けられ、この風止板は、ダクト側の表面部が凹となる形状に円錐台形状に形成されている。またこの風止板は、ダクトに対して軸線方向へ変位可能であり、ダクトを構造体から離脱させるときに、ダクト内に退避させることができるように構成されている。
【0005】
さらに他の従来の技術として、特許文献2に示される装置がある。この装置は、フェアリング内に、もう1つのフェアリング(内部フェアリングがある場合、フェアリングに形成されるガス入口と、内部フェアリングに形成されるガス入口とを、連通部材によって連通して、フェアリング外部からダクトによって輸送される空気を、内部フェアリング内に送込めるように構成されている。
【0006】
【特許文献1】特開2000−85699号公報
【特許文献2】特開平6−8891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図26は、円形平板8に向けて空気を噴出した場合の空気の流れを示す断面図である。円筒状の管路9に対して同軸かつ垂直に円形平板8を配置して、管路9から円形平板8に向けて管路9の軸線に平行な噴出方向A1へ空気を噴出したとき、空気は、円形平板8に衝突すると円形平板8に沿って流下する。円形平板8の周縁部に到達した空気は、円形平板8の軸線L8に対して角度β1を成す方向A2へ流下する。前記角度β1は、円形平板8の外径d8が、管路9の内径d9の6倍より小さい(d8<(6×d9))場合、π/2より小さくなる(β1<(π/2))。
【0008】
この関係を拡散装置1に当てはめると、拡散板5の外径d5が円形平板の外径d8に相当し、送込孔部4の外径d4が管路9の内径d9に相当する。したがって拡散装置1では、送込まれた空気は、拡散板5の周縁部から拡散板5に平行な方向へ流下するのではなく、拡散板5の軸線方向の成分を含む方向(以下「従来拡散方向」という)Bへ流下する。この従来拡散方向Bは、フェアリング2の内周面に沿う方向ではなく、フェアリング2の内方に向かう成分を含む方向である。
【0009】
送込んだ空気の風圧による人工衛星の損傷を防ぎ、かつ効率良く空調するためには、送込んだ空気は、フェアリング2の内周面に沿って流下させることが好ましい。しかしながら、従来の技術の拡散装置1では、フェアリング2の内周面に沿って流下するように好適に拡散させることができない。
【0010】
さらに図27に示すように、フェアリング2内に人工衛星が収容されていない状態を想定して、送込んだ空気が従来拡散方向Bへ拡散されると、この従来拡散方向Bへ流下する空気流の両側に圧力の低い領域S1,S2が形成され、フェアリング2の内周面に沿って送込孔部4に向かう方向Cの2次的な空気の流れが生じ、最終的に、矢符D1,D2で示すような安定した循環流を生じ、前記拡散方向Bへ安定して拡散される。
【0011】
さらに図28に示すように、フェアリング2内に人工衛星7が収容されている場合、一方の圧力が低い領域S2は、人工衛星7の表面に沿って形成されることになる。これによって図29に示すように、拡散方向Bへ拡散された空気は、人工衛星7側に引寄せられて、矢符B1,B2で示す方向へ人工衛星7に沿って流下する。そして、フェアリング2の内周面に沿って送込孔部4に向かう方向Cの2次的な空気の流れが生じることによって、循環流D1を生じて安定する。
【0012】
このように拡散装置1では、送込まれた空気が、フェアリング2の内方へ向かう拡散方向Bへ拡散されるので、送込まれた空気2は、人工衛星7に引寄せられることになり、1次的な気流が人工衛星7に衝突することになる。したがって拡散板5が無い場合に比べると空気流によって人工衛星7に与えられる外力は小さくなるが、損傷を確実に防ぐためには、1次的な気流が人工衛星7に衝突しないように、また効率的な空調を実現するために、送込んだ空気をフェアリング2の内周面に沿って拡散させることができる装置が望まれている。
【0013】
特許文献1に示される装置では、風止板は、平板状ではなく、円形平板状の中央部と円錐台状の外周部から成り、ダクト側に凹となる形状であるが、その形状は、送込まれる空気を構造体の内表面に沿って流下させることを考慮して決定されていない。しかもこの装置では、風止板がダクトに対して変位可能であり、構成が複雑になる。またこのような構造では、ダクトを構造体に装着したままの状態で、風止板をダクトに案内させて構造体から引出すことが可能であり、風止板を構造体の開口部よりもわずかに小さいだけの寸法に形成することができ、風止板を大きくできるので、送込まれる空気を構造体に沿って流下させやすくなり、この点からも、風止板の形状については、送込まれる空気を構造体の内表面に沿って流下させることを考慮して決定されているものではない。
【0014】
また特許文献2に示される装置は、内部フェアリング内を効率良く空調するための装置であり、フェアリング内に送込まれた空気を、フェアリングの内周面に沿って流下させることができる構造ではない。
【0015】
図30は、さらに他の従来の技術の拡散装置1Aを示す断面図である。図30の拡散装置1Aは、図24の拡散装置1と類似しており、対応する構成には、同一の符号を付して説明を省略する。拡散装置1Aは、図31および図32に示されるように、ダクト3ではなく、フェアリング2の内周部に固定されている。この構成では、フェアリグ2に対して、ダクト3とともに着脱する必要がなく、拡散板5の外径d5を、送込孔部4の内径d4よりも大きく形成することができる。このような構成にすれば、送込んだ空気をフェアリング2の内周面に沿って拡散させることができるが、拡散装置1Aも打上げなければならない。打上げにあたっては、できるだけ重量を軽くすることが要求されるので、拡散装置1は、ダクト3ともに着脱可能であることが好ましい。
【0016】
図33は、さらに他の従来の技術の拡散装置1Bを示す断面図である。図33の拡散装置1Bにおいて、図24の拡散装置1と対応する構成には、同一の符号を付して説明を省略する。拡散装置1Bは、送込孔部4からフェアリング頂部10へ空気を導くフェアリング内ダクト11を有する。このようにフェアリング内ダクト11を設けることによって、送込んだ空気をフェアリング頂部10から、人工衛星に働く風圧を抑えて、効率良く拡散させることはできるが、図30の拡散装置1Aと同様の課題を有する。
【0017】
本発明の目的は、フェアリグに対して着脱可能であり、かつ送込んだ空気をフェアリングの内周面に沿って拡散させることができる簡単な構造のフェアリング内空調用空気の拡散装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、ロケットに搭載される搭載物を保護するフェアリングの内方の空間を空調するために、フェアリングに形成された送込孔部にフェアリングの外方から着脱可能に装着される空調用ダクトによって輸送され、送込孔部からフェアリング内に送込まれる空調用空気を、フェアリング内に拡散させる拡散装置であって、
空調用ダクトの開口部に対向して固定され、送込孔部を通過可能な寸法を有し、空調用ダクトが送込孔部に装着された状態でフェアリング内に配置され、空調用ダクトの開口部に対向する側の表面部が、フェアリング内に送込まれる空気を、フェアリングの内周面に沿って流下するように案内可能な凹形状に形成される拡散装置本体を含むことを特徴とするフェアリング内空調用空気の拡散装置である。
【0019】
本発明に従えば、拡散装置本体は、送込孔部の内形寸法よりも小さい外形寸法に形成され、空調用ダクトに連結されるので、フェアリングに対して、空調用ダクトともに着脱可能である。拡散装置本体は、空調用ダクトの開口部に対向する位置に設けられ、空調用ダクトが送込孔部に装着された状態では、フェアリング内に配置される。これによって空調用ダクトによって導かれる空調用空気(以下単に「空気」という場合がある)は、送込孔部からフェアリング内に送込まれ、拡散装置本体の空調用ダクトの開口部に対向する側の表面部に案内されて、送込孔部の軸線から遠ざかる方向へ拡散される。拡散装置体の空調用ダクトの開口部に対向する側の表面部は、凹となる形状に形成されており、送込まれる空気は、送込孔部の軸線から遠ざかりかつ送込孔部の軸線に沿ってフェアリングの外方に向かう方向へ案内される。したがってフェアリング内に送込まれる空気は、フェアリングの内周面に沿って拡散される。このような効果を、拡散装置をダクトに固定するだけの簡単な構造で実現することができる。
【0020】
また本発明は、拡散装置本体は、
空調用ダクトの開口部に対向する平板状の基部と、
基部の周縁部から空調用ダクトに近づくように屈曲して突出し、フェアリング内に送込まれる空気を、フェアリングの内周面に沿って流下するように案内可能な突出寸法を有する周壁部とを有することを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、拡散装置本体は、平板状の基部と、基部の周縁部から屈曲して突出する周壁部とを有する。これによって基部と周壁部との有するだけの簡単な構成によって、空調用ダクトの開口部に対向する側の表面部が凹となる形状の拡散装置本体を実現することができる。しかも周壁部は、送り込まれる空気を、フェアリングの内表面に沿って流下するように案内可能な突出寸法を有しており、空気をフェアリング内表面に沿って流下させることができる。
【0022】
また本発明は、拡散装置本体における空調ダクトの開口部に対向する側の表面部は、フェアリング内に送込まれる空気を、フェアリングの内周面に沿って流下するように案内可能な滑らかな曲面状に形成されることを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、拡散装置本体における空調ダクトの開口部に対向する側の表面部は、滑らかな曲面状に形成される。これによって送り込まれる空気をフェアリング内表面に沿って流下させるように、送込まれる空気が円滑に案内されるので、送込まれた空気の円滑な流れを形成し、空調効率を向上することができる。
【0024】
また本発明は、拡散装置本体には、貫通する細孔が形成されていることを特徴とする。
本発明に従えば、拡散装置本体には、貫通する細孔が形成されているので、送込まれた空気の一部を細孔から拡散装置本体の裏側に導くことができる。これによって拡散装置本体の裏側に圧力の低い領域が形成されてしまうことを防止し、またその領域の圧力が低くなることを抑えることができる。拡散される空気流がフェアリングの内方側に引寄せられることを防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、拡散装置体の空調用ダクトの開口部に対向する側の表面部が凹となる形状に形成されており、フェアリング内に送込まれる空気は、拡散装置体の空調用ダクトの開口部に対向する側の表面部に案内されて、フェアリングの内周面に沿って拡散される。したがって簡単な構造の装置によって送込まれた空気の風圧によって、フェアリング内に収容される搭載物が損傷することを確実に防止することができ、かつ効率的な空調を達成することができる。
【0026】
また本発明によれば、基部と周壁部との有するだけの簡単な構成によって、送り込まれる空気をフェアリング内表面に沿って流下させるように、空調用ダクトの開口部に対向する側の表面部が凹となる形状の拡散装置本体を実現することができる。
【0027】
また本発明によれば、送り込まれる空気をフェアリング内表面に沿って流下させるように、送込まれた空気が円滑に案内されるので、送込まれた空気の円滑な流れを形成し、空調効率を向上することができる。
【0028】
また本発明によれば、送込まれる空気の一部を細孔から拡散装置本体の裏側に導き、拡散装置本体の裏側に圧力の低い領域が形成されることを防止し、送込まれる空気を、確実にフェアリングの内周面に沿って拡散させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、本発明の実施の一形態のフェアリング内空調用空気の拡散装置20をフェアリング21に装着した状態で示す断面図である。図2は、フェアリング21の一部を示す断面図である。図3は、フェアリング21を示す正面図である。図4は、フェアリング21を示す平面図である。図5は、図3の切断面線V5−V5から見て示す断面図である。図6は、図3の切断面線V6−V6から見て示す断面図である。図2は、フェアリング21の軸線L21に平行な平面で切断した断面を示し、図2は、フェアリング21の軸線に垂直な平面で切断した断面を示す。図2、図5および図6には、一部の構成の厚みを省略して示す。また以下の説明で参照する図面においても、一部の構成の厚みを省略して示す場合がある。ペイロードなどと呼ばれる搭載物、たとえば人工衛星22をロケット23に搭載して打上げるにあたっては、ロケット本体24とフェアリング21とを有するロケット23を用い、ロケット本体24の先端部に人工衛星22を搭載し、ロケット本体24にフェアリング21を設けることによって、フェアリング21で人工衛星22を覆い、保護している。
【0030】
フェアリング21内の温度および湿度環境は、人工衛星22を収容してからロケット23がリフトオフされるまでの間に変化するので、人工衛星22への悪影響を考慮して、ロケットがリフトオフされるまでの間、フェアリング21内の温度および湿度環境を一定に保つために、フェアリング21内の空間が空調されている。このような地上空調と呼ばれる空調は、フェアリング21に形成されるたとえば1つの送込孔部26に、空調用ダクト(以下単に「ダクト」という)25を装着して空調用空気(以下単に「空気」という場合がある)を送込み、フェアリング21に形成されるたとえば4つの排出孔部27からフェアリング21内の空気を排出させて、実現されている。
【0031】
フェアリング21は、その軸線方向一端部がロケット本体24に連結され、軸線方向他端部が先細状に形成されており、軸線方向両端部間の中間部の内方に人工衛星22を収容している。送込孔部26は、人工衛星22のロケット本体24と反対側の端部付近に臨む位置の周方向1カ所に形成される。排出孔部27は、送込孔部26よりもロケット本体24寄りの位置であり、人工衛星22のロケット本体24寄りの端部付近に臨む位置の周方向4カ所に形成される。排出孔部27には、逆止弁が設けられており、フェアリング21内から排出は許容されるが、フェアリング21内への侵入は防止されている。フェアリング21の寸法の一例を述べると、たとえば軸線方向寸法H21は、12mであり、最大内径d21は、5mである。
【0032】
ダクト25は、開口部29で、ガスケット28を介在させて送込孔部26に着脱可能に装着される構成であり、装着状態では、少なくとも開口部29付近は送込孔部26と同軸に配置される。送込孔部26の軸線L26は、フェアリング21の軸線L21に対して垂直である。またダクト25の少なくとも開口部29付近の内径d25は、送込孔部26の内径d26と同一である。
【0033】
このダクト25によって供給源から導かれた空調用空気を、送込孔部26を介して、送込孔部26の軸線L26に沿う噴出方向Dへ、噴出して送込むと、その送込んだ空気流の風圧で人工衛星22を損傷してしまうおそれがあるので、これを防ぐために拡散装置20が設けられる。この拡散装置20によって、送込まれる空気がフェアリング21の内周面に沿って拡散されることによって、前記風圧による人工衛星22の損傷を防ぐことができるとともに、フェアリング21内を効率良く空調することができる。
【0034】
図7は、拡散装置20を示す断面図である。図8は、拡散装置20を示す正面図である。図1〜図6を併せて参照して、軸線L25に垂直な断面の形状が円形状であるダクト25は、開口部29に正方形状の外向きフランジ36が形成されており、このフランジ36とフェアリング21の外周面との間に円環状のガスケット28を介在させて、フェアリング21に装着され、送込孔部26に気密に接続される。拡散装置20は、このようなダクト25の開口部29に連結されて、ダクト25からさらにダクト25の軸線L25に沿って延出するように設けられる。
【0035】
拡散装置20は、拡散装置本体である拡散板30と、拡散板30をダクト25の開口部29に連結する連結脚31とを含む。拡散板30は、ダクト25の開口部29からダクト25の軸線L25に沿う方向に間隔をあけた位置でありかつダクト25の開口部29に対向する位置に設けられている。拡散板30は、円形状であり、ダクト25と同軸に設けられる。この拡散板30は、ダクト25の軸線L25に垂直に配置され、ダクト25の開口部29に対向する円形の平板状の基部33と、基部33の周縁部からダクト25に近づく方向へ屈曲して突出する周壁部34とを有する。基部33の軸線は、拡散板30の軸線L30と一致しており、ダクト25の軸線L25とも一致している。周壁部34は、本実施の形態では、拡散板30の軸線L30まわりの周方向全周にわたって形成され、周方向に関して一様な軸線方向寸法W34を有している。拡散板30は、このように基部33および周壁部34を有して構成され、ダクト25の開口部29に対向する側の表面部が凹となる形状に形成される。
【0036】
図9は、ダクト25の装着操作を示す断面図である。図9は、フェアリング21の軸線L21に平行な平面で切断した断面を示す。拡散装置20が連結されたダクト25は、図9(1)に示すように、ダクト25の軸線L25が送込孔部26の軸線L26と一致するように配置し、ダクト25をその軸線L25に沿って変位させることによって、図9(2)に示すように、ダクト25がフェアリング21に装着される。拡散装置20は、ダクト25がフェアリング21に装着された状態で、部分的に、送込孔部26からフェアリング21内に突出して設けられる。このよう状態で、少なくとも拡散板30は、フェアリング21の内方の、フェアリング21の内周面から間隔をあけた位置に配置される。
【0037】
図10は、ダクト25の離脱操作を示す断面図である。図10は、フェアリング21の軸線L21に平行な平面で切断した断面を示す。フェアリング21に装着されたダクト25は、図10(1)に示すように、ダクト25をその軸線L25に沿って変位させて離脱させ、または図10(2)に示すように、フェアリング21の外表面上に設定される角変位中心まわりに角変位させて離脱される。拡散装置20は、このようにダクト25がフェアリング21から離脱されることによって、送込孔部26からフェアリング21外に引き抜かれる。
【0038】
図11は、拡散装置20に関連する構成の寸法を一例を示すための断面図である。図11は、フェアリング21の軸線L21に垂直な平面で切断した断面を示す。送込まれる空気を、フェアリング21の内周面に沿って流下させるための好適な、拡散板30の基部33に対する周壁部34の突出量W34は、ダクト25の内径d25および送込孔部26の内径d26と、拡散板30の軸線L30上におけるフェアリング21の内周面の延長面と基部33との間の間隔(クリアランス)H30と、拡散板30の外径d30とによって表される次式(1)によって決定される。
【0039】
具体的な数値の一例を述べると、たとえばダクト25の内径d25および送込孔部26の内径d26は、約300〜500mmであり、拡散板30の外径d30は、ダクト25の内径d25および送込孔部26の内径d26よりも、約25〜60mm程度小さく、約250〜450mmである。拡散板30の軸線L30上におけるフェアリング21の内周面の延長面と基部33との間の間隔(クリアランス)H30は、約80〜150mmである。拡散板30の基部33に対する周壁部34の突出量W34は、フェアリング21との間に空気の通路が確保される寸法で約20mm以上であればよい。
【0040】
このように拡散装置20は、拡散板30の外形寸法、具体的には外径d30が、送込孔部26の内形寸法、具体的には内径d26よりも小さく形成されている。これによって拡散装置20をダクト25に連結し、図9および図10に示すようなフェアリング21に対するダクト25の着脱操作によって、拡散板30を、送込孔部26を介して、フェアリング21内に出し入れすることができる。
【0041】
図12は、拡散板30と同様の形状の板状部材40に向けて空気を噴出した場合の空気の流れを示す断面図である。板状部材40は、拡散板30と同様の形状であり、基部42と周壁部43とを有する。板状部材40の外径d40よりも小さい内径d41の円筒状の管路41に対して同軸かつ垂直に、さらに凹となる側の表面部を管路41に対向させて板状部材40を配置し、管路41から板状部材40に向けて管路41の軸線に平行な噴出方向C1へ空気を噴出したとき、空気は、板状部材40の基部42に衝突して基部42に沿って流下する。基部42に沿って流下して周縁部に到達した空気は、噴出方向C1と反対方向へ向けて案内され、最終的には、周壁部43を乗り越えるようにして、板状部材40の軸線L40に対して略垂直な方向C2へ流下する。この図12に示す構成では、管路41の内径d41が板状部材40の外径d40よりも小さい例で説明したけれども、周壁部43が形成されることによって、図26を参照して説明したような周壁部43が設けられない場合に比べ、噴出方向C1の成分を無くし、または小さく抑えて、板状部材40の周縁部から板状部材40の軸線に垂直な方向C2へ空気を流下させることができる。
【0042】
図13は、送込まれる空気が拡散される拡散方向Dを示す断面図である。図14は、空気を送込むことによって生じる2次流れを示す断面図である。図13および図14は、フェアリング21の軸線に垂直な平面で切断した断面を示す。また図13および図14には、各軸線L25,L26,L30に関して一方側だけの空気の流れに関して示しており、実際には、両側に対称の流れを生じている。本実施の形態では、板状部材40と同様に基部33と周壁部34とを有する拡散板30を有する拡散装置20が用いられる。したがってダクト25によって導かれる空気は、拡散板30とフェアリング21との間であって、各連結脚部31の間から、ダクト25の軸線L25に沿う噴出方向Dに噴出されると、拡散板30によって、その軸線L30に略垂直な方向へ、したがってフェアリング21の内周面に沿う方向(以下「拡散方向」という)Eへ拡散される。
【0043】
このように本実施の形態によれば、拡散板30のダクト25の開口部29に対向する側の表面部が、凹となる形状に形成されており、ダクト25によって送込まれる空気は、送込孔部26の軸線L26から遠ざかりかつ送込孔部26の軸線L26に沿ってフェアリング21の外方に向かう方向へ案内される。したがってフェアリング21内に送込まれる空気は、フェアリング21の内方に向かう成分が小さい方向に拡散され、具体的には、フェアリング21の内周面に沿って流下する。
【0044】
さらに詳細に説明すると、ダクト25によって導かれる空気は、拡散板30の外径d30が送込孔部26の内径d26よりも小さいので、ダクト25、送込孔部26および拡散板30の各軸線L25,L26,L30に垂直な方向ではなく、フェアリング21の内方に向かう成分、すなわち噴出方向Dの成分を含んではいるが、従来の技術における拡散方向Bに比べてその成分は小さく、フェアリング21の内周面寄りの方向である。
【0045】
図13に示すように、拡散方向Eに流下する気流の両側には、圧力が低い領域S21,S22が形成される。一方の領域S21は、気流とフェアリング21との間に形成される領域であり、他方の領域S22は、気流と人工衛星22との間に形成される領域である。また他方の領域S22は、拡散板30の裏側となる拡散板30と人工衛星22との間の領域まで延びている。このような圧力の低い領域S21,S22が形成されると、気流は、圧力差によって引っ張られるが、本実施の形態では、拡散方向Eが人工衛星22に比べてフェアリング21の内周面寄りの方向であり、図14に矢符E1〜E3で示すように、フェアリング21の内周面に引寄せられる。したがって送込まれる空気は、図1および図2に矢符Fで示すように、フェアリング21の内周面に沿って拡散され、流下される。さらにこのようにフェアリング21の内周面に沿って空気が拡散されると、図17に矢符Gで示すように、人工衛星22の外表面に沿って送込孔部26付近に戻る2次的な流れを生じ、これによって送込まれた空気がフェアリング21の内周面に沿って拡散する気流が安定化する。
【0046】
このように本実施の形態の拡散装置20を用いることによって、フェアリング21内に送込まれる空気は、フェアリング21の内周面に沿って拡散され、送込まれる空気の風圧によって、フェアリング21内に収容される人工衛星22が損傷することを確実に防止することができ、かつ効率的な空調を達成することができる。さらに具体例を述べると、温度が10〜25℃であり、湿度が40〜50%RHである空気が、最大風量(流量)100m3/分の送込流量で送込まれる。本件発明者は、たとえば前述の寸法関係にある場合、周壁部34の高さW34が20mm以上であると、送込まれる空気がフェアリング21の内周面に沿って拡散、流下され、人工衛星22を損傷させることなく、かつフェアリンク内を効率良く空調できることを確認している。
【0047】
また拡散装置20は、拡散板30が、平板状の基部33と、基部33の周縁部から屈曲して突出する周壁部34とを有する。これによって基部33と周壁部34とを有するだけの簡単な構成によって、ダクト25の開口部に対向する側の表面部が凹となる形状の拡散板30を実現することができる。したがって簡単な構成の拡散装置20によって、前述の優れた効果を達成することができる。
【0048】
またこのような拡散装置20は、円形平板を用いる従来の技術と比較して、構成上の大きな変更を必要とせず、特に、フェアリング21には、全く改良を必要としない点で、利便性に優れている。また円形平板を用いる従来の技術と比較しても、大きな圧力損失を生じることがなく、空気の供給源などの改良も不要であり、要求される空気の供給流量を達成することができる。
【0049】
図15は、本発明の実施の他の形態の拡散装置20Aを示す断面図である。図16は、拡散装置20Aの拡散板30を示す正面図である。図15は、フェアリング21の軸線に平行な平面で切断した断面を示し、図16は、拡散板30をその軸線L30に沿う方向から見て示す。図15および図16に示す拡散装置20Aは、図1〜図14を参照して説明した拡散装置20と類似しており、対応する部分に同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。本実施の形態の拡散装置20Aの拡散板30には、基部33に、厚み方向、したがって拡散板30の軸線L30に沿う方向に貫通する複数の細孔50が形成されている。各細孔50は、たとえば放射状に並んで形成される。また各細孔50は、送込まれる空気が細孔50通過することによって、人工衛星22を損傷しない程度まで流速を低下させることができる寸法に形成されている。その他の構成は、図1〜図14の拡散装置20と同様である。
【0050】
本実施の形態の拡散装置20Aによれば、拡散板30には、複数の細孔50が形成されているので、送込まれた空気の一部を細孔50から拡散板30の裏側、したがってダクト25と反対側S30に導くことができる。これによって図17に示すように、図13を参照して説明した領域S22に相当する領域が、拡散板30の裏側に形成されてしまうことを防止し、またその領域S22の圧力が低くなることをできるだけ抑えることがでできる。したがって図18に示すように、図14を参照して説明したような矢符E1〜E3,Gの方向に流下する気流の形成を促すことができる。したがって送込まれる空気のフェアリング21の内周面に沿う拡散、流下を確実に達成することができる。
【0051】
図19は、本発明の実施のさらに他の形態の拡散装置20Bを示す断面図である。図19は、フェアリング21の軸線に平行な平面で切断した断面を示す。図19に示す拡散装置20Bは、図1〜図14を参照して説明した拡散装置20と類似しており、対応する部分に同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。本実施の形態の拡散装置20Bの拡散板30は、ダクト25に臨む側の表面が球面の一部である曲面形状に形成され、ダクト25に臨む側の表面部が凹状に形成される。ダクト25に臨む側の表面部における周縁部の軸線方向の突出高さW34は、図1〜図14の周壁部34の突出高さW34と同様の寸法である。その他の構成は、図1〜図14の拡散装置20と同様である。
【0052】
図20は、拡散装置20Bの拡散板30と同様の形状の板状部材45に向けて空気を噴出した場合の空気の流れを示す断面図である。板状部材45は、拡散板30と同様の形状である。板状部材45の外径d45よりも小さい内径d46の円筒状の管路46に対して同軸かつ垂直に、さらに凹となる側の表面部を管路46に対向させて板状部材45を配置し、管路46から板状部材45に向けて管路45の軸線に平行な噴出方向C3へ空気を噴出したとき、空気は、板状部材45に衝突して板状部材45に沿って流下する。このときに空気は、噴出方向C3と反対方向へ向けて案内され、最終的には、周縁部から板状部材45の軸線L45に対して略垂直な方向C4へ流下する。この図20に示す構成では、管路46の内径d46が板状部材45の外径d45よりも小さい例で説明したけれども、凹状の表面部に案内されることによって、図26を参照して説明したような円形平板の場合に比べ、噴出方向C3の成分を無くし、または小さく抑えて、板状部材40の周縁部から板状部材40の軸線に垂直な方向C4へ空気を流下させることができる。
【0053】
このように空気を案内することができる形状の拡散板30が設けられる拡散装置20Bは、図1〜図14の拡散装置20と同様の効果を達成することができる。さらに拡散板30における空調ダクトの開口部に対向する側の表面部は、滑らかな曲面状に形成される。これによって送込まれる空気が円滑に案内されるので、送込まれた空気の円滑な流れを形成し、空調効率を向上することができる。
【0054】
本発明の実施のさらに他の形態として、図19に示す拡散板30に、図15〜図18に示す拡散装置20Aの拡散板30と同様に、軸線に沿って厚み方向に貫通する複数の細孔50を形成するようにしてもよい。これによって細孔50が形成されることによって達成される効果を同様に達成することができる。
【0055】
図21は、本発明の実施のさらに他の形態の拡散装置20Cを示す断面図である。図21は、フェアリング21の軸線に平行な平面で切断した断面を示す。図21に示す拡散装置20Cは、図1〜図14を参照して説明した拡散装置20と類似しており、対応する部分に同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。本実施の形態の拡散装置20Cの拡散板30は、周壁部34の突出量W34が軸線L30の軸線まわりの周方向に関して異なる。その他の構成は同様である。
【0056】
このような構成にすれば、前述の優れた効果に加えて、突出量W34の大きく、拡散板30の周縁部とフェアリング21の内周面との距離が小さい方向への空気の拡散流量を小さくし、突出量W34の小さく、拡散板30の周縁部とフェアリング21の内周面との距離が大きい方向への空気の拡散流量を大きくすることができる。本実施の形態では、フェアリング21のロケット本体24に連結される端部である連結端部54寄りに配置される周壁部34の突出量W34が大きく、フェアリング21の連結端部54と反対側の頂部55寄りに配置される周壁部34の突出量W34が小さく形成される。これによって頂部55に向けて拡散される空気の流量を大きくすることができる。このように送込まれる空気を頂部55側にできるだけ拡散することによって、送込んだ空気をフェアリング21内全体に行きわたらせることができ、空調効率のさらなる向上を図ることができる。
【0057】
図22は、本発明の実施のさらに他の形態の拡散装置20Dを示す断面図である。図22は、フェアリング21の軸線に平行な平面で切断した断面を示す。図22に示す拡散装置20Dは、図1〜図14を参照して説明した拡散装置20と類似しており、対応する部分に同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。本実施の形態の拡散装置20Dの拡散板30は、その軸線L30がダクト25および送込孔部26の軸線L25,L26に対して傾斜している。その他の構成は同様である。
【0058】
このような構成にすれば、前述の優れた効果に加えて、拡散板33の傾斜方向に応じて、軸線L30まわりの周方向に空気の拡散流量を変化させることができる。具体的には、拡散板30の周縁部とフェアリング21の内周面との距離が小さい方向への空気の拡散流量を小さくし、拡散板30の周縁部とフェアリング21の内周面との距離が大きい方向への空気の拡散流量を大きくすることができる。本実施の形態では、拡散板30は、凹となるダクト25側の表面部が頂部55側を向くように傾斜されている。これによって連結端部54側における拡散板30の周縁部とフェアリング21の内周面との距離が小さく、頂部55側における拡散板30の周縁部とフェアリング21の内周面との距離が大きくなるように配置されている。これによって頂部55に向けて拡散される空気の流量を大きくすることができる。このように送込まれる空気を頂部55側にできるだけ拡散することによって、送込んだ空気をフェアリング21内全体に行きわたらせることができ、空調効率のさらなる向上を図ることができる。
【0059】
図23は、本発明の実施のさらに他の形態の拡散装置20Eを示す断面図である。図23は、拡散板30の軸線L30に垂直な平面で切断した断面を示す。図23に示す拡散装置20Eは、図1〜図14を参照して説明した拡散装置20と類似しており、対応する部分に同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。本実施の形態の拡散装置20Eは、拡散板30をダクト25に連結する連結脚部31が、周方向に非対称に設けられている。本実施の形態では、たとえば断面形状が長方形状の4つの連結脚部31が設けられて、前記長方形の長辺の向きが非対称となるように配置される。具体的には、周方向に等間隔に配置される4つの連結脚部31のうち、1つの連結脚部31が前記長方形の長辺を周方向に配置し、他の3つの連結脚部31が前記長方形の長辺を半径方向に配置して設けられる。前記長辺が周方向に配置される連結脚部31付近は、送込まれる空気の流下の妨げになりやすく、前記長辺が半径方向に配置される連結脚部31付近は、送込まれる空気の流下の妨げになりにくいので、送込まれる空気を整流することができる。その他の構成は同様である。
【0060】
このような構成にすれば、前述の優れた効果に加えて、連結脚部31の配置状態に応じて、軸線L30まわりの周方向に空気の拡散流量を変化させることができる。具体的には、前記長辺が周方向に配置される連結脚部31が設けられる方向への空気の拡散流量を小さくし、前記長辺が半径方向に配置される連結脚部31が設けられる方向への空気の拡散流量を大きくすることができる。本実施の形態では、連結端部54寄りに配置される連結脚部31が長辺を周方向に配置し、他の3つの連結脚部31が長辺を半径方向に配置して設けられる。これによって頂部55に向けて拡散される空気の流量を大きくすることができる。このように送込まれる空気を頂部55側にできるだけ拡散することによって、送込んだ空気をフェアリング21内全体に行きわたらせることができ、空調効率のさらなる向上を図ることができる。
【0061】
前述の実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、構成を変更することが可能である。たとえば、前述の具体的な形状、寸法などは一例であり、これに限定されるものではない。また図21〜図23に示す拡散装置20C〜20Eの拡散板30に、細孔50を形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の一形態のフェアリング内空調用空気の拡散装置20をフェアリング21に装着した状態で示す断面図である。
【図2】フェアリング21の一部を示す断面図である。
【図3】フェアリング21を示す正面図である。
【図4】フェアリング21を示す平面図である。
【図5】図3の切断面線V5−V5から見て示す断面図である。
【図6】図3の切断面線V6−V6から見て示す断面図である。
【図7】拡散装置20を示す断面図である。
【図8】拡散装置20を示す正面図である。
【図9】ダクト25の装着操作を示す断面図である。
【図10】ダクト25の離脱操作を示す断面図である。
【図11】拡散装置20に関連する構成の寸法を一例を示すための断面図である。
【図12】拡散板30と同様の形状の板状部材40に向けて空気を噴出した場合の空気の流れを示す断面図である。
【図13】送込まれる空気が拡散される拡散方向Dを示す断面図である。
【図14】空気を送込むことによって生じる2次流れを示す断面図である。
【図15】本発明の実施の他の形態の拡散装置20Aを示す断面図である。
【図16】拡散装置20Aの拡散板30を示す正面図である。
【図17】拡散装置20Aを用いた場合の空気の流下状態を示す断面図である。
【図18】拡散装置20Aを用いた場合の空気の流下状態を示す断面図である。
【図19】本発明の実施のさらに他の形態の拡散装置20Bを示す断面図である。
【図20】拡散装置20Bの拡散板30と同様の形状の板状部材45に向けて空気を噴出した場合の空気の流れを示す断面図である。
【0063】
【図21】本発明の実施のさらに他の形態の拡散装置20Cを示す断面図である。
【図22】本発明の実施のさらに他の形態の拡散装置20Dを示す断面図である。
【図23】本発明の実施のさらに他の形態の拡散装置20Eを示す断面図である。
【図24】従来の技術のフェアリング内空調用空気の拡散装置1を示す断面図である。
【図25】拡散装置1が設けられるフェアリング2の一部を示す断面図である。
【図26】円形平板8に向けて空気を噴出した場合の空気の流れを示す断面図である。
【図27】拡散装置1を用いた場合の空気の拡散状態を示す断面図である。
【図28】拡散装置1を用いた場合の空気の拡散状態を示す断面図である。
【図29】拡散装置1を用いた場合の空気の拡散状態を示す断面図である。
【図30】さらに他の従来の技術の拡散装置1Aを示す断面図である。
【図31】ダクト3を示す図である。
【図32】ダクト3を離脱させた状態で拡散装置1Aを示す断面図である。
【図33】さらに他の従来の技術の拡散装置1Bを示す断面図である。
【符号の説明】
【0064】
20,20A〜20E 拡散装置
21 フェアリング
22 衛星
25 ダクト
26 送込孔部
30 拡散板
31 連結脚部
33 基部
34 周壁部
50 細孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロケットに搭載される搭載物を保護するフェアリングの内方の空間を空調するために、フェアリングに形成された送込孔部にフェアリングの外方から着脱可能に装着される空調用ダクトによって輸送され、送込孔部からフェアリング内に送込まれる空調用空気を、フェアリング内に拡散させる拡散装置であって、
空調用ダクトの開口部に対向して固定され、送込孔部を通過可能な寸法を有し、空調用ダクトが送込孔部に装着された状態でフェアリング内に配置され、空調用ダクトの開口部に対向する側の表面部が、フェアリング内に送込まれる空気を、フェアリングの内周面に沿って流下するように案内可能な凹形状に形成される拡散装置本体を含むことを特徴とするフェアリング内空調用空気の拡散装置。
【請求項2】
拡散装置本体は、
空調用ダクトの開口部に対向する平板状の基部と、
基部の周縁部から空調用ダクトに近づくように屈曲して突出し、フェアリング内に送込まれる空気を、フェアリングの内周面に沿って流下するように案内可能な突出寸法を有する周壁部とを有することを特徴とする請求項1記載のフェアリング内空調用空気の拡散装置。
【請求項3】
拡散装置本体における空調ダクトの開口部に対向する側の表面部は、フェアリング内に送込まれる空気を、フェアリングの内周面に沿って流下するように案内可能な滑らかな曲面状に形成されることを特徴とする請求項1記載のフェアリング内空調用空気の拡散装置。
【請求項4】
拡散装置本体には、貫通する細孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のフェアリング内空調用空気の拡散装置。
【請求項1】
ロケットに搭載される搭載物を保護するフェアリングの内方の空間を空調するために、フェアリングに形成された送込孔部にフェアリングの外方から着脱可能に装着される空調用ダクトによって輸送され、送込孔部からフェアリング内に送込まれる空調用空気を、フェアリング内に拡散させる拡散装置であって、
空調用ダクトの開口部に対向して固定され、送込孔部を通過可能な寸法を有し、空調用ダクトが送込孔部に装着された状態でフェアリング内に配置され、空調用ダクトの開口部に対向する側の表面部が、フェアリング内に送込まれる空気を、フェアリングの内周面に沿って流下するように案内可能な凹形状に形成される拡散装置本体を含むことを特徴とするフェアリング内空調用空気の拡散装置。
【請求項2】
拡散装置本体は、
空調用ダクトの開口部に対向する平板状の基部と、
基部の周縁部から空調用ダクトに近づくように屈曲して突出し、フェアリング内に送込まれる空気を、フェアリングの内周面に沿って流下するように案内可能な突出寸法を有する周壁部とを有することを特徴とする請求項1記載のフェアリング内空調用空気の拡散装置。
【請求項3】
拡散装置本体における空調ダクトの開口部に対向する側の表面部は、フェアリング内に送込まれる空気を、フェアリングの内周面に沿って流下するように案内可能な滑らかな曲面状に形成されることを特徴とする請求項1記載のフェアリング内空調用空気の拡散装置。
【請求項4】
拡散装置本体には、貫通する細孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のフェアリング内空調用空気の拡散装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2006−103468(P2006−103468A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291829(P2004−291829)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
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