説明

フォトクロミック性塗料

【構成】 ナトリウム化合物が酸化ナトリウム換算で0.1〜7.0重量%、鉄、クロム、銅、ニッケル、バナジウム及びマンガンの少なくとも一種よりなる金属化合物が金属酸化物換算で0.2〜8.0重量%で、前記2成分の残部が酸化チタンである酸化チタン系化合物を0.01〜90重量%含有することを特徴とするフォトクロミック性塗料
【効果】 優れた演色性を有するフォトクロミック性塗料を提供し得る。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フォトクロミック性という演色効果を有する塗料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、塗料には白色に着色したり、色合いを変えたり、隠蔽力を付与するために酸化チタンや硫化亜鉛、鉛白、リトポン、亜鉛華等の白色顔料が用いられている。これら白色顔料は安定で隠蔽力にも優れるが、白色度が一定であるために、光の強度が変化しても一定の色調を呈す。それ故、光が弱い早朝や夕方又は室内で良好な色調を呈していても、太陽光下や強い照明下では白色が強調されすぎ、良好な演色性が得られない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる事情を鑑み、本発明者は優れた演色性を有する塗料を得るべく鋭意検討した結果、特定の酸化チタン系粉体を用いることにより、上記問題を解決したフォトクロミック性塗料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明はナトリウム化合物が酸化ナトリウム換算で0.1〜7.0重量%、鉄、クロム、銅、ニッケル、バナジウム及びマンガンの少なくとも一種より成る金属化合物が金属酸化物換算で0.2〜8.0重量%で、前記2成分の残部が酸化チタンである酸化チタン系化合物を0.01〜90重量%含有することを特徴とするフォトクロミック性塗料を提供するにある。
【0005】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発明の塗料はフォトクロミック性を発現すべく、約0.01〜約90重量%の酸化チタン系化合物を含有する。酸化チタン系化合物としては、ナトリウム化合物が酸化ナトリウム換算で約0.1〜約7.0重量%、鉄、クロム、銅、ニッケル、バナジウム及びマンガンの少なくとも一種より成る金属化合物が金属酸化物換算で約0.2〜約8.0重量%で、残りがチタニアから成る酸化チタン系化合物が優れたフォトクロミック性を有するので好ましい。
【0006】このような酸化チタン系化合物は特開平5−17152号公報、特開平5−51209号公報に記載された方法により製造することができる。この酸化チタン系化合物は可視光や紫外線が照射された場合の変色の程度が大きいので、少量の添加でも良好な変色効果が得られる。また、添加量を変化させることにより幅広い可視又は紫外線強度に反応するフォトクロミック塗料が得られる。それ故、この酸化チタン系化合物の含有量としては、その用途に応じて約0.01〜約90重量%の範囲で任意の割合を選択することができる。
【0007】酸化チタン系化合物を混合する塗料としては公知のものを用いることができる。例えばペイント、ワニス、エナメル等の油性塗料、クリアラッカー、ラッカーエナメル等の繊維素誘導体塗料、アルキド樹脂塗料、塩化ビニル塗料、エポキシ樹脂塗料、ウレタン塗料等の合成樹脂塗料、酢酸ビニルラッテクスペイント、スチレンブタジエンラテックスペイント等の合成樹脂エマルジョンペイント、水性焼付塗料、粉状水性塗料、漆等の塗料がある。
【0008】酸化チタン系化合物を混合する方法としてはボールミル、コロイドミル、ミキサー、ローラミル、アトライター、タービン形分散機、ニーダー等公知の方法で混合、分散、混練することができる。尚、本発明の特性を損なわない範囲に於いて、各種性能付与材、例えば塗膜にガスバリヤー付与材等を併用することも可能である。
【0009】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、フォトクロミック性という演色効果を有する塗料を得ることができる。本発明で得られた塗料を自動車や建物に塗布した場合、昼間の強い光線が当たっている間は添加したチタン系化合物が黒化するために、妙に白浮きせずに重厚で奥深い質感が得られるのに対し、夜間は黒色が褪色することにより視認性が高まったり、ライトアップ等の効果も際立つといった優れた演色性が得られ、その工業的価値は頗る大なるものである。
【0010】
【実施例】以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0011】実施例1チタンイソプロポキシド(商品名;A−1 日本曹逹株式会社製)300gと鉄アセチルアセトナート0.94g(商品名;ナーセム第二鉄 日本化学産業製)、ナトリウムエチラート4.6g(住友製薬株式会社製)をイソプロピルアルコールに溶解した。この溶液に水66.2gを添加して加水分解した。得られた粉末を電気炉にて680℃で1時間焼成して、酸化ナトリウム0.50重量%、酸化鉄0.25重量%、残部が酸化チタンよりなるフォトクロミック性酸化チタンを得た。このフォトクロミック性酸化チタンを用い、下記の組成のアミノアルキド樹脂をボールミル混合分散し、自動車のボディーにスプレー塗装した後、140℃で30分間焼付けた。塗装が完了したボディーは、昼間はフォトクロミック性のチタンが黒化することにより、深みのあるグレーの外観であったが、夜間になると純白に変化して華麗な外観に変化した。加えてライトに照らされると浮き上がるような白色なので視認性が高まり、安全性も良好であった。
【0012】アミノアルキルド樹脂の組成・ルチル形酸化チタン 150kg・フォトクロミック性酸化チタン 150kg・アルキド樹脂 370kg・アミノ樹脂 190kg・キシレン 180kg

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ナトリウム化合物が酸化ナトリウム換算で0.1〜7.0重量%、鉄、クロム、銅、ニッケル、バナジウム及びマンガンの少なくとも一種より成る金属化合物が金属酸化物換算で0.2〜8.0重量%で、前記2成分の残部が酸化チタンである酸化チタン系化合物を0.01〜90重量%含有することを特徴とするフォトクロミック性塗料