説明

フォトプレート

【課題】 インクジェットプリントにより作成されるパネルにおいて、斬新なアイデアを盛り込んだ、興趣溢れるパネルとしてのフォトプレートを提供すること。
【解決手段】 フォトプレート1は、プラスチック10の表面11に定着された保護塗料下地層2と、表面粗処理された保護塗料下地層2にUVプリンターで印刷された、例えば魚の画像形成層3と、少なくともこの画像形成層3上に定着された保護塗料層4と、この保護塗料層4を削ることにより形成される模様部5と、プラスチック10の裏面12を削ることにより形成される模様部6を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人物、動物、風景等のデジタル画像をデジタルインクジェットプリントにより基材に定着させてなるフォトプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
パネル基板上に保護塗料下地層が形成され、この下地層上にインクジェット画像を印刷し、さらにこの上に保護塗膜を形成して製造されるインクジェット印刷パネルが特許文献1に開示されている。
【0003】
このようなインクジェット画像の印刷を利用する最新の特許文献として「金属建材の架飾方法」を開示する特許文献2がある。
これらの新旧文献に共通する技術的特色は、インクジェット画像の利点である「印刷媒体が限定されてないこと」、「版下の作成、管理」等が不要である事等に着目してなされていることである。
しかし、一方においては、これらの特許文献に開示されている構成、即ち、パネル基板上に保護塗料下地層が形成され、この下地層上にインクジェット画像を印刷し、さらにこの上に保護塗膜を形成する構成に大きな変化はなく、インクジェットプリントにより作成されるパネルの興趣が薄れていた。
【0004】
【特許文献1】実開平3−57235
【特許文献2】特開2006−7618
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本願発明は、上記各特許文献から明らかとなった課題を解決するもので、インクジェットプリントにより作成されるパネルにおいて、斬新なアイデアを盛り込んだ、興趣溢れるパネルとしてのフォトプレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、基材(ベースとも称する)と、この基材の表面に定着された保護塗料下地層と、表面粗処理された前記保護塗料下地層にUVプリンターで印刷されて形成された画像形成層と、この画像形成層上に定着された保護塗料層と、前記基材の裏面側を削ることにより形成される模様部を備えたことを特徴とするフォトプレートとした(請求項1に記載の発明)。
【0007】
画像形成層とこの画像に関連付けられる模様部により、デジタル画像に新しい興趣を引き起こすことができる。
基材としては、ガラス、プラスチック、石版、アクリル板、鉄板等、有機物、無機物、金属類等、その素材に限定されるものではない。その形状は、典型的には薄板状のものである。
【0008】
上記目的を達成するため、透明な基材と、この基材の表面に定着された保護塗料下地層と、表面粗処理された前記保護塗料下地層にUVプリンターで印刷された画像形成層と、この画像形成層上に定着された保護塗料層と、この保護塗料層から少なくとも前記画像形成層までを削ることにより形成される第1の模様部と、前記基材の裏面を削ることにより形成される第2の模様部を備えたことを特徴とするフォトプレートとした(請求項2に記載の発明)。
【0009】
上記発明の作用効果は次の通りである。
第1に、第1の模様部により、保護塗料層という画像形成層以外の部分を表現の領域とした点に斬新性がある。
第2に、前記基材の裏面を観賞面とした場合に、第1の模様部によって形成される透視模様が観賞面に表現され、興趣が高められる。
第3に、第2の模様部により、基材の裏面という画像形成層以外の部分を表現の領域とした点に斬新性がある。
第4に、第2の模様部の影が前記保護塗料下地層上に作られ、斬新性を増大させることができる。
【0010】
上記目的を達成するため、透明な基材と、この基材の表面に定着された保護塗料層と、前記基材の裏面側を削ることにより形成される模様部を備えたことを特徴とするフォトプレートとした(請求項3に記載の発明)。
【0011】
前記模様部から入射する光により、前記保護塗料層に前記模様部に対応する影模様が作られ、興趣あるフォトプレートとすることができる。
【0012】
上記目的を達成するため、透明な基材と、この基材の表面に定着された保護塗料層と、前記基材の裏面に定着された保護塗料下地層と、表面粗処理された前記保護塗料下地層にUVプリンターで印刷されて形成された画像形成層と、この画像形成層上に定着された保護塗料層を備えたことを特徴とするフォトプレートとした(請求項4に記載の発明)。
【0013】
前記裏面側の保護塗料層から入射する光により、画像形成層の輪郭に対応する影模様が表面側の保護塗料層に作られ、興趣あるフォトプレートとすることができる。
【0014】
上記目的を達成するため、透明な基材と、この基材の表面に定着された第1の保護塗料下地層と、表面粗処理された前記第1の保護塗料下地層にUVプリンターで印刷された第1の画像形成層と、この第1の画像形成層と保護塗料層間に、少なくとも、前記第1の画像形成層上に定着された第2の保護塗料下地層と、表面粗処理された前記第2の保護塗料下地層にUVプリンターで印刷された第2の画像形成層を備えることを特徴とするフォトプレートとした(請求項5に記載の発明)。
また、無機物の基材と、この基材の表面に定着された第1の保護塗料下地層と、表面粗処理された前記第1の保護塗料下地層にUVプリンターで印刷された第1の画像形成層と、この第1の画像形成層と保護塗料層間に、少なくとも、前記第1の画像形成層上に定着された第2の保護塗料下地層と、表面粗処理された前記第2の保護塗料下地層にUVプリンターで印刷された第2の画像形成層を備えることを特徴とするフォトプレートとした(請求項6に記載の発明)。
さらに、PVC等の有機物、又は金属類の基材と、この基材の表面に定着された第1の保護塗料下地層と、表面粗処理された前記第1の保護塗料下地層にUVプリンターで印刷された第1の画像形成層と、この第1の画像形成層と保護塗料層間に、少なくとも、前記第1の画像形成層上に定着された第2の保護塗料下地層と、表面粗処理された前記第2の保護塗料下地層にUVプリンターで印刷された第2の画像形成層を備えることを特徴とするフォトプレートとした(請求項7に記載の発明)。
【0015】
上記請求項5〜7の各発明は、第1の画像形成層の外側に第2の保護塗料下地層と第2の画像形成層を積層させ、最外側に保護塗料層を積層させたもので、第1の画像形成層と最外側の保護塗料層との間に、第2の保護塗料下地層と第2の画像形成層のみばかりではなく、複数の保護塗料下地層と画像形成層を積層させることを提案するものである。
即ち、第1の画像形成層と第2の画像形成層に、別々の画像を表示させることによる立体表現が可能となる。
また、第1の画像形成層と第2の画像形成層に、それぞれに関連する画像を表示させることによる多層的な表現が可能となる。
第1の画像形成層には、カラー画像のまま印刷し、第2の画像形成層にはカラー画像を白黒画像のデジタル画像に変換加工したものを印刷し、重ねて表現することで立体感がでる。
また、第1の画像形成層は人物像を、第2の画像形成層はスキャナー読取画像とすることにより、その人物に関する多層的な表現が可能となる。
【0016】
加えて第3の画像形成層を設ける場合には、第1の画像形成層、第2の画像形成層及び第3の画像形成層による立体表現が可能となる。
また、第1の画像形成層、第2の画像形成層及び第3の画像形成層による多層的な表現が可能となる。
【0017】
例えば、第1〜第3画像形成層の3層の画像形成層により、赤、青、緑の三原色の色彩を表現できる。
例えば、第1の画像形成層は人物像を、第2の画像形成層はその人物の青年時の人物像を、第3の画像形成層はその人物の幼年時の人物像などを裏面又は表面の観賞面からみて、それぞれズラして表示させることで、その人物に関する多層的な表現が可能となる。
【0018】
前記画像形成層には、カラー画像のまま印刷されるようにしてもよいし、カラー画像を白黒画像のデジタル画像に変換加工されて印刷されるようにしてもよい。
また、前記画像形成層には、立体物がスキャナーに読込まれて、他のデジタル画像と共に合成加工されて印刷されるようにしてもよい。
【0019】
前記基材の表面又は裏面について、デジタル画像に応じて凹凸に形成されるようにしてもよい。
具体的な凹凸の形成方法として、彫刻機を用いてもよい。
【0020】
前記基材を立て掛けるスタンドと、このスタンドに取付けられた音声記憶手段、発声手段、音検知手段及び中央制御装置を備えていることを特徴とするフォトプレートでもよい。
【0021】
基材としてスリガラスを用いてもよい。
即ち、一面が粗面となり、他面が平滑面(鏡面)となっているスリガラスと、このスリガラスの鏡面に定着された保護塗料下地層と、表面粗処理された前記保護塗料下地層にUVプリンターで印刷されて形成された画像形成層と、この画像形成層上に定着された保護塗料層を備えたことを特徴とするフォトプレートとした(請求項8に記載の発明)。
このフォトプレートによれば、画像形成層の縁から前記鏡面に入射した光が粗面によって乱反射され、散乱或いは拡散され、その鏡面から出射される。
この出射光は、画像形成層の外縁の周囲の影を形成して、観賞者の目に入る。
その影は明確な濃淡ではなく、淡い濃淡の影を形成し、画像形成層の立体感を醸し出す。
【0022】
上記請求項1又は請求項2の発明において、各模様部を省略してもよい。
即ち、透明な基材と、この基材の表面に定着された保護塗料下地層と、表面粗処理された前記保護塗料下地層にUVプリンターで印刷されて形成され、且つ、裏面を観賞面とする画像形成層と、この画像形成層上に定着された保護塗料層からなるフォトプレートであって、前記保護塗料層は、無色透明、半透明又は白色であることを特徴とするフォトプレートとした(請求項8に記載の発明)。
【発明の効果】
【0023】
インクジェットプリントにより作成されるパネルにおいて、斬新なアイデアを盛り込んだ、興趣溢れるパネルとしてのフォトプレートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は第1実施形態に係るフォトプレートの縦断面図、図2は同フォトプレートの斜視図である。
これらの各図及び以下に説明する各図において、同一の構成は同一の符号又は字句を付して、詳細な説明を省略する。
第1実施形態に係るフォトプレート1は、図1に示したように基材としてのプラスチック10の表面11に定着された保護塗料下地層2と、表面粗処理された前記保護塗料下地層2にUVプリンターで印刷された、例えば魚の画像形成層3と、少なくともこの画像形成層3上に定着された保護塗料層4と、この保護塗料層4を削ることにより形成される模様部5と、前記プラスチック10の裏面12を削ることにより形成される模様部6を備えている。
プラスチック10は、例えば塩化ビニル樹脂(PCV)、アクリル(PMMA)、ポリカーボネイト(PC)等を素材とし、透明なもの、半濁なもの、有色なものでもよい。
プラスチック10は、薄板状のものでテーブル等に配置可能なサイズに形成されているが、そのサイズに限定されるものでもない。
プラスチック10は、その表面(以下、一面とも称する)11側に画像形成層3が作られ、この画像をその表面11側から観賞することになり、その表面11が観賞面となる。
なお、透明なものを基材とする場合には、その表面11側に画像形成層3が作られ、この画像をその裏面(以下、他面とも称する)12側から観賞可能なように前記画像形成層3を形成し、裏面12を観賞面としてもよい。即ち、写像を裏面12から観賞できるように印刷する。
【0025】
前記プラスチック10の表面11には、画像形成層3の画像に応じて凹凸を形成するようにしてもよい。例えば、画像形成層3が人物像の場合にはその人物像の輪郭の凹凸を成形して、その上に画像を印刷形成するようにしてもよい。
また前記プラスチック10の裏面12には、彫刻機を用いて画像形成層3の画像に応じて凹凸を形成するようにしてもよい。
【0026】
前記保護塗料下地層2は、熱硬化性樹脂であり該熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、アルコール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリルメラミン樹脂、およびミネラルを充満したシリコン樹脂、からなる群の中のひとつが選択され、形成される。
これらの保護塗料下地層は、無色透明なもの、半透明なもの、不透明なものを適宜選択する。
【0027】
前記画像形成層3は、所定の画像編集ソフトウエアを用いて作成されたデジタル画像が、表面粗処理(砂磨き、または砂吹き)された前記保護塗料下地層2上にUVプリンターによって印刷されて形成される。
前記画像形成層3には、カラー画像のまま印刷されるようにしてもよいし、カラー画像を白黒画像のデジタル画像に変換加工されて印刷されるようにしてもよい。
また、前記画像形成層3には、立体物がスキャナーに読込まれて、他のデジタル画像と共に合成編集されて印刷されるようにしてもよい。
本実施形態の図2のように、釣果を示す魚拓として印刷するには、魚のカラー画像を白黒画像のデジタル画像に変換し、背景等不要な画像を切り除く画像処理を行う。さらに、釣の日時、釣の場所、釣人の名前等を画像編集ソフトウエアを用い、デジタル画像と合成してもよい。
結婚式などのメモリアルな場面での写真に、挙式の日時、挙式の場所、両人の名前等を画像編集ソフトウエアを用いて、合成編集してもよい。
人物写真にその自筆の絵、書等を画像編集ソフトウエアを用いて、合成編集してもよい。
赤ちゃんの足形、手形を色紙等で得て、その色紙をスキャナーに読込んでデジタル画像化して、赤ちゃんのデジタル写真と合成して印刷することもできる。
子供の絵等をスキャナーに読込んでデジタル画像化して、子供のデジタル写真と合成して印刷することもできる。
学校の卒業記念として、恩師のデジタル写真と寄せ書きのスキャナー読取画像を合成してもよい。
ペットの写真に、その愛称、撮影日時、その愛称に対する声かけの文章等を画像編集ソフトウエアを用いて、合成編集してもよい。
写真の色についても、画像編集ソフトウエアを用いて、白黒のほかに例えばセピア調に、ポイントの写真領域のみカラー等に加工編集してもよい。
画像編集ソフトウエアを用いて種々の額縁模様を作成編集し、デジタル写真と合成してもよい。
商品を被写体として、その写真に品名、価格、内容等を作成編集し、例えば食品サンプルの代用としてもよい。
その他、「立体物」として、絵画、書道、手紙、古い写真、形見品等、画像に関連する品物がある。
【0028】
前記保護塗料層4は、変質PTFE溶剤系ニス、変質PVDF/PMMA溶剤系ニス、および変質PVDF/PMMA水性ニス、からなる群の中のひとつである。
これらの保護塗料層は、無色透明なもの、半透明なもの、白色等の不透明なものを適宜選択する。
【0029】
前記模様部5は、レーザー彫刻機、ドリル彫刻機を用い、図1に示したように基材の表面11の保護塗料層4を削ることにより形成され、同様に模様部6は、基材の裏面12を削って形成される。
透明な基材10であれば、前記模様部6の彫られた模様が前記保護塗料下地層2上に影模様を形成させ、この影模様を裏面12から楽しむことができる。
例えば前記模様部6の彫りが薄く、且つ、彫りの面積を広げれば影模様ができ易い。
前記模様部6の彫り模様と、この模様による影模様と、前記画像形成層3の画像のアンサンブルを楽しむことができる。
画像が人物像である場合にはその人物の趣味に関連する模様、例えば登山暦のある山の姿等を彫ることもできる。
また、これらの模様部5、6を形成する場合には、画像を基材の中央に形成させ、この画像と重ならないように、画像の周りに設けるようにしてもよい。
なお、模様部5、6の何れか一方のみを形成するようにしてもよい。
【0030】
次ぎに上記フォトプレートの製造方法を説明する。
まず、基材のプラスチック10を清浄し、乾操させる。乾燥後、基材10の表面11に保護塗料を25〜50μの厚みでスプレーがけし、そのまま10分間静置した後、保護塗料の反応温度80℃で20分間焼く。使用される前記保護塗料は熱硬化性樹脂であり該熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、アルコール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリルメラミン樹脂、およびミネラルを充満したシリコン樹脂、からなる群の中のひとつとする。焼いた後冷却し、前記保護塗料下地層2を形成する。
前記保護塗料によって、基材の耐磨耗性、耐候性を向上させる。その後、表面粗処理(砂磨き、または砂吹き)を行い、基材10の表面積を増加させ、保護塗料を基材に付着する強度を高める。表面粗処理終了してから、清浄、乾燥の工程を経て前置処理が完了する。
【0031】
次に、前記前置処理を終えた基材10をUVプリンターに設置する。UVプリンターは紫外線の照射によって即時に乾燥させるUVインクが使用されるため、材質が制限されることなく、いかなる材質にも印刷することができる。UVプリンターによって直接画像を基材10の表面11に出力し、画像形成層3を形成する。
【0032】
その後、後処理を行い、保護塗料を25〜50μの厚みでスプレーがけする。前記後処理に使われる前記保護塗料は変質PTFE溶剤系ニス、変質PVDF/PMMA溶剤系ニス、および変質PVDF/PMMA水性ニス、からなる群の中のひとつである。その後、10分間静置した後、前記保護塗料の反応温度70℃で20分間焼き、冷却して、保護塗料層4を形成する。
その後、彫刻機等の機械により、或いは手彫りにより模様部5、6を形成する。
【0033】
次ぎに、第2実施形態に係るフォトプレート1Aの構成例を図3及び図4に基づいて説明する。
第2実施形態に係るフォトプレート1Aは、図3に示したように透明な基材としてのプラスチック10の表面11に定着された保護塗料下地層2と、表面粗処理された前記保護塗料下地層2にUVプリンターで印刷された人物の画像形成層3と、この画像形成層3上に定着された保護塗料層4と、この保護塗料層4から少なくとも前記画像形成層3までを削ることにより形成される第1の模様部5と、前記プラスチック10の裏面12を削ることにより形成される第2の模様部6を備えている。
【0034】
透明な基材としてのプラスチック10は、例えば塩化ビニル樹脂(PCV)、アクリル(PMMA)、ポリカーボネイト(PC)等を素材とする。
この透明なプラスチック10を基材とする場合には、その表面11側に画像形成層3が作られ、この画像を写像として裏面12側から観賞することになり、裏面12が観賞面となる。
【0035】
第1の模様部5は、図3に示したように保護塗料層4から少なくとも前記画像形成層3までを削ることにより形成される。基材の表面11から入射する光が裏面12に抜けたり、基材の裏面12に入射する光が表面11に出射することで透かし模様的な表現が可能となる。特に前記保護塗料層4が顔料入りの色付きの場合には、透かし模様が明確となる。
第1の模様部5として、例えば実施形態のような画像形成層3の人物像の名前、愛称などのレタリングが削られる。
【0036】
前記第2の模様部6は、基材の裏面12を削って形成されるものであるが、削られた部分から入射する光束が前記保護塗料下地層2で十分に反射されずに、図4に示したような影13がつけられ、裏面12から観賞することができる。この影13の模様によってもフォトプレートの斬新性が獲得される。
【0037】
その他の構成、効果及び製造方法は、上記実施形態と同様である。
【0038】
なお、図5に示したように、前記基材を立て掛けるスタンド7と、このスタンド7に内蔵され、且つ、画像形成層3の画像に関連する音声を記憶する音声記憶手段、その発声手段、音検知手段及び中央制御装置からなる回路基板8を備えていることを特徴とするフォトプレートでもよい。
例えば画像形成部3の画像が愛犬である場合に、その愛犬の鳴声を半導体記憶素子等からなる音声記憶手段に記憶させ、音検知手段の音センサが例えば愛称の呼びかけを検知することにより、スピーカ等の発声手段を介して鳴声を再生させるように前記中央制御装置が各手段を制御する。
【0039】
次ぎに、第3実施形態に係るフォトプレート1Bの構成例を図6に基づいて説明する。
この第3実施形態に係るフォトプレート1Bは、透明な基材10と、この基材10の表面11に定着された保護塗料層4、前記基材10の裏面12を削ることにより形成される模様部6を備えたことを特徴とするフォトプレートである。
前記保護塗料層4に前記裏面12から入射する光を透過させないで反射させる色を用いることで、前記模様部6から入射する光により、前記保護塗料層4に前記模様部6に対応する影模様が作られ、興趣あるフォトプレートとすることができる。
その他の構成、効果及び製造方法は、上記各実施形態と同様である。
【0040】
次ぎに、第4実施形態に係るフォトプレート1Cの構成例を図7に基づいて説明する。
この第4実施形態に係るフォトプレート1Cは、透明な基材10と、この基材10の表面11に定着された保護塗料層4と、前記基材10の裏面12に定着された保護塗料下地層2と、表面粗処理された前記保護塗料下地層2にUVプリンターで印刷されて形成された画像形成層3と、この画像形成層3上に定着された保護塗料層4を備えたことを特徴とするフォトプレートである。
前記表面11の保護塗料層4に前記裏面12から入射する光を透過させないで反射させる色を用いることで、前記入射光により、前記表面11の保護塗料層4に前記画像形成層3の輪郭に対応する影模様が作られ、画像形成層の画像に立体感が醸し出され、興趣あるフォトプレートとすることができる。
【0041】
基材10として、ガラスの一面(表面11)がサンドブラスト加工されたガラスを用いても良い。この場合には表面11の保護塗料層4は不要となる。そして前記サンドブラストが施されたガラスの境界面に、前記画像形成層3に対応する影模様が作られ、画像形成層の画像に立体感が醸しだされ、興趣あるフォトプレートとすることができる。また、表面11と表面11の保護塗料層4間に、下地層を介して前記画像形成層3を形成するようにしてもよい。
その他の構成、効果及び製造方法は、上記各実施形態と同様である。
【0042】
次ぎに第5実施形態に係るフォトプレート1Dの構成例を図8及び図9に基づいて説明する。
このフォトプレート1Dは、図8に示したように透明な基材としてのプラスチック10の表面に定着された第1の保護塗料下地層2と、表面粗処理された前記第1の保護塗料下地層2にUVプリンターで印刷された第1の画像形成層3と、この第1の画像形成層3上に定着された第2の保護塗料下地層20と、表面粗処理された前記第2の保護塗料下地層20にUVプリンターで印刷された第2の画像形成層30と、この第2の画像形成層30上に定着された保護塗料層4とからなる。
【0043】
このフォトプレート1Dは、上記第1、第2実施形態の前記画像形成層3と前記保護塗料層4間に、前記画像形成層3上に定着された第2の保護塗料下地層20と、表面粗処理された前記第2の保護塗料下地層20にUVプリンターで印刷された第2の画像形成層30を備えたものである。
【0044】
前記第2の保護塗料下地層20及び第2の画像形成層30は、前記保護塗料下地層2及び前記画像形成層3と同様に構成することができる。
また、前記第2の保護塗料下地層20及び第2の画像形成層30として、例えばプラスチックのフィルムを下地層にし、その1面にUVプリンターでデジタル画像を印刷し、これを接着剤を介して前記画像形成層3に定着させるようにしてもよい。
【0045】
以上のような構成の第5実施形態に係るフォトプレート1Dによれば、第1の画像形成層3と第2の画像形成層30による立体表現が可能となる。
具体的には、第1の画像形成層3についてはフルカラー画像のまま印刷し、第2の画像形成層30についてはそのグレースケール画像に変換加工したものを印刷し、重ねて表現することで立体感を表現することができる。
例えば、図9に示したように人物画像の場合にはその画像から人物画像を切出して背景を切り除く画像処理をして、その画像を第1の画像形成層3に印刷する。
そして、その人物画像を白黒に変換画像処理して、第2の画像形成層30に印刷する。
【0046】
また第1の画像形成層3と第2の画像形成層30による多層的な表現が可能となる。
具体的には、第1の画像形成層3は人物像を、第2の画像形成層30は、その人物に関連する写真等のアナログ画像をスキャナー読取画像とし、デジタル画像として印刷することにより、その人物に関する多層的な表現が可能となる。
例えば、人物の画像から背景を切り除く画像処理をして、第1の画像形成層に印刷する。そして、その人物の幼年期の写真等をスキャナーで読込んでデジタル画像化して、第2の画像形成層に印刷する。
なお、上記模様部5、6の構成を組み合わせもよい。
その他の構成及び効果等は、上記各実施形態と略同一である。
【0047】
第6実施形態として、図10に示したように、前記画像形成層3と前記保護塗料層4間に、前記第2の保護塗料下地層20と第2の画像形成層30に加え、第2の画像形成層30上に定着された第3の保護塗料下地層21と、表面粗処理された前記第3の保護塗料下地層21にUVプリンターで印刷された第3の画像形成層31を備えるようにしてもよい。
【0048】
この第6実施形態によれば、第1の画像形成層3と第2の画像形成層30と第3の画像形成層31の3層による立体表現が可能となる。
具体的には、3層の画像形成層により、赤、青、緑の三原色を表現できる。
例えば、フルカラー画像を赤、青、緑の三原色にそれぞれ色変換させて、第1の画像形成層3には赤画像を、第2の画像形成層30には青画素を、第3の画像形成層31には緑画像それぞれ印刷することで興趣を起こさせることができる。
また、第1の画像形成層3と第2の画像形成層30と第3の画像形成層31による多層的な表現が可能となる。
具体的には、第1の画像形成層3は人物像を、第2の画像形成層30はその人物の青年時の人物像を、第3の画像形成層31はその人物の幼年時の人物像など、その人物に関する多層的な表現が可能となる。
その他の構成及び効果等は、上記各実施形態と略同一である。
【0049】
上記各実施形態では、基材として透明なプラスチックを用いたが、これ以外の有機物又は金属類の基材を用い、上記各実施形態と略同一の構成とし、且つ、略同一の製作方法とするフォトプレートでもよい。
なお、不透明な基材を用いる場合には、その表面側に画像形成層が作られ、且つ、表面側が観賞面となる。
よって、複数の画像形成層を形成する場合、例えば第3の画像形成層まで形成する場合には、図11に示したように第3の画像形成層31Aが最外側の観賞面となる。
【0050】
無機物の基材を用い、上記各実施形態と略同一の構成にしてもよい。
なお、無機物の基材を用い場合のフォトプレートの作成方法は次の通りである。
【0051】
無機物に加工する時、タイルを例とすると、まずタイルを清浄して清浄されたタイルを乾燥させる。乾燥後、該タイルの表面に処理剤をスプレーがけして前記処理剤の反応に必要な温度80℃で20分間焼き、その後、焼かれたタイルを冷却させる。冷却後、保護塗料を25〜50μの厚みでスプレーがけし、そのまま10分間静置してから160℃で20分間焼く。ここに前記保護塗料下地層2等が形成される。冷却後に、表面粗処理(砂磨きや砂吹き)を行い、該粗処理してから、タイルを洗浄、乾燥し、これをもって前記前置処理が完了する。
【0052】
前記前置処理に使用される前記処理剤はベースと画像との問の付着力を高める。スプレーがけされる前記保護塗料は熱硬化性樹脂であり、該熱硬化性樹脂はフェノール樹脂、アルコール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリルメラミン樹脂、およびミネラルを充満したシリコン樹脂、からなる群の中の一つとする。また、前記保護塗料の前記熱硬化性樹脂によって、タイルの耐磨耗性、耐候性を向上させる。
また、表面粗処理によってタイルの表面積を増加させ、同時に材料の間の付着面積を増加させる。
【0053】
次に、前記前置処理を終えたタイルをUVプリンターに設置する。UVプリンターは紫外線の照射によって即時に乾燥させるUVインク(UV curableink)を採用しており、材質が制限されず、いかなる材質にも直接印刷することができる。UVプリンターによって直接に画像をタイルの表面に出力する。ここに画像形成層3等が形成される。
【0054】
この画像の耐磨耗性、耐候性を強化するために後処理を行う。保護塗料を25〜50μの厚みでスプレーがけし、10分間静直してから保礎塗料の反応温度160℃で20分間焼き、冷却して、前記後処理が完了する。ここに保護塗料層4が形成される。
【0055】
前記後処理に使われる前記保護塗料はアクリルメラミン樹脂、アクリルスチレン(stryene)−エポキシ樹脂の混合物、変質PTFE溶剤系ニス、変質PVDF/PMMA溶剤系ニス、および変質PVDF/PMMA水性ニス、からなる群の中の一つとする。
また、表面粗処理によってタイルの表面積を増加させ、保護塗料をタイルに付着する強度をさらに高める。
【0056】
なお、本発明に係るフォトプレートの製造方法は、上記方法に限定されるものではない。
【0057】
次ぎに図12及び図13に基づいて、第7実施形態の構成例を説明する。
この第7実施形態では、基材10としてスリガラスを用いる。
即ち、一面11がサンドブラスト加工されて粗面となり、他面12が平滑面(鏡面ともいう)となっている、薄板状のスリガラスの鏡面に、保護塗料下地層2と、表面粗処理された前記保護塗料下地層2にUVプリンターで印刷されて形成された画像形成層3と、少なくとも画像形成層3上に定着された保護塗料層4を積層してフォトプレート1Fを構成している。
【0058】
前記スリガラスは、テーブル等に配置可能なサイズに形成されているが、そのサイズに限定されるものでもない。
前記保護塗料下地層2及び保護塗料層4は、無色透明な材質のものを選択する。
前記画像形成層3は、前記平滑面12の全面に形成されるものではなく、平滑面上に印刷されないスペースを残し、前記平滑面12に画像形成層3の外縁32を形成できるようにする。
【0059】
上記構成のフォトプレート1Fにおいては、図12に図示したように、画像形成層3の外縁32に沿って、その外縁30の淡い影33がグラデーション状に観察される。
【0060】
そのメカニズムは次のように説明することができる。
図12に示したように、画像形成層3として人物像を他面12に印刷したとする。
この場合、図13に示したように、他面12に入射した光は、一面11の粗面によって乱反射され、散乱或いは拡散される。それらの反射光が画像形成層3方向に反射して進行すればその画像形成層3で遮断され、観察者の目に入ることはない。
一方、画像形成層3の外縁32の周囲において他面12から外側に出射する反射光は、外縁32から離れるに従い、漸次、増加し、その強度が高まるものとなる。
その結果、画像形成層3の外縁32、即ち、人物像の周囲から離れる従い、漸次に強度が強くなる反射光が出射されて、グラデーション状の影が形成されて、観賞者の目に入ることになる。
その影は明度がはっきりした影ではなく、拡散される光である故に、淡い濃淡の影を形成し、画像形成層の立体感を醸し出すことに成功している。
なお、この実施形態では一面11に進入してきた光束を反射させる反射面としての保護塗料層は不要となる。
その他の構成及び効果等は、上記各実施形態と略同一である。
【0061】
上記第1実施形態における各模様部を省略し、図14のようなフォトプレート1Gにしてもよい。
即ち、透明な基材10と、この基材10の表面11に定着された保護塗料下地層2と、表面粗処理された前記保護塗料下地層2にUVプリンターで印刷されて形成され、且つ、裏面12から写像が観察できる観賞面とする画像形成層3と、この画像形成層3上に定着された保護塗料層4からなるフォトプレートであって、前記保護塗料層4は、無色透明、半透明又は白色としている。
その他の構成及び効果等は、上記各実施形態と略同一である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第1実施形態に係るフォトプレートの縦断面図、
【図2】同斜視図、
【図3】第2実施形態に係るフォトプレートの縦断面図、
【図4】同斜視図、
【図5】スタンドに立て掛けられるフォトプレートの斜視図、
【図6】第3実施形態に係るフォトプレートの縦断面図、
【図7】第4実施形態に係るフォトプレートの縦断面図、
【図8】第5実施形態に係るフォトプレートの縦断面図、
【図9】同略斜視図、
【図10】第6実施形態に係るフォトプレートの縦断面図、
【図11】同実施形態に係るフォトプレートの縦断面図、
【図12】第7実施形態に係るフォトプレートの正面図、
【図13】同実施形態に係るフォトプレートの縦断面図、
【図14】第8実施形態に係るフォトプレートの縦断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 1A 1B 1C 1D 1E 1F 1G フォトプレート
2 2A 保護塗料下地層
3 3A 画像形成層
4 保護塗料層
5 第1の模様部 模様部
6 第2の模様部 模様部
8 回路基板
10 基材 プラスチック
11 表面
12 裏面
13 33 影
20 20A 第2の保護塗料下地層
30 30A 第2の画像形成層
21 21A 第3の保護塗料下地層
31 31A 第3の画像形成層
32 外縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
この基材の表面に定着された保護塗料下地層と、
表面粗処理された前記保護塗料下地層にUVプリンターで印刷されて形成された画像形成層と、
この画像形成層上に定着された保護塗料層と、
前記基材の裏面側を削ることにより形成される模様部を備えたことを特徴とするフォトプレート。
【請求項2】
透明な基材と、
この基材の表面に定着された保護塗料下地層と、
表面粗処理された前記保護塗料下地層にUVプリンターで印刷されて形成された画像形成層と、
この画像形成層上に定着された保護塗料層と、
この保護塗料層から少なくとも前記画像形成層までを削ることにより形成される第1の模様部と、
前記基材の裏面を削ることにより形成される第2の模様部を備えたことを特徴とするフォトプレート。
【請求項3】
透明な基材と、
この基材の表面に定着された保護塗料層と、
前記基材の裏面側を削ることにより形成される模様部を備えたことを特徴とするフォトプレート。
【請求項4】
透明な基材と、
この基材の表面に定着された保護塗料層と、
前記基材の裏面に定着された保護塗料下地層と
表面粗処理された前記保護塗料下地層にUVプリンターで印刷されて形成された画像形成層と、
この画像形成層上に定着された保護塗料層を備えたことを特徴とするフォトプレート。
【請求項5】
透明な基材と、
この基材の表面に定着された第1の保護塗料下地層と、
表面粗処理された前記第1の保護塗料下地層にUVプリンターで印刷された第1の画像形成層と、
この第1の画像形成層と保護塗料層間に、少なくとも、前記第1の画像形成層上に定着された第2の保護塗料下地層と、表面粗処理された前記第2の保護塗料下地層にUVプリンターで印刷された第2の画像形成層を備えることを特徴とするフォトプレート。
【請求項6】
無機物の基材と、
この基材の表面に定着された第1の保護塗料下地層と、
表面粗処理された前記第1の保護塗料下地層にUVプリンターで印刷された第1の画像形成層と、
この第1の画像形成層と保護塗料層間に、少なくとも、前記第1の画像形成層上に定着された第2の保護塗料下地層と、表面粗処理された前記第2の保護塗料下地層にUVプリンターで印刷された第2の画像形成層を備えることを特徴とするフォトプレート。
【請求項7】
PVC等の有機物、又は金属類の基材と、
この基材の表面に定着された第1の保護塗料下地層と、
表面粗処理された前記第1の保護塗料下地層にUVプリンターで印刷された第1の画像形成層と、
この第1の画像形成層と保護塗料層間に、少なくとも、前記第1の画像形成層上に定着された第2の保護塗料下地層と、表面粗処理された前記第2の保護塗料下地層にUVプリンターで印刷された第2の画像形成層を備えることを特徴とするフォトプレート。
【請求項8】
一面が粗されたスリガラスと、
このスリガラスの他面に定着された保護塗料下地層と
表面粗処理された前記保護塗料下地層にUVプリンターで印刷されて形成された画像形成層と、
この画像形成層上に定着された保護塗料層を備えたことを特徴とするフォトプレート。
【請求項9】
透明な基材と、
この基材の表面に定着された保護塗料下地層と、
表面粗処理された前記保護塗料下地層にUVプリンターで印刷されて形成され、且つ、裏面を観賞面とする画像形成層と、
この画像形成層上に定着された保護塗料層からなるフォトプレートであって、
前記保護塗料層は、無色透明、半透明又は白色であることを特徴とするフォトプレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−75436(P2008−75436A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299949(P2006−299949)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(505242736)株式会社 双伸 (1)
【Fターム(参考)】