説明

フォースプレート

【課題】フォースプレートの4点の荷重支点の高さを調整ネジなどにより揃えるバランス調整作業を皆無にし、フォースプレート上の荷重点位置或いはその動き等を安定した状態で精度良く測定することを可能にしたフォースプレートを提供する
【解決手段】四角形のプレートを対角線で分割して独立した各三点の荷重支点を持つ三角形プレートを組合せてフォースプレ一ト構成するもので、各三角形プレートの非分割角部の荷重支点部材を除く二点の荷重支点部材の荷重支点を鉛直線上で重ね、かつ前記対角線を通る鉛直面上で支持する構造にして、面倒なバランス調整作業を行う必要のない、使い易い且つ測定精度の良い安定したフォースプレートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
プレートの上面に体の一部が触れると,接触した部分のプレートに力が作用する。これを測定し,解析することで,接触した部分の力学に関する様々な特性を得ることができる。本発明は、このプレートに作用する力をプレート4隅の下面の荷重支点部材の荷重支点を支持する荷重検出器で測定するフォースプレートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のフォースプレートは、単に平面四角形の一体物の四角形プレートの4隅下に各々荷重支点部材を設けその荷重支点をロードセルと呼ばれる荷重検出器で支持した構造である。
四角形のプレートの上に荷重Fが作用すると、各荷重支点から各ロードセル等の荷重検出器に作用する荷重の大きさから、荷重Fの大きさと荷重点位置(荷重の作用点の位置)を力学的に求めることができる。
しかしながら、4個の荷重検出器に対するフォースプレートからの荷重点位置を常に同一平面上にすることは極めて難しく、たとえプレートの中心に荷重Fが作用しても、荷重検出器の検出する荷重は理論値であるF/4とならずに、プレートに対して荷重支点の高い荷重検出器は大きな荷重値を示し、逆に荷重支点の低い荷重検出器は小さな荷重値を示す。
そのため各荷重検出器の検出した荷重値から荷重点位置を正しく求めることができない。
このことは神輿を複数の人で担ぐ場合、身長の高い人に大きな荷重が加わり、逆に低い人にはあまり荷重が加わらないことと同じである。
このように従来の4点を荷重支点とするフォースプレートは、床自体の歪みや、或いはフォースプレートの変形又はフォースプレートへの荷重や、他の要因による捻じれ、湾曲、曲がり等の歪により4点の荷重支点を同一平面上において測定することが難しいため、荷重検出器とプレートとの4点の荷重支点の高さを調整ネジなどにより揃えるバランス調整作業を慎重に行なう必要があった。
【特許文献1】特開2003−00011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで必然的に三点の荷重支点は同一平面上になる三角形のフォースプレートが考えられる。しかし面倒な荷重支点のバランス調整作業を行う必要はないが、プレートが三角形であるため、不安定で利用し難い欠点かある。
本発明は、フォースプレートの4点の荷重支点の高さを調整ネジなどにより揃えるバランス調整作業を皆無にし、フォースプレート上の荷重点位置或いはその動き等を安定した状態で精度良く測定することを可能にしたフォースプレートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、課題を満足するものでありその特徴とするところは、「平面が四角形の測定プレートの4隅下方直下に荷重検出器を設けると共に、前記測定プレートを一つの対角線を通る垂直面を境に2分割し、2分割した各三角プレートの非分割角部の下面に荷重支点部材を設けその荷重支点を前記当該荷重検出器で支持し、一方の三角プレートの一対の分割角部に下部張り出し部を設けその各下面に荷重支点部材を設けその荷重支点を前記当該荷重検出器で支持し、他方の三角プレートの各分割角部に上部張り出し部を設けその各下面に荷重支点部材を設けその荷重支点を、前記一方の三角プレートの下部張り出し部の上面で且つその下部の荷重支点部材の荷重支点の鉛直線上に位置させてかつ前記分割角部の荷重支点を前記対角線を通る垂直面上に位置させて支持したことを特徴とするフォースプレート。」である。
即ち本発明は、菱形、正方形、長方形、異形四辺形などの各種の四角形のプレートを一つの対角線で分割して独立した各三点の荷重支点を持つ三角形プレートを分割対角線部を突き合わせて組合せ、フォースプレ一トを構成するもので、各三角形プレートの非分割角部の荷重支点部材を除く二点の荷重支点部材の荷重支点を鉛直線上で重ねた構造にして、面倒なバランス調整作業を行う必要のない、使い易いフォースプレートにしたものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、前記構造にしたことにより、両方の三角プレートは常に各々三点の荷重支点にして平面を維持し、しかもその各非分割角部の荷重支点を直接荷重検出支点とし、対角線通る鉛直面で分割した部分の両端の荷重支点を対角線通る鉛直面上の鉛直線上で二重に支持した二重荷重検出支点にしたことから、面倒な平面バランス調整作業を不要にする。これで荷重支点が3点のバランス調整が常になされた各三角プレートにより、その上面に掛る荷重位置或いはその動き等の測定は、従来の四角形プレートによる4点の直接荷重検出支点のフォースプレートとは力学的に等価以上の高精度で実施することができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
そこで、本発明を実施するための最良の形態を実施例と共に詳細に紹介する。
【実施例1】
【0007】
図1から図3に本実施例を示し、図1は、フォースプレートの全体を示す斜視説明図である。図2は、図1の要部の拡大説明図である。図3は図1に示すフォースプレートを前方斜め下から見た斜視説明図である。図4は図1に示すフォースプレートを後方斜め下から見た斜視説明図である。
本例のフォースプレートは、平面が四角形の測定プレートの一つの対角線ABを通る鉛直面を境に2分割して二個の三角プレートAとBにし、各三角プレートAとBで構成する四角形の測定プレートの4隅下方直下に荷重検出器A1,B1,AB1,AB2を設ける。
【0008】
各三角プレートAは、非分割角部10の下面に荷重支点部材20を設け、その荷重支点20Pを前記当該荷重検出器A1で支持し、一対の分割角部11,12に片持ち梁状にした下部張り出し部13,14を設け、その各下面に荷重支点部材21,22を設けその荷重支点21P,22Pを前記対角線AB通る鉛直面上に置きその前記当該荷重検出器AB1,AB2で支持する。
【0009】
各三角プレートBは、非分割角部30の下面に荷重支点部材40を設け、その荷重支点40Pを前記当該荷重検出器B1で支持し、一対の分割角部31,32に片持ち梁状にした上部張り出し部33,34を設けその各下面に荷重支点部材41,42を設け,その荷重支点41Pを前記対角線ABを通る鉛直面上で且つ前記三角プレートAの下部張り出し部13の上面で且つその下部の荷重支点部材21の荷重支点21Pの鉛直線Y1上に位置させ、荷重支点42Pを前記三角プレートAの下部張り出し部14の上面で且つその下部の荷重支点部材22の荷重支点22Pの鉛直線Y2上に位置させる。
【0010】
三角プレートAとBにある荷重FA,FBが加わった場合、前記当該荷重検出器AB1には、当該荷重支点21Pと荷重支点41Pからの合計荷重が負荷され測定される。また前記当該荷重検出器AB2には、当該荷重支点22Pと荷重支点42Pからの合計荷重が負荷され測定される。
このことはバランス調整を終えた従来の四点支持フォースプレートと力学的に等価である。
前記各荷重支点部材20、21、40、41は鋼球からなりその下半部を突出させてある。
【0011】
2つの三角プレートAとBは、突き合わせ部を結んだ対角線を通る鉛直面上にある荷重支点21P−荷重支点22P及び荷重支点41P−荷重支点42Pを軸にして回転できるため、多少うねりのある床面でも4個の該荷重検出器を無理なく床面上に載置でき、平面バランス調整をすることなくすぐにプレート上荷重実験に利用できる。
本例のフォースプレートは前記のように4角形を一つの対角線で分割した二個の三角プレートAとBにしたことで、対角線ABの近傍では他辺に比しプレートの曲げ剛性は低下する。そのためどちらか一方のプレートの対角線AB付近に大きな荷重が作用すると、無負荷のプレートとの問に段差ができる。この段差を小さくするため、図3に示すように三角プレートAとBの裏側を断面二次モーメントの大きなL型等の曲げ剛性補強部材AS、BSで補強することで、段差を実用上問題ないレベルにまで抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明は、前述の如く、両方の三角プレートは常に各々三点の荷重支点にして平面を維持し、しかもその各非分割角部の荷重支点を直接荷重検出支点とし、対角線AB分割部の両端の荷重支点を対角線を通る鉛直面上の鉛直線上で二重に支持した二重荷重検出支点にしたことから、面倒な平面バランス調整作業を不要にする。これで荷重支点が3点のバランス調整が常になされた各三角プレートにより、その上面に掛る荷重位置或いはその動き等の測定は、従来の四角形プレートによる4点の直接荷重検出支点のフォースプレートとは力学的に等価以上の高精度で実施することができるなどの優れた効果を呈する。
このため各種の動作解析装置や、ベッドの寝心地評価装置、椅子の座り心地評価装置などに幅広く活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1を示す斜視説明図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す斜視説明図である。
【図3】図1の正面の下側から見た斜視説明図である。
【図4】図3の裏面の下側から見た斜視説明図である。
【符号の説明】
【0014】
A、B 三角プレート
A1,B1,AB1,AB2 荷重検出器
13,14 片持ち梁状にした下部張り出し部
33,34 片持ち梁状にした上部張り出し部
20、21、40、41 荷重支点部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面が四角形の測定プレートの4隅下方直下に荷重検出器を設けると共に、前記測定プレートを一つの対角線を通る鉛直面を境に2分割し、2分割した各三角プレートの非分割角部の下面に荷重支点部材を設けその荷重支点を前記当該荷重検出器で支持し、一方の三角プレートの一対の分割角部に下部張り出し部を設けその各下面に荷重支点部材を設けその荷重支点を前記当該荷重検出器で支持し、他方の三角プレートの各分割角部に上部張り出し部を設けその各下面に荷重支点部材を設けその荷重支点を、前記一方の三角プレートの下部張り出し部の上面で且つその下部の荷重支点部材の荷重支点の鉛直線上に位置させてかつ前記分割角部の荷重支点を前記対角線を通る鉛直面上に位置させて支持したことを特徴とするフォースプレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−2252(P2011−2252A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143358(P2009−143358)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(304028726)国立大学法人 大分大学 (181)