説明

フック部外れ防止装置

【課題】フック部外れ防止装置において、簡便な構造でフック部同士の係り合いの外れを防止する。
【解決手段】フック部外れ防止装置1は、フック2をその両側方から挟み込む第1のプレート4と第2のプレート5とから成る一対の挟持プレート6と、挟持プレート6を互いに係止するボルト7及びナット8とを備える。第1のプレート4は、根本部23を挿通させるための切欠き41と、リンク3の上部を挿通させるための切欠き42とを有する。第2のプレート5は、リンク3の上部を挿通させるための切欠き51を有する。フック2を双方プレート4、5で挟み込み、双方のプレート4、5を互いに係止させると、切欠き41にフック2の根本部23が挿通され、双方のプレート4、5がフック2に固定される。このとき、切欠き42と切欠き51により、リンク3が鉤形状部21の線形に沿う方向に変位することが規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の吊り下げに使用され、線材を加工して成る一組のフック部同士の係り合いの外れを防止するフック部外れ防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のフック部において、一方のフック部は、他方のフック部(例えば、チェーン)が係り合わせられるように鉤形状とされており、互いの係り合わせを容易にしている。ところが、係り合わせた部材が簡単に外れてしまうことがある。そこで、従来より、フック部同士の係り合いの外れを防止するフック部防止装置が知られている。例えば、この種の装置として、フックの凹入部に嵌合する突出部が形成された一方の板体と、この板体と組み合わされてフックを挟み込む他方の板体とを備え、双方の板体がワイヤー等を挿通するための切欠きを有したものがある(特許文献1参照)。また、フック自体に係り合いの外れを防止する機能を備えたものとして、ストッパー付きフックがある(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
【特許文献1】実開昭57−135573号公報
【特許文献2】特開2000−167077号公報
【特許文献3】実開平5−57421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したようなフック部外れ防止装置では、双方の板体をフックに係止した後、双方の板体がフックに対して回転しないように、周り止めボルトを取り付ける必要があり手間がかかる。また、上述のストッパー付きフックは、構造が複雑であると共に、既存のフックに取り付けることにより上記係り合いの外れを防止するものではないため、使い勝手が悪い。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、簡便な構造でありながら、フック部同士の係り合いの外れを防止できるフック部外れ防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の発明は線材を加工して成る一組のフック部同士の係り合いの外れを防止するフック部外れ防止装置であって、一方のフック部は、他方のフック部が係り合わせられるように鉤形状とされ、前記一方のフック部の両側方から挟み込む少なくとも一対の挟持プレートと、前記一対の挟持プレートを互いに係止する係止部材とを備え、前記挟持プレートは、前記一方のフック部の根本部を挿通させるための第1の切欠きと、前記他方のフック部を挿通させるための略U字形状の第2の切欠きとを有しているものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、フック部同士が互いに係り合わされた状態で、一方のフック部を一対の挟持プレートで挟み込み、当該挟持プレートを互いに係止させると、第1の切欠きにフック部の根本部が挿通されることにより、挟持プレートが一方のフック部に固定される。このとき、第2の切欠きに他方のフック部が挿通されることにより、一方のフック部が他方のフック部に対して変位することが規制される。そのため、簡単な取り付け作業で、フック部同士の係り合いの外れを防止することができる。また、フックに別段の加工を行なう必要がなく使い勝手がよい。また、簡素な構造であるので、低コスト化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るフック部外れ防止装置について図1及び図2を参照して説明する。図1及び図2は本実施形態に係るフック部外れ防止装置1の概略構成を示す。フック部外れ防止装置(以下、本装置という)1は、線材を加工して成る一組のフック部同士が係り合わされたときに、一方のフック部であるフック2と他方のフック部であるチェーンのリンク3との係り合いの外れを防止するものである。フック2は、リンク3が係り合わせられるように、先端側が略C字の鉤形状とされており、鉤形状部21と、鉤形状部21に連接される基端部22と、鉤形状部21と基端部22の間の根本部23で構成される。リンク3は、環形状とされており、複数のリンク3が互いに組み合わされてチェーン31を構成する。フック2及びチェーン31は、例えば、照明器具の吊り下げのために使用される。この場合、フック2の基端部22は室内の天井部分と接続され、フック2に係り合わされる側とは反対側にあるチェーン31のリンク(図示しない)は照明器具に接続される。
【0008】
本装置1は、フック2をその両側方から挟み込む第1のプレート4と第2のプレート5とから成る一対の挟持プレート6と、一対の挟持プレート6を互いに係止するボルト7及びナット8(係止部材)とを備える。
【0009】
第1のプレート4は、フック2の根本部23を挿通させるための切欠き(第1の切欠き)41と、フック2に係り合わされたリンク3を挿通させるための切欠き(第2の切欠き)42とを有している。切欠き41は、フック2を挟み込むときにフック2の側方に対向する側板43に対し、略直角に折り曲げられた天板44に形成されている。切欠き42は、リンク3の上部が挿通可能なように、側板43の下側に略U字状に形成されている。第1のプレート4の側板43の略中央部には、ボルト7を挿通するための孔45が形成されている。第2のプレート5は、リンク3を挿通させるための切欠き(第2の切欠き)51を有しており、切欠き51は、第1のプレート4の切欠き42と同様に形成されている。第2のプレート5の略中央部には、ボルト7を挿通するための孔52が形成されている。
【0010】
次に、上記のように構成されたフック部外れ防止装置1の作用について説明する。フック2にリンク3が係り合わされた状態で、フック2を第1のプレート4と第2のプレート5で挟み込み、ボルト7及びナット8で双方のプレート4、5を互いに係止させると、切欠き41にフック2の根本部23が挿通されることにより、双方のプレート4、5がフック2に固定される。このとき、切欠き42と切欠き51にリンク3の上部が挿通されることにより、リンク3がフック2の鉤形状部21の線形に沿う方向(図2に示すA方向)に変位することが規制される。
【0011】
以上、本実施形態に係るフック部外れ防止装置1によれば、簡単な取り付け作業で、フック2とリンク3との係り合いの外れを防止できる。また、フック2に別段の加工を行なう必要がなく、使い勝手がよい。また、簡素な構造であるので、低コストで本装置を製造できる。
【0012】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るフック部外れ防止装置について図3及び図4を参照して説明する。図3及び図4は本実施形態に係るフック部外れ防止装置1の概略構成を示す。本装置1は、他方のフック部が、上述のフック2と同形状のフック9とされた場合において、フック2、9同士の係り合いの外れを防止するものである。
【0013】
第1のプレート4は、フック2の根本部23を挿通させるための切欠き41(第1の切欠き)と、フック2に係り合わされたフック9を挿通させるための切欠き(第2の切欠き)42とを有しており、切欠き41と切欠き42は、上述と同様に形成されている。また、第1のプレート4は、切欠き42とは別に、フック9を挿通させるための切欠き(第2の切欠き)46を有している。ここで、第1のプレート4の下端側は、側板43に対して略コ字状に折り曲げられており、上記切欠き46は、側板43と側板43に対向する板77の間にフック9の基端部92を挟み込めるように、側板43と板77に介在する底板78に略U字状に形成されている。第2のプレート5は、フック9を挿通させるための切欠き(第2の切欠き)51を有しており、切欠き51は、上述と同様に形成されている。その他の構成については、上述と同様である。
【0014】
次に、上記のように構成されたフック部外れ防止装置1の作用について説明する。フック2、9が互いに係り合わされた状態で、フック2を第1のプレート4と第2のプレート5で挟み込み、双方のプレート4、5を互いに係止させると、切欠き41にフック2の根本部23が挿通され、双方のプレート4、5がフック2に固定される。このとき、切欠き42と切欠き51により、フック9がフック2の鉤形状部21の線形に沿う方向(図4に示すA方向)に変位することが規制される。また、切欠き46により、フック9が上記方向と略直交するように交わる方向(図4に示すB方向)に変位することが規制される。そのため、簡単な取り付け作業で、フック2、9同士の係り合いの外れを防止できる。
【0015】
なお、本発明は、上記各種実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、第1のプレート4と第2のプレート5を互いに係止する際、ボルト7の締めすぎによって双方のプレート4、5が内方に変形しないように、第1のプレート4と第2のプレート5の間にボルト7が挿通可能なスリーブを設けたものであってよい。また、ボルト7の代わりに、第2のプレート5側に突出するねじ棒を第1のプレート4に設けて、このねじ棒にナット8を螺合させることにより、双方のプレート4、5を係止するようにしたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るフック部外れ防止装置を示す分解斜視図。
【図2】上記フック部外れ防止装置を示す組立斜視図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るフック部外れ防止装置を示す分解斜視図。
【図4】上記フック部外れ防止装置を示す組立斜視図。
【符号の説明】
【0017】
1 フック部外れ防止装置
2 フック(一方のフック部)
3 リンク(他方のフック部)
4 第1のプレート
5 第2のプレート
6 挟持プレート
7 ボルト(係止部材)
8 ナット(係止部材)
9 フック(他方のフック部)
41 切欠き(第1の切欠き)
42 切欠き(第2の切欠き)
46 切欠き(第2の切欠き)
51 切欠き(第2の切欠き)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材を加工して成る一組のフック部同士の係り合いの外れを防止するフック部外れ防止装置であって、
一方のフック部は、他方のフック部が係り合わせられるように鉤形状とされ、
前記一方のフック部の両側方から挟み込む少なくとも一対の挟持プレートと、
前記一対の挟持プレートを互いに係止する係止部材とを備え、
前記挟持プレートは、前記一方のフック部の根本部を挿通させるための第1の切欠きと、前記他方のフック部を挿通させるための略U字形状の第2の切欠きとを有していることを特徴とするフック部外れ防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−204015(P2009−204015A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44662(P2008−44662)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】