説明

フッ素化エステル化合物の製造方法及びその中間体

【課題】mGluR調節作用を有する機能性ビシクロ[3.1.0]ヘキサン誘導体及びその薬学的に許容される塩の製造中間体であるフッ素化エステル化合物のより効率的な製造方法を提供すること。
【解決手段】ジメチル[(1S,5R)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル]プロパンジオエートをN-フルオロビスベンゼンスルホンイミドを用いるフッ素化により、ジメチル−フルオロ[(1R,5R)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル]プロパンジオエートを製造する工程、及び得られたフッ素化ジエステル化合物を加熱する工程からなることを特徴とする、式(1A)


で表されるフッ素化エステル化合物の製造方法。R4は例えば−OMe基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品の新規製造法及びその中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)調節薬は、精神疾患、統合失調症、不安神経症及び関連疾患、うつ病、躁うつ病及びてんかんならびに薬物依存症、認知力障害、アルツハイマー病等の神経系の疾病への処置及び予防の為に治療上有用であることが知られている。mGluR調節薬として、例えば下記式(A)
【0003】
【化1】

(式(A)中、R1A及びR2Aは、それぞれ、水素、C1-10アルキル基、C3-8シクロアルキル基又はC3-8シクロアルキル−C1-5アルキル基である。)に示される2−アミノ−6−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン誘導体及びその薬学上許容される塩が開示されている(特許文献1参照)。また、上記特許文献1には上記化合物が、ラセミ体であってもよく、また、エナンチオマーであってもよいことが記載されている。
【0004】
一方、上記化合物の製造法として、従来、主として水酸基と酢酸エステル基を有するシクロペンテン化合物に強塩基とフッ素化剤を作用させて合成する方法があり(特許文献2、非特許文献1及び2参照。)、当該フッ素化反応の結果得られるフッ素化エステル化合物は、上記2−アミノ−6−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン誘導体合成の中間体として有用である。
【0005】
しかしながら、上記の方法のフッ素化における常温での実施は収率の低下を招くことから、−60℃以下という超低温で反応させる必要があった。そのため、これらの化合物の製造方法として実験室規模では製造可能であるが、大量製造の実施には特別な製造装置が必要となり産業上の実用性に制限があった。
従って、医薬品として治療上有用な上記代謝型グルタミン酸調節物質を合成するため、室温付近でも実施可能な収率の高い新規製造法が期待されてきた。
また、光学活性化合物を製造する場合においては、出発物質である5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル−酢酸メチルエステルの製造に−78℃という超低温下での操作を含み多段階を要するという問題もあった(例えば非特許文献3参照)。
【特許文献1】米国特許第6,333,428号公報
【特許文献2】WO2005/047215国際公開公報
【非特許文献1】J. Org. Chem., 70, 8027, (2005).
【非特許文献2】Tetrahedron Letters, 45, 7261, (2004).
【非特許文献3】Organic Synthesis, Coll. Vol.7, 339, (1990)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、mGluR調節作用を有する機能性ビシクロ[3.1.0]ヘキサン誘導体及びその薬学的に許容される塩の製造中間体であるフッ素化エステル化合物のより効率的な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、式(1)で表されるジエステル化合物からフッ素化ジエステル化合物を経由することを特徴とする効率的な製造方法を見出した。
【0008】
即ち、本発明は
(A)
式(1)
【0009】
【化2】

(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、
(1)−OH、
(2)−O−Ra、及び
(3)−NRbc
からなる群から選択される。
ただし、Raは、C1-6アルキル基又はC3-8シクロアルキル基であり(該C1-6アルキル基又はC3-8シクロアルキル基は、未置換又は一以上のC1-6アルコキシ基、水酸基、ハロゲン、アリール基若しくはヘテロアリール基で置換されている。)、
b及びRcは水素原子、ハロゲン、C1-6アルキル基及びC3-8シクロアルキル基からなる群から選択され(該C1-6アルキル基又はC3-8シクロアルキル基は、未置換又は一以上の水酸基、C1-6アルコキシ基、アリール基若しくはヘテロアリール基で置換されている。)、
又はRb及びRcは、隣接する窒素原子と一緒になって互いに結合した4〜7員の飽和複素環を形成し、該飽和複素環は、無置換又は水酸基、C1-6アルキル基若しくはC1-6アルコキシ基で置換されている。)
で表される化合物に対し、式(2)
【0010】
【化3】

(式(2)中、R3は、それぞれ独立に、C1-6アルキル基又はアリール基を意味する。)で表されるフッ素化剤と塩基を作用させて、式(3)
【0011】
【化4】

で表される化合物を製造する工程、及び
式(3)で表される化合物を加熱する工程からなることを特徴とする、
式(1A)
【0012】
【化5】

(式(1A)中、R4は、
(1)−OH、
(2)−O−Ra、及び
(3)−NRbc
からなる群から選択される。
ただし、Raは、C1-6アルキル基又はC3-8シクロアルキル基であり(該C1-6アルキル基又はC3-8シクロアルキル基は、未置換又は一以上のC1-6アルコキシ基、水酸基、ハロゲン、アリール基若しくはヘテロアリール基で置換されている。)、
b及びRcは水素原子、ハロゲン、C1-6アルキル基及びC3-8シクロアルキル基からなる群から選択され(該C1-6アルキル基又はC3-8シクロアルキル基は、未置換又は一以上の水酸基、C1-6アルコキシ基、アリール基若しくはヘテロアリール基で置換されている。)、
又はRb及びRcは、隣接する窒素原子と一緒になって互いに結合した4〜7員の飽和複素環を形成し、該飽和複素環は、無置換又は水酸基、C1-6アルキル基若しくはC1-6アルコキシ基で置換されている。)
で表されるフッ素化エステル化合物の製造方法、及び
【0013】
(B)式(3)
【0014】
【化6】

(式(3)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、
(1)−OH、
(2)−O−Ra、及び
(3)−NRbc
からなる群から選択される。
ただし、Raは、C1-6アルキル基又はC3-8シクロアルキル基であり(該C1-6アルキル基又はC3-8シクロアルキル基は、未置換又は一以上のC1-6アルコキシ基、水酸基、ハロゲン、アリール基若しくはヘテロアリール基で置換されている。)、
b及びRcは水素原子、ハロゲン、C1-6アルキル基及びC3-8シクロアルキル基からなる群から選択され(該C1-6アルキル基又はC3-8シクロアルキル基は、未置換又は一以上の水酸基、C1-6アルコキシ基、アリール基若しくはヘテロアリール基で置換されている。)、
又はRb及びRcは、隣接する窒素原子と一緒になって互いに結合した4〜7員の飽和複素環を形成し、該飽和複素環は、無置換又は水酸基、C1-6アルキル基若しくはC1-6アルコキシ基で置換されている。)
で表される新規フッ素化ジエステル化合物、
である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の製造方法を用いることにより、常温でのフッ素化反応を経由した機能性ビシクロ[3.1.0]ヘキサン誘導体mGluR調節物質の製造が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明について詳細に説明するが、例示されたものに特に限定されない。
本発明において、「n」はノルマルを、「i」はイソを、「s」はセカンダリーを、「t」はターシャリーを、「c」はシクロを、「o」はオルトを、「m」はメタを、「p」はパラを示す。
【0017】
「C1-6アルキル基」とは、炭素原子を1から6個有する直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示し、例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、i−プロピル、i−ブチル、t−ブチル、s−ブチル、i−ペンチル、n−ペンチル、t−ペンチル等の基を示す。
【0018】
「C3-8シクロアルキル基」とは、炭素数3〜8個の環状のアルキル基を示し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチル等の基を示す。
【0019】
「C1-6アルコキシ基」とは、炭素数1〜6個の直鎖状又は分枝状のアルコキシ基を示し、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、i−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ又はn−ヘキシルオキシ等の基を示す。
【0020】
「ハロゲン」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
【0021】
「アリール基」とは、フェニル基又はナフチル基を示す。
【0022】
「ヘテロアリール基」とは、5員〜6員の単環式又は9員〜10員の双環式の芳香族複素環からなる基を示し、例えば、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル又はベンゾトリアゾリル等の基を示す。
【0023】
「隣接する窒素原子と一緒になって互いに結合した4〜7員の飽和複素環」とは、1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、ピペリジノ又は1−アゼパニル等の基を示す。
【0024】
本発明化合物の好ましい形態は以下の通りである。
すなわちR1,R2及びR4としては、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ又はベンジルオキシ基が好ましく、メトキシ基がさらに好ましい。
【0025】
3としては、フェニル基が好ましい。
フッ素化剤とともに使用する塩基は、金属アルコキシドが好ましい。
【0026】
本発明化合物の、別な好ましい態様は以下の通りである。
すなわち、式(4)、
【0027】
【化7】

で表される化合物に対し、式(5)
【0028】
【化8】

で表されるフッ素化剤と塩基を作用させて、式(6)
【0029】
【化9】

で表されるフッ素化ジエステル化合物を製造する工程、及び
式(6)で表される化合物を加熱する工程からなることを特徴とする、
式(7)
【0030】
【化10】

で表されるフッ素化エステル化合物の製造方法である。
【0031】
また、別な好ましい態様は、式(6)
【0032】
【化11】

で表されるフッ素化ジエステル化合物である。
【0033】
次いで、下記に示す製造方法の各工程について説明する。
(スキーム1)
【0034】
【化12】

【0035】
(新規フッ素化ジエステル化合物(3)の製造について)
式(1)で表されるジエステル化合物としては、ジメチル (5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル)プロパンジオエート等があげられる。
式(2)で表されるフッ素化剤としては、N-フルオロビスベンゼンスルホンイミド、N-フルオロベンゼンスルホンイミド等のフッ素化スルホンイミド類があげられる。
フッ素化剤とともに作用させる塩基を例示すれば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物類、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アルキルアミン類、ピリジン、ジアザビシクロウンデセン等の有機アミン類、n−ブチルリチウム等のアルキル金属類、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド等のアミン金属塩類があげられるが、好ましくはアルカリ金属アルコキシド類又は水素化アルカリ金属を、より好ましくはナトリウムメトキシド又は水素化ナトリウムを、さらに好ましくはナトリウムメトキシドを用いる。
【0036】
反応溶媒は当該反応条件下において安定であり、目的とする反応を妨げないものであれば特に制限はなく、非プロトン性極性有機溶媒類(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラメチルウレア、スルホラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、脂肪族炭化水素類(例えばペンタン、ヘキサン、c−ヘキサン、オクタン、デカン、デカリン、石油エーテル等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えばクロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、低級脂肪族酸エステル(例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等)、アルコキシアルカン類(例えばジメトキシエタン、ジエトキシエタン等)、ニトリル類(例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等)等を使用することができる。
上記溶媒は一種単独で又は二種以上混合して用いることができる。
また場合によっては、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて非水溶媒として用いることもできる。
溶媒の種類に、生成物の新規フッ素化ジエステル化合物の収率が依存する。従って望ましくはエーテル類を溶媒として使用する。
【0037】
反応溶媒を使用する際の使用量としては、通常新規ジエステル化合物に対して1〜200質量倍使用することができ、好ましくは、3〜10質量倍の範囲である。
反応温度は、通常、−80℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−10〜50℃の範囲で行うのがよく、さらに好ましくは5〜30℃の範囲がよい。
反応時間は、反応生成物の種類により変化するため一概に決定できないが、例えば、反応温度が30℃であれば通常、1時間以上行えば充分である。
フッ素化剤の使用量としては、反応を阻害せず、且つ副反応を引き起こさない量であれば特に限定されないが、通常、新規ジエステル化合物に対して0.9〜5モル当量の範囲で使用することができ、好ましくは1〜4モル当量の範囲であり、より好ましくは1〜2モル当量の範囲である。
塩基の使用量としては、反応を阻害せず、且つ副反応を引き起こさない量であれば特に限定されないが、通常、新規ジエステル化合物に対して0.9〜5モル当量の範囲で使用することができ、好ましくは1〜4モル当量の範囲であり、より好ましくは1〜2モル当量の範囲である。
【0038】
反応終了後は、通常の後処理方法、例えば、適当な溶媒により抽出し、溶媒を減圧濃縮することにより目的とする新規フッ素化ジエステル化合物を単離する事ができる。又、必要により、再結晶(蒸留)、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等により精製すれば、高純度の新規フッ素化ジエステル化合物を単離する事が出来る。
又、操作の安全性から、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの雰囲気下で反応を行うのが好ましい。
【0039】
(フッ素化エステル化合物(1A)の製造について)
新規フッ素化ジエステル化合物を加熱しフッ素化エステル化合物を合成する反応に使用できる溶媒を例示すれば、当該反応条件下において安定であり、かつ、目的とする反応を妨げないものであれば特に制限はなく、水、プロトン性極性有機溶媒類(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等)、非プロトン性極性有機溶媒類(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラメチルウレア、スルホラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、脂肪族炭化水素類(例えばペンタン、ヘキサン、c−ヘキサン、オクタン、デカン、デカリン、石油エーテル等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えばクロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、低級脂肪族酸エステル(例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等)、アルコキシアルカン類(例えばジメトキシエタン、ジエトキシエタン等)、ニトリル類(例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等)等を使用することができる。
上記溶媒は一種単独で又は二種以上混合して用いることができる。
また場合によっては、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて非水溶媒として用いることもできる。
溶媒の使用においては、非プロトン性極性有機溶媒類が好ましく、さらに好ましくは水と非プロトン性極性有機溶媒類を1:100から100:1の範囲で混合して使用する。
【0040】
反応溶媒を使用する際の使用量としては、通常新規フッ素化ジエステル化合物に対して1〜200質量倍使用することができ、好ましくは、3〜10質量倍の範囲である。反応温度は、通常、30℃から250℃まで可能であるが、好ましくは80〜200℃の範囲で行うのがよく、さらに好ましくは100〜180℃の範囲がよい。
反応温度が、使用する溶媒の沸点を超える場合はオートクレーブ等の圧力容器中で反応させる。
また、本反応は添加物を加え反応を促進させることができ、使用できる添加物を例示すれば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム等のアルカリ金属ハロゲン化物塩類等のアルカリ金属塩を用いることができる。
反応時間は、反応生成物の種類と添加物により変化するため一概に決定できないが、例えば、反応温度が130℃以上、添加物が塩化リチウムであれば通常、2時間以上行えば充分である。
【0041】
反応終了後は、通常の後処理方法、例えば、適当な溶媒により抽出し、溶媒を減圧濃縮することにより目的とするフッ素化エステル化合物を得ることが出来る。又、必要により、再結晶(蒸留)、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等により精製すれば、高純度のフッ素化エステル化合物を単離する事ができる。
又、操作の安全性から、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの雰囲気下で反応を行うのが好ましい。
【0042】
なお、機能性ビシクロ[3.1.0]ヘキサン誘導体mGluR調節物質類及びその薬学的に許容される塩は、上記式(1A)のフッ素化エステル化合物より、WO2005/047215国際公開公報、J. Org. Chem., 70, 8027, (2005).及びTetrahedron Letters, 45, 7261, (2004)に開示された方法を用いて製造することができる。
【0043】
【化13】

【0044】
(ジエステル化合物(1)の製造について)
式(8)で表されるエポキシ化合物としては、シクロペンテンオキシドがあげられ、光学活性体又は非光学活性体の何れも使用することができる。ただし、光学活性でないエポキシ化合物を用いた場合は、生成物が非光学活性体になることは言うまでもない。エポキシ化合物は、例えば金属触媒存在下シクロペンタジエンもしくはシクロヘキサジエンを不斉酸化することで合成できる(Synlett., 827, (1995).、Tetrahedron Letters.,37,7131, (1996).、特開平09-052887)。光学活性でないエポキシ化合物はシクロペンタジエンを例えば過酢酸により酸化することで合成することができる(J.Am.Chem.Soc.,82,4328,(1960).)。
【0045】
式(9)で表されるマロン酸エステル化合物を例示すれば、マロン酸メチル、マロン酸エチル、マロン酸プロピル、マロン酸イソプロピル、マロン酸ブチル、マロン酸ターシャリーブチル、マロン酸シクロペンチル、マロン酸ペンチル、マロン酸シクロヘキシル、マロン酸ヘキシルがあげられる。
マロン酸エステル化合物とともに作用させる塩基を例示すれば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等アルカリ金属アルコキシド類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等水素化アルカリ金属類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等アルカリ金属水酸化物類、トリメチルアミン、トリエチルアミン等三級アルキルアミン類、ピリジン、ジアザビシクロウンデセン等有機アミン類、n−ブチルリチウム等アルキル金属類、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド等アミン金属塩類があげられるが、好ましくはアルカリ金属アルコキシド類を、より好ましくはアルカリ金属メトキシド又はアルカリ金属エトキシドを、さらに好ましくはナトリウムメトキシドを用いる。
【0046】
反応溶媒は当該反応条件下において安定であり、かつ、目的とする反応を妨げないものであれば特に制限はなく、プロトン性極性有機溶媒類(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等)非プロトン性極性有機溶媒類(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラメチルウレア、スルホラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、脂肪族炭化水素類(例えばペンタン、ヘキサン、c−ヘキサン、オクタン、デカン、デカリン、石油エーテル等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えばクロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、低級脂肪族酸エステル(例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等)、アルコキシアルカン類(例えばジメトキシエタン、ジエトキシエタン等)、ニトリル類(例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等)等を使用することができる。
上記溶媒は一種単独で又は二種以上混合して用いることができる。
また場合によっては、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて非水溶媒として用いることもできる。
溶媒の種類に生成物の新規ジエステル化合物の収率が依存する。従って、望ましくはアルコール類を溶媒として使用する。
反応溶媒を使用する際の使用量としては、通常エポキシ化合物に対して1〜200質量倍使用することができ、好ましくは、3〜10質量倍の範囲である。
反応温度は、通常、−80℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−10〜50℃の範囲で行うのがよく、さらに好ましくは10〜30℃の範囲がよい。
【0047】
反応時間は、反応生成物の種類により変化するため一概に決定できないが、例えば、反応温度が30℃であれば通常、1時間以上行えば充分である。
マロン酸エステル化合物の使用量としては、反応を阻害せず、且つ副反応を引き起こさない量であれば特に限定されないが、通常、エポキシ化合物に対して0.9〜5モル当量の範囲で使用することができ、好ましくは1〜4モル当量の範囲であり、より好ましくは2〜3モル当量の範囲である。
塩基の使用量としては、反応を阻害せず、且つ副反応を引き起こさない量であれば特に限定されないが、通常、エポキシ化合物に対して0.9〜5モル当量の範囲で使用することができ、好ましくは1〜4モル当量の範囲であり、より好ましくは2〜3モル当量の範囲である。
反応終了後は、通常の後処理方法、例えば、適当な溶媒により抽出し、溶媒を減圧濃縮することにより目的とする新規ジエステル化合物を単離する事が出来る。又、必要により、再結晶(蒸留)、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等により精製すれば、高純度の新規ジエステル化合物を単離する事ができる。
又、操作の安全性から、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの雰囲気下で反応を行うのが好ましい。
【実施例】
【0048】
次に実施例を挙げ本発明の製造法をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの記載によって限定的に解釈されるものではない。また、下記実施例における収率については出発原料の純度などにより収率が影響を受けているものがある。個々の化合物について製造するための最適化条件を選択することによって、さらに高い収率にすることが可能である。
【0049】
参考例1
窒素置換したガラス製反応容器にメタノール430gとナトリウムメトキシド303gを入れて30℃で撹拌している中に、マロン酸ジメチル221gを滴下した。2時間撹拌後、(S,S)−3,4−エポキシシクロ−1−ペンテンの3.5%塩化メチレン溶液1228gを滴下し30℃で3時間撹拌した。反応液に水430gと塩化メチレン860gを加えて撹拌後、分液させ有機相をとり減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、71g(収率63%)のジメチル[(1S,5R)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル]プロパンジオエートを得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3, δ): 2.39(m, 1H), 2.80(m, 1H), 3.01(br, 1H), 3.22(m, 1H), 3.40(d, 1H), 3.76(s, 6H), 4.35(m, 1H), 5.50(m, 1H), 5.75(m, 1H).
13C-NMR(75MHz, CDCl3,δ): 40.94, 52.70, 54.39, 54.90, 75.90, 128.71, 130.94, 169.17, 169.65.
GC-Mass(DB-5MS 30m x 0.25mm x 0.25μm, 50℃(3min)→20℃/min→250℃(12min), 26kPa, 8.3mL/min): MS m/z 215[M+H]+.
【0050】
参考例2
窒素置換したガラス製反応容器に28wt%ナトリウムメトキシドメタノール溶液941mg、メタノール1.32g及びマロン酸ジメチル699mgを入れて25℃で撹拌した。(S,S)−3,4−エポキシシクロ−1−ペンテン238mgをメタノール368mgに溶解させたものを反応混合物に滴下し室温で2時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルを加えて撹拌後、分液させ有機相をとり減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、452mg(収率87%)のジメチル[(1S,5R)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル]プロパンジオエートを得た。
【0051】
実施例1
窒素置換したガラス製反応容器にナトリウムメトキシド0.5gとテトラヒドロフラン3gを入れ25℃で撹拌している中に、ジメチル[(1S,5R)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル]プロパンジオエート1gを滴下した。30分撹拌後、N-フルオロビスベンゼンスルホンイミド2.9gを反応混合物に加え2時間撹拌させた。反応混合物に塩化アンモニウム水溶液10gと酢酸エチル30gを加え撹拌後、静置し分離した有機相をとり、これを減圧濃縮して得た濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することで0.7g(収率60%)のジメチル フルオロ[(1R,5R)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル]プロパンジオエートを得た。
1H NMR(400MHz, CDCl3,δ): 2.38(m, 1H), 2.80(m,1H), 3.50(m,1H), 3.87(s,6H), 4.56(m, 1H), 5.48(m, 1H), 5.88(m, 1H).
GC-Mass(DB-5MS 30m x 0.25mm x 0.25μm, 50℃(3min)→20℃/min→250℃(12min), 26kPa, 8.3mL/min): MS m/z 233[M+H]+.
【0052】
実施例2
窒素置換したガラス製反応容器に水素化ナトリウム0.2gとテトラヒドロフラン3gを入れ25℃で撹拌している中に、ジメチル [(1S,5R)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル)プロパンジオエート1gを滴下した。30分撹拌後、N-フルオロビスベンゼンスルホンイミド2.9gを反応混合物に加え2時間撹拌させた。反応混合物に塩化アンモニウム水溶液10gと酢酸エチル30gを加え撹拌後、静置し分離した有機相をとり、これを減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することで0.4g(収率35%)のジメチル フルオロ[(1R,5R)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル]プロパンジオエートを得た。
【0053】
実施例3
窒素置換したガラス製反応容器にナトリウムメトキシド1.17gとテトラヒドロフラン10.5gを入れ撹拌している中に、ジメチル[(1S,5R)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル)プロパンジオエート2.40g(純度89%)のテトラヒドロフラン10.3gの溶液を5℃で滴下した。反応液を1時間撹拌した後、この溶液をN-フルオロビスベンゼンスルホンイミド4.74gのテトラヒドロフラン溶液と2時間反応させた。反応液に塩化アンモニウム水溶液20gを加え、酢酸エチル50mLで3回抽出した。これら有機相を減圧濃縮し、得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出条件 酢酸エチル:n-ヘキサン=1:1 (体積比))にて精製することで1.68g(収率72%)のジメチル フルオロ[(1R,5R)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル]プロパンジオエートを得た。
1H-NMR(300 MHz, CDCl3, δ): 2.28-2.44(m, 1H), 2.70-2.86(m, 1H), 3.42-3.60 (m, 1H), 3.42-3.60 (m, 1H), 3.87(s, 6H), 4.50‐4.60 (m, 1H),
5.44-5.53 (m, 1H), 5.84-5.92 (m, 1H) .
MS(ESI) m/z 233.1[M+H]+, 255.1[M+Na] +
Anal. Calcd for C10H13FO5: C, 51.72; H, 5.55; F, 8.18.
Found: C, 51.73; H, 5.62; F, 7.73
【0054】
実施例4
窒素置換したガラス製反応容器にジメチル フルオロ[(1R,5R)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル]プロパンジオエート0.1gとジメチルスルホキシド1.5g、水1.0gを入れ撹拌した。添加物としてヨウ化リチウム0.1gを加えた。この反応液を150℃で2時間撹拌した。その後反応液を室温まで冷却し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで0.04g(収率37%)のメチル 2−フルオロ−[(1R,5R)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル] エタノエートを得た。
【0055】
実施例5
窒素置換したガラス製反応容器にジメチル フルオロ[(1R,5R)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル]プロパンジオエート0.40gとジメチルスルホキシド4.0mL、水1.0mLを入れ撹拌した。添加物として塩化リチウム0.15gを加えた。この反応液を130℃で7時間撹拌した。その後、反応液を室温まで放冷後、酢酸エチルにて抽出した。抽出された有機層を減圧濃縮することで濃縮残渣を得た。濃縮残渣からシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出条件 酢酸エチル:n-ヘキサン=1:1)により0.17g(収率57.4%)のメチル 2−フルオロ−[(1R,5R)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル] エタノエートを得た。
MS(ESI) m/z 175.1[M+H]+, 197.1 [M+Na] +
【0056】
実施例6
窒素置換したガラス製反応容器にジメチル フルオロ[(1R,5R)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル]プロパンジオエート0.1gとジメチルスルホキシド1.5g、水1.0gを入れ撹拌した。添加物として塩化ナトリウム0.1gを加えた。この反応液を150℃で2時間撹拌した。その後反応液を室温まで冷却しシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで0.05g(収率44%)のメチル 2−フルオロ−[(1R,5R)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル] エタノエートを得た。
【0057】
実施例7
窒素置換したガラス製反応容器にジメチル フルオロ[(1R,5R)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル]プロパンジオエートとジメチル フルオロ[(1S,5S)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル]プロパンジオエートの混合物1.03g(4.43mmol)に10%水酸化ナトリウム水溶液3.54gを入れ室温で15時間撹拌した。反応液に2mol/L HCl水溶液4.43mL を加え、pH1とした。この溶液をメチルイソブチルケトンにて10回抽出した。抽出された有機層を合わせて、減圧濃縮することで濃縮残渣を得た。この濃縮残渣を減圧濃縮することにより、黄色結晶としてフルオロ[(1R,5R)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル]プロパンジオイック アシッドとフルオロ[(1S,5S)−5−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1−イル]プロパンジオイック アシッドの混合物0.920gを得た(収率79.7%)。
1H-NMR(600 MHz, DMSO-d6, δ): 2.12-2.15(m, 2H), 2.51-2.57(m, 2H),
4.21-4.24(m, 1H), 4.90(br s, 3H), 5.48-5.49 (br s, 1H), 5.82-5.83 (m, 1H),
13.84 (br s, 1H).
MS(ESI) m/z 226.9[M+Na]+,203.0[M−H]
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明により、mGluR調節作用を有する機能性ビシクロ[3.1.0]ヘキサン誘導体及びその薬学的に許容される塩の製造中間体であるフッ素化エステル化合物のより効率的な合成方法を提供することが可能となった。また、上記製造方法の実施に必要な中間体の提供が可能となった。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、
(1)−OH、
(2)−O−Ra、及び
(3)−NRbc
からなる群から選択される。
ただし、Raは、C1-6アルキル基又はC3-8シクロアルキル基であり(該C1-6アルキル基又はC3-8シクロアルキル基は、未置換又は一以上のC1-6アルコキシ基、水酸基、ハロゲン、アリール基若しくはヘテロアリール基で置換されている。)、
b及びRcは水素原子、ハロゲン、C1-6アルキル基及びC3-8シクロアルキル基からなる群から選択され(該C1-6アルキル基又はC3-8シクロアルキル基は、未置換又は一以上の水酸基、C1-6アルコキシ基、アリール基若しくはヘテロアリール基で置換されている。)、
又はRb及びRcは、隣接する窒素原子と一緒になって互いに結合した4〜7員の飽和複素環を形成し、該飽和複素環は、無置換又は水酸基、C1-6アルキル基若しくはC1-6アルコキシ基で置換されている。)
で表される化合物に対し、式(2)
【化2】

(式(2)中、R3は、それぞれ独立に、C1-6アルキル基又はアリール基を意味する。)で表されるフッ素化剤と塩基を作用させて、式(3)
【化3】

で表される化合物を製造する工程、及び
式(3)で表される化合物を加熱する工程からなることを特徴とする、
式(1A)
【化4】

(式(1A)中、R4は、
(1)−OH、
(2)−O−Ra、及び
(3)−NRbc
からなる群から選択される。
ただし、Raは、C1-6アルキル基又はC3-8シクロアルキル基であり(該C1-6アルキル基又はC3-8シクロアルキル基は、未置換又は一以上のC1-6アルコキシ基、水酸基、ハロゲン、アリール基若しくはヘテロアリール基で置換されている。)、
b及びRcは水素原子、ハロゲン、C1-6アルキル基及びC3-8シクロアルキル基からなる群から選択され(該C1-6アルキル基又はC3-8シクロアルキル基は、未置換又は一以上の水酸基、C1-6アルコキシ基、アリール基若しくはヘテロアリール基で置換されている。)、
又はRb及びRcは、隣接する窒素原子と一緒になって互いに結合した4〜7員の飽和複素環を形成し、該飽和複素環は、無置換又は水酸基、C1-6アルキル基若しくはC1-6アルコキシ基で置換されている。)
で表されるフッ素化エステル化合物の製造方法。
【請求項2】
式(3)
【化5】

(式(3)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、
(1)−OH、
(2)−O−Ra、及び
(3)−NRbc
からなる群から選択される。
ただし、Raは、C1-6アルキル基又はC3-8シクロアルキル基であり(該C1-6アルキル基又はC3-8シクロアルキル基は、未置換又は一以上のC1-6アルコキシ基、水酸基、ハロゲン、アリール基若しくはヘテロアリール基で置換されている。)、
b及びRcは水素原子、ハロゲン、C1-6アルキル基及びC3-8シクロアルキル基からなる群から選択され(該C1-6アルキル基又はC3-8シクロアルキル基は、未置換又は一以上の水酸基、C1-6アルコキシ基、アリール基若しくはヘテロアリール基で置換されている。)、
又はRb及びRcは、隣接する窒素原子と一緒になって互いに結合した4〜7員の飽和複素環を形成し、該飽和複素環は、無置換又は水酸基、C1-6アルキル基若しくはC1-6アルコキシ基で置換されている。)
で表される新規フッ素化ジエステル化合物。


【公開番号】特開2009−269875(P2009−269875A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123198(P2008−123198)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000002819)大正製薬株式会社 (437)
【Fターム(参考)】