フッ素化構造化有機フィルム感光体層
【課題】化学的および機械的に非常にロバスト性の材料であり、従来の感光体材料よりも優れた多くの特性を示し、ゼログラフィープロセスによって生じる化学的分解経路を阻止することによって感光体の寿命を延ばす構造化有機フィルム(SOF)組成物、及び該組成物を用いた軽衝撃耐性を改善した、より安定な画像形成部材の提供。
【解決手段】第1のフッ素化セグメントおよび第2の電気活性セグメントを含む、複数のセグメントおよび複数のリンカーを含む構造化有機フィルム(SOF)である最外層を有する感光体のような画像形成部材。
【解決手段】第1のフッ素化セグメントおよび第2の電気活性セグメントを含む、複数のセグメントおよび複数のリンカーを含む構造化有機フィルム(SOF)である最外層を有する感光体のような画像形成部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、第1のフッ素化セグメントおよび第2の電気活性セグメントを含む、複数のセグメントと複数のリンカーとを含む構造化有機フィルム(SOF)である最外層を有する画像形成部材、例えば感光体に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼログラフィ、電子写真式画像形成または静電複写式画像形成としても知られる電子写真において、伝導性層上に光伝導性絶縁層を含有する電子写真式プレート、ドラム、ベルトなど(画像形成部材または感光体)の表面は、最初に均一に帯電される。次いで画像形成部材は、活性化電磁放射線、例えば光のパターンに曝される。この放射線は、光伝導性絶縁層の照射領域において電荷を選択的に消散させると同時に、非照射領域に静電潜像を残す。次いでこの静電潜像は現像されて、微粉化された検電マーキング粒子を光伝導性絶縁層の表面に堆積させることによって、視覚可能な画像を形成し得る。得られた視覚可能な画像は、画像形成部材から、プリント基材、例えば透明フィルムまたは紙に直接または間接的に(例えば転写部材または他の部材によって)転写され得る。画像形成プロセスは、再使用可能な画像形成部材を用いて複数回繰り返されてもよい。
【0003】
優れたトナー画像は、多層ベルトまたはドラム感光体を用いて得ることができるが、より高度で、より高速の電子写真コピー機、複写機、および印刷機が開発されるにつれ、プリント品質に対する要求が高くなっていることを見出した。トナーおよび現像剤の特徴として、荷電画像およびバイアス電位の微妙なバランスが維持されなければならない。このことが、感光体製造の品質、およびひいては製造収率に付加的な制限をもたらす。
【0004】
画像形成部材は、一般に反復性電子写真サイクルに曝され、それが、曝された荷電輸送層またはそれらの代替頂部層を機械的摩耗、化学的攻撃および熱に供する。こうした反復性サイクルは、曝された電荷輸送層の機械的および電気的特徴を徐々に劣化させる。長期間の使用中における物理的および機械的損傷、特に表面引掻欠陥の形成は、ベルト感光体の故障の主な原因の1つである。故に、感光体の機械的ロバスト性を改善し、特にそれらの引掻耐性を増大させることによって、それらの耐用年数を延ばすことが所望されている。加えて、画像ゴースト発生、背景陰影などがプリント中で最小限となるように軽衝撃耐性を増大させることが望ましい。
【0005】
保護オーバーコート層を与えることは、感光体の有用寿命を延ばす従来の手段である。従来では、例えばポリマー引掻防止およびクラック防止オーバーコート層が、感光体のライフスパンを延ばすためにロバスト性のオーバーコート設計として利用されている。しかし、従来のオーバーコート層形成は、プリント中のゴースト発生および背景陰影を示す。軽衝撃耐性を改善することにより、より安定な画像形成部材を提供し、改善されたプリント品質をもたらす。
【0006】
画像形成部材を形成するために採用されている種々の手法にかかわらず、改善された画像形成性能および長い寿命を提供し、ヒトおよび環境への健康リスクを低減するためなどに、改善された画像形成部材設計が必要とされ続けている。
【0007】
本明細書に記載される構造化有機フィルム(SOF)組成物は、化学的および機械的に非常にロバスト性の材料であり、従来の感光体材料よりも優れた多くの特性を示し、ゼログラフィープロセスによって生じる化学的分解経路を阻止することによって感光体の寿命を延ばす。加えて、酸化防止剤のような添加剤が、感光体のような画像形成部材を構成するSOFの特性を改善するために本開示のSOF組成物に加えられてもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
基材、電荷発生層、電荷輸送層、および任意のオーバーコート層を含む画像形成部材であって、最外層が、第1のフッ素化セグメントおよび第2の電気活性セグメントを含む、複数のセグメントと複数のリンカーとを含む構造化有機フィルム(SOF)を含む画像形成表面である、部材。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】図1Aは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1B】図1Bは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1C】図1Cは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1D】図1Dは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1E】図1Eは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1F】図1Fは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1G】図1Gは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1H】図1Hは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1I】図1Iは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1J】図1Jは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1K】図1Kは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1L】図1Lは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1M】図1Mは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1N】図1Nは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1O】図1Oは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図2】SOFを組み込む例示的な感光体の簡素化された側面図を表す。
【図3】SOFを組み込む第2の例示的な感光体の簡素化された側面図を表す。
【図4】SOFを組み込む第3の例示的な感光体の簡素化された側面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「構造化された有機フィルム」(SOF)は、巨視的な見方だとフィルムである、COFを指す。画像形成部材は、コンポジットSOFを含んでいてもよく、場合により、SOFに加えられるキャッピングユニットまたは基を有していてもよい。
【0011】
本明細書において、「a」、「an」および「the」のような単数形は、特に明確に内容を示さない限り、複数形を含む。
【0012】
用語「SOF」または「SOF組成物」は、一般的に、巨視的な見方だとフィルムである、共有結合性有機骨格(COF)を指す。用語「フッ素化SOF」とは、このSOFの1つ以上のセグメントタイプまたはリンカータイプに共有結合したフッ素原子を含有するSOFを指す。
【0013】
SOF中のフッ素含有量は、SOF合成のために使用される分子ビルディングブロックを変更することによって、または使用されるフッ素ビルディングブロックの量を変更することによって調節されてもよい。
【0014】
画像形成部材は、フッ素化SOFを含む最外層を含んでいてもよく、ここでは、フッ素化ビルディングブロックの反応から得られてもよくまたは得られなくてもよい、正孔輸送特性を有する第1のセグメントが、フッ素化された第2のセグメント、例えばフッ素含有分子ビルディングブロックの反応から得られた第2のセグメントに連結されてもよい。
【0015】
画像形成部材に含まれるフッ素化SOFのフッ素含有量は、SOF全体を通して均質に分配されることができ、SOF形成プロセスによって制御でき、このフッ素含有量は、分子レベルにてパターニングされてもよい。
【0016】
画像形成部材の最外層は、セグメントの微視的配置がパターニングされたSOFを含む。用語「パターニング」は、セグメントが共に連結された配列を指す。パターニングされたフッ素化SOFは、セグメントA(正孔輸送分子機能を有する)がセグメントB(フッ素化セグメントである)だけに接続され、逆にセグメントBはセグメントAにだけ接続されるような組成物として具現化できる。
【0017】
フッ素化SOFは、1つ以上の分子ビルディングブロックの反応によって製造されてもよく、ここで少なくとも1つの分子ビルディングブロックはフッ素を含有し、少なくとも1つの分子ビルディングブロックは、電荷輸送分子機能を有する(または反応時に正孔輸送分子機能を有するセグメントをもたらす)。例えば、同じまたは異なるフッ素含有量および正孔輸送分子機能を有する少なくとも1つ、または2つ以上の分子ビルディングブロックの反応が、フッ素化SOFを製造するために行われ得る。反応混合物中の分子ビルディングブロックのすべてが、フッ素を含有してもよく、画像形成部材の最外層として使用されてもよい。フッ素化分子ビルディングブロックは、炭素またはケイ素原子コアを含有する1つ以上のビルディングブロック、アルコキシコアを含有するビルディングブロック、窒素またはリン原子コアを含有するビルディングブロック、アリールコアを含有するビルディングブロック、カーボネートコアを含有するビルディングブロック、炭素環式、炭素二環式、または炭素三環式コアを含有するビルディングブロック、およびオリゴチオフェンコアを含有するビルディングブロックから誘導されてもよい。こうしたフッ素化分子ビルディングブロックは、1つ以上の水素原子をフッ素原子で置き換えるまたは交換することによって誘導されてもよい。
【0018】
1つ以上のフッ素化分子ビルディングブロックは、それぞれ、個々にまたは全体として、SOFの100重量部に対して約5〜約100重量%、例えば少なくとも約50重量%、または少なくとも約75重量%のパーセンテージで、画像形成部材の最外層に含まれるフッ素化SOF中に存在してもよい。
【0019】
フッ素化SOFは、C結合H原子の約20%超過、または約50%超過、約75%超過、約80%超過、約90%超過、約95%超過または約100%がフッ素原子で置き換えられてもよい。
【0020】
画像形成部材の最外層に含まれるフッ素化SOFのフッ素含有量は、約5重量%〜約75重量%、または約5重量%〜約65重量%、または約10重量%〜約50重量%であってもよい。画像形成部材の最外層に含まれるフッ素化SOFのフッ素含有量は、約5重量%以上、または約10重量%以上、または約15重量%以上であり、フッ素含有量の上限は、約75重量%または約60重量%である。フッ素含有セグメントのパーセントは、約10重量%超過、例えば約30重量%超過、または50重量%超過であってもよく、フッ素含有セグメントの上限パーセントは、100重量%、例えば90重量%未満、または約70重量%未満であってもよい。
【0021】
画像形成部材の最外層は、SOFの約80重量%超過、約85〜約99.5重量%、または約90〜約99.5重量%の量で、最外層のSOF中に第1のフッ素化セグメントおよび第2の電気活性セグメントを含んでいてもよい。
【0022】
画像形成部材の最外層に含まれるフッ素化SOFは、「溶媒耐性」SOF、パターニングされたSOF、キャップされたSOF、コンポジットSOFおよび/または周期的SOFであってもよく、それらは集合的に、特に断らない限り、以降において一般に「SOF」と称される。
【0023】
用語「溶媒耐性」とは、SOFが組み込まれた層の溶媒/応力クラッキングまたは分解に対する感受性を増大させるような、(1)SOFおよび/またはSOF組成物(例えばコンポジットSOF)にそれまで共有結合していた原子および/または分子を流出させること、および/または(2)それまでSOFおよび/またはSOF組成物(例えばコンポジットSOF)の一部であった分子を相分離させることが実質的にないことを指す。
【0024】
キャッピングユニットがSOFに導入される場合、SOF骨格が、キャッピングユニットが存在する場所で局所的に「妨害される」。
【0025】
「実質的にピンホールのないSOF」または「ピンホールのないSOF」は、下層基材の表面に堆積した反応混合物から形成されてもよい。用語「実施的にピンホールのないSOF」は、平方cmあたりの2つの隣接セグメントコア間の距離を超えるピンホール、孔またはギャップが実質的にない、またはcm2あたり約250ナノメートルを超える直径のピンホール、孔またはギャップが10個未満であるSOFを指す。用語「ピンホールのないSOF」は、平方ミクロンあたりの2つの隣接セグメントのコア間の距離を超えるピンホール、孔またはギャップがない、または平方ミクロンあたり約500オングストロームを超える直径のピンホール、孔またはギャップがないSOFを指す。
【0026】
フッ素化分子ビルディングブロックは、既知のプロセスによっていずれかの上記「親」非フッ素化分子ビルディングブロックのフッ素化から得られてもよい。例えば、「親」非フッ素化分子ビルディングブロックは、種々のフッ素化度を有するフッ素化分子ビルディングブロックの混合物を形成するために、高温、例えば約150℃超過の温度にて元素状フッ素を介して、または他の既知のプロセス工程によってフッ素化されてもよく、個々のフッ素化分子ビルディングブロックを得るために、場合により精製されてもよい。あるいは、フッ素化分子ビルディングブロックは、合成されてもよく、および/または所望のフッ素化分子ビルディングブロックを単純に購入することによって得られてもよい。「親」非フッ素化分子ビルディングブロックのフッ素化分子ビルディングブロックへの転化は、既知の反応条件の単一セットまたは範囲を利用する反応条件下で行われてもよい。
【0027】
分子ビルディングブロックは、少なくとも2つの官能基(x≧2)を必要とし、単一タイプまたは2つ以上のタイプの官能基を含んでいてもよい。
【0028】
分子ビルディングブロックの対称性は、分子ビルディングブロックセグメントの周辺付近の官能基(Fg)の位置決めに関連する。
【0029】
対称型のビルディングブロックの使用は、(1)規則的な形状の連結が網目状構造化学においてよく理解されたプロセスであるので、分子ビルディングブロックのパターニングは問題なく利用できる、および(2)分子ビルディングブロック間の完全な反応は、対称性の劣るビルディングブロックについては、SOF内に複数の連結欠陥を起こし得る可能性がある逸脱したコンホメーション/配向を採用し得るために促進されるという2つの理由から実施される。
【0030】
図1A〜Oは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の成分の概略を示す。こうした対称型要素は、使用され得るビルディングブロックに見出される。こうした例示的なビルディングブロックは、フッ素化されてもよく、またはフッ素化されていなくてもよい。
【0031】
例示的なフッ素化分子ビルディングブロックは、炭素またはケイ素原子コアを含有するフッ素化ビルディングブロック、アルコキシコアを含有するビルディングブロック、窒素またはリン原子コアを含有するビルディングブロック、アリールコアを含有するビルディングブロック、カーボネートコアを含有するビルディングブロック、炭素環式、炭素二環式、または炭素三環式コアを含有するビルディングブロック、およびオリゴチオフェンコアを含有するビルディングブロックから得られてもよい。こうしたフッ素化分子ビルディングブロックは、非フッ素化分子ビルディングブロックの高温、例えば約150℃超過の温度での元素状フッ素によるフッ素化、または他の既知のプロセス工程によって得られてもよい。
【0032】
官能基は、分子ビルディングブロックの反応性化学部分であり、この部分が、SOF形成プロセス中に、セグメント同士を連結させる化学反応に関与する。官能基の非限定例としては、ハロゲン、アルコール、エーテル、ケトン、カルボン酸、エステル、カーボネート、アミン、アミド、イミン、尿素、アルデヒド、イソシアネート、トシレート、アルケン、アルキンなどが挙げられる。
【0033】
セグメントは、官能基を保持し、官能基に関連しない全原子を含む分子ビルディングブロックの部分である。
【0034】
SOFは、複数の孔を有する共有結合性有機骨格(COF)として整列された、少なくとも第1のセグメントタイプを含む複数のセグメントおよび第1のリンカータイプを少なくとも含む複数のリンカーを含み、ここで第1のセグメントタイプおよび/または第1のリンカータイプが、炭素でない少なくとも1つの原子を含む。SOFのセグメント(またはSOFを構成する複数のセグメントに含まれる1つ以上のセグメントタイプ)は、炭素でない少なくとも1つの元素原子を含み、例えばセグメント構造は、水素、酸素、窒素、ケイ素、リン、セレニウム、フッ素、ホウ素、および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つの原子を含む。
【0035】
リンカーは、分子ビルディングブロックおよび/またはキャッピングユニットに存在する官能基間での化学反応時にSOF中に現れる化学部分である。リンカーは、共有結合、単一原子、または共有結合された原子の群を含んでいてもよい。化学部分リンカーは、周知の化学基、例えばエステル、ケトン、アミド、イミン、エーテル、ウレタン、カーボネートなど、またはそれらの誘導体であってもよい。
【0036】
SOFは、アスペクト比が、例えば約30:1より大きく、または約100:1より大きくてもよい。SOFのアスペクト比は、その平均厚さ(すなわち、最も短い寸法)に対する、その平均の幅または直径(厚さに対して次に大きな寸法)の比であると定義される。SOFの最も長い寸法は、長さであり、SOFアスペクト比の計算では考慮されない。
【0037】
追加の機能は、従来のCOFに固有でない特性を示し、分子ビルディングブロックの選択によって生じてもよく、その分子組成が得られたSOFに追加の機能を提供する。追加機能は、その追加機能に関して「偏った特性」を有する分子ビルディングブロックの集合時に生じ得る。
【0038】
分子ビルディングブロックの「偏った特性」との用語は、ある特定の分子組成物について存在することが知られている特性、またはセグメントの分子組成を観察すれば、当業者ならば合理的に特定可能な特性を指す。用語「偏った特性」および「追加機能」は、同じ一般的特性(例えば疎水性、電気活性など)を指すが、「偏った特性」は、分子ビルディングブロックの内容で使用され、「追加機能」は、画像形成部材の最外層に含まれ得るSOFの内容で使用される。
【0039】
SOFの疎水性(超疎水性)、親水性、疎油性(超疎油性)、親油性、光発色性および/または電気活性(導体、半導体、電荷輸送材料)性質は、SOFの「追加機能」を表し得る特性の一部の例である。用語疎水性(超疎水性)は、水、または他の極性種をはじく特性を指す。疎水性材料は、接触角ゴニオメータまたは関連装置を用いて測定される場合に、90°を超える水接触角を有する。高い疎水性は、約130°〜約180°の水接触角を有する。超疎水性は、約150°を超える水接触角を有する。
【0040】
超疎水性は、水滴が約1°〜約30°未満、または約1°〜約25°のスライディング角度または約10°未満のスライディング角度のような表面に関するスライディング角度を形成する場合として記載できる。
【0041】
用語親水性は、水または他の極性種、あるいは表面を引き付ける、吸着または吸収する特性を指す。
【0042】
用語疎油性(撥油性)は、油または他の非極性種、例えばアルカン、脂肪およびワックスをはじく特性を指す。疎油性は、接触角ゴニオメータまたは関連装置を用いて測定される場合に、90°を超える油接触角を有する。用語撥油性は、UV硬化性インク、固体インク、ヘキサデカン、ドデカン、炭化水素などに関して、およそ約55°以上の油接触角を有する表面の濡れ性を指す。高度に撥油性は、炭化水素系液滴が表面に関して高い接触角、例えば約130°、または約135°〜約170°の接触角を形成する場合と記載される。超撥油性は、炭化水素系液滴が表面に関して高い接触角、例えば150°を超える接触角を形成する場合と記載される。
【0043】
本明細書で使用される場合に超撥油性はまた、炭化水素系液滴、例えばヘキサデカンが表面に関して約1°〜約30°未満、または約10°未満のスライディング角度を形成する場合と記載され得る。
【0044】
用語親油性(オレオフィリック)は、油または他の非極性種、例えばアルカン、脂肪、およびワックスを引き付ける特性またはこうした種によって容易に濡らされる表面を指す。親油性材料は、通常、低〜無油接触角を有することによって特徴付けられる。
【0045】
疎水性の追加機能を有するSOFは、偏った疎水性特性を有する分子ビルディングブロックを用いることによって調製されてもよく、および/またはサブミクロンからミクロンスケールでの粗い、テクスチャード加工の、または多孔質表面を有していてもよい。フッ素含有ポリマーは、対応する炭化水素ポリマーよりも低い表面エネルギーを有することが知られている。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、ポリエチレンより低い表面エネルギーを有する(20mN/m対35.3mN/m)。フッ素のSOFへの導入は、特にフッ素が画像形成部材の最外層の表面に存在する場合、対応する非フッ素化SOFに比較してSOFの表面エネルギーを調節するために使用されてもよい。大抵の場合、フッ素のSOFへの導入は、画像形成部材の最外層の表面エネルギーを低下させる。SOFの表面エネルギーが調節される程度は、例えばSOFの表面にておよび/またはSOFのバルク内でのフッ素化および/またはフッ素のパターニングの度合いに依存し得る。SOFの表面でのフッ素化および/またはフッ素のパターニングの度合いは、調整され得るパラメータである。
【0046】
高度フッ素化セグメントを含む分子ビルディングブロックは、偏った疎水性特性を有し、疎水性追加機能を有するSOFを導いてよい。高度フッ素化セグメントは、セグメントに存在するフッ素原子の数を、1を超えるセグメントに存在する水素原子の数で割ったものとして定義される。高度フッ素化セグメントではないフッ素化セグメントも、疎水性の追加機能を有するSOFを導き得る。
【0047】
画像形成部材の最外層におけるフッ素化SOFは、分子ビルディングブロック、セグメント、および/またはリンカーのいずれかのバージョンから製造されてもよく、ここで分子ビルディングブロックの1つ以上の水素はフッ素で置き換えられる。
【0048】
上述のフッ素化セグメントは、例えば一般構造のα,ω−フルオロアルキルジオールを含んでいてもよく、
【化1】
ここでnは1以上の値を有する整数であり、例えば1〜約100、または1〜約60、または約2〜約30、または約4〜10であり、または一般構造HOCH2(CF2)nCH2OHのフッ素化アルコールおよびそれらの対応するジカルボン酸およびアルデヒドを含んでいてもよく、ここでnは、1以上、例えば1〜約100、または1〜約60、または2〜約30または約4〜約10の値を有する整数であり、テトラフルオロヒドロキノン、ペルフルオロアジピン酸水和物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノールなどを挙げることができる。
【0049】
サブミクロンからミクロンスケールでの粗く、テクスチャード加工の、または多孔質SOF表面を有するSOFはまた、疎水性であってもよい。粗い、テクスチャード加工の、または多孔質表面は、フィルム表面に存在する懸垂官能基またはSOFの構造から得ることができる。パターンのタイプおよびパターニング度は、分子ビルディングブロックの幾何学形状および連結化学効率に依存する。表面ラフネスまたはテクスチャを導くフィーチャサイズは、約100nm〜約10μm、例えば約500nm〜約5μmである。
【0050】
電気活性との用語は、電荷(電子および/または正孔)を輸送する特性を指す。電気活性材料としては、導体、半導体、電荷輸送材料が挙げられる。導体は、電位差がある状態で電荷を簡単に輸送する材料であると定義される。半導体は、それ自体は電荷を伝導しないが、電位差があり、刺激(例えば、電場、電磁照射、熱など)が加えられた状態で伝導性になり得る材料であると定義される。電荷輸送材料は、電位差のある状態で、別の材料(例えば、染料、顔料または金属)から電荷が注入されると、電荷を輸送することができる材料であると定義される。
【0051】
画像形成部材の最外層に含まれる、追加機能として電気活性(または正孔輸送分子機能)を有するSOFは、議論されたフッ素化分子ビルディングブロックおよび偏った特性として電気活性を有する分子ビルディングブロック、および/または共役したセグメントおよびリンカーの集合の結果として電気活性となる分子ビルディングブロックを含有する反応混合物を形成することによって調製されてもよい。以下の章で、偏った正孔輸送特性、偏った電子輸送特性、偏った半導体特性を有する分子ビルディングブロックについて記載する。
【0052】
さらに、導体は、電位差計を用い、約0.1〜約107S/cmのシグナルが得られる材料であると定義されてもよい。
【0053】
半導体は、さらに、刺激(例えば、電場、電磁照射、熱など)が加えられた状態で、電位差計を用い、約10−6〜約104S/cmのシグナルが得られる材料であると定義されてもよい。あるいは、半導体は、加えられた刺激(例えば、電場、電磁照射、熱など)に曝されると、飛行時間技術を用いて測定した場合、10−10〜約106cm2V−1s−1の範囲の電子移動度および/または正孔移動度を有する材料であると定義されてもよい。
【0054】
電荷輸送材料は、さらに、飛行時間技術を用いて測定した場合、10−10〜約106cm2V−1s−1の範囲の電子移動度および/または正孔移動度を有する材料であると定義されてもよい。追加機能として電気活性を有するフッ素化SOFは、フッ素化分子ビルディングブロックと、偏った特性として電気活性を有する分子ビルディングブロック、および/または共役したセグメントおよびリンカーの集合から生じる電気活性セグメントをもたらす分子ビルディングブロックとの反応によって調製されてもよい。画像形成部材の最外層に含まれるフッ素化SOFは、少なくとも1つのフッ素化ビルディングブロックおよび電気活性特性、例えば正孔輸送分子機能を有する少なくとも1つのビルディングブロックを含有する反応混合物を調製することによって製造されてもよく、こうしたHTMセグメントは、以下に記載されるようなもの、例えばヒドロキシル官能基(−OH)を有するN,N,N’,N’−テトラキス−[(4−ヒドロキシメチル)フェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミンであってもよく、反応時に、N,N,N’,N’−テトラ−(p−トリル)ビフェニル−4,4’−ジアミンのセグメントを生じ、および/またはヒドロキシル官能基(−OH)を有するN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(3−ヒドロキシフェニル)−ビフェニル−4,4’−ジアミンであってもよく、反応時にN,N,N’,N’−テトラフェニル−ビフェニル−4,4’−ジアミンのセグメントを生じる。以下の章では、さらなる分子ビルディングブロックおよび/または偏った正孔輸送特性、偏った電子輸送特性、および偏った半導体特性を有する得られたセグメントコアを記載し、それらはフッ素化ビルディングブロック(上記に記載)と反応させることができ、画像形成部材の最外層に含まれるフッ素化SOFを製造する。
【0055】
追加機能として正孔輸送機能を有するSOFは、次の一般構造
【化2】
(式中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5はそれぞれ独立に、置換または非置換アリール基を表し、またはAr5は独立に、置換または非置換アリーレン基を表し、kは0または1を表し、少なくとも2つのAr1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5は、Fg(先に定義される通り)を含む)を有するセグメントコア、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン(米国特許第7,202,002B2号明細書(Tokarski et al.に対する)およびエナミン(米国特許第7,416,824B2号明細書(Kondoh et al.に対する)を選択することによって得られてもよい。Ar5はさらに、例えば置換されたフェニル環、置換/非置換のフェニレン、置換/非置換の一価の連結された芳香族環(例えば、ビフェニル、ターフェニルなど)、または置換/非置換の縮合した芳香族環(ナフチル、アントラニル、フェナントリルなど)であると定義されてもよい。
【0056】
追加機能として正孔輸送性を有する、アリールアミンを含むセグメントコアとしては、アリールアミン、例えば、トリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[p−ターフェニル]−4,4’’−ジアミン、ヒドラゾン、例えば、N−フェニル−N−メチル−3−(9−エチル)カルバジルヒドラゾン、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,2−ジフェニルヒドラゾン、およびオキサジアゾール、例えば、2,5−ビス(4−N,N’−ジエチルアミノフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール、スチルベンなどが挙げられる。
【0057】
SOFは、p型半導体、n型半導体、または両極性半導体であってもよい。SOFの半導体のタイプは、分子ビルディングブロックの性質に依存する。電子供与特性を有する分子ビルディングブロック(例えばアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基)は、SOF中に存在する場合、SOFをp型半導体にし得る。あるいは、電子吸引性である分子ビルディングブロック(例えば、シアノ基、ニトロ基、フルオロ基、フッ素化アルキル基、フッ素化アリール基)は、SOFをn型半導体にし得る。
【0058】
同様に、これらの分子ビルディングブロックによって調製されるSOFの電気活性は、セグメントの性質、リンカーの性質、およびSOF内でセグメントがどのように配向されているかに依存する。SOF中のセグメント部分の好ましい配向が好都合なリンカーは、より高い電気活性を導くことが予測される。
【0059】
フッ素化された構造化有機フィルム(SOF)を調製するプロセス
SOF、例えばフッ素化SOFを製造するプロセスは、典型的には、多くの作業または工程(以下に示す)を含み、任意の適切な順序で行ってもよく、または、2つ以上の作業を同時に行ってもよく、非常に近い時間に行ってもよい。
(a)複数の分子ビルディングブロックを含む液体含有反応混合物を調製する工程であって、それぞれのブロックがセグメント(ここで少なくとも1つのセグメントは、フッ素を含んでいてもよく、得られたセグメントの少なくとも1つは電気活性であり、例えばHTMである)および多数の官能基、ならびに場合によりプレSOFを含む工程と、
(b)濡れたフィルムとして反応混合物を堆積させる工程と、
(c)分子ビルディングブロックを含む濡れたフィルムを、共有結合性有機骨格として配置される複数のセグメントおよび複数のリンカーを含むSOFを含む乾燥フィルムへの変化を促進する工程であって、巨視的レベルでは、共有結合性有機骨格がフィルムである、促進する工程と、
(d)場合により、基材からSOFを取り除き、自立型SOFを得る工程と、
(e)場合により、自立型SOFをロールに処理する工程と、
(f)場合によりSOFをベルトに切断およびシーム加工する工程と、
(g)場合により、上記SOF形成プロセスを、続くSOF形成プロセスのための基材として(上記SOF形成プロセスによって調製された)SOF上にて行う工程と、を含むSOFを調製するためのプロセス。
【0060】
反応混合物は、液体中に溶解、懸濁、または混合される複数の分子ビルディングブロックを含み、こうしたビルディングブロックは、例えば少なくとも1つのフッ素化ビルディングブロック、および少なくとも1つの電気活性ビルディングブロックを含んでいてもよく、例えばヒドロキシル官能基(−OH)およびN,N,N’,N’−テトラ−(p−トリル)ビフェニル−4,4’−ジアミンのセグメントを有するN,N,N’,N’−テトラキス−[(4−ヒドロキシメチル)フェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミン、および/またはヒドロキシル官能基(−OH)およびN,N,N’,N’−テトラフェニル−ビフェニル−4,4’−ジアミンのセグメントを有するN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(3−ヒドロキシフェニル)−ビフェニル−4,4’−ジアミンを挙げることができる。複数の分子ビルディングブロックは、1種類であってもよく、または2種類以上を含んでいてもよい。1つ以上の分子ビルディングブロックが液体である場合、さらなる液体の使用は任意である。触媒は、場合により、上述の作用Cの間に、SOF形成を可能にするおよび/またはSOF形成の動力学を変更するために反応混合物に添加されてもよい。添加剤または第2の成分は、場合により反応混合物に添加されて、得られたSOFの物理的特性を変更してもよい。
【0061】
反応混合物の成分(分子ビルディングブロック、場合によりキャッピングユニット、液体(溶媒)、場合により触媒、および場合により添加剤)を(例えば容器内で)合わせる。反応混合物成分の添加順序は変動してもよいが、通常、触媒が最後に添加される。反応混合物はまた、混合、撹拌、ミル加工が行われてもよい。反応混合物は、堆積した濡れた層を保持するような粘度を有している必要がある。反応混合物の粘度は、約10〜約50,000cps、例えば、約25〜約25,000cps、または約50〜約1000cpsの範囲である。
【0062】
ビルディングブロックの保有量は、約10〜50%、例えば、約20〜約40%、または約25〜約30%の範囲であってもよい。キャッピングユニットが反応混合物に添加されるべきときに依存して、キャッピングユニット充填量は、ビルディングブロックの総充填量の約30重量%未満の範囲であってもよく、例えばビルディングブロックの総充填量の約0.5重量%〜約20重量%、またはビルディングブロックの総充填量の約1重量%〜約10重量%の範囲であってもよい。
【0063】
画像形成部材の損耗率は、実験器具におけるキロサイクル回転あたり約5〜約20ナノメートル、またはキロサイクル回転あたり約7〜約12ナノメートルであってもよい。
【0064】
乾燥SOF中の有効な第2の成分および/またはキャッピングユニットおよび/または有効キャッピングユニットおよび/または第2の成分濃度は、画像形成部材の損耗率を低下させるか、または画像形成部材の損耗率を増大させるかのいずれかのために選択されてもよい。画像形成部材の損耗率は、同一のセグメントおよびリンカーを含むキャップされていないSOFに対して、1000サイクルあたり少なくとも約2%、例えば1000サイクルあたり少なくとも約5%、または1000サイクルあたり少なくとも約10%低下し得る。
【0065】
画像形成部材の損耗率は、同一のセグメントおよびリンカーを含むキャップされていないSOFに対して、1000サイクルあたり少なくとも約5%、例えば1000サイクルあたり少なくとも約10%、または1000サイクルあたり少なくとも約25%増大し得る。
【0066】
反応混合物中で用いられる液体は、純粋な液体(例えば、溶媒)であってもよく、および/または溶媒混合物であってもよい。適切な液体は、沸点が約30〜約300℃、例えば、約65℃〜約250℃、または約100℃〜約180℃であってもよい。
【0067】
液体としては、アルカン、混合アルカン、分岐アルカン、芳香族化合物、エーテル、環状エーテル、エステル、ケトン、環状ケトン、アミン、アミド、アルコール、ニトリル、ハロゲン化芳香族、ハロゲン化アルカン、および水などの種類の分子を挙げることができる。
【0068】
場合により、反応混合物中に触媒が存在させて、濡れた層の乾燥したSOFへの促進を補助してもよい。任意触媒の選択および使用は、分子ビルディングブロックの官能基によって変わる。典型的な触媒の保有量は、反応混合物中の分子ビルディングブロックの保有量の約0.01%〜約25%、例えば約0.1%〜約5%の範囲である。触媒は、最終的なSOF組成物中に存在していてもよく、存在していなくてもよい。
【0069】
場合により、添加剤または第2の成分、例えば、ドーパントが、反応混合物および濡れた層に存在していてもよい。また、このような添加剤または第2の成分を、乾燥SOFに組み込んでもよい。キャッピングユニットとは対照的に、用語「添加剤」または「第2の成分」は、SOF中に共有結合していないが、組成物にランダムに分布している原子または分子を指す。
【0070】
SOFは、SOFを酸化しないように保護するために、第2の成分として酸化防止剤を含んでいてもよい。
【0071】
酸化防止剤は、立体障害ビスフェノール、立体障害ジヒドロキノン、または立体障害アミンから選択されてもよい。
【0072】
酸化防止剤は、SOFコンポジット中に、SOFの約10重量%まで、または約0.25重量%〜約10重量%、または約5重量%まで、例えば約0.2重量%〜約5重量%SOFに存在してもよい。
【0073】
画像形成部材の外側層はさらに、SOFに存在する他のセグメントに加えて、非正孔輸送分子セグメントを含んでいてもよく、それはHTM、例えばN,N,N’,N’−テトラ−(p−トリル)ビフェニル−4,4’−ジアミンの第1のセグメント、N,N,N’,N’−テトラフェニル−ビフェニル−4,4’−ジアミンの第2のセグメントである。非正孔輸送分子セグメントは、SOF中の第3のセグメントを構成し、フッ素化セグメントであってもよい。SOFは、正孔輸送特性を有する1つ以上のセグメント、例えばN,N,N’,N’−テトラ−(p−トリル)ビフェニル−4,4’−ジアミンの第1のセグメントおよび/またはN,N,N’,N’−テトラフェニル−ビフェニル−4,4’−ジアミンの第2のセグメントに加えて、正孔輸送特性を有する、または有していない、のいずれかである他の追加セグメント(例えば第4、第5、第6、第7セグメント)の中でも特に、フッ素化非正孔輸送分子セグメントを含んでいてもよい。
【0074】
反応混合物は、他のセグメントに加えて、非正孔輸送分子セグメントを含むことによって調製されてもよい。非正孔輸送分子セグメントは、SOF中の第3のセグメントを構成する。好適な非正孔輸送分子セグメントは、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサキス(メチレンメチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン:N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサキス(メトキシメチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサキス(エトキシメチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミンなどが挙げられる。
【化3】
非正孔輸送分子セグメントは、存在する場合、SOF中に任意の望ましい量で存在していてもよく、例えば、SOFの約30重量%まで、または約5重量%〜約30重量%、またはSOFの約10重量%〜約25重量%の量で存在していてもよい。
【0075】
本SOF組成物中に使用するための好適な架橋性第2の成分としては、メラミンモノマーまたはポリマー、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、グルコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、トリアジン系アミノ樹脂またはこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0076】
プロセス作用B:この反応混合物を濡れたフィルムとして堆積させること
反応混合物を、多くの液体堆積技術を用い、濡れたフィルムとして種々の基材に適用してもよい。基材としては、例えばポリマー、紙、金属、金属アロイ、周期律表のIII族〜VI族の元素のドープされた形態およびドープされていない形態、金属酸化物、金属カルコゲニド、あらかじめ調製しておいたSOFまたはキャップされたSOFが挙げられる。
【0077】
多くの液体堆積技術を用い(例えば、スピンコーティング、ブレードコーティング、ウェブコーティング、浸漬コーティング、カップコーティング、ロッドコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、スプレーコーティング、スタンピングなどを含む)、反応混合物を基材に適用してもよい。濡れた層の厚みは、約10nm〜約5mm、例えば、約100nm〜約1mm、または約1μm〜約500μmの範囲であることができる。
【0078】
用語「促進する」は、分子ビルディングブロックの反応、例えば、ビルディングブロックの官能基の化学反応を容易にする任意の適切な技術を指す。液体を除去して乾燥フィルムを形成する必要がある場合には、「促進する」は、液体を除去することも指す。用語「乾燥SOF」は、例えば液体の含有量がSOFの約5重量%未満、または液体の含有量がSOFの2重量%未満の、実質的に乾燥したSOF(例えばキャップされたおよび/またはコンポジットSOF)を指す。
【0079】
濡れた層から乾燥SOFを形成するのを促進することは、任意の適切な技術によって行われてもよい。濡れた層から乾燥SOFの形成の促進は、典型的には、温度が40〜350℃の範囲、60〜200℃の範囲、85〜160℃の範囲での熱処理を含む。総加熱時間は、約4秒〜約24時間、例えば1分〜120分の範囲であることができる。
【0080】
種々の種類のIRエミッタを用いてもよく、例えば、炭素IRエミッタまたは短波IRエミッタ(Heraerusから入手可能)を用いてもよい。炭素IRエミッタまたは短波IRエミッタに関するさらなる例示的な情報を以下の表にまとめている(表1)。
【表1】
【0081】
自立型のSOFは、接着性の低い適切な基板を用い、濡れた層の堆積物を支える場合に得られてもよい。
【0082】
場合により、自立型SOFまたは可撓性基材によって支持されるSOFは、ロールに処理されてもよい。
【0083】
SOFベルトは、単一SOF、多層SOFまたはウェブから切断されたSOFシートから製作されてもよい。SOFは、SOFシートの反対側のマージン終端領域を重複接合させることによって、ベルトのような形状に製作されてもよい。通常の接合技術としては、溶接(超音波を含む)、糊付け、テープ付け、圧力熱定着などが挙げられる。電子写真式画像形成部材(例えば感光体)の代表的な構造を図2から4に示す。これらの画像形成部材は、カール防止層1、支持基材2、電気伝導性地板3、電荷ブロッキング層4、接着剤層5、電荷発生層6、電荷輸送層7、オーバーコーティング層8、および接地ストリップ9を備える。図4において、画像形成層10(電荷発生材料および電荷輸送材料の両方を含有する)は、別個の電荷発生層6および電荷輸送層7と交換される。
【0084】
図からわかるように、感光体を製作する際、電荷発生材料(CGM)および電荷輸送材料(CTM)は、CGMおよびCTMが異なる層にある積層体タイプの構成(例えば図2および3)、またはCGMおよびCTMが同一層にある単一層構成(例えば図4)のいずれかにおいて、基材表面上に堆積されてもよい。感光体は、電気伝導性層上にわたって電荷発生層6および場合により電荷輸送層7を適用することによって調製されてもよい。電荷発生層および存在する場合、電荷輸送層は、いかなる順序で適用されてもよい。
【0085】
カール防止層
いくつかの用途について、任意のカール防止層1が提供され得るが、それは、電気的に絶縁性またはわずかに半導電性であるフィルム形成有機または無機ポリマーを含む。カール防止層は、平坦性および/または摩耗耐性を提供する。
【0086】
カール防止層1は、画像形成層とは反対側において、基材2の背面に形成されてもよい。添加剤は、カール防止層中に、カール防止層の約0.5重量%〜約40重量%の範囲で存在してもよい。
【0087】
カール防止層の厚さは、通常、約3マイクロメートル〜約35マイクロメートル、例えば約10マイクロメートル〜約20マイクロメートル、または約14マイクロメートルである。
【0088】
カール防止コーティングは、フィルム形成樹脂および接着促進剤を塩化メチレンのような溶媒中に溶解させることによって調製される溶液として適用されてもよい。オーバーコート層およびカール防止層のコーティングは、電荷輸送層、電荷発生層、接着剤層、ブロッキング層、地板および基材を含む多層感光体にウェブコーティングすることによって同時に達成されてもよい。濡れたフィルムコーティングは、次いでカール防止層1を製造するために乾燥される。
【0089】
支持基材
上記で示されるように、感光体は、基材2、すなわち支持体をまず提供することによって調製される。基材は、不透明または実質的に透明であってもよく、所与の必要とされる機械的特性を有するいずれかの追加の好適な材料を含んでいてもよい。
【0090】
基材は、非電導性の材料の層、または電導性材料の層、例えば無機または有機組成物を含んでいてもよい。非伝導性材料が使用される場合、こうした非伝導性材料にわたって電導性の地板を提供する必要がある場合がある。伝導性材料が基材として使用される場合、別個の地板層は必ずしも必要でない場合がある。
【0091】
基材は、可撓性または硬質であってもよく、いずれかの多数の異なる構成、例えばシート、スクロール、エンドレス可撓性ベルト、ウェブ、シリンダーなどを有していてもよい。感光体は、硬質の不透明伝導性基材、例えばアルミニウムドラムにコーティングされてもよい。
【0092】
種々の樹脂は、電気的に非伝導性の材料として使用されてもよい。感光体はまた、絶縁プラスチックドラムにコーティングされてよいが、ただし伝導性地板は、予めその表面にコーティングされている。伝導性プラスチックドラム、ならびにアルミニウムのような材料から製造された伝導性金属ドラムが使用されてもよい。
【0093】
基材の厚さは、小さい直径のローラー、例えば19mmの直径ローラーの周りで循環される場合に、最適な可撓性および最小限で誘導される表面曲げ応力に関して約65マイクロメートル〜約150マイクロメートル、例えば約75マイクロメートル〜約125マイクロメートルである。可撓性ベルトのための基材は、例えば200マイクロメートルを超える実質的な厚さ、または例えば50マイクロメートル未満の最小厚さを有していてもよいが、ただし最終光伝導性デバイスに悪影響を与えない。ドラムが使用される場合、厚さは必要な硬度を提供するのに十分であるべきである。これは、通常約1〜6mmである。
【0094】
電導性地板
調製された感光体は、電導性または非電導性のいずれかの基材を含む。非伝導性基材が使用される場合、電導性地板3が使用されなければならず、地板は伝導性層として作用する。伝導性基材が使用される場合、基材は、伝導性層として作用し得るが、伝導性地板も備えていてもよい。
【0095】
電気的に伝導性の地板が使用される場合、基材にわたって配置される。電導性の地板の好適な材料としては、例えばアルミニウム、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、バナジウム、ハフニウム、チタン、ニッケル、ステンレススチール、クロム、タングステン、モリブデン、銅など、およびこれらの混合物およびアロイが挙げられる。
【0096】
可撓性の光応答性画像形成デバイスについて、伝導性層の厚さは、約20オングストローム〜約750オングストローム、例えば約50オングストローム〜約200オングストロームであってもよい。
【0097】
電荷ブロッキング層
電導性地板層の堆積後、電荷ブロッキング層4がそこに適用されてもよい。正に帯電した感光体の電子ブロッキング層により、正孔を、感光体の画像形成表面から伝導性層の方向に移動させることができる。負に帯電した感光体について、伝導性層から反対側の光伝導性層への正孔注入を防止するためにバリアを形成できるいずれかの好適な正孔ブロッキング層が利用されてもよい。
【0098】
ブロッキング層が使用される場合、電導性層にわたって配置されてもよい。ブロッキング層4は、既知のポリマーを含んでいてもよい。
【0099】
ブロッキング層は、連続であってもよく、例えば約0.01〜約10マイクロメートル、例えば約0.05〜約5マイクロメートルの範囲の厚さを有していてもよい。
【0100】
電荷ブロッキング層は、バインダー樹脂、グレイン形状粒子、およびニードル形状粒子を溶媒に分散させ、ブロッキング層のためのコーティング溶液を形成し、伝導性支持体をこのコーティング溶液でコーティングし、乾燥させることによって形成される。溶媒は、溶媒中の分散を改善するために、およびコーティング溶液が時間の経過とともにゲル化するのを防止するために選択される。さらに、コーティング溶液の組成物が時間の経過とともに変化するのを防止するために共沸溶媒が使用されてもよく、それによってコーティング溶液の貯蔵安定性が改善されてもよく、コーティング溶液が再生成されてもよい。
【0101】
「n−型」という語句は、例えば主に電子を輸送する材料を指す。典型的なn−型材料としては、ジブロモアントアントロン、ベンズイミダゾールペリーレン、酸化亜鉛、酸化チタン、アゾ化合物、例えばクロロジアンブルーおよびビスアゾ顔料、置換された2,4−ジブロモトリアジン、多核性芳香族キノン、硫化亜鉛などが挙げられる。
【0102】
「p−型」という語句は、例えば正孔を輸送する材料を指す。典型的なp−型有機顔料としては、例えば金属フリーのフタロシアニン、チタニルフタロシアニン、ガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、銅フタロシアニンなどが挙げられる。
【0103】
接着剤層
ブロッキング層と電荷発生層との間に中間層5が、所望により、接着を促進するために提供されてもよい。浸漬コーティングされたアルミニウムドラムは接着剤層を有することなく利用されてもよい。
【0104】
さらに、いずれかの隣接層の接着を確実にするために、感光体中のいずれかの層間に接着剤層が、必要により提供されてもよい。あるいは、または加えて、接着剤材料は、接着されるべきそれぞれの層の1つまたは両方に組み込まれてもよい。
【0105】
画像形成層
画像形成層は、電荷発生材料、電荷輸送材料または電荷発生材料および電荷輸送材料の両方を含有する層を指す。
【0106】
n−型またはp−型の電荷発生材料のいずれかが、本発明の感光体に使用されてもよい。
【0107】
電荷発生材料および電荷輸送材料が異なる層−例えば電荷発生層および電荷輸送層−にある場合、この電荷輸送層は、SOFを含んでいてもよく、これはコンポジットおよび/またはキャップされたSOFであってもよい。さらに電荷発生材料および電荷輸送材料が同じ層にある場合、この層は、SOFを含んでいてもよく、これはコンポジットおよび/またはキャップされたSOFであってもよい。
【0108】
電荷発生層
例示的な有機光伝導性電荷発生材料はアゾ顔料を含む。
【0109】
いずれかの好適な不活性樹脂バインダー材料が、電荷発生層に使用されてもよい。
【0110】
組成物中の電荷発生材料の量は、例えば、溶媒を含む組成物の重量に基づいて、約0.5重量%〜約30重量%の範囲である。乾燥された光伝導性コーティング中に分散する光伝導性粒子(すなわち電荷発生材料)の量は、選択された特定の光伝導性顔料粒子によりある程度変動する。一般に、満足する結果は、光伝導性コーティングが浸漬コーティングによって適用される場合に、約0.6マイクロメートル未満の平均光伝導性粒径により得られる。平均光伝導性粒径は、約0,4マイクロメートル未満であってもよい。光伝導性粒子の粒径はまた、それが分散した乾燥した光伝導性コーティングの厚さ未満である。
【0111】
電荷発生層において、電荷発生材料(「CGM」)のバインダーに対する重量比は、30(CGM):70(バインダー)〜70(CGM):30(バインダー)の範囲である。
【0112】
電荷発生層(本明細書では光伝導性層とも称される)および電荷輸送層を含む多層感光体について、光伝導性層コーティング厚さは、約0.1マイクロメートル〜約10マイクロメートル、または0.2マイクロメートル〜約4マイクロメートルである。電荷輸送材料としては、有機ポリマー、非ポリマー性材料またはコンポジットおよび/またはキャップされたSOFであってもよいSOFが挙げられ、それらは光励起された正孔の注入を支持でき、または光伝導性材料から電子を輸送でき、これらの正孔または電子を有機層を通して輸送し、表面電荷を選択的に消散できる。
【0113】
有機ポリマー電荷輸送層
例示的な電荷輸送材料としては、例えば主鎖または側鎖に多環式芳香族環または窒素含有ヘテロ環を有する化合物から選択される、正の正孔輸送材料が挙げられる。典型的な正孔輸送材料としては、電子供与材料、例えばカルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール、テトラフェニルピレン、1−メチルピレン、ペリーレン、クリセン、アントラセン、テトラフェン、2−フェニルナフタレン、アゾピレン、1−エチルピレン、アセチルピレン、2,3−ベンゾクリセン、2,4−ベンゾピレン、1,4−ブロモピレン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリ(ビニルピレン)、ポリ(ビニルテトラフェン)、ポリ(ビニルテトラセン)およびポリ(ビニルペリーレン)が挙げられる。好適な電子輸送材料としては、電子受容体、例えば2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−フルオレノン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリデン、テトラシアノピレン、ジニトロアントラキノン、およびブチルカルボニルフルオレンマロノニトリルが挙げられる。
【0114】
いずれかの好適な不活性樹脂バインダーは、電荷輸送層に使用されてもよい。分子量は、約20,000〜約1,500,000で変動し得る。
【0115】
電荷輸送層において、電荷輸送材料(「CTM」)のバインダーに対する重量比は、30(CTM):70(バインダー)から70(CTM):30(バインダー)の範囲である。
【0116】
一般に、輸送層の厚さは約5マイクロメートルから約100マイクロメートルである。電荷輸送層と電荷発生層との厚さの比は、約2:1〜200:1または約400:1に維持される。
【0117】
SOF電荷輸送層
例示的な電荷輸送SOFとしては、例えば、多環芳香族環、例えばアントラセン、ピレン、フェナントレン、コロネンなど)、または窒素を含有するヘテロ環、例えばインドール、カルバゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾール、トリアゾール、ヒドラゾン化合物を有する化合物から選択される正の正孔輸送材料が挙げられる。典型的な正孔輸送SOFセグメントとしては、電子供与材料、例えばカルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール、テトラフェニルピレン、1−メチルピレン、ペリーレン、クリセン、アントラセン、テトラフェン、2−フェニルナフタレン、アゾピレン、1−エチルピレン、アセチルピレン、2,3−ベンゾクリセン、2,4−ベンゾピレン、および1,4−ブロモピレンが挙げられる。好適な電子輸送SOFセグメントとしては、電子受容体、例えば2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−フルオレノン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリデン、テトラシアノピレン、ジニトロアントラキノン、およびブチルカルボニルフルオレンマロノニトリルが挙げられる。他の正孔輸送SOFセグメントとしては、アリールアミンN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(アルキルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミンが挙げられ、ここでアルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルなどからなる群から選択される。
【0118】
一般に、電荷輸送SOF層の厚さは約5マイクロメートルから約100マイクロメートル、例えば約10マイクロメートル〜約70マイクロメートルまたは10マイクロメートル〜約40マイクロメートルである。電荷輸送層と電荷発生層との厚さの比は、約2:1〜200:1または約400:1に維持される。
【0119】
単層P/R−有機ポリマー
本明細書に記載される材料および手順は、バインダー、電荷発生材料および電荷輸送材料を含有する単一画像形成層タイプの感光体を製作するために使用されてもよい。
【0120】
単層P/R−SOF
本明細書に記載される材料および手順は、電荷発生材料および電荷輸送SOFを含有する単一画像形成層タイプの感光体を製作するために使用されてもよい。例えば、単層画像形成層のための分散液における固体含有量は、分散液の重量に基づいて約2重量%〜約30重量%の範囲であってもよい。
【0121】
画像形成層が、電荷発生層および電荷輸送層の機能を組み合わせた単層である場合、そこに含有される成分の例示的な量は、次の通りである:電荷発生材料(約2重量%〜約40重量%)、偏った追加の電荷輸送機能を有する分子ビルディングブロック(約20重量%〜約75重量%)。
【0122】
オーバーコーティング層
オーバーコーティング層または層8は、電荷発生層上にわたって、または電荷輸送層上にわたって配置されてもよい。この層は、電気的に絶縁性またはわずかに半導電性であるSOFを含んでいてもよい。
【0123】
こうした保護オーバーコーティング層は、場合により電荷輸送セグメントを含有する複数の分子ビルディングブロックを含有するSOF形成反応混合物を含む。
【0124】
添加剤は、オーバーコーティング層において、オーバーコーティング層の約0.5〜約40重量%の範囲で存在してもよい。添加剤としては、有機および無機粒子を挙げることができ、これがさらに、損耗耐性を改善でき、および/または電荷緩和特性を提供できる。有機粒子としては、テフロン(登録商標)粉末、カーボンブラック、およびグラファイト粒子が挙げられる、無機粒子としては、絶縁および半導電性金属酸化物粒子、例えばシリカ、酸化亜鉛、酸化スズが挙げられる。
【0125】
オーバーコーティング層は、約2マイクロメートル〜約15マイクロメートル、例えば約3マイクロメートル〜約8マイクロメートルであることができる。
【0126】
接地ストリップ
接地ストリップ9は、フィルム形成バインダーおよび電導性粒子を含んでいてもよい。セルロースは、伝導性粒子を分散させるために使用されてもよい。いずれかの好適な電気伝導性粒子は、電気伝導性接地ストリップ層8に使用されてもよい。
【0127】
接地ストリップ層は、約7マイクロメートル〜約42マイクロメートル、例えば約14マイクロメートル〜約27マイクロメートルの厚さを有していてもよい。
【0128】
画像形成部材は、表面層(OCLまたはCTL)としてSOFを含んでいてもよい。この画像形成部材は、1つ以上のフッ素化セグメントおよびN,N,N’,N’−テトラ−(メチレンフェニレン)ビフェニル−4,4’−ジアミンおよび/またはN,N,N’,N’−テトラフェニル−ターフェニル−4,4’−ジアミンセグメントを含むフッ素化SOFであってもよい。
【0129】
画像形成部材は、コンポジットおよび/またはキャップされたSOFであってもよいSOF層を含んでいてもよく、ここでSOF層の厚さは、いずれかの所望の厚さ、例えば約30ミクロンまで、または約1〜約15ミクロンであってもよい。最外層は、オーバーコート層であってもよく、SOFを含むオーバーコート層は、約1〜約20ミクロン厚さ、例えば約2〜約10ミクロンであってもよい。こうしたSOFは、第1のフッ素化セグメントおよび第2の電気活性セグメントを含んでいてもよく、第1のフッ素化セグメントと第2の電気活性セグメントの比は、約5:1〜約0.2:1、例えば約3.5:1〜約0.5:1、または約1.5:1〜約75:1である。第2の電気活性セグメントは、SOFの約20〜約80重量%、例えばSOFの約25〜約75重量%、またはSOFの約35重量%〜約70重量%の量にて最外層のSOFに存在してもよい。こうした画像形成部材において、コンポジットおよび/またはキャップされたSOFであってもよいSOFは、単層または2つ以上の層であってもよい。こうした画像形成部材においてSOFは、酸化防止剤および酸スカベンジャーからなる群から選択される第2の成分を含んでいない。
【0130】
SOFは、電子写真式感光体、接触荷電デバイス、曝露デバイス、現像デバイス、転写デバイス、および/または洗浄ユニットに組み込まれてもよい。接触荷電部材は、SOFおよびまたは金属、伝導性ポリマー材料、またはエラストマー材料中の微粒子分散液から形成されてもよい。
【0131】
さらに、場合によりSOFを含む被覆層はまた、接触荷電部材の表面に提供されてもよい。抵抗率をさらに調節するために、SOFは、コンポジットSOFまたはキャップされたSOFまたはこれらの組み合わせであってもよく、劣化を防止するために、SOFはそこに結合または添加される酸化防止剤を含むように調整されてもよい。
【0132】
接触荷電部材の抵抗は、いずれかの所望の範囲、例えば約100〜約1014Ωcm、または約102〜約1012Ωcmであってもよい。電圧をこの接触荷電部材に適用する場合、DC電圧またはAC電圧のいずれかは印加電圧として使用されてもよい。さらに、DC電圧およびAC電圧の電圧印加がまた使用されてもよい。
【0133】
接触荷電デバイスの、場合によりSOF、例えばコンポジットおよび/またはキャップされたSOFを含む接触荷電部材は、ローラー、ブレード、ベルト、ブラシなどの形状であってもよい。
【0134】
接触タイプの転写荷電デバイスは、転写デバイスとして使用されてもよい。荷電ユニットは、バイアス荷電ロールであってもよい。
【0135】
洗浄デバイスは、洗浄ブレード、洗浄ブラシ、洗浄ロールなどであってもよい。洗浄ブレードのための材料としては、SOFまたはウレタンゴム、ネオプレンゴムおよびシリコーンゴムを挙げることができる。
【0136】
Mylar上にコーティングされたSOFは、室温の水浴に含浸させることによって剥離させた。10分間の浸漬後、SOFは一般にMylar基材から剥がれる。このプロセスは、高い表面エネルギー(極性)を有することが既知の基材、例えばガラス、雲母、塩など上にコーティングされたSOFを用いる場合に最も効率的である。
【実施例】
【0137】
実施例1:
(作用A)反応混合物を含有する液体の調製。以下を組み合わせた:ビルディングブロックのオクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール[セグメント=オクタフルオロ−1,6−ヘキシル、Fg=ヒドロキシル(−OH)、(0.43g,1.65mmol)]、第2のビルディングブロックN4,N4,N4’,N4’−テトラキス(4−(メトキシメチル)フェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン[セグメント=N4,N4,N4’,N4’−テトラ−p−トリルビフェニル−4,4’−ジアミン、Fg=メトキシエーテル(−OCH3)、(0.55g,0.82mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.05gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.04gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、および2.96gの1−メトキシ−2−プロパノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0138】
(作用B)濡れたフィルムとしての反応混合物の堆積。反応混合物を、10milギャップを有するバードバーを装備した定速ドローダウンコーターを用いて、金属化された(TiZr)MYLAR(商標)基材の反射側に適用した。
【0139】
(作用C)濡れたフィルムの乾燥SOFへの変化の促進。濡れた層を支持する金属化されたMYLAR(商標)基材を、155℃に予熱された活性ベント型オーブンに素早く移し、40分間加熱した。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる6〜8ミクロンの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【0140】
実施例2
(作用A)反応混合物を含有する液体の調製。以下を組み合わせた:ビルディングブロックのドデカフルオロ−1,8−オクタンジオール[セグメント=ドデカフルオロ−1,8−オクチル、Fg=ヒドロキシル(−OH)、(0.51g,1.41mmol)]、第2のビルディングブロックN4,N4,N4’,N4’−テトラキス(4−(メトキシメチル)フェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン[セグメント=N4,N4,N4’,N4’−テトラ−p−トリルビフェニル−4,4’−ジアミン、Fg=メトキシエーテル(−OCH3)、(0.47g,0.71mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.05gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.04gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、および2.96gの1−メトキシ−2−プロパノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0141】
(作用B)濡れたフィルムとしての反応混合物の堆積。反応混合物を、10milギャップを有するバードバーを装備した定速ドローダウンコーターを用いて、金属化された(TiZr)MYLAR(商標)基材の反射側に適用した。
【0142】
(作用C)濡れたフィルムの乾燥SOFへの変化の促進。濡れた層を支持する金属化されたMYLAR(商標)基材を、155℃に予熱された活性ベント型オーブンに素早く移し、40分間加熱した。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる6〜8ミクロンの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【0143】
実施例3
(作用A)反応混合物を含有する液体の調製。以下を組み合わせた:ビルディングブロックのヘキサデカフルオロ−1,10−デカンジオール[セグメント=ヘキサデカフルオロ−1,10−デシル、Fg=ヒドロキシル(−OH)、(0.57g,1.23mmol)]、第2のビルディングブロックN4,N4,N4’,N4’−テトラキス(4−(メトキシメチル)フェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン[セグメント=N4,N4,N4’,N4’−テトラ−p−トリルビフェニル−4,4’−ジアミン、Fg=メトキシエーテル(−OCH3)、(0.41g,0.62mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.05gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.04gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、および2.96gの1−メトキシ−2−プロパノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0144】
(作用B)濡れたフィルムとしての反応混合物の堆積。反応混合物を、10milギャップを有するバードバーを装備した定速ドローダウンコーターを用いて、金属化された(TiZr)MYLAR(商標)基材の反射側に適用した。
【0145】
(作用C)濡れたフィルムの乾燥SOFへの変化の促進。濡れた層を支持する金属化されたMYLAR(商標)基材を、155℃に予熱された活性ベント型オーブンに素早く移し、40分間加熱した。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる6〜8マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【0146】
実施例5
(作用A)反応混合物を含有する液体の調製。以下を組み合わせた:ビルディングブロックのドデカフルオロ−1,6−オクタンジオール[セグメント=ドデカフルオロ−1,6−オクチル、Fg=ヒドロキシル(−OH)、(0.80,2.21mmol)]、第2のビルディングブロック4,4’,4’’,4’’’−(ビフェニル−4,4’−ジイルビス(アザネトリル)テトラキス(ベンゼン−4,1−ジイル))テトラメタノール、[セグメント=ブロック4,4’,4’’,4’’’−(ビフェニル−4,4’−ジイルビス(アザネトリル)テトラキス(ベンゼン−4,1−ジイル))テトラメチル、Fg=ヒドロキシル(−OH)、(0.67g,1.10mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.08gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.02gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、6.33gの1−メトキシ−2−プロパノール、および2.11gのシクロヘキサノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0147】
(作用B)濡れたフィルムとしての反応混合物の堆積。反応混合物を、20milギャップを有するバードバーを装備した定速ドローダウンコーターを用いて、金属化された(TiZr)MYLAR(商標)基材の反射面に適用した。
【0148】
(作用C)濡れたフィルムの乾燥SOFへの変化の促進。濡れた層を支持する金属化されたMYLAR(商標)基材を、155℃に予熱された活性ベント型オーブンに素早く移し、40分間加熱した。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる5〜6マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【0149】
実施例6
(作用A)反応混合物を含有する液体の調製。以下を組み合わせた:ビルディングブロックのドデカフルオロ−1,6−オクタンジオール[セグメント=ドデカフルオロ−1,6−オクチル、Fg=ヒドロキシル(−OH)、(0.64,1.77mmol)]、第2のビルディングブロック4,4’,4’’,4’’’−(ビフェニル−4,4’−ジイルビス(アザネトリル)テトラキス(ベンゼン−4,1−ジイル))テトラメタノール、[セグメント=ブロック4,4’,4’’,4’’’−(ビフェニル−4,4’−ジイルビス(アザネトリル)テトラキス(ベンゼン−4,1−ジイル))テトラメチル、Fg=ヒドロキシル(−OH)、(0.54g,0.89mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.06gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.05gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、2.10gの1−メトキシ−2−プロパノール、および0.70gのシクロヘキサノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0150】
(作用B)濡れたフィルムとしての反応混合物の堆積。反応混合物を、20milギャップを有するバードバーを装備した定速ドローダウンコーターを用いて、金属化された(TiZr)MYLAR(商標)基材の反射面に適用した。
【0151】
(作用C)濡れたフィルムの乾燥SOFへの変化の促進。濡れた層を支持する金属化されたMYLAR(商標)基材を、155℃に予熱された活性ベント型オーブンに素早く移し、40分間加熱した。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる6〜8マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【0152】
SOFは、ステンレススチールおよびポリイミド基材にコーティングされた場合に高品質のフィルムを製造した。SOFは、損傷/基材からの剥離がなく、取り扱われ、研磨され、曲げることができた。
【0153】
表2は、調製したフッ素化SOFのさらなる詳細を与える。フィルムは、Mylarでコーティングされ、155℃で40分間硬化させた。
【表2−1】
【表2−2】
【0154】
コート層にわたってフッ素化SOFでコーティングされたデバイス(表2からエントリー1および2)は、優れた電気的特性(PIDC、B−ゾーン)および安定な短期間サイクル(1キロサイクル、B−ゾーン、マイナーサイクルダウン)を有する。
【0155】
損耗率(加速感光体損耗器具):感光体表面損耗を、Xerox F469CRUドラム/トナーカートリッジを用いて評価した。表面損耗は、洗浄ブレードおよび単一成分トナーを用いたF469CRUにて50,000サイクル後に、感光体の厚さの変化によって決定される。厚さは、その長さに沿って、コーティングの頂部縁部から1インチの間隔にてPermascope ECT−100を用いて測定した。記録された厚さの値はすべて、感光体デバイス全体の平均厚さを得るように平均化された。50,000サイクル後の厚さの変化は、ナノメートルの単位で測定され、次いでキロサイクルあたりナノメートル単位での損耗率を得るためにキロサイクルの数で割った。この加速感光体損耗器具では、ゼログラフィーシステムに使用される実際の機械において観察される値よりも相当高い損耗率を与え、ゼログラフィーシステムに依存するが、損耗率は一般に5〜10倍低い。
【0156】
超低損耗レジームにおける損耗率を得た:12nm/キロサイクル、Hodaka損耗器具−攻撃的損耗試験、これは典型的なBCR機において1〜2nm/キロサイクルの損耗率に変換される。
【0157】
上記実施例において示されたフッ素化SOF感光体層は、非フッ素化カウンターパート(すなわちフルオロアルキルジオールの代わりにアルキルジオールを用いて調製されるSOF層)よりも欠失しにくい超低損耗層として設計され、さらにBCR荷電システムにおいて頻繁に認められる、感光体の駆動モーターの故障を導く洗浄ブレードとの負の相互作用を低下させるという利益を有する。フッ素化SOF感光体層は、既存の基材上にプロセス調節を必要とせずにコーティングでき、優れた電気特徴を有する。
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、第1のフッ素化セグメントおよび第2の電気活性セグメントを含む、複数のセグメントと複数のリンカーとを含む構造化有機フィルム(SOF)である最外層を有する画像形成部材、例えば感光体に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼログラフィ、電子写真式画像形成または静電複写式画像形成としても知られる電子写真において、伝導性層上に光伝導性絶縁層を含有する電子写真式プレート、ドラム、ベルトなど(画像形成部材または感光体)の表面は、最初に均一に帯電される。次いで画像形成部材は、活性化電磁放射線、例えば光のパターンに曝される。この放射線は、光伝導性絶縁層の照射領域において電荷を選択的に消散させると同時に、非照射領域に静電潜像を残す。次いでこの静電潜像は現像されて、微粉化された検電マーキング粒子を光伝導性絶縁層の表面に堆積させることによって、視覚可能な画像を形成し得る。得られた視覚可能な画像は、画像形成部材から、プリント基材、例えば透明フィルムまたは紙に直接または間接的に(例えば転写部材または他の部材によって)転写され得る。画像形成プロセスは、再使用可能な画像形成部材を用いて複数回繰り返されてもよい。
【0003】
優れたトナー画像は、多層ベルトまたはドラム感光体を用いて得ることができるが、より高度で、より高速の電子写真コピー機、複写機、および印刷機が開発されるにつれ、プリント品質に対する要求が高くなっていることを見出した。トナーおよび現像剤の特徴として、荷電画像およびバイアス電位の微妙なバランスが維持されなければならない。このことが、感光体製造の品質、およびひいては製造収率に付加的な制限をもたらす。
【0004】
画像形成部材は、一般に反復性電子写真サイクルに曝され、それが、曝された荷電輸送層またはそれらの代替頂部層を機械的摩耗、化学的攻撃および熱に供する。こうした反復性サイクルは、曝された電荷輸送層の機械的および電気的特徴を徐々に劣化させる。長期間の使用中における物理的および機械的損傷、特に表面引掻欠陥の形成は、ベルト感光体の故障の主な原因の1つである。故に、感光体の機械的ロバスト性を改善し、特にそれらの引掻耐性を増大させることによって、それらの耐用年数を延ばすことが所望されている。加えて、画像ゴースト発生、背景陰影などがプリント中で最小限となるように軽衝撃耐性を増大させることが望ましい。
【0005】
保護オーバーコート層を与えることは、感光体の有用寿命を延ばす従来の手段である。従来では、例えばポリマー引掻防止およびクラック防止オーバーコート層が、感光体のライフスパンを延ばすためにロバスト性のオーバーコート設計として利用されている。しかし、従来のオーバーコート層形成は、プリント中のゴースト発生および背景陰影を示す。軽衝撃耐性を改善することにより、より安定な画像形成部材を提供し、改善されたプリント品質をもたらす。
【0006】
画像形成部材を形成するために採用されている種々の手法にかかわらず、改善された画像形成性能および長い寿命を提供し、ヒトおよび環境への健康リスクを低減するためなどに、改善された画像形成部材設計が必要とされ続けている。
【0007】
本明細書に記載される構造化有機フィルム(SOF)組成物は、化学的および機械的に非常にロバスト性の材料であり、従来の感光体材料よりも優れた多くの特性を示し、ゼログラフィープロセスによって生じる化学的分解経路を阻止することによって感光体の寿命を延ばす。加えて、酸化防止剤のような添加剤が、感光体のような画像形成部材を構成するSOFの特性を改善するために本開示のSOF組成物に加えられてもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
基材、電荷発生層、電荷輸送層、および任意のオーバーコート層を含む画像形成部材であって、最外層が、第1のフッ素化セグメントおよび第2の電気活性セグメントを含む、複数のセグメントと複数のリンカーとを含む構造化有機フィルム(SOF)を含む画像形成表面である、部材。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】図1Aは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1B】図1Bは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1C】図1Cは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1D】図1Dは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1E】図1Eは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1F】図1Fは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1G】図1Gは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1H】図1Hは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1I】図1Iは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1J】図1Jは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1K】図1Kは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1L】図1Lは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1M】図1Mは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1N】図1Nは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1O】図1Oは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図2】SOFを組み込む例示的な感光体の簡素化された側面図を表す。
【図3】SOFを組み込む第2の例示的な感光体の簡素化された側面図を表す。
【図4】SOFを組み込む第3の例示的な感光体の簡素化された側面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「構造化された有機フィルム」(SOF)は、巨視的な見方だとフィルムである、COFを指す。画像形成部材は、コンポジットSOFを含んでいてもよく、場合により、SOFに加えられるキャッピングユニットまたは基を有していてもよい。
【0011】
本明細書において、「a」、「an」および「the」のような単数形は、特に明確に内容を示さない限り、複数形を含む。
【0012】
用語「SOF」または「SOF組成物」は、一般的に、巨視的な見方だとフィルムである、共有結合性有機骨格(COF)を指す。用語「フッ素化SOF」とは、このSOFの1つ以上のセグメントタイプまたはリンカータイプに共有結合したフッ素原子を含有するSOFを指す。
【0013】
SOF中のフッ素含有量は、SOF合成のために使用される分子ビルディングブロックを変更することによって、または使用されるフッ素ビルディングブロックの量を変更することによって調節されてもよい。
【0014】
画像形成部材は、フッ素化SOFを含む最外層を含んでいてもよく、ここでは、フッ素化ビルディングブロックの反応から得られてもよくまたは得られなくてもよい、正孔輸送特性を有する第1のセグメントが、フッ素化された第2のセグメント、例えばフッ素含有分子ビルディングブロックの反応から得られた第2のセグメントに連結されてもよい。
【0015】
画像形成部材に含まれるフッ素化SOFのフッ素含有量は、SOF全体を通して均質に分配されることができ、SOF形成プロセスによって制御でき、このフッ素含有量は、分子レベルにてパターニングされてもよい。
【0016】
画像形成部材の最外層は、セグメントの微視的配置がパターニングされたSOFを含む。用語「パターニング」は、セグメントが共に連結された配列を指す。パターニングされたフッ素化SOFは、セグメントA(正孔輸送分子機能を有する)がセグメントB(フッ素化セグメントである)だけに接続され、逆にセグメントBはセグメントAにだけ接続されるような組成物として具現化できる。
【0017】
フッ素化SOFは、1つ以上の分子ビルディングブロックの反応によって製造されてもよく、ここで少なくとも1つの分子ビルディングブロックはフッ素を含有し、少なくとも1つの分子ビルディングブロックは、電荷輸送分子機能を有する(または反応時に正孔輸送分子機能を有するセグメントをもたらす)。例えば、同じまたは異なるフッ素含有量および正孔輸送分子機能を有する少なくとも1つ、または2つ以上の分子ビルディングブロックの反応が、フッ素化SOFを製造するために行われ得る。反応混合物中の分子ビルディングブロックのすべてが、フッ素を含有してもよく、画像形成部材の最外層として使用されてもよい。フッ素化分子ビルディングブロックは、炭素またはケイ素原子コアを含有する1つ以上のビルディングブロック、アルコキシコアを含有するビルディングブロック、窒素またはリン原子コアを含有するビルディングブロック、アリールコアを含有するビルディングブロック、カーボネートコアを含有するビルディングブロック、炭素環式、炭素二環式、または炭素三環式コアを含有するビルディングブロック、およびオリゴチオフェンコアを含有するビルディングブロックから誘導されてもよい。こうしたフッ素化分子ビルディングブロックは、1つ以上の水素原子をフッ素原子で置き換えるまたは交換することによって誘導されてもよい。
【0018】
1つ以上のフッ素化分子ビルディングブロックは、それぞれ、個々にまたは全体として、SOFの100重量部に対して約5〜約100重量%、例えば少なくとも約50重量%、または少なくとも約75重量%のパーセンテージで、画像形成部材の最外層に含まれるフッ素化SOF中に存在してもよい。
【0019】
フッ素化SOFは、C結合H原子の約20%超過、または約50%超過、約75%超過、約80%超過、約90%超過、約95%超過または約100%がフッ素原子で置き換えられてもよい。
【0020】
画像形成部材の最外層に含まれるフッ素化SOFのフッ素含有量は、約5重量%〜約75重量%、または約5重量%〜約65重量%、または約10重量%〜約50重量%であってもよい。画像形成部材の最外層に含まれるフッ素化SOFのフッ素含有量は、約5重量%以上、または約10重量%以上、または約15重量%以上であり、フッ素含有量の上限は、約75重量%または約60重量%である。フッ素含有セグメントのパーセントは、約10重量%超過、例えば約30重量%超過、または50重量%超過であってもよく、フッ素含有セグメントの上限パーセントは、100重量%、例えば90重量%未満、または約70重量%未満であってもよい。
【0021】
画像形成部材の最外層は、SOFの約80重量%超過、約85〜約99.5重量%、または約90〜約99.5重量%の量で、最外層のSOF中に第1のフッ素化セグメントおよび第2の電気活性セグメントを含んでいてもよい。
【0022】
画像形成部材の最外層に含まれるフッ素化SOFは、「溶媒耐性」SOF、パターニングされたSOF、キャップされたSOF、コンポジットSOFおよび/または周期的SOFであってもよく、それらは集合的に、特に断らない限り、以降において一般に「SOF」と称される。
【0023】
用語「溶媒耐性」とは、SOFが組み込まれた層の溶媒/応力クラッキングまたは分解に対する感受性を増大させるような、(1)SOFおよび/またはSOF組成物(例えばコンポジットSOF)にそれまで共有結合していた原子および/または分子を流出させること、および/または(2)それまでSOFおよび/またはSOF組成物(例えばコンポジットSOF)の一部であった分子を相分離させることが実質的にないことを指す。
【0024】
キャッピングユニットがSOFに導入される場合、SOF骨格が、キャッピングユニットが存在する場所で局所的に「妨害される」。
【0025】
「実質的にピンホールのないSOF」または「ピンホールのないSOF」は、下層基材の表面に堆積した反応混合物から形成されてもよい。用語「実施的にピンホールのないSOF」は、平方cmあたりの2つの隣接セグメントコア間の距離を超えるピンホール、孔またはギャップが実質的にない、またはcm2あたり約250ナノメートルを超える直径のピンホール、孔またはギャップが10個未満であるSOFを指す。用語「ピンホールのないSOF」は、平方ミクロンあたりの2つの隣接セグメントのコア間の距離を超えるピンホール、孔またはギャップがない、または平方ミクロンあたり約500オングストロームを超える直径のピンホール、孔またはギャップがないSOFを指す。
【0026】
フッ素化分子ビルディングブロックは、既知のプロセスによっていずれかの上記「親」非フッ素化分子ビルディングブロックのフッ素化から得られてもよい。例えば、「親」非フッ素化分子ビルディングブロックは、種々のフッ素化度を有するフッ素化分子ビルディングブロックの混合物を形成するために、高温、例えば約150℃超過の温度にて元素状フッ素を介して、または他の既知のプロセス工程によってフッ素化されてもよく、個々のフッ素化分子ビルディングブロックを得るために、場合により精製されてもよい。あるいは、フッ素化分子ビルディングブロックは、合成されてもよく、および/または所望のフッ素化分子ビルディングブロックを単純に購入することによって得られてもよい。「親」非フッ素化分子ビルディングブロックのフッ素化分子ビルディングブロックへの転化は、既知の反応条件の単一セットまたは範囲を利用する反応条件下で行われてもよい。
【0027】
分子ビルディングブロックは、少なくとも2つの官能基(x≧2)を必要とし、単一タイプまたは2つ以上のタイプの官能基を含んでいてもよい。
【0028】
分子ビルディングブロックの対称性は、分子ビルディングブロックセグメントの周辺付近の官能基(Fg)の位置決めに関連する。
【0029】
対称型のビルディングブロックの使用は、(1)規則的な形状の連結が網目状構造化学においてよく理解されたプロセスであるので、分子ビルディングブロックのパターニングは問題なく利用できる、および(2)分子ビルディングブロック間の完全な反応は、対称性の劣るビルディングブロックについては、SOF内に複数の連結欠陥を起こし得る可能性がある逸脱したコンホメーション/配向を採用し得るために促進されるという2つの理由から実施される。
【0030】
図1A〜Oは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の成分の概略を示す。こうした対称型要素は、使用され得るビルディングブロックに見出される。こうした例示的なビルディングブロックは、フッ素化されてもよく、またはフッ素化されていなくてもよい。
【0031】
例示的なフッ素化分子ビルディングブロックは、炭素またはケイ素原子コアを含有するフッ素化ビルディングブロック、アルコキシコアを含有するビルディングブロック、窒素またはリン原子コアを含有するビルディングブロック、アリールコアを含有するビルディングブロック、カーボネートコアを含有するビルディングブロック、炭素環式、炭素二環式、または炭素三環式コアを含有するビルディングブロック、およびオリゴチオフェンコアを含有するビルディングブロックから得られてもよい。こうしたフッ素化分子ビルディングブロックは、非フッ素化分子ビルディングブロックの高温、例えば約150℃超過の温度での元素状フッ素によるフッ素化、または他の既知のプロセス工程によって得られてもよい。
【0032】
官能基は、分子ビルディングブロックの反応性化学部分であり、この部分が、SOF形成プロセス中に、セグメント同士を連結させる化学反応に関与する。官能基の非限定例としては、ハロゲン、アルコール、エーテル、ケトン、カルボン酸、エステル、カーボネート、アミン、アミド、イミン、尿素、アルデヒド、イソシアネート、トシレート、アルケン、アルキンなどが挙げられる。
【0033】
セグメントは、官能基を保持し、官能基に関連しない全原子を含む分子ビルディングブロックの部分である。
【0034】
SOFは、複数の孔を有する共有結合性有機骨格(COF)として整列された、少なくとも第1のセグメントタイプを含む複数のセグメントおよび第1のリンカータイプを少なくとも含む複数のリンカーを含み、ここで第1のセグメントタイプおよび/または第1のリンカータイプが、炭素でない少なくとも1つの原子を含む。SOFのセグメント(またはSOFを構成する複数のセグメントに含まれる1つ以上のセグメントタイプ)は、炭素でない少なくとも1つの元素原子を含み、例えばセグメント構造は、水素、酸素、窒素、ケイ素、リン、セレニウム、フッ素、ホウ素、および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つの原子を含む。
【0035】
リンカーは、分子ビルディングブロックおよび/またはキャッピングユニットに存在する官能基間での化学反応時にSOF中に現れる化学部分である。リンカーは、共有結合、単一原子、または共有結合された原子の群を含んでいてもよい。化学部分リンカーは、周知の化学基、例えばエステル、ケトン、アミド、イミン、エーテル、ウレタン、カーボネートなど、またはそれらの誘導体であってもよい。
【0036】
SOFは、アスペクト比が、例えば約30:1より大きく、または約100:1より大きくてもよい。SOFのアスペクト比は、その平均厚さ(すなわち、最も短い寸法)に対する、その平均の幅または直径(厚さに対して次に大きな寸法)の比であると定義される。SOFの最も長い寸法は、長さであり、SOFアスペクト比の計算では考慮されない。
【0037】
追加の機能は、従来のCOFに固有でない特性を示し、分子ビルディングブロックの選択によって生じてもよく、その分子組成が得られたSOFに追加の機能を提供する。追加機能は、その追加機能に関して「偏った特性」を有する分子ビルディングブロックの集合時に生じ得る。
【0038】
分子ビルディングブロックの「偏った特性」との用語は、ある特定の分子組成物について存在することが知られている特性、またはセグメントの分子組成を観察すれば、当業者ならば合理的に特定可能な特性を指す。用語「偏った特性」および「追加機能」は、同じ一般的特性(例えば疎水性、電気活性など)を指すが、「偏った特性」は、分子ビルディングブロックの内容で使用され、「追加機能」は、画像形成部材の最外層に含まれ得るSOFの内容で使用される。
【0039】
SOFの疎水性(超疎水性)、親水性、疎油性(超疎油性)、親油性、光発色性および/または電気活性(導体、半導体、電荷輸送材料)性質は、SOFの「追加機能」を表し得る特性の一部の例である。用語疎水性(超疎水性)は、水、または他の極性種をはじく特性を指す。疎水性材料は、接触角ゴニオメータまたは関連装置を用いて測定される場合に、90°を超える水接触角を有する。高い疎水性は、約130°〜約180°の水接触角を有する。超疎水性は、約150°を超える水接触角を有する。
【0040】
超疎水性は、水滴が約1°〜約30°未満、または約1°〜約25°のスライディング角度または約10°未満のスライディング角度のような表面に関するスライディング角度を形成する場合として記載できる。
【0041】
用語親水性は、水または他の極性種、あるいは表面を引き付ける、吸着または吸収する特性を指す。
【0042】
用語疎油性(撥油性)は、油または他の非極性種、例えばアルカン、脂肪およびワックスをはじく特性を指す。疎油性は、接触角ゴニオメータまたは関連装置を用いて測定される場合に、90°を超える油接触角を有する。用語撥油性は、UV硬化性インク、固体インク、ヘキサデカン、ドデカン、炭化水素などに関して、およそ約55°以上の油接触角を有する表面の濡れ性を指す。高度に撥油性は、炭化水素系液滴が表面に関して高い接触角、例えば約130°、または約135°〜約170°の接触角を形成する場合と記載される。超撥油性は、炭化水素系液滴が表面に関して高い接触角、例えば150°を超える接触角を形成する場合と記載される。
【0043】
本明細書で使用される場合に超撥油性はまた、炭化水素系液滴、例えばヘキサデカンが表面に関して約1°〜約30°未満、または約10°未満のスライディング角度を形成する場合と記載され得る。
【0044】
用語親油性(オレオフィリック)は、油または他の非極性種、例えばアルカン、脂肪、およびワックスを引き付ける特性またはこうした種によって容易に濡らされる表面を指す。親油性材料は、通常、低〜無油接触角を有することによって特徴付けられる。
【0045】
疎水性の追加機能を有するSOFは、偏った疎水性特性を有する分子ビルディングブロックを用いることによって調製されてもよく、および/またはサブミクロンからミクロンスケールでの粗い、テクスチャード加工の、または多孔質表面を有していてもよい。フッ素含有ポリマーは、対応する炭化水素ポリマーよりも低い表面エネルギーを有することが知られている。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、ポリエチレンより低い表面エネルギーを有する(20mN/m対35.3mN/m)。フッ素のSOFへの導入は、特にフッ素が画像形成部材の最外層の表面に存在する場合、対応する非フッ素化SOFに比較してSOFの表面エネルギーを調節するために使用されてもよい。大抵の場合、フッ素のSOFへの導入は、画像形成部材の最外層の表面エネルギーを低下させる。SOFの表面エネルギーが調節される程度は、例えばSOFの表面にておよび/またはSOFのバルク内でのフッ素化および/またはフッ素のパターニングの度合いに依存し得る。SOFの表面でのフッ素化および/またはフッ素のパターニングの度合いは、調整され得るパラメータである。
【0046】
高度フッ素化セグメントを含む分子ビルディングブロックは、偏った疎水性特性を有し、疎水性追加機能を有するSOFを導いてよい。高度フッ素化セグメントは、セグメントに存在するフッ素原子の数を、1を超えるセグメントに存在する水素原子の数で割ったものとして定義される。高度フッ素化セグメントではないフッ素化セグメントも、疎水性の追加機能を有するSOFを導き得る。
【0047】
画像形成部材の最外層におけるフッ素化SOFは、分子ビルディングブロック、セグメント、および/またはリンカーのいずれかのバージョンから製造されてもよく、ここで分子ビルディングブロックの1つ以上の水素はフッ素で置き換えられる。
【0048】
上述のフッ素化セグメントは、例えば一般構造のα,ω−フルオロアルキルジオールを含んでいてもよく、
【化1】
ここでnは1以上の値を有する整数であり、例えば1〜約100、または1〜約60、または約2〜約30、または約4〜10であり、または一般構造HOCH2(CF2)nCH2OHのフッ素化アルコールおよびそれらの対応するジカルボン酸およびアルデヒドを含んでいてもよく、ここでnは、1以上、例えば1〜約100、または1〜約60、または2〜約30または約4〜約10の値を有する整数であり、テトラフルオロヒドロキノン、ペルフルオロアジピン酸水和物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノールなどを挙げることができる。
【0049】
サブミクロンからミクロンスケールでの粗く、テクスチャード加工の、または多孔質SOF表面を有するSOFはまた、疎水性であってもよい。粗い、テクスチャード加工の、または多孔質表面は、フィルム表面に存在する懸垂官能基またはSOFの構造から得ることができる。パターンのタイプおよびパターニング度は、分子ビルディングブロックの幾何学形状および連結化学効率に依存する。表面ラフネスまたはテクスチャを導くフィーチャサイズは、約100nm〜約10μm、例えば約500nm〜約5μmである。
【0050】
電気活性との用語は、電荷(電子および/または正孔)を輸送する特性を指す。電気活性材料としては、導体、半導体、電荷輸送材料が挙げられる。導体は、電位差がある状態で電荷を簡単に輸送する材料であると定義される。半導体は、それ自体は電荷を伝導しないが、電位差があり、刺激(例えば、電場、電磁照射、熱など)が加えられた状態で伝導性になり得る材料であると定義される。電荷輸送材料は、電位差のある状態で、別の材料(例えば、染料、顔料または金属)から電荷が注入されると、電荷を輸送することができる材料であると定義される。
【0051】
画像形成部材の最外層に含まれる、追加機能として電気活性(または正孔輸送分子機能)を有するSOFは、議論されたフッ素化分子ビルディングブロックおよび偏った特性として電気活性を有する分子ビルディングブロック、および/または共役したセグメントおよびリンカーの集合の結果として電気活性となる分子ビルディングブロックを含有する反応混合物を形成することによって調製されてもよい。以下の章で、偏った正孔輸送特性、偏った電子輸送特性、偏った半導体特性を有する分子ビルディングブロックについて記載する。
【0052】
さらに、導体は、電位差計を用い、約0.1〜約107S/cmのシグナルが得られる材料であると定義されてもよい。
【0053】
半導体は、さらに、刺激(例えば、電場、電磁照射、熱など)が加えられた状態で、電位差計を用い、約10−6〜約104S/cmのシグナルが得られる材料であると定義されてもよい。あるいは、半導体は、加えられた刺激(例えば、電場、電磁照射、熱など)に曝されると、飛行時間技術を用いて測定した場合、10−10〜約106cm2V−1s−1の範囲の電子移動度および/または正孔移動度を有する材料であると定義されてもよい。
【0054】
電荷輸送材料は、さらに、飛行時間技術を用いて測定した場合、10−10〜約106cm2V−1s−1の範囲の電子移動度および/または正孔移動度を有する材料であると定義されてもよい。追加機能として電気活性を有するフッ素化SOFは、フッ素化分子ビルディングブロックと、偏った特性として電気活性を有する分子ビルディングブロック、および/または共役したセグメントおよびリンカーの集合から生じる電気活性セグメントをもたらす分子ビルディングブロックとの反応によって調製されてもよい。画像形成部材の最外層に含まれるフッ素化SOFは、少なくとも1つのフッ素化ビルディングブロックおよび電気活性特性、例えば正孔輸送分子機能を有する少なくとも1つのビルディングブロックを含有する反応混合物を調製することによって製造されてもよく、こうしたHTMセグメントは、以下に記載されるようなもの、例えばヒドロキシル官能基(−OH)を有するN,N,N’,N’−テトラキス−[(4−ヒドロキシメチル)フェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミンであってもよく、反応時に、N,N,N’,N’−テトラ−(p−トリル)ビフェニル−4,4’−ジアミンのセグメントを生じ、および/またはヒドロキシル官能基(−OH)を有するN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(3−ヒドロキシフェニル)−ビフェニル−4,4’−ジアミンであってもよく、反応時にN,N,N’,N’−テトラフェニル−ビフェニル−4,4’−ジアミンのセグメントを生じる。以下の章では、さらなる分子ビルディングブロックおよび/または偏った正孔輸送特性、偏った電子輸送特性、および偏った半導体特性を有する得られたセグメントコアを記載し、それらはフッ素化ビルディングブロック(上記に記載)と反応させることができ、画像形成部材の最外層に含まれるフッ素化SOFを製造する。
【0055】
追加機能として正孔輸送機能を有するSOFは、次の一般構造
【化2】
(式中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5はそれぞれ独立に、置換または非置換アリール基を表し、またはAr5は独立に、置換または非置換アリーレン基を表し、kは0または1を表し、少なくとも2つのAr1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5は、Fg(先に定義される通り)を含む)を有するセグメントコア、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン(米国特許第7,202,002B2号明細書(Tokarski et al.に対する)およびエナミン(米国特許第7,416,824B2号明細書(Kondoh et al.に対する)を選択することによって得られてもよい。Ar5はさらに、例えば置換されたフェニル環、置換/非置換のフェニレン、置換/非置換の一価の連結された芳香族環(例えば、ビフェニル、ターフェニルなど)、または置換/非置換の縮合した芳香族環(ナフチル、アントラニル、フェナントリルなど)であると定義されてもよい。
【0056】
追加機能として正孔輸送性を有する、アリールアミンを含むセグメントコアとしては、アリールアミン、例えば、トリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[p−ターフェニル]−4,4’’−ジアミン、ヒドラゾン、例えば、N−フェニル−N−メチル−3−(9−エチル)カルバジルヒドラゾン、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,2−ジフェニルヒドラゾン、およびオキサジアゾール、例えば、2,5−ビス(4−N,N’−ジエチルアミノフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール、スチルベンなどが挙げられる。
【0057】
SOFは、p型半導体、n型半導体、または両極性半導体であってもよい。SOFの半導体のタイプは、分子ビルディングブロックの性質に依存する。電子供与特性を有する分子ビルディングブロック(例えばアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基)は、SOF中に存在する場合、SOFをp型半導体にし得る。あるいは、電子吸引性である分子ビルディングブロック(例えば、シアノ基、ニトロ基、フルオロ基、フッ素化アルキル基、フッ素化アリール基)は、SOFをn型半導体にし得る。
【0058】
同様に、これらの分子ビルディングブロックによって調製されるSOFの電気活性は、セグメントの性質、リンカーの性質、およびSOF内でセグメントがどのように配向されているかに依存する。SOF中のセグメント部分の好ましい配向が好都合なリンカーは、より高い電気活性を導くことが予測される。
【0059】
フッ素化された構造化有機フィルム(SOF)を調製するプロセス
SOF、例えばフッ素化SOFを製造するプロセスは、典型的には、多くの作業または工程(以下に示す)を含み、任意の適切な順序で行ってもよく、または、2つ以上の作業を同時に行ってもよく、非常に近い時間に行ってもよい。
(a)複数の分子ビルディングブロックを含む液体含有反応混合物を調製する工程であって、それぞれのブロックがセグメント(ここで少なくとも1つのセグメントは、フッ素を含んでいてもよく、得られたセグメントの少なくとも1つは電気活性であり、例えばHTMである)および多数の官能基、ならびに場合によりプレSOFを含む工程と、
(b)濡れたフィルムとして反応混合物を堆積させる工程と、
(c)分子ビルディングブロックを含む濡れたフィルムを、共有結合性有機骨格として配置される複数のセグメントおよび複数のリンカーを含むSOFを含む乾燥フィルムへの変化を促進する工程であって、巨視的レベルでは、共有結合性有機骨格がフィルムである、促進する工程と、
(d)場合により、基材からSOFを取り除き、自立型SOFを得る工程と、
(e)場合により、自立型SOFをロールに処理する工程と、
(f)場合によりSOFをベルトに切断およびシーム加工する工程と、
(g)場合により、上記SOF形成プロセスを、続くSOF形成プロセスのための基材として(上記SOF形成プロセスによって調製された)SOF上にて行う工程と、を含むSOFを調製するためのプロセス。
【0060】
反応混合物は、液体中に溶解、懸濁、または混合される複数の分子ビルディングブロックを含み、こうしたビルディングブロックは、例えば少なくとも1つのフッ素化ビルディングブロック、および少なくとも1つの電気活性ビルディングブロックを含んでいてもよく、例えばヒドロキシル官能基(−OH)およびN,N,N’,N’−テトラ−(p−トリル)ビフェニル−4,4’−ジアミンのセグメントを有するN,N,N’,N’−テトラキス−[(4−ヒドロキシメチル)フェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミン、および/またはヒドロキシル官能基(−OH)およびN,N,N’,N’−テトラフェニル−ビフェニル−4,4’−ジアミンのセグメントを有するN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(3−ヒドロキシフェニル)−ビフェニル−4,4’−ジアミンを挙げることができる。複数の分子ビルディングブロックは、1種類であってもよく、または2種類以上を含んでいてもよい。1つ以上の分子ビルディングブロックが液体である場合、さらなる液体の使用は任意である。触媒は、場合により、上述の作用Cの間に、SOF形成を可能にするおよび/またはSOF形成の動力学を変更するために反応混合物に添加されてもよい。添加剤または第2の成分は、場合により反応混合物に添加されて、得られたSOFの物理的特性を変更してもよい。
【0061】
反応混合物の成分(分子ビルディングブロック、場合によりキャッピングユニット、液体(溶媒)、場合により触媒、および場合により添加剤)を(例えば容器内で)合わせる。反応混合物成分の添加順序は変動してもよいが、通常、触媒が最後に添加される。反応混合物はまた、混合、撹拌、ミル加工が行われてもよい。反応混合物は、堆積した濡れた層を保持するような粘度を有している必要がある。反応混合物の粘度は、約10〜約50,000cps、例えば、約25〜約25,000cps、または約50〜約1000cpsの範囲である。
【0062】
ビルディングブロックの保有量は、約10〜50%、例えば、約20〜約40%、または約25〜約30%の範囲であってもよい。キャッピングユニットが反応混合物に添加されるべきときに依存して、キャッピングユニット充填量は、ビルディングブロックの総充填量の約30重量%未満の範囲であってもよく、例えばビルディングブロックの総充填量の約0.5重量%〜約20重量%、またはビルディングブロックの総充填量の約1重量%〜約10重量%の範囲であってもよい。
【0063】
画像形成部材の損耗率は、実験器具におけるキロサイクル回転あたり約5〜約20ナノメートル、またはキロサイクル回転あたり約7〜約12ナノメートルであってもよい。
【0064】
乾燥SOF中の有効な第2の成分および/またはキャッピングユニットおよび/または有効キャッピングユニットおよび/または第2の成分濃度は、画像形成部材の損耗率を低下させるか、または画像形成部材の損耗率を増大させるかのいずれかのために選択されてもよい。画像形成部材の損耗率は、同一のセグメントおよびリンカーを含むキャップされていないSOFに対して、1000サイクルあたり少なくとも約2%、例えば1000サイクルあたり少なくとも約5%、または1000サイクルあたり少なくとも約10%低下し得る。
【0065】
画像形成部材の損耗率は、同一のセグメントおよびリンカーを含むキャップされていないSOFに対して、1000サイクルあたり少なくとも約5%、例えば1000サイクルあたり少なくとも約10%、または1000サイクルあたり少なくとも約25%増大し得る。
【0066】
反応混合物中で用いられる液体は、純粋な液体(例えば、溶媒)であってもよく、および/または溶媒混合物であってもよい。適切な液体は、沸点が約30〜約300℃、例えば、約65℃〜約250℃、または約100℃〜約180℃であってもよい。
【0067】
液体としては、アルカン、混合アルカン、分岐アルカン、芳香族化合物、エーテル、環状エーテル、エステル、ケトン、環状ケトン、アミン、アミド、アルコール、ニトリル、ハロゲン化芳香族、ハロゲン化アルカン、および水などの種類の分子を挙げることができる。
【0068】
場合により、反応混合物中に触媒が存在させて、濡れた層の乾燥したSOFへの促進を補助してもよい。任意触媒の選択および使用は、分子ビルディングブロックの官能基によって変わる。典型的な触媒の保有量は、反応混合物中の分子ビルディングブロックの保有量の約0.01%〜約25%、例えば約0.1%〜約5%の範囲である。触媒は、最終的なSOF組成物中に存在していてもよく、存在していなくてもよい。
【0069】
場合により、添加剤または第2の成分、例えば、ドーパントが、反応混合物および濡れた層に存在していてもよい。また、このような添加剤または第2の成分を、乾燥SOFに組み込んでもよい。キャッピングユニットとは対照的に、用語「添加剤」または「第2の成分」は、SOF中に共有結合していないが、組成物にランダムに分布している原子または分子を指す。
【0070】
SOFは、SOFを酸化しないように保護するために、第2の成分として酸化防止剤を含んでいてもよい。
【0071】
酸化防止剤は、立体障害ビスフェノール、立体障害ジヒドロキノン、または立体障害アミンから選択されてもよい。
【0072】
酸化防止剤は、SOFコンポジット中に、SOFの約10重量%まで、または約0.25重量%〜約10重量%、または約5重量%まで、例えば約0.2重量%〜約5重量%SOFに存在してもよい。
【0073】
画像形成部材の外側層はさらに、SOFに存在する他のセグメントに加えて、非正孔輸送分子セグメントを含んでいてもよく、それはHTM、例えばN,N,N’,N’−テトラ−(p−トリル)ビフェニル−4,4’−ジアミンの第1のセグメント、N,N,N’,N’−テトラフェニル−ビフェニル−4,4’−ジアミンの第2のセグメントである。非正孔輸送分子セグメントは、SOF中の第3のセグメントを構成し、フッ素化セグメントであってもよい。SOFは、正孔輸送特性を有する1つ以上のセグメント、例えばN,N,N’,N’−テトラ−(p−トリル)ビフェニル−4,4’−ジアミンの第1のセグメントおよび/またはN,N,N’,N’−テトラフェニル−ビフェニル−4,4’−ジアミンの第2のセグメントに加えて、正孔輸送特性を有する、または有していない、のいずれかである他の追加セグメント(例えば第4、第5、第6、第7セグメント)の中でも特に、フッ素化非正孔輸送分子セグメントを含んでいてもよい。
【0074】
反応混合物は、他のセグメントに加えて、非正孔輸送分子セグメントを含むことによって調製されてもよい。非正孔輸送分子セグメントは、SOF中の第3のセグメントを構成する。好適な非正孔輸送分子セグメントは、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサキス(メチレンメチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン:N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサキス(メトキシメチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサキス(エトキシメチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミンなどが挙げられる。
【化3】
非正孔輸送分子セグメントは、存在する場合、SOF中に任意の望ましい量で存在していてもよく、例えば、SOFの約30重量%まで、または約5重量%〜約30重量%、またはSOFの約10重量%〜約25重量%の量で存在していてもよい。
【0075】
本SOF組成物中に使用するための好適な架橋性第2の成分としては、メラミンモノマーまたはポリマー、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、グルコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、トリアジン系アミノ樹脂またはこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0076】
プロセス作用B:この反応混合物を濡れたフィルムとして堆積させること
反応混合物を、多くの液体堆積技術を用い、濡れたフィルムとして種々の基材に適用してもよい。基材としては、例えばポリマー、紙、金属、金属アロイ、周期律表のIII族〜VI族の元素のドープされた形態およびドープされていない形態、金属酸化物、金属カルコゲニド、あらかじめ調製しておいたSOFまたはキャップされたSOFが挙げられる。
【0077】
多くの液体堆積技術を用い(例えば、スピンコーティング、ブレードコーティング、ウェブコーティング、浸漬コーティング、カップコーティング、ロッドコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、スプレーコーティング、スタンピングなどを含む)、反応混合物を基材に適用してもよい。濡れた層の厚みは、約10nm〜約5mm、例えば、約100nm〜約1mm、または約1μm〜約500μmの範囲であることができる。
【0078】
用語「促進する」は、分子ビルディングブロックの反応、例えば、ビルディングブロックの官能基の化学反応を容易にする任意の適切な技術を指す。液体を除去して乾燥フィルムを形成する必要がある場合には、「促進する」は、液体を除去することも指す。用語「乾燥SOF」は、例えば液体の含有量がSOFの約5重量%未満、または液体の含有量がSOFの2重量%未満の、実質的に乾燥したSOF(例えばキャップされたおよび/またはコンポジットSOF)を指す。
【0079】
濡れた層から乾燥SOFを形成するのを促進することは、任意の適切な技術によって行われてもよい。濡れた層から乾燥SOFの形成の促進は、典型的には、温度が40〜350℃の範囲、60〜200℃の範囲、85〜160℃の範囲での熱処理を含む。総加熱時間は、約4秒〜約24時間、例えば1分〜120分の範囲であることができる。
【0080】
種々の種類のIRエミッタを用いてもよく、例えば、炭素IRエミッタまたは短波IRエミッタ(Heraerusから入手可能)を用いてもよい。炭素IRエミッタまたは短波IRエミッタに関するさらなる例示的な情報を以下の表にまとめている(表1)。
【表1】
【0081】
自立型のSOFは、接着性の低い適切な基板を用い、濡れた層の堆積物を支える場合に得られてもよい。
【0082】
場合により、自立型SOFまたは可撓性基材によって支持されるSOFは、ロールに処理されてもよい。
【0083】
SOFベルトは、単一SOF、多層SOFまたはウェブから切断されたSOFシートから製作されてもよい。SOFは、SOFシートの反対側のマージン終端領域を重複接合させることによって、ベルトのような形状に製作されてもよい。通常の接合技術としては、溶接(超音波を含む)、糊付け、テープ付け、圧力熱定着などが挙げられる。電子写真式画像形成部材(例えば感光体)の代表的な構造を図2から4に示す。これらの画像形成部材は、カール防止層1、支持基材2、電気伝導性地板3、電荷ブロッキング層4、接着剤層5、電荷発生層6、電荷輸送層7、オーバーコーティング層8、および接地ストリップ9を備える。図4において、画像形成層10(電荷発生材料および電荷輸送材料の両方を含有する)は、別個の電荷発生層6および電荷輸送層7と交換される。
【0084】
図からわかるように、感光体を製作する際、電荷発生材料(CGM)および電荷輸送材料(CTM)は、CGMおよびCTMが異なる層にある積層体タイプの構成(例えば図2および3)、またはCGMおよびCTMが同一層にある単一層構成(例えば図4)のいずれかにおいて、基材表面上に堆積されてもよい。感光体は、電気伝導性層上にわたって電荷発生層6および場合により電荷輸送層7を適用することによって調製されてもよい。電荷発生層および存在する場合、電荷輸送層は、いかなる順序で適用されてもよい。
【0085】
カール防止層
いくつかの用途について、任意のカール防止層1が提供され得るが、それは、電気的に絶縁性またはわずかに半導電性であるフィルム形成有機または無機ポリマーを含む。カール防止層は、平坦性および/または摩耗耐性を提供する。
【0086】
カール防止層1は、画像形成層とは反対側において、基材2の背面に形成されてもよい。添加剤は、カール防止層中に、カール防止層の約0.5重量%〜約40重量%の範囲で存在してもよい。
【0087】
カール防止層の厚さは、通常、約3マイクロメートル〜約35マイクロメートル、例えば約10マイクロメートル〜約20マイクロメートル、または約14マイクロメートルである。
【0088】
カール防止コーティングは、フィルム形成樹脂および接着促進剤を塩化メチレンのような溶媒中に溶解させることによって調製される溶液として適用されてもよい。オーバーコート層およびカール防止層のコーティングは、電荷輸送層、電荷発生層、接着剤層、ブロッキング層、地板および基材を含む多層感光体にウェブコーティングすることによって同時に達成されてもよい。濡れたフィルムコーティングは、次いでカール防止層1を製造するために乾燥される。
【0089】
支持基材
上記で示されるように、感光体は、基材2、すなわち支持体をまず提供することによって調製される。基材は、不透明または実質的に透明であってもよく、所与の必要とされる機械的特性を有するいずれかの追加の好適な材料を含んでいてもよい。
【0090】
基材は、非電導性の材料の層、または電導性材料の層、例えば無機または有機組成物を含んでいてもよい。非伝導性材料が使用される場合、こうした非伝導性材料にわたって電導性の地板を提供する必要がある場合がある。伝導性材料が基材として使用される場合、別個の地板層は必ずしも必要でない場合がある。
【0091】
基材は、可撓性または硬質であってもよく、いずれかの多数の異なる構成、例えばシート、スクロール、エンドレス可撓性ベルト、ウェブ、シリンダーなどを有していてもよい。感光体は、硬質の不透明伝導性基材、例えばアルミニウムドラムにコーティングされてもよい。
【0092】
種々の樹脂は、電気的に非伝導性の材料として使用されてもよい。感光体はまた、絶縁プラスチックドラムにコーティングされてよいが、ただし伝導性地板は、予めその表面にコーティングされている。伝導性プラスチックドラム、ならびにアルミニウムのような材料から製造された伝導性金属ドラムが使用されてもよい。
【0093】
基材の厚さは、小さい直径のローラー、例えば19mmの直径ローラーの周りで循環される場合に、最適な可撓性および最小限で誘導される表面曲げ応力に関して約65マイクロメートル〜約150マイクロメートル、例えば約75マイクロメートル〜約125マイクロメートルである。可撓性ベルトのための基材は、例えば200マイクロメートルを超える実質的な厚さ、または例えば50マイクロメートル未満の最小厚さを有していてもよいが、ただし最終光伝導性デバイスに悪影響を与えない。ドラムが使用される場合、厚さは必要な硬度を提供するのに十分であるべきである。これは、通常約1〜6mmである。
【0094】
電導性地板
調製された感光体は、電導性または非電導性のいずれかの基材を含む。非伝導性基材が使用される場合、電導性地板3が使用されなければならず、地板は伝導性層として作用する。伝導性基材が使用される場合、基材は、伝導性層として作用し得るが、伝導性地板も備えていてもよい。
【0095】
電気的に伝導性の地板が使用される場合、基材にわたって配置される。電導性の地板の好適な材料としては、例えばアルミニウム、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、バナジウム、ハフニウム、チタン、ニッケル、ステンレススチール、クロム、タングステン、モリブデン、銅など、およびこれらの混合物およびアロイが挙げられる。
【0096】
可撓性の光応答性画像形成デバイスについて、伝導性層の厚さは、約20オングストローム〜約750オングストローム、例えば約50オングストローム〜約200オングストロームであってもよい。
【0097】
電荷ブロッキング層
電導性地板層の堆積後、電荷ブロッキング層4がそこに適用されてもよい。正に帯電した感光体の電子ブロッキング層により、正孔を、感光体の画像形成表面から伝導性層の方向に移動させることができる。負に帯電した感光体について、伝導性層から反対側の光伝導性層への正孔注入を防止するためにバリアを形成できるいずれかの好適な正孔ブロッキング層が利用されてもよい。
【0098】
ブロッキング層が使用される場合、電導性層にわたって配置されてもよい。ブロッキング層4は、既知のポリマーを含んでいてもよい。
【0099】
ブロッキング層は、連続であってもよく、例えば約0.01〜約10マイクロメートル、例えば約0.05〜約5マイクロメートルの範囲の厚さを有していてもよい。
【0100】
電荷ブロッキング層は、バインダー樹脂、グレイン形状粒子、およびニードル形状粒子を溶媒に分散させ、ブロッキング層のためのコーティング溶液を形成し、伝導性支持体をこのコーティング溶液でコーティングし、乾燥させることによって形成される。溶媒は、溶媒中の分散を改善するために、およびコーティング溶液が時間の経過とともにゲル化するのを防止するために選択される。さらに、コーティング溶液の組成物が時間の経過とともに変化するのを防止するために共沸溶媒が使用されてもよく、それによってコーティング溶液の貯蔵安定性が改善されてもよく、コーティング溶液が再生成されてもよい。
【0101】
「n−型」という語句は、例えば主に電子を輸送する材料を指す。典型的なn−型材料としては、ジブロモアントアントロン、ベンズイミダゾールペリーレン、酸化亜鉛、酸化チタン、アゾ化合物、例えばクロロジアンブルーおよびビスアゾ顔料、置換された2,4−ジブロモトリアジン、多核性芳香族キノン、硫化亜鉛などが挙げられる。
【0102】
「p−型」という語句は、例えば正孔を輸送する材料を指す。典型的なp−型有機顔料としては、例えば金属フリーのフタロシアニン、チタニルフタロシアニン、ガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、銅フタロシアニンなどが挙げられる。
【0103】
接着剤層
ブロッキング層と電荷発生層との間に中間層5が、所望により、接着を促進するために提供されてもよい。浸漬コーティングされたアルミニウムドラムは接着剤層を有することなく利用されてもよい。
【0104】
さらに、いずれかの隣接層の接着を確実にするために、感光体中のいずれかの層間に接着剤層が、必要により提供されてもよい。あるいは、または加えて、接着剤材料は、接着されるべきそれぞれの層の1つまたは両方に組み込まれてもよい。
【0105】
画像形成層
画像形成層は、電荷発生材料、電荷輸送材料または電荷発生材料および電荷輸送材料の両方を含有する層を指す。
【0106】
n−型またはp−型の電荷発生材料のいずれかが、本発明の感光体に使用されてもよい。
【0107】
電荷発生材料および電荷輸送材料が異なる層−例えば電荷発生層および電荷輸送層−にある場合、この電荷輸送層は、SOFを含んでいてもよく、これはコンポジットおよび/またはキャップされたSOFであってもよい。さらに電荷発生材料および電荷輸送材料が同じ層にある場合、この層は、SOFを含んでいてもよく、これはコンポジットおよび/またはキャップされたSOFであってもよい。
【0108】
電荷発生層
例示的な有機光伝導性電荷発生材料はアゾ顔料を含む。
【0109】
いずれかの好適な不活性樹脂バインダー材料が、電荷発生層に使用されてもよい。
【0110】
組成物中の電荷発生材料の量は、例えば、溶媒を含む組成物の重量に基づいて、約0.5重量%〜約30重量%の範囲である。乾燥された光伝導性コーティング中に分散する光伝導性粒子(すなわち電荷発生材料)の量は、選択された特定の光伝導性顔料粒子によりある程度変動する。一般に、満足する結果は、光伝導性コーティングが浸漬コーティングによって適用される場合に、約0.6マイクロメートル未満の平均光伝導性粒径により得られる。平均光伝導性粒径は、約0,4マイクロメートル未満であってもよい。光伝導性粒子の粒径はまた、それが分散した乾燥した光伝導性コーティングの厚さ未満である。
【0111】
電荷発生層において、電荷発生材料(「CGM」)のバインダーに対する重量比は、30(CGM):70(バインダー)〜70(CGM):30(バインダー)の範囲である。
【0112】
電荷発生層(本明細書では光伝導性層とも称される)および電荷輸送層を含む多層感光体について、光伝導性層コーティング厚さは、約0.1マイクロメートル〜約10マイクロメートル、または0.2マイクロメートル〜約4マイクロメートルである。電荷輸送材料としては、有機ポリマー、非ポリマー性材料またはコンポジットおよび/またはキャップされたSOFであってもよいSOFが挙げられ、それらは光励起された正孔の注入を支持でき、または光伝導性材料から電子を輸送でき、これらの正孔または電子を有機層を通して輸送し、表面電荷を選択的に消散できる。
【0113】
有機ポリマー電荷輸送層
例示的な電荷輸送材料としては、例えば主鎖または側鎖に多環式芳香族環または窒素含有ヘテロ環を有する化合物から選択される、正の正孔輸送材料が挙げられる。典型的な正孔輸送材料としては、電子供与材料、例えばカルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール、テトラフェニルピレン、1−メチルピレン、ペリーレン、クリセン、アントラセン、テトラフェン、2−フェニルナフタレン、アゾピレン、1−エチルピレン、アセチルピレン、2,3−ベンゾクリセン、2,4−ベンゾピレン、1,4−ブロモピレン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリ(ビニルピレン)、ポリ(ビニルテトラフェン)、ポリ(ビニルテトラセン)およびポリ(ビニルペリーレン)が挙げられる。好適な電子輸送材料としては、電子受容体、例えば2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−フルオレノン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリデン、テトラシアノピレン、ジニトロアントラキノン、およびブチルカルボニルフルオレンマロノニトリルが挙げられる。
【0114】
いずれかの好適な不活性樹脂バインダーは、電荷輸送層に使用されてもよい。分子量は、約20,000〜約1,500,000で変動し得る。
【0115】
電荷輸送層において、電荷輸送材料(「CTM」)のバインダーに対する重量比は、30(CTM):70(バインダー)から70(CTM):30(バインダー)の範囲である。
【0116】
一般に、輸送層の厚さは約5マイクロメートルから約100マイクロメートルである。電荷輸送層と電荷発生層との厚さの比は、約2:1〜200:1または約400:1に維持される。
【0117】
SOF電荷輸送層
例示的な電荷輸送SOFとしては、例えば、多環芳香族環、例えばアントラセン、ピレン、フェナントレン、コロネンなど)、または窒素を含有するヘテロ環、例えばインドール、カルバゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾール、トリアゾール、ヒドラゾン化合物を有する化合物から選択される正の正孔輸送材料が挙げられる。典型的な正孔輸送SOFセグメントとしては、電子供与材料、例えばカルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール、テトラフェニルピレン、1−メチルピレン、ペリーレン、クリセン、アントラセン、テトラフェン、2−フェニルナフタレン、アゾピレン、1−エチルピレン、アセチルピレン、2,3−ベンゾクリセン、2,4−ベンゾピレン、および1,4−ブロモピレンが挙げられる。好適な電子輸送SOFセグメントとしては、電子受容体、例えば2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−フルオレノン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリデン、テトラシアノピレン、ジニトロアントラキノン、およびブチルカルボニルフルオレンマロノニトリルが挙げられる。他の正孔輸送SOFセグメントとしては、アリールアミンN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(アルキルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミンが挙げられ、ここでアルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルなどからなる群から選択される。
【0118】
一般に、電荷輸送SOF層の厚さは約5マイクロメートルから約100マイクロメートル、例えば約10マイクロメートル〜約70マイクロメートルまたは10マイクロメートル〜約40マイクロメートルである。電荷輸送層と電荷発生層との厚さの比は、約2:1〜200:1または約400:1に維持される。
【0119】
単層P/R−有機ポリマー
本明細書に記載される材料および手順は、バインダー、電荷発生材料および電荷輸送材料を含有する単一画像形成層タイプの感光体を製作するために使用されてもよい。
【0120】
単層P/R−SOF
本明細書に記載される材料および手順は、電荷発生材料および電荷輸送SOFを含有する単一画像形成層タイプの感光体を製作するために使用されてもよい。例えば、単層画像形成層のための分散液における固体含有量は、分散液の重量に基づいて約2重量%〜約30重量%の範囲であってもよい。
【0121】
画像形成層が、電荷発生層および電荷輸送層の機能を組み合わせた単層である場合、そこに含有される成分の例示的な量は、次の通りである:電荷発生材料(約2重量%〜約40重量%)、偏った追加の電荷輸送機能を有する分子ビルディングブロック(約20重量%〜約75重量%)。
【0122】
オーバーコーティング層
オーバーコーティング層または層8は、電荷発生層上にわたって、または電荷輸送層上にわたって配置されてもよい。この層は、電気的に絶縁性またはわずかに半導電性であるSOFを含んでいてもよい。
【0123】
こうした保護オーバーコーティング層は、場合により電荷輸送セグメントを含有する複数の分子ビルディングブロックを含有するSOF形成反応混合物を含む。
【0124】
添加剤は、オーバーコーティング層において、オーバーコーティング層の約0.5〜約40重量%の範囲で存在してもよい。添加剤としては、有機および無機粒子を挙げることができ、これがさらに、損耗耐性を改善でき、および/または電荷緩和特性を提供できる。有機粒子としては、テフロン(登録商標)粉末、カーボンブラック、およびグラファイト粒子が挙げられる、無機粒子としては、絶縁および半導電性金属酸化物粒子、例えばシリカ、酸化亜鉛、酸化スズが挙げられる。
【0125】
オーバーコーティング層は、約2マイクロメートル〜約15マイクロメートル、例えば約3マイクロメートル〜約8マイクロメートルであることができる。
【0126】
接地ストリップ
接地ストリップ9は、フィルム形成バインダーおよび電導性粒子を含んでいてもよい。セルロースは、伝導性粒子を分散させるために使用されてもよい。いずれかの好適な電気伝導性粒子は、電気伝導性接地ストリップ層8に使用されてもよい。
【0127】
接地ストリップ層は、約7マイクロメートル〜約42マイクロメートル、例えば約14マイクロメートル〜約27マイクロメートルの厚さを有していてもよい。
【0128】
画像形成部材は、表面層(OCLまたはCTL)としてSOFを含んでいてもよい。この画像形成部材は、1つ以上のフッ素化セグメントおよびN,N,N’,N’−テトラ−(メチレンフェニレン)ビフェニル−4,4’−ジアミンおよび/またはN,N,N’,N’−テトラフェニル−ターフェニル−4,4’−ジアミンセグメントを含むフッ素化SOFであってもよい。
【0129】
画像形成部材は、コンポジットおよび/またはキャップされたSOFであってもよいSOF層を含んでいてもよく、ここでSOF層の厚さは、いずれかの所望の厚さ、例えば約30ミクロンまで、または約1〜約15ミクロンであってもよい。最外層は、オーバーコート層であってもよく、SOFを含むオーバーコート層は、約1〜約20ミクロン厚さ、例えば約2〜約10ミクロンであってもよい。こうしたSOFは、第1のフッ素化セグメントおよび第2の電気活性セグメントを含んでいてもよく、第1のフッ素化セグメントと第2の電気活性セグメントの比は、約5:1〜約0.2:1、例えば約3.5:1〜約0.5:1、または約1.5:1〜約75:1である。第2の電気活性セグメントは、SOFの約20〜約80重量%、例えばSOFの約25〜約75重量%、またはSOFの約35重量%〜約70重量%の量にて最外層のSOFに存在してもよい。こうした画像形成部材において、コンポジットおよび/またはキャップされたSOFであってもよいSOFは、単層または2つ以上の層であってもよい。こうした画像形成部材においてSOFは、酸化防止剤および酸スカベンジャーからなる群から選択される第2の成分を含んでいない。
【0130】
SOFは、電子写真式感光体、接触荷電デバイス、曝露デバイス、現像デバイス、転写デバイス、および/または洗浄ユニットに組み込まれてもよい。接触荷電部材は、SOFおよびまたは金属、伝導性ポリマー材料、またはエラストマー材料中の微粒子分散液から形成されてもよい。
【0131】
さらに、場合によりSOFを含む被覆層はまた、接触荷電部材の表面に提供されてもよい。抵抗率をさらに調節するために、SOFは、コンポジットSOFまたはキャップされたSOFまたはこれらの組み合わせであってもよく、劣化を防止するために、SOFはそこに結合または添加される酸化防止剤を含むように調整されてもよい。
【0132】
接触荷電部材の抵抗は、いずれかの所望の範囲、例えば約100〜約1014Ωcm、または約102〜約1012Ωcmであってもよい。電圧をこの接触荷電部材に適用する場合、DC電圧またはAC電圧のいずれかは印加電圧として使用されてもよい。さらに、DC電圧およびAC電圧の電圧印加がまた使用されてもよい。
【0133】
接触荷電デバイスの、場合によりSOF、例えばコンポジットおよび/またはキャップされたSOFを含む接触荷電部材は、ローラー、ブレード、ベルト、ブラシなどの形状であってもよい。
【0134】
接触タイプの転写荷電デバイスは、転写デバイスとして使用されてもよい。荷電ユニットは、バイアス荷電ロールであってもよい。
【0135】
洗浄デバイスは、洗浄ブレード、洗浄ブラシ、洗浄ロールなどであってもよい。洗浄ブレードのための材料としては、SOFまたはウレタンゴム、ネオプレンゴムおよびシリコーンゴムを挙げることができる。
【0136】
Mylar上にコーティングされたSOFは、室温の水浴に含浸させることによって剥離させた。10分間の浸漬後、SOFは一般にMylar基材から剥がれる。このプロセスは、高い表面エネルギー(極性)を有することが既知の基材、例えばガラス、雲母、塩など上にコーティングされたSOFを用いる場合に最も効率的である。
【実施例】
【0137】
実施例1:
(作用A)反応混合物を含有する液体の調製。以下を組み合わせた:ビルディングブロックのオクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール[セグメント=オクタフルオロ−1,6−ヘキシル、Fg=ヒドロキシル(−OH)、(0.43g,1.65mmol)]、第2のビルディングブロックN4,N4,N4’,N4’−テトラキス(4−(メトキシメチル)フェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン[セグメント=N4,N4,N4’,N4’−テトラ−p−トリルビフェニル−4,4’−ジアミン、Fg=メトキシエーテル(−OCH3)、(0.55g,0.82mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.05gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.04gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、および2.96gの1−メトキシ−2−プロパノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0138】
(作用B)濡れたフィルムとしての反応混合物の堆積。反応混合物を、10milギャップを有するバードバーを装備した定速ドローダウンコーターを用いて、金属化された(TiZr)MYLAR(商標)基材の反射側に適用した。
【0139】
(作用C)濡れたフィルムの乾燥SOFへの変化の促進。濡れた層を支持する金属化されたMYLAR(商標)基材を、155℃に予熱された活性ベント型オーブンに素早く移し、40分間加熱した。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる6〜8ミクロンの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【0140】
実施例2
(作用A)反応混合物を含有する液体の調製。以下を組み合わせた:ビルディングブロックのドデカフルオロ−1,8−オクタンジオール[セグメント=ドデカフルオロ−1,8−オクチル、Fg=ヒドロキシル(−OH)、(0.51g,1.41mmol)]、第2のビルディングブロックN4,N4,N4’,N4’−テトラキス(4−(メトキシメチル)フェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン[セグメント=N4,N4,N4’,N4’−テトラ−p−トリルビフェニル−4,4’−ジアミン、Fg=メトキシエーテル(−OCH3)、(0.47g,0.71mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.05gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.04gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、および2.96gの1−メトキシ−2−プロパノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0141】
(作用B)濡れたフィルムとしての反応混合物の堆積。反応混合物を、10milギャップを有するバードバーを装備した定速ドローダウンコーターを用いて、金属化された(TiZr)MYLAR(商標)基材の反射側に適用した。
【0142】
(作用C)濡れたフィルムの乾燥SOFへの変化の促進。濡れた層を支持する金属化されたMYLAR(商標)基材を、155℃に予熱された活性ベント型オーブンに素早く移し、40分間加熱した。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる6〜8ミクロンの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【0143】
実施例3
(作用A)反応混合物を含有する液体の調製。以下を組み合わせた:ビルディングブロックのヘキサデカフルオロ−1,10−デカンジオール[セグメント=ヘキサデカフルオロ−1,10−デシル、Fg=ヒドロキシル(−OH)、(0.57g,1.23mmol)]、第2のビルディングブロックN4,N4,N4’,N4’−テトラキス(4−(メトキシメチル)フェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン[セグメント=N4,N4,N4’,N4’−テトラ−p−トリルビフェニル−4,4’−ジアミン、Fg=メトキシエーテル(−OCH3)、(0.41g,0.62mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.05gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.04gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、および2.96gの1−メトキシ−2−プロパノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0144】
(作用B)濡れたフィルムとしての反応混合物の堆積。反応混合物を、10milギャップを有するバードバーを装備した定速ドローダウンコーターを用いて、金属化された(TiZr)MYLAR(商標)基材の反射側に適用した。
【0145】
(作用C)濡れたフィルムの乾燥SOFへの変化の促進。濡れた層を支持する金属化されたMYLAR(商標)基材を、155℃に予熱された活性ベント型オーブンに素早く移し、40分間加熱した。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる6〜8マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【0146】
実施例5
(作用A)反応混合物を含有する液体の調製。以下を組み合わせた:ビルディングブロックのドデカフルオロ−1,6−オクタンジオール[セグメント=ドデカフルオロ−1,6−オクチル、Fg=ヒドロキシル(−OH)、(0.80,2.21mmol)]、第2のビルディングブロック4,4’,4’’,4’’’−(ビフェニル−4,4’−ジイルビス(アザネトリル)テトラキス(ベンゼン−4,1−ジイル))テトラメタノール、[セグメント=ブロック4,4’,4’’,4’’’−(ビフェニル−4,4’−ジイルビス(アザネトリル)テトラキス(ベンゼン−4,1−ジイル))テトラメチル、Fg=ヒドロキシル(−OH)、(0.67g,1.10mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.08gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.02gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、6.33gの1−メトキシ−2−プロパノール、および2.11gのシクロヘキサノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0147】
(作用B)濡れたフィルムとしての反応混合物の堆積。反応混合物を、20milギャップを有するバードバーを装備した定速ドローダウンコーターを用いて、金属化された(TiZr)MYLAR(商標)基材の反射面に適用した。
【0148】
(作用C)濡れたフィルムの乾燥SOFへの変化の促進。濡れた層を支持する金属化されたMYLAR(商標)基材を、155℃に予熱された活性ベント型オーブンに素早く移し、40分間加熱した。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる5〜6マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【0149】
実施例6
(作用A)反応混合物を含有する液体の調製。以下を組み合わせた:ビルディングブロックのドデカフルオロ−1,6−オクタンジオール[セグメント=ドデカフルオロ−1,6−オクチル、Fg=ヒドロキシル(−OH)、(0.64,1.77mmol)]、第2のビルディングブロック4,4’,4’’,4’’’−(ビフェニル−4,4’−ジイルビス(アザネトリル)テトラキス(ベンゼン−4,1−ジイル))テトラメタノール、[セグメント=ブロック4,4’,4’’,4’’’−(ビフェニル−4,4’−ジイルビス(アザネトリル)テトラキス(ベンゼン−4,1−ジイル))テトラメチル、Fg=ヒドロキシル(−OH)、(0.54g,0.89mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.06gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.05gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、2.10gの1−メトキシ−2−プロパノール、および0.70gのシクロヘキサノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0150】
(作用B)濡れたフィルムとしての反応混合物の堆積。反応混合物を、20milギャップを有するバードバーを装備した定速ドローダウンコーターを用いて、金属化された(TiZr)MYLAR(商標)基材の反射面に適用した。
【0151】
(作用C)濡れたフィルムの乾燥SOFへの変化の促進。濡れた層を支持する金属化されたMYLAR(商標)基材を、155℃に予熱された活性ベント型オーブンに素早く移し、40分間加熱した。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる6〜8マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【0152】
SOFは、ステンレススチールおよびポリイミド基材にコーティングされた場合に高品質のフィルムを製造した。SOFは、損傷/基材からの剥離がなく、取り扱われ、研磨され、曲げることができた。
【0153】
表2は、調製したフッ素化SOFのさらなる詳細を与える。フィルムは、Mylarでコーティングされ、155℃で40分間硬化させた。
【表2−1】
【表2−2】
【0154】
コート層にわたってフッ素化SOFでコーティングされたデバイス(表2からエントリー1および2)は、優れた電気的特性(PIDC、B−ゾーン)および安定な短期間サイクル(1キロサイクル、B−ゾーン、マイナーサイクルダウン)を有する。
【0155】
損耗率(加速感光体損耗器具):感光体表面損耗を、Xerox F469CRUドラム/トナーカートリッジを用いて評価した。表面損耗は、洗浄ブレードおよび単一成分トナーを用いたF469CRUにて50,000サイクル後に、感光体の厚さの変化によって決定される。厚さは、その長さに沿って、コーティングの頂部縁部から1インチの間隔にてPermascope ECT−100を用いて測定した。記録された厚さの値はすべて、感光体デバイス全体の平均厚さを得るように平均化された。50,000サイクル後の厚さの変化は、ナノメートルの単位で測定され、次いでキロサイクルあたりナノメートル単位での損耗率を得るためにキロサイクルの数で割った。この加速感光体損耗器具では、ゼログラフィーシステムに使用される実際の機械において観察される値よりも相当高い損耗率を与え、ゼログラフィーシステムに依存するが、損耗率は一般に5〜10倍低い。
【0156】
超低損耗レジームにおける損耗率を得た:12nm/キロサイクル、Hodaka損耗器具−攻撃的損耗試験、これは典型的なBCR機において1〜2nm/キロサイクルの損耗率に変換される。
【0157】
上記実施例において示されたフッ素化SOF感光体層は、非フッ素化カウンターパート(すなわちフルオロアルキルジオールの代わりにアルキルジオールを用いて調製されるSOF層)よりも欠失しにくい超低損耗層として設計され、さらにBCR荷電システムにおいて頻繁に認められる、感光体の駆動モーターの故障を導く洗浄ブレードとの負の相互作用を低下させるという利益を有する。フッ素化SOF感光体層は、既存の基材上にプロセス調節を必要とせずにコーティングでき、優れた電気特徴を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
電荷発生層と、
電荷輸送層と、
任意のオーバーコート層であって、最外層が、第1のフッ素化セグメントおよび第2の電気活性セグメントを含む、複数のセグメントおよび複数のリンカーを含む構造化有機フィルム(SOF)を含む画像形成表面である、任意のオーバーコート層と、を含む画像形成部材。
【請求項2】
前記第1のフッ素化セグメントおよび前記第2の電気活性セグメントが、SOFの約90重量%〜約99.5重量%の量で最外層のSOFに存在する、請求項1に記載の画像形成部材。
【請求項3】
前記最外層がオーバーコート層であり、前記オーバーコート層が約2〜約10ミクロン厚さである、請求項1に記載の画像形成部材。
【請求項4】
前記第1のフッ素化セグメントが、次からなる群から選択されるセグメントである、請求項1に記載の画像形成部材。
【化1】
【請求項5】
前記第1のフッ素化セグメントが、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカンフルオロ−1,8−オクタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ペルフルオロデカン−1,10−ジオール、(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ヒドロキシメチル−フェニル)−メタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオール、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタジオール、および2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−テトラデカフルオロ−1,9−ノナンジオールからなる群から選択されるフッ素化ビルディングブロックから得られる、請求項4に記載の画像形成部材。
【請求項6】
前記第1のフッ素化セグメントが、SOFの約25重量%〜約75重量%の量での最外層のSOF中に存在する、請求項1に記載の画像形成部材。
【請求項7】
前記第2の電気活性セグメントが、N,N,N’,N’−テトラ−(p−トリル)ビフェニル−4,4’−ジアミン:
【化2】
およびN4,N4’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−N4,N4’−ジ−p−トリル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンからなる群から選択される、請求項1に記載の画像形成部材。
【化3】
【請求項8】
第2の電気活性セグメントが、SOFの約25〜約75重量%の量で最外層のSOF中に存在する、請求項1に記載の画像形成部材。
【請求項9】
前記第1のフッ素化セグメントと第2の電気活性セグメントとの比が約3:5:1〜約0.5:1である、オーバーコート層を含む、請求項1に記載の画像形成部材。
【請求項10】
前記SOFがさらに、SOFの約5重量%までの量で、メラミン/ホルムアルデヒド化合物、およびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂からなる群から選択される第2の成分を含む、請求項1に記載の画像形成部材。
【請求項1】
基材と、
電荷発生層と、
電荷輸送層と、
任意のオーバーコート層であって、最外層が、第1のフッ素化セグメントおよび第2の電気活性セグメントを含む、複数のセグメントおよび複数のリンカーを含む構造化有機フィルム(SOF)を含む画像形成表面である、任意のオーバーコート層と、を含む画像形成部材。
【請求項2】
前記第1のフッ素化セグメントおよび前記第2の電気活性セグメントが、SOFの約90重量%〜約99.5重量%の量で最外層のSOFに存在する、請求項1に記載の画像形成部材。
【請求項3】
前記最外層がオーバーコート層であり、前記オーバーコート層が約2〜約10ミクロン厚さである、請求項1に記載の画像形成部材。
【請求項4】
前記第1のフッ素化セグメントが、次からなる群から選択されるセグメントである、請求項1に記載の画像形成部材。
【化1】
【請求項5】
前記第1のフッ素化セグメントが、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカンフルオロ−1,8−オクタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ペルフルオロデカン−1,10−ジオール、(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ヒドロキシメチル−フェニル)−メタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオール、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタジオール、および2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−テトラデカフルオロ−1,9−ノナンジオールからなる群から選択されるフッ素化ビルディングブロックから得られる、請求項4に記載の画像形成部材。
【請求項6】
前記第1のフッ素化セグメントが、SOFの約25重量%〜約75重量%の量での最外層のSOF中に存在する、請求項1に記載の画像形成部材。
【請求項7】
前記第2の電気活性セグメントが、N,N,N’,N’−テトラ−(p−トリル)ビフェニル−4,4’−ジアミン:
【化2】
およびN4,N4’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−N4,N4’−ジ−p−トリル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンからなる群から選択される、請求項1に記載の画像形成部材。
【化3】
【請求項8】
第2の電気活性セグメントが、SOFの約25〜約75重量%の量で最外層のSOF中に存在する、請求項1に記載の画像形成部材。
【請求項9】
前記第1のフッ素化セグメントと第2の電気活性セグメントとの比が約3:5:1〜約0.5:1である、オーバーコート層を含む、請求項1に記載の画像形成部材。
【請求項10】
前記SOFがさらに、SOFの約5重量%までの量で、メラミン/ホルムアルデヒド化合物、およびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂からなる群から選択される第2の成分を含む、請求項1に記載の画像形成部材。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図1I】
【図1J】
【図1K】
【図1L】
【図1M】
【図1N】
【図1O】
【図2】
【図3】
【図4】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図1I】
【図1J】
【図1K】
【図1L】
【図1M】
【図1N】
【図1O】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2013−73237(P2013−73237A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−205218(P2012−205218)
【出願日】平成24年9月19日(2012.9.19)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月19日(2012.9.19)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]