フッ素化構造化有機フィルム組成物
【課題】少なくとも第1のセグメントタイプを含む複数のセグメントおよび複数のリンカーを含むフッ素化構造化有機フィルムを提供する。
【解決手段】複数のセグメントおよび共有結合性有機骨格として整列された複数のリンカーを含むフッ素化構造化有機フィルムであって、この構造化有機フィルムのフッ素は、パターニングされた均一様式で分配されてもよい。
【解決手段】複数のセグメントおよび共有結合性有機骨格として整列された複数のリンカーを含むフッ素化構造化有機フィルムであって、この構造化有機フィルムのフッ素は、パターニングされた均一様式で分配されてもよい。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
化学構造が共有結合によって拡張された構造に連結された分子を含む材料は、2つの分類に分けられることができる:(1)ポリマーおよび架橋されたポリマー、ならびに(2)共有結合性有機骨格(共有結合により連結した有機ネットワークとしても知られる)。
【0002】
第1の分類であるポリマーおよび架橋されたポリマーは、通常、分子モノマーの重合によって具現化され、共有結合された分子の線状長鎖を形成する。ポリマー化学プロセスにより、重合された鎖は、順にまたは同時に「架橋された」状態になり得る。ポリマー化学の性質では、形成された材料の分子レベルでの構造を制御するのが難しい、すなわちポリマー鎖の組織化および鎖間の分子モノマーのパターニングが大抵の場合ランダムである。
【0003】
ポリマーおよび架橋されたポリマーにフッ素含有量を一体化させることにより、それらの有用性を適合/改善するための機会を広げる。しかし、これは、一般に直接的な手順ではない:Teflon、Viton、またはカスタムフッ素化ポリマーをブレンドすることは、フィルムの公称成分との溶解性が劣るために困難な場合があり、結果としてフッ素含有量を均一に分散させることができない。フッ素化小分子を一体化させることは、一般により容易な選択肢である;しかし、安定な分散液(ここでフッ素は均一に分配されている)を得ること、および相分離およびフィルムからの漏出の傾向が、一般に実施への道を閉ざしている。
【0004】
第2の分類である共有結合性有機骨格(COF)は、COFが高度にパターニングされることを目的としている点で第1の分類(ポリマー/架橋ポリマー)とは異なる。COF化学において、分子成分はモノマーよりむしろ分子ビルディングブロックと呼ばれる。COF合成の間、分子ビルディングブロックは、反応して二次元または三次元ネットワークを形成する。結果として、分子ビルディングブロックは、COF材料全体を通してパターニングされ、分子ビルディングブロックは、強い共有結合を通して互いに連結される。
【0005】
これまで開発されたCOFは、通常、多孔性の高い粉末であり、並外れて密度が低い材料である。これら従来のCOFは有用であるが、フッ素を容易に一体化でき(例えば化学的に結合させることができ)、その構造内に均一に分散できる新規なフィルム材料が必要とされており、これは本発明の実施形態によって対処されるものである。本開示のフッ素化SOFがこれらの必要性に対処し、フッ素含有量を論理的に容易に調節可能にする。
【技術分野】
【0006】
少なくとも第1のセグメントタイプを含む複数のセグメントおよび複数のリンカーを含むフッ素化構造化有機フィルム(SOF)であり、このリンカーが少なくとも、共有結合性有機フレームワーク(COF)として整列された第1のリンカータイプを含み、ここで少なくとも第1のセグメントタイプがフッ素を含有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】図1Aは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1B】図1Bは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1C】図1Cは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1D】図1Dは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1E】図1Eは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1F】図1Fは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1G】図1Gは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1H】図1Hは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1I】図1Iは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1J】図1Jは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1K】図1Kは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1L】図1Lは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1M】図1Mは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1N】図1Nは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1O】図1Oは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
用語「SOF」は、一般的に、巨視的な見方だとフィルムである、共有結合性有機骨格(COF)を指す。語句「巨視的な見方」は、このSOFの肉眼での見え方を指す。
【0009】
用語「フッ素化SOF」とは、例えばこのSOFの1つ以上のセグメントタイプまたはリンカータイプに共有結合したフッ素原子を含有するSOFを指す。フッ素化SOFはさらに、SOFの骨格に共有結合していないが、フッ素化SOF組成物にランダムに分配されるフッ素化分子を含んでいてもよい(すなわちコンポジットフッ素化SOF)。しかし、SOFの1つ以上のセグメントタイプまたはリンカータイプに共有結合したフッ素原子を含有しないSOFであって、SOFの1つ以上のセグメントまたはリンカーに共有結合しないフッ素化分子を単に含むだけのSOFは、コンポジットSOFであり、フッ素化SOFではない。
【0010】
SOF組成物中のフッ素含有量を設計および調整することは、直接的であり、カスタムポリマーの合成も、ブレンド/分散手順も必要とされない。さらに、SOF組成物は、フッ素含有量が分子レベルで均一に分散およびパターニングされたSOF組成物であってもよい。SOF中のフッ素含有量は、SOF合成のために使用される分子ビルディングブロックを変更することによって、または使用されるフッ素ビルディングブロックの量を変更することによって調節されてもよい。
【0011】
フッ素化SOFは、1つ以上の好適な分子ビルディングブロックの反応によって製造されてもよく、ここで少なくとも1つの分子ビルディングブロックセグメントがフッ素原子を含む。
【0012】
フッ素化SOFは高度にネットワーク化した組成物であり、ここでフッ素化ビルディングブロックの反応から得られてもよく、または得られなくてもよい第1のセグメントが、フッ素化された第2のセグメント、例えばフッ素含有分子ビルディングブロックの反応から得られた第2のセグメントに連結してもよい。
【0013】
フッ素化SOFのフッ素含有量は、SOF全体にわたって均質に分配されてもよい。SOF中のフッ素含有量の均質分布は、SOF形成プロセスによって制御でき、故にフッ素含有量はまた分子レベルでパターニングされてもよい。
【0014】
こうしたパターニングは、分子ビルディングブロックの混合物を利用することによって達成されてもよく、こうしたブロックは、同じ一般的な親分子ビルディングブロック構造を共有するが、ビルディングブロックのフッ素化度(すなわち、フッ素で置き換えられた水素原子の数)は異なる。
【0015】
SOFは、高度にフッ素化または全フッ素化された分子ビルディングブロックを形成された湿潤層の頂部に適用することによりフッ素含有量の不均質分布を有していてもよく、結果としてSOFの所与の面にて高度にフッ素化または全フッ素化されたセグメントが多い部分をもたらすことができ、それによってSOFの厚さ内で、高度にフッ素化または全フッ素化されたセグメントの不均質分布を形成し、このようにして線形または非線形濃度勾配を、湿潤層の乾燥SOFへの変化を促進した後に得られたSOFにて得てもよい。高度にフッ素化または全フッ素化されたセグメントの大部分は、最終的に乾燥SOFの上半分(基材と反対側)にあってもよく、または高度フッ素化または全フッ素化セグメントの大部分は、最終的に乾燥SOFの下半分(これは基材に隣接する)にあってもよい。
【0016】
非フッ素化分子ビルディングブロックは、堆積した湿潤層の頂部表面に添加されてもよく、これが、湿潤フィルムにおける変化を促進する際、乾燥SOF中の非フッ素化セグメントの不均質分布を有するSOFをもたらす。非フッ素化セグメントの大部分は、最終的に乾燥SOFの上半分(基材の反対側である)にあってもよく、または非フッ素化セグメントの大部分は、最終的に乾燥SOFの下半分(基材に隣接する)にあってもよい。
【0017】
SOF材料におけるフッ素含有量は、フッ素化ビルディングブロックまたは所与の分子ビルディングブロックのフッ素化度を変更することによって容易に変えることができる。フッ素化SOF組成物は疎水性であってもよく、ハイブリッド特性を有するフィルムを創製するために第2の特性(例えば電荷輸送)を有するように調整されてもよい。
【0018】
フッ素化SOFは、1つ以上の分子ビルディングブロックの反応によって製造されてもよく、ここで少なくとも1つの分子ビルディングブロックはフッ素を含有する。反応混合物中の分子ビルディングブロックのすべてが、フッ素を含有してもよい。異なるハロゲン、例えば塩素が、場合により分子ビルディングブロックに含有されてもよい。
【0019】
フッ素化分子ビルディングブロックは、炭素またはケイ素原子コアを含有する1つ以上のビルディングブロック;アルコキシコアを含有するビルディングブロック;窒素またはリン原子コアを含有するビルディングブロック;アリールコアを含有するビルディングブロック;カーボネートコアを含有するビルディングブロック;炭素環式コア、炭素二環式コア、または炭素三環式コアを含有するビルディングブロック;およびオリゴチオフェンコアを含有するビルディングブロックから誘導されてもよい。こうしたフッ素化分子ビルディングブロックは、1つ以上の水素原子をフッ素原子で置き換えるまたは交換することによって誘導されてもよい。1つ以上の上記分子ビルディングブロックは、すべての炭素結合水素原子がフッ素によって置き換えられてもよい。1つ以上の上記分子ビルディングブロックは、1つ以上の水素原子が、異なるハロゲン、例えば塩素によって置き換えられてもよい。フッ素に加えて、SOFは、他のハロゲンを含んでいてもよい。
【0020】
1つ以上のフッ素化分子ビルディングブロックは、SOFの100重量部に対して約5〜約100重量%、または少なくとも約50重量%のパーセンテージでフッ素化SOF中にあってもよい。
【0021】
フッ素化SOFは、H原子の約20%超過、またはH原子の約95%超過、またはH原子の約100%がフッ素原子で置き換えられてもよい。
【0022】
フッ素化SOFは、C結合H原子の約20%超過、または約50%超過、または約95%超過または約100%がフッ素原子で置き換えられてもよい。
【0023】
相当量の水素含有量はまた、SOF中にて、例えば炭素結合水素として存在してもよい。C−結合水素およびC−結合フッ素原子の合計に関して、水素原子のパーセンテージは、いずれかの所望の量に調整されてもよい。例えば、C結合水素とC結合フッ素との比は、約10未満であってもよく、例えばC結合水素とC結合フッ素との比は、約5未満、またはC結合水素とC結合フッ素との比は、約0.1未満、またはC結合水素とC結合フッ素との比は、約0.01未満であってもよい。
【0024】
フッ素化SOFのフッ素含有量は、約5重量%〜約75重量%、または約10重量%〜約50重量%であってもよい。一部のフッ素化SOFのフッ素含有量は、約10重量%以上、または約50重量%以上であってもよく、フッ素含有量の上限は、約75重量%または60重量%である。
【0025】
SOF中のいずれかの所望の量のセグメントがフッ素化されていてもよい。
フッ素含有セグメントのパーセントは、約10重量%超過、例えば約30重量%超過、または50重量%超過であってもよい;フッ素含有セグメントの上限は、100重量%または約70重量%未満であってもよい。
【0026】
本明細書に開示されるフッ素化SOFは、「溶媒耐性」SOF、キャッピングされたSOF、コンポジットSOF、および/または周期的SOFであってもよい。用語「溶媒耐性」とは、SOFが組み込まれた層の溶媒/応力クラッキングまたは劣化に対する感受性を増大させるような、(1)SOFおよび/またはSOF組成物(例えばコンポジットSOF)にかつて共有結合していた原子および/または分子を流出させること、および/または(2)かつてSOFおよび/またはSOF組成物(例えばコンポジットSOF)の一部であった分子を相分離させることが実質的にないことを指す。
【0027】
SOFは、巨視的な見方で、実質的にピンホールのないSOFであるか、または例えば1ミリメートルを超える長さ〜1メートル程度の長さの大きな長さにわたって広がり得る連続的な共有結合性有機骨格を有しているピンホールのないSOFであってもよい。
【0028】
「実質的にピンホールのないSOF」または「ピンホールのないSOF」は、下層基材の表面に堆積した反応混合物から形成されてもよい。用語「実施的にピンホールのないSOF」は、平方cmあたりの2つの隣接セグメントコア間の距離を超えるピンホール、孔またはギャップが実質的にない、またはcm2あたり約250ナノメートルを超える直径のピンホール、孔またはギャップが10個未満であるSOFを指す。用語「ピンホールのないSOF」は、ミクロン2あたりの2つの隣接セグメントのコア間の距離を超えるピンホール、孔またはギャップがない、またはミクロン2あたり約500オングストロームを超える直径のピンホール、孔またはギャップがないSOFを指す。
【0029】
フッ素化分子ビルディングブロックは、既知のプロセスによっていずれかの「親」非フッ素化分子ビルディングブロックのフッ素化から得られてもよい。例えば、「親」非フッ素化分子ビルディングブロックは、種々のフッ素化度を有するフッ素化分子ビルディングブロックの混合物を形成するために、高温、例えば約150℃超過の温度にて元素状フッ素を介して、または他の既知のプロセス工程によってフッ素化されてもよく、個々のフッ素化分子ビルディングブロックを得るために、場合により精製されてもよい。あるいは、フッ素化分子ビルディングブロックは、合成されてもよく、および/または所望のフッ素化分子ビルディングブロックを単純に購入することによって得られてもよい。「親」非フッ素化分子ビルディングブロックのフッ素化分子ビルディングブロックへの転化は、既知の反応条件の単一セットまたは範囲を利用する反応条件下で行われてもよく、既知の1工程反応または既知の多工程反応であってもよい。例示的な反応は、1つ以上の既知の反応機構、例えば添加および/または交換を含んでいてもよい。
【0030】
例えば、親非フッ素化分子ビルディングブロックのフッ素化分子ビルディングブロックへの転化は、非フッ素化分子ビルディングブロックを既知の脱ハロゲン化水素添加剤と接触させて、フッ素化分子ビルディングブロックを生成することを含んでいてもよい。脱ハロゲン化水素添加工程は、H原子の少なくとも約50%、またはH原子の約95%超過、またはH原子の約100%がフッ素原子で置き換えられるような転化率を与えるのに有効な条件下で行われてもよい。脱ハロゲン化水素添加工程は、水素、例えば炭素結合水素の少なくとも約99%がフッ素で置き換えられるような転化率を与えるのに有効な条件下で行われてもよい。こうした反応は、液相または気相において行われてもよく、または気液相の組み合わせにて行われてもよく、反応は、バッチ様、連続式またはこれらの組み合わせで行うことができることが想定される。こうした反応は、触媒、例えば活性炭の存在下で行われてもよい。他の触媒は、単独でもしくは互いに組み合わせて、あるいはフッ素化される特定の分子ビルディングブロックの要件に依存して使用されてもよい(例えばパラジウム系触媒、白金系触媒、ロジウム系触媒およびルテニウム系触媒を含む)。
【0031】
分子ビルディングブロックは、少なくとも2つの官能基(x≧2)を必要とし、単一タイプまたは2つ以上のタイプの官能基を含んでいてもよい。
【0032】
分子ビルディングブロックの対称性は、分子ビルディングブロックセグメントの周辺付近の官能基(Fg)の位置決めに関連する。対称型のビルディングブロックの使用は、(1)規則的な形状の連結が網化学(reticular chemistry)においてよく理解されたプロセスであるので、分子ビルディングブロックのパターニングは問題なく利用できる、および(2)分子ビルディングブロック間の完全な反応は、対称性の劣るビルディングブロックについて、SOF内の複数の連結欠陥を起こし得る可能性がある逸脱した配座/配向を適合できるために促進されるという2つの理由から実施される。
【0033】
図1A〜Oは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示す。こうした対称型要素は、使用され得るビルディングブロックに見出される。こうした例示的なビルディングブロックは、フッ素化されてもよく、またはフッ素化されてなくてもよい。
【0034】
例示的なフッ素化分子ビルディングブロックは、炭素またはケイ素原子コアを含有するフッ素化ビルディングブロック、アルコキシコアを含有するビルディングブロック;窒素またはリン原子コアを含有するビルディングブロック;アリールコアを含有するビルディングブロック;カーボネートコアを含有するビルディングブロック;炭素環式コア、炭素二環式コア、または炭素三環式コアを含有するビルディングブロック;およびオリゴチオフェンコアを含有するビルディングブロックから得られてもよい。こうしたフッ素化分子ビルディングブロックは、非フッ素化分子ビルディングブロックの高温、例えば約150℃超過の温度での元素状フッ素によるフッ素化、または他の既知のプロセス工程によって、または所望のフッ素化分子ビルディングブロックを単に購入することによって得られてもよい。
【0035】
官能基は、分子ビルディングブロックの反応性化学部分であり、SOF形成プロセス中に、セグメント同士を連結させる化学反応に関与する。官能基の非限定例としては、ハロゲン、アルコール、エーテル、ケトン、カルボン酸、エステル、カーボネート、アミン、アミド、イミン、尿素、アルデヒド、イソシアネート、トシレート、アルケン、アルキンなどが挙げられる。
【0036】
セグメントは、官能基を保持し、官能基に関連しない全原子を含む分子ビルディングブロックの一部分である。さらに、分子ビルディングブロックセグメントの組成は、SOF形成後も変化しないままである。
【0037】
SOFのセグメントは、炭素でない少なくとも1つの元素原子を含んでいてもよく、こうした少なくとも1つの原子は、水素、酸素、窒素、ケイ素、リン、セレニウム、ホウ素、および硫黄からなる群から選択される。
【0038】
リンカーは、分子ビルディングブロックおよび/またはキャッピングユニットに存在する官能基間での化学反応時にSOF中に現れる化学部分である。
【0039】
リンカーは、共有結合、単一原子、または共有結合された原子の群を含んでいてもよい。化学部分リンカーは、周知の化学基、例えばエステル、ケトン、アミド、イミン、エーテル、ウレタン、カーボネートなど、またはそれらの誘導体であってもよい。
【0040】
SOFは、いずれかの適切なアスペクト比を有する。SOFは、アスペクト比が、例えば約30:1より大きく、または約100:1より大きくてもよい。SOFのアスペクト比は、その平均厚さ(すなわち、最も短い寸法)に対する、その平均の幅または直径(厚さに対して次に大きな寸法)の比であると定義される。SOFの最も長い寸法は、長さであり、SOFアスペクト比の計算では考慮されない。
【0041】
フッ素化SOFは、単一層(モノセグメント厚さまたはマルチセグメント厚さ)または複数層(各層はモノセグメント厚さまたはマルチセグメント厚さである)であってもよい。「厚さ」は、フィルムの最小寸法を指す。上記のように、SOFにおいて、セグメントは、フィルムの分子骨格を生じるようにリンカーを通して共有結合された分子ユニットである。フィルムの厚さはまた、フィルムの断面を見た場合に、フィルムのその軸に沿って計数されるセグメントの数に関して定義されてもよい。「単層」SOFは、最も単純な場合であり、例えばフィルムが1つのセグメント厚さであるものを指す。2つ以上のセグメントがこの軸に沿って存在するSOFは、「マルチセグメント」厚さSOFと称される。
【0042】
COFは、高い熱安定性(典型的には、周囲条件下で400℃よりも高い);有機溶媒への低い溶解度(化学安定性)、および多孔性(ゲストを可逆的に取り込むことができる)といった固有の特性を有する。SOFはまた、これらの固有の特性を有していてもよい。
【0043】
追加の機能は、従来のCOFに固有でない特性を示し、分子ビルディングブロックの選択によって生じてもよく、その分子組成が得られたSOFに追加の機能を提供する。
【0044】
分子ビルディングブロックの「偏った特性」という用語は、ある特定の分子組成について存在することが知られている特性、またはセグメントの分子組成を観察すれば、当業者ならば合理的に特定可能な特性を指す。用語「偏った特性」および「追加機能」は、同じ一般的特性(疎水性、電気活性等)を指すが、「偏った特性」は、分子ビルディングブロックに関連して使用され、「追加機能」は、SOFに関連して使用される。
【0045】
SOFの疎水性(超疎水性)、親水性、疎油性(超疎油性)、親油性、光発色性および/または電気活性(導体、半導体、電荷輸送材料)性質は、SOFの「追加機能」を表し得る特性の一部の例である。
【0046】
用語疎水性(超疎水性)は、水、または他の極性種をはじく特性を指す。疎水性材料は、接触角ゴニオメータまたは関連装置を用いて測定される場合に、90°を超える水接触角を有する。高い疎水性は、約130°〜約180°の水接触角を有する。超疎水性は、約150°を超える水接触角を有する。
【0047】
超疎水性は、水滴が約1°〜約30°未満のスライディング角度または約10°未満のスライディング角度のような表面に関するスライディング角度を形成する場合として記載できる。
【0048】
用語親水性は、水または他の極性種、あるいは表面を引き付ける、吸着または吸収する特性を指す。
【0049】
用語疎油性(撥油性)は、油または他の非極性種、例えばアルカン、脂肪およびワックスをはじく特性を指す。疎油性は、接触角ゴニオメータまたは関連装置を用いて測定される場合に、90°を超える油接触角を有する。用語撥油性は、UV硬化性インク、固体インク、ヘキサデカン、ドデカン、炭化水素などに関して、およそ約55°以上の油接触角を有する表面の濡れ性を指す。
高度に撥油性は、炭化水素系液滴が表面に関して高い接触角、例えば約130°、または約135°〜約170°の接触角を形成する場合と記載される。超撥油性は、炭化水素系液滴が表面に関して高い接触角、例えば約150°を超える接触角を形成する場合と記載される。
【0050】
本明細書で使用される場合に超撥油性も、炭化水素系液滴、例えばヘキサデカンが表面に関して約1°〜約30°未満、または約10°未満のスライディング角度を形成する場合と記載され得る。
【0051】
用語親油性(オレオフィリック)は、油または他の非極性種、例えばアルカン、脂肪、およびワックスを引き付ける特性またはこうした種によって容易に濡らされる表面を指す。親油性材料は、通常、接触角ゴニオメータを用いて測定される場合に、低〜無油接触角を有するという特徴がある。親油性は、ヘキサンまたは他の非極性油による材料が膨潤するという特徴もある。
【0052】
種々の方法が、濡れ性または接触角を定量するために利用可能である。例えば、濡れ性は、基材によって形成され、接触点での液滴の表面に対するタンジェントである、接触角として測定できる。詳細には、接触角は、Fibro DAT1100を用いて測定されてもよい。接触角は、液体と基材との間の相互作用を決定する。特定体積の流体の液滴が、マイクロピペットを用いて試料表面に自動的に塗布されてもよい。基材と接触する液滴の画像は、特定の時間間隔にて、ビデオカメラによって撮影される。液滴と基材との間の接触角は、撮影された画像に対して画像分析技術によって決定される。接触角の変化割合は、時間関数として計算される。
【0053】
電気活性という用語は、電荷(電子および/または正孔)を輸送する特性を指す。電気活性材料としては、導体、半導体、電荷輸送材料が挙げられる。導体は、電位差がある状態で電荷を簡単に輸送する材料であると定義される。半導体は、それ自体は電荷を伝導しないが、電位差があり、刺激(例えば、電場、電磁照射、熱など)が加えられた状態で導電性になり得る材料であると定義される。電荷輸送材料は、電位差のある状態で、別の材料(例えば、染料、顔料または金属)から電荷が注入されると、電荷を輸送することができる材料であると定義される。
【0054】
さらに、導体は、電位差計を用い、約0.1〜約107S/cmのシグナルが得られる材料であると定義されてもよい。
【0055】
半導体は、さらに、刺激(例えば、電場、電磁照射、熱など)が加えられた状態で、電位差計を用い、約10−6〜約104S/cmのシグナルが得られる材料であると定義されてもよい。あるいは、半導体は、加えられた刺激(例えば、電場、電磁照射、熱など)に曝されると、飛行時間技術を用いて測定した場合、10−10〜約106cm2V−1s−1の範囲の電子移動度および/または正孔移動度を有する材料であると定義されてもよい。
【0056】
電荷輸送材料は、さらに、飛行時間技術を用いて測定した場合、10−10〜約106cm2V−1s−1の範囲の電子移動度および/または正孔移動度を有する材料であると定義されてもよい。
【0057】
フッ素含有ポリマーは、対応する炭化水素ポリマーよりも低い表面エネルギーを有することが知られている。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、ポリエチレンより低い表面エネルギーを有する(20mN/m対35.3mN/m)。フッ素のSOFへの導入、特にフッ素がフィルムの表面に存在する場合、対応する非フッ素化SOFに比較してSOFの表面エネルギーを調節するために使用されてもよい。大抵の場合、フッ素のSOFへの導入は、フィルム表面エネルギーを低下させる。SOFの表面エネルギーが調節される程度は、例えばSOFの表面にておよび/またはSOFのバルク内でのフッ素化および/またはフッ素のパターニングの度合いに依存してもよい。SOFの表面でのフッ素化および/またはフッ素のパターニングの度合いは、調整され得るパラメータである。
【0058】
高度フッ素化セグメントを含むまたは保持する分子ビルディングブロックは、偏った疎水性特性を有し、疎水性追加機能を有するSOFを導いてよい。高度フッ素化セグメントは、セグメントに存在するフッ素原子の数を、1を超えるセグメントに存在する水素原子の数で割ったものとして定義される。高度フッ素化セグメントではないフッ素化セグメントも、疎水性の追加機能を有するSOFを導き得る。
【0059】
フッ素化SOFは、分子ビルディングブロック、セグメント、および/またはリンカーのいずれかのバージョンから製造されてもよく、ここで分子ビルディングブロックの1つ以上の水素はフッ素で置き換えられる。
【0060】
上述のフッ素化セグメントは、例えば一般構造HOCH2(CF2)nCH2OHのフッ素化アルコールおよびそれらの対応するジカルボン酸およびアルデヒドを含んでいてもよく、ここでnは、1以上、例えば1〜約100、または1〜約60、または2〜約30の値を有する整数であり;テトラフルオロヒドロキノン;ペルフルオロアジピン酸水和物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物;4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノールなどを挙げることができる。
【0061】
追加機能として電気活性を有するSOFは、偏った電気活性特性を有する分子ビルディングブロックを用いて調製されてもよく、および/または共役したセグメントおよびリンカーの集合体から電気活性が生じてもよい。以下の章で、偏った正孔輸送性、偏った電子輸送性、偏った半導体性を有する分子ビルディングブロックについて記載する。
【0062】
フッ素化SOFを製造するプロセスは、典型的には、多くの作業または工程を含み、任意の適切な順序で行ってもよく、または、2つ以上の作業を同時に行ってもよく、非常に近い時間に行ってもよい:
構造化された有機フィルムを調製するプロセスは、
(a)それぞれがセグメント(少なくとも1つのセグメントがフッ素を含み得る)と多くの官能基とを含む複数の分子ビルディングブロックおよびプレSOFを含む、液体を含有する反応混合物を調製することと;
(b)この反応混合物を濡れたフィルムとして堆積させることと;
(c)分子ビルディングブロックを含む湿潤フィルムの、複数のセグメントと、共有結合性有機骨格として整列した複数のリンカーとを含むSOFを含む乾燥したフィルムへの変化を促進し、この共有結合性有機骨格が、巨視的な見方だとフィルムであることと;
(d)場合により、基材からSOFを取り外し、自立型SOFを得ることと;
(e)場合により、この自立型SOFをロールへと加工することと;
(f)場合により、このSOFを切断し、ベルトになるように縫い合わせることと;
(g)場合により、SOF(上述のSOF形成プロセスによって調製された)を基材として用い、次のSOF形成プロセスで上述のSOF形成プロセスを行うことと;を含む。
【0063】
フッ素化SOF液体含有反応混合物の利点は、それらの均質性である。当該技術分野において、フッ素化分子は、溶媒への溶解度が劣ることがある。本開示は、フッ素化SOF液体含有反応混合物を含み、ここで分子ビルディングブロック(例えばフッ素化分子ビルディングブロック)は、場合によりプレSOF工程を用いて容易に溶解される。
【0064】
反応混合物は、液体に溶解するか、懸濁するか、または混合するような複数の分子ビルディングブロックを含む。複数の分子ビルディングブロックは、1種類であってもよく、または2種類以上を含んでいてもよい。1つ以上の分子ビルディングブロックが液体である場合、さらなる液体の使用は任意である。触媒は、場合により、上述の作用Cの間に、プレSOF形成を可能にするおよび/またはSOF形成の動力学を変更するために反応混合物に添加されてもよい。用語「プレSOF」は、反応していて、出発分子ビルディングブロックより高い分子量を有し、実質的に欠陥を含まないまたは欠陥を全く含まないSOFであってもよいSOFを得るために他のビルディングブロックまたはプレSOFの官能基を用いたさらなる反応、および/またはフィルム形成プロセスに関して向上したまたは改質された反応性を付与する分子ビルディングブロック官能基の「活性化」を行うことができる複数の官能基を含有する少なくとも2つの分子ビルディングブロックを指してもよい。
【0065】
反応混合物成分(分子ビルディングブロック、場合により液体、場合により触媒、場合により添加剤)は容器にて組み合わせられる。反応混合物の成分を加える順序は、様々であってもよいが、典型的には、SOFを調製するプロセスが、プレSOFを含むか、またはプレSOFの形成を含む場合、存在する場合には触媒を、反応混合物を湿潤フィルムとして堆積させる前に反応混合物に加えてもよい。反応混合物はまた、湿潤フィルムとして反応混合物を堆積させる前に配合物成分の均一分布を確実にするために、混合、撹拌、ミル加工などを行ってもよい。
【0066】
反応混合物を、湿潤フィルムとして堆積させる前に加熱してもよい。これは、1つ以上の分子ビルディングブロックの溶解を助け、および/またはプレSOFを形成するために湿潤層を堆積させる前に反応混合物の部分反応によって、反応混合物の粘度を増大させてもよい。例えば、プレ反応した分子ビルディングブロックであるプレSOFに組み込まれる反応混合物中の分子ビルディングブロックの重量%は、20%未満、例えば約15%〜約1%、または10%〜約5%であってもよい。95%のプレSOF分子の分子量は、5,000ダルトン未満、例えば、2,500ダルトン未満、または1,000ダルトン未満である。プレSOFの調製は、反応混合物中の分子ビルディングブロックの保有量を増大させるために使用されてもよい。
【0067】
官能基活性化を介するプレSOF形成の場合、活性化される官能基のモルパーセンテージは、50%未満、例えば約30%〜約10%、または約10%〜約5%であってもよい。
【0068】
プレSOF形成の2つの方法(分子ビルディングブロック間の反応によるプレSOF形成または分子ビルディングブロック官能基の「活性化」によるプレSOF形成)は、組み合わせて行われてもよく、プレSOFに組み込まれた分子ビルディングブロックは、活性化された官能基を含有してもよい。分子ビルディングブロック間の反応によるプレSOF形成および分子ビルディングブロック官能基の「活性化」によるプレSOFの形成は、同時に行われてもよい。
【0069】
プレSOF形成の期間は、約10秒から約48時間、例えば約30秒〜約12時間、または約1分〜6時間継続する。
【0070】
反応混合物の粘度は、約10〜約50,000cps、例えば約25〜約25,000cps、または約50〜約1000cpsの範囲である。
【0071】
分子ビルディングブロックおよびキャッピングユニットを保有すること、または反応混合物中の「保有量」は、分子ビルディングブロックと、場合により、キャッピングユニットおよび触媒との総重量を、反応混合物の総重量で割ったものであると定義される。ビルディングブロックの保有量は、約3〜100%、例えば、約5〜約50%、または約15〜約40%の範囲であってもよい。プレSOFは、疎水性追加機能、超疎水性追加機能、親水性追加機能、疎油性追加機能、超疎油性追加機能、親油性追加機能、光発色性追加機能、および電気活性追加機能からなる群から選択される1つ以上の追加機能を有するビルディングブロックから製造されてもよい。
【0072】
反応混合物中で用いられる液体は、純粋な液体(例えば、溶媒)であってもよく、および/または溶媒混合物であってもよい。液体は、反応混合物中に分子ビルディングブロックおよび触媒/改質剤を溶解または懸濁するために使用される。液体選択は、一般に分子ビルディングブロックの溶解度/分散性と、特定のビルディングブロックの保有量とのバランスをとること、反応混合物の粘度および液体の沸点に基づき、それが湿潤層の乾燥SOFへの促進に影響を与える。好適な液体は、沸点が約30〜約300℃、例えば、約65℃〜約250℃、または約100℃〜約180℃であってもよい。
【0073】
液体としては、アルカン;混合アルカン;分岐アルカン;芳香族化合物;エーテル、環状エーテル;エステル;ケトン;環状ケトン;アミン;アミド;アルコール;ニトリル;ハロゲン化芳香族;ハロゲン化アルカン;および水などの種類の分子を挙げることができる。
【0074】
場合により、反応混合物中に触媒を存在させて、湿潤層の乾燥したSOFへの促進を補助してもよい。任意の触媒の選択および使用は、分子ビルディングブロックの官能基によって変わる。典型的な触媒の保有量は、反応混合物中の分子ビルディングブロックの保有量の約0.01%〜約25%、例えば約0.1%〜約5%の範囲である。触媒は、最終的なSOF組成物中に存在していてもよく、存在していなくてもよい。
【0075】
場合により、添加剤または第2の成分(例えば、ドーパント)が、反応混合物および湿潤層に存在していてもよい。また、このような添加剤または第2の成分を、乾燥SOFに組み込んでもよい。用語「添加剤」または「第2の成分」は、SOF中に共有結合していないが、組成物にランダムに分布している原子または分子を指す。こうした添加剤を用い、SOFの物理的性質、例えば、電気的特性(導電性、半導体性、電気輸送性、正孔輸送性)、表面エネルギー(疎水性、親水性)、引張強度、熱伝導性を変えてもよく;このような添加剤としては、衝撃改質剤、強化繊維、潤滑剤、静電気防止剤、カップリング剤、濡れ性付与剤、曇り止め剤、難燃剤、紫外線安定化剤、酸化防止剤、殺虫剤、染料、顔料、着臭剤、脱臭剤、成核剤などを挙げることができる。
【0076】
SOFに存在するフルオロエラストマー化合物の量は、SOFの総固形分の重量%で、約1〜約50重量%、または約2〜約10重量%である。金属粒子は、存在する場合、SOFコンポジットに任意の望ましい量または任意の有効な量で存在していてもよく、例えば、SOFの約0.25重量%〜約70重量%、またはSOFの約1重量%〜約15重量%の量で存在していてもよい。
【0077】
第2の成分または添加剤は、存在する場合、それぞれが、または組み合わせた状態で、組成物中に任意の望ましい量または任意の有効な量で存在していてもよく、例えば、組成物の約1重量%〜約50重量%、または組成物の約1重量%〜約20重量%の量で存在していてもよい。
【0078】
SOFを、第2の成分(ドーパントおよび添加剤、例えば、正孔輸送分子(mTBD)、ポリマー(ポリスチレン)、ナノ粒子(C60 Buckminsterフラーレン)、有機低分子(ビフェニル)、金属粒子(銅微粉末)、電子受容体(キノン)およびフッ素化粒子(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))で改質し、コンポジット構造化有機フィルムを得てもよい。第2の成分は、濡れたフィルムを生じさせるために使用される液体配合物に導入されてもよく、ここでSOFを形成するための変化が促進される。第2の成分(ドーパント、添加剤など)は、反応混合物中に溶解されてもよく、または溶解されなくてもよい(懸濁されてもよい)。
【0079】
反応混合物を、多くの液体堆積技術を用い、湿潤フィルムとして種々の基材、例えばプリントヘッドの前面に適用してもよい。
【0080】
基材としては、例えばポリマー、紙、金属、金属アロイ、周期律表のIII族〜VI族の元素がドープされた形態およびドープされていない形態、金属酸化物、金属カルコゲニド、あらかじめ調製しておいたSOFが挙げられる。
【0081】
基材厚さは、約10マイクロメートルから10ミリメートルを超えてもよく、例示的な厚さは特に可撓性プラスチック基材について約50〜約100マイクロメートル、硬質基材、例えばガラスまたはケイ素については約1〜約10ミリメートルであってもよい。
【0082】
多くの液体堆積技術を用い(例えば、スピンコーティング、ブレードコーティング、ウェブコーティング、浸漬コーティング、カップコーティング、ロッドコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、スプレーコーティング、スタンピングなどを含む)、反応混合物を基材に適用してもよい。湿潤層の厚みは、約10nm〜約5mm、例えば、約100nm〜約1mm、または約1μm〜約500μmの範囲であってもよい。
【0083】
キャッピングユニットおよび/または第2の成分は、上述のプロセス作用Bの完了後に導入されてもよい。
【0084】
キャッピングユニットおよび/または第2の成分は、均質または不均質様式(種々のパターンを含む)で形成された湿潤層に適用されてもよく、ここでキャッピングユニットおよび/または第2の成分の濃度または密度は、湿潤層において所与の幅の、キャッピングユニットおよび/または第2の成分の高濃度および低濃度の交互バンドパターンを形成するなどのために特定領域で低下させる。
【0085】
用語「促進する」は、分子ビルディングブロックおよび/またはプレSOFの反応、例えば、ビルディングブロックおよび/またはプレSOFの官能基の化学反応を容易にする任意の適切な技術を指す。液体を除去して乾燥フィルムを作成する必要がある場合には、「促進する」は、液体を除去することも指す。分子ビルディングブロックおよび/またはプレSOFの反応および液体の除去は、連続して行われてもよく、または同時に行われてもよい。液体は、分子ビルディングブロックの1つでもあり、SOFに組み込まれてもよい。用語「乾燥SOF」は、例えば液体の含有量がSOFの約5重量%未満、または液体の含有量がSOFの2重量%未満の、実質的に乾燥したSOFを指す。
【0086】
フッ素化乾燥SOFのフッ素含有量は、約5重量%〜約75重量%、または約10重量%〜約50重量%であってもよい。フッ素化乾燥SOFのフッ素含有量は、約10重量%以上、または50重量%以上であり、フッ素含有量の上限は、約75重量%である。
【0087】
湿潤層から乾燥SOFの形成を促進することは、いずれかの適切な技術によって達成されてもよい。湿潤層から乾燥SOFの形成の促進は、典型的には、オーブンでの乾燥、赤外線(IR)などを含む、温度が40〜350℃の範囲、60〜200℃の範囲、85〜160℃の範囲での熱処理を含む。総加熱時間は、約4秒〜約24時間、例えば1分〜120分の範囲であることができる。
【0088】
第2の成分の分子サイズは、湿潤層の乾燥SOFへの促進の間に、第2の成分がSOFの骨格内に捕捉され、捕捉された第2の成分が液体トナーまたは溶媒に曝露される間にSOFからもれないように、選択されてもよい。
【0089】
湿潤層をCOFフィルムにするようにIRによって促進することは、ベルト輸送システムに取り付けられたIR加熱モジュールを用いて達成されてもよい。種々の種類のIRエミッタを用いてもよく、例えば、炭素IRエミッタまたは短波IRエミッタ(Heraerusから入手可能)を用いてもよい。炭素IRエミッタまたは短波IRエミッタに関するさらなる例示的な情報を以下の表にまとめている(表1)。
【表1】
【0090】
自立型のSOFは、湿潤層の堆積物を支えるために接着性の低い適切な基材を用いる場合に、得られてもよい。
【0091】
場合により、自立型SOFまたは可撓性基材によって支持されるSOFは、ロールに処理されてもよい。
【0092】
SOFは、多層構造化有機フィルムを与えるSOF形成プロセスに基材として使用されてもよい。多層SOFの層は、化学的に結合し、または物理的に接触してもよい。化学的に結合した多層SOFは、基材SOF表面に存在する官能基が第2の構造化有機フィルム層を形成するために使用される堆積した湿潤層に存在する分子ビルディングブロックと反応できる場合に形成される。物理的接触状態の多層SOFは、互いに化学的に結合していなくてもよい。
【0093】
SOFは、パターニングされたセグメントの微視的配置であってもよい。用語「パターニング」は、セグメントが互いに連結される配列を指し、例えばここでセグメントAがセグメントBだけに連結される、および反対にセグメントBがセグメントAだけに連結される。必要とされるパターニングの最小度合いは、本明細書に記載されるプロセスを用いてフィルムを形成するために必要とされるものであり、目的とするリンカーの約20%以上、または目的とするリンカーの約40%以上の形成として定量されてもよく、本開示によって具現化されるパターニングの公称度合いは、目的とするリンカーの約60%、例えば目的とするリンカーの約100%の形成である。
【0094】
試験手順および表面自由エネルギー計算は、ダブルブレードカッターによって15mm×50〜145mmにサンプルを切断することを含む。サンプル厚さは、標準ホルダーを用いて1.5mm未満、自家製特別ホルダーを用いて5.0mm未満であるべきである。サンプルは、二重サイドテープでサンプルホルダーに載置した。3つの試験液体、水、ホルムアミドおよびジヨードメタンを、接触角測定全体を通して使用した。サンプル利用可能性に依存して約8滴を生じさせ、接触角を測定した。0.1s、1sおよび10sデータについての平均接触角を記録した。表面自由エネルギー、極性表面エネルギーの酸および塩基成分ならびに分散性成分は、ルイス酸−塩基方法を用いて計算した。
【0095】
ルイス酸−塩基理論は、固液界面エネルギーに関する以下の式によって与えられる。
【数1】
式中
(LW)、(+)、(−)は、SFEインデックスの分散性、酸および塩基成分であり;
jは液体1、2、3を指し;
θjは、基材上のj番目の液体の接触角であり;
γjは、液体jの表面張力であり;および
下付き文字sは固体を指す。
【実施例1】
【0096】
(作用A)反応混合物を含有する液体の調製。以下を組み合わせた:ビルディングブロックのオクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール[セグメント=オクタフルオロ−1,6−ヘキシル;Fg=ヒドロキシル(−OH);(0.43g,1.65mmol)]、第2のビルディングブロックN4,N4,N4’,N4’−テトラキス(4−(メトキシメチル)フェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン[セグメント=N4,N4,N4’,N4’−テトラ−p−トリルビフェニル−4,4’−ジアミン;Fg=メトキシエーテル(−OCH3);(0.55g,0.82mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.05gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.04gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、および2.96gの1−メトキシ−2−プロパノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0097】
(作用B)湿潤フィルムとしての反応混合物の堆積。反応混合物を、10milギャップを有するバードバーを装備した定速ドローダウンコーターを用いて、金属化された(TiZr)MYLARTM基材の反射側に適用した。
【0098】
(作用C)湿潤フィルムの乾燥SOFへの変化の促進。湿潤層を支持する金属化されたMYLAR(登録商標)基材は、155℃に予熱された活性ベント型オーブンに素早く移し、40分間加熱した。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる6〜8ミクロンの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【実施例2】
【0099】
(作用A)以下を組み合わせた:ビルディングブロックのドデカフルオロ−1,8−オクタンジオール[セグメント=ドデカンフルオロ−1,8−オクチル;Fg=ヒドロキシル(−OH);(0.51g,1.41mmol)]、第2のビルディングブロックN4,N4,N4’,N4’−テトラキス(4−(メトキシメチル)フェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン[セグメント=N4,N4,N4’,N4’−テトラ−p−トリルビフェニル−4,4’−ジアミン;Fg=メトキシエーテル(−OCH3);(0.47g,0.71mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.05gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.04gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、および2.96gの1−メトキシ−2−プロパノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0100】
(作用B)実施例1と同じ。
【0101】
(作用C)実施例1と同じ。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる6〜8ミクロンの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【実施例3】
【0102】
(作用A)以下を組み合わせた:ビルディングブロックのヘキサデカフルオロ−1,10−デカンジオール[セグメント=ヘキサデカフルオロ−1,10−デシル;Fg=ヒドロキシル(−OH);(0.57g,1.23mmol)]、第2のビルディングブロックN4,N4,N4’,N4’−テトラキス(4−(メトキシメチル)フェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン[セグメント=N4,N4,N4’,N4’−テトラ−p−トリルビフェニル−4,4’−ジアミン;Fg=メトキシエーテル(−OCH3);(0.41g,0.62mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.05gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.04gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、および2.96gの1−メトキシ−2−プロパノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0103】
(作用B)実施例1と同じ
【0104】
(作用C)実施例1と同じこれらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる6〜8マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【実施例4】
【0105】
(作用A)以下を組み合わせた:ビルディングブロックのオクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール[セグメント=オクタフルオロ−1,6−ヘキシル;Fg=ヒドロキシル(−OH);(1.98,7.55mmol)]、第2のビルディングブロックN2,N2,N4,N4,N6,N6−ヘキサキス(4−(メトキシメチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン[セグメント=N2,N2,N4,N4,N6,N6−ヘキサキス(メチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン;Fg=メトキシ(−OMe);(0.99g,2.54mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.10gのp−トルエンスルホン酸30重量%溶液として送達される酸触媒、および6.93gの1,4−ジオキサン。混合物を振とうし、75℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0106】
(作用B)反応混合物を、20milギャップを有するバードバーを装備した定速ドローダウンコーターを用いて、金属化された(TiZr)MYLAR(登録商標)基材の反射面に適用した。
【0107】
(作用C)濡れた層を支持する金属化されたMYLAR(登録商標)基材は、155℃に予熱された活性ベント型オーブンに素早く移し、40分間加熱した。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる4〜5マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFは透明であった。
【実施例5】
【0108】
(作用A)以下を組み合わせた:ビルディングブロックのオクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール[セグメント=オクタフルオロ−1,6−ヘキシル;Fg=ヒドロキシル(−OH);(1.49,5.68mmol)]、第2のビルディングブロックN2,N2,N4,N4,N6,N6−ヘキサキス(4−(メトキシメチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン[セグメント=N2,N2,N4,N4,N6,N6−ヘキサキス(メチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン;Fg=メトキシ(−OMe);(1.48g,3.79mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.10gのp−トルエンスルホン酸30重量%溶液として送達される酸触媒、および6.93gの1,4−ジオキサン。混合物を振とうし、75℃で1時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0109】
(作用B)実施例4と同じ。
【0110】
(作用C)実施例4と同じ。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる10〜11マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFは透明であった。
【実施例6】
【0111】
作用A)反応混合物を含有する液体の調製。以下を組み合わせた:ビルディングブロックのドデカフルオロ−1,6−オクタンジオール[セグメント=ドデカフルオロ−1,6−オクチル;Fg=ヒドロキシル(−OH);(2.18,8.32mmol)]、第2のビルディングブロックN2,N2,N4,N4,N6,N6−ヘキサキス(4−(メトキシメチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン[セグメント=N2,N2,N4,N4,N6,N6−ヘキサキス(メチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン;Fg=メトキシ(−OMe);(0.79g,2.02mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.10gのp−トルエンスルホン酸30重量%溶液として送達される酸触媒、および6.93gの1,4−ジオキサン。混合物を振とうし、75℃で1時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0112】
(作用B)実施例4と同じ。
【0113】
(作用C)実施例4と同じ。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる4〜5マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFは透明であった。
【実施例7】
【0114】
(作用A)反応混合物を含有する液体の調製。以下を組み合わせた:ビルディングブロックのドデカフルオロ−1,6−オクタンジオール[セグメント=ドデカフルオロ−1,6−オクチル;Fg=ヒドロキシル(−OH);(2.18,8.32mmol)]、第2のビルディングブロックN2,N2,N4,N4,N6,N6−ヘキサキス(4−(メトキシメチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン[セグメント=N2,N2,N4,N4,N6,N6−ヘキサキス(メチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン;Fg=メトキシ(−OMe);(0.79g,2.02mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.10gのp−トルエンスルホン酸30重量%溶液として送達される酸触媒、および6.93gの1,4−ジオキサン。混合物を振とうし、75℃で1時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0115】
(作用B)実施例4と同じ。
【0116】
(作用C)実施例4と同じ。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる4〜5マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFは透明であった。
【実施例8】
【0117】
(作用A)以下を組み合わせた:ビルディングブロックのドデカフルオロ−1,6−オクタンジオール[セグメント=ドデカフルオロ−1,6−オクチル;Fg=ヒドロキシル(−OH);(0.80,2.21mmol)]、第2のビルディングブロック4,4’,4’’,4’’’−(ビフェニル−4,4’−ジイルビス(アザネトリル)テトラキス(ベンゼン−4,1−ジイル))テトラメタノール;[セグメント=ブロック4,4’,4’’,4’’’−(ビフェニル−4,4’−ジイルビス(アザネトリル)テトラキス(ベンゼン−4,1−ジイル))テトラメチル;ヒドロキシル(−OH);(0.67g,1.10mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.08gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.02gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、6.33gの1−メトキシ−2−プロパノール、および2.11gのシクロヘキサノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0118】
(作用B)実施例4と同じ。
【0119】
(作用C)実施例4と同じ。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる5〜6マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【実施例9】
【0120】
(作用A)以下を組み合わせた:ビルディングブロックのドデカフルオロ−1,6−オクタンジオール[セグメント=ドデカフルオロ−1,6−オクチル;Fg=ヒドロキシル(−OH);(0.64,1.77mmol)]、第2のビルディングブロック4,4’,4’’,4’’’−(ビフェニル−4,4’−ジイルビス(アザネトリル)テトラキス(ベンゼン−4,1−ジイル))テトラメタノール;[セグメント=ブロック4,4’,4’’,4’’’−(ビフェニル−4,4’−ジイルビス(アザネトリル)テトラキス(ベンゼン−4,1−ジイル))テトラメチル;ヒドロキシル(−OH);(0.54g,0.89mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.06gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.05gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、2.10gの1−メトキシ−2−プロパノール、および0.70gのシクロヘキサノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0121】
(作用B)実施例4と同じ。
【0122】
(作用C)実施例4と同じ。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる6〜8マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【0123】
SOFは、ステンレススチールおよびポリイミド基材にコーティングされた場合に高品質のフィルムを製造した。SOFは、損傷/基材からの剥離がなく、取り扱われ、研磨され、固定できた。
【0124】
表2には、調製したフッ素化SOFのさらなる詳細をまとめている。すべての場合で、フィルムは、Mylarでコーティングされ、155℃で40分間硬化させた。
【表2−1】
【表2−2】
【表2−3】
【0125】
濡れ性実験は、フッ素化SOFが、フッ素を含有しなかったコントロールSOFに比べて顕著に大きな撥水性を示すことを明らかに示す。フッ素化SOFの初期水接触角測定は、80°を超えた。
【背景技術】
【0001】
化学構造が共有結合によって拡張された構造に連結された分子を含む材料は、2つの分類に分けられることができる:(1)ポリマーおよび架橋されたポリマー、ならびに(2)共有結合性有機骨格(共有結合により連結した有機ネットワークとしても知られる)。
【0002】
第1の分類であるポリマーおよび架橋されたポリマーは、通常、分子モノマーの重合によって具現化され、共有結合された分子の線状長鎖を形成する。ポリマー化学プロセスにより、重合された鎖は、順にまたは同時に「架橋された」状態になり得る。ポリマー化学の性質では、形成された材料の分子レベルでの構造を制御するのが難しい、すなわちポリマー鎖の組織化および鎖間の分子モノマーのパターニングが大抵の場合ランダムである。
【0003】
ポリマーおよび架橋されたポリマーにフッ素含有量を一体化させることにより、それらの有用性を適合/改善するための機会を広げる。しかし、これは、一般に直接的な手順ではない:Teflon、Viton、またはカスタムフッ素化ポリマーをブレンドすることは、フィルムの公称成分との溶解性が劣るために困難な場合があり、結果としてフッ素含有量を均一に分散させることができない。フッ素化小分子を一体化させることは、一般により容易な選択肢である;しかし、安定な分散液(ここでフッ素は均一に分配されている)を得ること、および相分離およびフィルムからの漏出の傾向が、一般に実施への道を閉ざしている。
【0004】
第2の分類である共有結合性有機骨格(COF)は、COFが高度にパターニングされることを目的としている点で第1の分類(ポリマー/架橋ポリマー)とは異なる。COF化学において、分子成分はモノマーよりむしろ分子ビルディングブロックと呼ばれる。COF合成の間、分子ビルディングブロックは、反応して二次元または三次元ネットワークを形成する。結果として、分子ビルディングブロックは、COF材料全体を通してパターニングされ、分子ビルディングブロックは、強い共有結合を通して互いに連結される。
【0005】
これまで開発されたCOFは、通常、多孔性の高い粉末であり、並外れて密度が低い材料である。これら従来のCOFは有用であるが、フッ素を容易に一体化でき(例えば化学的に結合させることができ)、その構造内に均一に分散できる新規なフィルム材料が必要とされており、これは本発明の実施形態によって対処されるものである。本開示のフッ素化SOFがこれらの必要性に対処し、フッ素含有量を論理的に容易に調節可能にする。
【技術分野】
【0006】
少なくとも第1のセグメントタイプを含む複数のセグメントおよび複数のリンカーを含むフッ素化構造化有機フィルム(SOF)であり、このリンカーが少なくとも、共有結合性有機フレームワーク(COF)として整列された第1のリンカータイプを含み、ここで少なくとも第1のセグメントタイプがフッ素を含有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】図1Aは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1B】図1Bは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1C】図1Cは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1D】図1Dは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1E】図1Eは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1F】図1Fは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1G】図1Gは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1H】図1Hは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1I】図1Iは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1J】図1Jは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1K】図1Kは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1L】図1Lは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1M】図1Mは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1N】図1Nは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【図1O】図1Oは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
用語「SOF」は、一般的に、巨視的な見方だとフィルムである、共有結合性有機骨格(COF)を指す。語句「巨視的な見方」は、このSOFの肉眼での見え方を指す。
【0009】
用語「フッ素化SOF」とは、例えばこのSOFの1つ以上のセグメントタイプまたはリンカータイプに共有結合したフッ素原子を含有するSOFを指す。フッ素化SOFはさらに、SOFの骨格に共有結合していないが、フッ素化SOF組成物にランダムに分配されるフッ素化分子を含んでいてもよい(すなわちコンポジットフッ素化SOF)。しかし、SOFの1つ以上のセグメントタイプまたはリンカータイプに共有結合したフッ素原子を含有しないSOFであって、SOFの1つ以上のセグメントまたはリンカーに共有結合しないフッ素化分子を単に含むだけのSOFは、コンポジットSOFであり、フッ素化SOFではない。
【0010】
SOF組成物中のフッ素含有量を設計および調整することは、直接的であり、カスタムポリマーの合成も、ブレンド/分散手順も必要とされない。さらに、SOF組成物は、フッ素含有量が分子レベルで均一に分散およびパターニングされたSOF組成物であってもよい。SOF中のフッ素含有量は、SOF合成のために使用される分子ビルディングブロックを変更することによって、または使用されるフッ素ビルディングブロックの量を変更することによって調節されてもよい。
【0011】
フッ素化SOFは、1つ以上の好適な分子ビルディングブロックの反応によって製造されてもよく、ここで少なくとも1つの分子ビルディングブロックセグメントがフッ素原子を含む。
【0012】
フッ素化SOFは高度にネットワーク化した組成物であり、ここでフッ素化ビルディングブロックの反応から得られてもよく、または得られなくてもよい第1のセグメントが、フッ素化された第2のセグメント、例えばフッ素含有分子ビルディングブロックの反応から得られた第2のセグメントに連結してもよい。
【0013】
フッ素化SOFのフッ素含有量は、SOF全体にわたって均質に分配されてもよい。SOF中のフッ素含有量の均質分布は、SOF形成プロセスによって制御でき、故にフッ素含有量はまた分子レベルでパターニングされてもよい。
【0014】
こうしたパターニングは、分子ビルディングブロックの混合物を利用することによって達成されてもよく、こうしたブロックは、同じ一般的な親分子ビルディングブロック構造を共有するが、ビルディングブロックのフッ素化度(すなわち、フッ素で置き換えられた水素原子の数)は異なる。
【0015】
SOFは、高度にフッ素化または全フッ素化された分子ビルディングブロックを形成された湿潤層の頂部に適用することによりフッ素含有量の不均質分布を有していてもよく、結果としてSOFの所与の面にて高度にフッ素化または全フッ素化されたセグメントが多い部分をもたらすことができ、それによってSOFの厚さ内で、高度にフッ素化または全フッ素化されたセグメントの不均質分布を形成し、このようにして線形または非線形濃度勾配を、湿潤層の乾燥SOFへの変化を促進した後に得られたSOFにて得てもよい。高度にフッ素化または全フッ素化されたセグメントの大部分は、最終的に乾燥SOFの上半分(基材と反対側)にあってもよく、または高度フッ素化または全フッ素化セグメントの大部分は、最終的に乾燥SOFの下半分(これは基材に隣接する)にあってもよい。
【0016】
非フッ素化分子ビルディングブロックは、堆積した湿潤層の頂部表面に添加されてもよく、これが、湿潤フィルムにおける変化を促進する際、乾燥SOF中の非フッ素化セグメントの不均質分布を有するSOFをもたらす。非フッ素化セグメントの大部分は、最終的に乾燥SOFの上半分(基材の反対側である)にあってもよく、または非フッ素化セグメントの大部分は、最終的に乾燥SOFの下半分(基材に隣接する)にあってもよい。
【0017】
SOF材料におけるフッ素含有量は、フッ素化ビルディングブロックまたは所与の分子ビルディングブロックのフッ素化度を変更することによって容易に変えることができる。フッ素化SOF組成物は疎水性であってもよく、ハイブリッド特性を有するフィルムを創製するために第2の特性(例えば電荷輸送)を有するように調整されてもよい。
【0018】
フッ素化SOFは、1つ以上の分子ビルディングブロックの反応によって製造されてもよく、ここで少なくとも1つの分子ビルディングブロックはフッ素を含有する。反応混合物中の分子ビルディングブロックのすべてが、フッ素を含有してもよい。異なるハロゲン、例えば塩素が、場合により分子ビルディングブロックに含有されてもよい。
【0019】
フッ素化分子ビルディングブロックは、炭素またはケイ素原子コアを含有する1つ以上のビルディングブロック;アルコキシコアを含有するビルディングブロック;窒素またはリン原子コアを含有するビルディングブロック;アリールコアを含有するビルディングブロック;カーボネートコアを含有するビルディングブロック;炭素環式コア、炭素二環式コア、または炭素三環式コアを含有するビルディングブロック;およびオリゴチオフェンコアを含有するビルディングブロックから誘導されてもよい。こうしたフッ素化分子ビルディングブロックは、1つ以上の水素原子をフッ素原子で置き換えるまたは交換することによって誘導されてもよい。1つ以上の上記分子ビルディングブロックは、すべての炭素結合水素原子がフッ素によって置き換えられてもよい。1つ以上の上記分子ビルディングブロックは、1つ以上の水素原子が、異なるハロゲン、例えば塩素によって置き換えられてもよい。フッ素に加えて、SOFは、他のハロゲンを含んでいてもよい。
【0020】
1つ以上のフッ素化分子ビルディングブロックは、SOFの100重量部に対して約5〜約100重量%、または少なくとも約50重量%のパーセンテージでフッ素化SOF中にあってもよい。
【0021】
フッ素化SOFは、H原子の約20%超過、またはH原子の約95%超過、またはH原子の約100%がフッ素原子で置き換えられてもよい。
【0022】
フッ素化SOFは、C結合H原子の約20%超過、または約50%超過、または約95%超過または約100%がフッ素原子で置き換えられてもよい。
【0023】
相当量の水素含有量はまた、SOF中にて、例えば炭素結合水素として存在してもよい。C−結合水素およびC−結合フッ素原子の合計に関して、水素原子のパーセンテージは、いずれかの所望の量に調整されてもよい。例えば、C結合水素とC結合フッ素との比は、約10未満であってもよく、例えばC結合水素とC結合フッ素との比は、約5未満、またはC結合水素とC結合フッ素との比は、約0.1未満、またはC結合水素とC結合フッ素との比は、約0.01未満であってもよい。
【0024】
フッ素化SOFのフッ素含有量は、約5重量%〜約75重量%、または約10重量%〜約50重量%であってもよい。一部のフッ素化SOFのフッ素含有量は、約10重量%以上、または約50重量%以上であってもよく、フッ素含有量の上限は、約75重量%または60重量%である。
【0025】
SOF中のいずれかの所望の量のセグメントがフッ素化されていてもよい。
フッ素含有セグメントのパーセントは、約10重量%超過、例えば約30重量%超過、または50重量%超過であってもよい;フッ素含有セグメントの上限は、100重量%または約70重量%未満であってもよい。
【0026】
本明細書に開示されるフッ素化SOFは、「溶媒耐性」SOF、キャッピングされたSOF、コンポジットSOF、および/または周期的SOFであってもよい。用語「溶媒耐性」とは、SOFが組み込まれた層の溶媒/応力クラッキングまたは劣化に対する感受性を増大させるような、(1)SOFおよび/またはSOF組成物(例えばコンポジットSOF)にかつて共有結合していた原子および/または分子を流出させること、および/または(2)かつてSOFおよび/またはSOF組成物(例えばコンポジットSOF)の一部であった分子を相分離させることが実質的にないことを指す。
【0027】
SOFは、巨視的な見方で、実質的にピンホールのないSOFであるか、または例えば1ミリメートルを超える長さ〜1メートル程度の長さの大きな長さにわたって広がり得る連続的な共有結合性有機骨格を有しているピンホールのないSOFであってもよい。
【0028】
「実質的にピンホールのないSOF」または「ピンホールのないSOF」は、下層基材の表面に堆積した反応混合物から形成されてもよい。用語「実施的にピンホールのないSOF」は、平方cmあたりの2つの隣接セグメントコア間の距離を超えるピンホール、孔またはギャップが実質的にない、またはcm2あたり約250ナノメートルを超える直径のピンホール、孔またはギャップが10個未満であるSOFを指す。用語「ピンホールのないSOF」は、ミクロン2あたりの2つの隣接セグメントのコア間の距離を超えるピンホール、孔またはギャップがない、またはミクロン2あたり約500オングストロームを超える直径のピンホール、孔またはギャップがないSOFを指す。
【0029】
フッ素化分子ビルディングブロックは、既知のプロセスによっていずれかの「親」非フッ素化分子ビルディングブロックのフッ素化から得られてもよい。例えば、「親」非フッ素化分子ビルディングブロックは、種々のフッ素化度を有するフッ素化分子ビルディングブロックの混合物を形成するために、高温、例えば約150℃超過の温度にて元素状フッ素を介して、または他の既知のプロセス工程によってフッ素化されてもよく、個々のフッ素化分子ビルディングブロックを得るために、場合により精製されてもよい。あるいは、フッ素化分子ビルディングブロックは、合成されてもよく、および/または所望のフッ素化分子ビルディングブロックを単純に購入することによって得られてもよい。「親」非フッ素化分子ビルディングブロックのフッ素化分子ビルディングブロックへの転化は、既知の反応条件の単一セットまたは範囲を利用する反応条件下で行われてもよく、既知の1工程反応または既知の多工程反応であってもよい。例示的な反応は、1つ以上の既知の反応機構、例えば添加および/または交換を含んでいてもよい。
【0030】
例えば、親非フッ素化分子ビルディングブロックのフッ素化分子ビルディングブロックへの転化は、非フッ素化分子ビルディングブロックを既知の脱ハロゲン化水素添加剤と接触させて、フッ素化分子ビルディングブロックを生成することを含んでいてもよい。脱ハロゲン化水素添加工程は、H原子の少なくとも約50%、またはH原子の約95%超過、またはH原子の約100%がフッ素原子で置き換えられるような転化率を与えるのに有効な条件下で行われてもよい。脱ハロゲン化水素添加工程は、水素、例えば炭素結合水素の少なくとも約99%がフッ素で置き換えられるような転化率を与えるのに有効な条件下で行われてもよい。こうした反応は、液相または気相において行われてもよく、または気液相の組み合わせにて行われてもよく、反応は、バッチ様、連続式またはこれらの組み合わせで行うことができることが想定される。こうした反応は、触媒、例えば活性炭の存在下で行われてもよい。他の触媒は、単独でもしくは互いに組み合わせて、あるいはフッ素化される特定の分子ビルディングブロックの要件に依存して使用されてもよい(例えばパラジウム系触媒、白金系触媒、ロジウム系触媒およびルテニウム系触媒を含む)。
【0031】
分子ビルディングブロックは、少なくとも2つの官能基(x≧2)を必要とし、単一タイプまたは2つ以上のタイプの官能基を含んでいてもよい。
【0032】
分子ビルディングブロックの対称性は、分子ビルディングブロックセグメントの周辺付近の官能基(Fg)の位置決めに関連する。対称型のビルディングブロックの使用は、(1)規則的な形状の連結が網化学(reticular chemistry)においてよく理解されたプロセスであるので、分子ビルディングブロックのパターニングは問題なく利用できる、および(2)分子ビルディングブロック間の完全な反応は、対称性の劣るビルディングブロックについて、SOF内の複数の連結欠陥を起こし得る可能性がある逸脱した配座/配向を適合できるために促進されるという2つの理由から実施される。
【0033】
図1A〜Oは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の要素の概略を示す。こうした対称型要素は、使用され得るビルディングブロックに見出される。こうした例示的なビルディングブロックは、フッ素化されてもよく、またはフッ素化されてなくてもよい。
【0034】
例示的なフッ素化分子ビルディングブロックは、炭素またはケイ素原子コアを含有するフッ素化ビルディングブロック、アルコキシコアを含有するビルディングブロック;窒素またはリン原子コアを含有するビルディングブロック;アリールコアを含有するビルディングブロック;カーボネートコアを含有するビルディングブロック;炭素環式コア、炭素二環式コア、または炭素三環式コアを含有するビルディングブロック;およびオリゴチオフェンコアを含有するビルディングブロックから得られてもよい。こうしたフッ素化分子ビルディングブロックは、非フッ素化分子ビルディングブロックの高温、例えば約150℃超過の温度での元素状フッ素によるフッ素化、または他の既知のプロセス工程によって、または所望のフッ素化分子ビルディングブロックを単に購入することによって得られてもよい。
【0035】
官能基は、分子ビルディングブロックの反応性化学部分であり、SOF形成プロセス中に、セグメント同士を連結させる化学反応に関与する。官能基の非限定例としては、ハロゲン、アルコール、エーテル、ケトン、カルボン酸、エステル、カーボネート、アミン、アミド、イミン、尿素、アルデヒド、イソシアネート、トシレート、アルケン、アルキンなどが挙げられる。
【0036】
セグメントは、官能基を保持し、官能基に関連しない全原子を含む分子ビルディングブロックの一部分である。さらに、分子ビルディングブロックセグメントの組成は、SOF形成後も変化しないままである。
【0037】
SOFのセグメントは、炭素でない少なくとも1つの元素原子を含んでいてもよく、こうした少なくとも1つの原子は、水素、酸素、窒素、ケイ素、リン、セレニウム、ホウ素、および硫黄からなる群から選択される。
【0038】
リンカーは、分子ビルディングブロックおよび/またはキャッピングユニットに存在する官能基間での化学反応時にSOF中に現れる化学部分である。
【0039】
リンカーは、共有結合、単一原子、または共有結合された原子の群を含んでいてもよい。化学部分リンカーは、周知の化学基、例えばエステル、ケトン、アミド、イミン、エーテル、ウレタン、カーボネートなど、またはそれらの誘導体であってもよい。
【0040】
SOFは、いずれかの適切なアスペクト比を有する。SOFは、アスペクト比が、例えば約30:1より大きく、または約100:1より大きくてもよい。SOFのアスペクト比は、その平均厚さ(すなわち、最も短い寸法)に対する、その平均の幅または直径(厚さに対して次に大きな寸法)の比であると定義される。SOFの最も長い寸法は、長さであり、SOFアスペクト比の計算では考慮されない。
【0041】
フッ素化SOFは、単一層(モノセグメント厚さまたはマルチセグメント厚さ)または複数層(各層はモノセグメント厚さまたはマルチセグメント厚さである)であってもよい。「厚さ」は、フィルムの最小寸法を指す。上記のように、SOFにおいて、セグメントは、フィルムの分子骨格を生じるようにリンカーを通して共有結合された分子ユニットである。フィルムの厚さはまた、フィルムの断面を見た場合に、フィルムのその軸に沿って計数されるセグメントの数に関して定義されてもよい。「単層」SOFは、最も単純な場合であり、例えばフィルムが1つのセグメント厚さであるものを指す。2つ以上のセグメントがこの軸に沿って存在するSOFは、「マルチセグメント」厚さSOFと称される。
【0042】
COFは、高い熱安定性(典型的には、周囲条件下で400℃よりも高い);有機溶媒への低い溶解度(化学安定性)、および多孔性(ゲストを可逆的に取り込むことができる)といった固有の特性を有する。SOFはまた、これらの固有の特性を有していてもよい。
【0043】
追加の機能は、従来のCOFに固有でない特性を示し、分子ビルディングブロックの選択によって生じてもよく、その分子組成が得られたSOFに追加の機能を提供する。
【0044】
分子ビルディングブロックの「偏った特性」という用語は、ある特定の分子組成について存在することが知られている特性、またはセグメントの分子組成を観察すれば、当業者ならば合理的に特定可能な特性を指す。用語「偏った特性」および「追加機能」は、同じ一般的特性(疎水性、電気活性等)を指すが、「偏った特性」は、分子ビルディングブロックに関連して使用され、「追加機能」は、SOFに関連して使用される。
【0045】
SOFの疎水性(超疎水性)、親水性、疎油性(超疎油性)、親油性、光発色性および/または電気活性(導体、半導体、電荷輸送材料)性質は、SOFの「追加機能」を表し得る特性の一部の例である。
【0046】
用語疎水性(超疎水性)は、水、または他の極性種をはじく特性を指す。疎水性材料は、接触角ゴニオメータまたは関連装置を用いて測定される場合に、90°を超える水接触角を有する。高い疎水性は、約130°〜約180°の水接触角を有する。超疎水性は、約150°を超える水接触角を有する。
【0047】
超疎水性は、水滴が約1°〜約30°未満のスライディング角度または約10°未満のスライディング角度のような表面に関するスライディング角度を形成する場合として記載できる。
【0048】
用語親水性は、水または他の極性種、あるいは表面を引き付ける、吸着または吸収する特性を指す。
【0049】
用語疎油性(撥油性)は、油または他の非極性種、例えばアルカン、脂肪およびワックスをはじく特性を指す。疎油性は、接触角ゴニオメータまたは関連装置を用いて測定される場合に、90°を超える油接触角を有する。用語撥油性は、UV硬化性インク、固体インク、ヘキサデカン、ドデカン、炭化水素などに関して、およそ約55°以上の油接触角を有する表面の濡れ性を指す。
高度に撥油性は、炭化水素系液滴が表面に関して高い接触角、例えば約130°、または約135°〜約170°の接触角を形成する場合と記載される。超撥油性は、炭化水素系液滴が表面に関して高い接触角、例えば約150°を超える接触角を形成する場合と記載される。
【0050】
本明細書で使用される場合に超撥油性も、炭化水素系液滴、例えばヘキサデカンが表面に関して約1°〜約30°未満、または約10°未満のスライディング角度を形成する場合と記載され得る。
【0051】
用語親油性(オレオフィリック)は、油または他の非極性種、例えばアルカン、脂肪、およびワックスを引き付ける特性またはこうした種によって容易に濡らされる表面を指す。親油性材料は、通常、接触角ゴニオメータを用いて測定される場合に、低〜無油接触角を有するという特徴がある。親油性は、ヘキサンまたは他の非極性油による材料が膨潤するという特徴もある。
【0052】
種々の方法が、濡れ性または接触角を定量するために利用可能である。例えば、濡れ性は、基材によって形成され、接触点での液滴の表面に対するタンジェントである、接触角として測定できる。詳細には、接触角は、Fibro DAT1100を用いて測定されてもよい。接触角は、液体と基材との間の相互作用を決定する。特定体積の流体の液滴が、マイクロピペットを用いて試料表面に自動的に塗布されてもよい。基材と接触する液滴の画像は、特定の時間間隔にて、ビデオカメラによって撮影される。液滴と基材との間の接触角は、撮影された画像に対して画像分析技術によって決定される。接触角の変化割合は、時間関数として計算される。
【0053】
電気活性という用語は、電荷(電子および/または正孔)を輸送する特性を指す。電気活性材料としては、導体、半導体、電荷輸送材料が挙げられる。導体は、電位差がある状態で電荷を簡単に輸送する材料であると定義される。半導体は、それ自体は電荷を伝導しないが、電位差があり、刺激(例えば、電場、電磁照射、熱など)が加えられた状態で導電性になり得る材料であると定義される。電荷輸送材料は、電位差のある状態で、別の材料(例えば、染料、顔料または金属)から電荷が注入されると、電荷を輸送することができる材料であると定義される。
【0054】
さらに、導体は、電位差計を用い、約0.1〜約107S/cmのシグナルが得られる材料であると定義されてもよい。
【0055】
半導体は、さらに、刺激(例えば、電場、電磁照射、熱など)が加えられた状態で、電位差計を用い、約10−6〜約104S/cmのシグナルが得られる材料であると定義されてもよい。あるいは、半導体は、加えられた刺激(例えば、電場、電磁照射、熱など)に曝されると、飛行時間技術を用いて測定した場合、10−10〜約106cm2V−1s−1の範囲の電子移動度および/または正孔移動度を有する材料であると定義されてもよい。
【0056】
電荷輸送材料は、さらに、飛行時間技術を用いて測定した場合、10−10〜約106cm2V−1s−1の範囲の電子移動度および/または正孔移動度を有する材料であると定義されてもよい。
【0057】
フッ素含有ポリマーは、対応する炭化水素ポリマーよりも低い表面エネルギーを有することが知られている。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、ポリエチレンより低い表面エネルギーを有する(20mN/m対35.3mN/m)。フッ素のSOFへの導入、特にフッ素がフィルムの表面に存在する場合、対応する非フッ素化SOFに比較してSOFの表面エネルギーを調節するために使用されてもよい。大抵の場合、フッ素のSOFへの導入は、フィルム表面エネルギーを低下させる。SOFの表面エネルギーが調節される程度は、例えばSOFの表面にておよび/またはSOFのバルク内でのフッ素化および/またはフッ素のパターニングの度合いに依存してもよい。SOFの表面でのフッ素化および/またはフッ素のパターニングの度合いは、調整され得るパラメータである。
【0058】
高度フッ素化セグメントを含むまたは保持する分子ビルディングブロックは、偏った疎水性特性を有し、疎水性追加機能を有するSOFを導いてよい。高度フッ素化セグメントは、セグメントに存在するフッ素原子の数を、1を超えるセグメントに存在する水素原子の数で割ったものとして定義される。高度フッ素化セグメントではないフッ素化セグメントも、疎水性の追加機能を有するSOFを導き得る。
【0059】
フッ素化SOFは、分子ビルディングブロック、セグメント、および/またはリンカーのいずれかのバージョンから製造されてもよく、ここで分子ビルディングブロックの1つ以上の水素はフッ素で置き換えられる。
【0060】
上述のフッ素化セグメントは、例えば一般構造HOCH2(CF2)nCH2OHのフッ素化アルコールおよびそれらの対応するジカルボン酸およびアルデヒドを含んでいてもよく、ここでnは、1以上、例えば1〜約100、または1〜約60、または2〜約30の値を有する整数であり;テトラフルオロヒドロキノン;ペルフルオロアジピン酸水和物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物;4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノールなどを挙げることができる。
【0061】
追加機能として電気活性を有するSOFは、偏った電気活性特性を有する分子ビルディングブロックを用いて調製されてもよく、および/または共役したセグメントおよびリンカーの集合体から電気活性が生じてもよい。以下の章で、偏った正孔輸送性、偏った電子輸送性、偏った半導体性を有する分子ビルディングブロックについて記載する。
【0062】
フッ素化SOFを製造するプロセスは、典型的には、多くの作業または工程を含み、任意の適切な順序で行ってもよく、または、2つ以上の作業を同時に行ってもよく、非常に近い時間に行ってもよい:
構造化された有機フィルムを調製するプロセスは、
(a)それぞれがセグメント(少なくとも1つのセグメントがフッ素を含み得る)と多くの官能基とを含む複数の分子ビルディングブロックおよびプレSOFを含む、液体を含有する反応混合物を調製することと;
(b)この反応混合物を濡れたフィルムとして堆積させることと;
(c)分子ビルディングブロックを含む湿潤フィルムの、複数のセグメントと、共有結合性有機骨格として整列した複数のリンカーとを含むSOFを含む乾燥したフィルムへの変化を促進し、この共有結合性有機骨格が、巨視的な見方だとフィルムであることと;
(d)場合により、基材からSOFを取り外し、自立型SOFを得ることと;
(e)場合により、この自立型SOFをロールへと加工することと;
(f)場合により、このSOFを切断し、ベルトになるように縫い合わせることと;
(g)場合により、SOF(上述のSOF形成プロセスによって調製された)を基材として用い、次のSOF形成プロセスで上述のSOF形成プロセスを行うことと;を含む。
【0063】
フッ素化SOF液体含有反応混合物の利点は、それらの均質性である。当該技術分野において、フッ素化分子は、溶媒への溶解度が劣ることがある。本開示は、フッ素化SOF液体含有反応混合物を含み、ここで分子ビルディングブロック(例えばフッ素化分子ビルディングブロック)は、場合によりプレSOF工程を用いて容易に溶解される。
【0064】
反応混合物は、液体に溶解するか、懸濁するか、または混合するような複数の分子ビルディングブロックを含む。複数の分子ビルディングブロックは、1種類であってもよく、または2種類以上を含んでいてもよい。1つ以上の分子ビルディングブロックが液体である場合、さらなる液体の使用は任意である。触媒は、場合により、上述の作用Cの間に、プレSOF形成を可能にするおよび/またはSOF形成の動力学を変更するために反応混合物に添加されてもよい。用語「プレSOF」は、反応していて、出発分子ビルディングブロックより高い分子量を有し、実質的に欠陥を含まないまたは欠陥を全く含まないSOFであってもよいSOFを得るために他のビルディングブロックまたはプレSOFの官能基を用いたさらなる反応、および/またはフィルム形成プロセスに関して向上したまたは改質された反応性を付与する分子ビルディングブロック官能基の「活性化」を行うことができる複数の官能基を含有する少なくとも2つの分子ビルディングブロックを指してもよい。
【0065】
反応混合物成分(分子ビルディングブロック、場合により液体、場合により触媒、場合により添加剤)は容器にて組み合わせられる。反応混合物の成分を加える順序は、様々であってもよいが、典型的には、SOFを調製するプロセスが、プレSOFを含むか、またはプレSOFの形成を含む場合、存在する場合には触媒を、反応混合物を湿潤フィルムとして堆積させる前に反応混合物に加えてもよい。反応混合物はまた、湿潤フィルムとして反応混合物を堆積させる前に配合物成分の均一分布を確実にするために、混合、撹拌、ミル加工などを行ってもよい。
【0066】
反応混合物を、湿潤フィルムとして堆積させる前に加熱してもよい。これは、1つ以上の分子ビルディングブロックの溶解を助け、および/またはプレSOFを形成するために湿潤層を堆積させる前に反応混合物の部分反応によって、反応混合物の粘度を増大させてもよい。例えば、プレ反応した分子ビルディングブロックであるプレSOFに組み込まれる反応混合物中の分子ビルディングブロックの重量%は、20%未満、例えば約15%〜約1%、または10%〜約5%であってもよい。95%のプレSOF分子の分子量は、5,000ダルトン未満、例えば、2,500ダルトン未満、または1,000ダルトン未満である。プレSOFの調製は、反応混合物中の分子ビルディングブロックの保有量を増大させるために使用されてもよい。
【0067】
官能基活性化を介するプレSOF形成の場合、活性化される官能基のモルパーセンテージは、50%未満、例えば約30%〜約10%、または約10%〜約5%であってもよい。
【0068】
プレSOF形成の2つの方法(分子ビルディングブロック間の反応によるプレSOF形成または分子ビルディングブロック官能基の「活性化」によるプレSOF形成)は、組み合わせて行われてもよく、プレSOFに組み込まれた分子ビルディングブロックは、活性化された官能基を含有してもよい。分子ビルディングブロック間の反応によるプレSOF形成および分子ビルディングブロック官能基の「活性化」によるプレSOFの形成は、同時に行われてもよい。
【0069】
プレSOF形成の期間は、約10秒から約48時間、例えば約30秒〜約12時間、または約1分〜6時間継続する。
【0070】
反応混合物の粘度は、約10〜約50,000cps、例えば約25〜約25,000cps、または約50〜約1000cpsの範囲である。
【0071】
分子ビルディングブロックおよびキャッピングユニットを保有すること、または反応混合物中の「保有量」は、分子ビルディングブロックと、場合により、キャッピングユニットおよび触媒との総重量を、反応混合物の総重量で割ったものであると定義される。ビルディングブロックの保有量は、約3〜100%、例えば、約5〜約50%、または約15〜約40%の範囲であってもよい。プレSOFは、疎水性追加機能、超疎水性追加機能、親水性追加機能、疎油性追加機能、超疎油性追加機能、親油性追加機能、光発色性追加機能、および電気活性追加機能からなる群から選択される1つ以上の追加機能を有するビルディングブロックから製造されてもよい。
【0072】
反応混合物中で用いられる液体は、純粋な液体(例えば、溶媒)であってもよく、および/または溶媒混合物であってもよい。液体は、反応混合物中に分子ビルディングブロックおよび触媒/改質剤を溶解または懸濁するために使用される。液体選択は、一般に分子ビルディングブロックの溶解度/分散性と、特定のビルディングブロックの保有量とのバランスをとること、反応混合物の粘度および液体の沸点に基づき、それが湿潤層の乾燥SOFへの促進に影響を与える。好適な液体は、沸点が約30〜約300℃、例えば、約65℃〜約250℃、または約100℃〜約180℃であってもよい。
【0073】
液体としては、アルカン;混合アルカン;分岐アルカン;芳香族化合物;エーテル、環状エーテル;エステル;ケトン;環状ケトン;アミン;アミド;アルコール;ニトリル;ハロゲン化芳香族;ハロゲン化アルカン;および水などの種類の分子を挙げることができる。
【0074】
場合により、反応混合物中に触媒を存在させて、湿潤層の乾燥したSOFへの促進を補助してもよい。任意の触媒の選択および使用は、分子ビルディングブロックの官能基によって変わる。典型的な触媒の保有量は、反応混合物中の分子ビルディングブロックの保有量の約0.01%〜約25%、例えば約0.1%〜約5%の範囲である。触媒は、最終的なSOF組成物中に存在していてもよく、存在していなくてもよい。
【0075】
場合により、添加剤または第2の成分(例えば、ドーパント)が、反応混合物および湿潤層に存在していてもよい。また、このような添加剤または第2の成分を、乾燥SOFに組み込んでもよい。用語「添加剤」または「第2の成分」は、SOF中に共有結合していないが、組成物にランダムに分布している原子または分子を指す。こうした添加剤を用い、SOFの物理的性質、例えば、電気的特性(導電性、半導体性、電気輸送性、正孔輸送性)、表面エネルギー(疎水性、親水性)、引張強度、熱伝導性を変えてもよく;このような添加剤としては、衝撃改質剤、強化繊維、潤滑剤、静電気防止剤、カップリング剤、濡れ性付与剤、曇り止め剤、難燃剤、紫外線安定化剤、酸化防止剤、殺虫剤、染料、顔料、着臭剤、脱臭剤、成核剤などを挙げることができる。
【0076】
SOFに存在するフルオロエラストマー化合物の量は、SOFの総固形分の重量%で、約1〜約50重量%、または約2〜約10重量%である。金属粒子は、存在する場合、SOFコンポジットに任意の望ましい量または任意の有効な量で存在していてもよく、例えば、SOFの約0.25重量%〜約70重量%、またはSOFの約1重量%〜約15重量%の量で存在していてもよい。
【0077】
第2の成分または添加剤は、存在する場合、それぞれが、または組み合わせた状態で、組成物中に任意の望ましい量または任意の有効な量で存在していてもよく、例えば、組成物の約1重量%〜約50重量%、または組成物の約1重量%〜約20重量%の量で存在していてもよい。
【0078】
SOFを、第2の成分(ドーパントおよび添加剤、例えば、正孔輸送分子(mTBD)、ポリマー(ポリスチレン)、ナノ粒子(C60 Buckminsterフラーレン)、有機低分子(ビフェニル)、金属粒子(銅微粉末)、電子受容体(キノン)およびフッ素化粒子(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))で改質し、コンポジット構造化有機フィルムを得てもよい。第2の成分は、濡れたフィルムを生じさせるために使用される液体配合物に導入されてもよく、ここでSOFを形成するための変化が促進される。第2の成分(ドーパント、添加剤など)は、反応混合物中に溶解されてもよく、または溶解されなくてもよい(懸濁されてもよい)。
【0079】
反応混合物を、多くの液体堆積技術を用い、湿潤フィルムとして種々の基材、例えばプリントヘッドの前面に適用してもよい。
【0080】
基材としては、例えばポリマー、紙、金属、金属アロイ、周期律表のIII族〜VI族の元素がドープされた形態およびドープされていない形態、金属酸化物、金属カルコゲニド、あらかじめ調製しておいたSOFが挙げられる。
【0081】
基材厚さは、約10マイクロメートルから10ミリメートルを超えてもよく、例示的な厚さは特に可撓性プラスチック基材について約50〜約100マイクロメートル、硬質基材、例えばガラスまたはケイ素については約1〜約10ミリメートルであってもよい。
【0082】
多くの液体堆積技術を用い(例えば、スピンコーティング、ブレードコーティング、ウェブコーティング、浸漬コーティング、カップコーティング、ロッドコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、スプレーコーティング、スタンピングなどを含む)、反応混合物を基材に適用してもよい。湿潤層の厚みは、約10nm〜約5mm、例えば、約100nm〜約1mm、または約1μm〜約500μmの範囲であってもよい。
【0083】
キャッピングユニットおよび/または第2の成分は、上述のプロセス作用Bの完了後に導入されてもよい。
【0084】
キャッピングユニットおよび/または第2の成分は、均質または不均質様式(種々のパターンを含む)で形成された湿潤層に適用されてもよく、ここでキャッピングユニットおよび/または第2の成分の濃度または密度は、湿潤層において所与の幅の、キャッピングユニットおよび/または第2の成分の高濃度および低濃度の交互バンドパターンを形成するなどのために特定領域で低下させる。
【0085】
用語「促進する」は、分子ビルディングブロックおよび/またはプレSOFの反応、例えば、ビルディングブロックおよび/またはプレSOFの官能基の化学反応を容易にする任意の適切な技術を指す。液体を除去して乾燥フィルムを作成する必要がある場合には、「促進する」は、液体を除去することも指す。分子ビルディングブロックおよび/またはプレSOFの反応および液体の除去は、連続して行われてもよく、または同時に行われてもよい。液体は、分子ビルディングブロックの1つでもあり、SOFに組み込まれてもよい。用語「乾燥SOF」は、例えば液体の含有量がSOFの約5重量%未満、または液体の含有量がSOFの2重量%未満の、実質的に乾燥したSOFを指す。
【0086】
フッ素化乾燥SOFのフッ素含有量は、約5重量%〜約75重量%、または約10重量%〜約50重量%であってもよい。フッ素化乾燥SOFのフッ素含有量は、約10重量%以上、または50重量%以上であり、フッ素含有量の上限は、約75重量%である。
【0087】
湿潤層から乾燥SOFの形成を促進することは、いずれかの適切な技術によって達成されてもよい。湿潤層から乾燥SOFの形成の促進は、典型的には、オーブンでの乾燥、赤外線(IR)などを含む、温度が40〜350℃の範囲、60〜200℃の範囲、85〜160℃の範囲での熱処理を含む。総加熱時間は、約4秒〜約24時間、例えば1分〜120分の範囲であることができる。
【0088】
第2の成分の分子サイズは、湿潤層の乾燥SOFへの促進の間に、第2の成分がSOFの骨格内に捕捉され、捕捉された第2の成分が液体トナーまたは溶媒に曝露される間にSOFからもれないように、選択されてもよい。
【0089】
湿潤層をCOFフィルムにするようにIRによって促進することは、ベルト輸送システムに取り付けられたIR加熱モジュールを用いて達成されてもよい。種々の種類のIRエミッタを用いてもよく、例えば、炭素IRエミッタまたは短波IRエミッタ(Heraerusから入手可能)を用いてもよい。炭素IRエミッタまたは短波IRエミッタに関するさらなる例示的な情報を以下の表にまとめている(表1)。
【表1】
【0090】
自立型のSOFは、湿潤層の堆積物を支えるために接着性の低い適切な基材を用いる場合に、得られてもよい。
【0091】
場合により、自立型SOFまたは可撓性基材によって支持されるSOFは、ロールに処理されてもよい。
【0092】
SOFは、多層構造化有機フィルムを与えるSOF形成プロセスに基材として使用されてもよい。多層SOFの層は、化学的に結合し、または物理的に接触してもよい。化学的に結合した多層SOFは、基材SOF表面に存在する官能基が第2の構造化有機フィルム層を形成するために使用される堆積した湿潤層に存在する分子ビルディングブロックと反応できる場合に形成される。物理的接触状態の多層SOFは、互いに化学的に結合していなくてもよい。
【0093】
SOFは、パターニングされたセグメントの微視的配置であってもよい。用語「パターニング」は、セグメントが互いに連結される配列を指し、例えばここでセグメントAがセグメントBだけに連結される、および反対にセグメントBがセグメントAだけに連結される。必要とされるパターニングの最小度合いは、本明細書に記載されるプロセスを用いてフィルムを形成するために必要とされるものであり、目的とするリンカーの約20%以上、または目的とするリンカーの約40%以上の形成として定量されてもよく、本開示によって具現化されるパターニングの公称度合いは、目的とするリンカーの約60%、例えば目的とするリンカーの約100%の形成である。
【0094】
試験手順および表面自由エネルギー計算は、ダブルブレードカッターによって15mm×50〜145mmにサンプルを切断することを含む。サンプル厚さは、標準ホルダーを用いて1.5mm未満、自家製特別ホルダーを用いて5.0mm未満であるべきである。サンプルは、二重サイドテープでサンプルホルダーに載置した。3つの試験液体、水、ホルムアミドおよびジヨードメタンを、接触角測定全体を通して使用した。サンプル利用可能性に依存して約8滴を生じさせ、接触角を測定した。0.1s、1sおよび10sデータについての平均接触角を記録した。表面自由エネルギー、極性表面エネルギーの酸および塩基成分ならびに分散性成分は、ルイス酸−塩基方法を用いて計算した。
【0095】
ルイス酸−塩基理論は、固液界面エネルギーに関する以下の式によって与えられる。
【数1】
式中
(LW)、(+)、(−)は、SFEインデックスの分散性、酸および塩基成分であり;
jは液体1、2、3を指し;
θjは、基材上のj番目の液体の接触角であり;
γjは、液体jの表面張力であり;および
下付き文字sは固体を指す。
【実施例1】
【0096】
(作用A)反応混合物を含有する液体の調製。以下を組み合わせた:ビルディングブロックのオクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール[セグメント=オクタフルオロ−1,6−ヘキシル;Fg=ヒドロキシル(−OH);(0.43g,1.65mmol)]、第2のビルディングブロックN4,N4,N4’,N4’−テトラキス(4−(メトキシメチル)フェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン[セグメント=N4,N4,N4’,N4’−テトラ−p−トリルビフェニル−4,4’−ジアミン;Fg=メトキシエーテル(−OCH3);(0.55g,0.82mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.05gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.04gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、および2.96gの1−メトキシ−2−プロパノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0097】
(作用B)湿潤フィルムとしての反応混合物の堆積。反応混合物を、10milギャップを有するバードバーを装備した定速ドローダウンコーターを用いて、金属化された(TiZr)MYLARTM基材の反射側に適用した。
【0098】
(作用C)湿潤フィルムの乾燥SOFへの変化の促進。湿潤層を支持する金属化されたMYLAR(登録商標)基材は、155℃に予熱された活性ベント型オーブンに素早く移し、40分間加熱した。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる6〜8ミクロンの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【実施例2】
【0099】
(作用A)以下を組み合わせた:ビルディングブロックのドデカフルオロ−1,8−オクタンジオール[セグメント=ドデカンフルオロ−1,8−オクチル;Fg=ヒドロキシル(−OH);(0.51g,1.41mmol)]、第2のビルディングブロックN4,N4,N4’,N4’−テトラキス(4−(メトキシメチル)フェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン[セグメント=N4,N4,N4’,N4’−テトラ−p−トリルビフェニル−4,4’−ジアミン;Fg=メトキシエーテル(−OCH3);(0.47g,0.71mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.05gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.04gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、および2.96gの1−メトキシ−2−プロパノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0100】
(作用B)実施例1と同じ。
【0101】
(作用C)実施例1と同じ。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる6〜8ミクロンの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【実施例3】
【0102】
(作用A)以下を組み合わせた:ビルディングブロックのヘキサデカフルオロ−1,10−デカンジオール[セグメント=ヘキサデカフルオロ−1,10−デシル;Fg=ヒドロキシル(−OH);(0.57g,1.23mmol)]、第2のビルディングブロックN4,N4,N4’,N4’−テトラキス(4−(メトキシメチル)フェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン[セグメント=N4,N4,N4’,N4’−テトラ−p−トリルビフェニル−4,4’−ジアミン;Fg=メトキシエーテル(−OCH3);(0.41g,0.62mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.05gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.04gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、および2.96gの1−メトキシ−2−プロパノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0103】
(作用B)実施例1と同じ
【0104】
(作用C)実施例1と同じこれらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる6〜8マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【実施例4】
【0105】
(作用A)以下を組み合わせた:ビルディングブロックのオクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール[セグメント=オクタフルオロ−1,6−ヘキシル;Fg=ヒドロキシル(−OH);(1.98,7.55mmol)]、第2のビルディングブロックN2,N2,N4,N4,N6,N6−ヘキサキス(4−(メトキシメチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン[セグメント=N2,N2,N4,N4,N6,N6−ヘキサキス(メチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン;Fg=メトキシ(−OMe);(0.99g,2.54mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.10gのp−トルエンスルホン酸30重量%溶液として送達される酸触媒、および6.93gの1,4−ジオキサン。混合物を振とうし、75℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0106】
(作用B)反応混合物を、20milギャップを有するバードバーを装備した定速ドローダウンコーターを用いて、金属化された(TiZr)MYLAR(登録商標)基材の反射面に適用した。
【0107】
(作用C)濡れた層を支持する金属化されたMYLAR(登録商標)基材は、155℃に予熱された活性ベント型オーブンに素早く移し、40分間加熱した。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる4〜5マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFは透明であった。
【実施例5】
【0108】
(作用A)以下を組み合わせた:ビルディングブロックのオクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール[セグメント=オクタフルオロ−1,6−ヘキシル;Fg=ヒドロキシル(−OH);(1.49,5.68mmol)]、第2のビルディングブロックN2,N2,N4,N4,N6,N6−ヘキサキス(4−(メトキシメチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン[セグメント=N2,N2,N4,N4,N6,N6−ヘキサキス(メチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン;Fg=メトキシ(−OMe);(1.48g,3.79mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.10gのp−トルエンスルホン酸30重量%溶液として送達される酸触媒、および6.93gの1,4−ジオキサン。混合物を振とうし、75℃で1時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0109】
(作用B)実施例4と同じ。
【0110】
(作用C)実施例4と同じ。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる10〜11マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFは透明であった。
【実施例6】
【0111】
作用A)反応混合物を含有する液体の調製。以下を組み合わせた:ビルディングブロックのドデカフルオロ−1,6−オクタンジオール[セグメント=ドデカフルオロ−1,6−オクチル;Fg=ヒドロキシル(−OH);(2.18,8.32mmol)]、第2のビルディングブロックN2,N2,N4,N4,N6,N6−ヘキサキス(4−(メトキシメチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン[セグメント=N2,N2,N4,N4,N6,N6−ヘキサキス(メチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン;Fg=メトキシ(−OMe);(0.79g,2.02mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.10gのp−トルエンスルホン酸30重量%溶液として送達される酸触媒、および6.93gの1,4−ジオキサン。混合物を振とうし、75℃で1時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0112】
(作用B)実施例4と同じ。
【0113】
(作用C)実施例4と同じ。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる4〜5マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFは透明であった。
【実施例7】
【0114】
(作用A)反応混合物を含有する液体の調製。以下を組み合わせた:ビルディングブロックのドデカフルオロ−1,6−オクタンジオール[セグメント=ドデカフルオロ−1,6−オクチル;Fg=ヒドロキシル(−OH);(2.18,8.32mmol)]、第2のビルディングブロックN2,N2,N4,N4,N6,N6−ヘキサキス(4−(メトキシメチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン[セグメント=N2,N2,N4,N4,N6,N6−ヘキサキス(メチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン;Fg=メトキシ(−OMe);(0.79g,2.02mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.10gのp−トルエンスルホン酸30重量%溶液として送達される酸触媒、および6.93gの1,4−ジオキサン。混合物を振とうし、75℃で1時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0115】
(作用B)実施例4と同じ。
【0116】
(作用C)実施例4と同じ。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる4〜5マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFは透明であった。
【実施例8】
【0117】
(作用A)以下を組み合わせた:ビルディングブロックのドデカフルオロ−1,6−オクタンジオール[セグメント=ドデカフルオロ−1,6−オクチル;Fg=ヒドロキシル(−OH);(0.80,2.21mmol)]、第2のビルディングブロック4,4’,4’’,4’’’−(ビフェニル−4,4’−ジイルビス(アザネトリル)テトラキス(ベンゼン−4,1−ジイル))テトラメタノール;[セグメント=ブロック4,4’,4’’,4’’’−(ビフェニル−4,4’−ジイルビス(アザネトリル)テトラキス(ベンゼン−4,1−ジイル))テトラメチル;ヒドロキシル(−OH);(0.67g,1.10mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.08gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.02gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、6.33gの1−メトキシ−2−プロパノール、および2.11gのシクロヘキサノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0118】
(作用B)実施例4と同じ。
【0119】
(作用C)実施例4と同じ。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる5〜6マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【実施例9】
【0120】
(作用A)以下を組み合わせた:ビルディングブロックのドデカフルオロ−1,6−オクタンジオール[セグメント=ドデカフルオロ−1,6−オクチル;Fg=ヒドロキシル(−OH);(0.64,1.77mmol)]、第2のビルディングブロック4,4’,4’’,4’’’−(ビフェニル−4,4’−ジイルビス(アザネトリル)テトラキス(ベンゼン−4,1−ジイル))テトラメタノール;[セグメント=ブロック4,4’,4’’,4’’’−(ビフェニル−4,4’−ジイルビス(アザネトリル)テトラキス(ベンゼン−4,1−ジイル))テトラメチル;ヒドロキシル(−OH);(0.54g,0.89mmol)]、反応混合物を含有する液体を得るための0.06gのNacure XP−357の20重量%溶液として送達される酸触媒、0.05gのSilclean3700の25重量%溶液として送達される平滑化添加剤、2.10gの1−メトキシ−2−プロパノール、および0.70gのシクロヘキサノール。混合物を振とうし、85℃で2.5時間加熱し、次いで0.45ミクロンのPTFE膜を通してろ過した。
【0121】
(作用B)実施例4と同じ。
【0122】
(作用C)実施例4と同じ。これらの作用により、単一の自立型フィルムとして基材から剥離できる6〜8マイクロメートルの厚さを有するSOFを得た。SOFの色は琥珀色であった。
【0123】
SOFは、ステンレススチールおよびポリイミド基材にコーティングされた場合に高品質のフィルムを製造した。SOFは、損傷/基材からの剥離がなく、取り扱われ、研磨され、固定できた。
【0124】
表2には、調製したフッ素化SOFのさらなる詳細をまとめている。すべての場合で、フィルムは、Mylarでコーティングされ、155℃で40分間硬化させた。
【表2−1】
【表2−2】
【表2−3】
【0125】
濡れ性実験は、フッ素化SOFが、フッ素を含有しなかったコントロールSOFに比べて顕著に大きな撥水性を示すことを明らかに示す。フッ素化SOFの初期水接触角測定は、80°を超えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1のセグメントタイプを含む複数のセグメントおよび複数のリンカーを含むフッ素化構造化有機フィルム(SOF)であって、このリンカーが少なくとも、共有結合性有機骨格(COF)として整列された第1のリンカータイプを含み、ここで少なくとも第1のセグメントタイプがフッ素を含有する、フィルム。
【請求項2】
前記複数のセグメントがさらに、前記第1のセグメントタイプとは構造が異なる、フッ素を含有する第2のセグメントタイプを含む、請求項1に記載のSOF。
【請求項3】
前記SOFのセグメントの約30重量%〜約70重量%がフッ素化されている、請求項1に記載のSOF。
【請求項4】
前記SOFのフッ素含有量が、前記SOFの約5重量%〜約65重量%である、請求項1に記載のSOF。
【請求項5】
前記SOFが実質的にピンホールのないフィルムである、請求項1に記載のSOF。
【請求項6】
前記SOFがコンポジットSOFである、請求項1に記載のSOF。
【請求項7】
前記SOFが電気活性の追加機能を有する、請求項1に記載のSOF。
【請求項8】
前記第1のセグメントタイプが、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカンフルオロ−1,8−オクタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ペルフルオロデカン−1,10−ジオール、(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ヒドロキシメチル−フェニル)−メタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオール、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−テトラデカフルオロ−1,9−ノナンジオールからなる群から選択される、請求項1に記載のSOF。
【請求項9】
前記SOFが欠陥のないSOFである、請求項1に記載のSOF。
【請求項10】
前記SOFの表面での水接触角が少なくとも80°である、請求項1に記載のSOF。
【請求項1】
少なくとも第1のセグメントタイプを含む複数のセグメントおよび複数のリンカーを含むフッ素化構造化有機フィルム(SOF)であって、このリンカーが少なくとも、共有結合性有機骨格(COF)として整列された第1のリンカータイプを含み、ここで少なくとも第1のセグメントタイプがフッ素を含有する、フィルム。
【請求項2】
前記複数のセグメントがさらに、前記第1のセグメントタイプとは構造が異なる、フッ素を含有する第2のセグメントタイプを含む、請求項1に記載のSOF。
【請求項3】
前記SOFのセグメントの約30重量%〜約70重量%がフッ素化されている、請求項1に記載のSOF。
【請求項4】
前記SOFのフッ素含有量が、前記SOFの約5重量%〜約65重量%である、請求項1に記載のSOF。
【請求項5】
前記SOFが実質的にピンホールのないフィルムである、請求項1に記載のSOF。
【請求項6】
前記SOFがコンポジットSOFである、請求項1に記載のSOF。
【請求項7】
前記SOFが電気活性の追加機能を有する、請求項1に記載のSOF。
【請求項8】
前記第1のセグメントタイプが、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカンフルオロ−1,8−オクタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ペルフルオロデカン−1,10−ジオール、(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ヒドロキシメチル−フェニル)−メタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオール、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−テトラデカフルオロ−1,9−ノナンジオールからなる群から選択される、請求項1に記載のSOF。
【請求項9】
前記SOFが欠陥のないSOFである、請求項1に記載のSOF。
【請求項10】
前記SOFの表面での水接触角が少なくとも80°である、請求項1に記載のSOF。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図1I】
【図1J】
【図1K】
【図1L】
【図1M】
【図1N】
【図1O】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図1I】
【図1J】
【図1K】
【図1L】
【図1M】
【図1N】
【図1O】
【公開番号】特開2013−14762(P2013−14762A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−135173(P2012−135173)
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
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