説明

フライトコンベヤ

【課題】コンパクトで単純な構造であり、破損が生じにくく、かつ、メンテナンスも容易なフライトクリーナ手段を備えたフライトコンベヤを提供すること。
【解決手段】フライト130に摺接し付着した搬送物を掻き取るフライトクリ−ナ手段110を備えたフライトコンベヤ100において、フライトクリーナ手段110が、スプロケット140の外方から中心に向けて伸びる揺動アーム111と、揺動アーム111の一端側に設けられフライト130に摺接する掻き取り部材112と、揺動アーム111の他端側に設けられ揺動中心となる揺動軸115とを有し、揺動軸115がコンベヤチェーン120を掛け回すスプロケット140の上方に設けられていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物を搬送するフライトを有するコンベヤチェーンと該コンベヤチェーンを掛け回すスプロケットと前記フライトに付着した搬送物を摺接して掻き取るフライトクリ−ナ手段とを備えたフライトコンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、略密閉されたコンベヤケース内を、フライトを有するコンベヤチェーンにより搬送物を搬送するフライトコンベヤにおいて、フライトに付着した搬送物を取り除くための手段として、ブラシ等の掻き取り部材によりフライト表面を基部から先端に向かって逃げながら掻き取るフライトクリーナ手段を備えたフライトコンベヤが知られている。
【0003】
これらのフライトコンベヤのフライトクリーナ手段510は、図4乃至図5に示すように、フライト530を有するコンベヤチェーン520を掛け回すスプロケット540の下方に設けられており、フライト530に付着した搬送物550を掻き取り、下方に落下させるようになっている。
【0004】
前記フライトクリーナ手段510は、スプロケット540の下方に設けられた揺動軸515を中心に揺動可能な揺動アーム511と、前記揺動アーム511の前記フライト530側先端に設けられた掻き取り部材512と、前記揺動アーム511の前記掻き取り部材512と前記揺動軸515をはさんで反対側に設けられ、前記掻き取り部材512の前記フライト530への押圧力を発生するカウンタウエイト514と、押圧力を調整するため前記揺動アーム511に複数設けられた前記カウンタウエイト514の取り付け穴513からなる。
【0005】
そして、前記コンベヤチェーン520が駆動され前記フライト530が進行すると、図4乃至図5に示すように、前記フライト530の表面に前記掻き取り部材512が接触し、前記フライト530のさらなる進行により、前記揺動アーム511が前記カウンタウエイト514の発生する前記揺動軸515周りのモーメントに抗して揺動されることにより、前記掻き取り部材512が前記フライト530の表面を下方に摺接しながら移動し、前記フライト530に付着した搬送物550を掻き取り、下方に落下させるようになっている。(例えば、特許文献1 参照)。
【特許文献1】特開2000−85938号公報(第3乃至4頁、図2乃至図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来のフライトコンベヤのフライトクリーナ手段510は、前記フライト530を有する前記コンベヤチェーン520を掛け回す前記スプロケット540の下方に設けられており、前記掻き取り部材512を前記フライト530の表面に押し付けるために、前記揺動アーム511にモーメントを発生させる機構を備えることが必要となり、構造が大きく複雑となるという問題があった。
【0007】
また、前記フライト530の進行方向の力で、前記掻き取り部材512を前記フライト530の表面に押し付けつつ下方に摺接移動させる構造のために、付着した搬送物550の付着力が大きい場合に、前記フライト530の進行方向に強い引っ張り力が生じ、特に前記フライト530と前記掻き取り部材512が離脱する際に強い負荷がかかり破損が生じやすいという問題があった。
【0008】
さらに、フライトクリーナ手段510が、前記フライト530に付着した搬送物550を下方に落下させるために、落下させた搬送物550がフライトクリーナ手段510に付着し、頻繁なメンテナンスを要するという問題があった。
【0009】
本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、コンパクトで単純な構造であり、破損が生じにくく、かつ、メンテナンスも容易なフライトクリーナ手段を備えたフライトコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本請求項1に係る発明は、搬送物を搬送するフライトを有するコンベヤチェーンと該コンベヤチェーンを掛け回すスプロケットと前記フライトに付着した搬送物を摺接して掻き取るフライトクリ−ナ手段とを備えたフライトコンベヤにおいて、前記フライトクリーナ手段が、前記スプロケットの外方から中心に向けて伸びる揺動アームと、該揺動アームの一端側に設けられ前記フライトに摺接する掻き取り部材と、前記揺動アームの他端側に設けられ揺動中心となる揺動軸とを有し、前記揺動軸が、前記コンベヤチェーンを掛け回すスプロケットの上方に取り付けられるとともに、前記スプロケットの軸と平行に設けられていることにより、前記課題を解決するものである。
【0011】
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載されたフライトコンベヤの構成に加えて、前記掻き取り部材が、該掻き取り部材の先端部において下方に屈曲しているとともに、該屈曲した部分の内方に三角形状の引っ掛かり防止板を有していることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0012】
本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載されたフライトコンベヤの構成に加えて、前記揺動軸が、前記スプロケット上方に設けられたスプロケット点検窓の窓枠に軸支されていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0013】
本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載されたフライトコンベヤの構成に加えて、前記揺動アームが、前記掻き取り部材が設けられた一端側から前記揺動軸が設けられた他端側に亘って立設された補強リブを有していることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0014】
本請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載されたフライトコンベヤの構成に加えて、前記掻き取り部材が設けられた一端側と、前記揺動軸が設けられた他端側に亘ってワイヤが張設されていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0015】
本請求項6に係る発明は、請求項3乃至請求項5のいずれか1つに記載されたフライトコンベヤの構成に加えて、前記窓枠には、前記揺動アームの下面に当接して揺動下限を規定するストッパ部材が設けられていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0016】
本請求項7に係る発明は、請求項3乃至請求項6のいずれか1つに記載されたフライトコンベヤの構成に加えて、前記窓枠には、前記揺動アームの下面に当接して前記掻き取り部材が前記フライトに接触しない位置で前記揺動アームを保持する保持部材が設けられていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のフライトコンベヤは、フライトクリーナ手段が、スプロケットの外方から中心に向けて伸びる揺動アームと、該揺動アームの一端側に設けられフライトに摺接する掻き取り部材と、前記揺動アームの他端側に設けられて揺動中心となる揺動軸とを有していることにより、掻き取り部材が前記フライトの表面を押圧し、摺接しながら移動ことができ、効果的に付着物を除去できるとともに、以下のような格別の効果を奏することができる。
【0018】
すなわち、本請求項1に係る発明のフライトコンベヤは、前記揺動軸が、コンベヤチェーンを掛け回すスプロケットの上方に取り付けられるとともに、前記スプロケットの軸と平行に設けられていることによって、フライトクリーナ手段の自重のみで掻き取り部材をフライトに押し付けることができるため、コンパクトで単純な構造とすることができるとともに、フライトクリーナ手段をスプロケットの上方からメンテナンスすることが可能なためアプローチが容易となり、さらに、フライトクリーナ手段自体には掻き取った付着物が付着せず、耐久性が向上する。
【0019】
そして、本請求項2に係る発明のフライトコンベヤは、請求項1に係るフライトコンベヤが奏する効果に加えて、前記掻き取り部材が、該掻き取り部材の先端部において下方に屈曲しているとともに、該屈曲した部分の内方に三角形状の引っ掛かり防止板を有していることにより、フライトと掻き取り部材が離脱する直前にフライト先端が引っ掛かり防止板に接触することで掻き取り部材がフライト表面から進行方向に一旦離脱するため、フライトによる引張り力を減じてフライトクリーナ手段の破損を防止することができる。
【0020】
また、本請求項3に係る発明のフライトコンベヤは、請求項1または請求項2に係るフライトコンベヤが奏する効果に加えて、前記揺動軸が、前記スプロケット上方に設けられたスプロケット点検窓の窓枠に軸支されていることにより、フライトコンベヤに支持のための特別な構成を付加することなくフライトクリーナ手段を構成できるため、よりコンパクトで単純な構造とすることができるとともに、メンテナンスが非常に容易となる。
【0021】
また、本請求項4に係る発明のフライトコンベヤは、請求項1乃至請求項3のいずれかに係るフライトコンベヤが奏する効果に加えて、前記揺動アームが、前記掻き取り部材が設けられた一端側から前記揺動軸が設けられた他端側に亘って立設された補強リブを有していることにより、単純な構成で前記揺動アームの剛性を増すことができ、破損を防止することができる。
【0022】
また、本請求項5に係る発明のフライトコンベヤは、請求項1乃至請求項4のいずれかに係るフライトコンベヤが奏する効果に加えて、前記掻き取り部材が設けられた一端側と、前記揺動軸が設けられた他端側に亘ってワイヤが張設されていることにより、揺動アームが破損してもその先端部の掻き取り部材がワイヤで保持されるため、スプロケットに破損した先端部が落下せず損傷を防止することができる。
【0023】
また、本請求項6に係る発明のフライトコンベヤは、請求項3乃至請求項5のいずれかに係るフライトコンベヤが奏する効果に加えて、前記窓枠には、前記揺動アームの下面に当接して揺動下限を規定するストッパ部材が設けられていることにより、掻き取り部材とフライトが直接衝突するのを防ぎ、フライトクリ−ナ手段、あるいはフライトの破損を防止することができる。
【0024】
また、本請求項7に係る発明のフライトコンベヤは、請求項3乃至請求項5のいずれかに係るフライトコンベヤが奏する効果に加えて、前記窓枠には、前記揺動アームの下面に当接して前記掻き取り部材が前記フライトに接触しない位置で前記揺動アームを保持する保持部材が設けられていることにより、フライトクリ−ナ手段をコンベヤチェーンやスプロケットと干渉しない位置に容易に固定できるため、フライトクリ−ナ手段、あるいはコンベヤチェーンやスプロケットのメンテナンスを容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明のフライトコンベヤは、搬送物を搬送するフライトを有するコンベヤチェーンと該コンベヤチェーンを掛け回すスプロケットと前記フライトに付着した搬送物を摺接して掻き取るフライトクリ−ナ手段とを備えたフライトコンベヤにおいて、前記フライトクリーナ手段が、前記スプロケットの外方から中心に向けて伸びる揺動アームと、該揺動アームの一端側に設けられてフライトに摺接する掻き取り部材と、前記揺動アームの他端側に設けられて揺動中心となる揺動軸とを有し、前記揺動軸が、前記コンベヤチェーンを掛け回すスプロケットの上方に取り付けられるとともに、前記スプロケットの軸と平行に設けられて、コンパクトで単純な構造、かつ、メンテナンスも容易で、破損が生じにくいものであれば、その具体的な実施態様は如何なるものであっても何ら構わない。
【0026】
すなわち、本発明のフライトコンベヤは、粒体、粉体を搬送するものであっても良く、他の固形体、粘性体、流動体等を搬送するもの、あるいはそれらの混合物を搬送するものであっても良い。
【0027】
そして、本発明で用いる掻き取り部材の具体的な態様については、十分な掻き取り能力を発揮するものであれば、板状、ブラシ状等、いかなる形態であってもよく、その材質も、金属、合成樹脂等いかなるものであってもよいが、構造の単純化やメンテナンス性、強度の点から、例えば、ステンレスのような剛性の高い金属板を用いるのが好ましい。
【0028】
また、本発明で用いる揺動アームについては、コンパクトで単純な構造であれば良く、構造の単純化やメンテナンス性、強度の点から、例えば、ステンレスのような剛性の高い金属板を用いるのが好ましい。
【0029】
さらに、本発明で用いる掻き取り部材は、揺動アームと一体のものでもボルト等で揺動アームから取り外し可能なものでもよい。
【実施例】
【0030】
以下に、本発明の一実施例であるフライトコンベヤ100について図面を基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例であるフライトコンベヤの側面図であり、図2は、図1に示す本発明の一実施例であるフライトコンベヤの正面図であり、図3は、本発明の一実施例であるフライトコンベヤのフライトクリ−ナ手段の斜視図である。
【0031】
本発明の一実施例であるフライトコンベヤ100は、図1に示すように、略密閉されたコンベヤケース101内で、コンベヤチェーン120に設けられたフライト130が搬送物を搬送するものであり、フライトクリーナ手段110が、端部のスプロケット140の上方に設けられている。
【0032】
図1、図2に示すように、前記コンベヤケース101には、前記スプロケット140の上方に下部窓枠103及び上部窓枠104にて囲まれるスプロケット点検窓102が設けられ、前記上部窓枠104の最上端にはカバー106が開閉可能に設けられているとともに、揺動アーム111が、揺動軸115の周りに揺動可能に前記上部窓枠104に軸支されている。前記下部窓枠103は前記コンベヤケース101に一体に設けられており、前記上部窓枠104は下部窓枠103の上方に着脱可能に設けられている。
【0033】
そして、前記下部窓枠103には、ブラケット107を介してストッパ部材105が設けられており、前記揺動アーム111の下面に当接して揺動下限を規定する。前記ストッパ部材105は、当接時の衝撃を緩和するためゴム等の弾性材を用いるのが望ましい。
【0034】
また、前記上部窓枠104には、前記揺動アーム111の下面に当接して前記掻き取り部材112が前記フライト130に接触しない位置で前記揺動アーム111を保持する保持部材119が設けられている。該保持部材119は前記上部窓枠104の側方から挿入し前記揺動アーム111あるいは前記掻き取り部材112の下方に達するピン状のものであればよく、保持状態を確実にするため前記上部窓枠104に螺合する長尺のボルトが好ましい。
【0035】
次に、図3に示すように、揺動アーム111は、平板状に構成されるとともに、前記掻き取り部材112が設けられた一端側から前記揺動軸115が設けられた他端側に亘って補強リブ117が立設されている。前記掻き取り部材112はボルトB等で前記アーム111の一端側に固定されている。この時、前記揺動軸115又は前記掻き取り部材112のボルトBの取り付け穴(図示せず)を長穴とすることで、位置を調整することができる。
【0036】
前記掻き取り部材112は、先端部が下方に屈曲しているともに、該屈曲部分の内方に三角形状の引っ掛かり防止板116を有している。さらに、前記掻き取り部材112と、前記揺動アーム111の揺動軸115が設けられた他端側に亘ってワイヤ118が張設されている。
【0037】
以上のように構成されたフライトコンベヤ100において、フライトクリ−ナ手段110が、フライト130に付着した搬送物を取り除く動作について、以下に説明する。
まず、フライトクリーナ手段110の揺動アーム111は、図1に示す、ストッパ部材105に当接して揺動下限で停止した状態であり、コンベヤチェーン120のT方向への駆動に伴い、フライト130がスプロケット140の周りを図1の時計回りにフライトクリーナ手段110の掻き取り部材112に接近してくる。
【0038】
この時、掻き取り部材112の先端の位置は、前記の揺動アーム111がストッパ部材105に当接して揺動下限で停止した状態において、フライト130のコンベヤチェーン120側の基部に最初に接触するように設定され、可能な限りフライト130の全面を掻き取るよう設定されるのが望ましい。
【0039】
次に、フライト130の進行によって、フライト130が掻き取り部材112の先端を押すことにより、フライトクリーナ手段110の揺動アーム111は揺動軸115を中心に上方に揺動する。この揺動によって、掻き取り部材112の先端は図1で示す軌跡Raを描くことにより、フライト130の表面をその基部から先端に向かって掻き取る動作を行う。
【0040】
この時の、掻き取り部材112の先端をフライト130の表面に押し付ける力は、揺動軸115が上方にあることから、フライトクリーナ手段110の自重のみで発生させることができるため、カウンタウエイトや弾性付勢部材等の追加的な構成が不要であり、コンパクトで単純な構造とすることができる。
【0041】
さらにフライト130が進行し、掻き取り部材112の先端がフライト130の先端付近に達すると、掻き取り部材112の屈曲部分の内方に設けられた三角形状の引っ掛かり防止板116がフライト130の先端と接触を開始することにより、掻き取り部材112の先端はフライト130の表面からフライト130の進行方向に一旦離脱し、直後にフライト130は、掻き取り部材112の先端の描く奇跡の外に進行して掻き取り動作は完了する。
【0042】
掻き取り動作の完了位置は、フライト130の表面と掻き取り部材112の先端が描く軌跡とのなす角度が最も小さくなり、フライト130が進行方向に掻き取り部材112を引張る力が最大となる位置であり、かつ、掻き取られた付着物が最も蓄積してフライト130表面と掻き取り部材112の先端との摩擦抵抗も最も大きくなる位置であるため、この位置の直前で引張力が急激に大きくなり(いわゆる引っ掛かる状態となり)、ここでの繰り返しの負荷がフライトクリーナ手段110の耐久性に大きな影響を与える。
【0043】
前述したように、本実施例では、引っ掛かり防止板116を設けることにより、前記位置の直前において掻き取り部材112の先端が、フライト130の表面からフライト130の進行方向に一旦離脱するため、急激な引張力の増大はなく(引っ掛かりが起こらず)、フライトクリーナ手段110の破損を防止することができる。
【0044】
なお、引っ掛かり防止板116の形状は、可能な限りフライト130の表面の先端まで掻き取り部材112の先端が接触しつつ、引張力が急激に大きくなる直前でフライト130の先端に接触するように適宜設定することができる。
【0045】
次に、フライト130が掻き取り部材112の先端の描く軌跡の外に進行すると、フライトクリーナ手段110は、揺動アーム111がストッパ部材105に当接する揺動下限まで自重で下方に揺動し、次のフライト130を待機する。
この時、揺動アーム111がストッパ部材105に衝突して停止することとなるため、ストッパ部材105はその衝撃を緩和する材料を用いるのが望ましい。
【0046】
また、平板状の揺動アーム111は上記衝撃や、前述した引張り力を繰り返し受けることとなるため、破損防止のために補強リブ117を設けることにより、耐久性をさらに上げることができる。
【0047】
フライトクリーナ手段110は、揺動アーム111と掻き取り部材112をボルト固定している部分が最も引張り力に対し応力集中する部分となるため、揺動アーム111が破損する場合はボルト固定部分で破断して掻き取り部材112が脱落する可能性が最も高いが、掻き取り部材112と揺動アーム111の揺動軸115が設けられた他端側に亘ってワイヤ118が張設されていることにより、掻き取り部材112の破断片がフライトコンベヤ100のスプロケット140部に落下することはなく、損傷を防止することができる。
【0048】
さらに、揺動軸115はスプロケット点検窓102の上部窓枠104に軸支されており、図1に示すとおり、保持部材119によりフライトクリーナ手段110をほぼ水平に保った位置で保持することができるため、上方からカバー106を開けることにより、スプロケット140もフライトクリーナ手段110も、それぞれが干渉しない位置に保持された状態で容易に点検、保守が行える。また、上部窓枠104は下部窓枠103に対して着脱可能に構成されているため、前記保持状態で上部窓枠104をフライトクリーナ手段110ごと取り外すことができ、スプロケット140もフライトクリーナ手段110もさらに容易に点検、保守が行える。
【0049】
また、掻き取り部材112はフライト130の表面を下から上の方向に掻き取っていくため、掻き取られた付着物は次にくるフライト130により再度搬送されることとなる。
このため、掻き取られた付着物がフライトクリーナ手段110に付着することはなく、フライトクリーナ手段110自体の頻繁な清掃等のメンテナンスが不要となる。
なお、掻き取られた付着物を廃棄物として直接フライトコンベヤ100の下部に落下させることはできないが、付着物は実際の搬送物の総量に対して極めて少量であり、もともと搬送物が付着したものであるから、なんら問題は生じない。
【0050】
以上の説明したとおり、本発明のフライトコンベヤ100は、コンパクトで単純な構造、かつ、メンテナンスも容易で、破損が生じにくいものであり、その効果は甚大である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施例であるフライトコンベヤの側面図。
【図2】図1に示す本発明の一実施例であるフライトコンベヤの正面図。
【図3】本発明の一実施例であるフライトコンベヤのフライトクリ−ナ手段の斜視図。
【図4】従来のフライトコンベヤの側面図。
【図5】従来のフライトコンベヤのフライトクリ−ナ手段の動作説明図。
【符号の説明】
【0052】
100 ・・・ フライトコンベヤ
101 ・・・ コンベヤケース
102 ・・・ スプロケット点検窓
103 ・・・ 下部窓枠
104 ・・・ 上部窓枠
105 ・・・ ストッパ部材
106 ・・・ カバー
107 ・・・ ブラケット
110、510 ・・・ フライトクリーナ手段
111、511 ・・・ 揺動アーム
112、512 ・・・ 掻き取り部材
513 ・・・ 取り付け穴
514 ・・・ カウンタウエイト
115、515 ・・・ 揺動軸
116 ・・・ 引っ掛かり防止板
117 ・・・ 補強リブ
118 ・・・ ワイヤ
119 ・・・ 保持部材
120、520 ・・・ コンベヤチェーン
130、530 ・・・ フライト
140、540 ・・・ スプロケット
550 ・・・ 搬送物
Ra ・・・ 掻き取り部材先端の軌跡


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を搬送するフライトを有するコンベヤチェーンと該コンベヤチェーンを掛け回すスプロケットと前記フライトに付着した搬送物を摺接して掻き取るフライトクリ−ナ手段とを備えたフライトコンベヤにおいて、
前記フライトクリーナ手段が、前記スプロケットの外方から中心に向けて伸びる揺動アームと、該揺動アームの一端側に設けられてフライトに摺接する掻き取り部材と、前記揺動アームの他端側に設けられて揺動中心となる揺動軸とを有し、
前記揺動軸が、前記コンベヤチェーンを掛け回すスプロケットの上方に取り付けられるとともに、前記スプロケットの軸と平行に設けられていることを特徴とするフライトコンベヤ。
【請求項2】
前記掻き取り部材が、該掻き取り部材の先端部において下方に屈曲しているとともに、該屈曲した部分の内方に三角形状の引っ掛かり防止板を有していることを特徴とする請求項1に記載のフライトコンベヤ。
【請求項3】
前記揺動軸が、前記スプロケット上方に設けられたスプロケット点検窓の窓枠に軸支されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフライトコンベヤ。
【請求項4】
前記揺動アームが、前記掻き取り部材が設けられた一端側から前記揺動軸が設けられた他端側に亘って立設された補強リブを有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のフライトコンベヤ。
【請求項5】
前記掻き取り部材が設けられた一端側と、前記揺動軸が設けられた他端側に亘ってワイヤが張設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のフライトコンベヤ。
【請求項6】
前記窓枠には、前記揺動アームの下面に当接して揺動下限を規定するストッパ部材が設けられていることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1つに記載のフライトコンベヤ。
【請求項7】
前記窓枠には、前記揺動アームの下面に当接して、前記掻き取り部材が前記フライトに接触しない位置で前記揺動アームを保持する保持部材が設けられていることを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれか1つに記載のフライトコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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