説明

フライホイール磁石回転子

【課題】希土類磁石などからなる永久磁石を接着剤を用いることなくフライホイールに固定することができるフライホイール磁石回転子を提供する。
【解決手段】磁石13を保持した磁石保持部材12に設けたリング状部12aをフライホイール11の周壁部11aの開口端寄りの内周部に嵌合させるとともに、フライホイールの周壁部のリング状部12aが嵌合された部分の外周にリングギア等の環状部材14を焼き嵌めまたは圧力嵌めする。環状部材の焼き嵌めまたは圧力嵌めによりフライホイールの周壁部11aを内径側に付勢して磁石保持部材のリング状部12aを締め付けることにより、磁石保持部材12をフライホイールに対して強固に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに取りつける磁石発電機の回転子として好適なフライホイール磁石回転子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンに取りつける磁石発電機の回転子としては、カップ状に形成されたフライホイールと、このフライホイールの周壁部の周方向に間隔をあけて配置されて該周壁部の内周に固定された複数の永久磁石とを備えたフライホイール磁石回転子が用いられる。
【0003】
従来のフライホイール磁石回転子においては、永久磁石をフライホイールの周壁部の内周に位置決めして、接着により周壁部に固定するようにしていた。図6及び図7は従来のフライホイール磁石回転子を示したもので、これらの図において1は周壁部1aと底壁部1bとを有するカップ状の形状に形成された鉄製のフライホイール、2は周方向に一定間隔で並ぶ多数の磁石保持用の溝部を有してフライホイール1の周壁部の内周に嵌合された環状の磁石ホルダ、3,3,…は磁石ホルダ2の各磁石保持用溝部内に嵌合されてフライホイールの周方向及び軸線方向に位置決めされた永久磁石、4は磁石3,3,…を覆うために磁石ホルダ2及び磁石3,3,…の内周に嵌合された環状の磁石保護カバーであり、磁石ホルダ2及び磁石保護カバー4は非磁性材料により形成されている。磁石ホルダ2、永久磁石3,3,…及び磁石保護カバー4は、フライホイール1に接着されている。フライホイール1の底壁部1bの中央部にはボス部1cが形成され、このボス部1cがエンジン等の原動機の回転軸に嵌着される。この種のフライホイール磁石回転子は特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2003−304660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のフライホイール磁石回転子においては、磁石ホルダ2、永久磁石3,3,…及び磁石保護カバー4をフライホイール1に接着剤により固定していたが、これらを接着する際には、各部に塗布する接着剤の量を厳密に管理する必要があるため、接着作業の工数が多くなり、製造コストが高くなるという問題があった。また磁石ホルダ2、永久磁石3,3,…及び磁石保護カバー4をフライホイール1に接着剤により固定すると、これらを分解することが困難であるため、点検や修理を行うことが難しいという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、接着を行うことなくフライホイールに永久磁石を固定することができるようにしたフライホイール磁石回転子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、カップ状に形成されたフライホイールと、フライホイールの周壁部の周方向に間隔をあけて配置されて該周壁部の内周に固定された複数の永久磁石とを備えたフライホイール磁石回転子に係わるものである。
【0007】
本発明においては、リング状部と該リング状部の内周寄りの部分の軸線方向の一端から軸線方向に突出して伸びる円筒部とを一体に有して、該円筒部の外周に前記複数の永久磁石をそれぞれ位置決めする磁石位置決め部が形成された非磁性材料からなる磁石保持部材が設けられ、複数の永久磁石が磁石保持部材の円筒部の外周に配置されて磁石位置決め部により位置決めされる。
【0008】
磁石保持部材は、複数の永久磁石とともにフライホイールの周壁部の内側に挿入されて、磁石保持部材のリング状部がフライホイールの周壁部の内周部に嵌合されるとともに、磁石保持部材の円筒部とフライホイールの周壁部の内周面との間に複数の永久磁石が挟持される。そして、フライホイールの周壁部の磁石保持部材のリング状部が嵌合された部分の外周部に環状部材が嵌合されて該環状部材がフライホイールの周壁部の外周に圧接され、環状部材の圧接により、フライホイールの周壁部が内径側に付勢されて磁石保持部材のリング状部が締め付けられる。
【0009】
上記環状部材は、エンジンを始動するスタータモータに取りつけられたピニオンギアを噛み合わせるためにフライホイールの外周に焼き嵌めや圧力嵌めにより取りつけられるリングギアであってもよく、エンジンの回転角度情報を含むパルス信号を発生する信号発生器のロータ側の磁極(誘導子磁極)として用いるリラクタ(突起または凹部)をフライホイールの外周に形成するために、フライホイールの外周に焼き嵌めや圧力嵌めにより取りつけられる環状の部材(フライホイールの外周に嵌合するリングの外周にリラクタを形成したもの)であってもよい。また上記環状部材は、フライホイールの外周に焼き嵌めまたは圧力嵌めにより取り付けられるリング状部材の外周側にエンジン等の原動機を冷却するための冷却風を生じさせる送風羽根を設けたものでもよく、磁石保持部材を締め付けるためだけに特に設けたリング状の部材であってもよい。
【0010】
上記のように、磁石を保持した磁石保持部材に設けたリング状部をフライホイールの周壁部の開口端寄りの内周部に嵌合させるとともに、フライホイールの周壁部のリング状部が嵌合された部分の外周に環状部材を圧接させて、この環状部材の圧接によりフライホイールの周壁部を内径側に付勢して(周壁部の径を縮小させて)磁石保持部材のリング状部を締め付けるようにすると、接着剤を用いずに、磁石保持部材をフライホイールの内周に強固に固定することができるため、永久磁石を接着によらずにフライホイールに固定することができる。従って、フライホイールに磁石を固定する際に管理が面倒な接着作業を行わなくて済み、フライホイール磁石回転子の製造工数を削減して、コストの低減を図ることができる。
【0011】
本発明の好ましい態様では、上記磁石位置決め部が、円筒部の外周に周方向に間隔をあけて形成された複数の磁石位置決め用溝部からなっていて、該複数の磁石位置決め用溝部内にそれぞれ複数の永久磁石が嵌合されて位置決めされる。
【0012】
本発明の他の好ましい態様では、フライホイールの周壁部の内周に、磁石保持部材のリング状部を嵌合させ得る内径を有して上記周壁部の開口端に軸線方向の一端が開口した拡大径部と、この拡大径部よりも内径が小さく設定されて軸線方向の一端が拡大径部の軸線方向の他端に隣接している中径部と、この中径部の軸線方向の他端とフライホイールの底壁部との間にあって中径部よりも内径が小さく設定された小径部とが形成されて、上記拡大径部と中径部との間及び中径部と小径部との間にそれぞれ第1及び第2の段部が形成される。この場合、磁石保持部材のリング状部は、フライホイールの周壁部の拡大径部の内周に嵌合されて第1の段部に当接され、各永久磁石は、磁石保持部材の円筒部とフライホイールの周壁部の中径部の内周面との間に挟持されるとともに、第2の段部に直接または非磁性材料からなるスぺーサを介して当接されてフライホイールの軸線方向に位置決めされる。
【0013】
上記スぺーサは、磁石保持部材と一体に設けられていてもよく、別体に設けられていてもよい。スぺーサを磁石保持部材と別体に設ける場合には、該スぺーサを環状に形成してフライホイールの内周の中径部の第2の段部寄りの部分の内周に嵌合させておく。
【0014】
各永久磁石を、第2の段部に非磁性材料からなるスぺーサを介して当接させるようにすると、永久磁石として、希土類磁石のように板厚が薄い磁石を用いる場合に、永久磁石からフライホイールの周壁部の小径部を通して流れる漏洩磁束の量を少なくして、発電に寄与する磁束量を増大させることができる。
【0015】
なお本発明は、各永久磁石をフライホイールの周壁部の内周に形成した段部に直接またはスぺーサを介して当接させることにより、各永久磁石をフライホイールの軸線方向に位置決めする場合に限定されるものではなく、各永久磁石の軸線方向端部に当接して各永久磁石を軸線方向に位置決めする部分を磁石保持部材に設けて、磁石保持部材のみにより永久磁石の位置決めを図るようにしてもなんら差し支えない。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、永久磁石を保持した磁石保持部材に設けたリング状部をフライホイールの周壁部の開口端寄りの内周部に嵌合させるとともに、磁石保持部材のリング状部が嵌合されたフライホイールの周壁部の外周に環状部材を圧接させ、この環状部材の圧接によりフライホイールの周壁部を内径側に付勢して磁石保持部材のリング状部を締め付けるようにしたので、磁石保持部材を接着によらずにフライホイールの内周に強固に固定することができ、接着剤を用いることなく永久磁石をフライホイールに固定することができる。従って、本発明によれば、フライホイールに磁石を固定する際に管理が面倒な接着作業を行わなくて済むため、フライホイール磁石回転子の製造工数を削減して、コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下図1ないし図4を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係わるフライホイール磁石回転子の縦断面図、図2は図1の要部の拡大断面図、図3は、環状部材の焼き嵌めにより磁石保持部材のリング状部が締め付けられることを説明する説明図、図4は、本実施形態で用いる磁石保持部材の斜視図である。
【0018】
図1ないし4において、11は周壁部11aと底壁部11bとを有するカップ状の形状に形成された鉄製のフライホイール、12はアルミニウム等の非磁性材料により形成されてリング状部12aと円筒部12bとを有する磁石保持部材、13、13、…は、磁石保持部材12により保持されてフライホイール11の周壁部の内周に固定された複数(偶数個)の永久磁石、14はフライホイール11の周壁部の外周に焼き嵌めされた環状部材である。
【0019】
フライホイール11の底壁部の中央部にはボス部11cが形成され、このボス部がエンジン等の図示しない原動機の回転軸に嵌着される。本実施形態では、図2に示したように、フライホイール11の周壁部11aの内周に、磁石保持部材12のリング状部12bを嵌合させ得る内径を有して周壁部11aの開口端に軸線方向の一端が開口した拡大径部11a1と、拡大径部11a1よりも内径が小さく設定されて軸線方向の一端が拡大径部11a1の軸線方向の他端に隣接している中径部11a2と、中径部11a2の軸線方向の他端とフライホイールの底壁部11bとの間にあって中径部11a2よりも内径が小さく設定された小径部11a3とが形成されて、拡大径部11a1と中径部11a2との間及び中径部11a2と小径部11a3との間にそれぞれ第1及び第2の段部D1及びD2が形成されている。
【0020】
永久磁石13は円弧状の断面形状を有するように成形された板状の希土類磁石からなっていて、永久磁石13の内周面及び外周面がそれぞれ磁石保持部材12の円筒部12bの外周面及びフライホイールの周壁部11aの中径部11a2の内周面に沿うように、永久磁石13の円弧の曲率が設定されている。
【0021】
磁石保持部材12は、図4に示されたように、リング状部12aとこのリング状部の内周寄りの部分の軸線方向の一端から軸線方向に突出して伸びる円筒部12bとを一体に有していて、円筒部12bの外周のリング状部12a寄りの領域には、周方向に一定の間隔をあけて、永久磁石と同数の隔壁部12c,12c,…が形成され、これらの隔壁部により、複数の永久磁石13,13,…を位置決めする磁石位置決め部が構成されている。図示の例では、隔壁部12c,12c,…相互間に、永久磁石13,13,…を嵌合させて位置決めするための磁石位置決め用溝部12d,12d,…が形成されている。磁石位置決め用溝部12d,12d,…の深さ(隔壁部12c,12c,…の円筒部12bからの突出高さ)は、永久磁石13の板厚よりは小さく設定され、磁石位置決め用溝部12d,12d,…内にそれぞれ永久磁石13,13,…を嵌合させてそれぞれの永久磁石の内径側の磁極面を円筒部12bの外周面に当接させた際に、各永久磁石の一部がその両側の隔壁部12cよりも外側に(径方向の外側に)僅かに突出した状態で配置されるようになっている。
【0022】
磁石保持部材12は、その円筒部12bの外周の磁石位置決め用溝部12d,12d,…に磁石13,13,…を嵌合さて保持した後、リング状部12aをフライホイールの周壁部11aの開口端側に位置させ、複数の永久磁石13,13,…をリング状部12aよりもフライホイールの底壁部11b側に位置させた状態で、複数の永久磁石13,13,…とともにフライホイールの周壁部11aの内周に挿入される。そして、リング状部12aがフライホイールの周壁部の開口端寄りの内周部に設けられた拡大径部11a1の内周に嵌合されて第1の段部D1に当接され、磁石保持部材12の円筒部12bとフライホイールの周壁部11aの中径部11a2の内周面との間に永久磁石13,13,…が挟持されるとともに、各永久磁石13がフライホイールの周壁部11aの第2の段部D2に当接されて、フライホイールの軸線方向に位置決めされる。
【0023】
上記のように磁石保持部材12を配置した状態で、各永久磁石13が円筒部12bとフライホイールの周壁部の中径部11a2の内周面との間にガタを生じることなく挟持された状態で収まるように、磁石保持部材12の円筒部12bの外径寸法が設定され、各永久磁石13の一端及び他端がそれぞれ磁石保持部材12のリング状部12a及び第2の段部D2に隙間を介することなく当接した状態になるように、各永久磁石13の軸線方向寸法が設定されている。また、各永久磁石から小径部11a3を通して流れる漏洩磁束を少なくするため、第2の段部D2が各永久磁石13の外周寄りの一部の領域のみに当接するように、小径部11a3の内径寸法(第2の段部D2の深さ)が設定されている。
【0024】
上記のように磁石保持部材12を永久磁石13,13,…とともにフライホイールの周壁部11aの内側に挿入して、磁石保持部材12のリング状部12aを周壁部11aの拡大径部11a1の内周に嵌合させた後、フライホイールの周壁部のリング状部12aが嵌合された部分の外周に環状部材14が焼き嵌めされ、フライホイール11と、磁石保持部材12と、永久磁石13,13,…と、環状部材14とによりフライホイール磁石回転子が構成される。
【0025】
図示の環状部材14は、エンジンを始動するスタータモータに取りつけられたピニオンギアを噛み合わせるためにフライホイール11の周壁部の外周に焼き嵌めにより取りつけられるリングギアである。図示の例では、フライホイールの周壁部の開口端寄りの外周部の一部が周方向に連続して切削されてその外径が縮小されることにより環状部材14を焼き嵌めするための嵌合面11a4が形成され、この嵌合面11a4と周壁部11aの外周面の他の部分との間に、環状部材14に当接して該環状部材を軸線方向に位置決めするための段部D3が形成されている。
【0026】
上記のように、環状部材14を焼き嵌めすると、該環状部材の焼き嵌めにより、フライホイールの周壁部11aが内径側に付勢されてその径が縮小されるため、磁石保持部材12のリング状部12aが内径側に締め付けられて、フライホイールの周壁部11aとリング状部12aとの間に図3に矢印で示したような締め付け力が作用し、磁石保持部材12がフライホイールの周壁部の内周に強固に固定される。従って、接着剤を一切用いるこなく、磁石保持部材12を永久磁石13,13,…とともにフライホイールに固定することができる。
【0027】
永久磁石13,13,…は、隣り合う磁石の内周側の磁極が異なるように交互に磁化の方向を異ならせてフライホイールの径方向に着磁され、フライホイールの内周部に磁石13,13,…の数に等しい極数の界磁が形成される。
【0028】
上記のように、本発明によれば、永久磁石を接着によることなくフライホイールに固定することができるため、フライホイール磁石回転子の製造工数を削減して、そのコストの低減を図ることができる。
【0029】
上記のフライホイール磁石回転子は、エンジン等の原動機に取りつけられて、図示しない固定子とともに磁石発電機を構成する。固定子は、電機子鉄心に電機子コイルを巻装することにより構成されて、フライホイールの内側に配置され、該固定子の磁極部がフライホイール磁石回転子の磁極に所定のエアギャップを介して対向させられる。
【0030】
上記の実施形態では、各永久磁石13を第2の段部D2に直接当接させているが、図5に示すように、各永久磁石と第2の段部D2との間にアルミニウムなどの非磁性材料からなるスぺーサ15を挿入して、各永久磁石13をスぺーサ15を介して第2の段部D2に当接させるようにしてもよい。
【0031】
また上記スぺーサ15に相当する部分を磁石保持部材12の円筒部12bに一体に設けて、リング状部12aとスぺーサ15に相当する部分との間に永久磁石13を隙間なく嵌合させることにより、各永久磁石13を保持するようにしてもよい。この場合は、各永久磁石13を磁石保持部材12のみによりフライホイールの軸線方向に位置決めすることができるため、第2の段部D2を省略することができる。
【0032】
磁石保持部材12の円筒部の外周に等間隔で隔壁部12c,12c,…を設けて、これらの隔壁部を磁石位置決め部として用いるようにしたが、磁石位置決め部は、各永久磁石の側面の少なくとも一部に係合(当接)して各永久磁石を動かないように位置決めするものであればよく、上記の実施形態に示したものに限定されない。
【0033】
上記の実施形態では、フライホイールの周壁部のリング状部12aが嵌合された部分の外周に環状部材14を焼き嵌めにより取り付けるとしたが、環状部材14は、フライホイールの周壁部のリング状部12aが嵌合された部分の外周に圧接させた状態で嵌合(フライホイールの周壁部を径方向の内側に加圧した状態で該周壁部の外周に嵌合)させればよい。例えば、環状部材14を、フライホイールの周壁部のリング状部12aが嵌合された部分の外周に圧力嵌め(圧入)により取り付けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係わるフライホイール磁石回転子の縦断面図である。
【図2】図1の要部の拡大断面図である。
【図3】本実施形態において環状部材の焼き嵌めにより磁石保持部材のリング状部が締め付けられることを説明する説明図である。
【図4】本実施形態で用いる磁石保持部材の斜視図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係わるフライホイール磁石回転子の要部を示す断面図である。
【図6】従来のフライホイール磁石回転子の縦断面図である。
【図7】図6の要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0035】
11 フライホイール
11a 周壁部
11a1 拡大径部
11a2 中径部
11a3 小径部
11b 底壁部
11c ボス部
12 磁石保持部材
12a リング状部
12b 円筒部
12c 隔壁部
12d 磁石位置決め用溝部
13 永久磁石
15 スぺーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ状に形成されたフライホイールと、前記フライホイールの周壁部の周方向に間隔をあけて配置されて該周壁部の内周に固定された複数の永久磁石とを備えたフライホイール磁石回転子において、
リング状部と該リング状部の内周寄りの部分の軸線方向の一端から軸線方向に突出して伸びる円筒部とを一体に有して該円筒部の外周に前記複数の永久磁石をそれぞれ位置決めする磁石位置決め部が形成された非磁性材料からなる磁石保持部材が設けられて、前記複数の永久磁石が前記磁石保持部材の円筒部の外周に配置されて前記磁石位置決め部により位置決めされ、
前記磁石保持部材が前記複数の永久磁石とともに前記フライホイールの周壁部の内側に挿入されて、前記磁石保持部材のリング状部が前記フライホイールの周壁部の内周部に嵌合されるとともに、前記磁石保持部材の円筒部と前記フライホイールの周壁部の内周面との間に前記複数の永久磁石が挟持され、
前記フライホイールの周壁部の前記磁石保持部材のリング状部が嵌合された部分の外周部に環状部材が嵌合されて該環状部材が前記フライホイールの周壁部の外周に圧接され、
前記環状部材の圧接により、前記フライホイールの周壁部が内径側に付勢されて前記磁石保持部材のリング状部が締め付けられていること、
を特徴とするフライホイール磁石回転子。
【請求項2】
前記磁石位置決め部は前記円筒部の外周に周方向に間隔をあけて形成された複数の磁石位置決め用溝部からなっていて、該複数の磁石位置決め用溝部内にそれぞれ前記複数の永久磁石が嵌合されて位置決めされていること、
を特徴とする請求項1に記載のフライホイール磁石回転子。
【請求項3】
前記フライホイールの周壁部の内周に、前記磁石保持部材のリング状部を嵌合させ得る内径を有して前記周壁部の開口端に軸線方向の一端が開口した拡大径部と、前記拡大径部よりも内径が小さく設定されて軸線方向の一端が前記拡大径部の軸線方向の他端に隣接している中径部と、前記中径部の軸線方向の他端と前記フライホイールの底壁部との間にあって前記中径部よりも内径が小さく設定された小径部とが形成されて、前記拡大径部と中径部との間及び前記中径部と小径部との間にそれぞれ第1及び第2の段部が形成され、
前記磁石保持部材のリング状部は、前記フライホイールの周壁部の拡大径部の内周に嵌合されて前記第1の段部に当接され、
前記各永久磁石は、前記磁石保持部材の円筒部と前記フライホイールの周壁部の中径部の内周面との間に挟持されるとともに、前記第2の段部に直接または非磁性材料からなるスぺーサを介して当接されて前記フライホイールの軸線方向に位置決めされていること、 を特徴とする請求項1または2に記載のフライホイール磁石回転子。
【請求項4】
前記永久磁石は希土類磁石である請求項1,2または3に記載のフライホイール磁石回転子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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