説明

フラットパネル表示装置用のレーザ照明バックライト

エッジ型及びダイレクト型バックライトを含むレーザ照明フラットパネル表示装置が開示されている。幾つかの実施形態では、スペックルを減少させる帯域幅分布をえるためのレーザ集成体を選択する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の引用
本願は、その内容全体を引用して本明細書に援用する2007年10月26日付けの米国仮出願第61/000,475号の利益を主張する。
【0002】
赤、緑、青(RGB)レーザは、高性能の結像用途において蛍光ランプや発光ダイオードに比べて明らかな利点を備えている。色の飽和度、コントラスト、鮮鋭度、及び色彩範囲が何れも大きいことなどが、レーザ表示装置を従来の結像システムから区別する大きな特質である。
【0003】
レーザ照明技術を従来の技術と比較するには、それらの究極的な実用性に関係する2つの基本的なパラメータを考察するとよい。第1のパラメータは光学的効率として定義でき、この場合は、光源への1ワットの入力毎のルーメン出力である。第2はコスト互換性であり、すなわち、当該技術が具体的用途の要件に対していかに費用対効果が高い解決策を提供できるかである。
【0004】
赤/緑/青(RGB)半導体/マイクロレーザシステムは、それぞれが基本色で動作する3つのレーザ又はレーザアレイからなり、これらパラメータに基づくと、このシステムが表示装置用途に関しては最も高効率で、高輝度の白色光源であると現時点では考えられる。これまで、半導体レーザは、InGaAlN、InGaAlP、InGaAlAsに基づくデバイス構造を用いて紫外線から赤外線域スペクトルで動作してきた。望ましい中心波長帯は赤に関して610乃至635
nm、緑に関して525乃至540
nm、赤に関して445乃至470
nmである。
【0005】
レーザ放射は本質的に狭帯域であり、完全な飽和色を知覚させる。残念なことに、不規則な粗面に入射する狭帯域光は、「スペックル」と呼ばれる許容できない像アーティファクトも導入してしまう。スペックルという視覚効果は像の美的性質を損ね、像の解像度も低下させてしまう。結果的に、高解像度の表示システムに関しては、スペックルが除去されるのが一般的に不可欠であると考えられる。様々な「デスペックル」技術を用いてこのアーティファクトを「許容可能なレベル」まで軽減できるが、それには効率低下という代償があり、コスト、信頼性、パッケージサイズ、及び電力消費に悪影響を与える。
【0006】
既知のスペックル軽減技術は、光路無作為化及び/又はスペクトル広がりを通じでレーザビームの空間的又は時間的コヒーレンスを乱す傾向がある。しかし、これら解決策のほとんどは高価で、技術的に複雑であり、例えば、光帯域を増大するため1ピコ秒台の非常に短いパルスを発生するモード同期技術に依存する。理想的には、表示装置光源のスペクトル帯域幅は数ナノメータ台(すなわち、5乃至15nm)とすべきである。こうした光源は準単色と考えることができ、すなわち、スペックルを消去できる程度に広帯域だが、色純度の点では十分に狭帯域であると考えられる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、スペックルを減少させるための帯域幅向上技術を用いるレーザ照明表示システムに関する。
【0008】
本発明の一様態によれば、レーザ照明フラットパネル表示装置は、複数レーザ集成体に配置された少なくとも二原色の複数レイジング素子を備えたバックライトを含む。各レイジング素子が中心波長λ0i及びスペクトル帯域幅Δλiを持つレーザビームを放射するように、三原色のうち少なくとも一色の前記複数レイジング素子が選択される。前記レイジング素子の少なくとも1つの中心波長は、少なくとも他の1つのレイジング素子の中心波長に対して波長シフトされている。前記レーザビームは、組み合わせると、オーバーラップ・パラメータγ =

を備えたアンサンブルスペクトルΛを持ち、ここで、

は前記レイジング素子の平均スペクトル帯域幅で、

は前記レイジング素子の前記少なくとも1つと前記他の1つの前記中心波長λ0i間の平均波長シフトである。理想的には、

及び

はγ ≧ 1となるように選択される。さらに、前記レーザ照明フラットパネル表示装置は、前記バックライトによって放射される光を変調するために、前記表示装置上に配置された光変調器のアレイを含む。
【0009】
一実施形態では、前記フラットパネル表示装置の各レーザ集成体が、各原色の少なくとも1つのレイジング素子を含む。少なくとも1つのレーザ集成体が、少なくとも1つの原色の複数レイジング素子を含む。前記バックライトの光ガイドは、前記レーザ集成体に対応した拡散光学素子に助けられて、前記レーザ集成体による光出力を前記フラットパネル表示装置に実質的に分散させる。前記バックライトにより放射される光は、液晶表示装置(LCD)により変調される。
【0010】
前記フラットパネル表示装置の前記複数のレーザは、前記光ガイドの1つの外辺部の近くに配置されている。例えば、前記複数のレーザは、前記光ガイドの各外辺部の近く又は前記光ガイドの角に配置できる。
【0011】
本発明の一実施形態では、前記複数のレーザ集成体が前記光ガイドの近くに複数の列で配置されている。各列のレーザ集成体は、少なくとも他の1列のレーザ集成体に対して独立制御されるよう構成されている。少なくとも1つのレーザ集成体内の少なくとも1つの色の輝度が該レーザ集成体内の他の色から独立して制御できるように、前記レーザ集成体が構成されている。前記フラットパネル表示装置は複数の付加的光ガイドを含み、各光ガイドが1列のレーザ集成体に対応し、隣接する光ガイドから反射分離器により離間されている。
【0012】
別の実施形態では、前記バックライトの前記複数のレーザ集成体は、前記レーザ集成体に対応した拡散光学素子に助けられて、後から前記光変調器のアレイを直接照明するよう構成されている。前記レーザ集成体は前記光変調器のアレイの後に配列されており、各レーザ集成体は、該集成体と同じ列内の少なくとも1つのレーザ集成体と、同じ行内の少なくとも1つのレーザ集成体とから独立して制御されるように構成されている。各レーザ集成体が、前記少なくとも二原色それぞれの少なくとも1つのレイジング素子を含む。少なくとも1つのレーザ集成体は、レーザの一色の輝度が該集成体内の他の色のレーザから独立して制御できるよう構成されている。
【0013】
本発明の別の様態によれば、フラットパネル表示装置は、複数レーザ集成体に配列された少なくとも二原色の複数レイジング素子を含むバックライトを含む。前記表示装置は、さらに、前記複数レーザ集成体により後から直接照明される光変調器のアレイと、前記レーザ集成体からの光を、前記光変調器のアレイの対応する領域で拡散させる複数の光学素子とを含む。
【0014】
一実施形態では、各レーザ集成体は、前記少なくとも二原色それぞれの少なくとも1つのレイジング素子を含む。各レーザ集成体が、該集成体と同じ列内の少なくとも1つのレーザ集成体と、同じ行内の少なくとも1つのレーザ集成体とから独立して制御されるように構成されている。各レーザ集成体内の少なくとも1つの色の輝度が該レーザ集成体内の他の色から独立して制御できるように、前記レーザ集成体が構成されている。
【0015】
本発明のその他の特徴及び利点は、次に記載する好適な実施形態の説明及び特許請求の範囲から明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
次の図は、本発明の幾つかの例示的な実施形態を示すもので、類似の参照番号は類似の要素を示す。上述の実施形態は本発明を例示したもと理解すべきであり、いかなる意味でも限定的なものと解釈すべきではない。
【図1】液晶表示装置(LCD)スクリーンの層を概略的に示す。
【図2】(A) 平均スペクトルオーバーラップ・パラメータγ>1を備える5つの代表的なレイジング素子のスペクトル放射及びアンサンブルスペクトルを概略的に示す。 (B) 平均スペクトルオーバーラップ・パラメータγ = 1を備える5つの代表的なレイジング素子のスペクトル放射及びアンサンブルスペクトルを概略的に示す。
【図3】本発明の別の代表的実施形態による、液晶フラットパネル表示装置用のレーザ照明ダイレクト型バックライトの代表的構成を概略的に示す。
【図4】(A) 本発明の別の代表的実施形態による、液晶フラットパネル表示装置用のレーザ照明ダイレクト型バックライトの第2の代表的構成を概略的に示す。 (A) 本発明の別の代表的実施形態による、液晶フラットパネル表示装置用のレーザ照明ダイレクト型バックライトの第3の代表的構成を概略的に示す。 (C) 本発明の別の代表的実施形態による、液晶フラットパネル表示装置用のレーザ照明ダイレクト型バックライトの第4の代表的構成を概略的に示す。
【図5】液晶表示装置を照射するためのレーザ集成体の代表的構成を概略的に示す。 液晶表示装置を照射するためのレーザ集成体の第2の代表的構成を概略的に示す。
【図6】液晶表示装置用のエッジ型バックライトにおけるエリア調光制御のための代表的構成を概略的に示す。
【図7】本発明の代替的な代表的実施形態における、液晶フラットパネル表示装置用のレーザ照明ダイレクト型バックライトを概略的に示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の全般的理解のために、液晶表示装置(LCD)などのフラットパネル表示装置用の帯域幅を向上したレーザ光源を含む幾つかの例示的な実施形態を以下に説明する。しかし、通常の技能を備えた当業者であれば、本明細書に記載の装置は、目的とする用途に合わせて適宜修正且つ適合可能であり、又、本明細書に記載のシステム及び方法は他の適切な用途で使用してもよく、さらに、そうした他の追加及び修正は、その範囲から逸脱しないことは理解するはずである。
【0018】
図1は、本発明の例示的な実施形態による液晶表示装置(LCD)スクリーン100の複数層を概略的に示す。後部には光を表示装置の前方に向けるための反射器102が設けられている。反射器からの光は、通常、成形された透明又は白色プラスチック製の光ガイド104を通過する。一実施例では、光ガイド104は、所定の地点で光を抽出する補助とするため複数のマイクロレンズをその表面に成形している。適切な光ガイドは、例えばグローバルライティング・テクノロジー社(オハイオ州ブレックスビルに本社を置く)から入手可能である。表示装置に光を与えるレーザ集成体106が、光ガイド104に隣接して配置されている。レーザ集成体106が光ガイド内に光を放射すると、この光ガイドが表示装置にわたってその光を分散させる。又、この光ガイドは、複数あるレーザ集成体からの光を混合して概ね白色の光源を実現する。これらレーザ集成体は図5(A)及び5(B)に関連して後に詳述するが、図3及び4に関連して記載するように様々な構成で光ガイドを囲んで配置できる。光ガイド104からの光は、光を表示装置全体でさらに拡散させる拡散シート108を通過する。拡散シート108の前には、視聴者に光を向けるための輝度向上フィルム110(例えば、ミネソタ州セントポールに本社を置く3M社からVikuitiというブランド名で入手可能なBEF II-T)と、偏光フィルム112(例えば、これもVikuitiというブランド名で入手可能なDBEF
II)との2枚の光学フィルムが設けられている。光ガイド104から抽出された光は偏光された後、LCDパネル114を照明する。LCDパネルは例えばシャープ社(日本国大阪に本社を置く)及びサムスン社(韓国ソウルに本社を置く)から入手できる。
【0019】
上述のように、レーザ照明は、典型的には像スペックルを発生させる。しかし、「帯域幅向上を介してスペックルを低下させるためのシステム及び方法(Systems and Methods for Speckle
Reduction through Bandwidth Enhancement)」と題した米国特許6,975,294号に開示されているように、一定の周波数及び帯域幅特性を備えた多数のレーザから形成されるレーザ光源は、スペックルを完全に除去しないまでも軽減させる。帯域幅向上レーザアレイ(BELA)の設計にあったって極めて重要なパラメータは、アレイにおけるエミッタの数n、各エミッタの中心波長λ0i、エミッタiの中心波長λ0iと、最も波長が近いエミッタjの中心波長λ0jとの間のスペクトル分離Si、個々のエミッタの帯域幅Δλi、及び各エミッタの相対出力Aiである。
【0020】
図2(A)及び2(B)は、適切なレーザ光源の周波数及び帯域幅特性を示す。具体的には、図2(A)及び2(B)は、空間的に分離し離散したレーザ放射エミッタのアレイから発生される帯域幅向上レーザ光のアンサンブルスペクトルを示す。各エミッタは、任意の赤、緑、又は青波長λ0iを中心とするスペクトル帯域幅Δλiを備えている。ある色のレーザ光の複数エミッタは僅かに異なる中心波長を備えるように設計されており、従って、任意の個別エミッタの帯域幅Δλiより大きいアンサンブル帯域幅ΔΛを発生させる。スペックル除去に必要な量のアンサンブル帯域幅ΔΛを設計することで、完全な飽和色の発生の役割を果たす準単色特性が保存される。平均スペクトルオーバーラップ・パラメータγ =

(上述したように

はエミッタの平均スペクトル帯域幅で、

は中心波長間の平均波長シフトである)は、特定の色のエミッタアレイのアンサンブル波長特性に関連付けることができる。図2(A)に示したγ>1である第1のシナリオでは、個々のエミッタからのスペクトルにかなりの重複が存在する(図2(A)上)。得られるアンサンブルスペクトルΛは、波長の滑らかに変化する関数で、個々のエミッタからの波長特性がほとんど存在しない(図2(A)下)。この状態では、得られるスペクトル平均化がγ≫ 1及び多数のエミッタに関して均一に広がった分布を発生し、従ってスペックルを最小化するので、帯域幅向上の「理想」と考えてもよい。
【0021】
図2(B)に示したように、γ
= 1に関しては、図2(B)の下に示したアンサンブルスペクトルは、極大値が個々のエミッタの中心波長λ0iに一致したリプル関数となる。1未満のγ値は、1を上回るγ値に比べスペックルを減少する効率が低いことが分かっている。フーリエ分析を用いたシミュレーションは、エミッタ強度の非均一分布でコヒーレント干渉がより効果的に抑制され、スペックルノイズを完全に除去しうることを示唆している。
【0022】
本発明の光源は、液晶フラットパネル表示装置用のバックライトに使用される既存の技術に対して幾つかの利点を備えている。
【0023】
従来の冷陰極蛍光灯(CCFL)又は最近利用可能な発光ダイオード(LED)に比べ、レーザは一般に、動画の拡張色空間に関するxvYCC標準と完全に互換性があるより高い飽和度及び広い色彩範囲を提供できる。また、レーザは、伝達効率及び/又は像コントラストを増大する補助となる偏光度が高く、よくコリメートされたビームを提供できる。
【0024】
しかし、光源として用いられている従来のレーザはスペックルと呼ばれる許容できない像アーティファクトを発生させ、しばしば用いられるデスペックル技法或いは方法は上述の利点を減ずる傾向にある。
【0025】
一方、本発明のレーザ光源の設計は、レーザエミッタアレイの上述した増大スペクトル帯域幅を利用して直接的にレーザ光源でスペックルを減少させる。これは液晶フラットパネルと組み合わせて用いると特に有利となるが、それは、こうしたフラットパネル表示装置には通常、付加的なデスペックル光学素子やデバイスを採用するのに十分な空間(すなわち奥行き)が無いからである。
【0026】
さらに、平均故障間隔(MTBF)で測定したシステム全体の信頼性を向上するには、最大定格出力未満でレーザエミッタのアレイを動作させつつ、必要な輝度発生に要する累積レーザ出力を発生させればよい。従って、こうしたレーザのアレイは、単一の高出力レーザに比べて、時間の経過に伴う性能低下の速度が本質的に遅くなると期待される。
【0027】
従って、本発明で説明したレーザエミッタの複数アレイ設計は、液晶フラットパネル表示装置用のバックライトユニットとして用いると大きな利点を提供する。
【0028】
図3は、本発明の例示的な実施形態による、図1に示したフラットパネル表示装置100などの液晶フラットパネル表示装置用のレーザ照明バックライト300の概略図である。一構成では、このバックライトは、図5(A)及び5(B)に関連して後に詳述するように、その辺部に沿ってレーザ集成体304で囲まれた光ガイド302を含む。一実施例では、光ガイド302は、この光ガイドの前方表面の上に形成された又は前方表面の内部に成形されたマイクロレンズ306のアレイを含む。代替的な実施例では、このバックライトは、光ガイド302の上に又は内部に成形されたマイクロレンズ306を備える代わりに又はそれに加え、図1の反射器102のような反射性能が高い後部反射器を含む。
【0029】
バックライト300は、このバックライトから放射された光を偏光する偏光フィルム308を含み、レーザ照明バックライト300が結合された液晶表示装置による適切な光変調を可能とする。オプションで、バックライト300は、バックライト300から放射された光を拡散するために光ガイドと偏光フィルム308との間に拡散シート310も含む。
【0030】
バックライト300は、標準的な液晶フラットパネル表示装置モジュールの残り部分と一体化させ、完全なフラットパネル表示装置を形成することもできる。例えば、バックライト300は、透明基板上に設けた能動又は受動マトリックスバックプレーンにより制御される液晶セルのアレイと結合させてもよい。図6で後に詳述するように、バックプレーンとレーザ集成体は、レーザ強度を制御すると共に個別液晶セルをアドレス指定するための1つ又は複数のコントローラ回路に制御されるドライバ回路に結合されている。この完全な表示装置モジュールは、第2偏光フィルムと、輝度向上フィルムと、カバープレートとに加え、液晶セルにそれぞれ対応した赤、緑、及び青のカラーフィルタのアレイを含むカラーフィルタ・フィルムも備えている。
【0031】
図4(A)乃至4(C)を参照すると、使用するレーザ集成体の数及び光ガイドに対するそれらの位置は、表示装置のサイズ、表示装置の所望の輝度、表示装置上で所望する色及び輝度均一性の程度に左右される。例えば、図4(A)では、多数のレーザ集成体404が光ガイド402の一辺に沿って配置されている。図4(B)の別の構成では、多数のレーザ集成体434が、光ガイド432の4辺中の二辺に沿って配置されている。図4(C)に示したさらに別の構成では、多数のレーザ集成体464が光ガイド462の角に配置されている。何れの場合も、適切な光ガイドを選択して所望程度の光分布を実現できる。理想的には、このバックライトは、均等な強度を備えた同質の白色照明野を発生するのに十分な数のレーザ集成体を確保するよう設計すべきである。例えば、アスペクト比4:3の20インチ対角線の液晶フラットパネル表示装置では、20個のレーザ集成体を光ガイドの上辺及び下辺それぞれに沿って配置し(すなわち、合計40個のレーザ集成体を使用)、良好な輝度均一性を備えたバランスのとれた白色を発生する。この設計では、光ガイドの辺に沿って2cmの離間毎に概ね1つのレーザ集成体が配置される。レーザ集成体の他の離間距離及び/又は分布も本発明の範囲から逸脱することなく可能である。例えば、離間距離は表示装置のサイズとの関係で拡大、縮小してよい。一実施形態では、アスペクト比が4:3の表示装置用の縮小拡大係数は、アスペクト比が16:9の表示装置用の縮小拡大係数とは異なる。他の実施形態では離間も変化させたり、非均一にしたりしてもよい。例えば、上辺及び下辺沿いに加え、レーザ集成体が側辺に沿って配置されている表示装置では、角の近くに必要なレーザ集成体は少なくてもよいこともあろう。
【0032】
図5(A)は、図3のレーザ照明バックライト300に組み込まれるレーザ集成体304として使用するのに適した第1レーザ集成体500の概略図である。レーザ集成体500では、個々のレーザは、三角形又は他の幾何学配置で2次元で配置されている。図示したように、各レーザ集成体は、赤(R)、緑(G)、及び青(B)レーザを含む。図5(A)には各色に単一レーザのみが示されているが、各レーザ集成体500は各色に1つ又は複数のレーザを含んでもよく、それぞれが、図2に関連して説明したように得られる像でスペックルを減少させるのに適したアンサンブル波長を発生するよう僅かに異なる中心波長を持たせることもできる。或いは、アンサンブルλは、光ガイド302内の複数レーザ集成体からの光を混合することで得ることもできる。さらに、各色を発生するために使用する異なるレーザの出力により、各レーザ集成体500は各色のレーザを同数備えていないこともある。すなわち、ある色に比べ、他の色の所望光出力を発生するにはより多くのレーザが必要となる場合がある。概ね同色の複数レーザ(例えば、中心波長がわずかに異なる赤レーザ)を集成体500内部に集めてもよいし、他の色のレーザと混合配置してもよい。実施形態によっては、1つ又は複数の色を発光ダイオードで発生できる。好適には、レーザの数、アンサンブル波長、及び出力の選択にあたっては、全レーザ集成体500に含まれるレーザの出力を混合すると、その結果が概ね純粋な白色光源となり、変調すると概ねスペックルが無い像が発生されるようにする。
【0033】
レーザ集成体500は、この集成体に組み込まれたレーザが発生する熱を放散させるヒートシンク502も含む。一実施形態では、光ガイド302内でのレーザ光の拡散と適切な混色を促進するため、レーザ集成体は、レーザと光ガイドとの間に配置された凹レンズ504などの光学素子を含んでいる。
【0034】
図5(B)は、図3のレーザ照明バックライト300に組み込まれるレーザ集成体304として使用するのに適した第2レーザ集成体550の概略図である。レーザ集成体550では、個々のレーザは線形又は1次元で配置されている。図示したように、各レーザ集成体は、赤(R)、緑(G)、及び青(B)レーザを含む。図5(B)には各色に単一レーザのみが示されているが、各レーザ集成体550は各色に1つ又は複数のレーザを含んでもよく、それぞれが、図2に関連して説明したように得られる像でスペックルを減少させるのに適したアンサンブル波長を発生するよう僅かに異なる中心波長を持たせることもできる。或いは、アンサンブルλは、光ガイド302内の複数レーザ集成体からの光を混合することで得ることもできる。さらに、各色を発生するために使用される異なるレーザの出力により、各レーザ集成体550は各色のレーザを同数備えていないこともある。すなわち、ある色に比べ、他の色の所望光出力を発生するにはより多くのレーザが必要となる場合がある。概ね同色の複数レーザ(例えば、中心波長がわずかに異なる赤レーザ)を集成体550内部に集めてもよいし、他の色のレーザと混合配置してもよい。実施形態によっては、1つ又は複数の色を発光ダイオードで発生できる。好適には、レーザの数、アンサンブル波長、及び出力の選択にあたっては、全レーザ集成体500に含まれるレーザの出力を混合すると、その結果が概ね純粋な白色光源となり、変調すると概ねスペックルが無い像が発生されるようにする。
【0035】
レーザ集成体550は、この集成体に組み込まれたレーザが発生する熱を放散させるヒートシンク552も含む。一実施形態では、光ガイド302内でのレーザ光の拡散と適切な混色を促進するため、レーザ集成体550は、レーザと光ガイド302との間に配置された正三角形プリズム554などの光学素子を含んでいる。
【0036】
図6は、液晶フラットパネル表示装置用のエリア調光制御を備えたレーザ照明エッジ型(laser illuminated edge-lit)バックライト600の概略図である。代表的な一構成では、この表示装置は、それぞれがそれ自身の光ガイド602a、602b、602c、及び602dを備えた4つの領域A1、A2、A3、及びA4に分割されている。各領域は、それぞれ一列のレーザ集成体604a、604b、604c、及び604dで照明される。これらレーザ集成体は、一組のドライバ回路(図示しない)に結合され、且つ1つ又は複数のコントローラチップ606により制御される。表示装置の特定領域における輝度を調節するため、各列のレーザ集成体は他列のレーザ集成体から独立して制御可能である。各レーザ集成体内の一色の強度も、その集成体の他の色から独立して制御できる。一実施形態では、表示装置の各領域の輝度を独立して制御しやすくするため、反射分離器又はエアギャップ608が光ガイド602の間に配置されている。別の構成では、表示装置は、所望するエリア調光の細分性によって、4列より少なくても多くてもよい。
【0037】
図7は、本発明の別の代表的実施形態による、液晶フラットパネル表示装置用のレーザ照明ダイレクト型(laser illuminated direct lit)バックライト700の概略図である。このバックライトは、図5(A)及び5(B)で上述したように、反射性が高い後部反射器上に長方形配列で取り付けられた複数のレーザ集成体702を含む。各レーザ集成体は、レーザをスキャンする必要なく、表示装置の所定領域全体に光を供給する。所望の照明野を得るには、レーザ集成体で適切な光学素子504を選択すればよい。
【0038】
バックライト700は、バックライトから放射された光を偏光する偏光フィルム704を含み、レーザ照明バックライト700が結合された液晶表示装置による適切な光変調を可能とする。オプションで、バックライト700は、バックライト700から放射された光を拡散するために光ガイドと偏光フィルム704との間に拡散シート706も含む。
【0039】
バックライト700は、標準的な液晶フラットパネル表示装置モジュールの残り部分と一体化させ、完全なフラットパネル表示装置を形成することも可能である。例えば、バックライト700は、透明基板上に設けた能動又は受動マトリックスバックプレーンにより制御される液晶セルのアレイと結合させてもよい。バックプレーンとレーザ集成体は、表示装置の異なる領域におけるレーザ強度を制御すると共に個別液晶セルをアドレス指定するための、1つ又は複数のコントローラ回路に制御されるドライバ回路に結合されている。各レーザ集成体は同じ行及び列の他の集成体から独立して制御可能であり、任意レーザ集成体内の一色の強度は、図6に関連して上述したように、その集成体内の他の色から独立して制御できる。この完全な表示装置モジュールは、第2偏光フィルムと、輝度向上フィルムと、カバープレートとに加え、液晶セルにそれぞれ対応した赤、緑、及び青のカラーフィルタのアレイを含むカラーフィルタ・フィルムも備えている。
【0040】
本発明を、図示し且つ詳細に説明した好適な実施形態に関連して開示してきたが、当業者には、様々な修正及び改良が可能なことは明らかなはずである。従って、本発明の精神及び範囲は、次の特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットパネル表示装置であって、
複数のレーザ集成体内に配置された少なくとも二原色の複数レイジング素子を含むバックライトであって、各レイジング素子が中心波長λ0i及びスペクトル帯域幅Δλiを持つレーザビームを放射するように、三原色のうち少なくとも一色の該複数レイジング素子が選択され、該レイジング素子の少なくとも1つの中心波長は、少なくとも他の1つのレイジング素子の中心波長に対して波長シフトされており、且つ、該レーザビームは、組み合わせると、オーバーラップ・パラメータγ =

を備えたアンサンブルスペクトルΛを持ち、ここで、

は該レイジング素子の平均スペクトル帯域幅で、

は該レイジング素子の該少なくとも1つと該他の1つの該中心波長λ0i間の平均波長シフトであり、

及び

はγ ≧ 1となるように選択される、バックライトと、
前記バックライトによって放射される光を変調するために、前記フラットパネル表示装置上に配置された光変調器のアレイとを含む、フラットパネル表示装置。
【請求項2】
各レーザ集成体が各原色の少なくとも1つのレイジング素子を含む、請求項1に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項3】
少なくとも1つのレーザ集成体が、少なくとも1つの原色の複数レイジング素子を含む、請求項1に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項4】
前記光変調器が液晶表示装置(LCD)パネルを含む、請求項1に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項5】
前記バックライトが、前記複数のレーザ集成体による光出力を前記フラットパネル表示装置で実質的に分散させるための光ガイドを含む、請求項1に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項6】
前記複数のレーザ集成体に対応する拡散光学素子を含む、請求項5に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項7】
前記複数のレーザが前記光ガイドの1つの外辺部の近くに配置されている、請求項5に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項8】
前記複数のレーザが前記光ガイドの各外辺部の近くに配置されている、請求項7に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項9】
前記複数のレーザが前記光ガイドの角に配置されている、請求項7に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項10】
前記複数のレーザ集成体が前記光ガイドの近くに複数の列で配置されている、請求項7に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項11】
各列のレーザ集成体が、少なくとも他の1列のレーザ集成体に対して独立制御されるよう構成されている、請求項10に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項12】
少なくとも1つのレーザ集成体内の少なくとも1つの色の輝度が該レーザ集成体内の他の色から独立して制御できるように、前記レーザ集成体が構成されている、請求項11に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項13】
複数の付加的光ガイドを含み、各光ガイドが1列のレーザ集成体に対応する、請求項10に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項14】
前記複数の光ガイドの間に配置された反射分離器を含む、請求項13に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項15】
前記バックライトの前記複数のレーザ集成体が、後から前記光変調器のアレイを直接照明するよう構成された、請求項1に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項16】
前記レーザ集成体が、前記光変調器のアレイの後に配列されている、請求項15に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項17】
各レーザ集成体が、前記少なくとも二原色それぞれの少なくとも1つのレイジング素子を含む、請求項16に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項18】
前記複数のレーザ集成体に対応する拡散光学素子を含む、請求項16に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項19】
各レーザ集成体が、該集成体と同じ列内の少なくとも1つのレーザ集成体と、同じ行内の少なくとも1つのレーザ集成体とから独立して制御されるように構成されている、請求項16に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項20】
少なくとも1つのレーザ集成体は、レーザの一色の輝度が該集成体内の他の色のレーザから独立して制御できるよう構成されている、請求項19に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項21】
フラットパネル表示装置であって、
複数レーザ集成体に配列された少なくとも二原色の複数レイジング素子を含むバックライトと、
前記複数レーザ集成体により後から直接照明される光変調器のアレイと、
前記レーザ集成体からの光を、前記光変調器のアレイの対応する領域で拡散させる複数の光学素子とを含む、フラットパネル表示装置。
【請求項22】
各レーザ集成体が、前記少なくとも二原色それぞれの少なくとも1つのレイジング素子を含む、請求項21に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項23】
各レーザ集成体が、該集成体と同じ列内の少なくとも1つのレーザ集成体と、同じ行内の少なくとも1つのレーザ集成体とから独立して制御されるように構成されている、請求項21に記載のフラットパネル表示装置。
【請求項24】
各レーザ集成体内の少なくとも1つの色の輝度が該レーザ集成体内の他の色から独立して制御できるように、前記レーザ集成体が構成されている、請求項23に記載のフラットパネル表示装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−503774(P2011−503774A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531063(P2010−531063)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/012178
【国際公開番号】WO2009/055070
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(510113221)コーポレーション フォー レーザー オプティックス リサーチ (1)
【氏名又は名称原語表記】CRPORATION FOR LASER OPTICS RESEARCH
【住所又は居所原語表記】47 Durham Street, Protsmouth, NH 03801 (US).
【Fターム(参考)】