説明

フラーレン誘導体およびその製造方法

【課題】フラーレンに環状エーテル基等の基が付加しているフラーレン誘導体の提供。フラーレンに環状エーテル基等のほか、フェニル基等の有機基も付加できるフラーレン誘導体の製造方法の提供。
【解決手段】Al、Zn、SnもしくはPb、および、有機基を含む有機金属試薬(A)の存在下で、フラーレンが環状のエーテル構造を有する化合物(B)と反応する工程を含む、フラーレン誘導体の製造方法により上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラーレン誘導体に関する。また、本発明は、有機金属試薬の存在下で、フラーレンと環状エーテル化合物とを反応させる工程を含むフラーレン誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素原子が球状またはラグビーボール状に配置して形成される炭素クラスター(以下、「フラーレン」ともいう)の合成法が確立されて以来、フラーレンに関する研究が精力的に展開されている。その結果、数多くのフラーレン誘導体が合成されてきた。
このようなフラーレン誘導体の具体例として、フラーレン骨格に5個の有機基が結合したフラーレン誘導体(以下、単に、「5重付加フラーレン誘導体」ともいう)の合成方法について報告されている[例えば、特開平10−167994号公報(特許文献1)、特開平11−255509号公報(特許文献2)、J. Am. Chem. Soc., 118, 12850 (1996)(非特許文献1), Org. Lett., 2, 1919 (2000) (非特許文献2), Chem. Lett., 1098 (2000) (非特許文献3)]。
【0003】
5重付加フラーレン誘導体の製造方法としては、例えば、フェニルグリニヤール試薬とCuBr・S(CH32とから調製される有機銅試薬をフラーレンC60と反応させることにより、フェニルグリニヤール試薬を構成するフェニル基がフラーレンC60の一つの5員環の周囲を取り囲むように位置選択的に付加したフェニル化フラーレン誘導体(C60Ph5H)が定量的に得られることが知られている[例えば、特開平10−167994号公報(特許文献1)]。
【0004】
しかしながら、この製造方法では、フラーレンにフェニル基だけしか付加させることしかできない。
【特許文献1】特開平10−167994号公報
【特許文献2】特開平11−255509号公報
【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc., 118, 12850 (1996)
【非特許文献2】Org. Lett., 2, 1919 (2000)
【非特許文献3】Chem. Lett., 1098 (2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の状況の下、例えば、フラーレンに環状エーテル基等のフェニル基以外の基も付加できるフラーレン誘導体の製造方法が求められている。また、フラーレンに環状エーテル基等の基が付加しているフラーレン誘導体が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、有機金属試薬の存在下で、フラーレンと環状エーテル化合物とを反応させる工程を含むフラーレン誘導体の製造方法を見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。本発明は以下のようなフラーレン誘導体、フラーレン誘導体の製造方法等を提供する。
【0007】
[1] フラーレンが、
下記式(1)
【化17】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される化合物(B)と反応する工程を含む、フラーレン誘導体の製造方法。
[2] 式(1)中、R1は水素であり、Wは置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたはC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい、[1]に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[3] 式(1)中、R1〜R3は水素であり、Wは炭素数1〜5のアルキレンである、[1]または[2]に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[4] Al、Zn、SnもしくはPb、および、有機基を含む有機金属試薬(A)の存在下で、フラーレンが化合物(B)と反応する工程を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[5] Al、Zn、SnもしくはPb、および、置換基を有してもよい芳香族基を含む有機金属試薬(A)の存在下で、フラーレンが化合物(B)と反応する工程を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[6] 有機金属試薬(A)がZnを含む、[1]〜[5]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
【0008】
[7] 製造されるフラーレン誘導体が、少なくとも下記式(10)
【化18】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であるRAが付加している、フラーレン誘導体である、[1]〜[6]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[8] 式(10)中、R1は水素であり、Wは置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたはC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい、[7]に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[9] 製造されるフラーレン誘導体が、下記式(20)
【化19】

[式中、A〜Cの位置にある3つの炭素の中のいずれか1つの炭素に、下記式(10)
【化20】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であるRAが付加している。]
で表されるフラーレン誘導体である、[1]〜[6]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
【0009】
[10] 銅化合物(C)の存在下で、フラーレンがさらに有機金属試薬(A)と反応する、[1]〜[3]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[11] 有機金属試薬(A)がZnを含む、[10]に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[12] 銅化合物(C)がCuBr・S(CH32である、[10]または[11]に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[13] 製造されるフラーレン誘導体が、下記式(3)
Cm(RBp(RA)H (3)
[式中、Cmは炭素数mのフラーレンを示し、pは1〜10の整数を示し、RAは下記式(10)
【化21】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であり、RBはそれぞれ独立して有機基である。]
で表される、[10]〜[12]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
[14] 製造されるフラーレン誘導体が、下記式(30)
【化22】

[式中、A〜Eの位置にある5つの炭素の中のいずれか1つの炭素に、下記式(10)
【化23】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であるRAが付加されており、残りの4つの炭素に有機基であるRBが付加している。]
で表されるフラーレン誘導体である、[10]〜[12]のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
【0010】
[15] フラーレンに、少なくとも下記式(10)
【化24】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であるRAが付加している、フラーレン誘導体。
[16] フラーレンC60に、少なくとも下記式(10)
【化25】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であるRAが付加している、フラーレン誘導体。
[17]下記式(2)または下記式(3)
Cm(RA)H (2)
Cm(RBp(RA)H (3)
[式中、Cmは炭素数mのフラーレンを示し、pは1〜10の整数を示し、RAは下記式(10)
【化26】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であり、RBはそれぞれ独立して有機基である。]
で表されるフラーレン誘導体。
[18] 下記式(20)
【化27】

[式中、A〜Cの位置にある3つの炭素の中のいずれか1つの炭素に、下記式(10)
【化28】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であるRAが付加している。]
で表されるフラーレン誘導体。
[19] 下記式(30)
【化29】

[式中、A〜Eの位置にある5つの炭素の中のいずれか1つの炭素に、下記式(10)
【化30】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であるRAが付加されており、残りの4つの炭素に有機基であるRBが付加している。]
で表されるフラーレン誘導体。
【0011】
[20] 下記式(40)
【化31】

[式中、Mは金属原子であり、LはMの配位子であり、nはLの数であり、A〜Eの位置にある5つの炭素の中のいずれか1つの炭素に、下記式(10)
【化32】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であるRAが付加されており、残りの4つの炭素に有機基であるRBが付加している。]
で表されるフラーレン誘導体。
[21] Mが遷移金属である、[20]に記載のフラーレン誘導体。
[22] MがFe、RuまたはOsであり、nが0〜5の整数であり、Lがハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、アルキン基またはシクロペンタジエニル基である、[20]に記載のフラーレン誘導体。
[23] R1は水素であり、Wは置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい、[15]〜[22]のいずれかに記載のフラーレン誘導体。
[24] R1〜R3は水素であり、Wは炭素数1〜5のアルキレンである、[15]〜[22]のいずれかに記載のフラーレン誘導体。
【発明の効果】
【0012】
本発明の好ましい態様に係るフラーレン誘導体の製造方法は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)等の環状エーテルを含む基が付加されたフラーレン誘導体を高い収率で簡便に製造できる。本発明の好ましい態様に係るフラーレン誘導体の製造方法は、例えば、テトラヒドロフラン等の環状エーテルを含む基が少なくとも1つ付加された、位置選択的な5重付加フラーレン誘導体を高い収率で簡便に製造できる。
また、電子材料、光機能材料、生理活性物質等に有用なフラーレン誘導体を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
1.フラーレン誘導体
本発明は、フラーレンに、少なくとも上記式(10)で表される基であるRAが付加している、フラーレン誘導体を提供する。すなわち、本発明のフラーレン誘導体は上記式(10)で表される基であるRAが少なくとも1つ付加されていれば、他にどのような基が付加していてもよい。
本発明のフラーレン誘導体は、例えば、下記のフラレーン誘導体の製造方法を用いて合成できる。
【0014】
ここで、フラーレンとは、炭素原子が球状またはラグビーボール状に配置して形成される炭素クラスターの総称であり(現代化学2000年6月号46頁,Chemical Reviews, 98, 2527(1998)参照)、例えば、フラーレンC60(いわゆるバックミンスター・フラーレン)、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC82、フラーレンC84、フラーレンC90、フラーレンC94、フラーレンC96等が挙げられる。
【0015】
本発明のRAが付加している前記フラーレン誘導体はフラーレンC60の誘導体であることが好ましい。
【0016】
Aは上記式(10)で表される基である。式(10)を構成するWは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。
これらの中でも、Wは置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたはC2〜C12のアルキニレン(これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい)が好ましく、C1〜C5のアルキレンが特に好ましい。
【0017】
また、式(10)を構成するR1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基である。これらの有機基の中でも、R1〜R3はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいC1〜C30炭化水素基、置換基を有してもよいC1〜C30アルコキシ基、置換基を有してもよいC6〜C30アリールオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいシリル基、置換基を有してもよいアルキルチオ基(−SY1、式中、Y1は置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基を示す。)、置換基を有してもよいアリールチオ基(−SY2、式中、Y2は置換基を有してもよいC6〜C18アリール基を示す。)、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Y3は置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基を示す。)、置換基を有してもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Y4は置換基を有してもよいC6〜C18アリール基を示す。)が好ましい。
これらの中でも、R1〜R3はそれぞれ独立して水素またはC1〜C5のアルキレンが好ましく、水素が特に好ましい。
【0018】
また、本発明のRAが付加しているフラーレン誘導体は、下記式(2)または式(3)
Cm(RA)H (2)
Cm(RBp(RA)H (3)
で表されるフラーレン誘導体が好ましい。
【0019】
式(2)または式(3)で表されるフラーレン誘導体では、フラーレン骨格にRAとRBが付加している。
【0020】
式(2)および式(3)を構成するRAは、式(10)を構成するRAと同様である。
また、式(2)および式(3)を構成するRBは有機基である。これらの有機基の中でも、置換基を有してもよい芳香族基が好ましく、置換基を有してもよいフェニル基がさらに好ましい。
【0021】
本明細書において、「C1〜C30炭化水素基」の炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C1〜C30炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれでもよい。「C1〜C30炭化水素基」には、C1〜C30アルキル基、C2〜C30アルケニル基、C2〜C30アルキニル基、C4〜C30アルキルジエニル基、C6〜C18アリール基、C7〜C30アルキルアリール基、C7〜C30アリールアルキル基、C4〜C30シクロアルキル基、C4〜C30シクロアルケニル基、(C3〜C10シクロアルキル)C1〜C10アルキル基などが含まれる。
【0022】
本明細書において、「C1〜C30アルキル基」は、C1〜C10アルキル基であることが好ましく、C1〜C6アルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
【0023】
本明細書において、「C2〜C30アルケニル基」は、C2〜C10アルケニル基であることが好ましく、C2〜C6アルケニル基であることが更に好ましい。アルケニル基の例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、2−ブテニル等を挙げることができる。
【0024】
本明細書において、「C2〜C30アルキニル基」は、C2〜C10アルキニル基であることが好ましく、C2〜C6アルキニル基であることが更に好ましい。アルキニル基の例としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。
【0025】
本明細書において、「C4〜C30アルキルジエニル基」は、C4〜C10アルキルジエニル基であることが好ましく、C4〜C6アルキルジエニル基であることが更に好ましい。アルキルジエニル基の例としては、制限するわけではないが、1,3−ブタジエニル等を挙げることができる。
【0026】
本明細書において、「C6〜C18アリール基」は、C6〜C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0027】
本明細書において、「C7〜C30アルキルアリール基」は、C7〜C12アルキルアリール基であることが好ましい。アルキルアリール基の例としては、制限するわけではないが、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、メシチル等を挙げることができる。
【0028】
本明細書において、「C7〜C30アリールアルキル基」は、C7〜C12アリールアルキル基であることが好ましい。アリールアルキル基の例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル等を挙げることができる。
【0029】
本明細書において、「C4〜C30シクロアルキル基」は、C4〜C10シクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
【0030】
本明細書において、「C4〜C30シクロアルケニル基」は、C4〜C10シクロアルケニル基であることが好ましい。シクロアルケニル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。
【0031】
本明細書において、「C1〜C30アルコキシ基」は、C1〜C10アルコキシ基であることが好ましく、C1〜C6アルコキシ基であることが更に好ましい。アルコキシ基の例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。
【0032】
本明細書において、「C6〜C30アリールオキシ基」は、C6〜C10アリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基の例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等を挙げることができる。
【0033】
本明細書において、「アルキルチオ基(−SY1、式中、Y1は置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基を示す。)」及び「アルキルスルホニル基(−SO23、式中、Y3は置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基を示す。)」において、Y1及びY3は、C1〜C10アルキル基であることが好ましく、C1〜C6アルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
【0034】
本明細書において、「アリールチオ基(−SY2、式中、Y2は置換基を有してもよいC6〜C18アリール基を示す。)」及び「アリールスルホニル基(−SO24、式中、Y4は置換基を有してもよいC6〜C18アリール基を示す。)」において、Y2及びY4は、C6〜C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0035】
本明細書において、「芳香族基」の例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等がある。「芳香族基」が有してもよい置換基の例としては、制限するわけではないが、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0036】
式(2)で表されるフラーレン誘導体の中でも、本発明の製造方法を用いると、RAがフラーレン骨格に位置選択的に付加された式(20)で表されるフラーレン誘導体が高収率に合成される。式(20)のフラーレン誘導体を構成するRAは、式(2)のフラーレン誘導体を構成するRAと同様である。
【0037】
式(3)で表されるフラーレン誘導体の中でも、本発明の製造方法を用いると、RAとRBがフラーレン骨格に位置選択的に付加された式(30)で表されるフラーレン誘導体が高収率に合成できる。式(30)のフラーレン誘導体を構成するRAは、式(3)のフラーレン誘導体を構成するRAと同様である。また、式(30)のフラーレン誘導体を構成するRBは、式(3)のフラーレン誘導体を構成するRBと同様である。
【0038】
また、本発明は、上記式(40)で表されるフラーレン誘導体を提供する。式(40)で表されるフラーレン誘導体は、例えば、式(30)で表されるフラーレン誘導体に[FeCp(CO)22等の金属錯体を加えて加熱することによって得られる。
【0039】
式(40)中、RAとRBは、式(3)のフラーレン誘導体を構成するRAとRBと同様である。
また、(40)式中、Mは金属原子であり、LはMの配位子であり、nはLの数であり、Zは第4B族に属する元素である。
【0040】
Mは金属原子であれば特に限定されず、典型金属でも遷移金属であってもよい。Mの具体例としては、Li、K、Na、Mg、Al等の典型金属、Ti、Zr、V、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Zn等の遷移金属などが挙げられる。得られるフラーレン誘導体を電子材料に用いる場合には、Mは遷移金属であると金属に特有の酸化還元挙動に基づく電子的性質がフラーレン骨格に付与されるため好ましく、さらに、遷移金属の中でも、Fe、Ru、Os、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt等の8〜10族の遷移金属が好ましく、さらにFe、Ru、Os等の8族の遷移金属が好ましい。
【0041】
nはL(Mの配位子)の数であり、Mの配位子の数としてあり得る整数以下でかつ0以上の数であれば特に限定されないが、0〜5の整数であることが好ましい。なお、Lが2以上の場合、配位子Lは互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0042】
また、Lは水素原子、Cl、Br、I等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、並びに、メチル基、エチル基等のアルキル基、カルボニル基、アルキン基またはシクロペンタジエニル基であることが好ましい。
【0043】
2.フラーレン誘導体の製造方法
本発明のフラーレン誘導体の製造方法は、フラーレンが、上記式(1)で表される化合物(B)と反応する工程を含む、フラーレン誘導体の製造方法である。
本発明のフラーレン誘導体の製造方法は、好ましくは、フラーレンが、上記式(1)で表される化合物(B)と反応する工程が、Al、Zn、SnもしくはPb、および、有機基を含む有機金属試薬(A)の存在下で行われる。
また、本発明のフラーレン誘導体の製造方法は、好ましくは、フラーレンが、上記式(1)で表される化合物(B)と反応する工程が銅化合物(C)の存在下で行われ、フラーレンが化合物(B)および有機金属試薬(A)と反応する。
【0044】
2.1 フラーレン
本発明のフラーレン誘導体の製造方法に用いられるフラーレンは、特に限定されるものではないが、例えば、フラーレンC60(いわゆる「バックミンスター・フラーレン」)、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC82、フラーレンC84、フラーレンC90、フラーレンC94、フラーレンC96等が挙げられる。これらのフラーレンの中でも、本製造工程においてC60およびC70を用いることが好ましく、C60が特に好ましい。
【0045】
2.2 有機金属試薬(A)
本発明のフラーレン誘導体の製造方法において、有機金属試薬(A)を用いることができる。これによって、化合物(B)とフラーレンが反応して、化合物(B)に由来するRAがフラーレン骨格に付加する。このようにして、RAが付加しているフラーレン誘導体が高収率で合成できる。
【0046】
本発明の製造方法で用いられる有機金属試薬(A)はAl、Zn、SnもしくはPb、および、有機基を含む化合物であれば特に限定されない。当該有機基はハロゲン原子を含んでもよい。
【0047】
有機金属試薬(A)に含まれる金属原子はAl、Zn、SnもしくはPbであるが、これらの中でもAlまたはZnが好ましく、Znが特に好ましい。
【0048】
ここで、有機金属試薬(A)に含まれる有機基としては、例えば、置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいシリル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SY1、式中、Y1は置換基を有していてもよいC1〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SY2、式中、Y2は置換基を有していてもよいC6〜C18アリール基を示す。)、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO23、式中、Y3は置換基を有していてもよいC1〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO24、式中、Y4は置換基を有していてもよいC6〜C18アリール基を示す。)が挙げられる。
【0049】
また、前記有機基は、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、トリメチルシリルエチニル基、アリール基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基、アルコキシ基等の官能基を含む置換基を有することができる。
【0050】
フラーレンと化合物(B)との反応を促進させるために、有機金属試薬(A)に含まれる有機基はフェニル基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、チオ基等の電子供与基を有するフェニル基が特に好ましい。
【0051】
有機基に含まれることがあるハロゲン原子は特に限定されるものではないが、例えばF、Cl、Br、I等が挙げられる。これらのハロゲン原子の中でもBrまたはIが含まれることが好ましい。
【0052】
有機金属試薬(A)は、原料となるフラーレンに対して3〜50等量用いられることが好ましく、5〜30等量用いられることがさらに好ましい。
【0053】
2.3 化合物(B)
化合物(B)は上記式(1)で表される化合物である。式(1)で表される化合物(B)を構成するR1、R2、R3およびWは、式(10)を構成するR1、R2、R3およびWと同様である。
【0054】
化合物(B)は、式(1)で表される化合物の中でも、テトラヒドロフランであることが好ましい。
【0055】
2.4 銅化合物(C)
本発明のフラーレン誘導体の製造方法において、有機金属試薬(A)の他にさらに銅化合物(C)を用いることができる。これによって、化合物(B)とフラーレンが反応して、化合物(B)に由来するRAがフラーレン骨格に付加すると共に、有機金属試薬(A)とフラーレンも反応して、有機金属試薬(A)に由来するRBがフラーレン骨格に付加する。このようにして、RAとRBが付加しているフラーレン誘導体が高収率で合成できる。
【0056】
銅化合物(C)は、有機基と銅原子を含む化合物であれば特に限定されるものではないが、1価または2価の銅化合物から調整されたものであることが好ましい。これらの中でも、精製が容易で純度を高めることができる点から、銅化合物としてCuBr・S(CH32を用いることが好ましい。
また、銅化合物(C)の安定化や溶解度を向上させること等を目的として、場合により、N,N−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)や、N−ブチルピロリドン(NBT)などの添加剤を用いることもできる。
【0057】
本発明のフラーレン誘導体の製造方法において、銅化合物(C)を用いる場合、用いられる銅化合物(C)の量は特に限定されるものではない。用いられる銅化合物(C)の好ましい量は、共に用いられる有機金属試薬(A)中に含まれる有機基の種類によって依存するが、一般的に、有機金属試薬(A)と銅化合物(C)との混合比(モル比)が、3:1〜1:3が好ましく、2:1〜1:1がさらに好ましい。
【0058】
2.6 反応条件
本発明の製造方法における、有機金属試薬(A)存在下でのフラーレンと化合物(B)との反応は、一般的には、トルエン、ジクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド(DMF)またはそれらの混合溶媒などの不活性溶媒中で行われる。銅化合物(C)の存在下でフラーレンと化合物(B)と有機金属試薬(A)とを反応させる場合には、DMFまたはDMFの混合溶媒を用いることが好ましい。
【0059】
本発明のフラーレン誘導体の合成反応の反応系に用いられる化合物(B)の量は、フラーレンよりも過剰であれば特に制限されるものではないが、フラーレンに対して20等量以上が好ましく、100〜600等量用いるのがフラーレン骨格に対する化合物(B)の付加反応を円滑に進める上でさらに好ましい。
【0060】
本発明の製造方法におけるフラーレンと化合物(B)との反応は常圧下で、−70℃〜70℃の温度範囲で行われることが好ましく、−50℃〜50℃の温度範囲で行われることがさらに好ましい。
また、反応時間は用いられる溶媒や温度等に依存するが、一般的には、通常、数分〜24時間、好ましくは10分〜12時間程度で行われる。
【0061】
本発明におけるフラーレン誘導体の合成反応の停止は、塩化アンモニウム水溶液などを反応系中に添加することによって行うことができる。
【0062】
2.7 フラーレン誘導体の単離
本発明のフラーレン誘導体の合成反応の反応系からフラーレン誘導体を単離する方法は特に限定されないが、例えば反応液をそのままシリカゲルカラムに通すことによって、無機物等の副生成物を除くことによって行われる。必要に応じて、単離した物質について、HPLCや通常のカラムクロマトグラフィー等で更に精製し、フラーレン誘導体の純度を向上させてもよい。
【0063】
2.8 フラーレン金属錯体の製造方法
本発明のフラーレン誘導体の製造方法によって得られた式(2)または式(3)で表されるフラーレン誘導体から、特開平10−167994号公報や特開平11−255509号公報等に記載された公知の方法を用いて、フラーレン金属錯体を容易に製造することができる。例えば、式(2)または式(3)で表されるフラーレン誘導体に、[FeCp(CO)22等の金属錯体を加え,ベンゾニトリル などの溶媒を用いて100℃〜200℃ で10〜50時間加熱することにより、フラーレン金属錯体である式(40)で表されるフラーレン誘導体を製造できる。
【0064】
3.本発明の合成反応によって得られたフラーレン誘導体の用途
本発明のフラーレン誘導体製造方法で得られたRAを有するフラーレン誘導体は、従来のフラーレン誘導体と比べて異なる電気的性質および溶媒溶解性を示す。したがって、フラーレン骨格に付加している有機基であるRBの種類にもよるが、電子材料、光機能材料、生理活性物質として用いることができる。
【0065】
また、フラーレン誘導体のRA上でさらなる反応を行い、さらに置換基を導入することができ、このようにして得られた好ましい態様のフラーレン誘導体は、ポリマーとシグマ結合で結合等させることができるため、原料としても有用である。
【0066】
さらに、式(40)に示すようなRAを含むフラーレン誘導体の金属錯体には、フラーレン骨格に由来する電気的、光化学的、磁気的性質等に加えて金属原子固有の性質を付与することができるため、電子材料用素子としても有用である。
【実施例】
【0067】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0068】
[実施例1]C60(C47O)Hの製造
【化33】

スキーム1に示すように、アルゴン下、シュレンクフラスコにC60 (72.1 mg, 0.10 mmol) を入れ、オルトジクロロベンゼン(5 mL)とDMF (155 (L, 20 eq) をシリンジで加えた。シュレンクフラスコを氷のアイスバスにつけ、撹拌を開始し、PhZnBr (10 eq) のTHF溶液2.0 mLを滴下した(THF添加量:24 mmol)。20分後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えることにより反応を停止し、トルエンを溶媒として用いてシリカゲルカラムにより濾過し、固体が析出するまで溶液を濃縮した。二硫化炭素を溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。エバポレータで濃縮し、溶液が透明になるまでメタノールを加えた。固体を濾取し、減圧下数時間乾燥し、こげ茶色の固体としてC60(C47O)Hを60%の収率で得た (47.60 mg, 99 % purity by HPLC)。
得られたフラーレン誘導体について、NMRおよびTOF法によるAPCI−HRMSの測定を行った。測定結果は以下のとおりであった。
【0069】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3/CS2): ( 2.44 (m, 2H), 2.88 (m, 1H), 3.13 (m, 1H), 4.31 (m, 1H), 4.47 (m, 1H), 5.62 (t, J=7.5, 1H), 6.61 (s, 1H). 13C-NMR (500 MHz, CDCl3/CS2): ( 26.68 (1C), 29.21 (1C), 56.74 (1C), 69.19 (1C), 69.94 (1C), 87.36 (1C), 136.30 (3C), 136.58 (1C), 139.68 (1C), 139.91 (1C), 140.12 (1C), 141.37 (1C), 141.46 (3C), 141.61 (2C), 141.88 (4C), 142.12 (1C), 142.14 (1C), 142.41 (5C), 143.02 (2C), 144.36 (2C), 144.48 (1C), 144.53 (1C), 145.20 (8C), 145.42 (1C), 145.67 (2C), 146.00 (2C), 146.06 (2C), 146.21 (3C), 146.25 (2C), 146.90 (2C), 147.01(1C), 147.23 (1C), 147.27 (1C), 152.88 (1C), 153.36 (1C), 153.46 (1C). APCI -MS (-) (m/z): 792.0 (M+).
【0070】
[実施例2]C60Ph4(C47O)Hの製造
【化34】

スキーム2に示すように、アルゴン下、シュレンクフラスコにC60(201 mg, 0.128 mmol) と CuBr・SMe2 (457 mg, 2.22 mmol, 8 eq) を入れ、オルトジクロロベンゼン(6 mL)をシリンジで加えた。シュレンクフラスコを氷のアイスバスにつけ、撹拌を開始し,PhZnBr (8 eq) のTHF溶液4.44 mLを滴下した(THF添加量:54.2 mmol)。3時間後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えることにより反応を停止し、トルエンとクロロホルムを溶媒として用いてシリカゲルカラムにより濾過し、固体が析出するまで溶液を濃縮した。トルエンとクロロホルムを溶媒としたシリカゲルカラムによる濾過を繰り返し、溶液が透明になるまでメタノールを加えた。固体を濾取し、減圧下、数時間乾燥し、オレンジ色の固体としてC60Ph4(C47O)Hを94%の収率、90%の純度で得た。
得られたフラーレン誘導体について、NMRおよびTOF法によるAPCI−HRMSの測定を行った。測定結果は以下のとおりであった。
【0071】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3/CS2): isomer 1: ( 1.77 (m, 2H), 1.94 (m, 2H), 3.58 (m, 2H), 5.16 (s, 1H), 7.17-7.90 (m, 20H); isomer 2: ( 2.06 (m, 2H), 2.24 (m, 2H), 3.75 (m, 2H), 5.27 (s, 1H), 7.17-7.99 (m, 20H). APCI-MS(-) (m/z): 1100.2 (M+).
【0072】
[実施例3]C60(C64OCH34(C47O)Hの製造
【化35】

スキーム3に示すように、アルゴン下、シュレンクフラスコにC60 (36.0 mg, 0.050 mmol)と CuBr・SMe2 (143.9 mg, 0.70 mmol, 14 eq) を入れ、オルトジクロロベンゼン(3 mL)をシリンジで加えた。シュレンクフラスコを氷のアイスバスにつけ、撹拌を開始し、CH3OC6H4ZnBr (7 eq) のTHF溶液0.70 mLを滴下した(THF添加量:8.5 mmol)。5時間後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えることにより反応を停止し、トルエンとクロロホルムを溶媒として用いてシリカゲルカラムにより濾過し、固体が析出するまで溶液を濃縮した。トルエンとクロロホルムを溶媒としたシリカゲルカラムによる濾過を繰り返し、溶液が透明になるまでメタノールを加えた。固体を濾取し、減圧下で数時間乾燥し、オレンジ色の固体として54.6 mgのC60(C64OCH34(C47O)Hを89%の収率,94%の純度で得た。
得られたフラーレン誘導体について、NMRの測定を行った。測定結果は以下のとおりであった。
【0073】
1H NMR (500 MHz, CDCl3): d 1.78-2.20 (m, 4H), 3.64-3.90 (m, 14H, signals of OCH3 and O-C-H2 in THF group),4.62-4.67 (m, 1H, C60-C-H in THF group), 5.02, 5.13, 5.23 (s, 1H, three signals of C60-H),6.68-6.99 (m, 9H), 7.42-7.91 (m, 7H).
【0074】
[実施例4]C60(C64CH34(C47O)Hの製造
【化36】

スキーム4に示すように、アルゴン下、シュレンクフラスコにC60 (72.1 mg, 0.10 mmol)と CuBr・SMe2 (185.0 mg, 9 mmol, 9 eq) を入れ、オルトジクロロベンゼン(5 mL)をシリンジで加えた。シュレンクフラスコを氷のアイスバスにつけ、撹拌を開始し、MeC6H4ZnBr (9 eq) のTHF溶液1.8 mLを滴下した(THF添加量:22 mmol)。3時間後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えることにより反応を停止し、トルエンとクロロホルムを溶媒として用いてシリカゲルカラムにより濾過し、固体が析出するまで溶液を濃縮した。トルエンとクロロホルムを溶媒としたシリカゲルカラムによる濾過を繰り返し、溶液が透明になるまでメタノールを加えた。固体を濾取し、減圧下で数時間乾燥し、オレンジ色の固体としてC60(C64CH34(C47O)Hを93%の収率,93%の純度で得た。
得られたフラーレン誘導体について、NMRの測定を行った。測定結果は以下のとおりであった。
【0075】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3/CS2): ( isomer 1: 1.67-1.99 (m, 4H), 2.23-2.38 (m, 12H), 3.55-3.58 (m, 2H), 4.55-4.58 (m, 1H), 4.95 (s, 1H), 6.87-6.99 (m, 4H), 7.05-7.13 (m, 4H), 7.32-7.48 (m, 4H), 7.57-7.71 (m, 4H); isomer 2: 1.67-1.99 (m, 4H), 2.23-2.38 (m, 12H), 3.71 (m, 2H), 4.59-4.61 (m, 1H), 5.18 (s, 1H), 6.87-6.99 (m, 4H), 7.05-7.13 (m, 4H), 7.32-7.48 (m, 4H), 7.57-7.71 (m, 4H).
【0076】
[実施例5]C60(C64iPr)4(C47O)Hの製造
【化37】

スキーム5に示すように、アルゴン下、シュレンクフラスコにC60 (72.1 mg, 0.10 mmol)と CuBr・SMe2 (205.58 mg, 1.0 mmol, 10 eq) を入れ、オルトジクロロベンゼン(5 mL)をシリンジで加えた。シュレンクフラスコを氷のアイスバスにつけ、撹拌を開始し、iPrC6H4ZnI (10 eq) のTHF溶液2.0 mLを滴下した(THF添加量:24 mmol)。3時間後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えることにより反応を停止し、トルエンとクロロホルムを溶媒として用いてシリカゲルカラムにより濾過し、固体が析出するまで溶液を濃縮した。トルエンとクロロホルムを溶媒としたシリカゲルカラムによる濾過を繰り返し、溶液が透明になるまでメタノールを加えた。固体を濾取し,減圧下で数時間乾燥し、オレンジ色の固体として59.48 mgのC60(C64iPr)4(C47O)Hを94%の収率,91%の純度で得た。
得られたフラーレン誘導体について、NMRの測定を行った。測定結果は以下のとおりであった。
【0077】
1H NMR (500 MHz, CDCl3): d 1.20-1.35 (m, 24H, CH3), 1.73-2.25 (m, 4H), 2.80-2.95 (m, 4H), 3.20-3.76 (m, 2H, O-C-H2 in THF group),4.65-4.81(m, 1H, C60-C-H in THF group), 5.06, 5.17, 5.26, 5.28, 5.33 (s, 1H, five signals of C60-H), 6.97-7.92 (m, 16H).
【0078】
[実施例6]C60(biphenyl)4(C47O)Hの製造
【化38】

スキーム6に示すように、アルゴン下、シュレンクフラスコにC60 (36.03 mg, 0.050 mmol)と CuBr・SMe2 (154.2 mg, 0.75 mmol, 15 eq) を入れ、オルトジクロロベンゼン(3 mL)をシリンジで加えた。シュレンクフラスコを氷のアイスバスにつけ、撹拌を開始し、PhC6H4ZnI (10 eq) のTHF溶液1.0 mLを滴下した(THF添加量:12 mmol)。6時間後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えることにより反応を停止し、トルエンとクロロホルムを溶媒として用いてシリカゲルカラムにより濾過し、固体が析出するまで溶液を濃縮した。トルエンとクロロホルムを溶媒としたシリカゲルカラムによる濾過を繰り返し、溶液が透明になるまでメタノールを加えた。固体を濾取し、減圧下で数時間乾燥し、オレンジ色の固体として58.82 mgのC60(biphenyl)4(C47O)Hを84%の収率,91%の純度で得た。
得られたフラーレン誘導体について、NMRの測定を行った。測定結果は以下のとおりであった。
【0079】
1H NMR (500 MHz, CDCl3): d 1.75-2.35 (m, 4H), 3.25-3.84 (m, 2H, O-C- H2 in THF group), 4.72-4.88, 4.77 (m, 1H, C60-C-H in THF group), 5.23, 5.34, 5.45, 5.48, 5.52 (s, 1H, five signals of C60-H), 7.26-8.20 (m, 36H).
【0080】
[実施例7]C60(C64Br)4(C47O)Hの製造
【化39】

スキーム7に示すように、アルゴン下、シュレンクフラスコにC60 (72.1 mg, 0.10 mmol)と CuBr・SMe2 (205.6 mg, 1.0 mmol, 10 eq) を入れ、オルトジクロロベンゼン(5 mL)をシリンジで加えた。シュレンクフラスコを氷のアイスバスにつけ、撹拌を開始し、BrC6H4ZnBr (15 eq) のTHF溶液3.0 mLを滴下した(THF添加量:37 mmol)。3時間後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えることにより反応を停止し、トルエンとクロロホルムを溶媒として用いてシリカゲルカラムにより濾過し、固体が析出するまで溶液を濃縮した。トルエンとクロロホルムを溶媒としたシリカゲルカラムによる濾過を繰り返し、溶液が透明になるまでメタノールを加えた。固体を濾取し、減圧下で数時間乾燥した。その後、二硫化炭素を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、オレンジ色の固体として74.88 mgのC60(C64Br)4(C47O)Hを53%の収率、96%の純度で得た。また、副生成物として,63.54mgのC60(C64Br)5H(収率42%,純度95 %)を得た.
得られたフラーレン誘導体について、NMRの測定を行った。測定結果は以下のとおりであった。
【0081】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3/CS2): ( 1.74 (m, 2H), 2.00 (m, 1H), 2.15 (m, 1H), 3.14 (m, 1H), 3.40 (m, 1H), 4.57 (t, J=6.9, 1H), 5.17 (s, 1H), 7.24-7.66 (m, 20H). APCI-MS(-) (m/z): 1416.6.
【0082】
[実施例8]C60(C64COOEt)4(C47O)Hの製造
【化40】

スキーム8に示すように、アルゴン下、シュレンクフラスコにC60 (72.1 mg, 0.10 mmol)と CuBr・SMe2 (205.6 mg, 1.0 mmol, 10 eq) を入れ、オルトジクロロベンゼン(5 mL)をシリンジで加えた。シュレンクフラスコを氷のアイスバスにつけ、撹拌を開始し、EtOCOC6H4ZnBr (15 eq) のTHF溶液3.0 mLを滴下した(THF添加量:37 mmol)。3時間後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えることにより反応を停止し、トルエンとクロロホルムを溶媒として用いてシリカゲルカラムにより濾過し、固体が析出するまで溶液を濃縮した。トルエンとクロロホルムを溶媒としたシリカゲルカラムによる濾過を繰り返し、溶液が透明になるまでメタノールを加えた。固体を濾取し、減圧下で数時間乾燥した。その後、二硫化炭素を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、オレンジ色の固体として39.48 mgのC60(C64COOEt)4(C47O)Hを28%の収率、99%の純度で得た。また、副生成物として、86.26 mgの C60(C64Br)5H(収率59%,純度99 %)を得た。
得られたフラーレン誘導体について、NMRの測定を行った。測定結果は以下のとおりであった。
【0083】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3/CS2): ( isomer 1: 1.43 (m, 12H), 1.74-2.26 (m, 4H), 3.58 (m, 2H), 4.41 (m, 8H), 4.62 (m, 1H), 5.23 (s, 1H), 7.59-7.70 (m, 4H), 7.84-7.92 (m, 7H), 8.01-8.10 (m, 5H); isomer 2: 1.43 (m, 12H), 1.74-2.26 (m, 4H), 3.78 (m, 2H), 4.41 (m, 8H), 4.77 (m, 1H), 5.36 (s, 1H) ), 7.59-7.70 (m, 4H), 7.84-7.92 (m, 7H), 8.01-8.10 (m, 5H).
【0084】
[実施例9]FeCpC60Ph4(C47O)の製造
【化41】

スキーム9に示すように、アルゴン下、シュレンクフラスコにC60Ph4(C47O)H (55.1 mg, 0.5 mmol) と [FeCp(CO)22 (0.15 mmol, 3.0 eq) をとり、ベンゾニトリル (10 mL) を加えて 175℃ で 24時間加熱した。70℃での減圧蒸留によりベンゾニトリルを取り除き、トルエンを溶媒として用い、中性アルミナのショートパスにより濾過した。二硫化炭素を溶媒として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、FeCpC60Ph4(C47O) (43.7 mg,収率72%,純度99%) を赤色結晶として得た。
得られたフラーレン誘導体について、NMRおよびTOF法によるAPCI−HRMSの測定を行った。測定結果は以下のとおりであった。
【0085】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3/CS2): ( 2.04 (m, 2H), 2.28 (m, 1H), 2.52 (m, 1H), 3,46 (s, 5H), 3.86 (m, 1H), 4.00 (m, 1H), 5.20 (t, J=7.2, 1H), 7.23-7.39 (m, 12H), 7.82 (d, J=6.9, 2H), 7.84 (d, J=6.9, 2H), 7.97 (d, J= 6.9, 2H), 8.10(d, J=6.3, 2H). 13H-NMR (500 MHz, CDCl3/CS2): ( 26.5 (1C), 29.8 (1C), 58.1 (1C), 58.2 (1C), 58.5 (1C), 68.5 (1C), 72.9 (1C), 83.6 (1C), 89.6 (1C), 92.0 (1C), 92.7 (1C), 92.8 (1C), 93.1 (1C), 127.2 (1C), 127.3 (2C), 127.4 (1C), 127.5 (2C), 127.6 (4C), 127.9 (2C), 128.7 (2C), 129.0 (4C), 129.4 (2C), 142.69 (1C), 142.78 (2C), 142.90 (2C), 142.93 (1C), 142.97 (1C), 143.00 (1C), 143.05 (1C), 143.07 (1C), 143.10 (2C), 143.12 (1C), 143.62 (1C), 143.71 (2C), 143.88 (1C), 143.91 (1C), 143.95 (2C), 144.07 (1C), 144.93 (1C), 145.62 (1C), 147.17 (1C), 147.19 (1C), 147.24 (1C), 147.27 (2C), 147.80 (1C), 147.91 (1C), 147.95 (1C), 147.98 (2C), 148.00 (2C), 148.03 (1C), 148.05 (1C), 148.16 (2C), 148.24 (2C), 148.26 (1C), 148.28 (1C), 150.52 (1C), 150.84 (1C), 151.79 (1C), 152.28 (1C), 152.36 (1C), 152.56 (1C), 152.88 (1C), 153.33 (1C), 154.44 (1C). APCI-MS(+) (m/z): 1221.1.
【0086】
[実施例10]FeCpC60(C6H4CH3)4(C47O)の製造
【化42】

スキーム11に示すように、アルゴン下、シュレンクフラスコにC60(C64Me)4(C47O)H(57.9 mg,0.5 mmol)と[FeCp(CO)22 (0.15 mmol, 53.1 mg, 3.0 eq)とをとり、ベンゾニトリル (10 mL)を加えて 185℃ で 24時間加熱した。70℃での減圧蒸留によりベンゾニトリルを取り除き、トルエンを溶媒として用い、中性アルミナのショートパスにより濾過した。二硫化炭素を溶媒として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、 FeCpC60(C64Me)4(C47O)(収率41%,純度99% )を赤色結晶として得た。
得られたフラーレン誘導体について、NMRの測定を行った。測定結果は以下のとおりであった。
【0087】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3/CS2): ( 2.02 (m, 2H), 2.27 (m, 2H), 2.39 (12H), 3.49 (s, 5H), 3.86 (m, 1H), 4.00 (m, 1H), 5.18 (t, J=6.9, 1H), 7.05-7.06(d, J=5.8, 2H), 7.06-7.08(d, J=5.8, 2H), 7.12-7.14 (d, J=8.0, 2H), 7.15-7.17 (d, J=8.0, 2H), 7.69-7.70 (d, J=8.0, 2H), 7.71-7.73 (d, J=8.0, 2H), 7.81-7.83 (d, J=8.6, 2H), 7.97-7.98 (d, J=8.6, 2H).
【0088】
[実施例11]FeCpC60(C6H4iPr)4(C47O)の製造
【化43】

スキーム11に示すように、アルゴン下、シュレンクフラスコにC60(C64iPr)4(C47O)H (63.5 mg, 0.5 mmol)と[FeCp(CO)22 (0.15 mmol, 53.1 mg, 3.0 eq) とをとり、ベンゾニトリル (8 mL) を加えて175℃ で 24時間加熱した。70℃での減圧蒸留によりベンゾニトリルを取り除き、トルエンを溶媒として用い、中性アルミナのショートパスにより濾過した。二硫化炭素を溶媒として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、FeCpC60(C64iPr)4(C47O) (28.4 mg,収率41%,純度99% ) を赤色結晶として得た。
得られたフラーレン誘導体について、NMRの測定を行った。測定結果は以下のとおりであった。
【0089】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3/CS2): ( 2.07 (m, 2H), 2.32 (m, 1H), 2.55 (m, 1H), 2.99 (m, 4H), 3.53 (s, 5H), 3.93 (m, 1H), 4.07 (m, 1H), 5.27 (t, J=6.9, 1H), 7.16 (m, J= 4H), 7,25-7.28 (m, 4H), 7,81-7.84 (m, 4H), 7.93 (d, J=8.6), 8.13 (d, J=8.0).
【0090】
また、合成されたフラーレン誘導体FeCpC60(C6H4iPr)4(C47O)のX線構造解析を行ったところ、下記の結果を得た。
【0091】
晶系 triclinic
空間群 P -1
信頼度因子 R, Rw 0.0735, 0.1992
信頼度因子 R1, wR2(全反射) 0.1267, 0.2465
a, A 14.0785(5)
b, A 15.5284(5)
c, A 19.1018(8)
α, deg 71.5150(10)
β, deg 71.0340(10)
γ, deg 65.1920(10)
Z 2
温度, K 103(2)
結晶サイズ, mm 0.5, 0.2, 0.08
全反射数 42509
独立反射数 15864
パラメータ数 1036
【化44】

【0092】
[実施例12]FeCpC60(biphenyl)4(C47O)の製造
【化45】

スキーム12に示すように、アルゴン下、シュレンクフラスコにC60(biphenyl)4(C47O)H (98.4 mg, 0.7 mmol)と[FeCp(CO)22 (0.21 mmol, 74.3 mg, 3.0 eq)と をとり、ベンゾニトリル (8 mL) を加えて 175℃ で24時間加熱した。70℃での減圧蒸留によりベンゾニトリルを取り除き、トルエンを溶媒として用い、中性アルミナのショートパスにより濾過した。二硫化炭素を溶媒として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、FeCpC60(biphenyl)4(C47O) (収率34%,純度99% ) を赤色結晶として得た。
得られたフラーレン誘導体について、NMRの測定を行った。測定結果は以下のとおりであった。
【0093】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3/CS2): ( 2.05 (m, 2H), 2.31 (m, 1H), 2.55 (m, 2H), 3.62 (s, 5H), 3.89 (m, 1H), 4.04 (m, 1H), 5.25 (t, J=6.9, 1H), 13C-NMR (500 MHz, CDCl3/CS2): ( 26.49 (1C), 29.97 (1C), 58.02 (1C), 58.11 (2C), 58.39 (1C), 58.68 (1C), 68.70 (1C), 73.09 (5C), 83.78 (1C), 89.93 (1C), 92.08 (1C), 92.70 (1C), 92.82 (1C), 93.10 (1C), 126.01 (2C), 126.31 (4C), 126.64 (2C), 126.99 (8C), 127.36 (1C), 127.50 (2C), 127.54 (1C), 128.78 (8C), 129.18 (2C), 129.52 (4C), 129.93 (2C), 140.00 (1C), 140.04 (1C), 140.11 (2C), 140.34 (2C), 140.40 (1C), 140.42 (1C), 141.95 (1C), 141.97 (1C), 142.05 (1C), 142.18 (1C), 142.80 (1C), 142.99 (1C), 143.07 (2C), 143.15 (2C), 143.20 (4C), 143.72 (1C), 143.81 (2C), 143.97 (1C) 144.00 (2C), 144.07 (1C), 144.13 (1C), 145.03 (1C), 145.72 (1C), 147.26 (2C), 147.32 (1C), 147.34 (1C), 147.36 (1C), 147.91 (1C), 148.01 (1C), 148.05 (1C), 148.08 (4C), 148.12 (1C), 148.15 (1C), 148.23 (1C), 148.25 (1C), 148.32 (1C), 148.35 (2C), 148.37 (1C), 150.61 (1C), 150.98 (1C), 151.98 (1C), 152.29 (1C), 152.53 (2C), 152.74 (1C), 152.88 (1C), 153.29 (1C), 154.53 (1C).
【0094】
また、合成されたフラーレン誘導体FeCpC60(biphenyl)4(C47OのX線構造解析を行ったところ、下記の結果を得た。
【0095】
晶系 monoclinic
空間群 P21/n
信頼度因子 R, Rw 0.0965, 0.2828
信頼度因子 R1, wR2(全反射) 0.1493, 0.3246
a, A 17.7017(7)
b, A 19.6938(6)
c, A 48.7397(19)
α, deg 90
β, deg 97.4520(10)
γ, deg 90
Z 4
温度, K 143(2)
結晶サイズ, mm 0.5, 0.4, 0.1
全反射数 266557
独立反射数 38598
パラメータ数 2389
【化46】

【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明のフラーレン誘導体は、例えば、電子材料、光機能材料、生理活性物質等に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラーレンが、
下記式(1)
【化1】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される化合物(B)と反応する工程を含む、フラーレン誘導体の製造方法。
【請求項2】
式(1)中、R1は水素であり、Wは置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたはC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい、請求項1に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
【請求項3】
式(1)中、R1〜R3は水素であり、Wは炭素数1〜5のアルキレンである、請求項1または2に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
【請求項4】
Al、Zn、SnもしくはPb、および、有機基を含む有機金属試薬(A)の存在下で、フラーレンが化合物(B)と反応する工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
【請求項5】
Al、Zn、SnもしくはPb、および、置換基を有してもよい芳香族基を含む有機金属試薬(A)の存在下で、フラーレンが化合物(B)と反応する工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
【請求項6】
有機金属試薬(A)がZnを含む、請求項1〜5のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
【請求項7】
製造されるフラーレン誘導体が、少なくとも下記式(10)
【化2】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であるRAが付加している、フラーレン誘導体である、請求項1〜6のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
【請求項8】
式(10)中、R1は水素であり、Wは置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたはC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい、請求項7に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
【請求項9】
製造されるフラーレン誘導体が、下記式(20)
【化3】

[式中、A〜Cの位置にある3つの炭素の中のいずれか1つの炭素に、下記式(10)
【化4】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であるRAが付加している。]
で表されるフラーレン誘導体である、請求項1〜6のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
【請求項10】
銅化合物(C)の存在下で、フラーレンがさらに有機金属試薬(A)と反応する、請求項1〜3のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
【請求項11】
有機金属試薬(A)がZnを含む、請求項10に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
【請求項12】
銅化合物(C)がCuBr・S(CH32である、請求項10または11に記載のフラーレン誘導体の製造方法。
【請求項13】
製造されるフラーレン誘導体が、下記式(3)
Cm(RBp(RA)H (3)
[式中、Cmは炭素数mのフラーレンを示し、pは1〜10の整数を示し、RAは下記式(10)
【化5】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であり、RBはそれぞれ独立して有機基である。]
で表される、請求項10〜12のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
【請求項14】
製造されるフラーレン誘導体が、下記式(30)
【化6】

[式中、A〜Eの位置にある5つの炭素の中のいずれか1つの炭素に、下記式(10)
【化7】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であるRAが付加されており、残りの4つの炭素に有機基であるRBが付加している。]
で表されるフラーレン誘導体である、請求項10〜12のいずれかに記載のフラーレン誘導体の製造方法。
【請求項15】
フラーレンに、少なくとも下記式(10)
【化8】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であるRAが付加している、フラーレン誘導体。
【請求項16】
フラーレンC60に、少なくとも下記式(10)
【化9】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であるRAが付加している、フラーレン誘導体。
【請求項17】
下記式(2)または下記式(3)
Cm(RA)H (2)
Cm(RBp(RA)H (3)
[式中、Cmは炭素数mのフラーレンを示し、pは1〜10の整数を示し、RAは下記式(10)
【化10】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であり、RBはそれぞれ独立して有機基である。]
で表されるフラーレン誘導体。
【請求項18】
下記式(20)
【化11】

[式中、A〜Cの位置にある3つの炭素の中のいずれか1つの炭素に、下記式(10)
【化12】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であるRAが付加している。]
で表されるフラーレン誘導体。
【請求項19】
下記式(30)
【化13】

[式中、A〜Eの位置にある5つの炭素の中のいずれか1つの炭素に、下記式(10)
【化14】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であるRAが付加されており、残りの4つの炭素に有機基であるRBが付加している。]
で表されるフラーレン誘導体。
【請求項20】
下記式(40)
【化15】

[式中、Mは金属原子であり、LはMの配位子であり、nはLの数であり、A〜Eの位置にある5つの炭素の中のいずれか1つの炭素に、下記式(10)
【化16】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素または有機基であり、Wは単結合、置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−もしくは−OCO−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。)
で表される基であるRAが付加されており、残りの4つの炭素に有機基であるRBが付加している。]
で表されるフラーレン誘導体。
【請求項21】
Mが遷移金属である、請求項20に記載のフラーレン誘導体。
【請求項22】
MがFe、RuまたはOsであり、nが0〜5の整数であり、Lがハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、アルキン基またはシクロペンタジエニル基である、請求項20に記載のフラーレン誘導体。
【請求項23】
1は水素であり、Wは置換基を有してもよいC1〜C11のアルキレン、置換基を有してもよいC2〜C12のアルケニレンまたは置換基を有してもよいC2〜C12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい、請求項15〜22のいずれかに記載のフラーレン誘導体。
【請求項24】
1〜R3は水素であり、Wは炭素数1〜5のアルキレンである、請求項15〜22のいずれかに記載のフラーレン誘導体。

【公開番号】特開2008−222583(P2008−222583A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−59740(P2007−59740)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】