説明

フラーレン誘導体およびその製造方法

【課題】多様な官能基を持つフラーレン誘導体の簡便な合成方法が求められている。また、置換基が位置選択的に付加された多重付加フラーレン誘導体を、低コストで環境に大きな負荷を与えずに合成する方法が求められている。また、置換基が位置選択的に付加された多重付加フラーレン誘導体を、銅化合物や亜鉛化合物当の有機金属を使用することなく、金属不純物を含まない高純度のフラーレン誘導体を合成する方法が求められている。
【解決手段】酸素の存在下でフラーレンとシリルケテンアセタール類等の化合物を反応させることによって、置換基が位置選択的に付加された多重付加フラーレン誘導体を合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラーレン誘導体に関する。具体的には、酸素の存在下でフラーレンに有機基を付加してフラーレン誘導体を製造するフラーレン誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素原子が球状またはラグビーボール状に配置して形成される炭素クラスター(以下、「フラーレン」ともいう)の合成法が確立されて以来、フラーレンに関する研究が精力的に展開されている。その結果、数多くのフラーレン誘導体が合成されてきた。
【0003】
このようなフラーレン誘導体の具体例として、フラーレン骨格に5個の有機基が結合したフラーレン誘導体(以下、単に、「5重付加フラーレン誘導体」ともいう)の合成方法について報告されている[たとえば、特開平10−167994号公報(特許文献1)、特開平11−255509号公報(特許文献2)、J. Am. Chem. Soc., 118, 12850 (1996)(非特許文献1), Org. Lett., 2, 1919 (2000) (非特許文献2), Chem. Lett., 1098 (2000) (非特許文献3)]。
【0004】
5重付加フラーレン誘導体の製造方法としては、たとえば、フェニルグリニヤール試薬とCuBr・S(CH32とから調製される有機銅試薬をフラーレンC60と反応させることにより、フェニルグリニヤール試薬を構成するフェニル基がフラーレンC60の一つの5員環の周囲を取り囲むように位置選択的に付加したフェニル化フラーレン誘導体(C60Ph5H)が定量的に得られることが知られている[たとえば、特開平10−167994号公報(特許文献1),
WO2007/111226公報(特許文献3)]。
【0005】
しかしながら、この合成方法では、反応系に金属が用いられるために、反応系から金属等を含む化合物を除去してフラーレン誘導体だけを取り出すのに労力とコストを必要としていた。また、用いる有機金属化合物が水や空気に対して不安定であり、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で反応温度を制御して合成を行う必要があった。
【0006】
また、特定の置換基を有するフラーレン誘導体を合成するには、たとえば、大過剰のブロモマロン酸エステル誘導体とフラーレンを多段階で反応させて5重付加体を製造する方法[Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 33, 2339 (1994)(非特許文献4)、Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 34, 1607 (1995) 非特許文献5等]や、C60I6をベンゼンに対して求電子置換させる工程を含む多段合成法[J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1464 (1994)(非特許文献6)]等が知られているが、これらの方法は、手間と時間がかかり、さらには、位置選択的に5重付加フラーレン誘導体を得ることは極めて困難であった。
【特許文献1】特開平10−167994号公報
【特許文献2】特開平11−255509号公報
【特許文献3】WO2007/111226公報
【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc., 118, 12850 (1996)
【非特許文献2】Org. Lett., 2, 1919 (2000)
【非特許文献3】Chem. Lett., 1098 (2000)
【非特許文献4】Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 33, 2339 (1994)
【非特許文献5】Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 34, 1607 (1995)
【非特許文献6】J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1464 (1994)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の状況の下、たとえば多用な官能基を持つフラーレン誘導体の簡便な合成方法が求められている。また、置換基が位置選択的に付加された多重付加フラーレン誘導体を、低コストで環境に大きな負荷を与えずに合成する方法が求められている。
また、置換基が位置選択的に付加された多重付加フラーレン誘導体を、銅化合物や亜鉛化合物当の有機金属を使用することなく、金属不純物を含まない高純度のフラーレン誘導体を合成する方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、酸素の存在下でフラーレンとシリルケテンアセタール類等の化合物を反応させることによって、置換基が位置選択的に付加された多重付加フラーレン誘導体を合成できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。本発明は以下のようなフラーレン誘導体の製造方法を提供する。
【0009】
[1] 酸素の存在下で、
フラーレンと
下記式(A)で表される化合物(A)
【化10】


(式中、R1とR2とR3とR4はそれぞれ独立して水素原子またはC1〜C30の有機基である)
とを、極性物質を含む溶液中で反応させることによってフラーレン誘導体を製造する、フラーレン誘導体の製造方法。
[2] R1とR2とR3がそれぞれ独立して、置換基を有してもよいC1〜C30炭化水素基、置換基を有してもよいC1〜C30アルコキシ基、置換基を有してもよいC6〜C30アリールオキシ基)である、[1]に記載の製造方法。
[3] R1とR2とR3がそれぞれ独立して、置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルケニル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルキニル基、置換基を有してもよいC4〜C30アルキルジエニル基、置換基を有してもよいC6〜C28アリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アルキルアリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アリールアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルケニル基、または、置換基を有してもよい(C3〜C15シクロアルキル)C1〜C15アルキル基である、[1]に記載の製造方法。
[4] R4が置換基を有してもよいC1〜C30炭化水素基である、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] R4が置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルケニル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルキニル基、置換基を有してもよいC4〜C30アルキルジエニル基、置換基を有してもよいC6〜C28アリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アルキルアリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アリールアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルケニル基、または、置換基を有してもよい(C3〜C15シクロアルキル)C1〜C15アルキル基である、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
【0010】
[6] フラーレン誘導体が、下記式(1)
n(R5m(R6P (1)
[式中、nは60以上の偶数;mは3〜10の整数;pは1または2;R5はそれぞれ独立して、下記式(30)
【化11】

(式(30)中、R4は置換基を有してもよいC1〜C30炭化水素基であり;R6は水素原子または置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基である。]
で表される基である、[2]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7] フラーレンがC60フラーレンであり、
フラーレン誘導体が、下記式(2)
【化12】

[式中、A〜Eの位置にある5つの炭素の中の2〜5の炭素に、それぞれ独立して、下記式(30)
【化13】

(式(30)中、R4は置換基を有してもよいC1〜C30炭化水素基が付加され;Fの位置にある炭素に
水素原子または置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基が付加されている。]
で表される、[2]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
【0011】
[8] 酸素の存在下で、
フラーレンC60
下記式(A)で表される化合物(A)
【化14】


(式中、R1とR2とR3はそれぞれ独立して置換基を有してもよいC1〜C30炭化水素基であり;R4は置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルケニル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルキニル基、置換基を有してもよいC4〜C30アルキルジエニル基、置換基を有してもよいC6〜C28アリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アルキルアリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アリールアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルケニル基、または、置換基を有してもよい(C3〜C15シクロアルキル)C1〜C15アルキル基である)
とを、極性物質を含む溶液中で反応させることによって、下記式(2)
【化15】

[式(2)中、A〜Eの位置にある5つの炭素の中の2〜5の炭素に、それぞれ独立して、下記式(30)
【化16】

(式(30)中、R4は式(A)のR4と同一である)
で表される基が付加されている;Fの位置にある炭素に水素原子または置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基が付加されている。]
で表されるフラーレン誘導体を製造する、フラーレン誘導体の製造方法。
[9] 酸素の存在下で、
フラーレンC60
下記式(A)で表される化合物(A)
【化17】


(式中、R1とR2とR3はそれぞれ独立してC1〜C30炭化水素基であり;R4は置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルケニル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルキニル基、置換基を有してもよいC4〜C30アルキルジエニル基、置換基を有してもよいC6〜C28アリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アルキルアリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アリールアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルケニル基、または、置換基を有してもよい(C3〜C15シクロアルキル)C1〜C15アルキル基である)
とを、極性物質を含む溶液中で反応させることによって、
下記式(4)
【化18】

(式(4)中、R4は式(A)のR4と同一である)
で表されるフラーレン誘導体を製造する、フラーレン誘導体の製造方法。
【0012】
[10] 極性物質が、DMSO、DMF、HMPAまたはそれらの組み合わせである、[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11] 溶液中の極性物質の濃度が10〜50重量%である、[1]〜[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12] 酸素の分圧が0.2〜2.0気圧の酸素存在下で反応が行われる、[1]〜[11]のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の好ましい態様に係るフラーレン誘導体の製造方法を用いると、たとえば、エステル基、アミド基、アルキニル基、トリメチルシリル基等の官能基を置換基として有するフラーレン誘導体を簡便に得ることができる。
本発明の好ましい態様に係るフラーレン誘導体の製造方法を用いると、たとえば、置換基が位置選択的に付加された多重付加フラーレン誘導体を、銅化合物や亜鉛化合物等の有機金属を使用することなく、金属不純物を含まない高純度のフラーレン誘導体を合成できる。これによって、置換基が位置選択的に付加された多重付加フラーレン誘導体を、低コストで環境に大きな負荷を与えずに合成できる。
また、本発明の好ましい態様に係るフラーレン誘導体の製造方法を用いると、シリルケテンアセタール類のフラーレンへの付加反応に必要であった光照射も不要となる。さらに、本発明の好ましい態様に係るフラーレン誘導体の製造方法における反応は、室温で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
1.本発明のフラーレン誘導体
本発明の製造方法で製造されるフラーレン誘導体は、フラーレンに付加基が付加されたフラーレン誘導体であれば特に限定されないが、好ましくは、上記式(1)で表されるフラーレン誘導体である。
【0015】
ここで、フラーレンとは、炭素原子が球状またはラグビーボール状に配置して形成される炭素クラスターの総称であり(現代化学2000年6月号46頁,Chemical Reviews, 98, 2527(1998)参照)、たとえば、フラーレンC60(いわゆるバックミンスター・フラーレン)、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC82、フラーレンC84、フラーレンC90、フラーレンC94、フラーレンC96等が挙げられる。
式(1)中、nは60以上の偶数であり、フラーレン誘導体の製造原料に用いられるフラーレンの種類に依存する。具体的には、nは60、70、76、78、82、84、90、94、96等の偶数である。
式(1)中、mは2〜10の整数であり、2〜5であることが好ましい。mが2〜5の場合pは1であることが好ましく、mが6,8または10の場合pは2であることが好ましく、mが7または9の場合pは1であることが好ましい。
【0016】
式(1)中、R5は上記式(30)で表される基であり、R5は互いに同一でも異なっていてもよい。
式(30)中のR4は、置換基を有してもよいC1〜C30炭化水素基である。
式(30)中のR4は、置換基を有してもよいC1〜C30炭化水素基の中でも、
置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルケニル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルキニル基、置換基を有してもよいC4〜C30アルキルジエニル基、置換基を有してもよいC6〜C28アリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アルキルアリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アリールアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルケニル基、または、置換基を有してもよい(C3〜C15シクロアルキル)C1〜C15アルキル基が好ましい。
【0017】
本発明の製造方法で得られるフラーレン誘導体において、フラーレン骨格に付加する基(R5,R6)は、フラーレン骨格に対して位置選択的に付加され得る。たとえば、フラーレンC60を原料として用いた場合には、フラーレンC60の1つの5員環を取り囲むようにR5がフラーレン骨格に付加し、前記5員環の1つの炭素にR6がフラーレン骨格に付加できる。
【0018】
本明細書において、「C1〜C30炭化水素基」の炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C1〜C30炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれでもよい。「C1〜C30炭化水素基」には、C1〜C30アルキル基、C2〜C30アルケニル基、C2〜C30アルキニル基、C4〜C30アルキルジエニル基、C6〜C18アリール基、C7〜C30アルキルアリール基、C7〜C30アリールアルキル基、C4〜C30シクロアルキル基、C4〜C30シクロアルケニル基、(C3〜C10シクロアルキル)C1〜C10アルキル基などが含まれる。
【0019】
本明細書において、「C1〜C30アルキル基」は、C1〜C10アルキル基であることが好ましく、C1〜C6アルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
【0020】
本明細書において、「C2〜C30アルケニル基」は、C2〜C10アルケニル基であることが好ましく、C2〜C6アルケニル基であることが更に好ましい。アルケニル基の例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、2−ブテニル等を挙げることができる。
【0021】
本明細書において、「C2〜C30アルキニル基」は、C2〜C10アルキニル基であることが好ましく、C2〜C6アルキニル基であることが更に好ましい。アルキニル基の例としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。
【0022】
本明細書において、「C4〜C30アルキルジエニル基」は、C4〜C10アルキルジエニル基であることが好ましく、C4〜C6アルキルジエニル基であることが更に好ましい。アルキルジエニル基の例としては、制限するわけではないが、1,3−ブタジエニル等を挙げることができる。
【0023】
本明細書において、「C6〜C18アリール基」は、C6〜C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0024】
本明細書において、「C7〜C30アルキルアリール基」は、C7〜C12アルキルアリール基であることが好ましい。アルキルアリール基の例としては、制限するわけではないが、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、メシチル等を挙げることができる。
【0025】
本明細書において、「C7〜C30アリールアルキル基」は、C7〜C12アリールアルキル基であることが好ましい。アリールアルキル基の例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル等を挙げることができる。
【0026】
本明細書において、「C4〜C30シクロアルキル基」は、C4〜C10シクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
【0027】
本明細書において、「C4〜C30シクロアルケニル基」は、C4〜C10シクロアルケニル基であることが好ましい。シクロアルケニル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。
【0028】
本明細書において、「C1〜C30アルコキシ基」は、C1〜C10アルコキシ基であることが好ましく、C1〜C6アルコキシ基であることが更に好ましい。アルコキシ基の例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。
【0029】
本明細書において、「C6〜C30アリールオキシ基」は、C6〜C10アリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基の例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等を挙げることができる。
【0030】
本明細書において、「置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基」、「置換基を有してもよいC2〜C30アルケニル基」、「置換基を有してもよいC2〜C30アルキニル基」、「置換基を有してもよいC4〜C30アルキルジエニル基」、「置換基を有してもよいC6〜C28アリール基」、「置換基を有してもよいC7〜C30アルキルアリール基」、「置換基を有してもよいC7〜C30アリールアルキル基」、「置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルキル基」、「置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルケニル基」、「置換基を有してもよい(C3〜C15シクロアルキル)C1〜C15アルキル基」等の「置換基を有してもよいC1〜C30炭化水素基」、「置換基を有してもよいC1〜C30アルコキシ基」、「置換基を有してもよいC6〜C30アリールオキシ基」に導入される置換基としては、例えば、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基、アルコキシ基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上、置換可能な最大数まで導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。置換基として、F,Cl,Br,I等のハロゲン原子も含まれる。また、置換基には、O、N、S、Siが含まれる。
また、本明細書において、「C1〜C30アルキル基」、「C2〜C30アルケニル基」、「C2〜C30アルキニル基」、「C4〜C30アルキルジエニル基」、「C6〜C28アリール基」、「C7〜C30アルキルアリール基」、「C7〜C30アリールアルキル基」、「C4〜C30シクロアルキル基」、「C4〜C30シクロアルケニル基」、「(C3〜C15シクロアルキル)C1〜C15アルキル基」等の「C1〜C30炭化水素基」、「C1〜C30アルコキシ基」、「C6〜C30アリールオキシ基」等における炭素間結合は、O、Sまたは式−NH−で中断されていてもよい。
【0031】
好ましい態様の本発明の製造方法を用いると、付加基がフラーレン誘導体に位置選択に付加する。したがって、製造されるフラーレン誘導体は、式(1)で表されるフラーレン誘導体の中でも、上記式(2)で表されるフラーレン誘導体が高収率で合成される。さらに、上記式(2)で表されるフラーレン誘導体の中でも、上記式(4)で表されるフラーレン誘導体が高収率で合成される。
【0032】
2.本発明のフラーレン誘導体の製造方法
本発明のフラーレン誘導体の製造方法は、酸素の存在下で、付加基が付加していないフラーレンと上記式(A)で表される化合物(A)とを反応させることによってフラーレン誘導体を製造する、フラーレン誘導体の製造方法である。
【0033】
2.1 フラーレン
本発明のフラーレン誘導体の製造方法に用いられるフラーレンは、特に限定されるものではないが、たとえば、フラーレンC60(いわゆる「バックミンスター・フラーレン」)、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC82、フラーレンC84、フラーレンC90、フラーレンC94、フラーレンC96等が挙げられる。これらのフラーレンの中でも、入手の容易性から、本製造方法においてフラーレンC60およびフラーレンC70を用いることが好ましい。
【0034】
2.2 酸素の存在下
本発明のフラーレン誘導体の製造方法における反応は、酸素の存在下で行われる。本発明の製造方法の反応は、高濃度の酸素の存在下で行われることが好ましいが、少なくとも酸素の存在下で反応が行われればよく、その他の気体が酸素と共存してもよい。酸素と共に用いられる気体としては、ヘリウム、アルゴン、チッソ等の不活性ガスが挙げられる。また、空気は酸素を含んでいるから、本発明の製造方法における反応は空気中で行われてもよい。
また、本発明の製造方法における反応は、酸素の分圧が0.2〜2.0気圧で行われることが好ましく、0.9〜1.1気圧で行われることがさらに好ましい。
【0035】
2.3 化合物(A)
本発明のフラーレン誘導体の製造方法に用いられる化合物(A)は上記式(A)で表される化合物である。上記式(A)中、R1とR2とR3はそれぞれ独立して水素原子またはC1〜C30の有機基である。
【0036】
本発明のフラーレン誘導体の製造方法では、化合物(A)のO-Si原子間の結合が切断されて、R4を含む基がフラーレン骨格に付加することによってフラーレン誘導体が合成される。
したがって、化合物(A)におけるR4の構造を選択することによって、R4の構造を有する付加基が付加されたフラーレン誘導体を合成できる。
【0037】
式(A)中のR4は合成されるフラーレン誘導体の構造に応じて適宜選択できるものであるから、化合物(A)が本発明の製造方法における反応に寄与するものであれば、式(A)中のR4は水素原子またはC1〜C30の有機基であれば特に限定されない。
式(A)中、R4は、C1〜C30の有機基の中でも、置換基を有してもよいC1〜C30炭化水素基が好ましい。
これらの中でも、R4は置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルケニル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルキニル基、置換基を有してもよいC4〜C30アルキルジエニル基、置換基を有してもよいC6〜C28アリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アルキルアリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アリールアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルケニル基、または、置換基を有してもよい(C3〜C15シクロアルキル)C1〜C15アルキル基が好ましい。
【0038】
式(A)中のR1とR2とR3はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいC1〜C30炭化水素基、置換基を有してもよいC1〜C30アルコキシ基、置換基を有してもよいC6〜C30アリールオキシ基)である。
また、式(A)中のR1とR2とR3はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルケニル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルキニル基、置換基を有してもよいC4〜C30アルキルジエニル基、置換基を有してもよいC6〜C28アリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アルキルアリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アリールアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルケニル基、または、置換基を有してもよい(C3〜C15シクロアルキル)C1〜C15アルキル基であることが好ましい。
【0039】
2.4 溶液
本発明の製造方法の反応は、酸素の存在下、極性物質を含む溶液中で行われる。したがって、本発明の製造方法の反応は、フラーレンおよび合成されるフラーレン誘導体を溶解できる溶液中で行われることが好ましい。
溶液としては、たとえば、トルエン、ジクロロベンゼン、クロロベンゼンまたはそれらの混合溶媒などの不活性溶媒中で行われる。
なお、本発明に用いることができる溶液は、1種類からなる溶液でもよいし、2種以上を混合して得られる混合溶液でもよい。
【0040】
溶液に含まれる極性物質としては、そのような性質を有していれば特に限定されないが、ドナー数(DN)が25以上であることが好ましい。
本発明の製造方法で用いられる極性物質としては、非プロトン性溶媒が好ましく、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ピリジン等を用いることがさらに好ましい。これらの中でもDMSOを用いると得られるフラーレン誘導体の収率が高くなるので特に好ましい。
また、極性物質は、溶液において10〜50重量%の濃度で用いることが好ましい。
なお、極性物質は、1種でもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0041】
2.5 混合比
本発明の製造方法の反応系において、化合物(A)は、原料となるフラーレンに対して過剰量投入することが好ましく、好ましくはフラーレンに対して10〜100当量、好ましくは20〜50当量投入される。
【0042】
2.6 反応条件
本発明の製造方法における反応は、常圧下で、−50℃〜50℃の温度範囲で行われることが好ましく、−20℃〜30℃の温度範囲で行われることがさらに好ましい。
また、反応時間は用いられる溶媒や温度等に依存するが、一般的には、通常、数分〜5時間、好ましくは1時間〜4時間程度で行われる。
本発明におけるフラーレン誘導体の合成反応の停止は、塩化アンモニウム水溶液などを反応系中に添加することによって行うことができる。
【0043】
2.7 フラーレン誘導体の単離
本発明のフラーレン誘導体の製造方法における反応系からフラーレン誘導体を単離する方法は、特に限定されないが、たとえば反応液をそのまま塩化アンモニウム水溶液などにより洗浄し、極性物質や副生成物を除くことによって行われる。必要に応じて、単離した物質について、HPLCや通常のカラムクロマトグラフィー等で更に精製し、フラーレン誘導体の純度を向上させてもよい。
【0044】
2.8 さらにハロゲン化アルキルを添加して得られるフラーレン誘導体の製造方法
本発明のフラーレン誘導体の製造方法において、反応系に、下記式(5)で表されるハロゲン化アルキル
7X (5)
(式中、R7は置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。)
を投入して反応させることによって、R7をフラーレン誘導体に付加させることができる。
この反応によって付加するアルキル基はフラーレン骨格に位置選択的に付加されることができる。具体的には、(1)式で表されるフラーレン誘導体において、C1〜C30アルキル基であるR6を付加することができる。また、さらに好ましくは、(2)式で表されるフラーレン誘導体において、Fの位置にある炭素にC1〜C30アルキル基であるR6を付加することができる。
【0045】
また、ハロゲン化アルキルは、式(5)を満たせば特に限定されるものではないが、ヨウ化メチルが好ましい。
【0046】
3.本発明の合成反応によって得られたフラーレン誘導体の用途
本発明のフラーレン誘導体合成反応を用いて得られた官能基を含む置換基を有するフラーレン誘導体は、従来のフラーレン誘導体と比べて異なる電気的性質および溶媒溶解性を示す。したがって、置換基の種類にもよるが、電池添加剤などの電子材料や、生理活性物質として用いることができる。
また、特にエステル基やカルボン酸基、アルキン基、シアノ基などの極性官能基を有するフラーレン誘導体では、極性官能基上でさらなる反応を行い、さらに置換基を導入することができる。このようにして得られたフラーレン誘導体は、ポリマーとシグマ結合で結合等させることができるため、原料としても有用である。
また、例えば、特開平10−167994号公報、特開平11−255509号公報等に記載された公知の方法を用いて、官能基を含む置換基を有するフラーレン誘導体の金属錯体を容易に製造することができる。このようなフラーレン誘導体の金属錯体には、フラーレン骨格に由来する電気的、光化学的、磁気的性質等に加えて金属原子固有の性質を付与することができるため、電子材料用素子としても有用である。
【実施例】
【0047】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0048】
[実施例1]C60(CH2COOC255Hの製造
下記スキーム1に示すように、C60フラーレン(100mg)を室温下で40mLの塩化ベンゼンに溶解し、この溶液にジメチルスルホキシドを10mL加え、酸素ガスを5分間反応溶液に通気し、反応系内を酸素ガスで置換した(酸素の分圧:1.0気圧)。45当量の1−エトキシ−1−(トリメチルシロキシ)エテン(1.02g)を加え、室温で撹拌した。4時間後に攪拌を停止し、高速液体クロマトグラフィーにより反応収率を46%と求めた。反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液 (50mL)により3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。硫酸ナトリウムをろ別し、溶媒を減圧下留去して得られた固体を、トルエンを溶媒とするゲル浸透クロマトグラフィーにより精製し赤色固体の目的化合物C60(CH2COOC255Hを19.2mg得た(単離収率12%)。
【化19】

【0049】
得られた生成物のNMRによる分析データを以下に示す.
1H NMR (CDCl3) δ 5.16 (s, 1H), 4.28 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 4.25 (q, J = 7.2 Hz, 4H), 4.22 (q, J = 7.2 Hz, 4H), 3.71 (s, 2H), 3.69 (d, J = 14.3 Hz, 2H), 3.61 (d, J = 14.6 Hz, 2H), 3.54 (d, J = 14.6 Hz, 2H), 3.50 (d, J = 14.3 Hz, 2H), 1.29 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.28 (t, J = 7.2 Hz, 6H), 1.24 (t, J = 7.2 Hz, 6H); 13C NMR (CDCl3) δ 171.32, 170.50, 169.91, 155.20, 153.37, 152.18, 150.60, 148.68, 148.58, 148.26, 148.07, 148.02, 147.89, 147.65, 147.06, 146.95, 146.55, 145.50, 145.15, 145.06, 144.59, 144.15, 144.03, 143.87, 143.80, 143.71, 143.59, 142.78, 61.24, 61.19, 61.15, 57.60, 53.81, 52.42, 51.58, 44.60, 44.11, 14.28, 14.24.
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明で得られたフラーレン誘導体は、たとえば、電子材料、生理活性物質、金属錯体の配位子等に利用することができる。また、本発明で得られたフラーレン誘導体は、更なる転換反応を加えて、様々な種類のフラーレン誘導体を合成するための中間体として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素の存在下で、
フラーレンと
下記式(A)で表される化合物(A)
【化1】


(式中、R1とR2とR3とR4はそれぞれ独立して水素原子またはC1〜C30の有機基である)
とを、極性物質を含む溶液中で反応させることによってフラーレン誘導体を製造する、フラーレン誘導体の製造方法。
【請求項2】
1とR2とR3がそれぞれ独立して、置換基を有してもよいC1〜C30炭化水素基、置換基を有してもよいC1〜C30アルコキシ基、置換基を有してもよいC6〜C30アリールオキシ基)である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
1とR2とR3がそれぞれ独立して、置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルケニル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルキニル基、置換基を有してもよいC4〜C30アルキルジエニル基、置換基を有してもよいC6〜C28アリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アルキルアリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アリールアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルケニル基、または、置換基を有してもよい(C3〜C15シクロアルキル)C1〜C15アルキル基である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
4が置換基を有してもよいC1〜C30炭化水素基である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
4が置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルケニル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルキニル基、置換基を有してもよいC4〜C30アルキルジエニル基、置換基を有してもよいC6〜C28アリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アルキルアリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アリールアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルケニル基、または、置換基を有してもよい(C3〜C15シクロアルキル)C1〜C15アルキル基である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
フラーレン誘導体が、下記式(1)
n(R5m(R6P (1)
[式中、nは60以上の偶数;mは3〜10の整数;pは1または2;R5はそれぞれ独立して、下記式(30)
【化2】

(式(30)中、R4は置換基を有してもよいC1〜C30炭化水素基であり;R6は水素原子または置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基である。]
で表される基である、請求項2〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
フラーレンがC60フラーレンであり、
フラーレン誘導体が、下記式(2)
【化3】

[式中、A〜Eの位置にある5つの炭素の中の2〜5の炭素に、それぞれ独立して、下記式(30)
【化4】

(式(30)中、R4は置換基を有してもよいC1〜C30炭化水素基が付加され;Fの位置にある炭素に
水素原子または置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基が付加されている。]
で表される、請求項2〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
酸素の存在下で、
フラーレンC60
下記式(A)で表される化合物(A)
【化5】


(式中、R1とR2とR3はそれぞれ独立して置換基を有してもよいC1〜C30炭化水素基であり;R4は置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルケニル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルキニル基、置換基を有してもよいC4〜C30アルキルジエニル基、置換基を有してもよいC6〜C28アリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アルキルアリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アリールアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルケニル基、または、置換基を有してもよい(C3〜C15シクロアルキル)C1〜C15アルキル基である)
とを、極性物質を含む溶液中で反応させることによって、下記式(2)
【化6】

[式(2)中、A〜Eの位置にある5つの炭素の中の2〜5の炭素に、それぞれ独立して、下記式(30)
【化7】

(式(30)中、R4は式(A)のR4と同一である)
で表される基が付加されている;Fの位置にある炭素に水素原子または置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基が付加されている。]
で表されるフラーレン誘導体を製造する、フラーレン誘導体の製造方法。
【請求項9】
酸素の存在下で、
フラーレンC60
下記式(A)で表される化合物(A)
【化8】


(式中、R1とR2とR3はそれぞれ独立してC1〜C30炭化水素基であり;R4は置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルケニル基、置換基を有してもよいC2〜C30アルキニル基、置換基を有してもよいC4〜C30アルキルジエニル基、置換基を有してもよいC6〜C28アリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アルキルアリール基、置換基を有してもよいC7〜C30アリールアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルキル基、置換基を有してもよいC4〜C30シクロアルケニル基、または、置換基を有してもよい(C3〜C15シクロアルキル)C1〜C15アルキル基である)
とを、極性物質を含む溶液中で反応させることによって、
下記式(4)
【化9】

(式(4)中、R4は式(A)のR4と同一である)
で表されるフラーレン誘導体を製造する、フラーレン誘導体の製造方法。
【請求項10】
極性物質が、DMSO、DMF、HMPAまたはそれらの組み合わせである、請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
溶液中の極性物質の濃度が10〜50重量%である、請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
酸素の分圧が0.2〜2.0気圧の酸素存在下で反応が行われる、請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。

【公開番号】特開2009−185000(P2009−185000A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29291(P2008−29291)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】