説明

フリューム

【課題】 フリュームの水路の低流速域に淀みを生じさせることにより、複雑な植生器材を組み付けることなく、水生生物の住環境に優しいフリュームを提供すること。
【解決手段】 縦断面U字状のフリューム本体1において、底面5から所要高さの両側壁2の内面に、該底面5に平行に突出する仕切り盤3を横設する。
また、このほか、前記底面5に、両仕切り盤3の突端相互間の寸法より短尺幅で所要長さの浸透口6を長手方向に所要数開口する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用水路や排水路の構築に使用するフリューム(水路式側溝)に関する。
【背景技術】
【0002】
水生生物の住環境を水路内に形成する発明は特開平9−250119号公報(特許文献1)に開示され、U字溝の底部片側に側方へ突出するように補助導水溝を設けた流雪融雪溢水防止溝は特開平6−173329号公報(特許文献2)に開示されている。前者の特許文献1に開示された水生生物の住環境に関する技術は、当初からコンクリートブロックの水路に流水の妨げとなる支持材や植生器材を充填して水制部を形成するため、水路に流入する土砂や草などが詰まり易く、その清掃排除作業が煩雑となる。後者の特許文献2のものは、流雪融雪用の補助導水溝としては有効と思われるが、用水路や排水路として使用した場合は、底部片側から土砂が堆積して不均衡な堆積層が形成され水生植物の活着が悪い。
【特許文献1】特開平9−250119号公報
【特許文献2】特開平6−173329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記に鑑みフリューム本体の水路の低流速域に淀みを形成させ同流域に土砂を堆積させるフリュームを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決する本発明の請求項1に記載したフリュームは、縦断面U字状のフリューム本体において、底面から所要高さの両側壁内面に該底面に平行に突出する仕切り盤を横設し低流速域中に淀みを形成させて成る。
請求項2に記載した発明は請求項1に記載したフリュームにおいて、前記底面に、両仕切り盤の突端相互間の寸法より短尺幅で所要長さの浸透口を長手方向に開口して成る。
【発明の効果】
【0005】
本発明のフリュームによれば、低流速域の底面近くの左右の仕切り盤により底面上に淀みが形成され、流水の圧力水頭によって左右の仕切り盤の下方へ土砂が押しやられ、徐々に土砂が堆積する。その間に水草などが活着し水生昆虫や小魚などの水生生物が住みつくもので、自然環境と調和した水路を形成できる効果がある。底面に仕切り盤の突端相互間の寸法より短尺幅の浸透口を開口したものでは、底面左右の淀みを安定に形成しつつ地下水涵養に役立つものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
フリューム本体の両側壁内面に横設する仕切り盤の位置は、フリューム本体に流入する水量の最大水深Hの平均流速の発現位置(底面から略0.4H)に設けるものから、使用目的に応じて流速を遅くして土砂等を積極的に沈殿させる水路に用いる場合は、それより高い位置に設ける。その場合、水底近くの流速は遅いから仕切り盤と底面間は淀みとなって小魚の住環境に適したものとなる。
【実施例】
【0007】
本発明を実施例により説明すると、図1に示すように、縦断面U字状で所要長さのフリューム本体1の両側壁2の内面には、その内幅(水路幅W)の略4分の1(W/4)の寸法の仕切り盤3を、流入する水量の最大水深Hの平均流速の発現位置(底面5から略0.4H)に設けている。さらに、両側壁2には上下方向に二段に渡り長手方向に導水孔4を開口してフィルター(図外)を介して地表近傍の浸透水を導水してその水位を低下させるとともに、底面5には両仕切り盤3の突端間の寸法より短尺幅で所要長さの浸透口6を長手方向に2個所開口して成る。
【0008】
このようにして成るフリュームAは、図2に示すように用水路や排水路の構築に使用され、左右の仕切り盤3と底面5との間に淀み7が形成されるとともに、徐々に堆積した土砂が底面全域に及んで堆積層8が形成され、水草9が活着して昆虫や小魚などの住環境が形成される。
両仕切り盤3より上方は平均流速より速い水流の水路となって用水の供給や排水に供される。
さらに、図2に示す仕切り盤3と底面5間を通水断面として考えず最大通水深さhを通水断面とし、同断面に土砂が堆積した場合には仕切り盤3を支点にして排土作業が容易にできる。
【産業上の利用可能性】
【0009】
本発明は、用水路や排水路において、簡易構造で水生生物の住環境に適した水路を提供できるから、自然に調和したコンクリートブロック製品として水路構築に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のフリュームAの一部破断した斜視図。
【図2】フリュームAの使用状態の縦断説明図。
【符号の説明】
【0011】
1:フリューム本体
2:側壁
3:仕切り盤
4:導水孔
5:底面
6:浸透口
7:淀み
8:堆積層
9:水草
H:最大水深
W:水路幅
A:フリューム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦断面U字状のフリューム本体において、底面から所要高さの両側壁内面に、該底面に平行に突出する仕切り盤を横設することにより水路の低流速域に淀みを生ずるようにしたことを特徴とするフリューム。
【請求項2】
前記底面に、両仕切り盤の突端相互間の寸法より短尺幅で所要長さの浸透口を長手方向に所要数開口して成る請求項1記載のフリューム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−219861(P2006−219861A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−32882(P2005−32882)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(391002007)福田ヒューム管工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】