説明

フリーパネルふとん篭とフリーパネルふとん篭の施工方法

【目的】 ふとん篭を施工現地にて連続的に組立据付けする際、左右・前後とも隣合せのふとん篭との合わせ面(仕切面)がダブルことなく、又施工現場にて左右・前後方向に寸法の調整が必要となるときは、それぞれの必要とする方向に重ねスライドすることにより自由に設定できるものを提供しようとするものである。
【構成】 底面部2Aと、この底面部2Aの前方縁に一体に連設された正面部2Bと、底面部2Aの左縁に結合コイル2Cを介して起伏自在に連結された側面部2Dとから構成された金網でなる基本パネル2と、金網でなる側面パネル3、上蓋パネル4とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フリーパネルふとん篭と、このフリーパネルふとん篭の施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、河川の護岸・海岸の護岸等法面の護岸において、箱型の形態のふとん篭を連続的に敷設するよう構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術で述べたものにあっては、下記のような問題点を有していた。ふとん篭を連続的に敷設する場合、箱型の形態のものの連続体であるため、左右前後方向ではそれぞれのふとん篭の側面がそれぞれ独立体となるため、二重となって接することになり、階段状に敷設する場合を除き非常に無駄であった。また、ふとん篭工法の性質上、施工中に工事延長方向や法面方向にどうしても寸法上延びが出てくる。このため、当初から延びを見越しての設計・施工が必要であった。すなわち、極端な場合は特殊な寸法のふとん篭及びその部材が必要であった。
【0004】本願は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、上述の問題を解決できるものを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は下記のようになるものである。すなわち、本願のものは、基本パネル2、側面パネル3、上蓋パネル4とから構成され、基本パネル2は底面部2Aと、この底面部2Aの前方縁に一体に連設された正面部2Bと、底面部2Aの左縁に結合コイル2Cを介して起伏自在に連結された側面部2Dとから構成され、底面部2Aは平面左右に横長の方形に構成された底面用金網2A2で構成され、正面部2Bは底面部に一体に連設された正面用金網2B2で構成され、側面部2Dは平面左右に横長の方形に構成された側面用金網2D2で構成され、側面パネル3は平面左右に横長の方形に構成された側面パネル用金網3Bで構成され、上蓋パネル4は平面左右に横長の方形に構成された上蓋パネル用金網4Bで構成されているフリーパネルふとん篭である。この場合、底面部2Aの後方縁に背面部を連結すると共に、底面部2Aの右縁に結合コイル2Cを介して側面部2Dを起伏自在に連結せしめることができる。
【0006】
【実施例】実施例について図面を参照して説明する。第1発明としてのフリーパネルふとん篭を説明する。1はフリーパネルふとん篭で、基本パネル2、側面パネル3、上蓋パネル4とから構成されている。基本パネル2は底面部2Aと、この底面部2Aの前方縁に一体に連設された正面部2Bと、底面部2Aの左縁に結合コイル2Cを介して起伏自在に連結された側面部2Dとから構成されている。
【0007】なお、図1のものは底面部2Aの前方縁に一体に立上がり部分である正面部2Bを連設したものとなっているが、底面部2Aの後方縁に背面部(図示略)を連結することもできる。また、図1のものは底面部2Aの左縁に側面部2Dを連結したものとなっているが、底面部2Aの右縁に結合コイル(図示略)を介して側面部(図示略)を起伏自在に連結することもできる。
【0008】底面部2Aは平面左右に横長の方形に構成された底用枠2A1と、この底用枠2A1に張設された底面用金網2A2とから構成されている。正面部2Bは底用枠2A1における左右線2A11に一体に連設された平面上向きコ字状の正面枠2B1と、この正面枠に張設された正面用金網2B2とから構成されている。側面部2Dは平面左右に横長の方形に構成された側面用枠2D1と、この側面用枠2D1に張設された側面用金網2D2とから構成されている。
【0009】なお、実際の製造に当たっては図2の如く、底面部2Aと正面部2Bについては、両者を一体状に構成した枠2Eを構成し、この全面に金網2Fを張設し、底面部2A部分と正面部2B部分との境界線部分には骨線2Gが貫入されている。そして、この境界線部分の骨線2G部分が折曲げ線となる。
【0010】側面パネル3は平面左右に横長の方形に構成された側面パネル用枠3Aと、この側面パネル用枠3Aに張設された側面パネル用金網3Bとから構成されている。なお、この側面パネル3の長さについては、図4を参照して標準全長の2分の1の長さに構成した側面パネル31であってもよい。
【0011】上蓋パネル4は、平面左右に横長の方形に構成された上蓋パネル用枠4Aと、この上蓋パネル用枠4Aに張設された上蓋パネル用金網4Bとから構成されている。5は結束線である。
【0012】フリーパネルふとん篭、結束線などはアルミメッキを施した素材で構成されている。なお、このほか、現場での情況、発注者の考え方で、亜鉛メッキ線、亜鉛・アルミ合金メッキ線を使用する場合もある。
【0013】ついで、第2発明としてのフリーパネルふとん篭の施工方法を説明する。(なお、この説明は施工現場が平坦な状態である場合を例にしている。)
第1工程図4の如く、基本パネル2における正面部2Bと側面部2Dを折立てたのち、底面部2Aを施工現場の所定の位置に据え付ける。
【0014】第2工程他に用意している基本パネル2も同様に正面部2Bと側面部2Dを折立てて、第1工程で据え付けられた基本パネル2を中心として、前後左右に連設してゆく。この場合、各基本パネル同士の接続面は、図7,図8の如く結束線5で連結する。この場合、敷設作業中、寸法の調整が必要となった場合は、基本パネル2の調整が必要となった方向(法長方向〜図5参照、工事延長方向〜図6参照)に底面を重ね、調整寸法に合わせてそれぞれの方向にスライドさせることによって自由に調整する。
【0015】第3工程以上のように縦横に連結敷設された基本パネル全体6(図4参照)における背面開口部6Aと側面開口部6Bに側面パネル3を張設して、箱状の篭体が連設された状態の基本パネルの連続体を形成する。この側面パネル3の張設に際しても結束線5を使用する。
第4工程第3工程で得た箱状の篭体が連設された状態の基本パネルの連続体の中に所定の中詰材を充填し、上蓋パネル4を取付け、作業は完了する。この上蓋パネル4の張設に際しても結束線5を使用する。
【0016】また、法面7においての途中の勾配の変化や法尻7Aや法頭7Bにおける取付部分の角度に対応する場合は、それぞれの角度に応じて下記のように基本パネルの側面に角度を付けた変形基本パネル21,22,23,24を使用するとよい。すなわち、変形基本パネル21は法尻7A部分の下方部分7A1に、また、変形基本パネル22は法尻7A部分の上方部分7A2に使用する。そして、変形基本パネル23は法頭7B部分の下方部分7B1に、また、変形基本パネル24は法頭7B部分の上方部分7B2に使用する。
【0017】作用について効果と共に説明する。
【0018】
【発明の効果】本発明は、上述の通り構成されているので次に記載する効果を奏する。
1.フリーパネルふとん篭は、工場にて生産された基本パネル2、側面パネル3、上蓋パネル4を施工現地にて連続的に組立据付けするもので、左右・前後とも隣合せのふとん篭との合わせ面(仕切面)がダブルことない。
2.また施工現場にて左右・前後方向に寸法の調整が必要となるときは、基本パネル2をそれぞれの必要とする方向に重ねスライドすることにより自由に設定できる。
この結果、左右・前後方向への寸法が自由になることによって自然相手の設計、工事の監督・検査・管理等をより簡単にすることができる。
【0019】3.しかも、特殊な部材を必要とせず、且つ又工場にてプレハブ化されたパネル式形態であるため、施工が簡単で特殊な技術を必要としない極めて省力的なふとん篭である。
4.工場でプレハブ化されることによって、現場での施工において技術を不要とし、かつ、工期短縮などができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基本パネルの平面図である。
【図2】基本パネルの平面図である。
【図3】同上の要部拡大斜視図である。
【図4】施工状態を示す斜視図である。
【図5】施工状態の要部拡大斜視図である。
【図6】施工状態の要部拡大斜視図である。
【図7】箱状の篭体が連設された状態の基本パネルの要部拡大斜視図である。
【図8】上蓋パネルを張設した状態の要部拡大斜視図である。
【図9】付設状態の斜視図である。
【図10】同上の要部拡大説明図である。
【図11】変形基本パネルの平面図である。
【図12】変形基本パネルの平面図である。
【図13】変形基本パネルの平面図である。
【図14】変形基本パネルの平面図である。
【符号の説明】
1 フリーパネルふとん篭
2 基本パネル
2A 底面部
2A2 底面用金網
2B 正面部
2B2 正面用金網
2C 結合コイル
2D 側面部
2D2 側面用金網
3 側面パネル
3A 側面パネル用枠
3B 側面パネル用金網
4 上蓋パネル
4A 上蓋パネル用枠
4B 上蓋パネル用金網
5 結束線

【特許請求の範囲】
【請求項1】 基本パネル(2)、側面パネル(3)、上蓋パネル(4)とから構成され、基本パネル(2)は底面部(2A)と、この底面部(2A)の前方縁に一体に連設された正面部(2B)と、底面部(2A)の左縁に結合コイル(2C)を介して起伏自在に連結された側面部(2D)とから構成され、底面部(2A)は平面左右に横長の方形に構成された底面用金網(2A2)で構成され、正面部(2B)は底面部に一体に連設された正面用金網(2B2)で構成され、側面部(2D)は平面左右に横長の方形に構成された側面用金網(2D2)で構成され、側面パネル(3)は平面左右に横長の方形に構成された側面パネル用金網(3B)で構成され、上蓋パネル(4)は平面左右に横長の方形に構成された上蓋パネル用金網(4B)で構成されていることを特徴とするフリーパネルふとん篭。
【請求項2】 底面部(2A)の後方縁に背面部を連結すると共に、底面部(2A)の右縁に結合コイル(2C)を介して側面部(2D)を起伏自在に連結せしめた「請求項1」記載のフリーパネルふとん篭。
【請求項3】 下記の各工程から構成されていることを特徴とするフリーパネルふとん篭の施工方法。
第1工程基本パネル(2)における正面部(2B)と側面部(2D)を折立てたのち、底面部(2A)を施工現場の所定の位置に据え付けること。
第2工程他に用意している基本パネル(2)も同様に正面部(2B)と側面部(2D)を折立てて、第1工程で据え付けられた基本パネル(2)を中心として、前後左右に連設してゆくこと。
第3工程以上のように縦横に連結敷設された基本パネル全体(6)(図4参照)における背面開口部(6A)と側面開口部(6B)に側面パネル(3)を張設して、箱状の篭体が連設された状態の基本パネルの連続体を形成すること。
第4工程第3工程で得た箱状の篭体が連設された状態の基本パネルの連続体の中に所定の中詰材を充填し、上蓋パネル(4)を取付けること。
【請求項4】 第2工程において、寸法の調整が必要となった場合は、基本パネル(2)の調整が必要となった方向に底面を重ね、調整寸法に合わせてそれぞれの方向にスライドさせるようにした「請求項3」記載のフリーパネルふとん篭の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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【図7】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図14】
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【公開番号】特開平5−179628
【公開日】平成5年(1993)7月20日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−358436
【出願日】平成3年(1991)12月27日
【出願人】(592025269)株式会社ホクブ (1)