説明

フリーピストン組立体、及びフリーピストン組立体の制御方法

本発明は、少なくとも1つのピストンチャンバと、対応するピストンチャンバ内で線形運動する少なくとも1つのピストン組立体とを含み、このピストンが第1ピストン表面及び第1ピストン表面から離れる方を向いた第2ピストン表面を有する、フリーピストン装置に関する。ピストンチャンバは、第1ピストン表面により画された膨張空間を含む。ピストン装置は、膨張空間内で膨張する媒体の作用により駆動可能である。ピストンチャンバ内の回復空間は、第2ピストン表面により画され、少なくとも1つの予圧チャンバと流体作用を介して接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのピストン収容装置と、対応するピストン収容装置内で線形に運動し、且つ、第1ピストン表面及び前記第1ピストン表面から離れる方を向いた第2ピストン表面を有する少なくとも1つのピストン装置と、前記ピストン収容装置内に形成され、且つ、前記第1ピストン表面により画された膨張空間とを含むフリーピストン組立体であって、前記ピストン装置が、前記膨張空間内で膨張する媒体の作用により駆動されるように配置されたフリーピストン組立体に関する。
【0002】
更に、本発明は、ピストン収容装置と、前記ピストン収容装置内で線形に運動するピストン装置と、復元空間とを含むフリーピストン組立体の制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
例えばフリーピストン組立体を用いて、燃焼過程により化学的エネルギーを機械的エネルギー、つまりピストン装置の運動エネルギーに部分的に変換することができ、その後、リニアドライブを用いて、この機械的エネルギーを少なくとも部分的に電気エネルギーに変換することができる。ピストン運動がフリーピストン運動の形態となるように配置することで、クランク軸を設ける必要なしに、ピストンの純粋に線形な動作を実現することができる。
【0004】
この性質の装置は、例えば、自動車のハイブリッド駆動部の一部として、特に直列ハイブリッド配置の概念と組み合わせて用いることができる。これらの装置は、電気を発生させるためのコンパクトな電流発生ユニットとして用いたり、例えばエンジンベースのコジェネレーションシステムのような定置式アプリケーションと組み合わせて利用することもできる。
【0005】
例えばGB 854 255及びDE 22 17 194 C3から、フリーピストン組立体が公知である。
【0006】
US 6,199,519 B1、DE 31 03 432 A1、東ドイツ特許明細書113,593、及びDE 43 44 915 A1から、又は「Proceedings of the 2000 DOE of Hydrogene Program Review」におけるP. van Barriganの論文「Advanced internal combustion engine research」から、発電機を備えた燃焼装置も公知である。
【0007】
DE 102 19 549 B4から、電気リニアドライブを含むフリーピストン組立体が公知である。このフリーピストン組立体は、少なくとも1つのピストン収容装置と、ピストン収容装置内で線形運動可能なように配置される少なくとも1つのピストン装置とを含む。ここで、ピストン装置はロータ組立体を含み、ステータ組立体がピストン収容装置に配置される。少なくとも1つのピストン装置は、膨張チャンバ内で膨張する媒体の作用により駆動されるように配置されており、ピストン装置の運動における死点が規定可能となるよう、ピストン行程はリニアドライブにより変化されることに適合されている。
【0008】
WO 01/45977 A2には、電気リニアドライブを含む別のフリーピストン組立体が記載されている。
【0009】
EP 1 398 863 A1から、媒体が作用する少なくとも1つのピストン装置のピストンが運動可能である第1変位チャンバと、ピストンと関連付けられたロータ組立体が運動可能である第2変位チャンバとが別々のチャンバである、フリーピストン組立体が公知である。
【0010】
DE 197 81 913 T1から、リニア発電機の運動の制御方法が公知である。このリニア発電機は、対向する2つのピストンが共通の軸に沿って並べられた内燃エンジンにより駆動される。発電機の周期的な往復運動中に、発電機に対する効果的な抵抗力が、少なくとも発電機の運動速度の中央行程範囲内でほぼ比例して生成されるよう、電流消費が制御される。燃焼チャンバ内に圧力センサが設けられており、所定の圧力に達すると、制御ユニットが、燃焼チャンバに供給された混合物に点火する装置をトリガする。
【0011】
DE 10 2004 062 440 B4から、電気リニアドライブを備えたフリーピストン組立体が公知である。このフリーピストン組立体は、ガスが収容された復元チャンバを含む。復元チャンバ内には少なくとも1つの圧力センサが設けられており、この圧力センサにより、復元チャンバ内のガスの圧力の測定から、ピストン装置の位置及び/又は速度を決定することができる。従って、測定された圧力を用いて、例えば、膨張チャンバへの燃料の注入や膨張チャンバ内の燃料の点火時点に関して、及び/又は、膨張チャンバ上に配置された弁に対して、フリーピストン組立体の制御及び/又は調節処理を行うことができる。
【0012】
US 5,002,020から、制御/調節及びパワー出力の目的で、往復式ピストン及び電磁変換器を備えたハイブリッドエンジンが公知である。
【0013】
先行して公開されていないWO 2008/037980 A2から、複動式の配置構成を有するフリーピストンエンジンが公知である。1つのピストンが、一方の側で従来の内燃サイクルを受け、他方の側で蒸気膨張サイクルを受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】GB 854 255
【特許文献2】DE 22 17 194 C3 (US 4,154,200)
【特許文献3】US 6,199,519 B1
【特許文献4】DE 31 03 432 A1
【特許文献5】東ドイツ DD 113,593
【特許文献6】DE 43 44 915 A1
【特許文献7】DE 102 19 549 B4 (US 2005/0081804 A1)
【特許文献8】WO 01/45977 A2
【特許文献9】EP 1 398 863 A1
【特許文献10】DE 197 81 913 T1 (US 6,181,110 B1)
【特許文献11】DE 10 2004 062 440 B4
【特許文献12】US 5,002,020
【特許文献13】WO 03/091556 A1 (US 2005/0081804 A1)
【特許文献14】DE 102 42 141 A1
【特許文献15】WO 2008/037980 A2
【特許文献16】US 5,287,827 A
【特許文献17】US 4,454,426 A
【特許文献18】WO 2007/147789 A1 (US 2009/0101005 A1)
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】"ADVANCED INTERNAL COMBUSTION ENGINE RESEARCH"、Peter van Blarigan著、Proceedings of the 2000 DOE Hydrogen Program Review
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、簡単なやり方で実現可能であって、且つ、コンパクトな構成を有する、上述した種類のフリーピストン組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、この目的は、上述したフリーピストン組立体において、前記少なくとも1つのピストン収容装置内に配置された復元空間が前記第2ピストン表面により画され、かつ、前記復元空間が少なくとも1つの予圧チャンバに流体接続されることで達成される。
【0018】
本発明に係る解決法を用いて、前記ピストン収容装置の長さを最適にして使用することができる。
【0019】
特に、例えば、前記膨張空間と前記復元空間との間隔がピストンの対応する厚さに略一致する場合、この間隔を最小にすることが可能である。
【0020】
更に、駆動部とアプリケーション部とをモジュール式に含むフリーピストン組立体を構成することが可能である。本発明に係る解決法の場合、前記駆動部の後端から能動要素を簡単なやり方で案内することができる。その結果、例えば、圧縮機やリニアドライブのようなアプリケーションを、モジュール式に連結することができる。これにより、直列及び/又は並列の連結器を用いて、幾つかのアプリケーションを連結することが可能である。
【0021】
本発明に係る解決法の場合、前記膨張空間から前記復元空間へのブローバイを使用することが可能である。ブローバイが発生すると、前記ピストン装置と前記ピストン収容装置との間の漏出に起因して、前記膨張空間からのガスが前記復元空間に入る。前記復元空間がガススプリングチャンバの形態である場合、前記ブローバイにより前記復元空間内のガス圧を維持することができる、又は、前記復元空間内の圧力損失を低減するために前記ブローバイを使用することができる。必要に応じ、前記ブローバイは、「漏出」の量についての規定された設定を利用することにより、規定されたやり方で設定することができる。
【0022】
前記復元空間は、少なくとも1つの予圧チャンバに流体接続される。従って、例えば、前記復元空間のガス圧を、それ故に前記復元空間の弾性特性を、制御又は調節することが可能である。
【0023】
前記膨張空間及び前記復元空間が前後に線形に配置されると好都合である。これにより、長手方向の寸法を最小にしたコンパクトな構造を得ることができる。
【0024】
特に、前記膨張空間及び前記復元空間は、前記ピストン装置のピストンにより分離される。ここで、前記ピストンは、前記第1ピストン表面及び前記第2ピストン表面を含む。これにより、前記膨張空間と前記復元空間との間隔は最小にされる。
【0025】
同じ理由で、前記ピストン収容装置の内部長さが、前記膨張空間の長さ、前記第1ピストン表面と前記第2ピストン表面との間隔、及び前記復元空間の長さから成ると好都合である。
【0026】
前記第1ピストン表面と前記第2ピストン表面との間隔が、前記ピストン収容装置の総内部長さの最大で30%である場合、コンパクトな構造を実現することができる。
【0027】
前記少なくとも1つのピストン収容装置が、前記ピストン装置に接続された少なくとも1つの線形運動可能な能動要素が外方へ案内される側面を含むと特に非常に有利である。前記能動要素から機械的エネルギーを「抽出」することができる。即ち、前記能動要素に1つ又は複数のアプリケーションを連結することができる。これにより、駆動部と、アプリケーション部、特に置換可能なアプリケーション部とを含むフリーピストン組立体から成るモジュラー構造体を実現することができる。
【0028】
特に、前記少なくとも1つの能動要素はピストン棒である。
【0029】
前記側面は、前記ピストン装置の動作方向に対して直交する方向に向けられた端面である、ということが考えられる。従って、前記駆動部の連結側を、簡単なやり方で利用可能にすることができる。
【0030】
特に、前記第2ピストン表面に面する壁が前記側面に配置される。これにより、前記機械的エネルギーを外部につなぐための装置が簡単なやり方で設けられる。
【0031】
更に、この壁が前記復元空間を画すると好都合である。前記復元空間は、この復元空間に燃料等を供給するための装置を装備する必要がなく、この復元空間から排気ガスを除去する必要がない。これにより、簡単な構造が得られる。もっとも、原則として、前記膨張空間を画する壁から前記能動要素を外方へ案内することも可能である。
【0032】
前記壁が、前記少なくとも1つの能動要素が通過する開口を有すると好都合である。その場合、前記機械的エネルギーを簡単なやり方で外部につなぐことができる。
【0033】
更に、前記少なくとも1つの能動要素のための軸受がこの壁に配置されると有利である。前記軸受は、例えば、前記能動要素の変位を案内するための滑り軸受である。これにより、前記要素の全体的な支持を良くすることができる。
【0034】
前記少なくとも1つの能動要素の下位部分が前記復元空間を通って案内される、ということが考えられる。これにより、簡単な構造が得られ、前記機械的エネルギーを外部につなぐための簡単な装置が提供される。もっとも、上述したように、原則として、前記少なくとも1つの能動要素を前記膨張空間を通って案内することも可能である。
【0035】
前記少なくとも1つの能動要素が、この能動要素をアプリケーションにリンクさせるための連結器を含むと特に非常に有利である。このようにすることで、前記駆動部からの前記機械的エネルギーを利用するために、アプリケーションを簡単なやり方で取り付けることができる。
【0036】
前記膨張空間は、この膨張空間と関連付けられた少なくとも1つの入口ポートを有することが好都合である。これにより、入口ポートを用いて燃料を入れることができる、又は、膨張可能な熱伝達媒体を入れることができる。
【0037】
特に、燃料の進入又は前記膨張可能な熱伝達媒体の供給が制御可能となるように、前記少なくとも1つの入口ポートに、好ましくは制御可能な弁が配置される。
【0038】
前記膨張空間が、この膨張空間と関連付けられた少なくとも1つの出口ポートを有する場合、例えば、前記燃焼過程から生じる排気ガスをこの膨張空間から除去することができる、又は、前記膨張した熱伝達媒体をこの膨張空間から除去することができる。
【0039】
従って、前記出口ポートに(制御可能な)弁が配置されると好都合である。
【0040】
前記復元空間が、圧縮性媒体が収容されるガススプリング空間であると特に好都合である。前記圧縮性媒体(ガス)は、前記ガススプリング空間内で圧力下に保持される。これにより、前記ピストン装置の往復運動を作り出すことができる。更に、WO 03/091556 A1に記載されているように、前記ピストン装置の運動を制御することが可能である。
【0041】
例えば、前記復元空間内の圧力が調節可能となるように、前記接続を制御するための制御ユニットが設けられると好都合である。
【0042】
例示的な一実施形態において、前記少なくとも1つの予圧チャンバが、前記ピストン収容装置の端面により、前記復元空間に接続される。これにより、前記ピストン収容装置及び前記予圧チャンバは前後に線形に接続される。
【0043】
原則として、前記少なくとも1つの予圧チャンバを、能動要素から離間するように配置することも可能である。
【0044】
別の実施形態において、前記少なくとも1つの予圧チャンバを通って能動要素が案内される。
【0045】
第1開口及び第2開口を含む少なくとも1つのチャネルが前記少なくとも1つの能動要素に配置され、前記復元空間内及び/又は予圧チャンバの予圧空間内での前記第1開口及び/又は前記第2開口の位置が、前記少なくとも1つの能動要素の位置に依存すると特に有利である。これにより、例えば、外部から時間制御される弁がない場合に、前記予圧空間と前記復元空間との間の圧力を均等化する過程を、時間に依存したやり方で制御することが可能となる。従って、例えば高圧弁を使用する必要はもはやない。
【0046】
特に、前記予圧チャンバと前記復元空間とは、前記ピストン装置の1つ又は複数の位置において前記チャネルに流体接続される。これにより、圧力均等化過程が可能となる。
【0047】
ここで、前記1つ又は複数の位置が、前記ピストン装置の反転点又は反転点付近にあるようにしてもよい。その場合、前記チャネル及び前記開口を適切に構成することにより、原則として、この位置が上方の反転点又は下方の反転点となるように設定することが可能である。
【0048】
前記予圧チャンバ内に(少なくとも)1つのアプリケーションを配置するようにしてもよい。前記予圧チャンバ内の予圧空間を用いて、前記復元空間内の圧力を調節することができる。前記予圧チャンバを形成するために、リニアドライブ等のアプリケーションが配置されたハウジングを使用することができる。これにより、前記フリーピストン組立体の全体的な長さが最小になると同時に、構成のコンパクトなやり方が得られる。
【0049】
例えば、少なくとも1つのリニアドライブが前記ピストン装置に接続可能である、又は接続されるようにしてもよい。前記リニアドライブは、例えばリニア発電機の形態である。その場合、電流を発生させることができる。WO 03/091556 A1に記載されているように、原則として、前記リニアドライブにより前記ピストン装置の運動を制御することも可能である。
【0050】
前記少なくとも1つのリニアドライブは、前記ピストン装置の前記少なくとも1つの能動要素に接続されるステータ及びアクチュエータを含む。前記ピストン装置は、誘導電流を発生させるための機械的エネルギーをもたらす。
【0051】
例えば、前記少なくとも1つのリニアドライブは、前記ピストン装置の動作方向と平行な方向において、前記ピストン収容装置に続く。従って、例えば、直交方向の寸法を小さくすることができる。
【0052】
前記少なくとも1つのリニアドライブが、前記少なくとも1つのピストン収容装置及び/又は予圧チャンバを少なくとも部分的に包囲することも可能である。従って、長手方向の寸法を小さく保つことができる。
【0053】
例えば、少なくとも1つの圧縮機が前記ピストン装置に接続可能である、又は接続されるようにすることもできる。例えば、前記圧縮機によりガス又は液体が圧縮される。
【0054】
特に、前記少なくとも1つの圧縮機のピストン棒が前記ピストン装置の能動要素に接続される。
【0055】
更に、本発明の目的は、簡単なやり方で実現可能な、上述した種類の方法を提供することである。
【0056】
本発明によれば、この目的は、ピストン収容装置と、前記ピストン収容装置内で線形となるように運動可能なピストン装置と、復元空間とを含む前記フリーピストン組立体において、前記復元空間と予圧空間との流体接続が前記ピストン装置の位置に依存して開閉され、前記ピストン装置の1つ又は複数のピストン棒が前記復元空間内及び前記予圧空間内を案内され、かつ、第1開口及び第2開口を有する少なくとも1つのチャネルが前記少なくとも1つのピストン棒に配置されることで達成される。
【0057】
本発明に係る前記方法は、本発明に係る前記装置に関して既に述べた利点を有する。
【0058】
本発明に係る前記方法の場合、前記復元空間内の圧力は、前記ピストン装置の位置により自動的に制御される。例えば、前記予圧空間内の圧力を作動点として設定し、自動圧力均等化過程を行うことができる。その場合、前記復元空間内の圧力を制御するための高圧弁はもはや必要でない。更に、前記ピストン装置の位置により前記制御過程が自動的に実施されるため、外部から計時される制御過程はもはや必要でない。
【0059】
特に、前記第1開口と前記第2開口とは流体接続される。従って、前記チャネルを介してガス交換を行うことができる。
【0060】
特に、前記第1開口は前記復元空間内にあり、且つ、前記第2開口は前記予圧空間内にある、前記ピストン装置の1つ又は複数の位置が存在する。これにより、前記復元空間と前記予圧空間との間で前記ガスを均等化することができ、このガス均等化過程により、特に前記復元空間内の圧力を制御することができる。
【0061】
更に、前記第1開口と前記第2開口の双方が前記復元空間内又は前記予圧空間内のいずれかに設置される、前記ピストン装置の1つ又は複数の位置が存在すると好都合である。この場合、前記予圧空間と前記復元空間との間で前記ガスの交換を行うことはできない。
【0062】
本発明をより詳細に説明するために、図面と合わせて考慮される好適な実施形態を以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係るフリーピストン組立体の例示的な第1実施形態の略断面図。
【図2】本発明に係るフリーピストン組立体の例示的な第2実施形態の略図。
【図3】本発明に係るフリーピストン組立体の例示的な第3実施形態の略図。
【図4】本発明に係るフリーピストン組立体の例示的な第4実施形態の略図。
【図5】本発明に係るフリーピストン組立体の例示的な第5実施形態の略図。
【図6】本発明に係るフリーピストン組立体の例示的な第6実施形態の略図。
【図7】本発明に係るフリーピストン組立体の例示的な第7実施形態の略図。
【図8】例示的な第8実施形態の略図。
【図9】例示的な第9実施形態の略図。
【図10】例示的な第10実施形態の略図。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1に、本発明に係るフリーピストン組立体の例示的な第1実施形態を参照符号10で示す。この実施形態は、駆動部12及びアプリケーション部14を含む。駆動部12は、機械的エネルギーを、能動要素16の往復運動の形態で利用可能にする。この機械的エネルギーは、以下に記載するように、圧縮機及び/又はリニアドライブ等の対応するアプリケーションにより、アプリケーション部14にて利用することができる。
【0065】
駆動部12は、ピストン装置20が線形運動可能なように配置された(少なくとも)1つのピストン収容装置18(シリンダ)を含む。
【0066】
ピストン収容装置18は、ピストン装置20のピストン24が一方それから他方の方向26に線形運動可能なピストン空間22を有する。この一方及び他方の方向26は、ピストン収容装置18の長手方向軸28と平行である。
【0067】
ピストン24は、第1ピストン表面30と、対向する第2ピストン表面32とを有する。例えば、第1ピストン表面30と第2ピストン表面32とは互いに平行である。例えば一実施形態において、第1ピストン表面30と第2ピストン表面32との間には、中実の材料であるピストン24がある。
【0068】
これとは別に、ピストン24は、第1ピストン表面30と第2ピストン表面32との間に1つ又は複数の空洞を含むことができる。空洞は、例えば、質量を低減する目的及び/又は熱の非干渉化を提供する目的に役立つ。原則として、空洞をピストン24の内部冷却に使用することもできる。
【0069】
ピストン空間22は、第1端壁34により第1端面で画され、第2端壁36により反対側の第2端面で画される。第1端壁34及び第2端壁36は、長手方向28に対して直交する方向に向けられており、それ故に、運動方向26に対しても直交する方向に向けられている。
【0070】
第1端壁34と第1ピストン表面30との間には、膨張媒体が膨張してピストン24へ力を及ぼすことができる膨張空間38が設置されている。
【0071】
第2ピストン表面32と第2端壁36との間には、例えばガススプリング空間の形態の復元空間40が形成される。従って、復元空間40内には、圧縮性媒体、特にガスが収容される。この圧縮性媒体は、ピストン24のばね様の戻りを提供する。
【0072】
これとは別に又はこれに加えて、復元空間40内に、1つ又は複数の機械ばね要素41を配置することができる。少なくとも1つのばね要素41は、ピストン22にリンクされており、第2端壁36上で直接又は中間物を介して支持される。
【0073】
ピストンチャンバ22の総容積は、膨張空間38及び復元空間40の容積と、ピストン24の体積との和から成る。膨張空間38と復元空間40の容積の比率は、ピストン装置20のピストン24の位置に依存する。ピストン24は、膨張空間38及び復元空間40が互いにガス密となるべく密封されるような方法で、ピストンチャンバ22内に配置され案内される。
【0074】
原則として、密封公差に起因して、膨張空間38と復元空間40との間のブローバイが可能である。膨張空間38から復元空間40に入る流体(特にガス)は、復元空間40内でばね性のある媒体として使用される。ブローバイは、復元空間40内で、圧力を維持するために又は圧力損失を低減するために利用することができる。その結果、状況によっては、復元空間40内の圧力を維持するための固定式ポンプなしで済ますことができるため、フリーピストン組立体をコンパクト且つ安価なやり方で実現することができる。
【0075】
ピストン装置20は、ピストン24上に着座し且つ復元空間40を通って案内されるピストン棒42を含む。第2端壁36は開口44を含み、この開口を(ガス密な)ピストン棒42が通過する。ピストンが一方そして他方の方向26へ線形運動する過程で、ピストン棒42を、従ってピストン装置20を支持するために、開口44には例えば滑り軸受の形態の軸受装置46が配置される。
【0076】
図1に示す例示的な実施形態では、復元空間40内の圧縮性媒体が開口44を通って周囲へ逃散することができないように、復元空間40はその周辺に対して密封される。
【0077】
ピストン棒42は能動要素16を形成している。連結器48が、ピストン棒42上、好ましくはその外端に配置され、連結器48には利用可能な機械的エネルギーを取り出すためにアプリケーションが連結されるようになっている。
【0078】
第2端壁36は、駆動部12の外端を形成する、又は、駆動部12の外前端付近に設置される。その場合、駆動部12に、長手方向18で続いてアプリケーションを取り付けることができる。これらのアプリケーションは、駆動部12に前後にある程度まで接続可能である。
【0079】
復元空間40は、膨張空間38と同じピストン収容装置18内に形成される。ピストン24は、膨張空間38及び復元空間40の分離装置を形成する。
【0080】
例えば、第1ピストン表面30は円形である。例えば、第2ピストン表面32は円形である。
【0081】
1つ又は複数のアプリケーション部14が、駆動部12にモジュール式に接続されるようになっていて、1つ又は複数のアプリケーション部14は駆動部12によりもたらされている機械的エネルギーを使用する。
【0082】
膨張空間38と復元空間40とは、同じピストンチャンバ内に形成される。その結果、ピストン収容装置18は、長手方向軸28の方向で長手方向の寸法を比較的小さくしてコンパクトに構成することができる。
【0083】
膨張空間38内の膨張ガスにより、能動要素16が(一方そして他方の方向26へ)振動変位する。
【0084】
一実施形態において、膨張空間38内の膨張媒体は、可燃性ガスの形態である。ピストン収容装置18内には、膨張空間38用の(少なくとも1つの)入口ポート50が配置され、前記ポートを通って、燃料又は燃料−酸化剤の混合物が膨張空間38内に導入可能である。原則として、燃料用及び酸化剤用として別々の入口ポートを設けることが可能である。入口ポート50には、弁52、特に制御可能な弁が配置される。供給される燃料又は燃料−酸化剤の混合物の量は、弁52により制御することができる。
【0085】
更に、ピストン収容装置18内には、膨張空間38から媒体が除去可能である(少なくとも)1つの出口ポート54が配置される。特に、膨張空間38から排気ガスが除去可能である。
【0086】
除去過程を制御できるようにするために、出口ポート54には弁56が配置される。
【0087】
燃料−酸化剤の混合物を点火するための点火装置57を、膨張空間38と関連付けることができる。原則として、自己点火媒体を使用することもできる。
【0088】
この実施形態の変形において、膨張空間38内の膨張媒体は、膨張空間38の外部で生成又は加熱される熱伝達媒体である。この熱伝達媒体は膨張空間38内で膨張することができるので、これによりピストン24がその振動運動を行うことができる。
【0089】
この場合、入口ポート50は、膨張可能な熱伝達媒体を、制御されたやり方で膨張空間38内へつなぐために役立つ。「膨張した」熱伝達媒体は、出口ポート54を通って排出することができる。
【0090】
復元空間40内の圧力を測定する目的で、復元チャンバは、この復元チャンバと関連付けられた1つ又は複数の圧力センサ53を有することができる。1つ又は複数の圧力センサ53は、例えば第2端壁36上に配置される。
【0091】
同様のやり方で、膨張空間38は、膨張空間内の圧力を測定するために役立つこの膨張空間と関連付けられた1つ又は複数の圧力センサ55を有することができる。1つ又は複数の圧力センサは、特に第1端壁34上に配置される。
【0092】
更に、膨張空間38は、この膨張空間と関連付けられた、例えば燃料が注入されるようになっている少なくとも1つの注入弁51を有することができる。
【0093】
図2に、フリーピストン組立体の例示的な第2実施形態を参照符号58で示す。この実施形態は、基本的に第1フリーピストン組立体10と同じように構成される。従って、同じ要素には同じ参照符号が使用される。
【0094】
更に、復元空間40には、予圧空間62を含む(少なくとも)1つの予圧チャンバ60が関連している。予圧チャンバ60は、能動要素16から離間するように配置される。例えば、第2端面64で限定されている端部の後方に配置される。予圧空間62は、制御可能な弁66により、復元空間40に流体接続される。復元空間40内のガススプリング装置の圧力は、例えば予圧チャンバ60により調整することができる。特に、この圧力は、制御し、従って、フリーピストン組立体58の特別な操作モードに適合させることができる。
【0095】
一実施形態において、圧力は、復元空間40内でガススプリング装置の下死点にて制御される。復元空間40の下死点(BDC)にて復元空間40の容積は最大となり、圧力を制御/調節する過程は最も容易になる。
【0096】
予圧空間62には、予圧チャンバ60に圧力を加えるために役立つポンプ67が取り付けられる。
【0097】
例えば、予圧チャンバ60により復元空間40内の圧力損失を均等化することも可能である。
【0098】
図3に、本発明に係るフリーピストン組立体の例示的な第3実施形態を参照符号68で示す。この実施形態は、第1端面72及び第2端面74を有するピストン収容装置70を含む。ピストン78及びピストン棒80を含むピストン装置76は、ピストン収容装置70内で、線形運動可能である。ピストン棒80は能動要素82を形成し、能動要素により機械振動エネルギーがアプリケーションに伝導可能である。能動要素82の一端には、アプリケーションに取り付ける目的で、連結器84が配置される。
【0099】
ピストン収容装置70は膨張空間86及び復元空間88を含むが、その構成の仕方及び機能は基本的に上述のものと同じである。
【0100】
第2端面74上には、予圧空間92が形成されている予圧チャンバ90が配置される。予圧チャンバ74の第1端面94は、ピストン収容装置70の第2端面を向いており、例えば、第2端面に当接しており又は第2端面と重なっている。第2端面96は、ピストン収容装置70の第2端面74から離れる方を向いている。
【0101】
予圧チャンバ90及びピストン収容装置70は、互いに前後するように配置される。予圧チャンバ90は、ピストン装置76の動作方向と平行に、ピストン収容装置70に接している。
【0102】
予圧チャンバ90の第2端面96では、対応する端壁に、能動要素82が通された開口98が設けられる。特に、開口98内には、能動要素82を支持するための滑り軸受等の軸受装置が配置される。軸受装置及び能動要素82は、周囲に対して密封される。
【0103】
ピストン収容装置70の第2端面74では、対応する端壁100に、能動要素82が同様に中を案内されている開口102が設けられる。そこには、特に、滑り軸受等の軸受装置が配置される。開口98は、復元チャンバ88と予圧チャンバの予圧空間92との間に設置される。開口98を通って周囲と予圧空間92との間のガス交換が実施できないように、開口98は能動要素82に対して密封される。
【0104】
予圧チャンバ90は1つ又は複数の開口104を含み、この開口を介して予圧空間92内の圧力を制御することが可能である。
【0105】
能動要素82に、(少なくとも1つの)チャネル106が配置され、チャネル106は能動要素82の外面へ向かう第1開口108及び第2開口110を含む。ガスが、第1開口108及び第2開口110を介してこのチャネル106を流れることができる。チャネル106の外側では、能動要素82はガス不透過性の材料でできている。
【0106】
チャネル106は、能動要素82の位置に依存して予圧空間92と復元チャンバ88との間の流体交換を可能にする又は抑制する「自動弁」として作用する。
【0107】
図3に示す能動要素82の位置では、第2開口110は予圧空間92内にあり、第1開口108は復元チャンバ88内にある。従って、予圧空間92と復元空間88との間の圧力の均等化を行うことができる。従って、例えば、復元空間88内でガススプリング装置の可変ばね特性を実現する目的で、予圧空間92内の圧力により、復元空間88内の圧力を制御することが可能である。
【0108】
これにより、(ピストンの位置に関して)空間的に規定されたやり方で、及び/又は時間的に規定されたやり方で、特性を調整することが可能である。これにより、基本的に、ピストンの各位置と各時点とについて、特定のばね剛性を設定することができる。
【0109】
チャネル106は外部から切替える必要のない弁を形成しており、「自己調節」過程が実現される。第1開口108及び第2開口110の位置(及びチャネル106の幾何学的寸法)に依存して、第1開口108が復元チャンバ88内にあり、第2開口110が予圧空間92内にある状態に到達すると、そこで圧力均等化過程を行うことができる。その場合、復元空間88用の高圧弁は不要である。更に、能動要素82自体の位置が圧力均等化過程を制御することから、弁のタイミングを外部から制御することも不要である。
【0110】
第1開口108と第2開口110の双方が復元空間88内にある場合、又は、これらの双方が予圧空間92内にある場合、圧力均等化過程は起こり得ない。
【0111】
図示する例示的な実施形態において、ピストン78がピストン装置76の運動における反転点にあるか、又はその付近にあるとき、圧力の均等化が生じる。これにより、チャネル106が第1開口108と第2開口110とを備えて構成されることに依存して、下方の反転点又は上方の反転点にて、又はその付近にて、復元空間88と予圧空間92との間で流体接続させることが可能である。
【0112】
開口98内及び/又は開口102内での能動要素82の支持、特に、褶動支持に起因して、ピストン78はもはや案内機能を持たない。従って、ピストンは、実質、膨張空間86と復元空間88との間を密封することに役立ちさえすればよい。
【0113】
図4に、本発明に係るフリーピストン組立体の例示的な第4実施形態を全体として符号112で示す。この実施形態では、図2に関して記載したような駆動部114が実現される。この駆動部の能動要素16は、リニアドライブのアクチュエータ116に、連結器48を介して連結されている。アクチュエータ116は、能動要素16により、線形となるように往復変位される。
【0114】
アクチュエータ116は磁場内を移動し及び/又は磁場を生成し、この磁場はアクチュエータ116により移動される。従って、特に、適切なステータと協動すれば、誘導電流を発生させることができる。
【0115】
アクチュエータ116は、長手方向軸118から離間された、例えば、長手方向軸118と平行な長手方向に交番極性の永久磁石122を含む磁石装置120を担持している。
【0116】
駆動部114は、固定して配置される。このことは、図4に基部124により示されている。同様に固定されたステータ126が、アクチュエータ116と協動する。ステータ126は、例えば巻き線128を含む。磁石装置120は、能動要素16の往復運動により、そして、これにより引き起こされるアクチュエータ116の往復運動により、ステータ126に対して移動される。その結果、電流が誘起され、取り出されるようになっている。対応するリニアドライブ130は、電流を生成するリニア発電機として働く。リニアドライブ130内で、駆動部114により生成される機械的エネルギーを電流に変換することができる。
【0117】
もっとも、原則として、リニアドライブ130を、駆動部114のピストン装置を制御/調節するために使用することも可能である。このことは、明確に参照されているWO 03/091556 A1に記載されている。
【0118】
リニアドライブ130は、能動要素16に連結されている。これに加えて又はこれとは別に、他の種類のアプリケーションを連結させることもできる。
【0119】
アクチュエータ116には、1つ又は複数の電磁石を設けることもできる。アクチュエータは短絡巻線を含んでもよい。アクチュエータが、磁気導電性の材料でできた「受動的な」歯状構造体を担持することも可能である。
【0120】
図5に、例示的な第5実施形態を参照符号132で示す。この実施形態でも又、駆動部114が設けられている。駆動部の能動要素16には、圧縮機134が連結される。圧縮機は、ガス又は液体を圧縮するために役立てることができ、例えば、冷媒用の圧縮機、水力圧縮機、又は水圧縮機(例えばポンプの形態の)とすることができる。
【0121】
能動要素16は、対応するシリンダ138内を案内される圧縮機のピストン136に連結されている。能動要素16は、ピストン136に、又はピストン136に着座しているピストン棒140に直接接続される。端壁142とピストン140との間には、圧縮チャンバ144が形成される。この圧縮チャンバ144内には1つ又は複数の入口ポート146が通じており、各々は中に着座した制御弁148を有する。圧縮されるべき媒体が、入口ポート146を通って中へつながれるように配置される。
【0122】
更に、中に着座した制御弁152を各々が有する1つ又は複数の出口ポート150が、端壁142内に着座している。圧縮された媒体は、出口ポートを通って除去可能である。
【0123】
図5に示す圧縮機は、1つのみの圧縮チャンバ144を含むという意味で単段圧縮機である。
【0124】
図6に、例示的な第6実施形態を参照符号154で示す。この実施形態でも又、駆動部114が設けられており、この駆動部の能動要素16は圧縮機158のピストン156に連結されている。ピストン156は、(入口ポート及び出口ポートは別として)第1端壁162及び第2端壁164にて閉鎖されているシリンダ160内に配置される。シリンダ160内には、第1圧縮チャンバ166及び第2圧縮チャンバ168が形成されている。この意味で、圧縮機158は単段圧縮機である。第1圧縮チャンバ166と第2圧縮チャンバ168の双方において、媒体を圧縮することができる。これにより、ピストン156の前方運動中及び後方運動中のいずれにおいても、対応する圧縮過程を生成することが可能であることから、二重の効果が得られる。脈動を低減することができる。異なる圧縮媒体を使用して過程全体を最適化することができる。この構造体が占める空間も最小にすることができる。
【0125】
圧縮すべき媒体が進入できるようにし、圧縮した媒体が吐き出されるようにするために、第1圧縮チャンバ166内及び第2圧縮チャンバ168内に、1つ又は複数の入口ポート及び1つ又は複数の出口ポートが設けられる。
【0126】
圧縮機158は、駆動部114と直列に(連続して)接続される。更に、リニアドライブが直列に接続されることができ、このリニアドライブは例えばリニアドライブ130と同様なやり方で構成される。この目的で、このリニアドライブの対応するアクチュエータ116がピストン棒170に連結されており、このピストン棒にはピストン156が着座している。ピストン棒170は、能動要素16に連結されている。
【0127】
幾つかのアプリケーションユニットを平行に作動させることも可能である。等価回路図において、平行に作動するアプリケーションユニットは、駆動部12と直列に接続されて組み合わされたものを形成する。
【0128】
能動要素16は、フリーピストン組立体154の駆動部114により、線形に往復運動する。この運動は、連結器を介してピストン棒170に伝導され、その後アクチュエータ116に伝導される。ピストン棒170により圧縮機158が作動し、アクチュエータ116によりリニアドライブ130内に電流が生成する。
【0129】
図7に、フリーピストン組立体の例示的な第7実施形態を参照符号172で示す。この実施形態では、図3に係る駆動部に対応する駆動部174が設けられている。対応する能動要素82は、リニアドライブ178のアクチュエータ176に連結されている。このアクチュエータ176は例えばカップ状であり、予圧チャンバ90を包囲し、ピストン収容装置70をも一部包囲する。その結果、リニアドライブ178を含むフリーピストン組立体172の長手方向の寸法を小さく保つことができる。(状況によっては、これにより長手方向での直交方向の寸法が増加する。)
【0130】
アクチュエータ176は、例えば磁石装置180を担持する。この磁石装置は、能動要素82により、定置式ステータ182に対して移動される。従って、電流を生成することができる。
【0131】
本発明によれば、駆動部から機械的エネルギーを取り出すことのできるフリーピストン組立体が設けられる。従って、これによりモジュラー構造体が生じ、この駆動部には、例えば1つ又は複数の圧縮機及び1つ又は複数のリニアドライブ等のアプリケーションを連結することができる。
【0132】
更に、互いに直接隣接する膨張空間及び復元空間が実現される。これらの空間は、このピストンの対向する面により、同じピストンにより画される。従って、これにより、長さに関する限りはコンパクトな構造体が生じる。
【0133】
図8に、本発明に係るフリーピストン組立体の例示的な第8実施形態を参照符号184で概略的に示す。この実施形態では、その構造は基本的にフリーピストン組立体10の構造と同じである。対応する要素にはフリーピストン組立体10と同じ参照符号が使用されている。ピストン24は、第1端壁188と対向する第2端壁190とを含むピストン収容装置186内を案内される。復元空間40を画する第2端壁190上には、(少なくとも1つの)制御弁192が配置される。フリーピストン組立体184の場合、復元空間40はガススプリングチャンバである。残りのガスは、制御弁192により復元空間40から放出することができる。
【0134】
ピストン24は、ピストン収容装置186の内面194に沿って案内される。ピストン収容装置186に面するピストンの周縁面により、ピストン24用の案内面196が設けられる。基本的に、案内面196と内面194との間には漏れがあり、流体、特にガスが膨張空間38から復元空間40に入ることができる。このことは、図8に矢印198で示されている。
【0135】
膨張空間38内の圧力が復元空間40内の圧力よりも高い場合、このような漏れを通してガスが膨張空間38から復元空間40へと押しやられる。これはブローバイと呼ばれる。このブローバイは、ガススプリングチャンバの形態である復元空間40内の圧力を維持するために使用することができ、又は、そこでの圧力損失を低減するために使用することができる。残りのガスは、制御弁192により復元空間40から放出することができる。
【0136】
その他の点では、フリーピストン組立体186は、フリーピストン組立体10と同じやり方で機能する。
【0137】
図9に、本発明に係るフリーピストン組立体の例示的な第9実施形態を参照符号202で概略的に示す。この実施形態では、フリーピストン組立体184の駆動部に対応する駆動部204が、予圧チャンバ206に接続される。少なくとも1つの制御弁192は、予圧チャンバ206の予圧空間208に流体接続される。これにより、少なくとも1つの制御弁192は双方向となり、さもなければ、異なる単方向制御弁が設けられ、駆動部204の復元チャンバ40と予圧空間208との間で圧力の双方向交換ができるようになる。
【0138】
予圧チャンバ206は開口210を含み、駆動部204の能動要素16はこの開口を通って突出している。能動部16は開口210内で支持され、特に、褶動するやり方でそこで変位可能なように支持される。この開口は密封されている。予圧空間208内には、磁石装置120に対応する磁石装置が配置される。従って、同じ参照符号が使用される。その場合、能動要素16はアクチュエータ116に取り付けられる。アクチュエータ116は、予圧空間208内で同様に設置される。
【0139】
予圧チャンバ206は磁石装置を収容している。この磁石装置は固定されている。全体として、磁石装置はアプリケーション部212を形成し、駆動部204はこのアプリケーション部に取り付けられている。
【0140】
予圧空間208内を規定された圧力に設定することのできるポンプ214が、予圧空間208に取り付けられる。ポンプ214は、例えば三方弁216を介して接続される。
【0141】
予圧空間208内の圧力は、ポンプ214により設定される。復元チャンバ40内の圧力は、予圧空間208内の圧力により、制御弁192によって設定することができる。
【0142】
磁石装置120により、能動部16の運動から電流を生成することができる。
【0143】
その他の点では、フリーピストン組立体202は、他の例示的な実施形態に関して上述したように機能する。
【0144】
図10に、例示的な第10実施形態を参照符号218で概略的に示す。この実施形態は、第1駆動部220及び第2駆動部222を含む。これらの駆動部220、222は、例えば上述の駆動部114と同じやり方で構成されている。
【0145】
第1駆動部220及び第2駆動部222は、例えば互いに鏡像対象となるように配置される。これらの駆動部には、燃料−酸化剤の混合物用の共通の供給装置224、及び排気ガス用の共通の除去装置226が関連付けられている。従って、二重システムが形成される。
【0146】
第1駆動部220には第1アプリケーション部228が取り付けられ、第2駆動部222には第2アプリケーション部230が取り付けられる。例えば、アプリケーション部228及び230は、上述のリニアドライブ130に対応している。
【0147】
配置は、好ましくは、中央面232に対して対称である。これにより、この二重システムでは、駆動部及びアプリケーション部220−228と222−230とを重複させることができる。
【0148】
駆動部220、222、及び228、230のアプリケーション部は、上述のように機能する。
【符号の説明】
【0149】
10 フリーピストン組立体
12 駆動部
14 アプリケーション部
16 能動要素
18 ピストン収容装置
20 ピストン装置
22 ピストンチャンバ
24 ピストン
26 方向
28 長手方向軸
30 第1ピストン表面
32 第2ピストン表面
34 第1端壁
36 第2端壁
38 膨張空間
40 復元空間
41 ばね要素
42 ピストン棒
44 開口
46 軸受装置
48 連結器
50 入口ポート
51 入口弁
52 弁
53 圧力センサ
54 出口ポート
55 圧力センサ
56 弁
57 点火装置
58 第2実施形態
60 予圧チャンバ
62 予圧空間
64 第2端面
66 弁
67 ポンプ
68 第3実施形態
70 ピストン収容装置
72 第1端面
74 第2端面
76 ピストン装置
78 ピストン装置
80 ピストン棒
82 弁要素
84 連結器
86 膨張空間
88 復元空間
90 予圧チャンバ
92 予圧空間
94 第1端面
96 第2端面
98 開口
100 端壁
102 開口
104 開口
106 チャネル
108 第1開口
110 第2開口
112 第4実施形態
114 駆動部
116 アクチュエータ
118 長手方向軸
120 磁石装置
122 磁石
124 基部
126 ステータ
128 コイル
130 リニアドライブ
132 第5実施形態
134 圧縮機
136 ピストン
138 シリンダ
140 ピストン
142 端壁
144 圧縮チャンバ
146 入口ポート
148 制御弁
150 出口ポート
152 制御弁
154 第6実施形態
156 ピストン
158 圧縮機
160 シリンダ
162 第1端壁
164 第2端壁
166 第1圧縮チャンバ
168 第2圧縮チャンバ
170 ピストン棒
172 第7実施形態
174 駆動部
176 アクチュエータ
178 リニアドライブ
180 磁石装置
182 ステータ
184 第8実施形態
186 ピストン収容装置
188 第1端壁
190 第2端壁
192 制御弁
194 内面
196 案内面
198 矢印
202 第9実施形態
204 駆動部
206 予圧チャンバ
208 予圧空間
210 開口
212 アプリケーション部
214 ポンプ
216 三方弁
218 第10実施形態
220 第1駆動部
222 第2駆動部
224 供給装置
226 除去装置
228 第1アプリケーション部
230 第2アプリケーション部
232 中央面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのピストン収容装置(18;70)と、対応するピストン収容装置(18;70)内で線形となるように運動可能な、第1ピストン表面(30)及び前記第1ピストン表面(30)から離れる方を向いた第2ピストン表面(32)を有する少なくとも1つのピストン装置(20;76)と、前記ピストン収容装置(18;70)内に配置され、且つ、前記第1ピストン表面(30)により画された膨張空間(38;86)とを含むフリーピストン組立体であって、
前記ピストン装置(20;76)が、前記膨張空間(38;86)内で膨張する媒体の作用により駆動されるように配置されたフリーピストン組立体において、
前記少なくとも1つのピストン収容装置(18;70)内に配置された復元空間(40;88)が前記第2ピストン表面(32)により画されること、及び、
前記復元空間(88)が、少なくとも1つの予圧チャンバ(90)に流体接続されること
を特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項2】
請求項1に記載のフリーピストン組立体であって、前記膨張空間(38;86)及び前記復元空間(40;88)が、前後に線形に配置されることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフリーピストン組立体であって、前記膨張空間(38;86)及び前記復元空間(40;88)が、前記第1ピストン表面(30)及び前記第2ピストン表面(32)を含む、前記ピストン装置(20;76)のピストン(24;78)により分離されることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項4】
先行する請求項のいずれか1項に記載のフリーピストン組立体であって、前記ピストン収容装置(18;70)の内部長さが、前記膨張空間(38;86)の長さ、前記第1ピストン表面(30)と前記第2ピストン表面(32)との間隔、及び前記復元空間(40;88)の長さから成ることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項5】
請求項4に記載のフリーピストン組立体であって、前記第1ピストン表面(30)と前記第2ピストン表面(32)との間隔が、前記ピストン収容装置(18;70)の内部長さ全体の最大で30%であることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項6】
先行する請求項のいずれか1項に記載のフリーピストン組立体であって、前記少なくとも1つのピストン収容装置(18;70)が、前記ピストン装置(20;76)に接続された少なくとも1つの線形運動可能な能動要素(16;82)が外方へ案内される側面(64)を含むことを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項7】
請求項6に記載のフリーピストン組立体であって、前記少なくとも1つの能動要素(16;82)がピストン棒(42;80)であることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のフリーピストン組立体であって、前記側面が、前記ピストン装置(20;76)の動作方向(26)に対して直交する方向に向けられた端面(64)であることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項に記載のフリーピストン組立体であって、前記第2ピストン表面(32)に面する壁(36;100)が前記側面(64)に配置されることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項10】
請求項9に記載のフリーピストン組立体であって、前記壁(36;100)が前記復元空間(40;88)を画することを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のフリーピストン組立体であって、前記壁(36;100)が、前記少なくとも1つの能動要素(16;82)が通過する開口(44;102)を有することを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のフリーピストン組立体であって、前記少なくとも1つの能動要素(16;82)のための軸受が前記壁(36;100)に配置されることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項13】
請求項6〜12のいずれか1項に記載のフリーピストン組立体であって、前記少なくとも1つの能動要素(16;82)が前記復元空間(40;88)を通って部分的に案内されていることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項14】
請求項6〜13のいずれか1項に記載のフリーピストン組立体であって、前記少なくとも1つの能動要素(16;82)が、アプリケーションに連結するための連結器(48;84)を含むことを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項15】
先行する請求項のいずれか1項に記載のフリーピストン組立体であって、前記膨張空間(38;86)が、該膨張空間と関連付けられた少なくとも1つの入口ポート(50)を有することを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項16】
請求項15に記載のフリーピストン組立体であって、前記少なくとも1つの入口ポートに弁(52)が配置されることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項17】
先行する請求項のいずれか1項に記載のフリーピストン組立体であって、前記膨張空間(38;86)が、該膨張空間と関連付けられた少なくとも1つの出口ポート(54)を有することを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項18】
請求項17に記載のフリーピストン組立体であって、前記出口ポート(54)に弁(56)が配置されることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項19】
先行する請求項のいずれか1項に記載のフリーピストン組立体であって、前記復元空間(40;88)が、圧縮性媒体が収容されるガススプリング空間であることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項20】
先行する請求項のいずれか1項に記載のフリーピストン組立体であって、前記接続を制御するための制御ユニットが設けられることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項21】
先行する請求項のいずれか1項に記載のフリーピストン組立体であって、前記少なくとも1つの予圧チャンバ(90)が、前記ピストン収容装置(70)の端面(74)により、前記復元空間(88)に接続されることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項22】
先行する請求項のいずれか1項に記載のフリーピストン組立体であって、前記少なくとも1つの予圧チャンバ(60)が、能動要素(16)から離間するように配置されることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項23】
先行する請求項のいずれか1項に記載のフリーピストン組立体であって、前記少なくとも1つの能動要素(82)が、前記少なくとも1つの予圧チャンバ(90)を通って案内されることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項24】
請求項23に記載のフリーピストン組立体であって、
第1開口(108)及び第2開口(110)を有する少なくとも1つのチャネル(106)が前記少なくとも1つの能動要素(82)に配置されるフリーピストン組立体において、
前記復元空間(88)内及び/又は前記予圧チャンバ(90)の予圧空間(92)内での前記第1開口(108)及び/又は前記第2開口(110)の位置が、前記少なくとも1つの能動要素(82)の位置に依存することを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項25】
請求項24に記載のフリーピストン組立体であって、前記予圧空間(92)及び前記復元空間(88)が共に、前記ピストン装置(76)の1つ又は複数の位置において、前記チャネル(106)を介して流体接続されることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項26】
請求項25に記載のフリーピストン組立体であって、前記1つ又は複数の位置が、前記ピストン装置(76)の反転点又は反転点付近の点であることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項27】
請求項21〜26のいずれか1項に記載のフリーピストン組立体であって、前記能動要素(16)に連結されるアプリケーションが前記予圧チャンバ(206)内に配置されることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項28】
先行する請求項のいずれか1項に記載のフリーピストン組立体であって、少なくとも1つのリニアドライブ(130;178)が、前記ピストン装置(20;76)に接続可能である又は接続されることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項29】
請求項28に記載のフリーピストン組立体であって、前記少なくとも1つのリニアドライブ(130;178)が、前記ピストン装置(20;76)の少なくとも1つの能動要素(16;82)に接続されるステータ(126;182)及びアクチュエータ(116;176)を含むことを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項30】
請求項28又は29に記載のフリーピストン組立体であって、前記少なくとも1つのリニアドライブ(130;178)が、前記ピストン装置(20;76)の動作方向(26)と平行な方向において、前記ピストン収容装置(18;70)に続くことを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項31】
請求項28又は29に記載のフリーピストン組立体であって、前記少なくとも1つのリニアドライブ(178)が、前記少なくとも1つのピストン収容装置(18;70)及び/又は予圧チャンバ(60;90)を少なくとも一部包囲することを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項32】
先行する請求項のいずれか1項に記載のフリーピストン組立体であって、少なくとも1つの圧縮機(134;158)が、前記ピストン装置(20;76)に接続可能である又は接続されることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項33】
請求項32に記載のフリーピストン組立体であって、前記少なくとも1つの圧縮機(134;158)のピストン棒が、前記ピストン装置(20;76)の能動要素(16;82)に接続されることを特徴とするフリーピストン組立体。
【請求項34】
ピストン収容装置と、前記ピストン収容装置内で線形となるように運動可能なピストン装置と、復元空間とを含むフリーピストン組立体を制御するための方法であって、
前記復元空間と予圧空間との流体接続が前記ピストン装置の位置に依存して開閉され、且つ、
前記ピストン装置の1つ又は複数のピストン棒が前記復元空間内及び前記予圧空間内を案内されると共に、前記少なくとも1つのピストン棒が、第1開口及び第2開口を有する少なくとも1つのチャネルを含む
ような方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、前記第1開口及び前記第2開口が流体接続されることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項34又は35に記載の方法であって、前記ピストン装置の1つ又は複数の位置において、前記第1開口が前記復元空間内にあり、且つ、前記第2開口が前記予圧空間内にあることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項34〜36のいずれか1項に記載の方法であって、前記ピストン装置の1つ又は複数の位置において、前記第1開口と前記第2開口の双方が、前記予圧空間内又は前記復元空間内に設置されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−534293(P2010−534293A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517384(P2010−517384)
【出願日】平成20年7月21日(2008.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059531
【国際公開番号】WO2009/013270
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(508372490)ユーエムシー ユニバーサル モーター コーポレーション ゲーエムベーハー (2)
【氏名又は名称原語表記】UMC Universal Motor Corporation GmbH
【住所又は居所原語表記】Schulze−Delitzsch−Strasse 15, 70565 Stuttgart (DE)