説明

フルカラー湿式画像形成方法

【課題】レッド領域の色再現性を改善するフルカラー湿式画像形成方法を提供する。
【解決手段】イエロートナーは結着樹脂100質量部に対し着色剤として少なくともC.I.ピグメントイエロー74を10から40質量部含有し、マゼンタトナーは結着樹脂100質量部に対し少なくとも下記一般式(1)と(2)で表される着色剤を合計で10から40質量部含有し、各色着色剤の含有量比Wy/Wmを0.3以上2.5以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルカラー湿式画像形成方法に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル印刷の普及に伴い、ディスプレイを見ながら作成された画像データを出力するケースが増えてきている。ディスプレイの画像は加法混色という原理を用いているため、明るく鮮やかな色再現範囲を持っている。この範囲は、一般的な印刷よりも広いため、ディスプレイ画像から印刷画像へ変換する際に、色再現範囲を圧縮せざるを得ないという問題があった。これに対して、近年、従来よりも高明度高彩度の色再現性を実現できるトナーの開発が行われてきている。
【0003】
一般にトナーの現像方式は、乾式現像法と液体現像法に分けることができる。乾式現像法は、現像剤としてトナー又はトナーに磁性等を有するキャリアを加えたものを用いる。乾式現像剤用トナーには、通常、顔料と結着樹脂を主要成分とし、必要に応じて荷電制御剤、離型剤等が内添又は外添されたものが用いられている。一方、液体現像剤用トナーでは、電気絶縁性の分散媒(キャリア液)中に、顔料と結着樹脂を主要成分とするトナー粒子及び荷電制御剤、分散安定剤等を分散させている(例えば、特許文献1、2参照)。
ここで、液体現像剤用トナーは乾式現像材用トナーに比べて、トナー粒径を小さくできるため、液体現像剤用トナーを用いた液体現像法によれば、画像のドット再現性が高く粒状性・階調性に優れた画像を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−72574号公報
【特許文献2】特開2009−175670号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような液体現像剤用トナーにおいて、一般的にキャリア液中における帯電性は現像性に寄与するため非常に重要である。顔料の種類やトナー樹脂中での顔料分散状態は、この帯電性に非常に大きな影響を与える。
しかしながら、一般的な液体現像剤用トナーは樹脂に対する顔料濃度が10〜40%と乾式現像剤用トナーに比べて高濃度であり、顔料の分散状態を良好に製造することが難しい。そのため、色再現性の低下や帯電不良の発生を招くという問題があった。
【0006】
また、特に2種類のトナーを重ねて作る二次色の高明度領域の色再現性に乏しいという問題がある。具体的には、例えばレッド色を再現する場合においては、イエロートナーによるトナー像とマゼンタトナーによるトナー像とを重ね合わせるため、彩度及び明度が低下し、色再現領域が狭いものとなってしまう。
つまり、イエロートナーとマゼンタトナーの単色彩度を向上するためには、吸収スペクトルの吸光度が高くてスペクトル形状がシャープな着色剤を選択することが好ましい。その一方で、2次色のレッドはイエロートナーとマゼンタトナーの吸収スペクトルの合計で表現している。そのため、イエロートナーとマゼンタトナーの吸収スペクトルがシャープになりすぎると吸収スペクトルの合計面積が減少するため、この重なり部分で再現するレッドの彩度が低下してしまい、従来再現出来ていた低明度領域のレッドの彩度を十分再現することが困難となってしまう。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、着色剤の樹脂に対する分散性が高く、広い色再現範囲を持ちつつ、耐刷時の帯電変動が抑制でき、画像安定性を向上させることができるフルカラー湿式画像形成方法を提供することを目的としている。また、フルカラー画像において、低明度領域のレッド画像の彩度を向上し、レッド領域の色再現性を改善するフルカラー湿式画像形成方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、少なくともイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーによりフルカラー画像を得るフルカラー湿式画像形成方法において、
該イエロートナーは結着樹脂と着色剤を含有し、結着樹脂を100質量部と換算したときに該イエロー着色剤として少なくともC.I.ピグメントイエロー74を10質量部以上40質量部以下含有し、
該マゼンタトナーは結着樹脂と着色剤を含有し、結着樹脂を100質量部と換算したときに該マゼンタ着色剤として少なくとも下記一般式(1)で表される着色剤と下記一般式(2)で表される着色剤とを合計で10質量部以上40質量部以下含有し、
該イエロートナー中の該イエロー着色剤の含有量Wyと該マゼンタトナー中の該マゼンタ着色剤の含有量Wmの比、Wy/Wmが0.3以上2.5以下であることを特徴とする。
【化1】

(一般式(1)中、Rは各々独立して置換基を表し、nは1から5の整数を表し、(R)
nの炭素原子数の合計は14以上を表し、Xは各々独立して水素原子またはフッ素原子を表す。一般式(2)中、Rx、Rxは炭素原子数1個から3個のアルキル基を表す。

【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のフルカラー湿式画像形成方法において、
前記マゼンタ着色剤として、さらにC.I.ピグメントレッド122を含有するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、着色剤の樹脂に対する分散性が高く、広い色再現範囲を持ちつつ、耐刷時の帯電変動が抑制でき、画像安定性を向上させることができる。また、フルカラー画像において、低明度領域のレッド画像の彩度を向上し、レッド領域の色再現性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のイエロートナーの吸収スペクトルとマゼンタトナーの吸収スペクトルの重なりの大きさを説明する概念図である。
【図2】本発明のレッド画像の低明度領域の彩度向上を説明する概念図である。
【図3】本実施の形態に係るフルカラー画像形成装置の全体構成例である。
【図4】図3の一部詳細を示したフルカラー画像形成装置の全体構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[フルカラー湿式画像形成方法]
本発明のフルカラー湿式画像形成方法は、フルカラー湿式画像形成に用いる液体現像剤用イエロートナー(以下、単にイエロートナーとも言う)は、結着樹脂と着色剤を含有し、結着樹脂を100質量部と換算したときに該イエロー着色剤として少なくともC.I.ピグメントイエロー74を10質量部以上40質量部以下含有し、液体現像剤用マゼンタトナー(以下、単にマゼンタトナーとも言う)は、結着樹脂と着色剤を含有し、結着樹脂を100質量部と換算したときに該マゼンタ着色剤として少なくとも下記一般式(1)で表される着色剤と下記一般式(2)で表される着色剤とを合計で10質量部以上40質量部以下含有するものであって、該イエロートナー中の該イエロー着色剤の含有量Wyと該マゼンタトナー中の該マゼンタ着色剤の含有量Wmの比Wy/Wmが0.3以上2.5以下であることを特徴とするフルカラー湿式画像形成方法である。
【化2】

(一般式(1)中、Rは各々独立して置換基を表し、nは1から5の整数を表し、(R)
nの炭素原子数の合計は14以上を表し、Xは各々独立して水素原子またはフッ素原子を表す。一般式(2)中、Rx、Rxは炭素原子数1個から3個のアルキル基を表す。

本発明のフルカラー湿式画像形成方法によれば、上記一般式(1)と一般式(2)はキレート化して良好な発色性を示すとともに、樹脂への相溶性が比較的高い性質を持っている。これにより、良好な分散状態を維持できる均一分散することで、トナー表面への顔料露出が減少し、帯電に寄与するトナー表面の均質性が増すことで、帯電量分布がシャープとなり、その結果、耐刷時の帯電性が安定すると推定できる。
【0013】
また、本発明のフルカラー湿式画像形成方法には、少なくともイエロートナー(Y)、マゼンタトナー(M)、シアントナー(C)、ブラックトナー(K)4色のトナーを用いるが、さらにグレーやグリーンやブルーといった4色以外のトナーを用いても構わない。また、トナーの現像の順序としては、上層トナーが下層トナーを隠蔽することを考慮して、得られる画像の上層から順に光透過率の高いY→M→C→Kとなるような現像の順に行われることがより好ましい。
【0014】
図1は、本発明のイエロートナーとマゼンタトナーの吸収スペクトルの重なりを説明する概念図である。
【0015】
イエロートナーとマゼンタトナーの吸収スペクトルの重なり部分が、二次色のレッド再現領域となり、その面積が大きくなるほどレッドの色再現性が向上する。
【0016】
まず、イエロートナーだが、従来のイエロートナーの吸収スペクトルを実線(a)とすると、本発明のイエロートナーは、着色剤を増量していくことにより破線(b)で示したスペクトルとなり、二次色のレッド領域の面積が広げることができる。一方、マゼンタトナーは、実線(c)で示した実線の吸収スペクトル(例えばC.I.ピグメントレッド122など)から、破線(d)で示した本発明のスペクトルとすることにより、吸収スペクトルをより短波側へシフトさせて、二次色のレッド領域の面積をさらに増大させているのである。
【0017】
吸収スペクトルのレッド領域面積増大による色再現領域拡大について、図2でL表色系を用いて説明する。図2は、L表色系の色相角Hが0〜60°のレッド領域において、Lを縦軸とした時の明度(L)と彩度(C)の関係を示している。実線が従来のイエロートナーとマゼンタトナーを用いた場合のレッド色再現領域である。これに対して、本発明のイエロートナーとマゼンタトナーを用いた場合のレッド色再現領域を破線で示した。このように、吸収スペクトルのレッド領域面積増大によりレッドの彩度が向上すると、色再現領域の拡大を図ることができる。
【0018】
(L表色系)
次に本発明で用いている「L表色系」について説明する。
【0019】
「L表色系」とは、CIE(国際照明委員会)が定めた均等色空間で、色を数値化して表すのに有用な手段であり、L表色系による色空間を示すL座標図においては、L軸方向が明度を表し、a軸方向が赤−緑方向の色相を表し、b軸方向が黄−青方向の色相を表している。なお、明度とは色の相対的な明るさをいい、色相とは赤、黄、緑、青、紫などの色合いをいい、彩度とは色の鮮やかさの度合いをいう。
【0020】
が大きくなるほど色が明るく、小さくなるほど暗くなることを示している。a
とも絶対値が大きくなるに従って色が鮮やかになり、0に近づくに従ってくすんだ色になることを示している。これによって、一つの色をL、a、bを用いて数値化することが可能となる。
【0021】
また、「明度」、「色相」とは別に鮮やかさの度合いを数値化する方法として「彩度(C)」があり、計算式(1)にて求めることができる。
【0022】
式(1):彩度C=〔(a+(b1/2
彩度Cの値が大きいほど鮮やかな色といえる。
【0023】
、a、bは、具体的には、分光光度計「Gretag Macbeth Spectrolino」(Gretag Macbeth社製)を用い、光源としてD65光源、反射測定アパチャーとしてφ4mmのものを用い、測定波長域380〜730nmを10nm間隔で、視野角を2°とし、基準合わせには専用白タイルを用いた条件において測定されるものである。
【0024】
また、L、a、bおよびそこから算出される彩度Cはトナー付着量によっても変化するため、評価する場合はトナー付着量を一定にして測定する必要がある。
【0025】
本発明においては、イエロートナーに含有される着色剤の含有量をWy、マゼンタトナーに含有される着色剤の総量をWmとした時に、Wy/Wm=0.3〜2.5の範囲であり、この範囲であれば、二次色であるレッドの色再現領域を広くすることが出来る。0.
3より小さいと、イエロートナーの濃度がマゼンタトナーの濃度に対して低くなりすぎて、2次色を作像する際にイエロートナーを多く乗せる必要がでてきて、転写・定着工程への悪影響が生じる。2.5より大きくなると、逆にマゼンタトナーの濃度がイエロートナーの濃度に対して低くなりすぎて、マゼンタトナーを多く乗せる必要がでてきて、転写・定着工程への悪影響が発生する。さらに、イエロートナーとマゼンタトナーの付着量バランスを考慮すると、Wy/Wm=0.5〜1.5が好ましい。
【0026】
次に本発明のフルカラー湿式画像形成方法に用いられる液体現像剤用イエロートナー、液体現像剤用マゼンタトナーの構成について具体的に説明する。
【0027】
[液体現像剤用トナー]
(イエロー着色剤)
イエロートナーで使用されるイエロー着色剤としては、C.I.ピグメントイエロー74が用いられる。本発明では、イエロートナーが結着樹脂と着色剤を含有し、結着樹脂を100質量部と換算したときに、イエロー着色剤であるC.I.ピグメントイエロー74を、10質量部以上40質量部以下含有させることによって、イエロートナーの吸光度を高く設定し、マゼンタトナーの吸収との重なり、即ちレッドの再現領域を拡大することができる。即ち、10質量部未満ではイエロートナーの吸収が低くて、トナー画像とした時に十分な画像濃度を得ることが出来ない。また40質量部を越えるとトナーとしたときに帯電不良を起こす可能性がある。
【0028】
一般に着色剤の含有量を増量すると帯電性能に影響を与えることがある。特にC.I.
ピグメントイエロー74では帯電の立ち上がりが遅くなり、現像器内で新しいトナーが補給された時に帯電量の低いトナーが生じてしまう。この低帯電量のトナーは、現像器内で撹拌される時に飛散して機内を汚し、あるいは画像にカブリを生じさせるなどの問題を生じることがあるが、本発明においては上記範囲内の含有量であれば、問題は生じない。
【0029】
(マゼンタ着色剤)
マゼンタトナーで使用されるマゼンタ着色剤は、下記一般式(1)と下記一般式(2)で表されるものである。
【0030】
【化3】

【0031】
ここで、一般式(1)中、Rは各々独立して置換基を表し、nは1から5の整数を表し、(R)nの炭素原子数の合計は14以上を表す。また、Xは各々独立して水素原子またはフッ素原子を表す。一般式(2)中、Rx、Rxは炭素原子数1個から3個のアルキル基を表す。
【0032】
Rx、Rxのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基を表す。
【0033】
Rx、Rxを上記とすることにより、マゼンタの吸収スペクトルをより短波側へシフトすることが可能となる。
【0034】
本発明においては、マゼンタトナーが結着樹脂と着色剤を含有し、結着樹脂を100質量部と換算したときに、上記一般式(1)で表される着色剤と一般式(2)で表される着色剤を合計で10質量部以上40質量部以下含有することを特徴としている。一般式(1)と一般式(2)の添加比率は、50:50〜99:1が好ましい。
【0035】
本発明の一般式(1)において、Rで表される置換基としては、置換可能なものであれば特に限定はないが、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、トリフルオロメチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、ヘテロアリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、ヘテロ環基(複素環基とも呼び、例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、
シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基
(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、
ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基
(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、
アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)などが挙げられる。またこれらは更に同様の置換基によって置換されても良い。
【0036】
これらの中で好ましくはアルキル基、アリール基、複素環基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、スルファモイル基、ウレイド基、アミノ基、アミド基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられるが、更に好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アミド基、ハロゲン原子であり、最も好ましくはアルコキシ基である。
【0037】
一般式(1)において、nは1〜5の整数を表すが、合成上の容易性から1であることが好ましい。一般式(1)において(R)nの炭素数の合計は14以上であるが、好ましくは16以上、更に好ましくは18以上である。
【0038】
本発明に用いられる一般式(1)で表される着色剤には、例えば以下のものが挙げられるが、本発明に用いられる着色剤はこれらに限定されるものではない。
【0039】
下記例示化合物の中で、Arは以下に示す(1)−1〜(1)−40の構造単位を表す。
【0040】
【化4】

【0041】
【化5】

【0042】
【化6】

【0043】
本発明に係る着色剤である前記一般式(1)で表される銅錯体化合物及び配位子は特開2002−332259号、同2003−237246号、同2007−31425号、
同2009−222847号公報等を参考にして合成する事ができる。
【0044】
本発明に用いられる一般式(2)で表される着色剤には、例えば以下の例示化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
【化7】

【0046】
本発明に係る前記一般式(2)で表される化合物は、例えば、特開昭63−226653号、特開平10−193807号、同11−78258号、同6−250357号、同2−155693号、同1−110565号、同2−668号、同2−28264号、同2−53865号、同2−53866号の各公報、英国特許1,252,418号明細書、特開昭64−63194号、特開平2−208094号、同3−205189号、同2−265791号、同2−310087号、同2−53866号の各公報、特開平4−91987号、特開昭63−205288号、特開平3−226750号の各公報、英国特許1,183,515号明細書、特開平4−190348号、特開昭63−113077号、特開平3−275767号、同4−13774号、同4−89287号、特開平7−175187号、同10−60296号、同11−78258号、特開2004−138834号、特開2006−350300号等の各公報に記載された従来公知の方法を参考にして合成することができる。
【0047】
本発明のマゼンタトナーにはマゼンタ着色剤として、前述の一般式(1)、一般式(2)で表される着色剤に加えて、C.I.ピグメントレッド122を含有することが好ましい。C.I.ピグメントレッド122はマゼンタトナーの着色剤とした時に好ましい色相を与え、上述の一般式(1)、一般式(2)で表される着色剤の色相角の僅かなずれを補う効果がある。
【0048】
C.I.ピグメントレッド122の好ましい含有量は、1質量部から15質量部であり、一般式(1)と一般式(2)で表される着色剤とC.I.ピグメントレッド122の総量に対して、10質量%〜40質量%が好ましい。10質量%〜40質量%においては、吸収スペクトルが適度に幅をもつため、イエロー着色剤との吸収スペクトルの重なりが適切となり、レッドの低明度領域の彩度向上が図れる。さらに、この添加量範囲であれば、吸収スペクトルがブロードになりすぎることもなくマゼンタトナーの彩度も維持できる。
【0049】
(結着樹脂(バインダー樹脂))
結着樹脂は、熱可塑性樹脂であり、実質的にキャリア液に溶解しないものであれば特に限定されない。ポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂を用いることができる。
【0050】
具体的に、ポリエステル樹脂とは多塩基酸と多価アルコールの重縮合によって得られるものをいう。多塩基酸として、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、及びその酸無水物、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等を挙げることができる。好ましくは、イソフタル酸、テレフタル酸、そしてトリメリット酸である。
【0051】
多価アルコールとしては、多価アルコールとしては、これらに限定されるものではないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1、2−プロピレングリコール等のプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、4−ブタンジオール等のブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1、6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコール(脂肪族グリコール)及びこれらのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール等のビスフェノール類及びこれらのアルキレンオキサイド付加物のフェノール系グリコール類、単環或いは多環ジオール等の脂環式及び芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール等を挙げることができる。これらを単独で又は2種以上混合して用いることができる。
スチレンアクリル樹脂を得るための重合性単量体として、具体的には例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどのスチレンあるいはスチレン誘導体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル誘導体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類;ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸、またはメタクリル酸誘導体などのビニル系単量体を挙げることができる。これらのビニル系単量体は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0052】
トナー粒子のガラス転移点(以下、Tgという。)は30〜85℃が望ましい。ここで言う「トナー粒子のTg」とは、液体現像剤にする前の乾式トナーの状態でのTgのことである。Tgが30℃よりも低いトナーを用いると定着時のオフセットが起こりやすく、Tgが85℃以上のトナーを用いると定着に必要な熱量が著しく増加すると共に光沢度が低下し好ましくない。
【0053】
[液体現像剤]
上記イエロートナーを含むイエロー液体現像剤や、上記マゼンタトナーを含むマゼンタ液体現像剤は、それぞれ少なくともキャリア液及び分散剤を含む。
(キャリア液:絶縁性液体)
キャリア液には、不揮発性で、誘電率が3以下の電気的絶縁性が高い溶媒を用いることができる。さらに、臭気、毒性が無い溶媒が好ましい。
一般的に、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン等が挙げられる。特に、臭気、無害性、コストの点から、ノルマルパラフィン系溶媒、イソパラフィン系溶媒が好ましい。
具体的には、モレスコホワイト(松村石油研究所社製)、アイソパー(エクソン化学社製)、シェルゾール71(シェル石油化学社製)、IPソルベント1620、IPソルベント2028(いずれも、出光石油化学社製)等が挙げられる。なお、本発明において不揮発性の溶媒とは、特に断らない限り、引火点70℃以上の溶媒である。
【0054】
(分散剤)
トナー粒子を絶縁性液体中に安定に分散させるため、絶縁性液体中に可溶な分散剤を用いると良い。分散剤はトナー粒子を安定に分散させるものであれば種類は限定しないが、トナー粒子を安定に分散させるものとして塩基性基を有する高分子分散剤が好ましい。塩基性基としては、芳香族アミノ基、脂肪族アミノ基、ヘテロ環窒素含有基、ヘテロ環酸素含有基、そしてヘテロ環硫黄含有基が含まれる。具体的には、アミノ基、イミノ基、アミド基及びピロリドン基からなる群から選択された少なくとも1種の塩基性基を有する高分子分散剤を用いることができる。
例えば、ポリアルキレンポリアミン、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、変性ポリウレタン、ポリエステルポリアミン、ポリエステルポリイミン、ポリビニルピロリドン等を用いることができる。好ましくは、ポリエステルポリアミン、ポリエステルポリイミン、そしてポリビニルピロリドンである。
【0055】
[液体現像剤用トナーの製造方法]
以下、液体現像剤用トナーの製造方法について、具体例を挙げる。
液体現像剤用トナーを製造する方法としては、着色剤担持樹脂粒子および結着樹脂などの構成成分を加熱溶融させ混練、冷却、粉砕、分級して製造する粉砕法、結着樹脂を得るための重合性単量体、油溶性重合開始剤、および着色剤担持樹脂粒子などを水系媒体中で乳化分散後、加熱して重合させる懸濁重合法、結着樹脂微粒子、および着色剤粒子などを水系媒体中で分散後、凝集剤を添加し加熱して微粒子を凝集させる乳化凝集法などを挙げることができる。
結着樹脂微粒子は、トナーの技術分野において公知の製造方法、例えば、乳化重合法、転相乳化法、懸濁重合法、溶解懸濁法などにより製造することができる。中でも、乳化重合法による製造が好ましい。乳化重合法においては、結着樹脂を形成するべき重合性単量体を水系媒体中に分散させて乳化粒子を形成した後、重合開始剤を投入して重合性単量体を重合させることにより、結着樹脂微粒子が形成される。
また、トナー粒子の小粒径化の容易性の観点から、乳化凝集法を用いることが好ましい。
液体現像剤用トナーの製造方法としては、乳化凝集法によるスチレン-ブチルアクリレート共重合体の場合、ミニエマルジョン重合粒子を乳化重合によって多段重合構成とした樹脂粒子を、凝集したトナー製法が好ましく、また、ポリエステル樹脂の場合にも、乳化分散した樹脂粒子を凝集したトナー製法がよく用いられる。
【0056】
スチレン-ブチルアクリレート系を代表例として、乳化重合凝集法による液体現像剤用トナーの製造方法の一例について詳細に説明する。この液体現像剤用トナーの製造方法では、以下の工程を経て製造される。
(1)着色剤を含有した着色剤微粒子が水系媒体中に分散されてなる着色剤微粒子の分散液を得る着色剤微粒子分散液調製工程
着色剤としては、イエロー着色剤の場合には上述したC.I.ピグメントイエロー74、マゼンタ着色剤の場合には少なくとも上述した一般式(1)で表される着色剤及び一般式(2)で表される着色剤を使用する。マゼンタ着色剤には、さらにC.I.ピグメントレッド122を併用しても良い。
このような着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
なお、着色剤微粒子は表面改質されていてもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散させ、その分子量液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応終了後、着色剤を濾別し、同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤(顔料)が得られる。着色剤微粒子は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができ、界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。
また、この工程において調整される分散液中の着色剤微粒子は、その体積基準のメディアン径が10〜300nmであることが好ましく、より好ましくは100〜200nm、さらに好ましくは100〜150nmである。例えば、上述の分散機を調整することにより、体積基準のメディアン径を上記範囲内に制御することができる。
【0057】
(2)結着樹脂を形成すべき重合性単量体に、必要に応じて離型剤などのトナー粒子構成材料を溶解あるいは分散させて重合性単量体溶液を調製し、これを水系媒体中に添加し、重合反応を行うことにより、結着樹脂微粒子を得る結着樹脂微粒子重合工程
尚、前記水系媒体中に、核粒子として樹脂粒子を添加しておいても良い。この重合工程により、離型剤と結着樹脂とを含有する樹脂粒子が得られる。かかる樹脂粒子は、着色された粒子であってもよく、着色されていない粒子であってもよい。着色された樹脂粒子は、着色剤を含有する単量体組成物を重合処理することにより得られる。また、着色されていない樹脂粒子を使用する場合には、後述する凝集工程において、樹脂粒子の分散液に、着色剤微粒子の分散液を添加し、樹脂粒子と着色剤微粒子とを凝集させることで着色粒子とすることができる。
【0058】
(3)結着樹脂微粒子および着色剤微粒子が存在している水系媒体中に、凝集剤を添加し、温度調節することにより、塩析を進行させると同時に凝集・融着を行い、トナー粒子を形成する塩析、凝集、融着工程、シェル化工程、さらに会合粒子を熱エネルギーにより熟成して形状を調整しトナー母体粒子とする熟成工程
トナーコア粒子を合成する凝集工程は、重合工程により得られた樹脂粒子(着色または非着色の樹脂粒子)と着色剤微粒子を用いてトナーコア粒子を形成する工程である。また、当該凝集工程においては、樹脂粒子や着色剤微粒子とともに、離型剤粒子や荷電制御剤などの内添剤粒子なども凝集させることができる。
シェル化工程は、凝集工程にて作成されたトナーコア粒子に対し、コアシェル構造をとる様に、その外周面に被覆するシェル樹脂を添加して、シェル樹脂層を形成させる被覆工程である。
熟成工程は、熱エネルギー(加熱)により行う方法が好ましい。具体的には、会合粒子を含む液を、加熱撹拌することにより、会合粒子の形状を所望の円形度になるまで、加熱温度、攪拌速度、加熱時間により調整し、トナー母体粒子とするものである。
【0059】
(4)水系媒体からトナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過、洗浄工程
この固液分離・洗浄工程では、上記の工程で所定温度まで冷却されたトナー母体の分散液から当該トナー母体を固液分離する固液分離処理と、固液分離されたトナーケーキ(ウエット状態にあるトナー母体をケーキ状に凝集させた集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。
洗浄処理は、濾液の電気伝導度が10μS/cmになるまで水洗浄する。濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法などがあり、特に限定されるものではない。
【0060】
(5)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程
この工程は、洗浄処理されたトナーケーキを乾燥処理し、乾燥されたトナー母体を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥された着色粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理された着色粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。この工程の後に外添剤を添加する工程を必要に応じて有しても良い。
【0061】
なお、上記液体現像剤用トナーの製造方法は、スチレン−アクリル系を例にしたが、ポリエステル系の場合には、(2)の工程において、多価アルコール及び多価カルボン酸が縮合してなるポリエステル樹脂を分散し、ポリエステル樹脂粒子分散液を調整する。具体的には、ポリエステル樹脂を酢酸エチル等の溶剤に溶解し、水系媒体中に分散機を用いて乳化分散させた後、脱溶剤処理をしても良い。若しくは、溶剤を用いずに120℃以上の温度下で分散させても良い。ドデシルベンゼンスルフォン酸などの強酸とともに水系媒体中で多価アルコール及び多価カルボン酸の液滴を形成した後、縮合させてなるポリエステル樹脂分散液を形成しても良い。炭素数5〜20のアルキル基、アルキレン基、又はアルケニル基を有するモノマーが、縮合したポリエステル樹脂に対し、5〜20%となるよう、多価アルコール又は多価カルボン酸のモノマーに配合させる。
また、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂を混合して用いる場合は、ビニル重合性単量体にポリエステル樹脂を溶解した後、及びラジカル重合開始剤を添加し、ポリエステル樹脂とビニル樹脂からなる樹脂粒子の分散液を調整する工程を行うことが好ましい。他には、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂、必要に応じて、本発明における着色剤や離型剤を混練した後、酢酸エチル等の溶剤に溶解し、水系媒体中に分散機を用いて乳化分散させた後、脱溶剤処理をして、樹脂粒子をえても良い。若しくは、ポリエステル樹脂粒子とスチレンアクリル樹脂粒子を着色剤微粒子とともに、上記(3)工程で凝集、融着させても良い。
スチレンアクリル重合性モノマーに対し、ポリエステル樹脂は、質量比で3〜20%とすることが定着性を良好にする観点から好ましい。また、この工程において、調整される分散液中の樹脂粒子は、その体積基準メディアン径が50〜300nmであることが好ましい。
【0062】
(界面活性剤)
上述の(1)着色剤微粒子分散液調製工程および/または(2)結着樹脂微粒子重合工程においては、水系媒体中に微粒子を安定に分散させるために、当該水系媒体中に界面活性剤を添加してもよく、このような界面活性剤としては、従来公知の種々のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などを用いることができる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類;ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類;ポリエトキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸エステル塩、およびその誘導体類などを挙げることができる。
また、カチオン系界面活性剤としては、例えば脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などを挙げることができる。
さらに、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックコポリマーなどを挙げることができる。
【0063】
(離型剤)
離型剤としては、具体的には、例えば、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、サゾールワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油ワックス、蜜蝋ワックスなどを挙げることができる。
トナー粒子中に離型剤を含有させる方法としては、上述のように結着樹脂微粒子を離型剤を含有するものとして構成する方法や、トナー粒子を形成する塩析、凝集、融着工程において、水系媒体中に離型剤微粒子が分散されてなる分散液を添加し、結着樹脂微粒子と着色剤微粒子と離型剤微粒子とを塩析、凝集、融着させる方法などを挙げることができ、これらの方法を組み合わせてもよい。トナー粒子中における離型剤の含有割合としては、結着樹脂100質量部に対して通常0.5〜30質量部とされ、好ましくは5〜20質量部とされる。離型剤の含有割合が結着樹脂100質量部に対して0.5質量部未満であると、十分なオフセット防止効果が得られず、一方、結着樹脂100質量部に対して30質量部より大きいと、得られるトナーが透光性や色再現性の低いものとなる。
【0064】
(重合開始剤)
結着樹脂微粒子重合工程において使用される重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤であって、適宜のものを使用することができる。重合開始剤の具体例としては、例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)、アゾ化合物(4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸およびその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩など)、有機過酸化物などが挙げられる。
【0065】
(連鎖移動剤)
結着樹脂微粒子重合工程においては、結着樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えば2−クロロエタノール、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタンおよびスチレンダイマーなどを挙げることができる。
【0066】
(凝集剤)
塩析、凝集、融着工程において使用される凝集剤としては、例えばアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩を挙げることができる。凝集剤を構成するアルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどが挙げられ、凝集剤を構成するアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられる。これらのうち、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましい。前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
【0067】
(荷電制御剤)
荷電制御剤粒子を構成する荷電制御剤としては種々の公知のもので、かつ水系媒体中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体などが挙げられる。
この荷電制御剤粒子は、分散した状態で数平均一次粒子径が10〜500nm程度とすることが好ましい。
【0068】
[液体現像剤の調製方法]
液体現像剤の調製方法としては、一般に用いられる技法に基づいて調製される。
例えば、上述のようにして得られた液体現像剤用トナーをキャリア液としての絶縁性オイルと所定の配合比で混合する。この混合物をボールミル等の分散手段により均一に分散させ、液体現像剤が得られる。
他に、段落0058(上記熟成工程)にて得られたトナー母体の分散液、または段落0059(上記濾過、洗浄工程)の固液分離で得られたトナーケーキを用いて、これらの分散媒体を水系からオイル系に置換することで液体現像剤を得ることもできる。
【0069】
トナーの体積平均粒子径は、0.1μm以上、5μm以下の範囲が適当である。トナーの平均粒子径が0.1μmを下回ると現像性が大きく低下する。一方、平均粒子径が5μmを超えると画像の品質が低下する。
【0070】
液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合は、10〜50%程度が好ましい。10%未満の場合、トナー粒子の沈降が生じやすく、長期保管時の経時的な安定性が低下するおそれがある。また必要な画像濃度を得るため、多量の現像剤を供給すると、紙上に付着するキャリア液が増加し、定着時に乾燥せねばならず、蒸気が発生し環境上の問題が生じる可能性がある。50%を超える場合には、液体現像剤の粘度が高くなりすぎ、製造上も、また取り扱いも困難になる場合がある。
【0071】
液体現像剤の粘度は、25℃において0.1mPa・s以上、10000mPa・s以下が好ましい。10000mPa・s以上になると、キャリア液とトナーの撹拌が困難となり、均一な液体現像剤を得るための装置面での負担が大きくなる可能性がある。
【0072】
本発明の液体現像剤用トナーを含む液体現像剤の湿式現像は、複写機、簡易印刷機、プリンタなどの画像形成装置に利用される。これらには、一般的に電子写真方式の画像形成プロセスが共通して用いられている。このような電子写真方式による湿式の画像形成装置について説明する。
【0073】
[画像形成装置の構成と機能動作]
本実施の形態に係る画像形成装置の全体構成例を図3に示す。図3を用いて画像形成装置の全体構成を説明する。但し、画像形成プロセスに関わる構成要素のみを図示した。記録材の給紙、搬送、排紙に関わる構成要素は簡略的に示した。
【0074】
図3に示すように、カラー画像形成のために4台の湿式現像装置4Y,4M,4C,4Kが配置されている。湿式現像装置4Y,4M,4Cは、それぞれイエロー系液体現像剤、マゼンタ系液体現像剤、シアン系の液体現像剤で潜像を現像し、各色に対応したカラーの単色像を形成する機能を有している。また、湿式現像装置4Kは、ブラック系液体現像剤で、潜像を現像し、ブラックの単色像を形成する機能を有している。湿式現像装置4Y,4M,4C,4Kの構成はいずれも同様のものである。
【0075】
図4の画像形成装置10においては、湿式現像装置4Y、4M、4C、4Kのうち1台を取り上げて詳細を示した。湿式現像装置4Y、4M、4C、4Kはいずれも同一あるいは類似の構成を有している。該画像形成装置10は、像担持体としての感光体ドラム1、帯電装置2、露光装置3、湿式現像装置4、クリーニング装置6を備える。また画像形成装置10は、中間転写体としての中間転写ローラ5と、二次転写ローラ7を備える。
【0076】
カラー現像の方式、中間転写の有無などは任意に設定すればよく、それに合わせた任意の配置構成をとることができる。本画像形成装置例では中間転写ローラ5を用いているが、中間転写ベルトの形態であってもよい。
【0077】
感光体ドラム1は、表面に感光体層(不図示)が形成された円筒形状であって、図3における矢印A方向に回転する。感光体ドラム1の外周には、クリーニング装置6、帯電装置2、露光装置3、湿式現像装置4、及び中間転写ローラ5が、前記感光体ドラム1の回転方向に沿って順次配置されている。
【0078】
帯電装置2は、感光体ドラム1の表面を所定電位に帯電させる。
【0079】
露光装置3は、感光体ドラム1の表面に光を照射し照射領域内の帯電レベルを低下させて静電潜像を形成する。
【0080】
湿式現像装置4は、感光体ドラム1上に形成された潜像を現像する。すなわち、感光体ドラム1の現像領域へ液体現像剤を搬送し、その液体現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム1の表面の静電潜像に供給してトナー画像を形成する。
【0081】
湿式現像装置4は、一般的には、表面に液体現像剤の薄層を担持し、像担持体である感光体ドラム1上の潜像を現像する現像ローラ41、現像ローラ41に当接して、その表面に液量調整された液体現像剤を転移させる搬送ローラ42、そしてその搬送ローラ42に当接して、その表面に現像剤槽44内の液体現像剤8を供給する供給ローラ43を備える。
【0082】
現像のプロセスにおいては、湿式現像装置4の現像ローラ41に電源(不図示)からトナーと同極性の現像バイアス電圧が印加される。同じくトナーと同極性の感光体ドラム1上の潜像の電位とのバランスで電界の大小差が形成され、潜像に従って現像剤中のトナーが感光体ドラム1に静電吸着され、感光体ドラム1上の潜像が現像される。
【0083】
中間転写ローラ5は、感光体ドラム1と対向するように配置されており、前記感光体ドラム1と接触しながら矢印B方向に回転する。これら中間転写ローラ5と感光体ドラム1とのニップ部で、感光体ドラム1から中間転写ローラ5への一次転写が行われる。
【0084】
一次転写プロセスにおいては、中間転写ローラ5に、電源(不図示)からトナーと逆極性の転写バイアス電圧が印加される。これにより、一次転写位置における前記中間転写ローラ5と感光体ドラム1との間に電界が形成され、感光体ドラム1上のトナー像が、中間転写ローラ5に静電吸着され、前記中間転写ローラ5上に転写される。
【0085】
トナー画像が中間転写ローラ5に転写されると、クリーニング装置6が感光体1上の残存トナーを除去し、次の画像形成が行われる。
【0086】
中間転写ローラ5と二次転写ローラ7とは、記録材9を挟んで対向するように配置されており、記録材9を介して接触回転する。これら中間転写ローラ5と二次転写ローラ7とのニップ部で、中間転写ローラ5から記録材9への二次転写が行われる。
【0087】
記録材9は、二次転写のタイミングに合わせて二次転写位置へ矢印C方向に搬送される。
【0088】
二次転写プロセスにおいては、二次転写ローラ7に、電源(不図示)からトナーと逆極性の転写バイアス電圧が印加される。これにより、中間転写ローラ5と二次転写ローラ7との間に電界が形成され、前記中間転写ローラ5と二次転写ローラ7との間を通過させた記録材9上へ前記中間転写ローラ5上のトナー画像が静電吸着され、前記記録材9上に転写される。
【0089】
定着部は、対向配置され接触回転する一対の定着ローラ9a、9bを備える。定着ローラ9a、9bには、それぞれ熱源が設けられており、前記定着ローラ9a、9b間を記録材9が通過すると、その記録材9が高温下で加圧される。これにより、記録材9上でトナー画像を形成するトナーが前記記録材9に融着し定着する。
【実施例】
【0090】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<着色剤微粒子分散液Y−1の調製>
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に撹拌溶解し、撹拌を継続しながら、C.I.ピグメントイエロー74(以下、C.I.PY74と言う)12質量部を徐々に添加し、次いで、機械式分散機「クレアミックスWモーションCLM−0.8」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、イエロー着色剤微粒子が分散された着色剤微粒子分散液Y−1を調製した。この着色剤微粒子分散液Y−1におけるイエロー着色剤微粒子の粒子径は体積基準のメディアン径で230nmであった。
なお、着色剤微粒子分散液Y−1におけるイエロー着色剤微粒子の体積基準のメディアン径は「MICROTRAC UPA−150」(HONEYWELL社製)により下記の測定条件で測定したものである。また、その他、以下の説明における体積基準のメディアン径も同様にして測定したものである。
[測定条件]
・サンプル屈折率:1.59
・サンプル比重:1.05(球状粒子換算)
・溶媒屈折率:1.33
・溶媒粘度:30℃にて0.797、20℃にて1.002
・ゼロ点調整:測定セルにイオン交換水を入れて調整を行う。
【0091】
<着色剤微粒子分散液Y−2〜Y−6の調製>
着色剤微粒子分散液Y−1の調製において、C.I.PY74の添加量12質量部を、下記表1に示す添加量に変更した以外は同様にして着色剤微粒子分散液Y−2〜Y−6を調製した。着色剤微粒子分散液Y−2〜Y−6のイエロー着色剤微粒子の粒子径は体積基準のメディアン径で230nmであった。
【0092】
【表1】

【0093】
<イエロートナー〔1〕の作製>
(1)コア部用樹脂粒子1の作製
下記に示す第1段重合、第2段重合及び第3段重合を経て多層構造を有するコア部用樹脂粒子1を作製した。
(a)第1段重合
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に下記(構造式1)に示すアニオン系界面活性剤4質量部をイオン交換水3040質量部とともに投入し、界面活性剤水溶液を調製した。
(構造式1) C1021(OCHCH)2SONa
上記界面活性剤水溶液中に、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、温度を75℃に昇温させた後、下記化合物よりなる単量体混合液を1時間かけて反応容器中に滴下した。
スチレン 532質量部
n−ブチルアクリレート 200質量部
メタクリル酸 68質量部
n−オクチルメルカプタン 16.4質量部
上記単量体混合液を滴下後、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子を作製した。この樹脂粒子を「樹脂粒子A1」とする。なお、第1段重合で作製した「樹脂粒子A1」の重量平均分子量は16,500だった。
【0094】
(b)第2段重合
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に下記化合物からなる単量体混合液を投入し、続いて、離型剤としてパラフィンワックス「HNP−57(日本製蝋社製)」93.8質量部を添加し、90℃に加温して溶解させた。この様にして単量体溶液を調製した。
スチレン 101.1質量部
n−ブチルアクリレート 62.2質量部
メタクリル酸 12.3質量部
n−オクチルメルカプタン 1.75質量部
一方、前記アニオン界面活性剤3質量部をイオン交換水1560質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を調製し、98℃に加熱した。この界面活性剤水溶液中に前記「樹脂粒子A1」を32.8質量部(固形分換算)添加し、さらに、上記パラフィンワックスを含有する単量体溶液を添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(エムテクニック社製)」で8時間混合分散した。前記混合分散により分散粒子径が340nmの乳化粒子を含有する乳化粒子分散液を調製した。
次いで、前記乳化粒子分散液に過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱撹拌を行うことで重合(第2段重合)を行って樹脂粒子を作製した。この樹脂粒子を「樹脂粒子A2」とする。なお、第2段重合で作製した「樹脂粒子A2」の重量平均分子量は23,000だった。
【0095】
(c)第3段重合
上記第2段重合で得られた「樹脂粒子A2」に、過硫酸カリウム5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、下記化合物からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン 293.8質量部
n−ブチルアクリレート 154.1質量部
n−オクチルメルカプタン 7.08質量部
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌を行って重合(第3段重合)を行い、重合終了後、28℃に冷却して「コア部用樹脂粒子1」を作製した。第3段重合で作製した。「コア部用樹脂粒子1」の重量平均分子量は26,800であった。
【0096】
(2)シェル用樹脂粒子1の作製
前記コア部用樹脂粒子1の作製における第1段重合で使用された単量体混合液を以下のものに変更した以外は同様にして、重合反応及び反応後の処理を行って、シェル用樹脂粒子1を作製した。
スチレン 624質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 120質量部
メタクリル酸 56質量部
n−オクチルメルカプタン 16.4質量部
【0097】
(3)イエロートナー〔1〕の作製
下記の手順によりイエロートナー〔1〕を作製した。
(a)コア部の形成
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、
コア部用樹脂粒子1 420.7質量部(固形分換算)
イオン交換水 900質量部
着色剤微粒子分散液Y−1 62.0質量部(固形分換算)
を投入、撹拌した。反応容器内の温度を30℃に調整後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを8〜11に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を撹拌の下で30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温させ、上記粒子の会合を行った。この状態で「マルチサイザ3(コールター社製)」を用いて会合粒子の粒径測定を行い、会合粒子の体積基準メディアン径が2.5μmになった時に、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解させた水溶液を添加して会合を停止させた。
会合停止後、さらに、熟成処理として液温を70℃にして1時間にわたり加熱撹拌を行うことにより融着を継続させてコア部1を作製した。
コア部1の平均円形度を「FPIA2000(システックス社製)」で測定したところ、0.912だった。
(b)シェルの形成
次に、上記液を65℃にしてシェル用樹脂粒子1を96質量部添加し、さらに、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を10分間かけて添加した後、70℃まで昇温させて1時間にわたり撹拌を行った。この様にして、コア部1の表面にシェル用樹脂粒子1を融着させた後、75℃で20分間熟成処理を行ってシェルを形成させた。
この後、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加してシェル形成を停止した。さらに、8℃/分の速度で30℃に冷却して生成した着色剤微粒子をろ過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄した後、40℃の温風で乾燥することにより、コア部表面にシェルを有するイエロートナー〔1〕を作製した。
このイエロートナー〔1〕の体積平均基準におけるメディアン径は3.1μm、平均円形度は0.945であった。
【0098】
<イエロートナー〔2〕〜〔6〕の作製>
イエロートナー〔1〕の作製において、着色剤微粒子分散液Y−1及び添加量を、下記表2に示す着色剤微粒子分散液の種類、添加量に変更した以外は同様にしてイエロートナー〔2〕〜〔6〕を作製した。
【0099】
【表2】

なお、表2中、着色剤微粒子分散液の添加量は着色剤固形分換算の質量部を示す。
【0100】
<着色剤微粒子分散液M−1の調製>
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に撹拌溶解し、撹拌を継続しながら、上記一般式(2)の「例示化合物(2)−1」12質量部、上記一般式(1)の「例示化合物(1)−17h」12質量部、C.I.ピグメントレッド122(以下、C.I.PR122と言う)3質量部を徐々に添加し、次いで、機械式分散機「クレアミックスWモーションCLM−0.8」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、マゼンタ着色剤微粒子が分散された着色剤微粒子分散液M−1を調製した。この着色剤微粒子分散液M−1におけるマゼンタ着色剤微粒子の粒子径は体積基準のメディアン径で210nmであった。
【0101】
<着色剤微粒子分散液M−2〜M−12の調製>
着色剤微粒子分散液M−1の調製において、「一般式(2)」と「一般式(1)」の着色剤の種類と添加量及びC.I.PR122の添加量を下記表3のように変更した以外は、同様にして着色剤微粒子分散液M−2〜M−12を調製した。着色剤微粒子分散液M−2〜M−12のマゼンタ着色剤微粒子の粒子径は体積基準のメディアン径で210nmであった。
【0102】
【表3】

なお、表3には、一般式(1)と一般式(2)の合計添加量Wm(質量部)、さらに併用したその他のマゼンタ着色剤(C.I.PR122)を添加した着色剤総量(質量部)を示した。
【0103】
<マゼンタトナー〔1〕の作製>
イエロートナー〔1〕の作製において、「着色剤微粒子分散液Y−1」62.0質量部を上記「着色剤微粒子分散液M−1」139.5質量部(固形分換算)に変更した以外は同様にして、マゼンタトナー〔1〕を作製した。
【0104】
<マゼンタトナー〔2〕〜〔11〕の作製>
マゼンタトナー〔1〕の作製において、着色剤微粒子分散液M−1及び添加量を、下記表4に示す着色剤微粒子分散液の種類、添加量に変更した以外は同様にしてマゼンタトナー〔2〕〜〔11〕を作製した。なお、表4中、着色剤微粒子分散液の添加量は着色剤固形分換算の質量部を示す。
【0105】
【表4】

なお、表4中、着色剤微粒子分散液の添加量は着色剤固形分換算の質量部を示す。
【0106】
<液体現像剤の作製>
上記の方法で得られたイエロートナー〔1〕を40重量部、キャリア液としてモレスコホワイト(松村石油研究所社製)を200重量部、ANTARON V−216(アイエスピージャパン株式会社製)0.2質量部をセラミック製ポット(内容積ml)に入れ、さらにジルコニアボール(ボール直径:1mm)を体積充填率85%になるようにセラミック製ポットにいれ、卓上ポットミルにて回転速度230rpmで24時間分散を行った。その後、ジルコニアビーズを分離し、イエロー液体現像剤〔1〕が得られた。また、イエロートナー〔2〕〜〔6〕、マゼンタトナー〔1〕〜〔12〕を用いて同様の手順を行うことにより、イエロー液体現像剤〔2〕〜〔6〕、マゼンタ液体現像剤〔2〕〜〔12〕を得た。
【0107】
<評価実験>
図3の画像形成装置に、イエロー液体現像剤〔1〕〜〔6〕(イエロートナー〔1〕〜〔6〕)及びマゼンタ液体現像剤〔1〕〜〔12〕(マゼンタトナー〔1〕〜〔12〕)を、下記表5に示す組み合わせで順次搭載し、下記(1)〜(3)の評価実験を行った。
以下に述べるトナー画像を出力して「Spectrolina/Scan Bundle(Gretag Macbeth社製)」で測定した。色度色域測定は以下の条件で行った。
《測定条件》
光源:D50光源
観測視野:2°
濃度:ANSI T
白色基準:Abs
フィルタ:UV Cut
測定モード:リフレクタンス
言語:Japanese
(1)彩度の測定
イエロー単色(Y)、マゼンタ単色(M)、レッド(R)の各ベタ画像(2cm×2cm)を紙上のトナー付着量が4.0g/mのベタ画像を作製した。これらベタ画像によるY、M、Rの色度をa*−b*座標に表し、a*−b*平面上での原点からの距離である彩度C*を評価した。イエローは85以上、マゼンタとレッドは70以上を合格レベルと判定した。
【表5】

【0108】
(2)レッド低明度領域の色再現領域測定
カラーテストチャートECI2002を出力し、色相H*が30〜60のデータを抽出して、C*−L*グラフにプロットし、L*50以下以上の領域について、面積を算出した。この面積が大きいほど低明度領域の色再現領域が大きいと判断しランク付けを行った。面積1400以上を合格レベルとした。
◎:面積1600以上
○:面積1400以上1600未満
×:面積1400未満
【0109】
(3)耐刷安定性
耐刷安定性を評価するために、イエロートナーおよびマゼンタトナーの実施例、比較例、各々について、イエロートナー単色(Y)およびマゼンタトナー単色(M)を重ねあわせてトナー付着量4.0g/mのレッドベタ画像(2cm×2cm)を印字し、5000枚印字後の画像の色度を測定した。印字前後の色度からCMC(2:1)色差式にしたがってΔEを算出し、下記の基準にもとづいて評価を行い、◎〜○の評価を合格レベルとした。
◎:ΔE≦2 色度変化ほぼなし
○:2<ΔE≦3 実用上問題なし
×:3<ΔE 色度変化大きく実用不可
【0110】
上記評価結果を下記表6に示した。
【表6】

なお、表6中、各着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対する質量部数を示している。また、表6には、イエロー着色剤の添加量Wy(質量部)と、一般式(1)及び一般式(2)の合計添加量Wm(質量部)の添加比率Wy/Wmを示した。
【0111】
表6の結果より、実施例1〜7は、単色彩度、二次色サイド、色再現性及び耐刷安定性の点でいずれも合格レベルとなり、比較例1〜5に比べて優れていることが認められる。
【符号の説明】
【0112】
1 感光体ドラム
2 帯電装置
3 露光装置
4,4Y,4M,4C,4K 湿式現像装置
5 中間転写ローラ
6 クリーニング装置
7 二次転写ローラ
8 液体現像剤
9 記録材
9a、9b 定着ローラ
10 画像形成装置
41 現像ローラ
42 搬送ローラ
43 供給ローラ
44 現像剤槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーによりフルカラー画像を得るフルカラー湿式画像形成方法において、
該イエロートナーは結着樹脂と着色剤を含有し、結着樹脂を100質量部と換算したときに該イエロー着色剤として少なくともC.I.ピグメントイエロー74を10質量部以上40質量部以下含有し、
該マゼンタトナーは結着樹脂と着色剤を含有し、結着樹脂を100質量部と換算したときに該マゼンタ着色剤として少なくとも下記一般式(1)で表される着色剤と下記一般式(2)で表される着色剤とを合計で10質量部以上40質量部以下含有し、
該イエロートナー中の該イエロー着色剤の含有量Wyと該マゼンタトナー中の該マゼンタ着色剤の含有量Wmの比、Wy/Wmが0.3以上2.5以下であることを特徴とするフルカラー湿式画像形成方法。
【化1】


(一般式(1)中、Rは各々独立して置換基を表し、nは1から5の整数を表し、(R)
nの炭素原子数の合計は14以上を表し、Xは各々独立して水素原子またはフッ素原子を表す。一般式(2)中、Rx、Rxは炭素原子数1個から3個のアルキル基を表す。

【請求項2】
前記マゼンタ着色剤として、さらにC.I.ピグメントレッド122を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載のフルカラー湿式画像形成方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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