フレキシブルプリント配線基板及び無線通信モジュール
【課題】通信の信頼性を確保するとともに、小型化、薄膜化及び可撓性を備えたフレキシブルプリント配線基板及び無線通信モジュールを提供する。
【解決手段】フィルム状のフレキシブル基板に、RF信号(高周波信号)を送受信する送受信アンテナ部と、RF信号を伝送する伝送路部と、高周波回路部との各ユニットが一体で形成された無線通信モジュールであって、フィルム状のフレキシブル基板には、シームレスな導体層が複数形成され、前記複数の導体層の間もしくは近傍に形成された絶縁層の誘電率が、前記送受信アンテナ部の領域と、前記伝送路部及び高周波回路部の領域とで異なっている。
【解決手段】フィルム状のフレキシブル基板に、RF信号(高周波信号)を送受信する送受信アンテナ部と、RF信号を伝送する伝送路部と、高周波回路部との各ユニットが一体で形成された無線通信モジュールであって、フィルム状のフレキシブル基板には、シームレスな導体層が複数形成され、前記複数の導体層の間もしくは近傍に形成された絶縁層の誘電率が、前記送受信アンテナ部の領域と、前記伝送路部及び高周波回路部の領域とで異なっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、無線通信機器に使用可能なフレキシブルプリント配線基板及び無線通信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、デジタルカメラ、プリンタ等のモバイル機器を中心とした無線通信機器に用いられる無線通信モジュールは、小型化・薄膜化が求められている。さらに、安価で、かつ筺体内の設計自由度を向上させる観点から、モジュールの可撓性に対する要求も大きくなっている。
【0003】
図22は、従来の無線通信モジュール31の基本構成例を説明する図である。図22に示すように、無線通信モジュール31は、一般的に、送受信アンテナ部32と高周波回路部34とがそれぞれプリント基板に作製され、同軸ケーブルの伝送路部33を介して同軸コネクタ35で接続された構成となっている。電極36からは、入出力ライン37及びコネクタ39を介して高周波回路部34へ電力が供給され、制御・データ信号が入出力される。
【0004】
従来、アンテナ部はリジッドプリント基板を用いたものが主であり、そして伝送路部として同軸ケーブルを用いた構成が主であった。このため、無線通信モジュールが全体として大きく、小型の通信機器の狭い空間に配置することが困難であり、且つ高価であった。そこで、このような問題点を解消するために、様々な提案がされている。例えば特許文献1には、表面実装型アンテナを直接プリント基板に実装したものが開示されている。このように1つの基板で統一させることによって、インピーダンスを安定させるとともに、無線通信モジュールとして小型化できるようにしている。また、この特許文献1に記載されているフィルムセンサは、アンテナ部に可撓性を有するフィルム状の基板が採用されている。
【0005】
一方、無線通信モジュールを小型化させる他の技術として、特許文献2には、アンテナ部と伝送線路部とが一体となったストリップラインケーブルが開示されている。また、無線通信モジュールの信頼性を高める技術として、特許文献3には、アンテナと高周波回路との間に接続部分のないアンテナ装置が開示されている。一方、特許文献4には、アンテナ装置の小型化と薄型化とを図る目的で、アンテナ導体が設けられた絶縁体が異なる誘電率を保有する3層構成の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−111346号公報
【特許文献2】特開平8−242117号公報
【特許文献3】特開平11−214916号公報
【特許文献4】特開2004−135044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のフィルムセンサや特許文献2に記載のアンテナ部と伝送線路部とが一体となったストリップラインケーブルでは、アンテナ部に送受信させる高周波回路が別体となっている。このため、接続の信頼性が不十分であったり、接続用のコネクタを配置するために高価になってしまったりする課題が存在する。また、特許文献2に記載のストリップラインケーブルでは、アンテナ部が伝送線路部から延在した絶縁層と中心導体とから構成されているので、アンテナ部としてまたは伝送線路部として構成されたそれぞれの誘電体において、その機能と高周波信号とに対応した誘電率に設計することが難しい。また、特許文献3には、接続部分のないアンテナ装置が開示されており、回路部では、誘電率の高い材料で構成して電磁波の放射損失を少なくしているが、小型化、薄型化及び可撓性という観点では不十分であり、小型化及び軽量化が求められている通信機器への採用には不十分である。さらに、特許文献4に記載のアンテナ装置は、可撓性が不十分であるとともに接続の信頼性が不十分である。
【0008】
本発明は前述の問題点に鑑み、通信の信頼性を確保するとともに、小型化、薄膜化及び可撓性を備えたフレキシブルプリント配線基板及び無線通信モジュールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のフレキシブルプリント配線基板は、高周波信号を送受信する送受信アンテナ部と、前記高周波信号を伝送する伝送路部と、前記高周波信号を生成するとともに前記高周波信号を電子部品に供給する高周波回路部とを備え、前記送受信アンテナ部と、前記伝送路部と、前記高周波回路部とが絶縁性フィルムに一体に形成されており、前記絶縁性フィルムの片面または両面に、前記送受信アンテナ部、前記伝送路部及び前記高周波回路部において連続した導体層が形成され、さらに前記送受信アンテナ部の領域と、前記伝送路部及び高周波回路部の領域とで誘電率の異なる絶縁層が前記絶縁性フィルムに形成されていることを特徴とする。
また、本発明のフレキシブルプリント配線基板の他の特徴とするところは、高周波信号を送受信する送受信アンテナ部と、前記高周波信号を伝送する伝送路部と、前記高周波信号を生成するとともに前記高周波信号を電子部品に供給する高周波回路部とを備え、前記送受信アンテナ部と、前記伝送路部と、前記高周波回路部とが絶縁性フィルムに一体に形成されており、前記絶縁性フィルムの片面または両面に、前記送受信アンテナ部、前記伝送路部及び前記高周波回路部において連続した導体層が形成され、さらに、前記送受信アンテナ部の領域と、前記伝送路部の領域と、前記高周波回路部の領域とのうち、少なくとも1つの領域に他の領域と誘電率の異なる絶縁層が前記絶縁性フィルムに形成されていることである。
【0010】
本発明の無線通信モジュールは、前記の何れかに記載のフレキシブルプリント配線基板と、電子部品とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、通信の信頼性を確保するとともに、小型化、薄膜化及び可撓性を実現し、通信機器の筺体内に組み込む際に、設計の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信モジュールの概略構造の一例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の伝送路部における断面を観察した一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の伝送路部における断面を観察した他の一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の高周波回路部に電子部品が実装された無線通信モジュールの構造例の断面を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の高周波回路部に電子部品が実装された無線通信モジュールの他の構造例の断面を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した一例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した他の一例を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した一例を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の伝送路部における断面を観察した一例を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の伝送路部における断面を観察した他の一例を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した一例を示す図である。
【図13】本発明の第4の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した他の一例を示す図である。
【図14】本発明の第5の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した一例を示す図である。
【図15】本発明の第5の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の伝送路部における断面を観察した一例を示す図である。
【図16】本発明の第5の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の伝送路部における断面を観察した他の一例を示す図である。
【図17】本発明の第6の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した一例を示す図である。
【図18】本発明の第6の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した他の一例を示す図である。
【図19】本発明の第6の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察したその他の一例を示す図である。
【図20】本発明における信号層上の給電点の位置を説明する図である。
【図21】本発明のフレキシブル基板を用いた無線通信モジュールを制御機器に組み込んだ概念の一例を示す図である。
【図22】従来の無線通信モジュールの基本構成例を示す図である。
【図23】本発明の第7の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の無線モジュールに用いられるフレキシブルプリント配線基板(以下、フレキシブル基板と略す)の導体層及び絶縁層に関するいくつかの構成を例示する。また、これらのフレキシブル基板に必要な電子部品を搭載した本発明の無線通信モジュールについて例示する。
【0014】
本発明の無線モジュールは、外部機器との間で高周波信号を送受信する送受信アンテナ部と、前記高周波信号を生成するとともに前記高周波信号を電子部品に供給する高周波回路部と、前記高周波回路部と前記送受信アンテナ部との間で前記高周波信号を伝送する伝送路部とが、絶縁体からなる可撓性フィルムである一枚のベースフィルムの片面上若しくは両面上に一体に形成されたフレキシブル基板から構成されている。後述する実施形態においては、この一枚のベースフィルムである可撓性フィルムを第一の絶縁層と呼ぶ。以下、この第一の絶縁層の送受信アンテナ部の領域と伝送路部から高周波回路部に亘る領域とに、誘電率の異なる絶縁層を少なくとも一層配置することによって、この二つの領域における誘電率を制御したフレキシブル基板について説明する。また、本発明において、以下に説明する第一〜第四の絶縁層は誘電材料からなるものであり、導体層間を絶縁するだけではなく、導体層の上下を覆い、外部と絶縁保護する膜状の絶縁体または誘電体を含む概念である。
【0015】
さらに、本発明に係るフレキシブル基板には、導体層の少なくとも一層が、繋ぎ部分なく送受信アンテナ部から伝送路部を介して高周波回路部に至るまで延展して連続的に形成されている。つまり、シームレスな導体層で形成されている。このようなシームレスな導体層は、同一なプロセスで形成され、連続的状態で電気伝導が容易な金属等で製作された薄膜層を用いることができる。なお、複数の導体層を有する場合、各層は重層的な層で形成される。
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図1から図5を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る無線通信モジュール11の概略構造の一例を示す図である。
図1に示すように、可撓性を有するフィルム状のフレキシブル基板15に、高周波信号を送受信する送受信アンテナ部12と、高周波信号を伝送する伝送路部13と、高周波回路部14との各ユニットが形成されている。また、フレキシブル基板15には外部接続用電極19が接続されており、さらに、導体層が連続的に形成されている。導体層は、送受信アンテナ部導体層16、伝送部導体層17及び高周波回路部導体層18から構成されている。
【0017】
図2は、本実施形態に係るフィルム状のフレキシブル基板15の一例であって、長手方向に平行な断面を示す図である。以下、各図の説明において、図中の矢印10の向きを上側と呼び、矢印10と逆向きを下側と呼ぶ。
【0018】
図2に示すように、フレキシブル基板15は、送受信アンテナ部12の領域と、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とでそれぞれ異なる誘電率の絶縁層からなる誘電体を形成している。フレキシブル基板15用のベースフィルムである第一の絶縁層21の上側には、接着剤層である第三の絶縁層23を介して、送受信アンテナ部12において第二の絶縁層22aが形成され、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域において第二の絶縁層22bが形成されている。ここで、第二の絶縁層22a,22bは、互いに誘電率の異なる材料である。
【0019】
さらに、第二の絶縁層22a,22bの上側には、接着剤層である第三の絶縁層23を介して、送受信アンテナ部12から伝送路部13を経由して高周波回路部14まで信号層24aがシームレスに延展して形成されている。さらにその上側には、保護層として第四の絶縁層25が第二の絶縁層22a,22b、第三の絶縁層23及び信号層24aを覆うように形成されている。なお、本実施形態の導体層である信号層24aは、信号配線として送受信アンテナ部12から伝送路部13を通過して高周波回路部14に至るまで延展して繋ぎ目なく形成されている。そのため、高周波特性と接続の信頼性が高い。
【0020】
一方、第一の絶縁層21の下側には、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域に接着剤層である第三の絶縁層23を介してグラウンド層24bが形成されている。このようにグラウンド層24bは、伝送路部13から高周波回路部14の領域まで亘る導体層としてシームレスに形成されている。なお、第一の絶縁層21の送受信アンテナ部12の領域の下側には接着剤層を設ける必要はない。
【0021】
さらに、送受信アンテナ部12における第一の絶縁層21の下側面とグラウンド層24bの下側面とを覆うように第四の絶縁層25が形成されている。なお、この保護層として機能する第四の絶縁層は、導体層が露出するのを防止することを主目的とする場合には、第四の絶縁層25は第一の絶縁層21の下側面を覆わずに開口された構造にしてもよい。
【0022】
次に、図2に示す各層について説明する。
図2において、送受信アンテナ部12における信号層24aの送受信アンテナ部導体層16に相当する領域は、紙面直交方向に公知の逆F型アンテナやL字アンテナ、ミアンダ、フォールデッドダイポールアンテナ等の平面形状のアンテナパターンとして形成されている。
【0023】
一方、伝送路部13における信号層24aの伝送路部導体層17に相当する領域の導体パターンは、第一の絶縁層21、第二の絶縁層22a,22b、第三の絶縁層23及び第四の絶縁層25の材料に依存して、高周波信号の送受信におけるインピーダンスの整合を最適化させるような寸法形状が設計されている。なお、伝送路部13において、インピーダンスを整合するために、信号層24aの導体パターンの一部の寸法形状を広く形成し、グラウンド層24bとのコンデンサを形成してもよい。また、必要に応じてL(コイル)、C(コンデンサ)等のインピーダンス調整素子を配置してもよい。
【0024】
また、信号層24a及びグラウンド層24bは、銅箔または金属配線等により形成することができる。銅箔を用いる場合は、接着剤層等で貼り合わせたフィルムを用い、フォトリソ・エッチングプロセスで必要な電極パターンを形成することができる。また、インクジェットにより描画して金属配線を形成する場合は、金属粒子を含んだ高分子インクをインクジェット法で必要なパターンに描画し、フィルムのガラス転移点(Tg)以下の温度で焼成して高分子インクを焼失させることにより、金属配線パターンを形成することができる。このインクジェットによる描画で形成した金属配線の厚みは0.05μmから5μm程度に選択することができる。
【0025】
第一の絶縁層21及び第二の絶縁層22a,22bには、以下のような有機材料からなるフィルムやシート形状を用いる。比誘電率が3〜5の比較的高い値を保有する材料を用いる場合は、例えば、ポリイミド、ナイロン、ポリエチレンテレフタラート、エポキシ樹脂、ガラスエポキシ、マイカといった材料を用いる。また、比誘電率が3を下回る低誘電率の材料を用いる場合は、例えば、液晶ポリマー、シクロオレフィンポリマーといった材料を用いる。また、比誘電率が5を超える高誘電率の材料を用いる場合は、強誘電体ポリマーまたは有機半導体誘電体層等の公知な高分子材料を用いる。このような材料からなる第一の絶縁層21及び第二の絶縁層22a,22bの厚みは、数μmから数百μmとする。
【0026】
また、本実施形態において、送受信アンテナ部12に形成される第二の絶縁層22aと、伝送路部13から高周波回路部14に亘って形成される第二の絶縁層22bとの境界は、信号層24a上の給電点により決定される。ここで給電点とは、高周波電力を電磁波として空間に放射したり空間の電磁波を高周波電力として受信したりする送受信アンテナ部12に高周波電力を供受給するための、送受信アンテナ部と伝送路部の給電線との接合部と定義している。なお、図20に示すように、給電点20は、単に信号層24a上の場所を示すものであり、信号層24aそのものはシームレスな導体層である。
【0027】
接着剤層である第三の絶縁層23には、アクリル系、エポキシ系、シリコーン系等の公知の接着剤が用いられる。接着剤の塗布方法については、シート状の接着剤層を貼り合わせる方法、液状の接着剤をディスペンサまたは印刷法等により塗布して熱または紫外線照射等によって硬化する方法などを用いることができる。図2においては、説明を簡便にするために、第一の絶縁層21と第二の絶縁層22a,22bとを接着する接着剤層と、第二の絶縁層22a,22bと導体層である信号層24aまたはグラウンド層24bとを接着する接着剤層とで同じ符号で表記している。一方、これらの接着剤層を形成する際には、別材料・別プロセスを採用してもよく、各々の接着剤層の膜厚が異なっていてもよい。第三の絶縁層23の厚みは、誘電体としての影響が少ないほうが、他の絶縁層の厚み設計の自由度の点で優位であるから、10分の数μmから数十μmとする。
【0028】
第四の絶縁層25の材料は、第一の絶縁層21、または第二の絶縁層22a,22bの材料と同じものを用いることができる。また、第三の絶縁層23として用いられる接着剤と同じ材料を用いてもよい。さらに、プリント配線板の製造に用いられるソルダーレジスト等の保護材料を用いてもよい。図2に示す例では、第四の絶縁層25の材料をソルダーレジスト用材料としており、接着剤層を不要としている。一方、第四の絶縁層25にポリイミド、ナイロン等のフィルム状の材料を用いる場合は、接着剤層が必要となる。
【0029】
また、図2において、第一の絶縁層21から第四の絶縁層25によって構成される誘電体(特に、第二の絶縁層22a,22b)の誘電率の設定については、無線通信モジュールの設計によって異なる。
【0030】
例えば、送受信アンテナ部12をより小さくすることを優先した設計を行う場合は、以下の材料を用いる。送受信アンテナ部12の第二の絶縁層22aには、前述した誘電率の高い材料を用い、伝送路部13及び高周波回路部14の第二の絶縁層22bには、誘電損失ならびに遅延を抑制しするために、誘電率の低い材料を用いる。
【0031】
一方、送受信アンテナ部12からの電磁波の放射効率を高くすることを優先した設計を行う場合は、以下の材料を用いる。まず、送受信アンテナ部12の第二の絶縁層22aには、前述した誘電率の低い材料を用いることによって、上方の空間側への放射効率を向上させる。そして、伝送路部13及び高周波回路部14の第二の絶縁層22bには、余計な電磁波や電波の放射を抑制するために、誘電率の高い材料を用いる。
【0032】
以上のように、設計の目的等に応じて第二の絶縁層22a,22bには、誘電率の異なる材料を選択する。これにより、送受信アンテナ部12の領域と伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とで誘電率の異なる絶縁層が積層されたフレキシブル基板15を製作することができる。なお、第二の絶縁層22a,22bで誘電率が異なるようにする場合に、比誘電率で0.5以上の差異になることが現実的に有意である。
【0033】
このように本実施形態に係るフレキシブル基板15は、送受信アンテナ部12の領域と伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とで比誘電率が相違する。なお、比誘電率の測定は、JIS−C6481等により測定することができる。
【0034】
図3は、フレキシブル基板15の伝送路部13での長手方向に直交する断面を示す図である。図3に示す例では、伝送路部13は、いわゆるコプレーナ線路構造となっている。信号層24aは、中央の信号配線を挟んで両側にグラウンド電位を有するガードパターンが形成されており、合計で3本の配線から形成されている。また、この信号層24aとは反対側に、第二の絶縁層22b、第一の絶縁層21及び第三の絶縁層23を挟んでグラウンド層24bが形成されている。また、保護層として第四の絶縁層25が、信号層24aの上側及びグラウンド層24bの下側に密着して覆うように形成されている。
【0035】
一方、図3に示すようなコプレーナ線路構造の代わりに、図4に示すようなトリプレート構造を適用してもよい。図4は、トリプレート構造を適用した場合の伝送路部13での長手方向に直交する断面を示す図である。図4に示す例では、信号層24aの上側には、接着剤層である第三の絶縁層23が第二の絶縁層22b及び信号層24aを覆うように形成されている。そして、さらにその上側には、ガード(シールド)層24cが形成されている。また、図3に示した例と同様に、グラウンド層24bが第一の絶縁層21の下方に形成されている。そして、保護層として第四の絶縁層25が、ガード(シールド)層24cの上側及びグラウンド層24bの下側に密着して覆うように形成されている。
【0036】
図3または図4に示すように、伝送路部13をコプレーナ線路構造またはトリプレート構造で構成することによって、信号線に対して外来放射ノイズの影響を受けにくくするとともに、信号線自身から発せられるスプリアスを抑制することができる。また、コプレーナ線路構造かトリプレート構造かの選択は、通信機器の配置設計で適宜選択することができる。
【0037】
次に、本実施形態におけるフレキシブル基板15の高周波回路部14の構造について説明する。
図5は、フレキシブル基板15にチップ抵抗、チップコンデンサ、チップコイル等のチップ受動電子部品51が実装された高周波回路部14の一例であって、長手方向に直交する断面を示す図である。図5に示す例は、マイクロストリップ線路のコプレーナ線路構造である無線通信モジュール11の一例である。
【0038】
図5に示す構造の作製手順としては、まず、第四の絶縁層25のうち、部品が実装される部位を開口状態とし、信号層24aの一部を露出させる。そして、導体面にクリーム半田52を印刷で塗布した後にマウンターでチップ受動電子部品51を積載し、リフロー方式によってチップ受動電子部品51が実装された構造とすることができる。
【0039】
また、図4に示したように、ガード(シールド)層24cが形成されているトリプレート構造の場合は、さらにガード(シールド)層24cとその下に形成された第三の絶縁層23とを開口状態にして信号層24aを露出させる。これにより、チップ受動電子部品51をフレキシブル基板15に実装することができる。なお、図5にはチップ部品の例を示したが、SMT実装用のIC、LSIも同様にフレキシブル基板15に実装することができる。
【0040】
図6は、マイクロバンプ62を用いてベアチップIC61が実装された高周波回路部14の一例であって、長手方向に直交する断面を示す図である。図6に示す構造の作製手順としては、まず、ベアチップIC61を実装するためのマイクロバンプ62が形成される部位において、第四の絶縁層25を図5と同様に開口状態にする。そして、マイクロバンプ62付のベアチップIC61を積載し、リフローで半田により実装させる。その後、アンダーフィル63をディスペンス塗布し、熱硬化またはUV硬化によりアンダーフィル63を硬化させてベアチップIC61を実装させる。
【0041】
このように本実施形態に係るフレキシブル基板15を用いて、図5または図6に示す構造のように、必要な部品を実装することによって無線通信モジュール11を製作することができる。
【0042】
以上のように本実施形態のフィルム状のフレキシブル基板15に導体層として形成されている信号層24a、及びグラウンド層24b(並びにガード(シールド)層24c)は、これらの導体層のうち、少なくとも一層が、送受信アンテナ部12、伝送路部13及び高周波回路部14の各ユニットに跨る導体層であり、且つその少なくとも一層がシームレスに形成されている。
【0043】
したがって、本実施形態の無線通信モジュール11には、RF信号を送受信する送受信アンテナ部12と、RF信号(高周波信号)を伝送する伝送路部13と、高周波回路部14とにおいて導体層がシームレスに形成されたフレキシブル基板15が用いられている。このため、接続の信頼性が高く、さらには無線通信モジュールを小型化して薄膜化することができる。また、可撓性を保有することから、通信機器内において無線通信モジュール11を自在に配置することが可能となり、小型で信頼性の高い通信機器を得ることができる。
【0044】
なお、導体層である信号層24a、及びグラウンド層24b(並びにガード(シールド)層24c)は、それぞれ同じ材質及びプロセスにより形成するようにしてもよい。また、各々異なる材質及びプロセスにより形成するようにしてもよい。さらには、各々の導体層の膜厚が異なっていてもよく、5μm〜50μmの厚みの銅箔またはアルミ箔を選択してこれらの導体層を形成することができる。
【0045】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について、図7及び図8を参照しながら説明する。
図7及び図8は、それぞれ本実施形態におけるフィルム状のフレキシブル基板15の一例であって、長手方向に平行な断面を示す図である。
【0046】
図7におけるフレキシブル基板15も、第1の実施形態と同様に、送受信アンテナ部12の領域と、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とで、それぞれ異なる誘電率の絶縁層からなる誘電体を形成している。第1の実施形態で図2に示した構造と異なる点は、送受信アンテナ部12の領域において第二の絶縁層22aが形成されていない点である。なお、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域には、第1の実施形態と同様に第二の絶縁層22bが形成されている。この第二の絶縁層22bは、第一の絶縁層21及び第三の絶縁層23とは相対的に誘電率が異なる材料からなる。
【0047】
また、図7に示す例では、伝送路部13及び高周波回路部14の構造、及び導体層、絶縁層の材料については第1の実施形態と同様である。さらに、図5及び図6に示した例のように、第1の実施形態と同様の手順により図7に示したフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。
【0048】
また、図8におけるフレキシブル基板15も、第1の実施形態と同様に、送受信アンテナ部12と、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とで、それぞれ異なる誘電率の絶縁層からなる誘電体を形成している。第1の実施形態で図2に示した構造と異なる点は、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域において第二の絶縁層22bが形成されていない点である。なお、送受信アンテナ部12の領域には、第1の実施形態と同様に第二の絶縁層22aが形成されている。この第二の絶縁層22aは、第一の絶縁層21及び第三の絶縁層23とは相対的に誘電率が異なる材料からなる。
【0049】
なお、図7に示す第二の絶縁層22aと図8に示す第二の絶縁層22bとでは、誘電率が異なるようにする。また、導体層及び実装する電子部品については、第1の実施形態と同様である。
【0050】
また、図8に示す例では、伝送路部13及び高周波回路部14の構造は、第二の絶縁層22bが形成されていない点を除いて、第1の実施形態と同様であり、導体層及び絶縁層の材料については第1の実施形態と同様である。また、図5及び図6に示した例のように、第1の実施形態と同様の手順により図8に示したフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。
【0051】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について、図9から図11を参照しながら説明する。
図9は、本実施形態におけるフィルム状のフレキシブル基板15の一例であって、長手方向に平行な断面を示す図である。
図9におけるフレキシブル基板15も、第1の実施形態と同様に、送受信アンテナ部12の領域と、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とで、それぞれ異なる誘電率の絶縁層からなる誘電体を形成している。本実施形態では、第一の絶縁層21の上側には、接着剤層である第三の絶縁層23が形成され、さらにその上側に送受信アンテナ部12の領域から伝送路部13及び高周波回路部14の領域まで亘って信号層24aがシームレスに形成されている。このように本実施形態の導体層である信号層24aは、信号配線として送受信アンテナ部12から伝送路部13を通過して高周波回路部14に至るまで延展して繋ぎ目なく形成されている。
【0052】
一方、第一の絶縁層21の下側にも接着剤層である第三の絶縁層23が形成されている。さらにその下側には、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域に第二の絶縁層22bが形成され、送受信アンテナ部12の領域に第二の絶縁層22aが形成されている。なお、第二の絶縁層22a,22bは、互いに誘電率の異なる材料である。
【0053】
さらに、第二の絶縁層22bの下側には、第三の絶縁層23を介してグラウンド層24bが密着形成されている。このようにグラウンド層24bは、伝送路部13から高周波回路部14の領域まで亘る導体層としてシームレスに形成されている。また、図9に示すように、第四の絶縁層25が、信号層24aの上側と、第二の絶縁層22aの下側と、グラウンド層24bの下側とを連続して保護層として覆うように形成されている。なお、第四の絶縁層25の形成が導体層の露出表面の保護を主目的とする場合は、第四の絶縁層25が第二の絶縁層22aの下側を覆わずに開口された構造にしてもよい。
【0054】
図10は、本実施形態において、フレキシブル基板15での伝送路部13における長手方向に直交する断面で示す図である。図10に示す例では、伝送路部13は、いわゆるコプレーナ線路構造となっており、図3と同様に、第三の絶縁層23の上側面に信号層24aが3本の配線として形成されている。
【0055】
また、図10に示すようなコプレーナ線路構造の代わりに、図11に示すようなトリプレート構造を適用してもよい。図11は、トリプレート構造を適用した場合の伝送路部13での長手方向に直交する断面を示す図である。図11に示す例では、第1の実施形態と同様に、信号層24aの上側に信号層24aを覆うように第三の絶縁層23が形成され、さらにその上にガード(シールド)層24cが形成されている。
【0056】
また、図5及び図6に示した例のように、第1の実施形態と同様の手順により本実施形態においてもフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。
【0057】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態について、図12及び図13を参照しながら説明する。
図12及び図13は、それぞれ本実施形態におけるフィルム状のフレキシブル基板15の一例であって、長手方向に平行な断面を示す図である。
【0058】
図12におけるフレキシブル基板15も、第3の実施形態と同様に、送受信アンテナ部12の領域と、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とで、それぞれ異なる誘電率の誘電体を形成している。第3の実施形態で図9に示した構成と異なる点は、送受信アンテナ部12の領域の第一の絶縁層21の下側において、接着剤層である第三の絶縁層23及び第二の絶縁層22aが形成されていない点である。
【0059】
また、図12に示す例では、伝送路部13及び高周波回路部14の構造、及び導体層、絶縁層の材料については第3の実施形態と同様である。さらに、図5及び図6に示した例のように、第1の実施形態と同様の手順により図12に示したフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。
【0060】
また、図13に示す例も同様に、送受信アンテナ部12の領域と、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とで、それぞれ異なる誘電率の絶縁層からなる誘電体を形成している。第3の実施形態で図9に示した構成と異なる点は、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域において第二の絶縁層22bが形成されていない点である。したがって、この領域では、フレキシブル基板15の基材フィルムである第一の絶縁層21の下側には、第三の絶縁層23を介してグラウンド層24bが直接接着されている。
【0061】
また、図13に示す例では、伝送路部13及び高周波回路部14の構造は、第二の導体層22bが形成されていない点を除いて、第3の実施形態と同様であり、導体層及び絶縁層の材料については第3の実施形態と同様である。また、図5及び図6に示した例のように、第1の実施形態と同様の手順により図13に示したフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。
【0062】
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態について、図14から図16を参照しながら説明する。
図14は、本実施形態におけるフィルム状のフレキシブル基板15の一例であって、長手方向に平行な断面を示す図である。
【0063】
図14に示す例では、第一の絶縁層21の上側には、接着剤層である第三の絶縁層23が形成され、さらにその上側に送受信アンテナ部12の領域から伝送路部13及び高周波回路部14の領域まで亘って信号層24aがシームレスに形成されている。このように本実施形態の導体層である信号層24aは、信号配線として送受信アンテナ部12から伝送路部13を通過して高周波回路部14に至るまで延展して繋ぎ目なく形成されている。
【0064】
本実施形態では、さらに信号層24aの上側に第三の絶縁層23を介して第二の絶縁層22a,22bが形成されている。また、本実施形態においても、送受信アンテナ部12の領域と、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とで、それぞれ異なる誘電率の誘電体を形成している。具体的には、送受信アンテナ部12の領域には第二の絶縁層22aが形成され、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域には第二の絶縁層22bが形成されている。なお、第二の絶縁層22a,22bは、それぞれ誘電率の異なる材料である。
【0065】
さらに、第二の絶縁層22a,22bの上側には、送受信アンテナ部12から伝送路部13を経由して高周波回路部14に亘るまで、保護層として第四の絶縁層25が、信号層24a及び第二の絶縁層22a,22bを覆うようにシームレス形成されている。なお、第四の絶縁層25の形成が導体層の露出表面の保護を主目的とする場合には、第四の絶縁層25が第二の絶縁層22a,22bの上側を覆わずに開口された構造としてもよい。また、フレキシブル基板15用のベースフィルムからなる第一の絶縁層21の下側の構造は、第1の実施形態における図2で説明した構造と同様である。
【0066】
次に、図15及び図16を参照しながら、本実施形態の伝送路部13の構造が、第3の実施形態の図10及び図11に示した構造と相違する点について説明する。
図15は、本実施形態においてフレキシブル基板15の伝送路部13での長手方向に直交する断面を示す図である。図15に示す例では、伝送路部13は、いわゆるコプレーナ線路構造となっており、3本の配線からなる信号層24aの上側には、信号層24aを覆うように第三の絶縁層23が形成されている。さらにその上側には、第三の絶縁層23を覆うように第二の絶縁層22bが形成されている。また、第二の絶縁層22bの上側には、保護層として第四の絶縁層25が第二の絶縁層22bを覆うように形成されている。
【0067】
一方、第二の絶縁層22bが形成されていない第一の絶縁層の下側には、第三の絶縁層23を介して、グラウンド電位を配したグラウンド層24bが形成されている。そして、その下側には、保護層として第四の絶縁層25が第三の絶縁層23及びグラウンド層24bを覆うように形成されている。
【0068】
一方、図15に示すようなコプレーナ線路構造の代わりに、図16に示すようなトリプレート構造を適用してもよい。図16は、本実施形態においてトリプレート構造を適用した場合の伝送路部13での長手方向に直交する断面を示す図である。図16に示す例では、第二の絶縁層22bの上側に第三の絶縁層23が形成され、さらにその上側にガード(シールド)層24cが形成させている。そして、保護層として第四の絶縁層25が、第二の絶縁層22b、第三の絶縁層23及びガード(シールド)層24cを覆うように形成されている。なお、第二の絶縁層22bが形成されていない裏面側は図15と同様の構造である。
【0069】
また、図5及び図6に示した例のように、第1の実施形態と同様の手順により本実施形態においてもフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。この場合、第四の絶縁層25のみならず、さらに第二の絶縁層22bとその下側に形成された第三の絶縁層23とを開口状態にして信号層24aを露出させる。また、図16に示すようなトリプレート構造である場合には、さらにガード(シールド)層24cを開口して信号層24aを露出させる。
【0070】
(第6の実施形態)
以下、本発明の第6の実施形態について、図17及び図18を参照しながら説明する。
図17及び図18は、それぞれ本実施形態におけるフィルム状のフレキシブル基板15の一例であって、長手方向に平行な断面を示す図である。
【0071】
図17におけるフレキシブル基板15も、第5の実施形態と同様に、送受信アンテナ部12の領域と、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とでそれぞれ異なる誘電率の絶縁層からなる誘電体を形成している。第5の実施形態で図14に示した構造と異なる点は、送受信アンテナ部12の領域において、第二の絶縁層22a及びその下側の第三の絶縁層23が形成されていない点である。なお、第四の絶縁層25の形成が導体層の露出表面の保護を主目的とする場合には、第二の絶縁層22bの上側を覆わずに開口された構造としてもよい。
【0072】
また、図17に示す例では、伝送路部13及び高周波回路部14の構造、及び導体層、絶縁層の材料については第5の実施形態と同様である。さらに、図5及び図6に示した例のように、第5の実施形態と同様の手順により図17に示したフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。
【0073】
図18に示す例も、送受信アンテナ部12の領域と、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とで、それぞれ異なる誘電率の絶縁層からなる誘電体を形成している。第5の実施形態で図14に示した構造と異なる点は、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域において、第二の絶縁層22b及びその下側の第三の絶縁層23が形成されていない点である。
【0074】
また、図18に示す例では、伝送路部13及び高周波回路部14の構造、及び導体層、絶縁層の材料については第2の実施形態で説明した図8の例と同様である。さらに、図5及び図6に示した例のように、第1の実施形態と同様の手順により図18に示したフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。
【0075】
図19は、本実施形態におけるフィルム状のフレキシブル基板15の他の一例であって、長手方向に平行な断面を示す図である。図18に示す構成と異なる点は、信号層24aの上側に第三の絶縁層23を介してグラウンド層24bが形成されている点である。この場合、第一の絶縁層21の下側には何も形成されていない構造となる。すなわち、図19に示す構造は、第2の絶縁層22a,22b、信号層24a、グラウンド層24b、及び第四の絶縁層25の全てが、第一の絶縁層21の片側面に積層された構造である。
【0076】
このように図19に示す例は構造が比較的単純であり、製造することも容易である。また、本実施形態のフレキシブル基板15は、他の実施形態で説明したフレキシブル基板15に比べ、絶縁層が少ない構成であり、より小型化及び薄型化を達成することができ、さらに製造コストが優位であるとともに、より可撓性も向上させることができる。
【0077】
また、図5及び図6に示した例のように、第1の実施形態と同様の手順により図19に示したフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。この場合、第四の絶縁層25のみならず、さらにグラウンド層24bとその下側に形成された第三の絶縁層23とを開口状態にして信号層24aを露出させる。
【0078】
(第7の実施形態)
以下、本発明の第7の実施形態について、図23を参照しながら説明する。
図23は、本実施形態におけるフィルム状のフレキシブル基板15の一例であって、長手方向に平行な断面を示す図である。
【0079】
図23におけるフレキシブル基板15は、送受信アンテナ部12の領域、伝送路部13の一部の領域、及び高周波回路部14の一部の領域にそれぞれ異なる誘電率の第二の絶縁層22a,22b,22cが積層された誘電体を形成している。第6の実施形態で図18に示した構造と異なる点は、伝送路部13の一部の領域と高周波回路部14の一部の領域とにそれぞれ、第二の絶縁層22b,22cが形成されている点である。すなわち、第一の絶縁層21と第一絶縁層21より上側に形成された信号層24aとの間に、それぞれ第二の絶縁層22b,22cが形成されている。
【0080】
なお、送受信アンテナ部12の領域の第二の絶縁層22aは、第6の実施形態の図18に示した位置と同じ位置に形成されている。また、本実施形態の導体層である信号層24aは、信号配線として送受信アンテナ部12から伝送路部13を通過して高周波回路部14に至るまで延展して繋ぎ目なく形成されている。
【0081】
第二の絶縁層22a,22b,22cはそれぞれ、設計に応じて比誘電率を任意に選択できるが、図23に示す例では、比誘電率は、第二の絶縁層22a,22b,22cの順に小さくしている。送受信アンテナ部12では、アンテナの面積を小さく設計することが重要であるため、絶縁層の比誘電率を高くして、電磁波の放射導体となる信号層24aよりも上側に第二の絶縁層22aを形成するようにしている。
【0082】
一方、伝送路部13では、伝送路部13の細い配線からなる信号層24aの下側に第二の絶縁層22bが形成されている。伝送路部13では、伝送する信号の誘電損失や遅延を抑制することが重要であるため、第二の絶縁層22bは第二の絶縁層22aよりも小さい比誘電率の絶縁層としている。一方で、上方の空間側への放射効率を低減させることも重要であるため、第二の絶縁層22bは第二の絶縁層22cよりも大きい比誘電率の絶縁層としている。
【0083】
なお、本実施形態における第二の絶縁層22b,22cは、必ずしも、第一の絶縁層21と信号層24aとの間に形成されている必要はない。例えば、信号層24aの上側に第二の絶縁層22b,22cが形成されていてもよく、第一の絶縁層21の下側若しくはグラウンド層24bの下側に第二の絶縁層22b,22cが形成されていてもよい。
【0084】
また、送受信アンテナ部12、伝送路部13及び高周波回路部14の各領域において、導体層と絶縁層とで構成する積層構造の誘電率を要求される仕様に合わせることができるようにすることが望ましい。図23に示す例では、その仕様の一例として、第二の絶縁層22a,22b,22cがそれぞれ送受信アンテナ部12、伝送路部13及び高周波回路部14の3領域に形成されている。したがって、誘電率を要求される仕様に合わせることができるのであれば、3領域のすべてにそれぞれ異なる第2の絶縁層が形成されている必要はない。例えば、いずれか1つ領域若しくは2つの領域に異なる誘電率の第二の絶縁層が形成されているようにしてもよい。
【0085】
本実施形態では送受信アンテナ部12の領域全体に第二の絶縁層22aを形成しているが、送受信アンテナ部12の一部の領域に第二の絶縁層22aを形成してもよく、送受信アンテナ部12の領域に複数の誘電率の異なる絶縁層を平面的に配置して形成してもよい。例えば、2種類の周波数に対応した送受信アンテナを形成した場合は、低周波数側のアンテナ領域部に高い誘電率を保有する第二の絶縁層を形成し、高周波数側のアンテナ領域部に低い誘電率を保有する第二の絶縁層を形成する。このようにすることによって、低周波数側のアンテナは小さくすることを優先した設計にすることができ、高周波側のアンテナは放射効率を優先した設計にすることができる。
【0086】
また、図5及び図6に示した例のように、前述した実施形態と同様の手順により図23に示したフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。
【0087】
以上のように本実施形態のフレキシブル基板15は、他の実施形態よりも多種類の絶縁層が形成されているが、より小型化されており、伝送損失及び放射損失をさらに低減することができる。これにより、小型化と薄型化とを達成し、且つ高性能な無線通信モジュールを得ることができる。
【0088】
(その他の実施形態)
前述した各実施形態においては、導体層を、機能的に区別するために、高周波信号を伝達する信号層24a、接地電位を配したベタパターンであるグラウンド層24b、及び安定なグラウンド電位または電源電位に接続されたガード(シールド)層24cに分類して説明した。なお、本発明では、導体層はこれらに限定されるものでもなく、これらの層が複数存在するようにしてもよい。
【0089】
また、前述した第1〜第6の実施形態では、導体層であるグラウンド層24bは、伝送路部13から高周波回路部14に至るまで延展して繋ぎ目のない導体層として形成されている例について説明した。一方、送受信アンテナ部12から伝送路部13を通過して高周波回路部14に至るまで延展して繋ぎ目のない導体層としてグラウンド層24bが形成されていてもよい。
【0090】
なお、グラウンド層24b及びガード(シールド)層24cは、外部から受ける電磁波の影響と外部へ放出する電磁妨害波とを伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域で削減させる機能を有している。したがって、グラウンド層24b及びガード(シールド)層24cは、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域に設置することができる導体層であり、設計に応じて片方若しくは双方を省略することも可能である。
【0091】
また、接着剤層である第三の絶縁層23については、公知のフレキシブル基板の製造技術と同様に絶縁層と絶縁層との間、または導体層と絶縁層との間を接合する場合には、必ずしも必要とするものではない。
【0092】
前述した各実施形態のフレキシブル基板15において、ベースフィルムである第一の絶縁層21の片面または両面に導体層や第二の絶縁層22a,22bを積層法により形成する場合は、フレキシブル銅張板または多層フレキシブル基板の製造技術を利用することができる。また、導体層の導体パターンを形成する場合には、フレキシブルプリント配線基板における導体パターンの形成方法を利用することができる。
【0093】
また、前述した実施形態のフレキシブル基板15を用いた無線通信モジュール11は、より小型化及び薄膜化されており、さらに可撓性を保有している。このことから、各実施形態に係る無線通信モジュール11を通信機器等の制御装置に自在に搭載することが可能となり、信頼性の高い通信機器を作製することができる。
【0094】
図21は、無線通信モジュール11を制御装置40に装着した状態の一例を模式的に示す図である。
図21に示す例において、送受信アンテナ部12は、電波等の送受信効率を上げる機能を十分に発揮させるため、制御装置の筐体41に設けられた開口部43から外部に露出している。一方、送受信アンテナ部12と一体に繋がっている伝送路部13及び高周波回路部14は、要部で屈曲して制御装置40の内部機器42に装着されている。
【0095】
前述したように、各実施形態のフレキシブル基板15は、送受信アンテナ部12から伝送路部13を経由して高周波回路部14までにおいて導体層がつなぎ目無しに一体に形成されている。このため、このフレキシブル基板15を用いた無線通信モジュール11を制御装置などの機器に組み込む際に、制御装置の構造に容易に対応することができる。
【符号の説明】
【0096】
12 送受信アンテナ部
13 伝送路部
14 高周波回路部
15 フレキシブル基板
21 第一の絶縁層
22a,22b 第二の絶縁層
23 第三の絶縁層
24a 信号層
24b グラウンド層
25 第四の絶縁層
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、無線通信機器に使用可能なフレキシブルプリント配線基板及び無線通信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、デジタルカメラ、プリンタ等のモバイル機器を中心とした無線通信機器に用いられる無線通信モジュールは、小型化・薄膜化が求められている。さらに、安価で、かつ筺体内の設計自由度を向上させる観点から、モジュールの可撓性に対する要求も大きくなっている。
【0003】
図22は、従来の無線通信モジュール31の基本構成例を説明する図である。図22に示すように、無線通信モジュール31は、一般的に、送受信アンテナ部32と高周波回路部34とがそれぞれプリント基板に作製され、同軸ケーブルの伝送路部33を介して同軸コネクタ35で接続された構成となっている。電極36からは、入出力ライン37及びコネクタ39を介して高周波回路部34へ電力が供給され、制御・データ信号が入出力される。
【0004】
従来、アンテナ部はリジッドプリント基板を用いたものが主であり、そして伝送路部として同軸ケーブルを用いた構成が主であった。このため、無線通信モジュールが全体として大きく、小型の通信機器の狭い空間に配置することが困難であり、且つ高価であった。そこで、このような問題点を解消するために、様々な提案がされている。例えば特許文献1には、表面実装型アンテナを直接プリント基板に実装したものが開示されている。このように1つの基板で統一させることによって、インピーダンスを安定させるとともに、無線通信モジュールとして小型化できるようにしている。また、この特許文献1に記載されているフィルムセンサは、アンテナ部に可撓性を有するフィルム状の基板が採用されている。
【0005】
一方、無線通信モジュールを小型化させる他の技術として、特許文献2には、アンテナ部と伝送線路部とが一体となったストリップラインケーブルが開示されている。また、無線通信モジュールの信頼性を高める技術として、特許文献3には、アンテナと高周波回路との間に接続部分のないアンテナ装置が開示されている。一方、特許文献4には、アンテナ装置の小型化と薄型化とを図る目的で、アンテナ導体が設けられた絶縁体が異なる誘電率を保有する3層構成の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−111346号公報
【特許文献2】特開平8−242117号公報
【特許文献3】特開平11−214916号公報
【特許文献4】特開2004−135044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のフィルムセンサや特許文献2に記載のアンテナ部と伝送線路部とが一体となったストリップラインケーブルでは、アンテナ部に送受信させる高周波回路が別体となっている。このため、接続の信頼性が不十分であったり、接続用のコネクタを配置するために高価になってしまったりする課題が存在する。また、特許文献2に記載のストリップラインケーブルでは、アンテナ部が伝送線路部から延在した絶縁層と中心導体とから構成されているので、アンテナ部としてまたは伝送線路部として構成されたそれぞれの誘電体において、その機能と高周波信号とに対応した誘電率に設計することが難しい。また、特許文献3には、接続部分のないアンテナ装置が開示されており、回路部では、誘電率の高い材料で構成して電磁波の放射損失を少なくしているが、小型化、薄型化及び可撓性という観点では不十分であり、小型化及び軽量化が求められている通信機器への採用には不十分である。さらに、特許文献4に記載のアンテナ装置は、可撓性が不十分であるとともに接続の信頼性が不十分である。
【0008】
本発明は前述の問題点に鑑み、通信の信頼性を確保するとともに、小型化、薄膜化及び可撓性を備えたフレキシブルプリント配線基板及び無線通信モジュールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のフレキシブルプリント配線基板は、高周波信号を送受信する送受信アンテナ部と、前記高周波信号を伝送する伝送路部と、前記高周波信号を生成するとともに前記高周波信号を電子部品に供給する高周波回路部とを備え、前記送受信アンテナ部と、前記伝送路部と、前記高周波回路部とが絶縁性フィルムに一体に形成されており、前記絶縁性フィルムの片面または両面に、前記送受信アンテナ部、前記伝送路部及び前記高周波回路部において連続した導体層が形成され、さらに前記送受信アンテナ部の領域と、前記伝送路部及び高周波回路部の領域とで誘電率の異なる絶縁層が前記絶縁性フィルムに形成されていることを特徴とする。
また、本発明のフレキシブルプリント配線基板の他の特徴とするところは、高周波信号を送受信する送受信アンテナ部と、前記高周波信号を伝送する伝送路部と、前記高周波信号を生成するとともに前記高周波信号を電子部品に供給する高周波回路部とを備え、前記送受信アンテナ部と、前記伝送路部と、前記高周波回路部とが絶縁性フィルムに一体に形成されており、前記絶縁性フィルムの片面または両面に、前記送受信アンテナ部、前記伝送路部及び前記高周波回路部において連続した導体層が形成され、さらに、前記送受信アンテナ部の領域と、前記伝送路部の領域と、前記高周波回路部の領域とのうち、少なくとも1つの領域に他の領域と誘電率の異なる絶縁層が前記絶縁性フィルムに形成されていることである。
【0010】
本発明の無線通信モジュールは、前記の何れかに記載のフレキシブルプリント配線基板と、電子部品とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、通信の信頼性を確保するとともに、小型化、薄膜化及び可撓性を実現し、通信機器の筺体内に組み込む際に、設計の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信モジュールの概略構造の一例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の伝送路部における断面を観察した一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の伝送路部における断面を観察した他の一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の高周波回路部に電子部品が実装された無線通信モジュールの構造例の断面を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の高周波回路部に電子部品が実装された無線通信モジュールの他の構造例の断面を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した一例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した他の一例を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した一例を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の伝送路部における断面を観察した一例を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の伝送路部における断面を観察した他の一例を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した一例を示す図である。
【図13】本発明の第4の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した他の一例を示す図である。
【図14】本発明の第5の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した一例を示す図である。
【図15】本発明の第5の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の伝送路部における断面を観察した一例を示す図である。
【図16】本発明の第5の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の伝送路部における断面を観察した他の一例を示す図である。
【図17】本発明の第6の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した一例を示す図である。
【図18】本発明の第6の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した他の一例を示す図である。
【図19】本発明の第6の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察したその他の一例を示す図である。
【図20】本発明における信号層上の給電点の位置を説明する図である。
【図21】本発明のフレキシブル基板を用いた無線通信モジュールを制御機器に組み込んだ概念の一例を示す図である。
【図22】従来の無線通信モジュールの基本構成例を示す図である。
【図23】本発明の第7の実施形態において、フィルム状のフレキシブル基板の断面を長手方向から観察した一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の無線モジュールに用いられるフレキシブルプリント配線基板(以下、フレキシブル基板と略す)の導体層及び絶縁層に関するいくつかの構成を例示する。また、これらのフレキシブル基板に必要な電子部品を搭載した本発明の無線通信モジュールについて例示する。
【0014】
本発明の無線モジュールは、外部機器との間で高周波信号を送受信する送受信アンテナ部と、前記高周波信号を生成するとともに前記高周波信号を電子部品に供給する高周波回路部と、前記高周波回路部と前記送受信アンテナ部との間で前記高周波信号を伝送する伝送路部とが、絶縁体からなる可撓性フィルムである一枚のベースフィルムの片面上若しくは両面上に一体に形成されたフレキシブル基板から構成されている。後述する実施形態においては、この一枚のベースフィルムである可撓性フィルムを第一の絶縁層と呼ぶ。以下、この第一の絶縁層の送受信アンテナ部の領域と伝送路部から高周波回路部に亘る領域とに、誘電率の異なる絶縁層を少なくとも一層配置することによって、この二つの領域における誘電率を制御したフレキシブル基板について説明する。また、本発明において、以下に説明する第一〜第四の絶縁層は誘電材料からなるものであり、導体層間を絶縁するだけではなく、導体層の上下を覆い、外部と絶縁保護する膜状の絶縁体または誘電体を含む概念である。
【0015】
さらに、本発明に係るフレキシブル基板には、導体層の少なくとも一層が、繋ぎ部分なく送受信アンテナ部から伝送路部を介して高周波回路部に至るまで延展して連続的に形成されている。つまり、シームレスな導体層で形成されている。このようなシームレスな導体層は、同一なプロセスで形成され、連続的状態で電気伝導が容易な金属等で製作された薄膜層を用いることができる。なお、複数の導体層を有する場合、各層は重層的な層で形成される。
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図1から図5を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る無線通信モジュール11の概略構造の一例を示す図である。
図1に示すように、可撓性を有するフィルム状のフレキシブル基板15に、高周波信号を送受信する送受信アンテナ部12と、高周波信号を伝送する伝送路部13と、高周波回路部14との各ユニットが形成されている。また、フレキシブル基板15には外部接続用電極19が接続されており、さらに、導体層が連続的に形成されている。導体層は、送受信アンテナ部導体層16、伝送部導体層17及び高周波回路部導体層18から構成されている。
【0017】
図2は、本実施形態に係るフィルム状のフレキシブル基板15の一例であって、長手方向に平行な断面を示す図である。以下、各図の説明において、図中の矢印10の向きを上側と呼び、矢印10と逆向きを下側と呼ぶ。
【0018】
図2に示すように、フレキシブル基板15は、送受信アンテナ部12の領域と、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とでそれぞれ異なる誘電率の絶縁層からなる誘電体を形成している。フレキシブル基板15用のベースフィルムである第一の絶縁層21の上側には、接着剤層である第三の絶縁層23を介して、送受信アンテナ部12において第二の絶縁層22aが形成され、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域において第二の絶縁層22bが形成されている。ここで、第二の絶縁層22a,22bは、互いに誘電率の異なる材料である。
【0019】
さらに、第二の絶縁層22a,22bの上側には、接着剤層である第三の絶縁層23を介して、送受信アンテナ部12から伝送路部13を経由して高周波回路部14まで信号層24aがシームレスに延展して形成されている。さらにその上側には、保護層として第四の絶縁層25が第二の絶縁層22a,22b、第三の絶縁層23及び信号層24aを覆うように形成されている。なお、本実施形態の導体層である信号層24aは、信号配線として送受信アンテナ部12から伝送路部13を通過して高周波回路部14に至るまで延展して繋ぎ目なく形成されている。そのため、高周波特性と接続の信頼性が高い。
【0020】
一方、第一の絶縁層21の下側には、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域に接着剤層である第三の絶縁層23を介してグラウンド層24bが形成されている。このようにグラウンド層24bは、伝送路部13から高周波回路部14の領域まで亘る導体層としてシームレスに形成されている。なお、第一の絶縁層21の送受信アンテナ部12の領域の下側には接着剤層を設ける必要はない。
【0021】
さらに、送受信アンテナ部12における第一の絶縁層21の下側面とグラウンド層24bの下側面とを覆うように第四の絶縁層25が形成されている。なお、この保護層として機能する第四の絶縁層は、導体層が露出するのを防止することを主目的とする場合には、第四の絶縁層25は第一の絶縁層21の下側面を覆わずに開口された構造にしてもよい。
【0022】
次に、図2に示す各層について説明する。
図2において、送受信アンテナ部12における信号層24aの送受信アンテナ部導体層16に相当する領域は、紙面直交方向に公知の逆F型アンテナやL字アンテナ、ミアンダ、フォールデッドダイポールアンテナ等の平面形状のアンテナパターンとして形成されている。
【0023】
一方、伝送路部13における信号層24aの伝送路部導体層17に相当する領域の導体パターンは、第一の絶縁層21、第二の絶縁層22a,22b、第三の絶縁層23及び第四の絶縁層25の材料に依存して、高周波信号の送受信におけるインピーダンスの整合を最適化させるような寸法形状が設計されている。なお、伝送路部13において、インピーダンスを整合するために、信号層24aの導体パターンの一部の寸法形状を広く形成し、グラウンド層24bとのコンデンサを形成してもよい。また、必要に応じてL(コイル)、C(コンデンサ)等のインピーダンス調整素子を配置してもよい。
【0024】
また、信号層24a及びグラウンド層24bは、銅箔または金属配線等により形成することができる。銅箔を用いる場合は、接着剤層等で貼り合わせたフィルムを用い、フォトリソ・エッチングプロセスで必要な電極パターンを形成することができる。また、インクジェットにより描画して金属配線を形成する場合は、金属粒子を含んだ高分子インクをインクジェット法で必要なパターンに描画し、フィルムのガラス転移点(Tg)以下の温度で焼成して高分子インクを焼失させることにより、金属配線パターンを形成することができる。このインクジェットによる描画で形成した金属配線の厚みは0.05μmから5μm程度に選択することができる。
【0025】
第一の絶縁層21及び第二の絶縁層22a,22bには、以下のような有機材料からなるフィルムやシート形状を用いる。比誘電率が3〜5の比較的高い値を保有する材料を用いる場合は、例えば、ポリイミド、ナイロン、ポリエチレンテレフタラート、エポキシ樹脂、ガラスエポキシ、マイカといった材料を用いる。また、比誘電率が3を下回る低誘電率の材料を用いる場合は、例えば、液晶ポリマー、シクロオレフィンポリマーといった材料を用いる。また、比誘電率が5を超える高誘電率の材料を用いる場合は、強誘電体ポリマーまたは有機半導体誘電体層等の公知な高分子材料を用いる。このような材料からなる第一の絶縁層21及び第二の絶縁層22a,22bの厚みは、数μmから数百μmとする。
【0026】
また、本実施形態において、送受信アンテナ部12に形成される第二の絶縁層22aと、伝送路部13から高周波回路部14に亘って形成される第二の絶縁層22bとの境界は、信号層24a上の給電点により決定される。ここで給電点とは、高周波電力を電磁波として空間に放射したり空間の電磁波を高周波電力として受信したりする送受信アンテナ部12に高周波電力を供受給するための、送受信アンテナ部と伝送路部の給電線との接合部と定義している。なお、図20に示すように、給電点20は、単に信号層24a上の場所を示すものであり、信号層24aそのものはシームレスな導体層である。
【0027】
接着剤層である第三の絶縁層23には、アクリル系、エポキシ系、シリコーン系等の公知の接着剤が用いられる。接着剤の塗布方法については、シート状の接着剤層を貼り合わせる方法、液状の接着剤をディスペンサまたは印刷法等により塗布して熱または紫外線照射等によって硬化する方法などを用いることができる。図2においては、説明を簡便にするために、第一の絶縁層21と第二の絶縁層22a,22bとを接着する接着剤層と、第二の絶縁層22a,22bと導体層である信号層24aまたはグラウンド層24bとを接着する接着剤層とで同じ符号で表記している。一方、これらの接着剤層を形成する際には、別材料・別プロセスを採用してもよく、各々の接着剤層の膜厚が異なっていてもよい。第三の絶縁層23の厚みは、誘電体としての影響が少ないほうが、他の絶縁層の厚み設計の自由度の点で優位であるから、10分の数μmから数十μmとする。
【0028】
第四の絶縁層25の材料は、第一の絶縁層21、または第二の絶縁層22a,22bの材料と同じものを用いることができる。また、第三の絶縁層23として用いられる接着剤と同じ材料を用いてもよい。さらに、プリント配線板の製造に用いられるソルダーレジスト等の保護材料を用いてもよい。図2に示す例では、第四の絶縁層25の材料をソルダーレジスト用材料としており、接着剤層を不要としている。一方、第四の絶縁層25にポリイミド、ナイロン等のフィルム状の材料を用いる場合は、接着剤層が必要となる。
【0029】
また、図2において、第一の絶縁層21から第四の絶縁層25によって構成される誘電体(特に、第二の絶縁層22a,22b)の誘電率の設定については、無線通信モジュールの設計によって異なる。
【0030】
例えば、送受信アンテナ部12をより小さくすることを優先した設計を行う場合は、以下の材料を用いる。送受信アンテナ部12の第二の絶縁層22aには、前述した誘電率の高い材料を用い、伝送路部13及び高周波回路部14の第二の絶縁層22bには、誘電損失ならびに遅延を抑制しするために、誘電率の低い材料を用いる。
【0031】
一方、送受信アンテナ部12からの電磁波の放射効率を高くすることを優先した設計を行う場合は、以下の材料を用いる。まず、送受信アンテナ部12の第二の絶縁層22aには、前述した誘電率の低い材料を用いることによって、上方の空間側への放射効率を向上させる。そして、伝送路部13及び高周波回路部14の第二の絶縁層22bには、余計な電磁波や電波の放射を抑制するために、誘電率の高い材料を用いる。
【0032】
以上のように、設計の目的等に応じて第二の絶縁層22a,22bには、誘電率の異なる材料を選択する。これにより、送受信アンテナ部12の領域と伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とで誘電率の異なる絶縁層が積層されたフレキシブル基板15を製作することができる。なお、第二の絶縁層22a,22bで誘電率が異なるようにする場合に、比誘電率で0.5以上の差異になることが現実的に有意である。
【0033】
このように本実施形態に係るフレキシブル基板15は、送受信アンテナ部12の領域と伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とで比誘電率が相違する。なお、比誘電率の測定は、JIS−C6481等により測定することができる。
【0034】
図3は、フレキシブル基板15の伝送路部13での長手方向に直交する断面を示す図である。図3に示す例では、伝送路部13は、いわゆるコプレーナ線路構造となっている。信号層24aは、中央の信号配線を挟んで両側にグラウンド電位を有するガードパターンが形成されており、合計で3本の配線から形成されている。また、この信号層24aとは反対側に、第二の絶縁層22b、第一の絶縁層21及び第三の絶縁層23を挟んでグラウンド層24bが形成されている。また、保護層として第四の絶縁層25が、信号層24aの上側及びグラウンド層24bの下側に密着して覆うように形成されている。
【0035】
一方、図3に示すようなコプレーナ線路構造の代わりに、図4に示すようなトリプレート構造を適用してもよい。図4は、トリプレート構造を適用した場合の伝送路部13での長手方向に直交する断面を示す図である。図4に示す例では、信号層24aの上側には、接着剤層である第三の絶縁層23が第二の絶縁層22b及び信号層24aを覆うように形成されている。そして、さらにその上側には、ガード(シールド)層24cが形成されている。また、図3に示した例と同様に、グラウンド層24bが第一の絶縁層21の下方に形成されている。そして、保護層として第四の絶縁層25が、ガード(シールド)層24cの上側及びグラウンド層24bの下側に密着して覆うように形成されている。
【0036】
図3または図4に示すように、伝送路部13をコプレーナ線路構造またはトリプレート構造で構成することによって、信号線に対して外来放射ノイズの影響を受けにくくするとともに、信号線自身から発せられるスプリアスを抑制することができる。また、コプレーナ線路構造かトリプレート構造かの選択は、通信機器の配置設計で適宜選択することができる。
【0037】
次に、本実施形態におけるフレキシブル基板15の高周波回路部14の構造について説明する。
図5は、フレキシブル基板15にチップ抵抗、チップコンデンサ、チップコイル等のチップ受動電子部品51が実装された高周波回路部14の一例であって、長手方向に直交する断面を示す図である。図5に示す例は、マイクロストリップ線路のコプレーナ線路構造である無線通信モジュール11の一例である。
【0038】
図5に示す構造の作製手順としては、まず、第四の絶縁層25のうち、部品が実装される部位を開口状態とし、信号層24aの一部を露出させる。そして、導体面にクリーム半田52を印刷で塗布した後にマウンターでチップ受動電子部品51を積載し、リフロー方式によってチップ受動電子部品51が実装された構造とすることができる。
【0039】
また、図4に示したように、ガード(シールド)層24cが形成されているトリプレート構造の場合は、さらにガード(シールド)層24cとその下に形成された第三の絶縁層23とを開口状態にして信号層24aを露出させる。これにより、チップ受動電子部品51をフレキシブル基板15に実装することができる。なお、図5にはチップ部品の例を示したが、SMT実装用のIC、LSIも同様にフレキシブル基板15に実装することができる。
【0040】
図6は、マイクロバンプ62を用いてベアチップIC61が実装された高周波回路部14の一例であって、長手方向に直交する断面を示す図である。図6に示す構造の作製手順としては、まず、ベアチップIC61を実装するためのマイクロバンプ62が形成される部位において、第四の絶縁層25を図5と同様に開口状態にする。そして、マイクロバンプ62付のベアチップIC61を積載し、リフローで半田により実装させる。その後、アンダーフィル63をディスペンス塗布し、熱硬化またはUV硬化によりアンダーフィル63を硬化させてベアチップIC61を実装させる。
【0041】
このように本実施形態に係るフレキシブル基板15を用いて、図5または図6に示す構造のように、必要な部品を実装することによって無線通信モジュール11を製作することができる。
【0042】
以上のように本実施形態のフィルム状のフレキシブル基板15に導体層として形成されている信号層24a、及びグラウンド層24b(並びにガード(シールド)層24c)は、これらの導体層のうち、少なくとも一層が、送受信アンテナ部12、伝送路部13及び高周波回路部14の各ユニットに跨る導体層であり、且つその少なくとも一層がシームレスに形成されている。
【0043】
したがって、本実施形態の無線通信モジュール11には、RF信号を送受信する送受信アンテナ部12と、RF信号(高周波信号)を伝送する伝送路部13と、高周波回路部14とにおいて導体層がシームレスに形成されたフレキシブル基板15が用いられている。このため、接続の信頼性が高く、さらには無線通信モジュールを小型化して薄膜化することができる。また、可撓性を保有することから、通信機器内において無線通信モジュール11を自在に配置することが可能となり、小型で信頼性の高い通信機器を得ることができる。
【0044】
なお、導体層である信号層24a、及びグラウンド層24b(並びにガード(シールド)層24c)は、それぞれ同じ材質及びプロセスにより形成するようにしてもよい。また、各々異なる材質及びプロセスにより形成するようにしてもよい。さらには、各々の導体層の膜厚が異なっていてもよく、5μm〜50μmの厚みの銅箔またはアルミ箔を選択してこれらの導体層を形成することができる。
【0045】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について、図7及び図8を参照しながら説明する。
図7及び図8は、それぞれ本実施形態におけるフィルム状のフレキシブル基板15の一例であって、長手方向に平行な断面を示す図である。
【0046】
図7におけるフレキシブル基板15も、第1の実施形態と同様に、送受信アンテナ部12の領域と、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とで、それぞれ異なる誘電率の絶縁層からなる誘電体を形成している。第1の実施形態で図2に示した構造と異なる点は、送受信アンテナ部12の領域において第二の絶縁層22aが形成されていない点である。なお、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域には、第1の実施形態と同様に第二の絶縁層22bが形成されている。この第二の絶縁層22bは、第一の絶縁層21及び第三の絶縁層23とは相対的に誘電率が異なる材料からなる。
【0047】
また、図7に示す例では、伝送路部13及び高周波回路部14の構造、及び導体層、絶縁層の材料については第1の実施形態と同様である。さらに、図5及び図6に示した例のように、第1の実施形態と同様の手順により図7に示したフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。
【0048】
また、図8におけるフレキシブル基板15も、第1の実施形態と同様に、送受信アンテナ部12と、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とで、それぞれ異なる誘電率の絶縁層からなる誘電体を形成している。第1の実施形態で図2に示した構造と異なる点は、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域において第二の絶縁層22bが形成されていない点である。なお、送受信アンテナ部12の領域には、第1の実施形態と同様に第二の絶縁層22aが形成されている。この第二の絶縁層22aは、第一の絶縁層21及び第三の絶縁層23とは相対的に誘電率が異なる材料からなる。
【0049】
なお、図7に示す第二の絶縁層22aと図8に示す第二の絶縁層22bとでは、誘電率が異なるようにする。また、導体層及び実装する電子部品については、第1の実施形態と同様である。
【0050】
また、図8に示す例では、伝送路部13及び高周波回路部14の構造は、第二の絶縁層22bが形成されていない点を除いて、第1の実施形態と同様であり、導体層及び絶縁層の材料については第1の実施形態と同様である。また、図5及び図6に示した例のように、第1の実施形態と同様の手順により図8に示したフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。
【0051】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について、図9から図11を参照しながら説明する。
図9は、本実施形態におけるフィルム状のフレキシブル基板15の一例であって、長手方向に平行な断面を示す図である。
図9におけるフレキシブル基板15も、第1の実施形態と同様に、送受信アンテナ部12の領域と、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とで、それぞれ異なる誘電率の絶縁層からなる誘電体を形成している。本実施形態では、第一の絶縁層21の上側には、接着剤層である第三の絶縁層23が形成され、さらにその上側に送受信アンテナ部12の領域から伝送路部13及び高周波回路部14の領域まで亘って信号層24aがシームレスに形成されている。このように本実施形態の導体層である信号層24aは、信号配線として送受信アンテナ部12から伝送路部13を通過して高周波回路部14に至るまで延展して繋ぎ目なく形成されている。
【0052】
一方、第一の絶縁層21の下側にも接着剤層である第三の絶縁層23が形成されている。さらにその下側には、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域に第二の絶縁層22bが形成され、送受信アンテナ部12の領域に第二の絶縁層22aが形成されている。なお、第二の絶縁層22a,22bは、互いに誘電率の異なる材料である。
【0053】
さらに、第二の絶縁層22bの下側には、第三の絶縁層23を介してグラウンド層24bが密着形成されている。このようにグラウンド層24bは、伝送路部13から高周波回路部14の領域まで亘る導体層としてシームレスに形成されている。また、図9に示すように、第四の絶縁層25が、信号層24aの上側と、第二の絶縁層22aの下側と、グラウンド層24bの下側とを連続して保護層として覆うように形成されている。なお、第四の絶縁層25の形成が導体層の露出表面の保護を主目的とする場合は、第四の絶縁層25が第二の絶縁層22aの下側を覆わずに開口された構造にしてもよい。
【0054】
図10は、本実施形態において、フレキシブル基板15での伝送路部13における長手方向に直交する断面で示す図である。図10に示す例では、伝送路部13は、いわゆるコプレーナ線路構造となっており、図3と同様に、第三の絶縁層23の上側面に信号層24aが3本の配線として形成されている。
【0055】
また、図10に示すようなコプレーナ線路構造の代わりに、図11に示すようなトリプレート構造を適用してもよい。図11は、トリプレート構造を適用した場合の伝送路部13での長手方向に直交する断面を示す図である。図11に示す例では、第1の実施形態と同様に、信号層24aの上側に信号層24aを覆うように第三の絶縁層23が形成され、さらにその上にガード(シールド)層24cが形成されている。
【0056】
また、図5及び図6に示した例のように、第1の実施形態と同様の手順により本実施形態においてもフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。
【0057】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態について、図12及び図13を参照しながら説明する。
図12及び図13は、それぞれ本実施形態におけるフィルム状のフレキシブル基板15の一例であって、長手方向に平行な断面を示す図である。
【0058】
図12におけるフレキシブル基板15も、第3の実施形態と同様に、送受信アンテナ部12の領域と、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とで、それぞれ異なる誘電率の誘電体を形成している。第3の実施形態で図9に示した構成と異なる点は、送受信アンテナ部12の領域の第一の絶縁層21の下側において、接着剤層である第三の絶縁層23及び第二の絶縁層22aが形成されていない点である。
【0059】
また、図12に示す例では、伝送路部13及び高周波回路部14の構造、及び導体層、絶縁層の材料については第3の実施形態と同様である。さらに、図5及び図6に示した例のように、第1の実施形態と同様の手順により図12に示したフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。
【0060】
また、図13に示す例も同様に、送受信アンテナ部12の領域と、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とで、それぞれ異なる誘電率の絶縁層からなる誘電体を形成している。第3の実施形態で図9に示した構成と異なる点は、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域において第二の絶縁層22bが形成されていない点である。したがって、この領域では、フレキシブル基板15の基材フィルムである第一の絶縁層21の下側には、第三の絶縁層23を介してグラウンド層24bが直接接着されている。
【0061】
また、図13に示す例では、伝送路部13及び高周波回路部14の構造は、第二の導体層22bが形成されていない点を除いて、第3の実施形態と同様であり、導体層及び絶縁層の材料については第3の実施形態と同様である。また、図5及び図6に示した例のように、第1の実施形態と同様の手順により図13に示したフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。
【0062】
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態について、図14から図16を参照しながら説明する。
図14は、本実施形態におけるフィルム状のフレキシブル基板15の一例であって、長手方向に平行な断面を示す図である。
【0063】
図14に示す例では、第一の絶縁層21の上側には、接着剤層である第三の絶縁層23が形成され、さらにその上側に送受信アンテナ部12の領域から伝送路部13及び高周波回路部14の領域まで亘って信号層24aがシームレスに形成されている。このように本実施形態の導体層である信号層24aは、信号配線として送受信アンテナ部12から伝送路部13を通過して高周波回路部14に至るまで延展して繋ぎ目なく形成されている。
【0064】
本実施形態では、さらに信号層24aの上側に第三の絶縁層23を介して第二の絶縁層22a,22bが形成されている。また、本実施形態においても、送受信アンテナ部12の領域と、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とで、それぞれ異なる誘電率の誘電体を形成している。具体的には、送受信アンテナ部12の領域には第二の絶縁層22aが形成され、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域には第二の絶縁層22bが形成されている。なお、第二の絶縁層22a,22bは、それぞれ誘電率の異なる材料である。
【0065】
さらに、第二の絶縁層22a,22bの上側には、送受信アンテナ部12から伝送路部13を経由して高周波回路部14に亘るまで、保護層として第四の絶縁層25が、信号層24a及び第二の絶縁層22a,22bを覆うようにシームレス形成されている。なお、第四の絶縁層25の形成が導体層の露出表面の保護を主目的とする場合には、第四の絶縁層25が第二の絶縁層22a,22bの上側を覆わずに開口された構造としてもよい。また、フレキシブル基板15用のベースフィルムからなる第一の絶縁層21の下側の構造は、第1の実施形態における図2で説明した構造と同様である。
【0066】
次に、図15及び図16を参照しながら、本実施形態の伝送路部13の構造が、第3の実施形態の図10及び図11に示した構造と相違する点について説明する。
図15は、本実施形態においてフレキシブル基板15の伝送路部13での長手方向に直交する断面を示す図である。図15に示す例では、伝送路部13は、いわゆるコプレーナ線路構造となっており、3本の配線からなる信号層24aの上側には、信号層24aを覆うように第三の絶縁層23が形成されている。さらにその上側には、第三の絶縁層23を覆うように第二の絶縁層22bが形成されている。また、第二の絶縁層22bの上側には、保護層として第四の絶縁層25が第二の絶縁層22bを覆うように形成されている。
【0067】
一方、第二の絶縁層22bが形成されていない第一の絶縁層の下側には、第三の絶縁層23を介して、グラウンド電位を配したグラウンド層24bが形成されている。そして、その下側には、保護層として第四の絶縁層25が第三の絶縁層23及びグラウンド層24bを覆うように形成されている。
【0068】
一方、図15に示すようなコプレーナ線路構造の代わりに、図16に示すようなトリプレート構造を適用してもよい。図16は、本実施形態においてトリプレート構造を適用した場合の伝送路部13での長手方向に直交する断面を示す図である。図16に示す例では、第二の絶縁層22bの上側に第三の絶縁層23が形成され、さらにその上側にガード(シールド)層24cが形成させている。そして、保護層として第四の絶縁層25が、第二の絶縁層22b、第三の絶縁層23及びガード(シールド)層24cを覆うように形成されている。なお、第二の絶縁層22bが形成されていない裏面側は図15と同様の構造である。
【0069】
また、図5及び図6に示した例のように、第1の実施形態と同様の手順により本実施形態においてもフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。この場合、第四の絶縁層25のみならず、さらに第二の絶縁層22bとその下側に形成された第三の絶縁層23とを開口状態にして信号層24aを露出させる。また、図16に示すようなトリプレート構造である場合には、さらにガード(シールド)層24cを開口して信号層24aを露出させる。
【0070】
(第6の実施形態)
以下、本発明の第6の実施形態について、図17及び図18を参照しながら説明する。
図17及び図18は、それぞれ本実施形態におけるフィルム状のフレキシブル基板15の一例であって、長手方向に平行な断面を示す図である。
【0071】
図17におけるフレキシブル基板15も、第5の実施形態と同様に、送受信アンテナ部12の領域と、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とでそれぞれ異なる誘電率の絶縁層からなる誘電体を形成している。第5の実施形態で図14に示した構造と異なる点は、送受信アンテナ部12の領域において、第二の絶縁層22a及びその下側の第三の絶縁層23が形成されていない点である。なお、第四の絶縁層25の形成が導体層の露出表面の保護を主目的とする場合には、第二の絶縁層22bの上側を覆わずに開口された構造としてもよい。
【0072】
また、図17に示す例では、伝送路部13及び高周波回路部14の構造、及び導体層、絶縁層の材料については第5の実施形態と同様である。さらに、図5及び図6に示した例のように、第5の実施形態と同様の手順により図17に示したフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。
【0073】
図18に示す例も、送受信アンテナ部12の領域と、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域とで、それぞれ異なる誘電率の絶縁層からなる誘電体を形成している。第5の実施形態で図14に示した構造と異なる点は、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域において、第二の絶縁層22b及びその下側の第三の絶縁層23が形成されていない点である。
【0074】
また、図18に示す例では、伝送路部13及び高周波回路部14の構造、及び導体層、絶縁層の材料については第2の実施形態で説明した図8の例と同様である。さらに、図5及び図6に示した例のように、第1の実施形態と同様の手順により図18に示したフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。
【0075】
図19は、本実施形態におけるフィルム状のフレキシブル基板15の他の一例であって、長手方向に平行な断面を示す図である。図18に示す構成と異なる点は、信号層24aの上側に第三の絶縁層23を介してグラウンド層24bが形成されている点である。この場合、第一の絶縁層21の下側には何も形成されていない構造となる。すなわち、図19に示す構造は、第2の絶縁層22a,22b、信号層24a、グラウンド層24b、及び第四の絶縁層25の全てが、第一の絶縁層21の片側面に積層された構造である。
【0076】
このように図19に示す例は構造が比較的単純であり、製造することも容易である。また、本実施形態のフレキシブル基板15は、他の実施形態で説明したフレキシブル基板15に比べ、絶縁層が少ない構成であり、より小型化及び薄型化を達成することができ、さらに製造コストが優位であるとともに、より可撓性も向上させることができる。
【0077】
また、図5及び図6に示した例のように、第1の実施形態と同様の手順により図19に示したフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。この場合、第四の絶縁層25のみならず、さらにグラウンド層24bとその下側に形成された第三の絶縁層23とを開口状態にして信号層24aを露出させる。
【0078】
(第7の実施形態)
以下、本発明の第7の実施形態について、図23を参照しながら説明する。
図23は、本実施形態におけるフィルム状のフレキシブル基板15の一例であって、長手方向に平行な断面を示す図である。
【0079】
図23におけるフレキシブル基板15は、送受信アンテナ部12の領域、伝送路部13の一部の領域、及び高周波回路部14の一部の領域にそれぞれ異なる誘電率の第二の絶縁層22a,22b,22cが積層された誘電体を形成している。第6の実施形態で図18に示した構造と異なる点は、伝送路部13の一部の領域と高周波回路部14の一部の領域とにそれぞれ、第二の絶縁層22b,22cが形成されている点である。すなわち、第一の絶縁層21と第一絶縁層21より上側に形成された信号層24aとの間に、それぞれ第二の絶縁層22b,22cが形成されている。
【0080】
なお、送受信アンテナ部12の領域の第二の絶縁層22aは、第6の実施形態の図18に示した位置と同じ位置に形成されている。また、本実施形態の導体層である信号層24aは、信号配線として送受信アンテナ部12から伝送路部13を通過して高周波回路部14に至るまで延展して繋ぎ目なく形成されている。
【0081】
第二の絶縁層22a,22b,22cはそれぞれ、設計に応じて比誘電率を任意に選択できるが、図23に示す例では、比誘電率は、第二の絶縁層22a,22b,22cの順に小さくしている。送受信アンテナ部12では、アンテナの面積を小さく設計することが重要であるため、絶縁層の比誘電率を高くして、電磁波の放射導体となる信号層24aよりも上側に第二の絶縁層22aを形成するようにしている。
【0082】
一方、伝送路部13では、伝送路部13の細い配線からなる信号層24aの下側に第二の絶縁層22bが形成されている。伝送路部13では、伝送する信号の誘電損失や遅延を抑制することが重要であるため、第二の絶縁層22bは第二の絶縁層22aよりも小さい比誘電率の絶縁層としている。一方で、上方の空間側への放射効率を低減させることも重要であるため、第二の絶縁層22bは第二の絶縁層22cよりも大きい比誘電率の絶縁層としている。
【0083】
なお、本実施形態における第二の絶縁層22b,22cは、必ずしも、第一の絶縁層21と信号層24aとの間に形成されている必要はない。例えば、信号層24aの上側に第二の絶縁層22b,22cが形成されていてもよく、第一の絶縁層21の下側若しくはグラウンド層24bの下側に第二の絶縁層22b,22cが形成されていてもよい。
【0084】
また、送受信アンテナ部12、伝送路部13及び高周波回路部14の各領域において、導体層と絶縁層とで構成する積層構造の誘電率を要求される仕様に合わせることができるようにすることが望ましい。図23に示す例では、その仕様の一例として、第二の絶縁層22a,22b,22cがそれぞれ送受信アンテナ部12、伝送路部13及び高周波回路部14の3領域に形成されている。したがって、誘電率を要求される仕様に合わせることができるのであれば、3領域のすべてにそれぞれ異なる第2の絶縁層が形成されている必要はない。例えば、いずれか1つ領域若しくは2つの領域に異なる誘電率の第二の絶縁層が形成されているようにしてもよい。
【0085】
本実施形態では送受信アンテナ部12の領域全体に第二の絶縁層22aを形成しているが、送受信アンテナ部12の一部の領域に第二の絶縁層22aを形成してもよく、送受信アンテナ部12の領域に複数の誘電率の異なる絶縁層を平面的に配置して形成してもよい。例えば、2種類の周波数に対応した送受信アンテナを形成した場合は、低周波数側のアンテナ領域部に高い誘電率を保有する第二の絶縁層を形成し、高周波数側のアンテナ領域部に低い誘電率を保有する第二の絶縁層を形成する。このようにすることによって、低周波数側のアンテナは小さくすることを優先した設計にすることができ、高周波側のアンテナは放射効率を優先した設計にすることができる。
【0086】
また、図5及び図6に示した例のように、前述した実施形態と同様の手順により図23に示したフレキシブル基板15に電子部品を搭載して無線通信モジュール11を作製することができる。
【0087】
以上のように本実施形態のフレキシブル基板15は、他の実施形態よりも多種類の絶縁層が形成されているが、より小型化されており、伝送損失及び放射損失をさらに低減することができる。これにより、小型化と薄型化とを達成し、且つ高性能な無線通信モジュールを得ることができる。
【0088】
(その他の実施形態)
前述した各実施形態においては、導体層を、機能的に区別するために、高周波信号を伝達する信号層24a、接地電位を配したベタパターンであるグラウンド層24b、及び安定なグラウンド電位または電源電位に接続されたガード(シールド)層24cに分類して説明した。なお、本発明では、導体層はこれらに限定されるものでもなく、これらの層が複数存在するようにしてもよい。
【0089】
また、前述した第1〜第6の実施形態では、導体層であるグラウンド層24bは、伝送路部13から高周波回路部14に至るまで延展して繋ぎ目のない導体層として形成されている例について説明した。一方、送受信アンテナ部12から伝送路部13を通過して高周波回路部14に至るまで延展して繋ぎ目のない導体層としてグラウンド層24bが形成されていてもよい。
【0090】
なお、グラウンド層24b及びガード(シールド)層24cは、外部から受ける電磁波の影響と外部へ放出する電磁妨害波とを伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域で削減させる機能を有している。したがって、グラウンド層24b及びガード(シールド)層24cは、伝送路部13から高周波回路部14に亘る領域に設置することができる導体層であり、設計に応じて片方若しくは双方を省略することも可能である。
【0091】
また、接着剤層である第三の絶縁層23については、公知のフレキシブル基板の製造技術と同様に絶縁層と絶縁層との間、または導体層と絶縁層との間を接合する場合には、必ずしも必要とするものではない。
【0092】
前述した各実施形態のフレキシブル基板15において、ベースフィルムである第一の絶縁層21の片面または両面に導体層や第二の絶縁層22a,22bを積層法により形成する場合は、フレキシブル銅張板または多層フレキシブル基板の製造技術を利用することができる。また、導体層の導体パターンを形成する場合には、フレキシブルプリント配線基板における導体パターンの形成方法を利用することができる。
【0093】
また、前述した実施形態のフレキシブル基板15を用いた無線通信モジュール11は、より小型化及び薄膜化されており、さらに可撓性を保有している。このことから、各実施形態に係る無線通信モジュール11を通信機器等の制御装置に自在に搭載することが可能となり、信頼性の高い通信機器を作製することができる。
【0094】
図21は、無線通信モジュール11を制御装置40に装着した状態の一例を模式的に示す図である。
図21に示す例において、送受信アンテナ部12は、電波等の送受信効率を上げる機能を十分に発揮させるため、制御装置の筐体41に設けられた開口部43から外部に露出している。一方、送受信アンテナ部12と一体に繋がっている伝送路部13及び高周波回路部14は、要部で屈曲して制御装置40の内部機器42に装着されている。
【0095】
前述したように、各実施形態のフレキシブル基板15は、送受信アンテナ部12から伝送路部13を経由して高周波回路部14までにおいて導体層がつなぎ目無しに一体に形成されている。このため、このフレキシブル基板15を用いた無線通信モジュール11を制御装置などの機器に組み込む際に、制御装置の構造に容易に対応することができる。
【符号の説明】
【0096】
12 送受信アンテナ部
13 伝送路部
14 高周波回路部
15 フレキシブル基板
21 第一の絶縁層
22a,22b 第二の絶縁層
23 第三の絶縁層
24a 信号層
24b グラウンド層
25 第四の絶縁層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波信号を送受信する送受信アンテナ部と、前記高周波信号を伝送する伝送路部と、前記高周波信号を生成するとともに前記高周波信号を電子部品に供給する高周波回路部とを備え、
前記送受信アンテナ部と、前記伝送路部と、前記高周波回路部とが絶縁性フィルムに一体に形成されており、
前記絶縁性フィルムの片面または両面に、前記送受信アンテナ部、前記伝送路部及び前記高周波回路部において連続した導体層が形成され、
さらに前記送受信アンテナ部の領域と、前記伝送路部及び高周波回路部の領域とで誘電率の異なる絶縁層が前記絶縁性フィルムに形成されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線基板。
【請求項2】
高周波信号を送受信する送受信アンテナ部と、前記高周波信号を伝送する伝送路部と、前記高周波信号を生成するとともに前記高周波信号を電子部品に供給する高周波回路部とを備え、
前記送受信アンテナ部と、前記伝送路部と、前記高周波回路部とが絶縁性フィルムに一体に形成されており、
前記絶縁性フィルムの片面または両面に、前記送受信アンテナ部、前記伝送路部及び前記高周波回路部において連続した導体層が形成され、
さらに、前記送受信アンテナ部の領域と、前記伝送路部の領域と、前記高周波回路部の領域とのうち、少なくとも1つの領域に他の領域と誘電率の異なる絶縁層が前記絶縁性フィルムに形成されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線基板。
【請求項3】
前記他の領域と誘電率の異なる絶縁層が、前記送受信アンテナ部の領域と、前記伝送路部の領域と、前記高周波回路部の領域とのうち、少なくとも1つの領域の一部に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項4】
前記送受信アンテナ部には、2種類の周波数に対応した2つのアンテナ域が形成されており、それぞれのアンテナ域に誘電率の異なる絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項5】
前記絶縁性フィルムは、基板のフィルムであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項6】
前記絶縁性フィルムは、ポリイミド樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項7】
前記導体層として、信号層と、グラウンド層とが前記絶縁性フィルムを挟んで対向して形成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項8】
前記伝送路部及び高周波回路部には、信号層と、前記信号層を覆う絶縁層を介してガード層とが前記導体層として形成されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項9】
前記絶縁性フィルムの片側に前記絶縁層及び導体層が形成されていることを特徴する請求項1に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載のフレキシブルプリント配線基板と、前記電子部品とを備えたことを特徴とする無線通信モジュール。
【請求項1】
高周波信号を送受信する送受信アンテナ部と、前記高周波信号を伝送する伝送路部と、前記高周波信号を生成するとともに前記高周波信号を電子部品に供給する高周波回路部とを備え、
前記送受信アンテナ部と、前記伝送路部と、前記高周波回路部とが絶縁性フィルムに一体に形成されており、
前記絶縁性フィルムの片面または両面に、前記送受信アンテナ部、前記伝送路部及び前記高周波回路部において連続した導体層が形成され、
さらに前記送受信アンテナ部の領域と、前記伝送路部及び高周波回路部の領域とで誘電率の異なる絶縁層が前記絶縁性フィルムに形成されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線基板。
【請求項2】
高周波信号を送受信する送受信アンテナ部と、前記高周波信号を伝送する伝送路部と、前記高周波信号を生成するとともに前記高周波信号を電子部品に供給する高周波回路部とを備え、
前記送受信アンテナ部と、前記伝送路部と、前記高周波回路部とが絶縁性フィルムに一体に形成されており、
前記絶縁性フィルムの片面または両面に、前記送受信アンテナ部、前記伝送路部及び前記高周波回路部において連続した導体層が形成され、
さらに、前記送受信アンテナ部の領域と、前記伝送路部の領域と、前記高周波回路部の領域とのうち、少なくとも1つの領域に他の領域と誘電率の異なる絶縁層が前記絶縁性フィルムに形成されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線基板。
【請求項3】
前記他の領域と誘電率の異なる絶縁層が、前記送受信アンテナ部の領域と、前記伝送路部の領域と、前記高周波回路部の領域とのうち、少なくとも1つの領域の一部に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項4】
前記送受信アンテナ部には、2種類の周波数に対応した2つのアンテナ域が形成されており、それぞれのアンテナ域に誘電率の異なる絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項5】
前記絶縁性フィルムは、基板のフィルムであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項6】
前記絶縁性フィルムは、ポリイミド樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項7】
前記導体層として、信号層と、グラウンド層とが前記絶縁性フィルムを挟んで対向して形成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項8】
前記伝送路部及び高周波回路部には、信号層と、前記信号層を覆う絶縁層を介してガード層とが前記導体層として形成されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項9】
前記絶縁性フィルムの片側に前記絶縁層及び導体層が形成されていることを特徴する請求項1に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載のフレキシブルプリント配線基板と、前記電子部品とを備えたことを特徴とする無線通信モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−151829(P2012−151829A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−274673(P2011−274673)
【出願日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【出願人】(000104629)キヤノン・コンポーネンツ株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【出願人】(000104629)キヤノン・コンポーネンツ株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
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