説明

フレキシブル管用治具およびフレキシブル管の調製方法

【課題】 被覆体に印を記入する作業の効率を改善する。
【解決手段】フレキシブル管用治具10は、本体部20と、本体部から突出する突出部22とを備える。本体部20は、フレキシブル管の表面においてフレキシブル管の管軸方向に配置される。フレキシブル管は、被覆体によって一部が被覆されている。突出部22は、被覆体の端の切断面に接するようフレキシブル管の表面に配置される。本体部20は、フレキシブル管の管軸方向に配置されたとき、フレキシブル管と被覆体とに対向する対向面を有する。対向面のうちフレキシブル管に対向する部分には本体部20を貫通する第1貫通孔30が形成されている。突出部22は、対向面のうちフレキシブル管に対向する部分と被覆体に対向する部分との境界から突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆体に印を記入する作業の効率を改善できるフレキシブル管用治具およびフレキシブル管の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル管とは、山部と谷部とが管軸方向へ交互に並設されることで外周部が形成されている管のことである。これら山部と谷部とは、円周方向全周に延びている。通常の場合、フレキシブル管の外周部は、被覆体によって被覆されている。このフレキシブル管を継手に接続するための方法の一種として、その先端部の被覆体を除去し、継手に挿入するというものがある。この方法によってフレキシブル管を継手に接続する場合、フレキシブル管の先端部を継手の中に十分挿入することが重要である。フレキシブル管の先端部が継手の中に十分挿入されていない場合、フレキシブル管および継手はそれらの性能を十分に発揮できなくなる。このため、被覆体に予め印を記入しておき、フレキシブル管の先端部を継手の中に挿入した後、その印が見えるか否かに基づいて、フレキシブル管の先端部が継手の中に十分挿入されているか否かを判断するという作業が行われている。
【0003】
この作業において重要なのは、印を記入するべき被覆体上の位置を正確に特定することである。その位置が正確に特定できていなければ、フレキシブル管の先端部が継手の中に十分挿入されているか否かを正確に判断することができないためである。そこで、印を記入するべき被覆体上の位置を正確に特定するための治具が提案されている。
【0004】
特許文献1は、フレキシブル管用治具を開示する。この治具は、掛かり合い部と、本体部とを備える。掛かり合い部は、フレキシブル管の先端部に掛かり合う。本体部は、フレキシブル管の外面に沿ってこのフレキシブル管の長さ方向に配置される。本体部には、貫通孔部が形成されている。この貫通孔部を通して、フレキシブル管の表面を被覆する被覆体の表面に印を記入することができる。
【0005】
特許文献2は、フレキシブル管用治具を開示する。この治具は、掛かり合い部と、本体部とを備える。掛かり合い部は、フレキシブル管の先端部に掛かり合う。本体部は、フレキシブル管の外面に沿ってこのフレキシブル管の長さ方向に配置される。本体部には、軸方向から周方向へL字状に曲折する貫通孔部が形成されている。この貫通孔部を通して、フレキシブル管の表面を被覆する被覆体の表面に印を記入することができる。
【0006】
特許文献1および特許文献2に開示された発明によると、フレキシブル管の所定の位置に、簡単かつ正確に印を記入することができる。
【0007】
【特許文献1】特開2001−108173号公報
【特許文献2】特開2002−276865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示されたフレキシブル管用治具では、被覆体の表面に印を記入する作業の効率に改善の余地があるという問題があった。改善が必要なのは、作業をやり直さなくてはならない可能性が高い点である。そのような可能性が高いのは、上述したような治具を用いるにも関わらず、正しくない位置に印を記入する可能性があるためである。
【0009】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、被覆体に印を記入する作業の効率を改善できるフレキシブル管用治具およびフレキシブル管の調製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、フレキシブル管用治具10,11,12,13は、本体部20,21と、本体部から突出する突出部22,24,26とを備える。本体部は、フレキシブル管50の表面においてフレキシブル管の管軸方向に配置される。フレキシブル管の外周部には円周方向全周に延びる山部60と谷部62とが管軸方向へ交互に並設されている。フレキシブル管は、被覆体52によって一部が被覆されている。突出部22,24,26は、被覆体の端の切断面55に接するようフレキシブル管の表面に配置される。本体部は、フレキシブル管の管軸方向に配置されたとき、フレキシブル管と被覆体とに対向する対向面34を有する。対向面のうちフレキシブル管に対向する部分には、フレキシブル管の露出長さを確認するための開口部30が形成されている。突出部は、対向面のうちフレキシブル管に対向する部分40と被覆体に対向する部分42との境界から突出している。
【0011】
フレキシブル管の表面においてフレキシブル管の管軸方向に本体部を配置し、被覆体の端に接するようフレキシブル管の表面に突出部を配置すると、対向面の一部がフレキシブル管に対向する。フレキシブル管の露出長さを確認するための開口部がその部分には形成されている。これにより、開口部から、フレキシブル管の表面が露出する。フレキシブル管の表面が露出するので、そこがフレキシブル管の端なのか否かを判断したり、そこに印を記入した後その印を参照してフレキシブル管を切断したりして、フレキシブル管の端から被覆体の端までの距離を一定に保つことが可能になる。その距離を一定に保つことが可能なので、それができない場合に比べ、被覆体の表面に印を記入する際、誤った場所に印を記入する可能性が低くなる。その結果、被覆体に印を記入する作業の効率を改善できる。
【0012】
なお、フレキシブル管の表面に印を記入するための具体的な方法は特に限定されるものではない。筆記具によって印を記入する方法や、塗料を塗布する方法や、刃物によってフレキシブル管の表面に傷をつける方法は、そのような方法の一種である。
【0013】
本発明の他の局面に従うと、フレキシブル管の調製方法は、除去ステップS110を備える。除去ステップは、被覆体によって被覆されたフレキシブル管から被覆体の端部を除去するステップである。被覆体の端部の切断面は、フレキシブル管の円周方向に沿っている。フレキシブル管の外周部には円周方向全周に延びる山部と谷部とが管軸方向へ交互に並設されている。フレキシブル管の調製方法は、付加ステップS112をさらに備える。付加ステップは、接触ステップS120を有する。接触ステップは、被覆体の端部の切断面にフレキシブル管用治具を接触させるステップである。フレキシブル管用治具は、本体部と、本体部から突出する突出部とを有する。本体部は、フレキシブル管の表面においてフレキシブル管の管軸方向に配置される。突出部は、被覆体の端に接するようフレキシブル管の表面に配置される。本体部は、対向面を有する。対向面は、フレキシブル管の管軸方向に配置されたとき、フレキシブル管と被覆体とに対向する。対向面のうちフレキシブル管に対向する部分には、フレキシブル管の切断位置を特定するための開口部が形成されている。突出部は、対向面のうちフレキシブル管に対向する部分と被覆体に対向する部分との境界から突出している。付加ステップは、記入ステップをさらに有する。記入ステップは、フレキシブル管のうち開口部から露出している箇所に印を記入する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被覆体に印を記入する作業の効率を改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0016】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明の第1の実施形態にかかるフレキシブル管用治具10の平面図を示す。図2は、本発明の第1の実施形態にかかるフレキシブル管用治具10の正面図を示す。図3は、本発明の第1の実施形態にかかるフレキシブル管用治具10の側面図を示す。図4は、本発明の第1の実施形態にかかるフレキシブル管50の接続方法の手順を示す図である。図5は、本発明の第1の実施形態にかかる接触ステップS120において、フレキシブル管用治具10をフレキシブル管50に接触させた状況を示す図である。図6は、本発明の第1の実施形態にかかる記入ステップS122において、フレキシブル管50の表面に印を記入する状況を示す図である。図7は、本発明の第1の実施形態にかかる接続ステップS102においてフレキシブル管50が継手14に挿入されたときの外観図を示す。図8は、本発明の第1の実施形態にかかる接続ステップS102において押輪82が挿入されたときの外観図を示す。
【0017】
図1〜図3を参照して、本実施形態にかかるフレキシブル管用治具10の構成について説明する。本実施形態にかかるフレキシブル管用治具10は、本体部20と、突出部22とを備える。
【0018】
本体部20は、フレキシブル管50の表面において管軸方向に配置される。本体部20は、対向面34を有する。対向面34は、フレキシブル管50の管軸方向に配置されたとき、フレキシブル管50と被覆体52とに対向する。
【0019】
本体部20は、第1貫通孔30と、第2貫通孔32とを有する。本実施形態において、第1貫通孔30および第2貫通孔32はそれぞれ複数箇所に設けられている。第1貫通孔30および第2貫通孔32は、いずれも本体部20を貫通している。第1貫通孔30は、第1対向部分40に形成されている。第1対向部分40とは、対向面34のうちフレキシブル管50に対向する部分のことである。第2貫通孔32は、第2対向部分42に形成されている。第2対向部分42とは、対向面34のうち被覆体52に対向する部分のことである。本実施形態において、第1貫通孔30および第2貫通孔32は長孔である。ただし、第1貫通孔30および第2貫通孔32の形状は特に限定されるべきものではない。本実施形態においては、第1貫通孔30および第2貫通孔32の傍に、「8」、「10」、「15」、「20」、「25」という数字が記載されている。
【0020】
突出部22は、被覆体52の端の切断面55に接するようフレキシブル管50の表面に配置されるリブである。突出部22は、対向面34のうちフレキシブル管50に対向する部分40と被覆体52に対向する部分42との境界から突出している。本実施形態における突出部22の断面は、一端から他端まで同一で、矩形である。
【0021】
本実施形態において、接触部45から第1貫通孔30の中心軸までの距離L(図2参照)は、フレキシブル管50の山部60の間隔の整数倍である。ただし、ここで言う「整数倍」は、正確な意味での整数倍だけでなく、被覆体52に正しく印を記入するという目的を達成できる範囲の値も包含する。なお、接触部45とは、突出部22のうち被覆体52の端面に接するよう配置される部分のことである。
【0022】
図4〜図8を参照して、本実施形態にかかるフレキシブル管50の接続方法について説明する。本実施形態にかかるフレキシブル管50の接続方法は、調製ステップS100と、接続ステップS102とを備える。調製ステップS100は、フレキシブル管50の先端部付近を継手14に接続できるよう調製するステップである。本実施形態において、調製ステップS100は、除去ステップS110と、付加ステップS112と、切断ステップS114とを有する。除去ステップS110と、付加ステップS112と、切断ステップS114とは、本実施形態にかかるフレキシブル管50の調製方法を構成している。付加ステップS112は、フレキシブル管50および被覆体52に印を付加するステップである。付加ステップS112は、接触ステップS120と、記入ステップS122とを有する。接触ステップS120と、記入ステップS122とは、本実施形態にかかるフレキシブル管50のマーキング方法を構成している。
【0023】
まず、除去ステップS110において、本実施形態にかかるフレキシブル管50の接続方法を実施する作業者(以下、単に「作業者」と称する。)は、被覆体52のうち、フレキシブル管50の先端部付近を覆うものを除去する。被覆体52が除去されることにより、フレキシブル管50の先端部は表面に露出することになる。フレキシブル管50の先端からどこまでの被覆体52を除去すればよいか作業者が考慮する必要はない。作業者は、適当な長さの被覆体52を除去すればよい。
【0024】
被覆体52が除去されると、作業者は接触ステップS120を実施する。このステップにおいて、作業者は、図5に示したように、フレキシブル管50にフレキシブル管用治具10をあてる。フレキシブル管用治具10の突出部22は、被覆体52の切断面55にあてられる。
【0025】
被覆体52の切断面55にフレキシブル管用治具10があてられると、作業者は記入ステップS122を実施する。このステップにおいて、作業者は、図6に示すようにして、第1貫通孔30から露出したフレキシブル管50と第2貫通孔32から露出した被覆体52とに印を記入する。本実施形態の場合、フェルトペン70,71を用いてそれらの印を記入する。複数ある第1貫通孔30および複数ある第2貫通孔32のうちどの穴にフェルトペン70,71を挿入すればよいかということは、フレキシブル管50のサイズに応じて定まる。上述したように、第1貫通孔30および第2貫通孔32の傍には数字が表示されている。本実施形態の場合、これらの数字は、フレキシブル管50のサイズを示す。フレキシブル管50のサイズに代え、山部60あるいは谷部62の数が記載されていてもよい。
【0026】
印が記入されると、作業者は切断ステップS144を実施する。このステップにおいて、作業者は、フェルトペン70,71によって記入された印を参照して、フレキシブル管50を切断する。図5および図6から明らかなように、本実施形態の場合、フレキシブル管50の谷部62に印が記入されるようになっているので、作業者は、その印が記入された箇所でフレキシブル管50を切断する。
【0027】
フレキシブル管50が切断されると、作業者は接続ステップS102を実施する。このステップにおいて、作業者は、フレキシブル管50の先端部を継手14の中に挿入する。本実施形態にかかる継手14は公知の継手である。この継手14は、継手本体80と押輪82とを備えている。フレキシブル管50を継手本体80の中に挿入した後、押輪82を継手本体80の中にねじ込めば、フレキシブル管50と継手14との接続は完了する。本実施形態の場合、フレキシブル管50の先端部が継手14の中に正しく挿入されていれば、記入ステップS122において被覆体52に記入された印90は、図7に示すように、継手14の端で隠される。フレキシブル管50の先端部が継手14の中に正しく挿入されると、作業者は、押輪82を継手本体80の中にねじ込む。これにより、フレキシブル管50は継手14に接続される。このとき、フレキシブル管50の先端部が継手14の中に正しく挿入されていれば、図8に示すように、押輪82の端面から前述した印90が表れる。
【0028】
以上のようにして、本実施形態にかかるフレキシブル管の接続方法においては、フレキシブル管50および被覆体52に印をつけ、その印が記入された箇所においてフレキシブル管50を切断することで、被覆体52の切断面からフレキシブル管50の先端までの距離が確実に一定値となる。そのため、作業者がフレキシブル管50の長さを測定し間違えることがなくなる。その分、作業のやり直しが少なくなるので、フレキシブル管50および被覆体52を効率よく切断することができる。
【0029】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態を図面に基づき説明する。図9は、本発明の第2の実施形態にかかるフレキシブル管50の接続方法の手順を示す図である。図10は、本発明の第2の実施形態にかかる確認ステップS212において、フレキシブル管用治具10をフレキシブル管50に接触させた状況を示す図である。
【0030】
本実施形態にかかるフレキシブル管50の接続方法は、調製ステップS200と、接続ステップS102とを備える。調製ステップS200は、フレキシブル管50の先端部付近を継手14に接続できるよう調製するステップである。本実施形態において、調製ステップS200は、はがしステップS210と、確認ステップS212と、記入ステップS214とを有する。これらのステップは、本実施形態にかかるフレキシブル管50の調製方法を構成している。
【0031】
まず、はがしステップS210にて、本実施形態にかかるフレキシブル管切断方法を実施する作業者(以下、単に「作業者」と称する。)は、フレキシブル管50の先端部付近の被覆体52をはがす。被覆体52がはがされることにより、フレキシブル管50の先端部付近は露出することになる。はがされる被覆体52の長さはその作業を実施する作業者が任意に決定する。
【0032】
被覆体52がはがされると、作業者は確認ステップS212を実施する。このステップにおいて、作業者は、第1の実施形態において説明したフレキシブル管用治具10とほぼ同様の形態のフレキシブル管用治具11(第1貫通孔30の位置がフレキシブル管用治具10と異なる)を用いて、フレキシブル管50の山部60のうち露出したものの数が適切か否かを判断する。フレキシブル管50の山部60のうち露出したものの数が適切か否かは、図10に示すように、フレキシブル管用治具11の第1貫通孔30からフレキシブル管50の先端が見えるか否かに基づいて判断される(逆に言えば、本実施形態にかかるフレキシブル管用治具11において、フレキシブル管50の山部60のうち露出したものの数が適切な場合、フレキシブル管50の先端が見える位置に第1貫通孔30が形成されている)。複数ある第1貫通孔30のうちどの孔がその判断に用いられるかということは、フレキシブル管50のサイズに基づいて定まる。第1の実施形態にかかるフレキシブル管用治具10と同様、第1貫通孔30の傍には数字が表示されているので、作業者は、その数字に基づいて判断に用いる第1貫通孔30を選択する。フレキシブル管50の山部60のうち露出したものの数が適切と判断された場合(S212にてYES)、記入ステップS214が実施される。もしそうでないと(S212にてNO)、処理はS210へ戻され、作業者は再びはがしステップを実施する。
【0033】
記入ステップS214が実施される場合、作業者は、フレキシブル管用治具10の第2貫通孔32を用いて、フレキシブル管50の被覆体52に印を記入する。被覆体52に印を記入するための具体的な方法は第1の実施形態と同様である。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返さない。
【0034】
記入ステップS214が完了すると、作業者は接続ステップS102を実施する。その具体的な内容は第1の実施形態と同様である。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返さない。
【0035】
以上のようにして、本実施形態にかかるフレキシブル管の接続方法によれば、次に述べる2つのメリットがある。その第1のメリットは、被覆体52を切り落とし過ぎる可能性が少なくなるので、フレキシブル管50の歩留まりがその分向上するというものである。第2のメリットは、フレキシブル管用治具10を用いてフレキシブル管50の山の数を確認するので、それを数え間違える可能性が減少するというものである。
【0036】
今回開示された実施形態はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述した実施形態に基づいて制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよいのはもちろんである。
【0037】
たとえば、フレキシブル管用治具の形態は、上述したものに限定されない。図11は、第1の変形例にかかるフレキシブル管用治具12を示す平面図である。図12は、このフレキシブル管用治具12を示す側面図である。このフレキシブル管用治具12は、本体部21の一部が折り曲げられ、突起状の突出部24となっているものである。突出部24の配置は第1の実施形態にかかる突出部22と同様である。この突出部24の高さは、フレキシブル管50の表面に配置されたとき、対向面34と一緒にフレキシブル管50に接する高さである。
【0038】
図13は、第2の変形例にかかるフレキシブル管用治具13を示す側面図である。このフレキシブル管用治具13は、図1に示すような突出部22に代え、突出部26を備えるものである。この突出部26は、フレキシブル管50に接する面が円弧を描く。フレキシブル管50に接する面の曲率半径は、フレキシブル管50の山部の半径にほぼ等しい。
【0039】
図14は、第3の変形例にかかるフレキシブル管用治具15を示す平面図である。図15は、このフレキシブル管用治具15を示す側面図である。このフレキシブル管用治具15は、第1の実施形態にかかるフレキシブル管用治具10に対し、次の4点で相違する。第1点目は、本体部23の断面形状が弧を描いていることである。第1の実施形態にかかるフレキシブル管用治具10の本体部20の断面形状は矩形である。第2点目は、本体部23のうち突出部28の両脇にあたる部分に端部切り欠き33が設けられていることである。第3点目は、第1貫通孔30に加え、貫通溝31が設けられている点である。貫通溝31は、第1貫通孔30と同様、開口部の一種である。したがって、貫通溝31の役割は第1貫通孔30と同様である。貫通溝31が設けられている分、第1貫通孔30の数は少なくなっている。第4点目は、第2貫通孔32に代え、L型貫通孔35が設けられている点である。また、本変形例にかかる第2貫通孔32は1つだけ設けられている。これは、フレキシブル管50が接続される継手(図示せず)の構造上の理由によるものである。その理由によっては、第2貫通孔32が複数設けられていても良いことは言うまでもない。また、第2貫通孔32の形態が第1の実施形態にかかるフレキシブル管用治具10のものと同様であってもよいことも言うまでもない。使用方法は、第1の実施形態にかかるフレキシブル管用治具10と同様である(貫通溝の位置によっては、第2の実施形態にかかるフレキシブル管用治具11と同様であってもよい)。
【0040】
また、継手14は上述したものに限定されない。
【0041】
また、フレキシブル管用治具10において、第2貫通孔32は必ずしも必要でない。この場合、フレキシブル管用治具10は、フレキシブル管50にのみ印を記入するための治具となる。
【0042】
また、記入ステップS122や記入ステップS214において、フレキシブル管50に印を記入するための具体的な方法は特に限定されない。上述したようにフェルトペン70,71を用いて記入する方法の他、筆を用いて塗料を塗布する方法や、フレキシブル管50の表面に刃物を用いて傷をつける方法などであってもよい。
【0043】
また、記入ステップS122や記入ステップS214において、第1貫通孔30から露出したフレキシブル管50にのみ印を記入してもよい。この場合、第2貫通孔32から露出した被覆体52には、切断ステップS144の終了後に印を記入しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるフレキシブル管用治具の平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかるフレキシブル管用治具の正面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかるフレキシブル管用治具の側面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかるフレキシブル管の接続方法の手順を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態にかかる接触ステップにおいてフレキシブル管用治具をフレキシブル管に接触させた状況を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態にかかる記入ステップにおいてフレキシブル管の表面に印を記入する状況を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態にかかる接続ステップにおいてフレキシブル管が継手に挿入されたときの外観図を示す。
【図8】本発明の第1の実施形態にかかる接続ステップにおいて押輪が挿入されたときの外観図を示す。
【図9】本発明の第2の実施形態にかかるフレキシブル管の接続方法の手順を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態にかかる確認ステップにおいてフレキシブル管用治具をフレキシブル管に接触させた状況を示す図である。
【図11】本発明の第1の変形例にかかるフレキシブル管用治具を示す平面図である。
【図12】本発明の第1の変形例にかかるフレキシブル管用治具を示す側面図である。
【図13】本発明の第2の変形例にかかるフレキシブル管用治具を示す側面図である。
【図14】本発明の第3の変形例にかかるフレキシブル管用治具を示す平面図である。
【図15】本発明の第3の変形例にかかるフレキシブル管用治具を示す側面図である。
【符号の説明】
【0045】
10,11,12,13,15 フレキシブル管用治具
14 継手
20,21,23 本体部
22,24,26,28 突出部
30 第1貫通孔
31 貫通溝
32 第2貫通孔
33 端部切り欠き
34 対向面
35 L型貫通孔
40 第1対向部分
42 第2対向部分
45 接触部
50 フレキシブル管
52 被覆体
55 切断面
60 山部
62 谷部
70,71 フェルトペン
80 継手本体
82 押輪
90 印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部から突出する突出部とを備え、
前記本体部は、フレキシブル管の表面において前記フレキシブル管の管軸方向に配置され、
前記フレキシブル管の外周部には円周方向全周に延びる山部と谷部とが管軸方向へ交互に並設されており、
前記フレキシブル管は、被覆体によって一部が被覆されており、
前記突出部は、前記被覆体の端の切断面に接するよう前記フレキシブル管の表面に配置されるフレキシブル管用治具であって、
前記本体部が、前記フレキシブル管の管軸方向に配置されたとき、前記フレキシブル管と前記被覆体とに対向する対向面を有し、
前記対向面のうち前記フレキシブル管に対向する部分には、前記フレキシブル管の露出長さを確認するための開口部が形成されており、
前記突出部が、前記対向面のうち前記フレキシブル管に対向する部分と前記被覆体に対向する部分との境界から突出していることを特徴とするフレキシブル管用治具。
【請求項2】
被覆体によって被覆されたフレキシブル管から前記被覆体の端部を除去する除去ステップを備え、
前記被覆体の端部の切断面は、前記フレキシブル管の円周方向に沿っており、
前記フレキシブル管の外周部には円周方向全周に延びる山部と谷部とが管軸方向へ交互に並設されており、
前記被覆体の端部が除去された前記フレキシブル管の表面に印を付加する付加ステップをさらに備えるフレキシブル管の調製方法であって、
前記付加ステップが、前記被覆体の端の切断面にフレキシブル管用治具を接触させる接触ステップを有し、
前記フレキシブル管用治具が、
本体部と、
前記本体部から突出する突出部とを有し、
前記本体部は、前記フレキシブル管の表面において前記フレキシブル管の管軸方向に配置され、
前記突出部は、前記被覆体の端に接するよう前記フレキシブル管の表面に配置され、
前記本体部が、前記フレキシブル管の管軸方向に配置されたとき、前記フレキシブル管と前記被覆体とに対向する対向面を有し、
前記対向面のうち前記フレキシブル管に対向する部分には、前記フレキシブル管の切断位置を特定するための開口部が形成されており、
前記突出部が、前記対向面のうち前記フレキシブル管に対向する部分と前記被覆体に対向する部分との境界から突出しており、
前記付加ステップが、前記フレキシブル管のうち前記開口部から露出している箇所に前記印を記入する記入ステップをさらに有することを特徴とする、フレキシブル管の調製方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2010−43707(P2010−43707A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208419(P2008−208419)
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000231121)JFE継手株式会社 (140)