説明

フレキシャ部材を組み入れた可撓性ジョイント構成

改良型可撓性ジョイント構成は、少なくとも1個のフレキシャ部材を利用しており、フレキシャ部材は、そのフレキシャ部材の両端が連結されるベース上に画定される覆い面と適合する。フレキシャ部材は、ベースが相対移動するにつれて、フレキシャおよび覆い面の境界面によって画定される経路に沿って移動する移動瞬間回転軸を画定するように構成される。フレキシャ部材およびベースは、モノリス材料から構成され得る。ベースの覆い面は、断面形状が非対称であってよい。移動瞬間回転軸の曲率半径は、反転することなく、個別の特定数工程でのみ変化するように構成され得る。他の実施形態において、可撓性ジョイント構成は、3個のバーリンク機構の一組または複数組として構成され得、様々な実施形態に係り、中間バーは剛性を有し、かつ、外側バーはフレキシャ部材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョイントまたはリンク機構構成に関する。特に、本発明は、少なくとも1個のフレキシャ部材(flexure member)を含む可撓性ジョイント構成に関し、フレキシャ部材は、その両端が連結されるベース上に画定される覆い面と適合する。
【背景技術】
【0002】
多くの機器が、例えば、折り畳み形態および拡張形態間の移動、一つの位置から別の位置への回転、あるいは、より複雑な操作の実行等、機器の1個の部品を別の部品に対して移動させるために、ジョイント構成を使用する。ジョイント構成は、無限の繰り返し数で、または、有限の繰り返し数で、形態間または位置間を繰り返し移動するように構成され得、あるいは、一回のみ、あるいは限られた回数だけ、形態間または位置間を移動するように構成され得る。
【0003】
ジョイント構成への取り組みの一つには、複数の部品を利用してジョイントを構成することがあり、ジョイントの部品間における摺動接触、例えばボールおよびソケット、またはピンおよびクレビス等によって、1個の部品を他方の部品に対して回転させる。このようなジョイントには、多くの周知の問題点が存在する。複数の多部品ジョイントを利用する構造にはまた、「不感帯(dead band)」として知られる問題が生じるため、構造体の一端における移動は、多部品ジョイントの介在間隙が塞がれるまで、他端に伝えられない。このようなジョイントはまた、要求される誤差で製造するのが困難であり、高価である。
【0004】
これら剛性多部品ジョイントの問題を鑑みて、可撓性材料の紐、帯、または板ばねからなるジョイント構成、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4および特許文献5に記載されるもの等が使用されている。特許文献6および特許文献7は、形状記憶合金材料を利用する可撓性ジョイント構成について記載している。フレキシャの両端を空隙と連結することにより、ジョイントの最大歪を制限する弾性ジョイントが、特許文献8に開示されており、最大歪を越えないことを保証するために、フレキシャの曲げ半径を制限する。フレキシャ部材は、2個の独立した構造体を連結させると共に、本質的に、拡張形態から戻るように、折り畳み形態に移動させるために使用されるエネルギを保管する標準的な板ばねのように機能する。
【0005】
可撓性ジョイント構成に対する従来構成の重大な欠点の一つには、このようなジョイントは、概して、圧縮または引っ張りのいずれかであるかなりの荷重を支持できないことであり、従って、これらの荷重を支持しなければならない機器には不適切である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,386,128号明細書
【特許文献2】米国特許第4,869,552号明細書
【特許文献3】米国特許第5,133,108号明細書
【特許文献4】米国特許第5,196,857号明細書
【特許文献5】米国特許第6,378,172号明細書
【特許文献6】米国特許第6,175,989号明細書
【特許文献7】米国特許第6,772,479号明細書
【特許文献8】米国特許第7,435,032号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記した問題を解決することができる可撓性ジョイント構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の様々な実施形態に係る可撓性ジョイント構成は、少なくとも1個のフレキシャ部材を採用しており、このフレキシャ部材は、その両端が連結されるベース上に画定される覆い面と適合する。フレキシャ部材は、ベースが接近したり離間する方向に移動させられるにつれて、フレキシャおよび覆い面の境界面によって画定される経路に沿って移動する移動瞬間回転軸を画定するように構成される。一実施形態において、フレキシャ部材およびベースは、モノリス材料から構成される。別の実施形態において、ベースの覆い面は、断面形状が非対称である。他の実施形態において、移動瞬間回転軸の曲率半径は、反転することなく、個別の特定数工程でのみ変化するように構成される。さらに他の実施形態において、可撓性ジョイント構成は、3個のバー連結機構の一組または複数組として構成され得、中間バーは相対的に硬く、また外側バーはフレキシャ部材である。
【0009】
一実施形態において、可撓性ジョイント構成は、ベース、構造部材、および構造部材をベースと連結させるフレキシャ部材を含み、一片一体型のモノリス体を含む。フレキシャ部材は、圧縮形態および拡張形態の間で、ベースに対する構造部材の移動を可能にするように回転し得る。ベースおよび構造部材の少なくともいずれかは覆い面と呼ばれる面を画定し、この覆い面は、構造部材がベースに対して圧縮形態から拡張形態へ移動させられるときに、フレキシャ部材が回転するように案内するか、または、フレキシャ部材を覆うことの少なくともいずれかを行う。様々な実施形態において、覆い面は凹状、凸状、または平坦であってよい。
【0010】
別の実施形態において、可撓性ジョイント構成は、上側ベースおよび下側ベースを含む。構造部材は、上側ベースおよび下側ベースの中間に載置され、かつ、フレキシャ部材は、構造部材の各端部をベースと連結させる。フレキシャ部材は、上側ベースおよび下側ベースが互いに折り畳み形態および拡張形態の間で移動するのを可能にするべく、構造部材を拡張させるために、回転するように構成される。フレキシャ部材は各々、回転軸が、回転軸を交差する平面内において異なる高さで移動するように、上側ベースおよび下側ベースが折り畳み形態および拡張形態の間で移動させられるときに、フレキシャ部材および覆い面の境界面に沿って移動する移動瞬間回転軸を画定し得る。
【0011】
覆い面の曲げ半径に関連するフレキシャの厚みは、移動に起因するフレキシャ部材の疲労寿命を決定する。幾つかの実施形態において、フレキシャ部材は、極めて長い疲労寿命を有するように、構成および設計され得る。他の実施形態において、フレキシャ部材は、所定範囲の最大拡張および収縮繰り返し数に関連する有限の疲労寿命を有するように、構成および設計され得る。
【0012】
本発明の様々な実施形態の上記要約は、本発明の各例証実施形態または全ての実行を記載するように意図されていない。本要約は、本発明の基本的な理解を促すために、本発明の特定の態様の簡略化された概要を表示すると共に、本発明の主要または重要な要素を特定し、あるいは、本発明の範囲を正確に概説するように意図されていない。
【0013】
本発明は、添付の図面と関連して、本発明の様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮することで、より完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る可撓性ジョイント構成を示す部分側面図。
【図2】図2Aは本発明の一実施形態に係る可撓性ジョイント構成を示す部分側面図であり、図2Bは図2Aの可撓性ジョイント構成を示す部分側面図であり、図2Cは図2Aの可撓性ジョイント構成を示す部分側面図。
【図3】図3Aは本発明の一実施形態に係る可撓性ジョイント構成を示す部分側面図であり。図3Bは図3Aの可撓性ジョイント構成を示す部分側面図であり、図3Cは図3Aの可撓性ジョイント構成を示す部分側面図。
【図4】図4Aは本発明の一実施形態に係る可撓性ジョイント構成を示す部分側面図であり、図4Bは図4Aの可撓性ジョイント構成を示す部分側面図であり、図4Cは図4Aの可撓性ジョイント構成を示す部分側面図。
【図5】本発明の一実施形態に係る可撓性ジョイント構成を示す部分側面図。
【図6】図6Aは本発明の一実施形態に係る複数の可撓性ジョイント構成を利用する機器を示す側面図であり、図6Bは図6Aの機器を示す斜視図。
【図7】図7Aは本発明の一実施形態に係る複数の可撓性ジョイント構成を利用する機器を示す側面図であり、図7Bは図7Aの機器を示す斜視図。
【図8】図8Aは本発明の一実施形態に係る複数の可撓性ジョイント構成を利用する機器を示す斜視図であり、図8Bは図8Aの機器を示す側面図。
【図9】円形フレキシャを示す側面図。
【図10】楕円形フレキシャを示す側面図。
【図11】葉形フレキシャを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、様々な変形物および代替形態に従うが、その詳細は、図面において、一例として示されると共に、詳細に説明される。しかし当然のことながら、本発明は、本発明を説明される特定の実施形態に限定するものではない。対照的に、本発明は、本発明の精神および範囲内に入る全ての変形物、同等物、代替物を含むものである。
【0016】
本発明の以下の詳細な説明において、本発明の完全な理解をもたらすために、多くの具体的詳細が記載される。しかしながら、当該技術分野に属するものであれば認識できるように、本発明は、これら具体的詳細がなく実施されてよい。他の例証において、周知の方法、手順、および構成部品は、本発明の様々な実施形態の態様を不要に曖昧にしないように、詳細に記載されていない。
【0017】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るフレキシャジョイント、即ちリンク機構100が示されている。フレキシャリンク機構100は、構造部材104をベース106と連結させるフレキシャ部材102を含む。フレキシャ部材102は、構造部材104のベース106に対する移動を可能にすると共に、リンク機構100への荷重を支持し得る材料の概ね平坦な薄紐である。構造部材104、ベース106およびフレキシャ部材102は、一片一体型モノリス体を含み得る。フレキシャ部材102は、一片リンク機構100が、多くの部品および回転ピン連結具を有する機器と同様に作動するのを可能にする。フレキシャ部材102は、例えば、バンドフレキシャ(図1、図2A〜図2C、図3A〜図3C、および図4A〜図4C)、円形フレキシャ(図9)、楕円形フレキシャ(図10)、または葉形フレキシャ(図11)であってよい。加えて、このフレキシャ部材102は、その全長に沿ってテーパが付けられてよく、あるいは、湾曲断面を有してよい。
【0018】
ベース106は、構造部材104およびベース106が接近したり離間する方向に移動させられるときに、フレキシャ部材102の回転を案内すると共に、荷重条件下において、フレキシャ部材102の支持をもたらし得る覆い面108を備え得る。覆い面108は、フレキシャの回転の個別部分の至るところで、フレキシャの曲率半径を設定する面として画定され得る。図示される実施形態において、覆い面108は、凹状、または内方に湾曲して示されている。
【0019】
図2A〜図2Cは、構造部材104が、ベース106に対して拡張させられるときのフレキシャ部材102の作動を示す。フレキシャ部材102は、覆い面108およびフレキシャ部材102の間に、第1開放領域、即ち切り溝140aと、構造部材104の内縁142およびフレキシャ部材102の間に、第2切り溝140bを画定する。構造部材140がベース106に対して折り畳み形態にあるときに、切り溝140aは、切り溝140bよりも幅が広い。構造部材104が、ベース106から拡張させられるときに、フレキシャ部材102は、覆い面108によって案内されるにつれて平坦になり、切り溝140aの幅が狭くなるにつれて、切り溝140bの幅が広くなる。フレキシャ部材102は支点を中心にして屈曲し、その支点は、矢印144aおよび144bによって示される。支点144a,144bは、フレキシャ部材102が曲がるにつれて、フレキシャ部材102に沿って移動する。従って、支点144a,144bは、垂直および水平の両方向に移動する。これにより、ベース106に対する構造部材104の一層の拡張がもたらされる。支点144a,144bがフレキシャ部材102に沿って移動するときに、リンク機構100への圧縮荷重のより多くの部分が、構造部材104によって支持され、それ故、フレキシャ部材102への引張り力が低減させられる。従って、本実施形態のリンク機構100は、荷重が覆い面と垂直であるように、構造部材104がベース104に対して完全に拡張させられたときに、最も頑丈である。
【0020】
図2A〜図2Cから分かるように、構造部材104の内縁142は、フレキシャ102の覆い面としても作用する(また、構造部材104は、第2ベースと見なされる)。内縁142の覆い面および覆い面108は非対称である。2個の非対称な覆い面を有することにより、圧縮に際してより良好なジョイントをもたらすと共に、荷重支持機能を最適化する。フレキシャ102が回転するときに、フレキシャ102の所定の点における曲率半径は、内縁覆い面142または覆い面108のいずれかによって画定される。支点144a,144bの左側について、曲率半径は、覆い面108によって画定される。支点144a,144bの右側について、曲率半径は、内縁142によって画定される。それ故、その回転に亘り、フレキシャ102の各点は、2個のみ、あるいは限られた数の別個の異なる曲率半径、即ち、個別の特定数工程の曲率半径を有し得る。これは、例えば、米国特許第7,435,032号明細書に記載されるフレキシャジョイントと対照的であり、フレキシャ部材は、板バネのように作用すると共に、ジョイントが回転させられると、所定の範囲に亘り、連続的に変化する曲率半径を有する。加えて、フレキシャ102が被る2つの曲率半径は、程度の問題であり、曲率半径の反転を被るように、正の曲率および負の曲率の間を移行せず、ひいては、フレキシャへの歪を低減させる。
【0021】
図3A〜図3Bに示されるフレキシャリンク機構200の一実施形態において、ベース206は、(図1および図2A〜図2Cに示される内方湾曲覆い面108と対照的に)外方に湾曲させられるフレキシャ部材202の覆い面208を備える。フレキシャ202は、構造部材204がベース206に対して拡張させられるときに、覆い面208に沿って曲がる。図3Aに示される折り畳み形態において、フレキシャ部材202は、構造部材204の内面覆い面242と平行である。構造部材204がベース206に対して拡張させられるにつれて、フレキシャ部材202は、覆い面208に沿って曲がり、切り溝240bを広げると共に、切り溝240aを狭める。矢印244a,244bによって示されるように、支点は、機器が伸延するにつれて、フレキシャ部材202の全長に沿って、(水平および垂直の両方向へ)移動する。支点244a,244bは、常に、構造部材204の内面242と直交する。これにより、リンク機構200への荷重全体が、構造部材204によって、圧縮状態で支持されることとなる。従って、フレキシャ部材202への引張り力は存在しない。これにより、本質的に無限の疲労寿命を享受するために、フレキシャ部材202の寸法を容易に決めることが可能となる。本実施形態は、リンク機構が、大きい寸法を有するときに、強い圧縮支持をもたらすが、同じ材料の細長部材が引張りまたは曲げ状態にあるときに容易に歪むニチノール等の材料から構成されることを可能にする。フレキシャ部材102と同様に、支点244a,244bの左側におけるフレキシャ部材202に沿った点は、覆い面208によって画定される曲率半径を有し、かつ、支点244a,244bの右側の点は、フレキシャ部材202が回転するときに、内縁覆い面242によって画定される曲率半径を有する。
【0022】
図4A〜図4Cは、フレキシャ連結機構300の更なる実施形態を示す。ベース306上の覆い面308は平坦である。フレキシャ部材302は、構造部材304の内面342の周りで湾曲を開始すると共に、平坦になることにより、機器が伸延するにつれて、切り溝340bを広げると共に、切り溝340aを狭める。支点344a,344bはまた、構造部材304がベース306に対して拡張させられるときに、フレキシャ部材302に沿って移動して一層の拡張をもたらす。構造部材304は、ベース306に対して拡張させられるときに、リンク機構300への荷重のより多くを圧縮状態で支持し、より少ない荷重がフレキシャ部材302によって引張り状態で支持される。支点344a,344bの左側において、フレキシャ部材302に沿った点は、覆い面308によって画定される曲率半径を有する一方、支点344a,344bの右側の点は、内縁覆い面342によって画定される曲率半径を有する。
【0023】
上記の図面に示されるように、構造部材がベースに対して完全拡張させられたときに、フレキシャ部材は、ベースの覆い面に少なくとも部分的に位置する。それ故、構造部材への圧縮荷重は、移行の間に、ベースによって部分的に支持され得、あるいは、フレキシャへの荷重を有することなく、345上に完全に位置し得る。あるいは、リンク機構は、フレキシャのいずれの部分も、ベース上に位置しないように構成され得、従って、リンク機構への荷重全体が、フレキシャによって支持される。
【0024】
覆い面の曲げ半径に関連するフレキシャの厚みは、移動に起因するフレキシャの疲労寿命を決定する。幾つかの実施形態において、フレキシャは、極めて長い疲労寿命を有するように、構成および設計され得る。一実施形態において、ニチノールから作られ、好適には、覆い面の曲げ半径の8パーセントから10パーセントの間にあるフレキシャ部材の厚みを有し、18パーセントの最大厚みを備えた機器は、無限の疲労寿命を有する。別の実施形態において、PEEKから作られるフレキシャは、好適には、曲げ半径の4.5パーセントから6.4パーセントの厚みを有し、15パーセントの最大厚みを伴う。更なる実施形態において、燃鈍チタンからなるフレキシャは、曲げ半径の18パーセントまでの厚みを有し得る。他の実施形態において、フレキシャは、予め定められた拡張および収縮の最大繰り返し数範囲に関連する有限の疲労寿命を有するように、構成および設計され得る。
【0025】
フレキシャは、永久変形として定義される可塑性、あるいは本質的に無限寿命として定義される弾性のいずれかを呈し得る。フレキシャは、曲げ半径に対するフレキシャ厚みの比率が、フレキシャを含む材料の生産前に、数パーセントの伸びを越えるならば、可塑性を呈する。フレキシャは、曲げ半径に対するフレキシャ厚みの比率が、材料の生産前に、数パーセントの伸びよりも小さいならば、弾性を呈する。フレキシャが弾性的に作用する場合には、フレキシャは、繰り返しの再配置を必要とする機器に使用され得る。フレキシャが可塑的に作用するように構成されるならば、フレキシャは、増加する強度の荷重を無制限に支持し得るが、所定位置に残されなければならず、また限られた回数までしか再配置されない。
【0026】
図5を参照すると、本発明の一実施形態に係るフレキシャ連結機構400は、構造部材404の各端部に位置決めされるフレキシャ部材402を含んでよく、構造部材404を上側ベース406および下側ベース407と連結させる。本形態は、本質的に、ベース406,407の間に3個のバーリンク機構を含み、端部バー(フレキシャ部材402)は、可撓性を有し、かつ、中間バー(構造部材404)は、剛性を有する。フレキシャリンク機構400は、上側ベース406および下側ベース407を互いに伸延させるために使用され得る。従って、フレキシャリンク機構400は、リンク機構が拡張するにつれてフレキシャ部材が曲がるときの支点に関連して上述されたように、各フレキシャ402に沿って移動する2個の瞬間回転軸を含む。2個の回転軸は、互いの鏡像であると共に、軸と直交する同じ面内において、異なる高さで移動する。フレキシャリンク機構400は、外方に湾曲させられた覆い面408を有するとして図示されているが、各端部においてフレキシャ部材402を利用するこのようなフレキシャリンク機構400は、他の形態の覆い面を含んでもよい。幾つかの実施形態において、上側ベース406上の覆い面408、および下側ベース407上の覆い面408は、異なる形状寸法を有してよい。
【0027】
図6A〜図6B、および図7A〜図7Bから分かるように、機器401は、多数のフレキシャリンク機構400を含んでよい。フレキシャリンク機構400は、ベース406,407の間で垂直方向に連結され、また、ベース406,407に沿って長さ方向に一列に整列させられることの少なくともいずれかであってよい。フレキシャリンク機構400はまた、図8Aおよび図8Bに示されるように、ベース406,407の幅を横切り、横並びで載置されてよい。この機器401は、垂直方向に隣接するフレキシャリンク機構400に共通するベースとして作用するブロック414を含んでよい。ブロック414は、フレキシャリンク機構400を拡張させると共に、ベース406,407を伸延させるために使用され得る駆動ねじ418(図8Aおよび図8B)等の拡張機構を収容するために、軽く打ち込まれる。
【0028】
例えばカージャッキ等、多くの一般的なシザージャッキと異なり、機器401は、その最も低い、即ち最も圧縮させられた状態から、容易に伸延させられ得る。これは、フレキシャ部材402への引張加重が、互いに向けて作用せず、代わりに、通過する車のように(図8Bの矢印Aおよび矢印Bを参照)、互いのそばを通過するように、所定の構造部材404の各端部にあるフレキシャ部材402が配向されるからである。一般的なジャッキは、フレキシャ部材を利用せず、最も低い状態から伸延させる困難さを有する。なぜならば、引張荷重が互いの「正面で(heads on)」作用し、機器を強力な内部水平圧縮下に置くが、伸延を容易に開始し得るもっとも低い状態における垂直方向へのかなりの力成分を有していない。圧縮荷重を支持するために必要とされるフレキシャ部材の張力は、硬質のリンクの正弦によって除算される剛性リンクの角度の余弦によって乗算される圧縮荷重と等しい。ゼロ度の正弦、即ち、圧縮状態における一般的なシザージャッキの角度位置はゼロに等しいため、初期伸延に必要とされる力は、効率的に極めて大きい。本発明の様々な実施形態の機器の硬質リンクは、ゼロ角度位置の位置において開始するが、フレキシャ部材は、硬質リンクの対向側部にあるので、有効な角度位置は、ゼロではなく、初期伸延に必要とされる力を有限に、かつ、従来のシザージャッキよりも概ね小さくする。
【0029】
フレキシャ部材は、本明細書において、概ね平坦であるとして説明されているが、フレキシャ部材は、様々な他の形状を有してよい。例えば、フレキシャ部材は、弓形形状を有してよい。フレキシャ部材はまた、一つまたはそれ以上の面から上方に突出する縁または隆起を含んでよい。また、フレキシャ部材は、それらの幅に沿って湾曲させられてよく、通常の移動範囲に亘り、フレキシャ部材が存在しがちな位置、または複数の位置を、フレキシャ部材に備えさせる特異性または傾向を生じさせる。
【0030】
幾つかの実施形態において、本発明の実施形態に係る可撓性ジョイント構成を利用するフレキシャジョイント構成および機器は、一片一体型本体を含み得る。これにより、複数片が別々に製造および組み立てられることを必要とする機器よりも、大幅な費用の節約がもたらされる。一実施形態において、機器は、ワイヤまたはシンク放電加工を使用して製造され得る。別の実施形態において、機器は、三次元印刷技術等を使用して製造され得る。幾つかの実施形態において、可撓性ジョイント構成および機器の一部、例えば、フレキシャ部材、ブロック、および逆転防止装置等は、別々に機械加工されると共に、溶接され、あるいは機器に取り付けられてよい。
【0031】
本明細書に開示される可撓性ジョイント構成、および可撓性ジョイント構成を利用する機器は、マクロ、ミクロ、およびナノ寸法機器を含み、様々な寸法で構成され得る。
一実施形態において、マクロ規模のフレキシャは、異なる材料から作られ、あるいは、構造体の残りの部分と異なる材料処理法で作られ、さらに、溶接、接着、または機械加工固定具により、所定位置に固定されてよい。幾つかの実施形態において、フレキシャは、入れ子形状に構成されてよい。フレキシャが作られる材料は、その疲労特性を向上させるために、冷間圧延され、さらに、機器に装着されてよい。
【0032】
別の実施形態において、マクロ規模のフレキシャは、硬質材料、より軟質の材料、または材料を有さない芯を伴う積層梁であってよい。フレキシャ自体におけるこの積層および材料の変化は、フレキシャ、およびフレキシャを利用する機器の強度、ならびに疲労特性における精確な制御に至る。特に、軟質の芯を有し、または芯を全く有さない積層梁は、フレキシャが、支持構造の周りにおいてさらに曲がるにつれて、より薄くなることを可能にし、フレキシャが作られる材料の弾性領域において、フレキシャの作用を維持する。
【0033】
別の実施形態において、マクロ規模の機器では、瞬間回転中心における有効切り溝が、非荷重状態において、効果的にゼロであるように、フレキシャが巻回する面が機械加工されると共に、固定される。これは、フレキシャおよび構造体により、局所的な応力を最小減にするので、効果的であり、より強度の高い機器を結果的に得て、より長い疲労寿命を可能とする。
【0034】
マクロ規模のフレキシャは、また、一層がひび割れるならば、ひび割れが次の層を通り伝わらないように、同じまたは異なる材料で層が重ねられてよい。
ミクロ規模において、フレキシャは、フレキシャの異なる高さが、異なる材料でドーブされるのを可能にする積層工程で製造されてよく、異なる高さにおいて、フレキシャの強度または疲労特性を強化する。例えば、焼結が使用されるならば、Ti6Al4V規格が、フレキシャの本体に使用される一方、チタンの標準形態が、滑らかな疲労特性を向上させると共に、チタンのELI形態が切欠疲労特性を向上させるとすると、Ti6Al4VELIは、面特徴を生じさせるために使用され得る。
【0035】
ナノ規模において、多くの同様のドーピングまたは材料操作特性が利用可能である。また、イオン挿入が、ブロックを互いにより接近させ、あるいは離れさせるために、使用されてよく、化学作動機器、センサ、または弁が結果的に得られる。
【0036】
全ての規模において、フレキシャ自体は、更なる新規の構造体またはフレキシャを作り出すために、複製され、再現され、複合され、回転され、押出され、あるいは旋回させられてよい。
【0037】
システム、機器、および方法の様々な実施形態が、本明細書に記載されている。これら実施形態は、一例としてのみ与えられるものであり、また、本発明の範囲を制限するように意図されていない。さらに、当然のことながら、記載されている実施形態の様々な特徴は、多くの付加的な実施形態を生み出すために、様々な方法で組み合わせられてよい。さらに、様々な材料、寸法、形状等が、開示される実施形態で使用するために記載されているが、これら開示された以外のものも、本発明の範囲を超えることなく、利用されてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性ジョイントであって、
ベースと、
構造部材と、
構造部材をベースと連結させ、構造部材をベースに対して移動させるために回転するフレキシャ部材と、ベース、構造部材およびフレキシャ部材は、一体型一片モノリス体を含むことと、
ベースに画定される覆い面とを含み、覆い面は、フレキシャ部材の回転を案内し、フレキシャ部材および覆い面の境界によって画定される経路に沿って移動する移動瞬間回転軸を画定し、前記経路は、反転することなく、個別の特定数工程でのみ変化する曲率半径を有することとを特徴とする可撓性ジョイント。
【請求項2】
前記覆い面は、凹状、凸状または平坦状からなる組から選択された断面形状を有する請求項1の可撓性ジョイント。
【請求項3】
前記フレキシャ部材は、バンドフレキシャ、円形フレキシャ、楕円形フレキシャおよび葉形フレキシャからなる群から選択される請求項1の可撓性ジョイント。
【請求項4】
前記フレキシャ部材は弾性的に回転する請求項1の可撓性ジョイント。
【請求項5】
前記フレキシャ部材は塑性的に回転する請求項1の可撓性ジョイント。
【請求項6】
可撓性ジョイントであって、
上側ベースおよび下側ベースと、
上側ベースおよび下側ベースの中間に載置される構造部材と、
一対のフレキシャ部材とを含み、各フレキシャ部材は、前記構造部材を上側ベースおよび下側ベースの一方と連結させ、前記フレキシャ部材は、上側ベースおよび下側ベースを互いに拡張させるために、前記構造部材を回転させるように構成され、前記フレキシャ部材各々は、各フレキシャ部材の回転軸が、軸と直交する面内において異なる高さで移動するように、上側ベースおよび下側ベースが接近したり離間する方向に移動させられるにつれて、前記フレキシャ部材に沿って移動する移動瞬間回転軸を画定することを特徴とする可撓性ジョイント。
【請求項7】
前記上側ベースおよび下側ベースの少なくとも一方は、前記フレキシャ部材の回転を案内すると共に、上側ベースおよび下側ベースが接近したり離間する方向に移動させられるときに、上側ベースおよび下側ベースの少なくとも一方に取り付けられるフレキシャ部材の少なくとも一部の曲率半径を画定する覆い面を画定する請求項6の可撓性ジョイント。
【請求項8】
前記覆い面は、凹状、凸状および平坦状からなる組から選択された断面形状を有する請求項7の可撓性ジョイント。
【請求項9】
前記フレキシャ部材は、バンドフレキシャ、円形フレキシャ、楕円形フレキシャおよび葉形フレキシャからなる群から選択される請求項6の可撓性ジョイント。
【請求項10】
前記上側ベースおよび下側ベース各々は覆い面を画定し、覆い面は、他方の覆い面の形状寸法と異なる形状寸法を有する請求項6の可撓性ジョイント。
【請求項11】
可撓性ジョイント構成であって、
第1ベースおよび第2ベースと、第1および第2ベースは、これらベースが接近したり離間する方向に移動するのを可能にするように回転するフレキシャ部材によって、互いに連結され、
第1ベースおよび第2ベース各々に画定される覆い面とを含み、各覆い面は、フレキシャ部材の回転を案内すると共に、フレキシャ部材が回転させられるときに、フレキシャ部材の少なくとも一部の曲率半径を画定し、第1ベースによって画定される覆い面と、第2ベースによって画定される覆い面は非対称であることを特徴とする可撓性ジョイント構成。
【請求項12】
前記フレキシャ部材が回転するときに、フレキシャ部材の一部または複数部分に沿った曲率半径は、前記第1ベースの覆い面によって画定される第1曲率半径から、前記第2ベースの覆い面によって画定される第2曲率半径へ移行する請求項11の可撓性ジョイント構成。
【請求項13】
前記フレキシャ部材が回転するときに、フレキシャ部材に沿った各点における曲率半径は、前記第1ベースの覆い面によって画定される第1曲率半径、または前記第2ベースの覆い面によって画定される第2曲率半径のいずれかとしてのみ画定される請求項11の可撓性ジョイント構成。
【請求項14】
前記フレキシャ部材の移動瞬間回転軸は、フレキシャ部材と、前記第1および第2ベースの覆い面の境界面によって画定される経路に沿って移動する請求項11の可撓性ジョイント構成。
【請求項15】
前記フレキシャ部材の瞬間回転軸の一方側に配置されるフレキシャ部材の全ての点は、前記第1ベースによって画定される第1曲率半径を有し、かつ、前記フレキシャ部材の瞬間回転軸の対向側に配置されるフレキシャ部材の全ての点は、フレキシャ部材の回転の間に、所定の点において、前記第2ベースによって画定される第2曲率半径を有する請求項14の可撓性ジョイント構成。
【請求項16】
前記第1曲率半径および第2曲率半径は、両方ともに、正の曲率または負の曲率のいずれかを画定する請求項12の可撓性ジョイント構成。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−514703(P2012−514703A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544628(P2011−544628)
【出願日】平成21年12月31日(2009.12.31)
【国際出願番号】PCT/US2009/069958
【国際公開番号】WO2010/078520
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(511160022)
【氏名又は名称原語表記】JIMENEZ,Omar F.