フレームユニット
【課題】 建築物が大きい場合であっても強度を保つとともに軽量化を可能とし、且つ木材の種類や大きさを選ばないフレームユニットを提供する。
【解決手段】フレームユニット1は、枠体1aで囲まれるフレーム面内に、六つの辺部材4,4・・を接合してなる正六角形のハニカム体3を連続状に連結してハニカム構造2を形成すると共に、複数のハニカム体3内に、対向する頂点間を結ぶ対角線部材6を、複数のハニカム体3,3に亘って同一直線上となるようにそれぞれ設けて、複数の対角線部材6と、当該対角線部材6,6の間に位置する辺部材4とにより、フレーム面内を斜めに横断するトラス構造5をハニカム構造2と一体に形成した。
【解決手段】フレームユニット1は、枠体1aで囲まれるフレーム面内に、六つの辺部材4,4・・を接合してなる正六角形のハニカム体3を連続状に連結してハニカム構造2を形成すると共に、複数のハニカム体3内に、対向する頂点間を結ぶ対角線部材6を、複数のハニカム体3,3に亘って同一直線上となるようにそれぞれ設けて、複数の対角線部材6と、当該対角線部材6,6の間に位置する辺部材4とにより、フレーム面内を斜めに横断するトラス構造5をハニカム構造2と一体に形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の屋根等に用いられるフレームユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より建築物の壁に用いられるフレームユニットとしては、特許文献1に示すように、フレーム面内をハニカム構造としたものが知られている。このハニカム構造は、高い強度が得られることから耐震壁等でよく用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3244453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のハニカム構造では、耐震の目的から金属によって形成されて専ら壁体として使用されている。木材に代えて屋根の梁材としての使用も考えられるが、建築物のスパンが大きい場合には、強度を保つために重量が増加して軽量化を図ることが困難であった。また、木材を大量に必要とするため、木材の種類や大きさを選ぶという不具合も生じていた。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記従来のフレームユニットの問題点を解消するとともに、建築物のスパンが大きい場合であっても強度を保つとともに軽量化を可能とし、且つ木材の種類や大きさを選ばないフレームユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち、請求項1に記載された発明は、木製のフレームユニットであって、
枠体で囲まれるフレーム面内に、六つの辺部材を接合してなる正六角形のハニカム体を連続状に連結してハニカム構造を形成すると共に、
複数の前記ハニカム体内に、対向する頂点間を結ぶ対角線部材を、前記複数の前記ハニカム体に亘って同一直線上となるようにそれぞれ設けて、複数の前記対角線部材と、当該対角線部材の間に位置する前記辺部材とにより、前記フレーム面内をジグザグに横断するトラス構造を前記ハニカム構造と一体に形成したことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記辺部材及び対角線部材を、前記フレーム面の厚み方向で同じ寸法としたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は請求項2に記載された発明において、前記辺部材及び対角線部材に単板積層材を用いたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載された発明は、請求項1乃至3に記載された発明において、前記辺部材の接合を、前記辺部材の端部にそれぞれ形成した接合部同士の結合と、前記辺部材の端部間に跨って固定される接合金具とによって行うことを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に記載された発明は、請求項1乃至3に記載された発明において、前記辺部材の接合を、前記辺部材の端部の互いの接合面間に介在されるジョイント部材と、前記辺部材の端部間に跨って固定される接合金具とによって行うことを特徴とするものである。
請求項6に記載された発明は、請求項1乃至3に記載された発明において、前記辺部材の接合を、前記辺部材の端部同士のピン結合と、前記辺部材の端部間に跨って固定される接合金具とによって行うことを特徴とするものである。
【0011】
請求項7に記載された発明は、請求項1乃至3に記載された発明において、前記辺部材の接合を、前記辺部材の端部に先端がそれぞれ螺合して前記端部間に基端が支持される複数の自在ボルトと、前記辺部材の端部間に跨って固定される接合金具とによって行うことを特徴とするものである。
【0012】
請求項8に記載された発明は、請求項1乃至7に記載された発明において、前記枠体を正面視で横長矩形状に形成したことを特徴とするものである。
【0013】
請求項9に記載された発明は、請求項1乃至7に記載された発明において、前記枠体を正面視でアーチ状に形成したことを特徴とするものである。
【0014】
請求項10に記載された発明は、請求項1乃至7に記載された発明において、前記枠体を正面視で門形に形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載されたフレームユニットによれば、ハニカム構造とトラス構造との複合体となるため、建築物の大きさに関係なく強度を保持することが可能であり、軽量化も可能である。
また、ハニカム構造内にトラス構造を形成すれば良いことから、木材は切片や廃材、間伐材、小径木であっても良く、木材の種類や大きさを選ばない。それ故、純国産の木材のみで製作可能であり、輸入材や鉄骨材を使用することなく、地産地消、CO2の削減にも貢献する。他にも、木材の種類を選ばないため、一つの木材に統一して製作する必要がなく、材料費のコスト削減にも貢献する。更に、製作寸法が短いことから加工が容易で歩留まりが高く、木材の無駄を生じることもない。
【0016】
請求項2に記載されたフレームユニットによれば、加工が容易であることから、短時間で大量に製作することが可能である。
【0017】
請求項3に記載されたフレームユニットによれば、木材の種類を選ばないため、一つの木材に統一して製作する必要がなく、コスト削減に貢献する。
【0018】
請求項4乃至7に記載されたフレームユニットによれば、結合が強固に行われ、安定した強度を保持することが可能である。従って、スパンが大きい建築物であっても梁材や屋根として好適に使用できる。
【0019】
請求項8に記載されたフレームユニットによれば、建築物の大きさに関係なく強度を保持することが可能であり、軽量化も可能である。また、加工が容易で歩留まりが高く、木材に無駄を生じることもない。
【0020】
請求項9に記載されたフレームユニットによれば、アーチ状の屋根組として使用することができる。
【0021】
請求項10に記載されたフレームユニットによれば、全体の軽量化及び強度アップが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)は、フレームユニットの全体図を示す説明図であり、(b)は、その拡大図である。
【図2】ハニカム構造の連結方法を示す説明図である。
【図3】フレームユニットの使用例を示す説明図である。
【図4】(a)は、他の実施例による連結方法を示す説明図であり、(b)はそのフレームユニットを示す説明図である。
【図5】(a)は、他の実施例による連結方法を示す説明図であり、(b)はそのフレームユニットを示す説明図である。
【図6】(a)は、他の実施例による連結方法を示す説明図であり、(b)はそのフレームユニットを示す説明図である。
【図7】(a)は、他の実施例による連結方法を示す説明図であり、(b)はそのフレームユニットを示す説明図である。
【図8】(a)は、他の実施例による連結方法を示す説明図であり、(b)はそのフレームユニットを示す説明図である。
【図9】(a)は、他の実施例による連結方法を示す説明図であり、(b)はそのフレームユニットを示す説明図である。
【図10】(a)は、他の実施例による連結方法を示す説明図であり、(b)はそのフレームユニットを示す説明図である。
【図11】フレームユニットの使用例を示す説明図である。
【図12】フレームユニットの変更例及び使用例を示す説明図である。
【図13】フレームユニットの変更例及び使用例を示す説明図である。
【図14】フレームユニットの変更例を示す説明図である。
【図15】フレームユニットの変更例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明のフレームユニットの実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1(a)は、フレームユニットの一例を示す全体図で、図1(b)は、その拡大図を示したものである。図2は、ハニカム構造の詳細を示したものである。図3は、そのフレームユニット1を梁として使用した例を示したものである。
図1に示されるフレームユニット1は、帯状の板体を用いて形成される正面視横長矩形状の二重構造の枠体1aを有し、その枠体1aで囲まれるフレーム面内に、六つの辺部材4,4・・からなる正六角形のハニカム体3,3・・を連続状に連結してなるハニカム構造2を形成している。
【0025】
また、フレーム面内には、所定のハニカム体3内に、対向する頂点間を結ぶ対角線部材6,6・・を、複数のハニカム体3,3に亘って同一直線上となるようにそれぞれ設けて、複数の対角線部材6,6と、当該対角線部材6,6の間に位置する辺部材4,4とにより、フレーム面内を斜めに横断するトラス構造5を、ハニカム構造2と一体に形成している。
【0026】
図2(a)に示すように、ハニカム体3を形成する辺部材4は、両端部を側面視約120度の鈍角形状に形成し、その表面にはフレーム面の厚み方向に接合部11(アリ溝12及びアリ突条13)が設けられている。この接合部11により、図2(b)に示すように、他の辺部材2の接合部11とは、アリ溝12とアリ突条13との嵌合によって互いに120度の角度で接合可能となる。なお、この接合部11は、フレーム面の端で半分に途切れるハニカム体3の対角線上で枠体1aに沿って設けられるフレーム材7にも形成されている。
また、対角線部材6は、両端部を側面視約120度の鈍角形状に形成されている。これらの辺部材4や対角線部材6、フレーム材7には、フレーム面の厚み方向で約75mmとなる単板積層材(LVL材)が使用されているが、その他の積層材であっても良く、木材であれば特に限定されない。
【0027】
これらの辺部材4、対角線部材6、フレーム材7は、ハニカム体3の頂点9の位置で接合金具8によって接合される。この接合金具8は、頂点9に接合される部材の方向に合わせて、T字状やY字状等に形成される厚み約1.2mmの金属板で、板面には複数の孔が穿設されている。
なお、辺部材4と対角線部材6、フレーム材7の両側面端部には、これら接合金具8を重ねたときに側面が平坦となるよう、板厚分の段部14,14・・が形成されている。
【0028】
次に、フレームユニット1の組み立てについて説明する。
まず始めに、ハニカム構造2を形成するには、辺部材4,4・・の連結を行う必要がある。すなわち、図2(b)に示すように、6つの辺部材4a〜4fをアリ溝12とアリ突条13との嵌合によって互いに接合してハニカム体3を形成すると共に、ハニカム体3の各頂点9a〜9fにおいて隣接するハニカム体3の辺部材4g,4i等を同様に接合してハニカム体3を形成する。この繰り返しによってハニカム構造2が形成される。なお、フレーム面の端縁では、枠体1aに当接するハニカム体3の辺部材4j、4h間の頂点9g、9hにおいて、フレーム材7の両端が接合される。
【0029】
次に、ハニカム構造2内の所定のハニカム体3において、対角線部材6,6・・を、各ハニカム体3間で直線状となるように配置して、対角線部材6,6・・と、対角線部材6,6間に位置する辺部材4とでフレーム面内を斜めに横切るトラス構造5を形成する。そして、各ハニカム体3の頂点9において、フレーム面の厚み方向の前後から接合金具8をあてがい、孔の位置に釘(図示せず)を打設して辺部材4同士を固定する。なお、対角線部材6が配置される頂点9では、対角線部材6にも当接する接合金具8が用いられるため、対角線部材6も同時に固定される。
【0030】
このようにして、ハニカム構造2内にトラス構造5が一体に組み込まれたフレームユニット1が得られる。
こうして得られたフレームユニット1は、例えば図3に示すように、両端に柱15,15を組み付けることで梁として使用でき、これを所定間隔で複数配置して桁材16,16・・で隣接する柱15,15同士を連結することで、陸屋根の屋根組として使用できる。
【0031】
なお、内部に対角線部材が配置されるハニカム体について、辺部材のフレーム厚み方向の長さ(板厚)が、75mm,105mm,120mmの各寸法について、対角線部材が有るもの(トラス有り)と、対角線部材が無いもの(トラス無し)とのそれぞれについて、株式会社島津製作所のユニバーサルテスティングマシン 万能試験機(RH-10型)を使用して強度試験を行ったところ、以下の表1に表す結果が得られた。
この表1において、測定値は、戻った荷重が一定時間経過しても最大値以上に上がらない状態の測定値を表す。
【0032】
【表1】
【0033】
この結果、内部にトラス構造が形成されるハニカム体は、内部にトラス構造が形成されないハニカム体と比較すると、測定値が何れも高く、内部にトラス構造を形成することで、強度が上がることを示している。
【0034】
このように、上記形態のフレームユニット1によれば、ハニカム構造2とトラス構造5との複合体となるため、建築物の大きさに関係なく強度を保持することが可能であり、軽量化も可能である。
また、ハニカム構造2内にトラス構造5を形成すれば良いことから、木材は切片や廃材、間伐材、小径木であっても良く、木材の種類や大きさを選ばない。それ故、純国産の木材のみで製作可能であり、輸入材や鉄骨材を使用することなく、地産地消、CO2の削減にも貢献する。他にも、木材の種類を選ばないため、一つの木材に統一して製作する必要がなく、材料費のコスト削減にも貢献する。更に、製作寸法が短いことから加工が容易で歩留まりが高く、木材の無駄を生じることもない。
【0035】
また、辺部材4及び対角線部材6を、フレーム面の厚み方向で同じ寸法としたことにより、加工が容易であることから、短時間で大量に製作することが可能である。
【0036】
更に、辺部材4及び対角線部材6に単板積層材を用いたことにより、木材の種類を選ばないため、一つの木材に統一して製作する必要がなく、コスト削減に貢献する。
【0037】
他にも、辺部材21の接合を、辺部材21の端部22にそれぞれ形成した接合部11同士の結合と、辺部材21の各頂点25間に跨って固定される接合金具8とによって行うことにより、結合が強固に行われ、安定した強度を保持することが可能である。従って、スパンが大きい建築物であっても梁材や屋根として好適に使用できる。
【0038】
また、フレームユニット1を正面視で横長矩形状に形成したことにより、建築物の大きさに関係なく強度を保持することが可能であり、軽量化も可能である。また、加工が容易で歩留まりが高く、木材に無駄を生じることもない。
【0039】
なお、本発明にかかるフレームユニットの構造は、上記した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、辺部材の形状や大きさ、連結部の連結方法、材質等を適宜変更することができる。
【0040】
例えば、図4(a)に示すように、辺部材21の長手方向両端部に、接合部として千鳥状に凹凸部22,22を形成し、この凹凸部22による組み接ぎで各頂点25での接合を行ってもよい。
すなわち、図4(b)に示すように、辺部材21a,21b・・を各頂点25a,25b・・で接合し、ハニカム構造24を形成する。そして、このハニカム構造24内に対角線部材6を設けてトラス構造を形成する。フレーム部材23も同様に組み接ぎで接合する。次に、辺部材21及び対角線部材6、フレーム部材23の厚み方向両側から接合金具8,8で各頂点25a,25b・・を夫々押さえ、接合金具8上に穿設された孔の位置に釘(図示せず)を打設することで固定し、ハニカム構造とトラス構造とが一体のフレームユニット20を構成する。
【0041】
他にも、図5(a)に示すように、辺部材31の接合面に溝33を設け、各溝33に跨ってジョイント部材としての円板状のビスケット34,34を介在させて各頂点36での接合を行ってもよい。
すなわち、図5(b)に示すように、辺部材31やフレーム部材32の溝33に接着剤を注入した後、ビスケット34,34を差し込み、辺部材31a,31b・・を各頂点36a,36b・・で接合し、ハニカム構造35を形成する。そして、このハニカム構造35内に対角線部材6を設けてトラス構造を形成する。次に、辺部材31及び対角線部材6、フレーム部材32の厚み方向両側から接合金具8,8で各頂点36a,36b・・を夫々押さえ、接合金具8上に穿設された孔の位置に釘(図示せず)を打設することで固定し、ハニカム構造とトラス構造とが一体のフレームユニット30を構成する。
【0042】
このように、辺部材31の接合を、辺部材31の端部の互いの接合面間に介在されるビスケット34と、辺部材31の各頂点36間に跨って固定される接合金具8とによって行うことにより、結合が強固に行われ、安定した強度を保持することが可能である。従って、スパンが大きい建築物であっても梁材や屋根として好適に使用できる。
【0043】
他にも、図6(a)に示すように、ジョイント部材としてピン44を挿入して各頂点46での接合を行ってもよい。
すなわち、図6(b)に示すように、辺部材41a,41b・・やフレーム部材42の接合面に、ピン44,44・・を挿入する孔43,43を設け、対向する部材間の孔43,43に跨ってピン44,44を挿入することで、各頂点46a,46b・・での接合を行い、ハニカム構造45を形成する。そして、このハニカム構造45内に対角線部材6を設けてトラス構造を形成する。次に、辺部材41及び対角線部材6、フレーム部材42の厚み方向両側から接合金具8,8で各頂点46a,46b・・を夫々押さえ、接合金具上に穿設された孔の位置に釘(図示せず)を打設することで固定し、ハニカム構造とトラス構造とが一体のフレームユニット40を構成する。
【0044】
次に、図7(a)に示すように、辺部材51の接合面にアリ溝56,56を施して、ジョイント部材としてのアリ溝ガイド57を用いて各頂点59での接合を行ってもよい。
すなわち、図7(b)に示すように、辺部材51a,51b・・やフレーム部材52の対向するアリ溝56に跨ってアリ溝ガイド57,57・・を嵌合させて各頂点59a,59b・・での接合を行い、ハニカム構造58を形成する。そして、このハニカム構造58内に対角線部材6を設けてトラス構造を形成する。次に、辺部材51及び対角線部材6、フレーム部材52の厚み方向両側から、接合金具8,8で各頂点59a,59b・・を夫々押さえ、接合金具8,8に穿設された孔の位置に釘(図示せず)を打設することで固定し、ハニカム構造とトラス構造とが一体のフレームユニット50を構成する。
【0045】
更に、図8(a)に示すように、辺部材61の接合面に、筒部を突出させた接合金物63,63を埋め込み、筒部同士をピン64でピン結合することで、各頂点66での接合を行ってもよい。
すなわち、図8(b)に示すように、辺部材61a,61b・・・の側面に互い違いに筒部が位置する接合金具63を埋め込み、対向する部材間で直線状に並ぶ筒部にピン64を挿入して各頂点66a,66b・・での接合を行い、ハニカム構造65を形成する。そして、このハニカム構造65内に対角線部材6を設けてトラス構造を形成する。次に、辺部材61a,61b・・及びフレーム部材62、対角線部材6の厚み方向の両側から接合金具8,8で各頂点66a,66b・・を夫々押さえ、接合金具8上に穿設された孔の位置に釘(図示せず)を打設することで固定し、フレームユニット60を構成する。
【0046】
このように、辺部材61の接合を、辺部材61の端部同士のピン64結合と、辺部材61の各頂点66間に跨って固定される接合金具8とによって行うことにより、結合が強固に行われ、安定した強度を保持することが可能である。従って、スパンが大きい建築物であっても梁材や屋根として好適に使用できる。
【0047】
また、図9(a)に示すように、蝶番73,74を用いて各頂点77でのピン結合を行ってもよい。
すなわち、図9(b)に示すように、辺部材71a,71b・・の長手方向両端側面にスリットを設け、そのスリットに3枚の蝶番73や、2枚の蝶番74を挿入した後、辺部材71a,71b・・に形成した穿設孔75,75・・に、ピン又はボルトを挿入することで、各頂点77a,77b・・での接合を行い、ハニカム構造76を形成する。そして、このハニカム構造65内に対角線部材6を設けてトラス構造を形成する。最後に各辺部材71及びフレーム部材72、対角線部材6の厚み方向の両側から接合金具8,8で各頂点77a,77b・・を夫々押さえ、接合金具8上に穿設された孔の位置に釘(図示せず)を打設することで固定し、フレームユニット70を構成する。
【0048】
他にも、図10(a)に示すように、自在ボルト85とナット86とを用いて各頂点87での接合を行ってもよい。
すなわち、図10(a)(b)に示すように、辺部材81a,81b・・の長手方向の両側面に貫通孔84,84・・を設けるとともに、平面方向に開口部83、83・・を設け、貫通孔84に、3本の自在ボルト85の内の一本を挿入して自在ボルト85の基端を支持する中心ピン85aを辺部材81の間に沿わせた状態で、開口部83から自在ボルト85にナット86を螺合し、固定する。そして、自在ボルト85の残り2本のボルトについても同様に、対向する他の辺部材81b,81jの貫通孔84,84・・に挿入した後、開口部83からナット86を螺合し、固定することで各頂点87a,87b・・での接合を行い、ハニカム構造86を形成する。そして、このハニカム構造86内に対角線部材6を設けてトラス構造を形成する。その後、辺部材81及び対角線部材6の厚み方向の両側から接合金具8,8で各頂点87a,87b・・を夫々押さえ、接合金具8上に穿設された孔の位置に釘(図示せず)を打設することで固定し、フレームユニット80を構成する。
【0049】
このように、辺部材81の接合を、辺部材81の端部84に先端がそれぞれ螺合して各頂点87間に基端が支持される複数の自在ボルト85と、辺部材81の各頂点87間に跨って固定される接合金具8とによって行うことにより、結合が強固に行われ、安定した強度を保持することが可能である。従って、スパンが大きい建築物であっても梁材や屋根として好適に使用できる。
但し、辺部材等の接合形態は、これらの変更例に限らず、接合金具や組み接ぎ、ビスケットや自在ボルト等の形状変更は勿論、材質等においても適宜変更可能である。
【0050】
次に、このようにして得られたフレームユニットの使用例を説明する。
まず、図11は、フレームユニット1の下縁両端に柱91,91を接合して所定間隔で複数配置すると共に、各フレームユニット1を桁材92で連結したものである。これも陸屋根の屋根組として使用できる。
図12は、枠体を正面視横長矩形状でなく、上方へ膨出する正面視アーチ状に形成したフレームユニット100を示している。この場合も、両端に柱15,15を接合して所定間隔で複数配置し、互いに桁材16で連結することで、アーチ状の屋根組として使用できる。
【0051】
更に、図13に示すように、フレームユニットの両端を下方へも連続形成して、柱部分も含めた全体を正面視門形のフレームユニット101としてもよい。このようにすれば全体の軽量化及び強度アップが期待できる。
他にも、フレームユニットは鉛直平面で形成する場合に限らず、例えば図14に示すように、全体が湾曲する半円若しくは円弧状の枠体内に、ハニカム構造及びトラス構造を形成したフレームユニット102を形成したり、図15に示すように、全体がドーム状となる枠体内にフレームユニット103を形成したりしてもよい。何れもハニカム構造とトラス構造との組み合わせによって軽量且つ強固な屋根として使用できる。
勿論屋根の形状はこれらに限らず、横長矩形状のフレームユニットを傾斜させて片流れ屋根としたり、山形に形成して切り妻屋根にしたり等、適宜形状を選択して使用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1,20,30,40,50,60,70,80,100,101,102,103・・フレームユニット、2,24,35,45,58,65,76,86・・ハニカム構造、3・・ハニカム体、4,21,31,41,51,61,71,81・・辺部材、5・・トラス構造、6・・対角線部材、7・・フレーム部材、8・・接合金具、6,25,36,46,59,66,77,87・・頂点、11・・接合部、12・・アリ溝、13・・アリ突条、14・・段部、15,91・・柱、16,92・・桁材、22・・凹凸部、34・・ビスケット、44・・ピン、45・・ハニカム構造、56・・アリ溝、57・・アリ溝ガイド、63・・接合金物、64・・ピン、73,74・・蝶番、83・・開口部、85・・自在ボルト、86・・ナット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の屋根等に用いられるフレームユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より建築物の壁に用いられるフレームユニットとしては、特許文献1に示すように、フレーム面内をハニカム構造としたものが知られている。このハニカム構造は、高い強度が得られることから耐震壁等でよく用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3244453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のハニカム構造では、耐震の目的から金属によって形成されて専ら壁体として使用されている。木材に代えて屋根の梁材としての使用も考えられるが、建築物のスパンが大きい場合には、強度を保つために重量が増加して軽量化を図ることが困難であった。また、木材を大量に必要とするため、木材の種類や大きさを選ぶという不具合も生じていた。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記従来のフレームユニットの問題点を解消するとともに、建築物のスパンが大きい場合であっても強度を保つとともに軽量化を可能とし、且つ木材の種類や大きさを選ばないフレームユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち、請求項1に記載された発明は、木製のフレームユニットであって、
枠体で囲まれるフレーム面内に、六つの辺部材を接合してなる正六角形のハニカム体を連続状に連結してハニカム構造を形成すると共に、
複数の前記ハニカム体内に、対向する頂点間を結ぶ対角線部材を、前記複数の前記ハニカム体に亘って同一直線上となるようにそれぞれ設けて、複数の前記対角線部材と、当該対角線部材の間に位置する前記辺部材とにより、前記フレーム面内をジグザグに横断するトラス構造を前記ハニカム構造と一体に形成したことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記辺部材及び対角線部材を、前記フレーム面の厚み方向で同じ寸法としたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は請求項2に記載された発明において、前記辺部材及び対角線部材に単板積層材を用いたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載された発明は、請求項1乃至3に記載された発明において、前記辺部材の接合を、前記辺部材の端部にそれぞれ形成した接合部同士の結合と、前記辺部材の端部間に跨って固定される接合金具とによって行うことを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に記載された発明は、請求項1乃至3に記載された発明において、前記辺部材の接合を、前記辺部材の端部の互いの接合面間に介在されるジョイント部材と、前記辺部材の端部間に跨って固定される接合金具とによって行うことを特徴とするものである。
請求項6に記載された発明は、請求項1乃至3に記載された発明において、前記辺部材の接合を、前記辺部材の端部同士のピン結合と、前記辺部材の端部間に跨って固定される接合金具とによって行うことを特徴とするものである。
【0011】
請求項7に記載された発明は、請求項1乃至3に記載された発明において、前記辺部材の接合を、前記辺部材の端部に先端がそれぞれ螺合して前記端部間に基端が支持される複数の自在ボルトと、前記辺部材の端部間に跨って固定される接合金具とによって行うことを特徴とするものである。
【0012】
請求項8に記載された発明は、請求項1乃至7に記載された発明において、前記枠体を正面視で横長矩形状に形成したことを特徴とするものである。
【0013】
請求項9に記載された発明は、請求項1乃至7に記載された発明において、前記枠体を正面視でアーチ状に形成したことを特徴とするものである。
【0014】
請求項10に記載された発明は、請求項1乃至7に記載された発明において、前記枠体を正面視で門形に形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載されたフレームユニットによれば、ハニカム構造とトラス構造との複合体となるため、建築物の大きさに関係なく強度を保持することが可能であり、軽量化も可能である。
また、ハニカム構造内にトラス構造を形成すれば良いことから、木材は切片や廃材、間伐材、小径木であっても良く、木材の種類や大きさを選ばない。それ故、純国産の木材のみで製作可能であり、輸入材や鉄骨材を使用することなく、地産地消、CO2の削減にも貢献する。他にも、木材の種類を選ばないため、一つの木材に統一して製作する必要がなく、材料費のコスト削減にも貢献する。更に、製作寸法が短いことから加工が容易で歩留まりが高く、木材の無駄を生じることもない。
【0016】
請求項2に記載されたフレームユニットによれば、加工が容易であることから、短時間で大量に製作することが可能である。
【0017】
請求項3に記載されたフレームユニットによれば、木材の種類を選ばないため、一つの木材に統一して製作する必要がなく、コスト削減に貢献する。
【0018】
請求項4乃至7に記載されたフレームユニットによれば、結合が強固に行われ、安定した強度を保持することが可能である。従って、スパンが大きい建築物であっても梁材や屋根として好適に使用できる。
【0019】
請求項8に記載されたフレームユニットによれば、建築物の大きさに関係なく強度を保持することが可能であり、軽量化も可能である。また、加工が容易で歩留まりが高く、木材に無駄を生じることもない。
【0020】
請求項9に記載されたフレームユニットによれば、アーチ状の屋根組として使用することができる。
【0021】
請求項10に記載されたフレームユニットによれば、全体の軽量化及び強度アップが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)は、フレームユニットの全体図を示す説明図であり、(b)は、その拡大図である。
【図2】ハニカム構造の連結方法を示す説明図である。
【図3】フレームユニットの使用例を示す説明図である。
【図4】(a)は、他の実施例による連結方法を示す説明図であり、(b)はそのフレームユニットを示す説明図である。
【図5】(a)は、他の実施例による連結方法を示す説明図であり、(b)はそのフレームユニットを示す説明図である。
【図6】(a)は、他の実施例による連結方法を示す説明図であり、(b)はそのフレームユニットを示す説明図である。
【図7】(a)は、他の実施例による連結方法を示す説明図であり、(b)はそのフレームユニットを示す説明図である。
【図8】(a)は、他の実施例による連結方法を示す説明図であり、(b)はそのフレームユニットを示す説明図である。
【図9】(a)は、他の実施例による連結方法を示す説明図であり、(b)はそのフレームユニットを示す説明図である。
【図10】(a)は、他の実施例による連結方法を示す説明図であり、(b)はそのフレームユニットを示す説明図である。
【図11】フレームユニットの使用例を示す説明図である。
【図12】フレームユニットの変更例及び使用例を示す説明図である。
【図13】フレームユニットの変更例及び使用例を示す説明図である。
【図14】フレームユニットの変更例を示す説明図である。
【図15】フレームユニットの変更例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明のフレームユニットの実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1(a)は、フレームユニットの一例を示す全体図で、図1(b)は、その拡大図を示したものである。図2は、ハニカム構造の詳細を示したものである。図3は、そのフレームユニット1を梁として使用した例を示したものである。
図1に示されるフレームユニット1は、帯状の板体を用いて形成される正面視横長矩形状の二重構造の枠体1aを有し、その枠体1aで囲まれるフレーム面内に、六つの辺部材4,4・・からなる正六角形のハニカム体3,3・・を連続状に連結してなるハニカム構造2を形成している。
【0025】
また、フレーム面内には、所定のハニカム体3内に、対向する頂点間を結ぶ対角線部材6,6・・を、複数のハニカム体3,3に亘って同一直線上となるようにそれぞれ設けて、複数の対角線部材6,6と、当該対角線部材6,6の間に位置する辺部材4,4とにより、フレーム面内を斜めに横断するトラス構造5を、ハニカム構造2と一体に形成している。
【0026】
図2(a)に示すように、ハニカム体3を形成する辺部材4は、両端部を側面視約120度の鈍角形状に形成し、その表面にはフレーム面の厚み方向に接合部11(アリ溝12及びアリ突条13)が設けられている。この接合部11により、図2(b)に示すように、他の辺部材2の接合部11とは、アリ溝12とアリ突条13との嵌合によって互いに120度の角度で接合可能となる。なお、この接合部11は、フレーム面の端で半分に途切れるハニカム体3の対角線上で枠体1aに沿って設けられるフレーム材7にも形成されている。
また、対角線部材6は、両端部を側面視約120度の鈍角形状に形成されている。これらの辺部材4や対角線部材6、フレーム材7には、フレーム面の厚み方向で約75mmとなる単板積層材(LVL材)が使用されているが、その他の積層材であっても良く、木材であれば特に限定されない。
【0027】
これらの辺部材4、対角線部材6、フレーム材7は、ハニカム体3の頂点9の位置で接合金具8によって接合される。この接合金具8は、頂点9に接合される部材の方向に合わせて、T字状やY字状等に形成される厚み約1.2mmの金属板で、板面には複数の孔が穿設されている。
なお、辺部材4と対角線部材6、フレーム材7の両側面端部には、これら接合金具8を重ねたときに側面が平坦となるよう、板厚分の段部14,14・・が形成されている。
【0028】
次に、フレームユニット1の組み立てについて説明する。
まず始めに、ハニカム構造2を形成するには、辺部材4,4・・の連結を行う必要がある。すなわち、図2(b)に示すように、6つの辺部材4a〜4fをアリ溝12とアリ突条13との嵌合によって互いに接合してハニカム体3を形成すると共に、ハニカム体3の各頂点9a〜9fにおいて隣接するハニカム体3の辺部材4g,4i等を同様に接合してハニカム体3を形成する。この繰り返しによってハニカム構造2が形成される。なお、フレーム面の端縁では、枠体1aに当接するハニカム体3の辺部材4j、4h間の頂点9g、9hにおいて、フレーム材7の両端が接合される。
【0029】
次に、ハニカム構造2内の所定のハニカム体3において、対角線部材6,6・・を、各ハニカム体3間で直線状となるように配置して、対角線部材6,6・・と、対角線部材6,6間に位置する辺部材4とでフレーム面内を斜めに横切るトラス構造5を形成する。そして、各ハニカム体3の頂点9において、フレーム面の厚み方向の前後から接合金具8をあてがい、孔の位置に釘(図示せず)を打設して辺部材4同士を固定する。なお、対角線部材6が配置される頂点9では、対角線部材6にも当接する接合金具8が用いられるため、対角線部材6も同時に固定される。
【0030】
このようにして、ハニカム構造2内にトラス構造5が一体に組み込まれたフレームユニット1が得られる。
こうして得られたフレームユニット1は、例えば図3に示すように、両端に柱15,15を組み付けることで梁として使用でき、これを所定間隔で複数配置して桁材16,16・・で隣接する柱15,15同士を連結することで、陸屋根の屋根組として使用できる。
【0031】
なお、内部に対角線部材が配置されるハニカム体について、辺部材のフレーム厚み方向の長さ(板厚)が、75mm,105mm,120mmの各寸法について、対角線部材が有るもの(トラス有り)と、対角線部材が無いもの(トラス無し)とのそれぞれについて、株式会社島津製作所のユニバーサルテスティングマシン 万能試験機(RH-10型)を使用して強度試験を行ったところ、以下の表1に表す結果が得られた。
この表1において、測定値は、戻った荷重が一定時間経過しても最大値以上に上がらない状態の測定値を表す。
【0032】
【表1】
【0033】
この結果、内部にトラス構造が形成されるハニカム体は、内部にトラス構造が形成されないハニカム体と比較すると、測定値が何れも高く、内部にトラス構造を形成することで、強度が上がることを示している。
【0034】
このように、上記形態のフレームユニット1によれば、ハニカム構造2とトラス構造5との複合体となるため、建築物の大きさに関係なく強度を保持することが可能であり、軽量化も可能である。
また、ハニカム構造2内にトラス構造5を形成すれば良いことから、木材は切片や廃材、間伐材、小径木であっても良く、木材の種類や大きさを選ばない。それ故、純国産の木材のみで製作可能であり、輸入材や鉄骨材を使用することなく、地産地消、CO2の削減にも貢献する。他にも、木材の種類を選ばないため、一つの木材に統一して製作する必要がなく、材料費のコスト削減にも貢献する。更に、製作寸法が短いことから加工が容易で歩留まりが高く、木材の無駄を生じることもない。
【0035】
また、辺部材4及び対角線部材6を、フレーム面の厚み方向で同じ寸法としたことにより、加工が容易であることから、短時間で大量に製作することが可能である。
【0036】
更に、辺部材4及び対角線部材6に単板積層材を用いたことにより、木材の種類を選ばないため、一つの木材に統一して製作する必要がなく、コスト削減に貢献する。
【0037】
他にも、辺部材21の接合を、辺部材21の端部22にそれぞれ形成した接合部11同士の結合と、辺部材21の各頂点25間に跨って固定される接合金具8とによって行うことにより、結合が強固に行われ、安定した強度を保持することが可能である。従って、スパンが大きい建築物であっても梁材や屋根として好適に使用できる。
【0038】
また、フレームユニット1を正面視で横長矩形状に形成したことにより、建築物の大きさに関係なく強度を保持することが可能であり、軽量化も可能である。また、加工が容易で歩留まりが高く、木材に無駄を生じることもない。
【0039】
なお、本発明にかかるフレームユニットの構造は、上記した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、辺部材の形状や大きさ、連結部の連結方法、材質等を適宜変更することができる。
【0040】
例えば、図4(a)に示すように、辺部材21の長手方向両端部に、接合部として千鳥状に凹凸部22,22を形成し、この凹凸部22による組み接ぎで各頂点25での接合を行ってもよい。
すなわち、図4(b)に示すように、辺部材21a,21b・・を各頂点25a,25b・・で接合し、ハニカム構造24を形成する。そして、このハニカム構造24内に対角線部材6を設けてトラス構造を形成する。フレーム部材23も同様に組み接ぎで接合する。次に、辺部材21及び対角線部材6、フレーム部材23の厚み方向両側から接合金具8,8で各頂点25a,25b・・を夫々押さえ、接合金具8上に穿設された孔の位置に釘(図示せず)を打設することで固定し、ハニカム構造とトラス構造とが一体のフレームユニット20を構成する。
【0041】
他にも、図5(a)に示すように、辺部材31の接合面に溝33を設け、各溝33に跨ってジョイント部材としての円板状のビスケット34,34を介在させて各頂点36での接合を行ってもよい。
すなわち、図5(b)に示すように、辺部材31やフレーム部材32の溝33に接着剤を注入した後、ビスケット34,34を差し込み、辺部材31a,31b・・を各頂点36a,36b・・で接合し、ハニカム構造35を形成する。そして、このハニカム構造35内に対角線部材6を設けてトラス構造を形成する。次に、辺部材31及び対角線部材6、フレーム部材32の厚み方向両側から接合金具8,8で各頂点36a,36b・・を夫々押さえ、接合金具8上に穿設された孔の位置に釘(図示せず)を打設することで固定し、ハニカム構造とトラス構造とが一体のフレームユニット30を構成する。
【0042】
このように、辺部材31の接合を、辺部材31の端部の互いの接合面間に介在されるビスケット34と、辺部材31の各頂点36間に跨って固定される接合金具8とによって行うことにより、結合が強固に行われ、安定した強度を保持することが可能である。従って、スパンが大きい建築物であっても梁材や屋根として好適に使用できる。
【0043】
他にも、図6(a)に示すように、ジョイント部材としてピン44を挿入して各頂点46での接合を行ってもよい。
すなわち、図6(b)に示すように、辺部材41a,41b・・やフレーム部材42の接合面に、ピン44,44・・を挿入する孔43,43を設け、対向する部材間の孔43,43に跨ってピン44,44を挿入することで、各頂点46a,46b・・での接合を行い、ハニカム構造45を形成する。そして、このハニカム構造45内に対角線部材6を設けてトラス構造を形成する。次に、辺部材41及び対角線部材6、フレーム部材42の厚み方向両側から接合金具8,8で各頂点46a,46b・・を夫々押さえ、接合金具上に穿設された孔の位置に釘(図示せず)を打設することで固定し、ハニカム構造とトラス構造とが一体のフレームユニット40を構成する。
【0044】
次に、図7(a)に示すように、辺部材51の接合面にアリ溝56,56を施して、ジョイント部材としてのアリ溝ガイド57を用いて各頂点59での接合を行ってもよい。
すなわち、図7(b)に示すように、辺部材51a,51b・・やフレーム部材52の対向するアリ溝56に跨ってアリ溝ガイド57,57・・を嵌合させて各頂点59a,59b・・での接合を行い、ハニカム構造58を形成する。そして、このハニカム構造58内に対角線部材6を設けてトラス構造を形成する。次に、辺部材51及び対角線部材6、フレーム部材52の厚み方向両側から、接合金具8,8で各頂点59a,59b・・を夫々押さえ、接合金具8,8に穿設された孔の位置に釘(図示せず)を打設することで固定し、ハニカム構造とトラス構造とが一体のフレームユニット50を構成する。
【0045】
更に、図8(a)に示すように、辺部材61の接合面に、筒部を突出させた接合金物63,63を埋め込み、筒部同士をピン64でピン結合することで、各頂点66での接合を行ってもよい。
すなわち、図8(b)に示すように、辺部材61a,61b・・・の側面に互い違いに筒部が位置する接合金具63を埋め込み、対向する部材間で直線状に並ぶ筒部にピン64を挿入して各頂点66a,66b・・での接合を行い、ハニカム構造65を形成する。そして、このハニカム構造65内に対角線部材6を設けてトラス構造を形成する。次に、辺部材61a,61b・・及びフレーム部材62、対角線部材6の厚み方向の両側から接合金具8,8で各頂点66a,66b・・を夫々押さえ、接合金具8上に穿設された孔の位置に釘(図示せず)を打設することで固定し、フレームユニット60を構成する。
【0046】
このように、辺部材61の接合を、辺部材61の端部同士のピン64結合と、辺部材61の各頂点66間に跨って固定される接合金具8とによって行うことにより、結合が強固に行われ、安定した強度を保持することが可能である。従って、スパンが大きい建築物であっても梁材や屋根として好適に使用できる。
【0047】
また、図9(a)に示すように、蝶番73,74を用いて各頂点77でのピン結合を行ってもよい。
すなわち、図9(b)に示すように、辺部材71a,71b・・の長手方向両端側面にスリットを設け、そのスリットに3枚の蝶番73や、2枚の蝶番74を挿入した後、辺部材71a,71b・・に形成した穿設孔75,75・・に、ピン又はボルトを挿入することで、各頂点77a,77b・・での接合を行い、ハニカム構造76を形成する。そして、このハニカム構造65内に対角線部材6を設けてトラス構造を形成する。最後に各辺部材71及びフレーム部材72、対角線部材6の厚み方向の両側から接合金具8,8で各頂点77a,77b・・を夫々押さえ、接合金具8上に穿設された孔の位置に釘(図示せず)を打設することで固定し、フレームユニット70を構成する。
【0048】
他にも、図10(a)に示すように、自在ボルト85とナット86とを用いて各頂点87での接合を行ってもよい。
すなわち、図10(a)(b)に示すように、辺部材81a,81b・・の長手方向の両側面に貫通孔84,84・・を設けるとともに、平面方向に開口部83、83・・を設け、貫通孔84に、3本の自在ボルト85の内の一本を挿入して自在ボルト85の基端を支持する中心ピン85aを辺部材81の間に沿わせた状態で、開口部83から自在ボルト85にナット86を螺合し、固定する。そして、自在ボルト85の残り2本のボルトについても同様に、対向する他の辺部材81b,81jの貫通孔84,84・・に挿入した後、開口部83からナット86を螺合し、固定することで各頂点87a,87b・・での接合を行い、ハニカム構造86を形成する。そして、このハニカム構造86内に対角線部材6を設けてトラス構造を形成する。その後、辺部材81及び対角線部材6の厚み方向の両側から接合金具8,8で各頂点87a,87b・・を夫々押さえ、接合金具8上に穿設された孔の位置に釘(図示せず)を打設することで固定し、フレームユニット80を構成する。
【0049】
このように、辺部材81の接合を、辺部材81の端部84に先端がそれぞれ螺合して各頂点87間に基端が支持される複数の自在ボルト85と、辺部材81の各頂点87間に跨って固定される接合金具8とによって行うことにより、結合が強固に行われ、安定した強度を保持することが可能である。従って、スパンが大きい建築物であっても梁材や屋根として好適に使用できる。
但し、辺部材等の接合形態は、これらの変更例に限らず、接合金具や組み接ぎ、ビスケットや自在ボルト等の形状変更は勿論、材質等においても適宜変更可能である。
【0050】
次に、このようにして得られたフレームユニットの使用例を説明する。
まず、図11は、フレームユニット1の下縁両端に柱91,91を接合して所定間隔で複数配置すると共に、各フレームユニット1を桁材92で連結したものである。これも陸屋根の屋根組として使用できる。
図12は、枠体を正面視横長矩形状でなく、上方へ膨出する正面視アーチ状に形成したフレームユニット100を示している。この場合も、両端に柱15,15を接合して所定間隔で複数配置し、互いに桁材16で連結することで、アーチ状の屋根組として使用できる。
【0051】
更に、図13に示すように、フレームユニットの両端を下方へも連続形成して、柱部分も含めた全体を正面視門形のフレームユニット101としてもよい。このようにすれば全体の軽量化及び強度アップが期待できる。
他にも、フレームユニットは鉛直平面で形成する場合に限らず、例えば図14に示すように、全体が湾曲する半円若しくは円弧状の枠体内に、ハニカム構造及びトラス構造を形成したフレームユニット102を形成したり、図15に示すように、全体がドーム状となる枠体内にフレームユニット103を形成したりしてもよい。何れもハニカム構造とトラス構造との組み合わせによって軽量且つ強固な屋根として使用できる。
勿論屋根の形状はこれらに限らず、横長矩形状のフレームユニットを傾斜させて片流れ屋根としたり、山形に形成して切り妻屋根にしたり等、適宜形状を選択して使用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1,20,30,40,50,60,70,80,100,101,102,103・・フレームユニット、2,24,35,45,58,65,76,86・・ハニカム構造、3・・ハニカム体、4,21,31,41,51,61,71,81・・辺部材、5・・トラス構造、6・・対角線部材、7・・フレーム部材、8・・接合金具、6,25,36,46,59,66,77,87・・頂点、11・・接合部、12・・アリ溝、13・・アリ突条、14・・段部、15,91・・柱、16,92・・桁材、22・・凹凸部、34・・ビスケット、44・・ピン、45・・ハニカム構造、56・・アリ溝、57・・アリ溝ガイド、63・・接合金物、64・・ピン、73,74・・蝶番、83・・開口部、85・・自在ボルト、86・・ナット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製のフレームユニットであって、
枠体で囲まれるフレーム面内に、六つの辺部材を接合してなる正六角形のハニカム体を連続状に連結してハニカム構造を形成すると共に、
複数の前記ハニカム体内に、対向する頂点間を結ぶ対角線部材を、前記複数の前記ハニカム体に亘って同一直線上となるようにそれぞれ設けて、複数の前記対角線部材と、当該対角線部材の間に位置する前記辺部材とにより、前記フレーム面内をジグザグに横断するトラス構造を前記ハニカム構造と一体に形成したことを特徴とするフレームユニット。
【請求項2】
前記辺部材及び対角線部材を、前記フレーム面の厚み方向で同じ寸法としたことを特徴とする請求項1に記載のフレームユニット。
【請求項3】
前記辺部材及び対角線部材に単板積層材を用いたことを特徴とする請求項1又は2に記載のフレームユニット。
【請求項4】
前記辺部材の接合を、前記辺部材の端部にそれぞれ形成した接合部同士の結合と、前記辺部材の端部間に跨って固定される接合金具とによって行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のフレームユニット。
【請求項5】
前記辺部材の接合を、前記辺部材の端部の互いの接合面間に介在されるジョイント部材と、前記辺部材の端部間に跨って固定される接合金具とによって行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のフレームユニット。
【請求項6】
前記辺部材の接合を、前記辺部材の端部同士のピン結合と、前記辺部材の端部間に跨って固定される接合金具とによって行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のフレームユニット。
【請求項7】
前記辺部材の接合を、前記辺部材の端部に先端がそれぞれ螺合して前記端部間に基端が支持される複数の自在ボルトと、前記辺部材の端部間に跨って固定される接合金具とによって行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のフレームユニット。
【請求項8】
前記枠体を正面視で横長矩形状に形成したことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のフレームユニット。
【請求項9】
前記枠体を正面視でアーチ状に形成したことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のフレームユニット。
【請求項10】
前記枠体を正面視で門形に形成したことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のフレームユニット。
【請求項1】
木製のフレームユニットであって、
枠体で囲まれるフレーム面内に、六つの辺部材を接合してなる正六角形のハニカム体を連続状に連結してハニカム構造を形成すると共に、
複数の前記ハニカム体内に、対向する頂点間を結ぶ対角線部材を、前記複数の前記ハニカム体に亘って同一直線上となるようにそれぞれ設けて、複数の前記対角線部材と、当該対角線部材の間に位置する前記辺部材とにより、前記フレーム面内をジグザグに横断するトラス構造を前記ハニカム構造と一体に形成したことを特徴とするフレームユニット。
【請求項2】
前記辺部材及び対角線部材を、前記フレーム面の厚み方向で同じ寸法としたことを特徴とする請求項1に記載のフレームユニット。
【請求項3】
前記辺部材及び対角線部材に単板積層材を用いたことを特徴とする請求項1又は2に記載のフレームユニット。
【請求項4】
前記辺部材の接合を、前記辺部材の端部にそれぞれ形成した接合部同士の結合と、前記辺部材の端部間に跨って固定される接合金具とによって行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のフレームユニット。
【請求項5】
前記辺部材の接合を、前記辺部材の端部の互いの接合面間に介在されるジョイント部材と、前記辺部材の端部間に跨って固定される接合金具とによって行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のフレームユニット。
【請求項6】
前記辺部材の接合を、前記辺部材の端部同士のピン結合と、前記辺部材の端部間に跨って固定される接合金具とによって行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のフレームユニット。
【請求項7】
前記辺部材の接合を、前記辺部材の端部に先端がそれぞれ螺合して前記端部間に基端が支持される複数の自在ボルトと、前記辺部材の端部間に跨って固定される接合金具とによって行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のフレームユニット。
【請求項8】
前記枠体を正面視で横長矩形状に形成したことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のフレームユニット。
【請求項9】
前記枠体を正面視でアーチ状に形成したことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のフレームユニット。
【請求項10】
前記枠体を正面視で門形に形成したことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のフレームユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−219512(P2012−219512A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86510(P2011−86510)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(512165097)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(512165097)
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