説明

フロントローダ支持装置

【課題】 ローダ取付部材を設けた支持フレームに、センタロプスとコントロールバルブと共着できるようにする。
【解決手段】 走行車体2の前後中途部に左右が互いに連結された左右支持フレーム3を装着し、この左右各支持フレーム3の左右方向中途部に走行車体2を左右方向に跨るセンタロプス4の左右下部を装着し、各支持フレーム3のセンタロプス4より左右外方に、フロントローダ16のブーム5及びブームシリンダ6を支持するマスト17を着脱自在に装着するローダ取付部材7を立設するとともに、左右一方のローダ取付部材7にコントロールバルブ8を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車体にフロントローダを装着するためのフロントローダ支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術においては、走行車体の前後中途部に左右支持フレームが固定され、この各支持フレームの外端にローダ取付部材が立設され、この左右各ローダ取付部材にフロントローダのブームとブームシリンダとが支持され、前記ローダ取付部材の背面に走行車体を左右方向に跨る4柱式のロプスの前支柱が装着されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−16022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来技術においては、ロプスの前支柱がローダ取付部材の背面に装着されているため、ブームシリンダを制御するコントロールバルブをローダ取付部材の背面に設けることが困難になっており、コントロールバルブを支持フレームとともに走行車体に着脱する構造にはなっていない。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにしたを提供することを目的とする。
【0004】
本発明は、左右支持フレームにセンタロプスを装着し、このセンタロプスより左右外方でローダ取付部材にコントロールバルブを設けることにより、センタロプスとコントロールバルブとを支持フレームに共着できるようにしたフロントローダ支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、走行車体の前後中途部に固定される左右支持フレームに、フロントローダのブームとブームシリンダとを支持するローダ取付部材と、走行車体を左右方向に跨るセンタロプスとが設けられ、このセンタロプスより左右外方でローダ取付部材にコントロールバルブが設けられていることである。
【0006】
第2に、走行車体の前後中途部に左右が互いに連結された左右支持フレームが装着され、この左右各支持フレームの左右方向中途部に走行車体を左右方向に跨るセンタロプスの左右下部が装着され、各支持フレームのセンタロプスより左右外方に、フロントローダのブーム及びブームシリンダを支持するマストを着脱自在に装着するローダ取付部材が立設されるとともに、左右一方のローダ取付部材にコントロールバルブが設けられていることである。
【0007】
第3に、前記センタロプスはコ字状上部材とこの上部材の左右両端に連結された左右下支柱とで形成されており、前記上部材は左右下支柱に対して立設姿勢から前方へ倒した折り畳み姿勢に姿勢変更自在に構成されていることである。
第4に、前記左右各支持フレームは上面が平坦に形成されていて、前記センタロプスの下端に設けた取付板が面接して締結されていることである。
【0008】
第5に、前記ローダ取付部材の背面には左右外方突出状にステーが設けられ、このステーから後上方へコントロールバルブ用装着台が延設されていることである。
(作用)
左右支持フレームにローダ取付部材が設けられるとともにセンタロプスが装着され、左右支持フレームに装着されたセンタロプスより左右外方でローダ取付部材にコントロールバルブが設けられているので、または、支持フレームのセンタロプスより左右外方に立設されたローダ取付部材にコントロールバルブが設けられているので、センタロプスとコントロールバルブが支持フレームに共着でき、センタロプスとコントロールバルブとがお互いに装着の障害になることはない。
【0009】
センタロプスは、上部材が左右下支柱に対して立設姿勢から前方へ倒した折り畳み姿勢に姿勢変更自在に構成されているので、倉庫等へ格納が容易になる。
左右各支持フレームは上面が平坦に形成されていて、センタロプスの下端に設けた取付板が面接して締結されているので、センタロプスを支持フレームに安定装着でき、組立ても容易になる。
【0010】
前記ローダ取付部材の背面には左右外方突出状にステーに装着台を設けているので、コントロールバルブをセンタロプスから左右外方へより離して装着できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ローダ取付部材を設けた支持フレームに、センタロプスとコントロールバルブと共着できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図3、4において、符号1はフロントローダ支持装置で、トラクタ等の走行車体2の前後中途部に取付けられてフロントローダ16を装着支持する。
前記走行車体2は、エンジン30、クラッチハウジング31及びミッションケース32を前後方向に配列し、エンジン30から前方へ前車軸フレーム33を突出して形成され、前車軸フレーム33には前車軸ケースを介して前輪34が懸架され、ミッションケース32の左右後部には後車軸ケースを介して後輪35が懸架されている。
【0013】
前車軸フレーム33にはエンジン30の前方にラジエータ、バッテリ等が搭載され、それらはボンネット36によって覆われている。このボンネット36は後部が枢支された天板36Aと前面グリル36Bと左右側カバー36Cとを有する。
前記エンジン30及びボンネット36の後部には立枠37が走行車体2に固定され、この立枠37の後部にハンドル38a、クラッチペダル、ブレーキペダル及びハンドアクセルレバー等を有する操縦部38が配置されている。
【0014】
走行車体2の後上部には後部作業機昇降用の油圧装置39が搭載され、後下部にはドローバヒッチ40が設けられ、また後部保護枠41が固定されている。また、走行車体2の左右側部に固定された後輪フェンダ42間で油圧装置39を覆うフロアシート上には、クッション装置を介して運転席43が設けられている。
図1〜4において、前記走行車体2の前後方向中途部の左右側面には、フロントローダ16を支持するフロントローダ支持装置1の支持フレーム3が着脱可能に固定されている。この左右各支持フレーム3は、走行車体2に固定される縦板3aから左右外側方へアーム3bを突出し、このアーム3bの突出端上面にローダ取付部材7を立設している。
【0015】
前記左右支持フレーム3は、左右の縦板3aが走行車体2の下方を横切る連結部材15によって互いに連結されていて、左右一体のフレーム構造となっており、クラッチハウジング31、ミッションケース32及び/又は前車軸フレーム33等にボルト締結され、走行車体2に着脱自在に装着されている。
アーム3bは板材を断面コ字形状に屈曲して形成しており、その上面は平坦面となっており、その内端が縦板3aに溶着され、正面視先端先細り形状で、先端の上面に板材を平面視コ字形に形成したローダ取付部材7が溶着されている。
【0016】
左右各支持フレーム3のアーム3bの左右方向中途部には、走行車体2のボンネット36を左右方向に跨るセンタロプス(中央保護枠)4の左右下部が装着されている。センタロプス4は正面視コ字状の上部材4Uと、この上部材4Uの左右両端に2本のピン14a、14b等の連結具14を介して着脱自在に連結された左右下支柱4Dとで形成されている。
【0017】
前記左右下支柱4Dの下端には取付板11が固着されており、この取付板11はアーム3bの平坦な上面に面接してボルトを介して締結されている。前記アーム3bの上面が平坦であることによりに、下支柱4Dはアーム3b上に安定的に載置されかつ容易に固定される。
前記左右下支柱4Dの上部連結部4Rには、枢支ピン14aが貫通するピン孔と、互いに約90度偏位した2箇所のピン孔28a、28bとが形成されていて、2箇所のピン孔28a、28bに連結ピン14bが択一的に貫通される。
【0018】
センタロプス4は、上部材4Uと左右下支柱4Dとに枢支ピン14aを挿通することにより、上部材4Uは左右下支柱4Dに対して枢支連結され、上部材4Uと左右下支柱4Dの上側のピン孔28aとに連結ピン14bを挿通することにより、上部材4Uは左右下支柱4Dに対して立設姿勢に連結固定され、この連結ピン14bを抜いて上部材4Uを枢支ピン14aを中心に前倒し、上部材4Uと左右下支柱4Dの前側のピン孔28bとに連結ピン14bを挿通することにより、上部材4Uを左右下支柱4Dに対して折り畳み姿勢に連結固定できる。
【0019】
前記折り畳み姿勢にしたとき、センタロプス4は水平又は若干下向き傾斜姿勢になり、上部材4Uの最上部はフロントガード46の上又は前側に位置するようになり、フロントローダ16との干渉もない。
左右各支持フレーム3のアーム3bの上面の左右方向突出端(外端部)、即ち、センタロプス4より左右外方には、フロントローダ16を装着するローダ取付部材7が立設されている。このローダ取付部材7は下支柱4Dと左右に並んで平行である。
【0020】
このローダ取付部材7は断面平面視コ字形状のフレーム材7aをアーム3bの上面に固着し、上下中途部に受けピン20を固定し、上部に連結ピン21を貫通するピン孔22を穿孔し、フレーム材7aのボンネット36側の面から前方へブレイス取付けブラケット23を突出している。左右一方(右側)のローダ取付部材7の背面には左右外方突出状のステー12が固定されている。
【0021】
前記フロントローダ16は、左右一対のマスト17の上部に連結杆24で連結された左右ブーム5の基部を枢支し、左右各マスト17の下部とブーム5の中途部との間にブームシリンダ6を設け、左右ブーム5の前端に作業具(バケット)18を枢支し、この作業具18とブーム5の中途部との間に作業具シリンダ19を設けて構成されている。
左右各マスト17は、ローダ取付部材7に固定の受けピン20で受持され、ピン孔22を貫通する連結ピン21で連結されるようになっており、マスト17がローダ取付部材7に連結されることにより、フロントローダ16のブーム5及びブームシリンダ6がローダ取付部材7、即ち、支持フレーム3に支持される。
【0022】
前記ステー12は後半分が下向きに屈曲されていて、この後半分に後上方へ延設されたコントロールバルブ用装着台13が着脱自在に装着されており、この装着台13にコントロールバルブ8が取付けられている。コントロールバルブ8は後傾斜状に配置され、操作レバー24の握り部はハンドル38aの近傍に配置されている。
このコントロールバルブ8は、前記ブームシリンダ6及び作業具シリンダ19とホース25を介して接続され、また、走行車体2側に設けた中継器26と接続されており、運転席43に着座の運転者が操作レバー24を操作することにより、ブームシリンダ6及び作業具シリンダ19を同時に又は別個に作動可能になっている。前記中継器26は、走行車体2側に設けた油圧ポンプ及び油圧装置39と配管27を介して接続され、油圧ポンプからの作動油をコントロールバルブ8へ供給可能になっている。
【0023】
前記ブレイス取付けブラケット23には図3に示すように、ブレイス45が連結され、そのブレイス45の前部は前車軸フレーム33の前部に立設されたフロントガード46に連結されている。このブレイス45の前部は前車軸フレーム33の前部に直接連結してもよい。
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図1〜4に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
【0024】
例えば、センタロプス4は上部材4Uと左右下支柱4Dの区別のない一体ものにしたり、センタロプス4の下部をローダ取付部材7の走行車体2側の面に固着したりしてもよい。また、ローダ取付部材7にフロントローダ16のブーム5及びブームシリンダ6を直接支持してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態を示す正面図である。
【図2】同側面図である。
【図3】走行車体に装着した状態の側面図である。
【図4】走行車体に装着した状態の要部の側面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 フロントローダ支持装置
2 走行車体
3 支持フレーム
4 センタロプス
5 ブーム
6 ブームシリンダ
7 ローダ取付部材
8 コントロールバルブ
11 取付板
12 ステー
13 装着台
16 フロントローダ
17 マスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体の前後中途部に固定される左右支持フレームに、フロントローダのブームとブームシリンダとを支持するローダ取付部材と、走行車体を左右方向に跨るセンタロプスとが設けられ、このセンタロプスより左右外方でローダ取付部材にコントロールバルブが設けられていることを特徴とするフロントローダ支持装置。
【請求項2】
走行車体の前後中途部に左右が互いに連結された左右支持フレームが装着され、この左右各支持フレームの左右方向中途部に走行車体を左右方向に跨るセンタロプスの左右下部が装着され、各支持フレームのセンタロプスより左右外方に、フロントローダのブーム及びブームシリンダを支持するマストを着脱自在に装着するローダ取付部材が立設されるとともに、左右一方のローダ取付部材にコントロールバルブが設けられていることを特徴とするフロントローダ支持装置。
【請求項3】
前記センタロプスはコ字状上部材とこの上部材の左右両端に連結された左右下支柱とで形成されており、前記上部材は左右下支柱に対して立設姿勢から前方へ倒した折り畳み姿勢に姿勢変更自在に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフロントローダ支持装置。
【請求項4】
前記左右各支持フレームは上面が平坦に形成されていて、前記センタロプスの下端に設けた取付板が面接して締結されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフロントローダ支持装置。
【請求項5】
前記ローダ取付部材の背面には左右外方突出状にステーが設けられ、このステーから後上方へコントロールバルブ用装着台が延設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフロントローダ支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−247342(P2007−247342A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−75277(P2006−75277)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】